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AI(人工知能)活用のメリット・デメリットとは【初心者向け】具体例や問題点も含めわかりやすく解説

公開日:2025/06/15最終更新日:2025/06/15

AI(人工知能)は私たちの日常に大きくかかわるようになってきた先進的な技術の1つです。身近には「Googleの検索エンジン」「Siri」「Alexa」などさまざまな面で私たちの生活や仕事を便利にしてくれています。


しかし、AIを活用するうえでの「メリット」と「デメリット」については把握していない人も多いのではないでしょうか。


本記事ではAIの基礎と活用におけるメリットとデメリットについて具体例なども含めて紹介していきます。


1.AI(人工知能)とは

AI(人工知能)とは人間の思考プロセスを参考に研究開発が行われている技術です。人工知能を意味する「Artificial Intelligence(アーティフィシャル インテリジェンス)」の頭文字をとって「AI」と呼ばれており、AIの活用でコンピュータが今まで扱うことが難しかったデータの活用や分析をできるようになりました。


AIは大きく分けて「汎用型AI」「特化型AI」の2種類です。それぞれの特徴は以下のようになります。

汎用型AI

汎用型AIは、人間のように自意識のようなものを持ち、状況に応じた分析を行うことができるのが特徴です。「強いAI」とも呼ばれており、現状は実現できていない理論や概念上のAIになります。

特化型AI

特化型AIは、人間のような自意識は持たず、特定の分野やタスクに特化して分析を行うことができるのが特徴です。「弱いAI」とも呼ばれ、現在実用化されているAIはこちらになります。

2.AI(人工知能)活用のメリット

AI(人工知能)を使用するメリットと関連する具体例についてを見ていきましょう。

人材不足の解消

AIを活用することでデータの入力や配置、メールなどの単純作業や定型作業を自動化することが可能です。作業量が多くとも短時間で処理することもできるため、人員を減らすことも期待できます。

業務の効率や品質の向上

AIで行った単純作業や定型作業の自動化では予期せぬエラーが発生しない限り、一定の品質を保つことが可能です。また、ヒューマンエラーが発生することもなくなり、他の作業に注力できるため、業務の効率化も可能になります。

生産性の向上

AIは機械なので、スペックに合わせた活用ができていれば、人間のように疲れることもモチベーションが変化することはありません。そのため、確実に一定の生産性を保つことが可能です。


また、データの分析を得意としているので過去のデータと現在の状況などをもとに人員配置や経営戦略などをサポートさせることもできます。うまく活用することができれば、人間の負担を減らし、新たな授業への拡大などの余裕が生まれることもあるでしょう。

コスト削減

AIの活用でこれまでは人間が中心で行ってきた作業をAIが代わりに行ったり、サポートしてもらったりすることが可能です。そのため、AIが行っていた作業に使われていたコストを削減することもできます。


例えば、時給1500円のある社員が定型作業に1日2時間使っていたとすると、1ヶ月(20日)で6万円(40時間×1500円)の人件費が必要ですが、AIが代替すれば、その分のコストは削減が可能です。

コミュニケーションの円滑化

AI技術には「ChatGPT」「Siri」などのように対話形式で自動応答を行ってくれるサービスも出てきています。こういった技術を活用すれば、カスタマーサービスや社内FAQなどにおいて、人間の対応を待たずにAIが代わりに応答することが可能です。基本的な内容はAIが行い、専門的な内容は人間が行うといったコミュニケーションの最適化や円滑化が期待できます。

ビッグデータの活用

膨大な容量の「ビッグデータ」の活用でもAIは利用可能です。例えば、顧客の購入履歴や業績データなどのビッグデータを人間では持て余していましたが、AIを活用すれば、これらのデータを分析して、新たな施策の創出や既存の施策を最適化することもできるでしょう。

安全性の向上

車の衝突回避や生産ラインでの不良品発見などにAIを活用することで安全性の向上が可能です。例えば、正常品と不良品のデータをAIに学習させることで、カメラやセンサーを使用して、不良品を分類することもできます。

また、作業環境の温度や湿度などを計測することで異常をいち早く発見し、作業員の安全確保につなげることも可能です。

AI活用のメリット(具体例)

スマート農業

農業は、自然という規則性が少ない条件で行うために、積み重ねてきた経験や実績が重視されます。


そこで登場したのが、「AI」「IoT」「センサー」「ロボット」「ビッグデータ」などを駆使して農業を行う「スマート農業」です。この技術の活用により農作業の負担を減らしたり、農作業のノウハウなどを蓄積していくこともできるため、農場の拡大や収穫量アップが期待できます。

参考:スマート農業/農林水産省

Azure OpenAI Service

Microsoftが提供している「Azure OpenAI Service」では「ChatGPT」のように対話形式でテキストの要約や与えた情報をもとにした文章の作成などのサポートが可能です。また、Microsoft 365のCopilotと連携すれば、プレゼンテーション資料の作成なども可能になるため、活用できれば、業務の自動化による他業務の効率化以外にも既存業務の品質向上も期待できるでしょう。

参考:Azure OpenAI Service

検査技師・医師不足の対策

順天堂大学とシスメックス株式会社の共同研究グループは、血液疾患鑑別ができる「統合型AI分析システム」の開発を行いました。

血液疾患の診断では、以下のような検査が必要です。

  • 血球数算定検査

  • 顕微鏡による血液細胞形態検査

  • 細胞表面抗原検査

  • 遺伝子検査

上記以外にも複数の検査を行う場合もあり、それらすべての結果をもとにした総合的な判断をすることができる検査技師や医師が不足していました。

そこで血液検査の支援を行えるシステムを構築して、「人材不足の解消」に取り組んでいるのです。今後の展開によっては別の検査や診断への応用も期待できるでしょう。


参考:AI自動分析システムにより血液がんの高精度鑑別に成功

チャットボットによる負担軽減

「ChatGPT」「Siri」などに使用されている「AIチャットボット」の技術はコールセンターやオペレーターなどの業務の負担軽減に活用されています。


例えば、Webサイトの問い合わせでチャットボットを活用することでコールセンターやオペレーターに「つなぐ必要があるのか」「どのオペレーターにつなぐのが良いのか」などをあらかじめ確認することが可能です。


最近では電話などで自動応答を行うボイスボットも登場しているため、人員削減や効率化などがより進むことも考えられます。


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3.AI(人工知能)のデメリット

AI(人工知能)を使用するデメリットと関連する具体例についてを見ていきましょう。

リスクマネジメントが複雑

AIではさまざまな情報を記憶させて、データの分析を行うことになります。そのため、個人情報や著作権に関する情報、機密情報などの扱いに注意が必要なデータを記録することも可能です。


AIはそれらの情報を必要に応じて使用するだけで、その情報の重要性などを考慮してくれるわけではないため、権限のない社員が個人情報や機密情報を閲覧する結果となる可能性が出てきます。


そのため、AIの活用においては「AIに記録させる情報」「利用者」「セキュリティ上の管理」などさまざまな要素を含んだ複雑なリスクマネジメントが必要です。

コストの増加

AIは導入することで人材や時間などのコストを削減することが可能ですが、当然、導入と維持にコストがかかってしまいます。


AIの運用をするためには、システム開発と他システムやサービスとの連携以外にも、AIの保守管理をするための人材が必要です。また、AIの性能を高めるためには膨大なデータが必要になります。そのデータもただ集めればよいわけではなく、偏りのない「質」の良いデータを大量に集めることが必要です。


また、AIにデータ分析をさせるためには統計学や線形代数、微積分などの数学の知識も必要になるため、人材の育成にもコストが発生します。


そのため、高い性能のAIを導入し、運用するためには質の良いデータの収集とそれを扱うことのできる人材などにコストを費やさなければなりません。AIの導入により削減されるコストとAIの導入と維持に必要なコストをしっかりと確認した上で検討することが必要でしょう。

責任の所在が不明確

AIを搭載しているロボットやドローンなどが事故や過失を起こしてしまい、他者に損害を与えてしまった場合、責任の所在についてが曖昧になる可能性があります。


AI製品の所有者が責任を負う条件は以下のすべてを満たした場合です。

  • 「侵害行為が故意または過失である」

  • 「損害が発生している」

  • 「侵害行為と損害の関連性がある」

対して、AIの製造元が責任を負う条件は以下のすべてを満たしている場合になります。

  • 「製品に欠陥がある」

  • 「損害が発生している」

  • 「欠陥と損害に関連性がある」

損害を起こした原因が「AIの判断か」「AIを使用した人間の判断か」の判定は困難です。そのため、AI製品の所有者も製造元もAIによって損害が発生した場合に発生する可能性のある責任問題を把握しておくことが必要でしょう。

ブラックボックス化

人間が業務を行う際に行動を起こす際の思考プロセスは明確に説明することができます。しかし、AIでは膨大なデータを使用した高速処理を行っているため、結果に至るまでの思考プロセスを人間が把握することは困難です。


以前、AIがプロの囲碁棋士に勝利するということがありましたが、この時の「勝利に至るまでの思考プロセス」は明らかになっておりません。


これは「AIのブラックボックス問題」と呼ばれ、AIの思考プロセスが判明しないと導き出した結果の正否を判断することが難しくなります。また、これを解決しないとAIが関連したトラブルでどこに問題があったのかの原因究明も難しくなるため、「思考プロセスの可視化」は大きな課題といえるでしょう。

AI活用のデメリット(具体例)

フェイク画像の拡散

有名なのは台風の被害状況に関するフェイク画像です。

台風による大雨や強風での「家屋や道路の水没」「土砂崩れ」「建物の倒壊」などによる被害がSNSなどで拡散されることがあります。


当初はドローンでの空撮や被災者がアップロードしたと思われていたSNSの投稿にフェイク画像が紛れていたのです。よく見ると不自然な部分がありはするものの、災害時のSNSではさまざまな画像が投稿されるため、真実であると勘違いしてしまった人も多く出ました。


この事例では損害などは起きなかったようですが、損害が起きていた場合には利用者か製造元が責任を取っていたかもしれません。


参考:SNS拡散の災害デマやフェイク画像 “AI生成の画像”も

機密情報の流出

前述にもあるようにAIは入力されたデータは以降の分析などのためにすべてを記録します。

この事例では社員がChatGPTに対して誤って、機密情報を入力してしまったため、情報流出が発生しました。


ChatGPTではオプトアウト機能を設定することで記録を残さないようにはできますが、この事例では設定されておらず、情報流出が起きてしまったのです。


この事例では事前にオプトアウト機能の設定や機密情報の利用に関するリスクマネジメントの方法によっては防げていたかもしれません。


参考:サムスン、ChatGPTの社内使用禁止 機密コードの流出受け


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4.AI(人工知能)の問題点と対策をわかりやすく解説

AIが生活に与える身近な影響(メリット・デメリット)

メリット

生活におけるAIを活用したメリットは「手間が省ける」という点です。

例えば、「Siri」「Gemini」「Alexa」などを使用すれば、直接的な操作を行わずに音声やテキスト入力だけで検索やアプリの操作ができます。また、Googleなどの検索エンジンや各種ECサイトでは履歴をもとに表示の最適化やおすすめなどをAIによって可能にしているため、得たい情報や製品の入手が楽です。

デメリット

生活におけるデメリットは「依存」「雇用への影響」があります。


まず、「依存」はメリットで説明したように簡単に情報や製品が入手できる分、AIが与えてくれる情報に大きく左右されてしまう状態です。能動的に情報を集めたり、製品を買ったりするよりも、受動的にAIを頼った方が楽になってしまう可能性があるので注意しましょう。


次に「雇用への影響」になります。これは単純作業や定型作業はAIを活用することで人間がやる必要がなくなっていくということです。専門的な作業が少ない事務職やコールセンターなどの雇用はAIに置き換わっていくことで雇用または収入が減少することが予想されます。

これによって、AIに代替されにくい新たなスキルの習得が必要となり、労働環境が変化することが考えられるでしょう。

AI活用のデメリット(解決策)

何よりもメリットとデメリットを理解して使用することが解決策につながります。

要するに「計画的に活用する」ことが大切です。


「便利だから、使っている」ではなく「○○するために必要だから利用する」というような用途と目的を理解しながら活用することで、AIにとらわれすぎずに日々の生活を豊かにすることができるでしょう。


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5.AI(人工知能)の展望

AI技術は「医療」「製造業」「教育」「交通」などさまざまな分野での活用が期待されています。例えば、以下のようなものです。

  • 医療:さまざまな患者に対応する診察支援

  • 製造業:AIとIoTやロボットの活用によるスマートファクトリー

  • 教育:過去の生徒や教育に関するデータを基にしたパーソナル学習プラン

  • 交通:自動運転や運転サポート機能による安全性や利便性の向上

また、前述でも触れたスマート農業や環境問題への対策などにも役立てられるでしょう。しかし、これらの進歩をするためには倫理的や社会的な問題が付きまとうため、そういった問題を人間が中心となることで解決することが必要です。


今後、一部の職はAIによる自動化で雇用が減少し、代わりにAIをより安全に扱うための新しい職業やAIと共同で行うことを前提とする業務が増えていくことも考えられます。それを実現するにはAIに関する教育やトレーニング、法整備などさまざまな知識とスキルが求められるでしょう。

6.まとめ

本記事ではAIの活用におけるメリットとデメリットについて、具体例なども含めて紹介しました。AIを活用することで便利になることは多いですが、メリットとデメリットを知らないと予期せぬトラブルが発生することがあります。


AIの活用によって「得られるもの」と「もたらされるリスク」をしっかりと把握した上で自らの生活や業務にとって、必要になるのかどうかをしっかりと判断できるようになりましょう。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。


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この記事の監修者

笠間 慎

大学卒業後、人材紹介会社にコンサルタントとして従事。フリーランスとして独立。その後、フリーランス案件サイト「フリーランススタート」の立ち上げに編集長兼ライターとして参画し、月間30万人が利用する人気メディアへと成長させる。 2024年より、フリーランスボード編集長に就任。自身の経験を元に、フリーランスの活躍を支援する情報を発信している。

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目次

1.AI(人工知能)とは

汎用型AI

特化型AI

2.AI(人工知能)活用のメリット

人材不足の解消

業務の効率や品質の向上

生産性の向上

コスト削減

コミュニケーションの円滑化

ビッグデータの活用

安全性の向上

AI活用のメリット(具体例)

スマート農業

Azure OpenAI Service

検査技師・医師不足の対策

チャットボットによる負担軽減

3.AI(人工知能)のデメリット

リスクマネジメントが複雑

コストの増加

責任の所在が不明確

ブラックボックス化

AI活用のデメリット(具体例)

フェイク画像の拡散

機密情報の流出

4.AI(人工知能)の問題点と対策をわかりやすく解説

AIが生活に与える身近な影響(メリット・デメリット)

メリット

デメリット

AI活用のデメリット(解決策)

5.AI(人工知能)の展望

6.まとめ