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青色申告のやり方や手順をフリーランス・個人事業主向けに詳しく解説

公開日:2024/09/30最終更新日:2024/10/02

個人事業主・フリーランスとして働く場合、経費や売上などについて確定申告を行う必要があります。申告方法には「青色申告」と「白色申告」の2種類があり、青色申告を選択するとさまざまな税制上の優遇措置を受けることができます。


青色申告は「書類の作成が難しいのでは?」と感じる方も多いかもしれませんが、実際には白色申告との違いはそれほど大きくありません。


そこでこの記事では、青色申告の手続き方法やそのメリットについて解説します。なお法人の決算にも青色申告と白色申告がありますが、この記事では個人事業主向けの青色申告について説明していきます。

目次

1.青色申告とは個人事業主が確定申告時に選べる申告形式の一つ

青色申告はフリーランス・個人事業主が所得税の確定申告で選べる方法です。最大で65万円(または55万円)の控除を受けるためには複式簿記での記帳が必要です。

10万円の控除を受ける場合は単式簿記で記帳し、正確に申告することで各種の税制優遇を受けられます。

作成した帳簿や取引に関連する書類は、原則として7年間(請求書や見積書などは5年間)保存する義務があります。

青色申告が可能な人・対象外の人

青色申告が可能な個人事業主は、以下の2つの条件を満たしている必要があります。

  • 事業所得、不動産所得、または山林所得のいずれかを有していること

  • 所得税の青色申告承認申請書を期限内に提出していること

事業所得とはサービス業・小売業・製造業・農業などの事業活動から得られる所得を指します。

事業所得と雑所得の違いについて

事業所得と混同されがちな所得の一つに雑所得があります。雑所得とは「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得に該当しない所得」のことです。


国税庁によると雑所得には公的年金や副業(ライター、アフィリエイト、シェアリングエコノミーなど)から得られる所得が含まれるとされています。


2022年(令和4年)10月に国税庁が公開した「所得税基本通達の制定について」の一部改正では、雑所得の範囲が見直され、帳簿の有無が重要な判断基準となりました。この改正は、2022年(令和4年)分の所得税の確定申告から適用されています。


ただし会社員が行う副業が事業所得と見なされるかどうかは、事業主がリスクを負っているか・自己判断で事業を運営しているか・継続的に対価を得ているかなどの複数の要素を総合的に判断する必要があります。これらの条件を満たせば、副業が事業所得として認められる可能性もあります。


一方で「アフィリエイトで月に1~2万円稼いでいる」や「年に数回講演会で講演を行う」といった程度では、帳簿をつけていたとしても事業として認められない可能性が高いです。

不動産所得に関する注意点

不動産所得がある方は条件を満たせば青色申告を行うことができます。しかし青色申告の特典である青色申告特別控除について、最大65万円(または最大55万円)の控除を受けられるのは「事業規模での不動産所得がある方」に限られています。


「事業規模での不動産所得」とは、以下の基準を満たす不動産所得を指します。

  • マンションやアパートの場合、賃貸可能な部屋数が約10室以上

  • 戸建の場合、賃貸可能な戸数が約5棟以上

例えば「マンション投資で1室だけを賃貸している」といったように上記の規模に達していない不動産収入について青色申告を行った場合、青色申告特別控除の額は最大で10万円となります。また事業規模でない場合は、青色申告において事業専従者給与の適用はありません。

2.青色申告に適した人の特徴

この章では青色申告に適した人の特徴について解説します。

白色申告で事業を行っている人

事業を営んでいる方で長い間白色申告を続けている場合は、青色申告への切り替えを検討することをおすすめします。以前は白色申告で利益が300万円以下であれば帳簿の作成が不要でしたが2014年からの税制改正により、この特例は廃止されました。


現在では白色申告でも帳簿を付けることや帳簿・請求書などの証憑書類を保存する義務があります。


いずれにせよ帳簿を付ける手間がかかるのであれば青色申告に切り替えることで、様々なメリットを享受する方が合理的です。青色申告では簡易帳簿でも最大10万円の青色申告特別控除を受けられるなど、多くの利点があります。

これから事業や副業を始めたいと考えている人

これから事業(事業規模の副業含む)を始める人は、早い段階での青色申告の申請がおすすめです。もし初年分が赤字の場合にはその損失を最大3年間繰り越せるため、起業初期こそ青色申告のメリットが役立つ可能性があります。


「青色申告は難しそう」と思われている個人事業主の方も多いですが申告ソフトを利用すれば、簡単に帳簿付けも申告書類作成もできます。

節税を希望する人

青色申告を利用して確定申告を行うと、最大65万円の特別控除を受けることができます。この控除が適用されると所得税の負担が軽減されるだけでなく、住民税や健康保険料(税)なども抑えることが可能です。


青色申告は個人事業主にとって非常に効果的な節税手段です。

3.青色申告のメリット

この章では改めて青色申告のメリットについて解説します。

最大65万円の青色申告特別控除が適用される

青色申告の最も大きなメリットは、最大65万円の青色申告特別控除を受けられることです。この65万円の控除を受けるには、e-Taxを利用して確定申告書を提出するか電子帳簿保存を行う必要があります。


必要書類が整っていても郵送や窓口での提出では、控除額が55万円に減額されるため注意が必要です。

青色事業専従者給与を経費として算入可能

青色申告を行うことで、配偶者や親族に支払った「青色事業専従者給与」を経費として売上や利益から控除することができます。ただし、この「青色事業専従者給与」として認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 支払われた給与が青色事業専従者に対するものであること

  • 税務署に「青色事業専従者給与の届出書」を提出していること

  • 届出書に記載された方法と金額の範囲内で支払われていること

  • 支払額が適正であること

青色申告者が「青色事業専従者給与の届出書」を提出せずに給与を支払った場合にはその全額が経費として認められず、事業専従者控除も適用されないため注意が必要です。

1. 青色事業専従者に支払われた給与であること

青色事業専従者に該当する配偶者や親族の条件は以下の通りです。

  • 青色申告者と同一の生計を維持する配偶者または親族であること

  • 当該年度の12月31日現在で15歳以上であること

  • 青色申告者の事業に、6ヶ月以上従事していること

2. 届出書を税務署に提出済みであること

青色事業専従者給与の控除を受けるためには、給与を算入したい年の3月15日までに「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。例えば2024年の申告書に控除を適用したい場合、2024年3月15日までに届出書を提出する必要があります。


また1月16日以降に新たに事業を始めた場合や、新しい専従者を雇った場合には事業開始日または専従者が従事を始めた日から2ヶ月以内に税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があります。

3. 届出に記載された方法と金額の範囲内で支払われていること

青色事業専従者給与として認められるのは、事前に提出された届出書に記載された方法や金額の範囲内で支払われた給与のみです。しかし事業を進める中で届出時の専従者の人数が変更になったり、給与を増額する場合もあるかもしれません。


そのように届出内容に変更が生じた場合は、変更点を記載した「青色事業専従者給与に関する届出書」を改めて税務署に提出する必要があります。

4. 青色事業専従者給与の額が妥当であること

青色事業専従者に対する給与には制限がありませんが、支給額は「一般的に妥当とされる範囲」で設定する必要があります。


また給与から源泉徴収を避けたい場合は、88,000円未満に設定するのが良いでしょう。源泉徴収が不要な金額にすることで、経理処理や所得税の納付手続きの手間を軽減することができます。

純損失の繰越し・繰戻しが可能

純損失の繰り越しとは事業で赤字が発生した際に、その損失を「基本的に翌年から最長3年間」にわたって繰り越せる制度です。純損失を翌年以降に繰り越すことで翌年度以降に発生した黒字と相殺でき、不要な税金の支払いを避けることができる可能性があります。

純損失を繰り越すケース

例えば2023年に100万円の損失(赤字)が発生し、翌年の2024年に20万円の所得(黒字)が出たとします。この場合2023年分で青色申告をしていれば、100万円の損失を2024年の20万円の所得から差し引くことが可能です。


これにより2024年の所得は2023年の赤字が繰り越されて「0」になり、2023年分の赤字のうち80万円が2025年に繰り越されます。結果として2024年に20万円の所得があったとしても、所得税の納税対象にはなりません。

200,000円(2024年の黒字)- 1,000,000円(2023年の赤字) = ‐800,000円(2025年に繰り越される2023年の赤字)

なお2024年の所得が2023年の損失を超える場合は赤字で一部を相殺でき、その結果として課税対象となる所得が減り節税につながります。

純損失を繰り戻すケース

前年が黒字で今年が赤字の場合、純損失の繰り戻しを利用できます。純損失の繰り戻しとは、前年に支払った税金の一部が還付される仕組みです。


たとえば2023年に300万円の黒字があり、2024年に200万円の赤字が出たとします。この場合2024年に青色申告を行うことで、前年の税金の一部が赤字分に応じて還付されます(2023年も青色申告であることが条件です)。


還付金の計算は以下の手順で行います。


繰戻還付額の計算例: 2023年の黒字と2024年の赤字を相殺します。 

3,000,000円(2023年の黒字)- 2,000,000円(2024年の赤字)= 1,000,000円(課税所得)

次に2023年の所得税から2024年分の所得税を差し引きます。

2023年の所得税: 3,000,000円 × 10% - 97,500円 = 202,500円


2024年の所得税: 1,000,000円 × 5% = 50,000円より202,500円 - 50,000円 = 152,500円(還付額)

還付を受けるには「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」を確定申告書と一緒に提出する必要があります。

貸倒引当金を設定できる

青色申告では、貸倒引当金を経費として計上することが認められています。


貸倒引当金とは取引先の倒産などにより本来受け取るはずだった売上金が回収できなくなるリスクに備え、あらかじめ見込んで損失として計上しておくための引当金です。経費として計上できる貸倒引当金には売掛金・受取手形・貸付金・未収金などの債権が該当します。


貸倒引当金を経費に計上する際は、青色申告決算書の「貸倒引当金繰入額の計算」に該当する金額を記入するようにしましょう。

少額減価償却資産の特例を利用可能

少額減価償却資産の特例とは、「取得価格が30万円未満の減価償却資産について、購入した年度にその全額を経費として計上できる」制度です。


通常車両や建物などの固定資産は時間の経過とともに価値が減少するため、「減価償却資産」として扱われます。減価償却資産は取得した金額を複数年度に分割し、減価償却法に基づいて経費として計上します。


この少額減価償却資産の特例は青色申告を行っている一定の条件を満たす中小企業や個人事業主が利用できる制度で、所得税および法人税に適用されます。


適用対象となる資産は2026年3月31日までに購入されたもので、1年間に経費として計上できる減価償却資産の合計額は「年間300万円まで」とされていますので、注意が必要です。

4.青色申告の注意点

青色申告には大きな節税効果がありますが白色申告に比べると、事前の準備や日常の記帳作業がより複雑になる点には留意が必要です。この章では、青色申告を行う際のデメリットについて説明します。

1. 事前に申請書の提出が求められる

青色申告を行うためには、事前に「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出する必要があります。


既に白色申告で事業を行っている場合はその年の3月15日までに、年度途中で新たに開業した場合は開業日から2ヶ月以内に申請書を提出しなければなりません。提出を忘れるとその年は青色申告を利用できず、白色申告で確定申告を行うことになります。


青色申告を希望する場合は、開業届と一緒に青色申告承認申請書も提出するようにしましょう。

2. 複式簿記による記帳が必須

白色申告では専門的な会計知識がなくても利用できる簡易簿記(単式簿記)が認められています。


青色申告の場合も「複式簿記」または「簡易簿記」のいずれかを選択できますが、最大65万円の青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記での記帳が必要です。

3. 最大65万円の控除を受けるためには、e-Taxによる申告または電子帳簿保存が必要

青色申告特別控除には10万円・55万円・65万円の3つの額が設定されています。最大の65万円の控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

青色申告(65万円控除)

  • 55万円控除の条件を満たしている

  • e-Taxで申告し、青色申告決算書を提出している、または電子帳簿保存を利用している

青色申告(55万円控除)

  • 不動産所得または事業所得がある

  • 複式簿記で記帳している

  • 必要な書類を添付し、確定申告書に青色申告特別控除の額を記載している

  • 期限内に確定申告書を提出している

青色申告(10万円控除)

  • 55万円控除および65万円控除の条件に該当しない

5.青色申告前に準備すべき書類

青色申告で確定申告を行うには、以下の書類が必要です。要件に応じて提出が求められる書類が異なるため、どの書類を提出すべきかを事前に確認しておくことが重要です。

開業届

開業届は個人が新たに事業を始めたことを税務署に通知するための書類で、正式には「個人事業主の開業・廃業等届出書」と呼ばれます。


開業届の提出は必須ではありませんが、青色申告を行う場合には必要です。具体的には事業所得・不動産所得・山林所得を得る事業を始める際に提出対象となります。


事業開始の日から1ヶ月以内に、所轄の税務署に提出する必要があります。


また、開業届には職業欄の記入が求められます。この職業の分類は総務省の日本標準職業分類を参考にしてください。法定職種に該当しかつ所得が290万円を超える場合は、個人事業税が課されます。

個人事業税は、法律で定められた業種に対して課せられる税金です。


青色申告で確定申告を行う場合は申請書の「青色申告承認申請書」または「青色申告の取りやめ届出書」の欄に「有」にチェックを入れ、「青色申告承認申請書」を一緒に提出してください。

青色申告の承認申請書

青色申告承認申請書は、青色申告で確定申告を希望する場合に必ず提出しなければならない書類です。正式には「所得税の青色申告承認申請書」といいます。


提出期限を過ぎると、自動的に白色申告に変更されます。この申請書は、確定申告を行う年の3月15日までに所轄の税務署に提出する必要があります。


事業開始日が1月16日以降の場合は、開業後2ヶ月以内に提出しなければなりません。青色申告を最初から予定している場合は、開業届と一緒に提出するのが望ましいです。


また青色申告の承認を受けていた事業を相続した場合でも、青色申告を続けたいなら新たに青色申告承認申請書を提出する必要があります。この場合、相続が発生した日から申請書提出までの期限が以下のように設定されていますので、期限内に必ず提出しましょう。

相続の開始日

青色申告承認申請書の提出期限

1月1日から8月31日まで

死亡から4ヶ月以内

9月1日から10月31日まで

その年の12月31日まで

11月1日から12月31日まで

翌年の2月15日まで

青色事業専従者給与に関する届出および変更届

青色事業専従者給与の控除を受けるには「青色事業専従者給与に関する届出書」を、その給与額を支払う年度の3月15日までに税務署に提出する必要があります。


また1月16日以降に新たに事業を始めたり新たな専従者を雇い入れたりした場合には事業開始日または専従者が事業に従事し始めた日から2ヶ月以内に、この届出書を税務署に提出しなければなりません。

給与支払事務所の開設届出書

「給与支払事務所等の開設届出書」は、従業員や青色事業専従者に給与を支払う事業者が提出する書類です。提出先は、所得税を納めている所轄の税務署です。


この書類は給与支払事務所の開設があった日から1ヶ月以内に所轄の税務署に直接持参するか・郵送・e-Taxで提出する必要があります。


「給与支払事務所等の開設届出書」を提出すると、源泉徴収した所得税の納付書が送られてきます。ただし月額給与が88,000円未満の場合は、源泉徴収は必要ありません。


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6.青色申告時に必要な書類一覧

青色申告で確定申告を行う際には、税務署に必ず提出しなければならない書類が2種類あります。

  • 確定申告書(令和〇年分の所得税及び復興特別所得税申告書)

  • 青色申告決算書

確定申告書類

これまで確定申告書にはAとBの2種類がありましたが、2023年分の確定申告からはこれらの申告書が統合されました。

青色申告決算書

青色申告決算書とは、決算書形式で帳簿の内容を記録するための書類です。この青色申告決算書、またはその基となる試算表を使用して確定申告書を作成します。


青色申告決算書を作成する際には、複式簿記による記帳と、貸借対照表や損益計算書などの作成が必要です。

7.青色申告を中止する際の手続き

青色申告をやめたい場合は、「所得税の青色申告取りやめ届出書」を管轄の税務署に提出する必要があります。提出期限は青色申告を終了したい年の翌年3月15日までです。


例えば2024年分の青色申告を終了したい場合には、2025年3月15日までにこの届出書を提出します。

一度青色申告をやめて白色申告に変更しても再び青色申告を希望する場合は、「所得税の青色申告承認申請書」を提出することで青色申告に戻すことができます。


ただし青色申告を取りやめた後に1年以内に再度申請すると申請が却下されるケースもありますので、廃業ではなく事業を継続する場合は取りやめるかどうかを慎重に判断することが重要です。


また青色申告の承認は青色申告が「できる」という承認であり、取りやめ届出書を提出せずに白色申告で確定申告を行うことも可能です。青色申告の控除額が最大65万円(または最大55万円)に達しなくても10万円控除の要件を満たしていれば、青色申告を続けることができます。


この場合特別な取りやめや変更の手続きは不要です。

事業を継続する際には10万円控除での青色申告の継続も考慮してみると良いでしょう。

8.青色申告(確定申告)の提出手段3つ

確定申告書類が完成した後は、以下の方法で提出することができます。

手渡し

メリット: 書類の不備がその場で確認できる

デメリット: 窓口が混雑している場合があり、開庁時間内に行く必要がある

郵送

メリット: ポストに投函するだけで手軽に提出できる

デメリット: 書類に不備があった場合、再提出が必要になる

e-Tax

メリット: 自宅からインターネットでいつでも提出可能、添付書類の提出が簡単、還付金の受け取りが速い

デメリット: 電子申告には利用者識別番号の取得が必要、電子証明書(マイナンバーカードに格納されているもの)が必要(有効期限は5回目の誕生日)


e-Taxを利用するためには事前に申請が必要なので、希望する方は早めに手続きを済ませておくことをお勧めします。

9.青色申告と白色申告の違いとは?

ここで改めて青色申告と白色申告の違いについて説明します。青色申告以外の申告は「白色申告」と呼ばれます。


事業所得を持つ個人事業主は、青色申告か白色申告のいずれかを選んで申告する必要があります。


青色申告は「所得税の青色申告承認申請書」を管轄の税務署に提出し、一定の記帳基準を満たすことで認められる申告方法です。これらの条件を満たさない場合、すべての事業主は白色申告を選ぶことになります。


白色申告を選択すると、青色申告のメリットを享受することはできません。

青色申告と白色申告の違いには、以下のような点もあります。

帳簿記帳の方法の違い

青色申告では複式簿記を用いることで最大65万円(または55万円)の特別控除が受けられ、簡易簿記を使う場合には最大10万円の特別控除が適用されます。一方で白色申告では、経費や売上を日付順に記帳するだけで済みます。


白色申告でも摘要や費目を記入する必要がありますが、複式簿記のように複雑な仕訳を行う必要はありません。また、同じ日付・同じ費目の支出は合計して記載することが可能です。


とはいえ白色申告でも帳簿の記帳は必須です。取引の日付や内容を記載し、適切な費目を選ぶことが求められます。会計ソフトを使用すると、青色申告と比較しても手間がそれほど変わらない場合もあります。


Excelなどで白色申告の帳簿を作成するよりも、会計ソフトを使って青色申告の帳簿を作成する方が簡単かもしれません。

青色申告には多くの節税メリットがあるため、これまで白色申告を行っていた個人事業主の方も青色申告への切り替えを検討することをお勧めします。

確定申告時に提出する書類の違い

個人事業主が青色申告を行う場合、所得税の確定申告書に加えて「青色申告決算書」を提出する必要があります。それに対して、白色申告では確定申告書と「収支内訳書」を提出します。


「収支内訳書」には収入・売上原価・経費の項目別金額・減価償却費の計算などを記載する必要があります。

青色申告

白色申告

条件

「青色申告承認申請書」と「開業届」の提出など

帳簿の記帳方法

複式簿記または簡易簿記

日付順に経費や売上を記帳するだけ

帳簿付け

必須

必須

確定申告時の提出書類

「所得税の確定申告書」 「青色申告決算書」

「所得税の確定申告書」 「収支内訳書」

メリット

最大65万円の控除などによる節税効果

手続きが簡単

青色申告は節税効果が高い一方で記帳が複雑ですが、会計ソフトを利用すれば簡略化できます。白色申告は手続きが簡単ですが、青色申告のような大きな控除はありません。


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10.まとめ

青色申告を選ぶと、多くの節税メリットを享受できます。ただしその分複式簿記などの会計知識が求められることや事前に書類を提出したりする必要もあるため、白色申告に比べて申告の難易度が高くなる可能性があります。


適切な書類や手続きの準備を前もって確認し、確定申告の期日までにしっかりと準備を進めましょう。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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