ITエンジニアは需要が高く、多くの業界で必要とされている職業です。特にDXによる業務改革や、ITシステムを自社開発する企業は、「社内SE」を積極的に採用していく可能性があります。
将来性もある社内SEを目指すのなら、「社内SEとはどんな職業なのか？」という基本を把握する必要があります。本記事では社内SEの仕事内容や年収、必要なスキルやキャリアパスなどについて解説します。社内SEに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。
目次
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1.社内SEとは？
社内SEへの就職を考えるのなら、基本となる特徴を把握するのがポイントです。以下では、社内SEの基本的な概要について解説します。
自社の業務を担当するシステムエンジニア（SE）のこと
社内SEとは、主に自社におけるIT業務を担当するシステムエンジニア（SE）のことを指します。自社の情報管理部門やIT部門に席を置き、事業に合わせて開発・保守・運用などを行うのが特徴です。
基本的に社内で仕事をするため、「常駐先の職場に合わない」などの悩みを抱えづらく、人によっては「楽すぎる」「勝ち組」と評価されることもあります。
システムエンジニア(SE)との違い
システムエンジニア(SE)とは、クライアントからの依頼を受け、開発を担当するエンジニアを指します。自身を雇用している社内だけではなく、クライアント企業に派遣されて働くケースもあります。
一方で社内SEは、自社のシステム開発や運用などをメイン業務として働くエンジニアです。職場は基本的に自社となり、外部の企業で業務を行うことはほとんどありません。
システムエンジニア(SE)と社内SEは、仕事の領域も異なります。社内のITインフラの整備や、自社に貢献するシステムの企画・開発などが、社内SEの仕事です。
一方でシステムエンジニア(SE)はクライアントへのヒアリングや要件定義、システム設計、コーディングやテスト、その後の運用など幅広い業務を担当します。
上記のようにシステムエンジニア(SE)は、社内SEのように自社の業務を担当する職種ではありません。そのため社内専任のシステムエンジニア(SE)が必要な場合には、社内SEを採用する必要があります。
DXに伴って社内SEの需要は伸びている
社内SEの需要は、上昇傾向にあると考えられます。近年は経済産業省が提示した「2025年の崖」に注目が集まり、自社が使用している技術の老朽化やブラックボックス化するリスクが問題視されています。
そこでDX（デジタルトランスフォーメーション）を実施する企業が増加しています。DXに取り組む中で、従来外部委託に頼っていたIT業務を内製化する動きが広がり、ITエンジニアとしての社内SEの需要が高まっています。
IPA（独立行政法人情報処理推進機構）の「DX動向2024 DXの取組状況(経年変化および米国との比較)」によると、「全社戦略に基づき、全社的にDXに取組んでいる」「全社戦略に基づき、一部の部門でDXに取組んでいる」「部署ごとに個別でDXに取組んでいる」の合計値の割合は、73.7%となっています。2021年度の55.8%から大きく躍進していることが分かります。
また、上記データは企業全体がIT投資を強化し、内製化を進める傾向を示しており、社内SEが企業の成長を支える重要な役割を果たすような動きとも捉えることができます。
さらに大企業だけでなく、中小企業でもDXが浸透しつつあります。中小企業が競争力を維持するためには、IT基盤を整備し、効率的な業務運営を目指すことが不可欠です。
DXを通しシステムの構築や運用を内製化する企業はまだまだ増えると予想できるため、社内SEの需要と将来性はさらに高まると考えられます。
社内SEの年収はどれくらい？
求人サイト「求人ボックス」によると、社内SEの年収は正社員で平均469万円、派遣社員が平均時給2,123円、アルバイト・パートが平均時給1,299円となっています。国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与は460万円となっています。
先のデータと比較すると、社内SEは平均もしくはそれ以上の年収を得られる可能性があると考えられるでしょう。もちろん実績やスキルがあれば、就職・転職時の評価とともに年収もアップするケースに期待できます。
入社後に勉強してスキルアップを実現する形でも、昇格・昇給による年収アップを目指せるでしょう。
さらにフリーランスでの社内SEの年収を見てみましょう
ITフリーランス向け求人検索サイト「フリーランスボード」では月額平均単価が70.3万円です。年収に換算すると844万円です。正社員の社内SEと比較すると、フリーランスの社内SEの方が約1.8倍年収が高く、375万円も差が開いています。
高年収を獲得したい場合はフリーランスを検討することをおすすめします。
2.社内SEの仕事内容
社内SEとして働くのなら、事前に仕事内容について確認しておくのも大切です。以下では、社内SEの主な仕事内容について解説します。
自社のITシステムの改善
社内SEは、自社のITシステムに関する改善・改良を行うのが仕事です。業務効率化や作業量を減少させるなどの目標を立てて、実現のために必要な準備をします。
その後実際にシステム面の改修などを行い、成果が出ているか確認し、問題があれば改めて改善策を考案します。
システムに関する企画立案や開発・運用
自社に新しいITシステムが必要になる場合には、導入のための企画立案や開発方法の提案も社内SEの仕事です。社内にどのような課題があり、解決にはどんなシステムが必要なのかを計画し、具体的な開発工程やスケジュールを立てます。
その後の運用までも考慮して、基本となる開発の流れを構築する必要があるでしょう。
システム開発にかかる予算管理
ITシステムの開発や導入には、多くの予算がかかります。プロジェクトごとの概算費用を計算したり、予算を管理して適切に運用したりするのも、社内SEの役割です。
事前にシミュレーションを繰り返して予算を組んでも、予定外のことでコストオーバーする可能性はあります。社内SEはそういった想定外の事態にも対応できるように、複数のプランを考えておくことがポイントです。
社内ヘルプデスク
社内SEは、従業員からのさまざまな問い合わせに対応するヘルプデスクの仕事も担います。ITシステムに関する不明点を解説したり、不具合の発生時に対応したりして、円滑な業務をサポートします。
社内SEは、自社のIT環境に精通している人材の1人です。そのため開発や運用だけでなく、自社の従業員がスムーズに各種機能や便利なシステムを利用できるように支援することも求められます。
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3.社内SEならではの仕事のやりがい
社内SEとして働くのなら、仕事のやりがいについて知っておくのもポイントです。以下では、社内SEならではの仕事のやりがいについて解説します。
経営に影響する業務に携われる
社内SEは、自社の経営状況に影響するシステムの開発・運用にも携われる職種です。社内SEがどのようなシステムを導入するか検討し、開発の企画を立てるかで、会社の未来が変わる可能性も考えられます。
自社に大きく貢献できる仕事ができるため、やりがいを実感できるでしょう。
一方で、社内SEの仕事は会社に対して、大きな責任を持つことにもなります。自分の仕事が会社の将来に影響することの重要性を認識し、責任感を意識して働くのも大切です。
自社の従業員から直接感謝されることがある
社内SEの仕事は、自社の従業員の業務に直接的な影響を及ぼします。そのため仕事が上手くいけば、従業員から感謝の言葉を受け取れることもあります。
自分の仕事が良い影響を与えていると実感できると、自然とモチベーションも高まってやりがいを得られるでしょう。
ヘルプデスクなどの仕事も担当するため、自社の従業員と接する機会は意外と多いです。業務上とはいえ従業員との交流が増えると、自分の仕事を必要としている人たちの顔が見えてくるため、結果的に仕事を頑張ろうという気持ちになるでしょう。
最後まで業務を担当できる
社内SEの場合、最後までプロジェクトに参画できるのも、仕事におけるやりがいになります。外部の依頼を受けて仕事をするSESなどは、途中で案件が終了するケースもあります。
プロジェクト自体は継続していても、自分は別の案件に移動するために、これまでの現場を離れるといったパターンもあるでしょう。
そのため最後まで自分の役割を果たせず、消化不良で仕事が終わってしまうこともあります。その点、社内SEは最後まで自社のプロジェクトに携わるのが基本であるため、「やりきった」という感覚を得やすいです。
4.社内SEとして働くために必要なスキル
社内SEとして働くのなら、身につけておきたいスキルがあります。事前にスキル習得に必要な勉強をしておけば、就職・転職で高い評価を得やすくなるでしょう。以下では、社内SEの仕事をするために必要となるスキルについて解説します。
プログラミングスキル
社内SEとして働くのなら、高度なプログラミングスキルが必要です。コーディングをして開発を進行させたり、バグの修正を行ったりするうえで、実際にプログラミングができる能力は欠かせないものとなります。
プロジェクトや開発環境によって、使用するプログラム言語は異なるため、できるだけ多くの言語を扱えるようになることがおすすめです。例えばPython、Ruby、Java、JavaScriptといった人気言語の他、iOSアプリを作るのならSwift、Androidアプリ制作ならKotlinなど、目的に応じて新たに学習するのもポイントです。
プログラミングスキルを高めておくと、将来的に各種言語を使ってフリーランスのエンジニアとして働くことも可能となります。多くの言語を取り扱えるのなら、それだけ請け負える案件の幅が広がります。
多種多様な仕事を体験して実績を重ねることで、収入アップも狙えます。ITエンジニアとしての今後を考えるうえでも、プログラミングスキルを高めていくことには大きなメリットがあるでしょう。
プレゼンスキル
社内SEはシステム開発の必要性などを、周囲に理解してもらわなければならないこともあります。プレゼンスキルを磨き、伝えたいことを分かりやすく説明する能力を身につけておくのも、社内SEとして働く準備の一環になります。
どれだけ導入を提案したシステムが優れていても、その有用性を客観的に説明できなければ、プロジェクトの立ち上げが困難となります。そのため社内SEを目指すのなら、上司や責任者に説明するためのプレゼンを練習しておくのもおすすめです。
マネジメントスキル
社内SEの立場によっては、プロジェクトの進行管理を行うためのマネジメントスキルも必要です。社内の人材を有効活用して業務を進めるにはどうすればいいのか、現在の問題を解決するには何が重要なのかを考え、スケジュールや業務内容を調整するのも社内SEの仕事になります。
プロジェクトの規模によっては、一部の業務を外注するケースもあります。社外の人材を使う際には、必要な業務を適切に割り振り、労務管理なども行う必要があるでしょう。
全体を見通して最適な決断ができる能力が求められるため、社内SEを目指すのなら積極的にマネジメントスキルを磨くのもおすすめです。
社内SEの仕事に役立つ資格について
社内SEの仕事では、さまざまな資格が役立つ可能性があります。就職・転職時に必須となる資格はありませんが、自分の能力を客観的に証明するためにも、資格取得を1つの目標にすることは十分に考えられます。
例えば社内SEの仕事では、以下の資格が役立ちます。
ITサービスマネージャ試験 など
いずれの資格も取得の過程で、社内SEおよびエンジニアの業務で役立つスキルを得られます。社内SEを目指すときだけでなく、その後のキャリアで活かせる可能性もあるため、この機会に取得のためのスケジュールを組んでみるのもおすすめです。
5.社内SEが考えられるキャリアパス
社内SEになるのなら、就職・転職後のキャリアパスについて考えておくのも大切です。以下では、社内SEからどのような将来を検討できるのか解説します。
管理職
社内SEとしての経験を活かして、管理職になるのも1つのキャリアパスになります。仕事の進捗やスケジュールを管理したり、細かい日程調整などが得意だったりする場合には、管理職を目指してキャリアを形成するのも1つの選択肢になります。
マネジメントスキルと実践経験が重要となるので、社内SEの時代から率先して現場のマネジメントに挑戦してみましょう。
各種エンジニア職のスペシャリスト
社内SEの仕事を経験した後、各種エンジニア職におけるスペシャリストとして活躍することも考えられます。プログラミング能力に長けている人や、開発業務そのものに興味を持てる人は、プロエンジニアとしてキャリアアップを進めていくのも1つの方法です。
ITコンサルタント
社内SEでの経験は、ITコンサルタントとして独立する際にも役立ちます。DXを進めるために、専門知識を持つ外部の人材を頼るケースもあるため、ITコンサルタントの需要は今後も高まる可能性があります。今からコンサルタントの勉強を行い、将来の転職について見据えることも考えられるでしょう。
フリーランスとして活躍も可能
社内SEとして働いた経歴は、フリーランスになる方法で活かすことも可能です。フリーのITエンジニアとして独立することで、自分らしい働き方を実現できます。スキルや実績次第では、高報酬の案件に応募できるため、年収を増やせる可能性もあります。
社内SEのように、責任のある会社の業務を担ってきた人材は、フリーランスの世界でも高く評価されます。この機会にキャリアパスの1つとして、フリーランスになることも検討してみてはいかがでしょうか。
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6.まとめ
社内SEは会社のIT業務を担う専門家として、さまざまな仕事を行います。社内の事情に精通しているからこそ分かる問題や、これから課題となり得ることをいち早く解決に導ける人材として、社内SEはこれからも重要な職種として評価されるでしょう。
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実際にどのような仕事があるのか、この機会にぜひ詳細を確認してみてください。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。