Linuxは、開発環境の構築やサーバー管理、業務自動化など、幅広い業務で活用される信頼性の高いOSです。
一方で、必要なコマンドが分からなかったり、正しい入力方法に迷ったりと、操作に戸惑う場面も多くあります。
本記事では、Linuxで実務に役立つコマンドの一覧や、効率的な練習方法、調べ方のポイントを整理して紹介しています。基本から応用まで実践的に解説していますので、業務効率化やスキルアップに活用いただける内容です。
ぜひ最後までお読みいただき、Linuxコマンドの理解を深めてください。
目次
1.Linuxで使えると便利なコマンドと使い方一覧
Linuxで使えると便利なコマンドと使い方を6つの分類で解説していきます。
ディレクトリ・ファイル操作
ユーザ管理操作コマンド
システム管理操作コマンド
ネットワーク関連操作コマンド
テキスト処理操作コマンド
その他
それぞれ見ていきましょう。
ディレクトリ・ファイル操作
ディレクトリやファイル操作に関連するコマンドは以下のとおりです。
コマンド | 説明 | コマンド入力例 | オプションコマンド |
---|---|---|---|
cd | 指定したディレクトリに移動する | cd /etc | -L:リンクへ移動 -P:リンク先へ移動 |
ls | ファイルやディレクトリの一覧を表示する | ls -l | -l:詳細表示(パーミッションや日付など) -a:隠しファイルも表示 -h:ファイルサイズを読みやすく表示 |
pwd | 現在の作業ディレクトリを表示する | pwd | |
mkdir | 新しいディレクトリを作成する | mkdir -p newdir | -p:親ディレクトリも同時に作成 |
cp | ファイルやディレクトリをコピーする | cp -r src dst | -r:ディレクトリを再帰的にコピー -p:パーミッションや所有者などの属性を維持 |
touch | 新しい空のファイルを作成する | touch newfile.txt | |
rmdir | 空のディレクトリを削除する | rmdir olddir | |
rm | ファイルやディレクトリを削除する | rm -rf temp | -r:再帰的に削除 -f:確認なしで削除 -i:削除前に確認 |
mv | ファイルやディレクトリを移動または名前変更する | mv file1 file2 | -i:上書き時に確認する -f:強制的に実行 -v:詳細表示 |
find | 条件に一致するファイルやディレクトリを検索する | find / -name '*.conf' | -name:名前で検索 -type:タイプで検索(dはディレクトリ、fはファイル) -exec:検索結果に対してコマンドを実行 |
clear | 画面をクリアする | clear | |
cat | ファイルの内容を表示する | cat file.txt | |
chmod | ファイルやディレクトリの権限を変更する | chmod 755 script.sh | 数値:権限設定(rwx) -R:再帰的に変更 -v:詳細表示 -c:変更があった場合のみ結果を表示 |
chown | ファイルやディレクトリの所有者を変更する | chown user:group file.txt | -R:再帰的に変更 -v:詳細表示 -c:変更があった場合のみ結果を表示 |
tar | アーカイブの作成・展開を行う | tar -czvf archive.tar.gz dir/ | -c:作成 -x:展開 -z:圧縮 -j:bzip2圧縮/解凍 -J:xz圧縮/解凍 -v:表示 -f:ファイル名指定 -t:アーカイブ内容表示 |
locate | ファイル名のデータベースからファイルを検索する | locate passwd | -i:大文字小文字を区別しない |
history | 過去に実行したコマンドを表示する | history | |
ln | ハードリンクまたはシンボリックリンクを作成する | ln -s /path/to/file linkname | -s:シンボリックリンクを作成 |
man | コマンドのマニュアルを表示する | man ls | |
apropos | キーワードから関連コマンドを検索する | apropos network |
ユーザ管理操作コマンド
ユーザ管理操作に関連するコマンドは以下のとおりです。
コマンド | 説明 | コマンド入力例 | オプションコマンド |
---|---|---|---|
chfn | ユーザのフルネームや連絡先情報を変更する | chfn username | |
deluser/userdel | 既存のユーザアカウントを削除する | deluser username | --remove-home:ホームディレクトリも削除 -r:ホームディレクトリとメールスプールを削除 |
usermod | 既存ユーザの属性を変更 | usermod -aG wheel alice | -aG グループ追加/-L ロック |
userdel | 既存ユーザを削除 | userdel -r alice | -r ホームも削除 |
groupadd | 新しいグループを作成する | groupadd newgroup | -gでGIDを指定 |
groupdel | 既存のグループを削除する | groupdel oldgroup | |
su | 別ユーザとしてコマンドを実行する | su - username | -:ログインシェルを起動する |
useradd/adduser | 新しいユーザを作成する(ディストリビューションにより使い分け) | useradd -m username | -m:ホームディレクトリ作成 -s:ログインシェル指定 |
システム管理操作コマンド
システム管理操作に関連するコマンドは以下のとおりです。
コマンド | 説明 | コマンド入力例 | オプションコマンド |
---|---|---|---|
finger | ユーザのログイン情報やメール情報などの詳細を表示する | finger username | |
free | システムのメモリ使用状況を表示する | free -m | -m:メモリ使用量をMB単位で表示する |
last | システムの最終ログイン情報(履歴)を表示する | last -a | -a:ログイン元IPアドレスを表示する |
ネットワーク関連操作コマンド
ネットワーク関連操作に関連するコマンドは以下のとおりです。
コマンド | 説明 | コマンド入力例 | オプションコマンド |
---|---|---|---|
ftp | FTPプロトコルを利用してファイルの送受信を行う | ftp ftp.example.com | |
ssh | 安全なリモート接続(Secure Shell)を確立する | ssh -p 2222 user@hostname | -p:ポート番号指定 |
route | カーネルのルーティングテーブルの表示・操作を行う | route -n | -n:IPアドレスを数値形式で表示する |
netstat | ネットワーク接続状況、ルーティング、インターフェース統計を表示する | netstat -tuln | -t:TCP -u:UDP -l:リスニング -n:数値表示 |
ping | 指定ホストへのネットワーク接続の疎通確認を行う | ping -c 4 google.com | -c:送信回数を指定して実行する |
テキスト処理操作コマンド
テキスト処理操作に関連するコマンドは以下のとおりです。
コマンド | 説明 | コマンド入力例 | オプションコマンド |
---|---|---|---|
cut | ファイルの各行から指定フィールドを抜き出す | cut -f1 -d',' file.csv | -f:フィールド番号 / -d:区切り文字指定 |
diff | 2つのファイルの差分を表示する | diff file1.txt file2.txt | -u:ユニファイド形式で表示 |
grep | 特定の文字列を含む行を抽出する | grep -i 'error' logfile | -i:大文字小文字を無視して検索 |
head | ファイルの先頭部分を表示する | head -n 10 file.txt | -n:表示する行数を指定する |
less | ページ単位でファイル内容を表示する(後方移動も可) | less file.txt | |
lv | 日本語対応のページャー(lessの代替) | lv file.txt | |
more | ページ単位でファイル内容を表示する(後方移動不可) | more file.txt | |
vi | 標準的なテキストエディタでファイルを編集する | vi file.txt | |
tail | ファイルの末尾部分を表示する | tail -n 10 file.txt | -n:末尾から表示する行数を指定 |
nl | 行番号付きでファイル内容を表示する | nl file.txt | |
wc | 行数や単語数、バイト数をカウントする | wc -l file.txt | -l:行数を表示 / -w:単語数 / -c:バイト数 |
その他
その他として便利なコマンドは以下のとおりです。
コマンド | 説明 | コマンド入力例 | オプションコマンド |
---|---|---|---|
which | コマンドの実行パスを表示する | which ls | |
who | ログインしているユーザ情報を表示する | who | |
type | コマンドが関数・エイリアスなどどのタイプか表示する | type ls | |
whatis | コマンドの概要説明を表示する | whatis ls | |
cal | カレンダーを表示する | cal 2025 | |
date | 現在の日付と時刻を表示・設定する | date '+%Y-%m-%d %H:%M' |
2.Linuxで使えると便利なショートカットキーと使い方一覧
Linuxは、画面上でマウスを使って操作するのではなく、コマンド入力が主な操作方法です。その際、便利なショートカットキーがいくつもあるため、実践で使えるものを厳選して解説していきます。
ショートカットキー | 説明 |
---|---|
Ctrl + A | カーソルを行頭に移動する |
Ctrl + E | カーソルを行末に移動する |
Ctrl + U | カーソル位置から行頭までを削除する |
Ctrl + K | カーソル位置から行末までを削除する |
Ctrl + W | カーソル前の1単語を削除する |
Ctrl + L | 画面をクリアする(ターミナル再描画) |
Ctrl + C | 実行中のコマンドを強制終了する |
Ctrl + D | シェルを終了する(ログアウト) |
Ctrl + Z | 実行中のコマンドを一時停止する(バックグラウンド化) |
Ctrl + R | コマンド履歴から検索して再実行する |
Tab | コマンドやファイル名の補完を行う |
Ctrl + Shift + C | ターミナルでコピーを行う(GUI環境) |
Ctrl + Shift + V | ターミナルで貼り付けを行う(GUI環境) |
3.Linuxのコマンドを覚えるコツ
Linuxのコマンドを覚えるコツは主に以下の3点です。
実際に手を動かして入力する
ディレクトリ構造を理解する
資格を取得する
一つずつ解説していきます。
実際に手を動かして入力する
Linuxコマンドの習得には、座学だけでなく実際にコマンドを入力することが一番大切です。
仮想環境やクラウド上にテスト用のLinuxを用意し、基本的な操作から繰り返し練習することで、タイピングと同時に構造や意味も理解できます。特にファイル・ディレクトリ操作やネットワークコマンドなどは、実行結果を見ることで用途が明確になり、記憶の定着が早まります。
実践を通じて学習することこそが、現場で即戦力になるスキルに変える近道です。
ディレクトリ構造を理解する
Linuxでは、ファイルやコマンドが階層構造で整理されています。/をルートとしたディレクトリ構造を理解することで、目的のファイルにたどり着くスピードが格段に上がります。
主要なディレクトリは以下のとおりです。
ディレクトリ | 説明 |
---|---|
/ | ファイルシステムのルートディレクトリ。すべてのディレクトリの起点となる |
/bin | 基本的なコマンド(ls、cpなど)が格納されている実行ファイルのディレクトリ |
/boot | ブートローダー関連のファイルが格納されており、OS起動に必要な情報を含む |
/dev | デバイスファイル(ハードディスク、USBなど)を扱うための仮想ディレクトリ |
/etc | システム設定ファイルや初期設定ファイルが格納されている重要な場所 |
/home | 各ユーザの個別ファイルや設定が格納されるホームディレクトリ |
/lib | 共有ライブラリやカーネルモジュールなどのライブラリファイルが格納される |
/media | USBやDVDなどのリムーバブルメディアがマウントされる場所 |
/sbin | システム管理用の実行ファイル(shutdownなど)が格納されている |
/opt | 追加アプリケーションのインストール先として使われる(商用・外部ソフトなど) |
/proc | カーネルやプロセスに関する情報を提供する仮想ファイルシステム |
/usr | 共有プログラムやライブラリなどを格納する階層(一般ユーザ向け) |
/var | ログファイルやメール、スプール、キャッシュなどが格納される |
たとえば、設定ファイルは/etc、ログは/var/logにあることが多く、構造を把握していればトラブル対応もスムーズになります。
さらに細かいディレクトリ構造を確認したい場合は、「tree」コマンドを使う手段もあります。treeコマンドを入力した結果は以下のとおりです。
tree入力画面
tree |
出力例
. ├── README.md ├── src │ ├── main.py │ └── utils.py └── data └── input.txt |
資格を取得する
Linuxの知識を体系的に学びたい場合は、資格取得も有効な手段です。Linux初心者におすすめの資格は以下の2つです。
LinuC(日本向けに最適化された資格)
LPIC(国際的に認知されている資格)
この2つの資格試験は、基本操作からサーバー管理、シェルスクリプトまで幅広い内容をカバーしています。学習の過程で、使い慣れたコマンドの理解が深まり、知らなかった機能に気づくことも少なくありません。また、資格を持っていることが実務経験の証明にもなるため、フリーランスや転職活動にも有利に働きます。
LinuCはこちらから詳細がご確認いただけます。
関連記事
UNIXとLinuxの違いとは?共通点や選択基準などをわかりやすく解説
4.Linuxのコマンドを練習できる環境を作る方法
実際にLinuxのコマンドを練習するための主な方法は以下の4点です。自分に合ったやり方を見つけて練習することで、よりコマンドの理解を深められます。それぞれを見ていきましょう。
クラウド上で仮想環境を作る
コンピュータ上に仮想環境を作る
WindowsのWSL上で行う
Macのターミナル上で行う
クラウド上で仮想環境を作る
コマンド練習を効率よく行うなら、クラウドサービスの利用が便利です。たとえば、AWSのEC2やGoogle CloudのCompute Engineを使えば、ブラウザ上からLinux環境にアクセス可能です。初期費用も安く、トラブルが起きてもすぐに再構築できるのが魅力です。
インターネット接続があれば場所を問わず利用できるため、実務に近い形でサーバー操作を練習したいエンジニアに適しています。
コンピュータ上に仮想環境を作る
自分のPC上で仮想環境を構築する方法もあります。
VirtualBoxやVMwareといった仮想化ソフトを使えば、1台のPC上で複数のOSを動かせます。例えば、Windows上にUbuntuなどのLinuxディストリビューションをインストールすることで自由に操作が可能です。
インストールする手間はかかってしまいますが、物理的な環境を壊すことなく、何度でも試行錯誤できる点も大きなメリットです。
WindowsのWSL上で行う
Windowsユーザであれば、WSL(Windows Subsystem for Linux)を利用することで簡単にLinux環境を扱えます。
Microsoft StoreからUbuntuなどをインストールすれば、コマンドラインから本格的なLinux操作が可能になります。WSLは起動が速く、Windowsとのファイル共有もスムーズで、学習と実用のバランスが取れた選択肢です。設定もシンプルなので、初心者にも扱いやすい点が特長です。
Macのターミナル上で行う
Macには標準でUnixベースのターミナルが備わっており、Linuxに近い環境でコマンド操作が可能です。
特にlsやgrep、chmodなどの基本コマンドはそのまま使えるため、追加のツールなしで学習を始められます。
さらにHomebrewを使えばパッケージ管理もでき、よりLinuxに近い操作感を得られます。開発者向けの作業を行ううえでも、そのまま実用に移行しやすい環境です。
関連記事
LinuxとWindowsの違いは?特徴やメリット・デメリットを知り選びましょう!
5.Linuxのコマンド操作で困ったときの調べ方
Linuxのコマンド操作で困ったときの調べ方は以下の2つです。
コマンドがわからない場合
コマンドの使い方がわからない場合
それぞれを解説していきます。
コマンドがわからない場合
何を使えばよいか分からないときは、まず「やりたいこと」から検索するのが有効です。たとえば「Linux ディレクトリ 移動 コマンド」などのキーワードでGoogle検索すれば、基本的な操作に関連するコマンド一覧が見つかります。
また、以下のエンジニア向けサイトを利用するのも有効な手段です。
操作の目的がはっきりしていれば、自然と適切なコマンドにたどり着けるでしょう。
コマンドの使い方がわからない場合
コマンドの使い方に迷ったときは、manコマンドを使うのがおすすめです。
たとえば man ls と入力すると、lsコマンドのマニュアルが表示されます。
入力画面
man ls |
出力例(抜粋)
LS(1) User Commands LS(1)
ls - list directory contents
ls [OPTION]... [FILE]...
List information about the FILEs (the current directory by default). Sort entries alphabetically if none of -cftuvSUX nor --sort is specified.
-a, --all do not ignore entries starting with .
・・・ |
概要、書式、オプションの説明などが含まれており、知りたい内容を確認できます。
より簡易な確認には --help オプションが便利です。
ls --help のように入力すれば基本的な使い方が一覧で確認できます。
入力例
ls --help |
出力例(抜粋)
Usage: ls [OPTION]... [FILE]... List information about the FILEs (the current directory by default).
-a, --all do not ignore entries starting with . -l use a long listing format -h, --human-readable with -l, print sizes in human readable format -t sort by modification time, newest first -r reverse order while sorting --help display this help and exit ・・・ |
関連記事
Linuxのzipコマンド完全ガイド|圧縮・解凍の基本操作からオプション活用までを解説
6.まとめ
今回は、Linuxで実務に役立つコマンドの一覧や、効率的な練習方法、調べ方のポイントを整理してご紹介しました。
Linuxは、使いこなすことで作業効率を大きく高められる優れたツールです。基本操作を正しく理解し、必要な情報を自分で調べる力を身につけることで、現場での対応力やトラブルシューティング能力が向上します。
Linuxスキルは、エンジニアとしての信頼や市場価値を高める武器にもなります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
「フリーランスボード」は、数多くのフリーランスエージェントが掲載するITフリーランスエンジニア・ITフリーランス向けの案件・求人を一括検索できるサイトです。
開発環境、職種、単価、稼働形態、稼働日数など様々な条件から、あなたに最適なフリーランス案件・求人を簡単に見つけることができます。
単価アップを目指す方や、自分の得意なスキルを活かせる案件に参画したい方は、ぜひ「フリーランスボード」をご利用ください。