Tomcatとは?Javaアプリケーションサーバーの役割、Apacheとの違い、脆弱性対策など解説のカバー画像

Tomcatとは?Javaアプリケーションサーバーの役割、Apacheとの違い、脆弱性対策など解説

公開日:2025/07/02最終更新日:2025/07/02

「Apache Tomcat」は、JavaでWebアプリケーションを動作させるときに使用するアプリケーションサーバーです。多くのWebアプリケーションがTomcat上で動作しており、バックエンドエンジニアにとって理解すべき重要な技術の一つです。


本記事では、Tomcatの基本概念から実際の運用まで、実務で必要な知識を体系的に解説します。Webサーバーとの違いやApacheとの使い分け、バージョン管理や脆弱性対策といった運用面での重要なポイントなど、現場で役立つ実践的な内容を紹介します。

1.Tomcatとは?基本概念をわかりやすく解説

Apache Tomcatは、Java Servletやサーバーサイドプログラムを実行するためのアプリケーションサーバーです。正式名称は「Apache Tomcat」といい、Apache Software Foundationが開発・提供するオープンソースソフトウェアとして、世界中の開発現場で広く利用されています。


また、TomcatはJavaプログラムを実行する「アプリケーションサーバー」の役割に加え、Webページを表示する「Webサーバー」の機能も備えています。


この章では、Tomcatが持つ基本機能についてわかりやすく解説します。

TomcatはJavaを動かすアプリケーションサーバー

Tomcatの最も重要な役割は「アプリケーションサーバー」として動作することです。具体的には、Javaで書かれたWebアプリケーションを実行します。


通常のWebサーバーは静的なHTMLファイルや画像ファイルを配信するのに対し、Tomcatは動的なコンテンツを生成します。例えば、ユーザーがWebフォームに入力した情報をデータベースに保存したり、ログイン状態に応じて異なるページを表示したりする処理を行います。


Tomcatは、特にJava言語で開発されたWebアプリケーションを動かすことに特化しています。開発者が作成したJavaのコードを受け取り、それを実行して結果をWebブラウザに返すまでの一連の処理を担当します。

サーブレットコンテナとしてのTomcatの役割

Tomcatは「サーブレットコンテナ」とも呼ばれます。サーブレットとは、サーバー上で動作するJavaプログラムのことで、HTTPリクエストを受け取り、動的なレスポンスを生成する仕組みです。


Tomcatは、このサーブレットのライフサイクルを管理し、リクエストの振り分けや処理結果の返却を担当します。その様子がサーブレットを動かすためのコンテナのように見えることから、サーブレットコンテナと呼ばれています。


このようにTomcatは、サーブレットコンテナとして、クライアントからのHTTPリクエストを解析し、適切なサーブレットクラスを呼び出し、処理結果をHTTPレスポンスとして返すという一連の流れを制御しています。さらに、マルチスレッド環境での安全な実行を保証し、セッション管理やセキュリティ制御も行います。

Webサーバーとしての機能も持つTomcat

Tomcatは、アプリケーションサーバーとして有名ですが、基本的な「Webサーバー」の機能も備えています。そのため、HTMLやCSS、画像ファイルといった静的なコンテンツをクライアントのブラウザに配信することも可能です。これにより、小規模なWebアプリケーションであれば、Tomcat単体で完結したWebサービスを構築できます。


ただし、大規模なシステムでは、Apache HTTP ServerやNginxなどの専用Webサーバーと組み合わせて使用することが一般的です。この構成により、静的コンテンツの配信はWebサーバーが担当し、動的処理のみをTomcatが処理するという効率的な分散処理が実現できます。また、Apache HTTP ServerやNginxなどの専用Webサーバーと連携することで、負荷分散やSSL終端といった高度な機能も利用できます。

2.TomcatとApacheの違い

Apache HTTP ServerとApache Tomcatは、共に名前に「Apache」が付いているものの、まったく異なる役割を持つソフトウェアです。Apacheは静的なコンテンツの配信に優れた「Webサーバー」であり、TomcatはJavaプログラムを動かす「アプリケーションサーバー」です。


この章では、Apache TomcatとApache HTTP Serverの違いについて解説します。

Apache HTTP ServerとTomcatの基本的な違い

ApacheとTomcatの基本的な違いは、処理するコンテンツの種類です。


Apache HTTP Serverは、静的コンテンツの処理を得意とするソフトウェアです。静的コンテンツとは、誰がいつアクセスしても同じ内容が表示されるファイル、例えばHTML、CSS、画像、JavaScriptファイルなどを指します。Apacheはこれらのファイルを高速にクライアントへ配信することに特化しています。


一方で、Tomcatは動的コンテンツの生成を得意とします。動的コンテンツとは、リクエストに応じてプログラムが実行され、内容が変化するページのことです。TomcatはJavaサーブレットやJSPを実行するための「サーブレットコンテナ」であり、Javaによる動的な処理を行うアプリケーションサーバーとしての役割が中心です。


Apache HTTP Serverは軽量で高速な静的ファイル配信が可能ですが、Javaアプリケーションを直接実行する機能はありません。一方、Tomcatは複雑なアプリケーション処理を実行できるものの、静的ファイルの配信性能ではApache HTTP Serverに劣ります。これらの違いをしっかり理解しておきましょう。

それぞれの得意分野と使い分け

Apache HTTP Serverの得意分野は、大量の静的コンテンツを高速配信することです。Webサイトの画像、CSS、JavaScriptファイルなどを効率的に処理できます。また、リバースプロキシ機能により、複数のバックエンドサーバーへの負荷分散も可能です。


Tomcatの得意分野は、Javaアプリケーションの実行とサーブレット・JSPの処理です。ユーザー認証、データベース操作、ビジネスロジック処理など、複雑な動的処理を得意としています。また、Java EE仕様に準拠しているため、エンタープライズレベルのアプリケーション開発に適しています。


実際の運用では、両者を組み合わせて使用することが一般的です。Apacheが静的コンテンツを処理し、動的処理が必要な場合のみTomcatに処理を委譲する構成により、システム全体のパフォーマンスを最適化できます。


関連記事

ApacheとNginxの違いは?特徴や機能などをわかりやすく解説


【Java】Servletの書き方|JSPとサーブレットの違い・フレームワークとの関係を解説

3.Tomcatのバージョン確認方法

システムを運用・管理する上で、使用しているソフトウェアのバージョンを確認することは、セキュリティ管理や機能確認の観点から非常に重要です。


この章ではTomcatのバージョン確認方法とバージョンアップの方法や注意点を解説します。

コマンドラインでのバージョン確認手順

コマンドラインからTomcatのバージョンを確認する最も確実な方法は、Tomcatのインストールディレクトリにあるversion.sh(Linuxの場合)またはversion.bat(Windowsの場合)を実行することです。通常、これらのファイルは$CATALINA_HOME/binディレクトリに配置されています。実行すると、Tomcatのバージョン情報、JVMの情報、OSの情報などが詳細に表示されます。


また、catalina.sh version(Linuxの場合)またはcatalina.bat version(Windowsの場合)コマンドでも同様の情報を取得できます。これらのコマンドは、Tomcatが停止している状態でも実行可能なため、メンテナンス時の確認作業に適しています。コマンド実行時は、JAVA_HOMEとCATALINA_HOMEの環境変数が正しく設定されていることを確認してください。

ログファイルとWebインターフェースでの確認方法

Tomcatが起動している場合は、ログファイルやWebインターフェースからもバージョン情報を確認できます。


Tomcatの起動ログからバージョン情報を確認できます。logsディレクトリにあるcatalina.out(Linux/macOS)やcatalina.YYYY-MM-DD.log(Windows)などのログファイルを開くと、起動時のタイムスタンプと共にバージョンが出力されています。


また、Webインターフェースを使用したバージョン確認も可能です。Tomcatの管理画面(Tomcat Manager App)にアクセスすると、サーバー情報の画面でバージョン詳細を確認できます。ただし、この方法を使用するには、事前にmanager-gui役割を持つユーザーを設定する必要があります。


さらに、アプリケーション内からプログラム的にバージョンを取得することも可能です。ServletContextクラスのgetServerInfo()メソッドを使用すると、実行時にTomcatのバージョン情報を取得できます。

バージョンアップの方法と注意点

Tomcatのバージョンアップは、主にセキュリティ強化や新機能を利用したいときに行います。ただし、アップグレード前には十分な検証が必要です。


まず、現在のアプリケーションが新しいバージョンと互換性があるかを確認します。Tomcatの公式ドキュメントで、バージョン間の変更点や非互換性について確認することが重要です。特に、メジャーバージョンアップの場合は、Servlet APIやJSP APIの仕様変更により、アプリケーションの修正が必要になる場合があります。


そして、バージョンアップ前には、必ず現在の設定ファイルとアプリケーションのバックアップを取得してください。新しいバージョンのTomcatを公式サイトからダウンロードし、既存のTomcatとは別のディレクトリに展開します。その後、古いバージョンで利用していた設定ファイル(server.xml、web.xml、context.xmlなど)を新しいバージョンに移行します。


バージョンアップの際には、事前に開発環境やテスト環境で新バージョンでの動作を十分に検証して問題がないことを確認した上で、本番環境に適用しましょう。


関連記事

【2025年版】Javaの最新バージョン|確認方法やインストール方法を解説


Javaフレームワーク徹底解説【2025年版】

4.Tomcatの脆弱性対策とセキュリティ管理

Webアプリケーションサーバーとして多くのシステムで使用されているTomcatは、セキュリティ攻撃の標的になりやすいため、適切な脆弱性対策が必要です。


この章ではTomcatの最新の脆弱性を確認する方法と、脆弱性対策について解説します。

Tomcat最新脆弱性情報の確認方法

Tomcatの脆弱性情報は、Apache Software Foundation公式サイトのセキュリティページで公開されています。


また、より網羅的な情報を得たい場合は、JVN(Japan Vulnerability Notes)などの脆弱性情報データベースを使用するのがおすすめです。JVNでは、国内外で発見されたソフトウェアの脆弱性情報が日本語で公開されており、Tomcatに関する情報も検索できます。さらに、深刻度や影響を受けるシステムなども詳細に記載されているため、対策の優先順位を判断するのに役立ちます。


Tomcatを使用するときは、これらのサイトを定期的にチェックして最新の脆弱性情報を確認する姿勢が重要です。脆弱性情報を受動的に待つのではなく、自分から積極的に情報収集していきましょう。

脆弱性対策とパッチ適用手順

脆弱性対策の一部として、脆弱性が発見された場合の対応手順を事前に決めておくことも重要です。


まずは、脆弱性の深刻度と自社システムへの影響を評価し、対応の優先度を決定します。高リスクの脆弱性については、緊急メンテナンスを実施してでも速やかに対処する必要があります。


パッチ適用前には、テスト環境で十分に検証して、アプリケーションの動作に問題がないことを確認します。本番環境への適用時は、サービス停止時間を最小限に抑えるため、事前に詳細な作業手順を策定し、ロールバック手順も準備しておきます。


パッチ適用後は、システムの動作確認とセキュリティテストを実施し、脆弱性が適切に修正されていることを確認します。これらの作業記録は、今後の対応改善のために保管しておくことが推奨されます。

セキュリティを保つための基本的な対策

Tomcatのセキュリティを維持するためには、脆弱性対応以外にも日常的な対策が必要です。


具体的な対策は以下のとおりです。

  • 管理画面のアクセス制限:

    Manager Appへのアクセスは信頼できるIPアドレスに限定し、強固なパスワードを設定する。

  • 実行ユーザーの権限最小化:

    Tomcatの実行ユーザーに与える権限を必要最小限に留め、システムファイルへの不正アクセスを防止する。

  • ログの監視:

    異常なアクセスや攻撃の兆候を早期に発見するため、アクセスログやエラーログを定期的に監視する。

  • 通信の暗号化:

    SSL/TLSの設定を適切に行い、通信の暗号化を確実に実施することで、データの盗聴や改ざんを防止する。

これらの基本対策を継続的に実施することが、安全なTomcat運用の基盤となります。


関連記事

Strutsとは?脆弱性は大丈夫?struts6とは?Javaフレームワークとの違いをわかりやすく解説!

5.まとめ

本記事では、Apache Tomcatの基本概念から実践的な運用方法まで、バックエンドエンジニアに必要な知識を網羅的に解説しました。


Tomcatは、JavaベースのWebアプリケーションを動作させるためのアプリケーションサーバーであり、サーブレットコンテナとしての役割を担っています。Apache HTTP Serverとの違いを理解し、適切に使い分けることで、効率的なシステム構築が可能になります。


また、バージョン管理とセキュリティ対策は、安全な運用のために欠かせない要素です。定期的な脆弱性情報の確認と適切なパッチ適用により、システムの安全性を維持できます。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。


フリーランスボード」は、数多くのフリーランスエージェントが掲載するITフリーランスエンジニア・ITフリーランス向けの案件・求人を一括検索できるサイトです。


開発環境、職種、単価、稼働形態、稼働日数など様々な条件から、あなたに最適なフリーランス案件・求人を簡単に見つけることができます。

単価アップを目指す方や、自分の得意なスキルを活かせる案件に参画したい方は、ぜひ「フリーランスボード」をご利用ください。


自身に最適なフリーランスエージェントを探したい方はこちらよりご確認いただけます。

Tomcatとは?Javaアプリケーションサーバーの役割、Apacheとの違い、脆弱性対策など解説に関するよくある質問

Apache Tomcatとは何ですか?

Tomcatの最も重要な役割は何ですか?

Tomcatはなぜサーブレットコンテナと呼ばれますか?

TomcatはWebサーバー機能も持っていますか?

Apache HTTP ServerとTomcatの違いは何ですか?

TomcatとApache HTTP Serverはどのように使い分けますか?

コマンドラインでTomcatのバージョンを確認する方法は?

Tomcatの脆弱性情報はどこで確認できますか?

Tomcatのセキュリティパッチ適用前に注意すべき点は?

Tomcatを安全に運用するための基本的な対策は?

無料で登録したらスカウトを待つだけ フリーランスの新しい仕事探しを始めよう

この記事の監修者

笠間 慎

大学卒業後、人材紹介会社にコンサルタントとして従事。フリーランスとして独立。その後、フリーランス案件サイト「フリーランススタート」の立ち上げに編集長兼ライターとして参画し、月間30万人が利用する人気メディアへと成長させる。 2024年より、フリーランスボード編集長に就任。自身の経験を元に、フリーランスの活躍を支援する情報を発信している。

運営者情報

「フリーランスボード」はINSTANTROOM株式会社によって運営されています。編集は同社のフリーランスボードコンテンツ制作チームが担当しています。

会社名

INSTANTROOM株式会社

設立年月日

2021年3月31日

事業内容

フリーランスボード

ギョーテン

EngineerDASH

FreelanceBase

コンテンツ制作

運営ポリシー

フリーランスボードは、すべてのフリーランスが安心して活躍できる社会を目指し、公平かつ信頼できる情報を分かりやすく提供することに努めます。 私たちは、一次情報に基づいた正確なコンテンツや求人案件情報を通じ、 フリーランスの皆さまが最適な案件選びやキャリア形成を行えるようサポートします。

フリーランスボードの調査リリース

ITフリーランス及びフリーランスエージェント市場白書 2025フリーランスエージェント及びITフリーランス人材の市場調査【2024年版】

フルリモート案件を 無料登録した方限定で配信中

目次

1.Tomcatとは?基本概念をわかりやすく解説

TomcatはJavaを動かすアプリケーションサーバー

サーブレットコンテナとしてのTomcatの役割

Webサーバーとしての機能も持つTomcat

2.TomcatとApacheの違い

Apache HTTP ServerとTomcatの基本的な違い

それぞれの得意分野と使い分け

3.Tomcatのバージョン確認方法

コマンドラインでのバージョン確認手順

ログファイルとWebインターフェースでの確認方法

バージョンアップの方法と注意点

4.Tomcatの脆弱性対策とセキュリティ管理

Tomcat最新脆弱性情報の確認方法

脆弱性対策とパッチ適用手順

セキュリティを保つための基本的な対策

5.まとめ