副業ブームと言われる昨今、多くの会社員が副業を検討しています。こうした中で、本業をWebエンジニアとしている方の中にも副業に興味を抱き、始めてみようかと悩む人は多くいます。
IT系の職業と副業の親和性は高く、Webエンジニアとして働いている方であれば副業においても成功できる可能性は高いでしょう。というのも、多くの企業がWebエンジニアを求めているからです。
さらに、Webエンジニアのスキルを活かせる求人には自宅(リモート)で作業が完結する案件や時間を問わず仕事をすすめられる案件が多いため、本業との両立を実現しやすい傾向にあります。
本記事では、Webエンジニアが副業を行うメリット、おすすめできる副業の種類、副業をする際の注意点などについて解説します。Webエンジニアの方で副業を目指している方は本記事をぜひ参考にしてみてください。
目次
1.Webエンジニアが副業を行う3つのメリット
Webエンジニアが副業を行うことでどのようなメリットが得られるのでしょうか。以下、Webエンジニアが副業を行うメリットを見ていきましょう。
スキルアップできる
Webエンジニアが属するIT業界は日々急速に変化しています。このため、業務に必要なスキルを身に付けたとしても、それで完結できるというわけではありません。最新の情報にアンテナを張り、新しいシステムや技術に対応できるよう学習を継続する必要があります。
とはいえ、企業に属していると、自分の担当の業務にしか携わる機会がなかったり、その企業の慣習に従うばかりでWebエンジニアとしては同業者から取り残されたりということもあります。
特定の業務に特化した働き方は比較的負担が少なく、自社の経営がうまくいっている間は問題ないでしょう。しかし、人によってはマンネリを抱いたり、成長したいという欲求に悩まされたりします。また、企業の経営状況が悪化し、転職が必要になった場合、一昔前のスキルしかもっていなかったり、対応範囲が限られていたりすれば再就職が難しくなります。
スキルアップするには独学や講座の受講といった方法もありますが、副業もその1つです。副業としてWebエンジニアやITの知識を活かせるさまざまな案件に関わることで、仕事の幅を広げられます。副業案件をこなす中で新しい知識や方法を取得できたり、学習におけるモチベーションを高められたりします。
収入を増やせる
Webエンジニアの平均年収は530万円前後といわれています。日本人の平均年収が458万円程度と言われている昨今、Webエンジニアの年収は十分ともいえるでしょう。とはいえ、「将来のことを考えてお金を貯めたい」「今よりも生活水準を高めたい」「奨学金の返済が大変」などという思いから、現在の収入に満足していない人も少なくありません。
近年、年収を本人の実力や自社への貢献度で決める企業も増えていますが、それでも年功序列の傾向があります。また、各企業には予算というものがありますので、いくら優秀でも収入が青天井というわけにもいきません。
本業での年収アップが難しい方や、すぐに収入を増やせない方も、副業を始めることで余剰資金を増やせます。
Webエンジニアは専門職のため単価が高い案件も少なくありません。自分次第で、収入を大きく増やすことも見込めます。
人脈を広げられる
会社員として働いていると、人間関係は職場中心になります。同業の人と会話する機会も自社の従業員以外にはなく、人間関係が限定されがちです。
副業を行うことで自社以外の企業で働く人たちとも関係性を築き、人脈を広げられます。自社では得られない最新の情報にふれられたり、自分とフィーリングが合う同業の人に出会えたりすることもあるでしょう。
また、ビジネスにおいて人脈は大切なものです。自社の倒産や人員削減などで転職が必要になった場合、人脈があれば転職活動で有利になるケースも少なからずあります。
週末・土日などスキマ時間にできる
副業といえども、週3日以上、平日限定といった案件も多くあります。しかし、Webエンジニアであれば、週末のみや土日のみなどに働ける案件が充実しています。また、裁量労働制の案件も多いため、定められた時間の拘束はなく、スキマ時間を利用して稼ぐことも可能です。
特にシステム・アプリの開発やテスト、Webサイト制作、Web開発は案件数も多く、柔軟な働き方を実現しやすい傾向にあります。また、IT業界の人気度や新規参入者が増えていることから、プログラミングスクールの講師やメンターも需要があります。これらの仕事も土日や平日の夜間など本業と両立しやすい時間帯に働けます。
2.Webエンジニアが副業をやめとけと言われる理由
ただし、Webエンジニアが副業をすることに批判的な意見があることも事実です。以下では、Webエンジニアが副業をやめとけと言われる理由を確認していきましょう。
始めるにあたってコストが発生することがほとんど
物事を新しく始める際は何事もそうですが、Webエンジニアが副業する際にも初期費用が発生するケースが多いです。
スキルを取得するために参考書を購入したり、講座を受講したりしなければならないこともあるでしょう。
また、働く環境を整える必要もあります。パソコンや周辺機器の整理、インターネット環境の整備にはお金がかかります。
これらのコストを費やせば、かならずコスト以上の金額を稼げるとは限りません。場合によっては、マイナスになることもありえます。
本業との両立が大変
本業と副業の両立は想像される以上に大変なことです。本業で残業が発生し、夜遅くに帰宅した日や休日出勤した日にも副業案件を行わなければならなくなるかもしれません。
土日や休日に副業をする場合、休日がなくなるということになります。このため、趣味や休息などに時間を充てることはできません。
体調を崩し、本業を休まなければならなくなったり、通院が必要になったりすれば、現在よりも金銭的に厳しくなるでしょう。
税金の管理などの雑務が発生する
正社員として働いていれば、給料や税金の対応は企業の担当者が行ってくれます。しかし、副業で得た収入については自分で管理しなければなりません。
副業で20万円以上の収入を得た際は確定申告、および税金の支払いが発生します。副業案件に従事する以外にも、収入管理に充てる時間も確保しなければなりません。
確定申告をスムーズにするためには日頃の帳簿付けなども重要な業務になります。
ある程度のWebエンジニアとしての実務経験が必要
かつては、良質な学習サービスなどを活用すれば、未経験のWebエンジニアであっても副業できると言われていました。
しかし、近年における副業ブームやWebエンジニアの副業は自宅でしやすいことも関係し、ここ最近は競争率が高い傾向にあります。多くの応募者が1つの求人に集まるため、実務経験のある人が採用され、未経験者は参入しがたい状況です。
また、Webエンジニアの仕事は技術職であり、スキルがなければ務まりません。最初のうちは副業をしてお金を稼ぐというよりも、スキルを身に付けるための学習が中心になります。
本業がWebエンジニアの方であっても、より経験年数の長い人や高いスキルを有する人に秀でた何かがなければ、案件獲得は難しいといえます。
3.Webエンジニアにおすすめできる副業案件の種類
Webエンジニアに向いている副業にはどのような案件があるのでしょうか。以下、Webエンジニアにおすすめできる副業案件の種類を見ていきましょう。
フロント開発
フロント開発はWebサイトにおけるユーザーの目に直接入る部分を主に担当します。例えば、Webサイトのトップページ、文字入力を行うフォームなどが挙げられます。
フロント開発においてWebデザイナーが作成したデザインに従い、HTMLやCSSを使ってデザインを整え、JavaScriptでページ全体に動きを与えていきます。
これらの業務は一人で黙々と作業する時間が長いものです。納期までに作業を終えられれば問題ないという案件も多くあります。休日や夜間、早朝など、自分にとって都合のよい時間に作業することも可能です。
バックエンド開発
バックエンド開発とはユーザーの目には直接触れない、インフラ部分を主に担当します。ユーザーが入力した内容をデータ処理したり、データベースに保存したりします。例えば、ユーザーがECサイトの商品検索ページにおいて入力したキーワードに沿った商品情報の抽出、支払い時のクレジットカード情報の処理などが挙げられます。
さらに、案件によってはバックエンド開発においてWebサイトなどのエラーの監視やアクセス増加への対応も含まれます。
監視業務などはシフト制になるため、自分の好きなタイミングでその都度仕事を行えばよいというわけにはいきません。ただし、週1、もしくは週2の勤務や土日祝のみの勤務を認めている案件などもあります。
マークアップ開発
マークアップ開発ではマークアップ言語であるHTML、スタイルシート言語であるCSSを使い、Webサイトをコーディングしていきます。案件によっては設計の段階から担当し、技術や構成の提案を行います。その他にも、実装したコードの確認も重要な役割です。
マークアップ開発も自分のペースで進められる案件が多く、契約後は個人で作業し、納期までに仕上げればよい案件も多くあります。ただし、デザイナーと二人三脚で進める案件も珍しくないため、テキスト上での頻繁なコミュニケーションが求められることもあります。
アプリ開発
アプリ開発で使用するプログラミング言語は開発するアプリによって異なります。Webエンジニアであれば自分がすでに取得しているプログラミング言語でアプリを開発できることもあるため、既存の知識やスキルだけで対応できるケースも多いです。
Java、Swift、C言語などのプログラミング言語を使える方は、アプリ開発に携わってみるのもおすすめできます。
アプリ開発は納期までに納品すればよい案件も多く、スキマ時間などを利用し、マイペースに作業を進められます。
4.Webエンジニアが副業案件を獲得する方法
副業案件を探しているWebエンジニアの方の中には、案件をどのようにして見つければよいのか分からないと悩む方も多くいます。そこで以下では、Webエンジニアが副業案件を獲得する方法を解説します。
フリーランスエージェントの活用
フリーランスエージェントが扱う週1~2日勤務の案件や完全リモートの案件はフリーランスだけではなく、副業人材も対象にしていることがほとんどです。
副業未経験で自分に合う仕事が分からない方、案件の取り方が分からない方は、フリーランスエージェントに相談してみることをおすすめします。フリーランスエージェントは本人の希望や現職、過去の経験などを考慮しながら、その人に合った案件を紹介してくれます。
自分で仕事をイチから探す必要がなく、案件獲得までの道のりを簡略化できます。また、企業とのやりとりをサポートしてくれたり、要望を企業に代わりに伝えてくれたりといったメリットもあります。
さらに、フリーランスエージェント経由の仕事であれば、報酬未払いなどのトラブルも回避できます。
クラウドソーシングの活用
フリーランスや副業人材が増えている昨今、クラウドソーシングの知名度が高まっています。
代表的なクラウドソーシングとしてはクラウドワークスやランサーズが挙げられます。クラウドソーシングに登録することで、そこに掲載されている案件に応募し、受注することができます。
ほとんどのクラウドソーシングが担当者と面談をせず登録でき、自分のペースで仕事を探せます。担当者との定期的な面談を手間に感じる方やマイペースに仕事を受注したい方にも向いています。
また、仕事はクラウドソーシングを通して契約するため、報酬の未払いなどのトラブルに遭遇する可能性も減らせます。さらに、クライアントとの間に問題が生じれば、クラウドソーシングの運営者が間に入ってくれることもあります。
Webエンジニアの副業案件はクラウドソーシングにおいて充実しています。完全リモートや手軽に完了できる案件も多くあります。
SNSの活用
近年はSNSを活用し、案件を得ている副業人材も少なくありません。X(旧Twitter)やInstagramで人材を募集する企業の採用担当者や個人事業主は年々増えており、SNSのDMから応募できる求人も多くあります。
SNSを活用すればフリーランスエージェントやクラウドソーシングのように登録が必要ないため、応募の手間を省けます。
また、自身のSNSに投稿している内容によっては採用で有利になることもあります。例えば、同業者に対して有益な情報を発信していたり、スキルや人柄が伝わる投稿が多かったりすればアドバンテージになるでしょう。
ただし、SNSを活用して案件を探す際は注意が必要です。悪質な案件も少なくない他、個人同士の契約の場合はトラブルに発展することもあります。
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5.Webエンジニアが副業を行う際の3つの注意点
Webエンジニアは本業を活かした副業をしやすい職業です。とはいえ、Webエンジニアが副業を行うにあたって注意点があることも忘れてはいけません。以下では、Webエンジニアが副業を行う際の注意点を確認していきましょう。
会社の就業規則の確認が必要
厚生労働省は従業員の副業を促進しています。このため、副業を認める企業や副業したい従業員を後押しする企業も増えてきています。
ただし、就業規則において副業を全面的に禁止している企業も存在します。こうした企業では、 副業に関する規定に違反した場合には処分の対象となる可能性もあります。
企業によって禁止する副業は異なり、本業に支障をきたす副業を禁止している企業や社会的信用を失う副業を禁止している企業などがあります。
副業を始める際は自社の就業規則を必ず参照し、副業が禁止されていないか確認してください。また、自分で判断できない場合は上司や人事部の担当者に相談してみることをおすすめします。
出勤が必要な案件もある
Webエンジニアの副業案件には完全リモートの案件も少なくありません。とはいえ、一部リモートを導入している案件や企業に駐在するタイプの案件もあります。また、基本的にリモートであるものの、トラブルが生じた場合は現場での対応が求められる案件もあります。
出勤がどうしても難しい場合はその旨を事前に確認しておくことをおすすめします。
確定申告が必要
副業など本業以外での所得が年間20万円を超えた場合、確定申告が必要になります。会社員は勤め先で会計処理を行ってくれるため、自分で確定申告をする必要はありません。しかし、会社員であっても年間の副業収入が20万円以上ある人は、確定申告する義務が発生します。
ここで、注意しておきたいポイントが収入と所得についてです。収入とは売上で、所得とは売上から経費を差し引いて手元に残ったお金になります。Webエンジニアとして副業した場合、仕事で使う備品や電気代などといった経費が発生すると考えられます。所得はこれらの費用を経費として差し引いた金額になります。
このため、副業の年間の売上が25万円あっても、経費として8万円の出費があれば、所得は17万円になるため確定申告は不要です。
近年では会計処理の負担を軽減するソフトや簿記の知識がない人も帳簿付けを行えるソフトが充実しています。これらのソフトを活用することで、確定申告における負担を大幅に軽減できます。
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6.まとめ
Webエンジニアとしてのスキルや経験がある方であれば、実績を活かして高単価の案件を獲得できる見込みも十分あります。
自社のWebエンジニアを副業人材やフリーランスに依存している企業も珍しくありません。また、現在の日本はIT人材が不足しているため、クライアントから必要とされる可能性は十分あると言えるでしょう。
副業を始めることで、スキルをアップできたり、自身の仕事の幅を広げられたりします。また、収入も増えるため、趣味にお金を使えるようになったり、将来のためにお金を貯められるようになったりします。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。