個人事業主がふるさと納税を行う際、会計処理において使用する勘定科目は「事業主貸」となります。この科目は、事業主個人としての支出を事業会計上に記録するためのものであり、事業に関連した経費として計上することを目的としたものではない点に注意が必要です。
ふるさと納税は事業活動とは直接的な関係のない個人的な支出と見なされるため、経費として処理することはできません。しかし正しく仕訳を行うことで、個人事業主としての会計記録を適切に管理することが可能になります。
一方で法人が企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)を利用した場合の仕訳では、「寄付金」という勘定科目を使用します。この寄付金は、企業として地方自治体に対する支援や地方創生に貢献するための支出として扱われます。
本記事では、個人事業主によるふるさと納税と法人による地方創生応援税制に関する仕訳方法について詳しく解説します。具体的にはふるさと納税を行った場合にどのように記録すべきか、そして法人として寄付金を支出した際にどのような処理を行うべきかについてそれぞれの仕訳例を交えながらわかりやすく説明していきます。
目次
1.ふるさと納税とは?
この章ではふるさと納税の仕組みや魅力、得られる効果についてご紹介します。
ふるさと納税の基本的な仕組み
ふるさと納税は、自分が選んだ地方自治体に寄附できる制度です。2008年5月の地方税法改正により「生まれ故郷やゆかりのある地域に感謝の気持ちを伝える仕組み」として始まりました。
名称に「納税」とありますが実際には寄附金として扱われ、寄附額から2,000円を差し引いた金額が所得税や住民税から控除される仕組みになっています。
ふるさと納税が持つ魅力と得られる効果
通常の納税では、所得税や住民税を国や自治体に納めるだけで特別なメリットを実感することは少ないかもしれません。
しかしふるさと納税を利用すると、自己負担額がわずか2,000円で地域からの返礼品を受け取ることができる点が大きな特徴です。この返礼品には、その地域ならではの特産品やサービスが多く含まれており、寄附者にとって魅力的な選択肢が広がります。
また、ふるさと納税の魅力は返礼品だけではありません。生まれ育った地域に限らず応援したいと感じる都道府県や市区町村を自由に選び、寄附を行うことができる点も注目すべき特徴です。
たとえば特定の地域に思い入れがある方や災害支援や地域活性化に関心がある方にとっては、ふるさと納税を通じて直接的な支援を行える貴重な機会となります。寄附金額は少額から始められるため家計への負担を抑えつつ、自分なりの方法で地域社会に貢献できる点も利用者から支持されています。
さらにふるさと納税のユニークなポイントの1つとして、寄附金の使い道を指定できる仕組みが挙げられます。一部の自治体では、寄附金をどのような事業に活用するかを寄附者自身が選択できるオプションを提供しています。
たとえば子どもたちの教育支援・自然環境の保全・地域文化の振興など、特定のテーマに資金を充てることで、寄附者としての思いをより具体的な形で反映させることができます。
ふるさと納税は寄附者にとって地域社会とのつながりを感じられるだけでなく、地域そのものにとっても重要な財源を確保する手段となっています。この制度を活用することで地域の特産品を楽しみながら、地域活性化や社会貢献に寄与できるという一石二鳥の効果を得られるのです。
2.個人事業主でもふるさと納税を活用できる
税金は私たちの生活に深く関わっていますが、納税先を自分で選ぶことはあまりないかもしれません。しかし、ふるさと納税は応援したい地域や自分の故郷などを選んで寄付できる仕組みです。
ふるさと納税では寄付金のうち2,000円を超える部分について、所得税の還付や住民税の控除が受けられます。例えば30,000円を寄付した場合、翌年には住民税や所得税から28,000円の減額を受けることができます。
また寄付した地域からは、寄付額の最大30%相当の返礼品を受け取ることが可能です。地域の特産品を楽しんだり、寄付金の使用先を指定したりすることができます。
ふるさと納税は会社員向けの節税策だと思われがちですが、実は個人事業主にも大変お得な制度です。上手に利用すれば税金の減額効果を得ながら、実質的に少ない費用で多様な返礼品を受け取ることができます。
ただしふるさと納税を利用する際は、控除上限額を確認することが重要です。ふるさと納税の控除上限額は収入に基づいて設定されています。
さらに個人事業主の場合、確定申告で寄付金控除を申請しなければふるさと納税による節税が適用されません。ふるさと納税のメリットを享受するためには、適切に手続きを進めることが必要です。
3.個人事業主のふるさと納税における上限額とは?
ふるさと納税では寄附額から自己負担の2,000円を差し引いた金額が寄附金控除として、所得税や住民税から控除されます。個人事業主の場合は会社員と同じ収入であっても所得の計算方法が異なるため、控除される上限額にも違いが生じる点に留意する必要があります。
目安は住民税所得割額の「20%」
ふるさと納税の控除上限額は住民税決定通知書に記載された住民税所得割額のおおよそ2割が目安となります。
この通知書は毎年5月から6月頃に届き、住民税の金額が確認できます。所得割額は前年度の所得によって決まるため、ふるさと納税の上限額もそれに応じて変動します。
特に収入に大きな変動があった場合は、翌年の上限額を必ず再計算することが大切です。
シミュレーション機能を使って計算する方法
計算の手間を省いておおよその上限額を知りたい場合は、総務省が提供する『ふるさと納税ポータルサイト』を活用してみましょう。所得や他の控除額を入力することで、控除上限額の目安を簡単にシミュレーションできます。
確定申告書の控えを手元に用意し収入金額や所得金額などの情報を入力すれば、すぐに概算結果が得られるのでぜひ試してみてください。
4.ふるさと納税の控除額を計算する手順
所得税と住民税では、控除のタイミングや計算方法が異なります。所得税はふるさと納税を行ったその年に適用され、住民税は翌年度の住民税から控除される仕組みです。
具体的な計算式については、事例を交えながら詳しく解説します。
所得税控除額の計算方法
ふるさと納税による所得税の控除額は、以下の計算式で求めることができます。
所得税の控除額 = (ふるさと納税の寄附額-自己負担額2,000円)×「所得税の税率」 |
なお所得税の税率は収入額ではなく、課税対象となる所得額に応じて段階的に設定されています。正しい税率を確認してください。
住民税控除額の計算方法
住民税の控除額は、基本分である「基本控除額」と、特例分である「特例控除額」をそれぞれ個別に計算します。計算式は以下の通りです。
住民税の控除額=基本控除額+特例控除額
基本控除額:(ふるさと納税の寄附額-自己負担額2,000円)×10% |
特例控除額:(ふるさと納税の寄附額-自己負担額2,000円)×(100%-基本控除率10%-所得税の税率) ※ただし、特例控除額が住民税所得割額の20%を超える場合は、以下のように調整されます。 特例控除額=住民税所得割額×20% |
控除が適用されているかの確認方法
ふるさと納税で寄附金控除を申告すると、所得税に関しては確定申告書第一表の計算に反映され控除が適用されていることを確認できます。
一方で、住民税については確定申告書では確認できません。個人事業主の場合、住民税は普通徴収となるため毎年5月頃に住民票の住所に送付される「税額通知書」で確認してください。この通知書には、前年の確定申告で申告した所得や控除額が記載されています。
5.個人事業主がふるさと納税をするメリット
個人事業主がふるさと納税を行うと確定申告時に所得税や住民税の控除を受けられるだけでなく、その他にもさまざまなメリットがあります。具体的には、どのような利点があるのでしょうか。
会社員と比べて控除上限額が高くなる場合がある
一般的に、個人事業主は会社員よりもふるさと納税の控除上限額が高くなる場合が多いです。これは個人事業主が事業経費を申請できるため、会社員に適用される給与所得控除がないことに起因します。その結果、個人事業主の所得が大きくなりやすい傾向があります。
控除額自体では会社員が有利になることが多いですが、ふるさと納税に関しては個人事業主のほうがより大きな恩恵を受けやすいと言えます。
確定申告書で「寄附金控除」欄に記載するだけで簡単に手続き可能
確定申告書の「寄附金控除欄」にふるさと納税の控除額を記入すれば、寄附金控除を受けることができます。
なお地方自治体から送られてくる「寄附金受領証明書」を税務署に提出する必要があるため、申告の際に必要な書類を失くさないよう、確定申告の期間までしっかり保管しておきましょう。
自治体の返礼品として特産品を受け取れる
ふるさと納税は節税効果だけでなく、寄附した自治体から地域特産品をもらえる特典もあります。
返礼品の内容は自治体によって異なりますが地方自治体のWebサイトやふるさと納税のポータルサイトで確認できるので、ぜひチェックしてみましょう。返礼品の例は以下の通りです。
食品・調味料・アルコール類・家電・宿泊券・寝具・日用品・衣類・化粧品・防災用品・各種イベントチケットなど
個人事業主は会社員よりも課税所得が高くなる傾向があり、そのためふるさと納税の支払い上限額が高くなる場合が多いと考えられます。また個人事業主のほとんどは確定申告を行うため、申告手続きのハードルが低い点もメリットと言えます。
寄付金の使途を指定できる
ふるさと納税の大きなメリットのひとつは、寄附金の使い道を確認できる点です。
義援金の募金箱に寄附することもできますがその場合、使途を確認することができず個人事業主として控除を受けるための証明書類も手に入れることができません。
ふるさと納税では寄附時に具体的な目的が示されるため、災害支援の指定が可能で支援する自治体も選べます。さらに自治体から寄附金受領証明書が発行されるため、寄附金控除を受けることができます。
寄附金の使途には災害支援のほか教育や文化やスポーツ振興を目的としたものや、クラウドファンディングへの寄附などもあります。
地域の特色を活かした返礼品を受け取る楽しみがある
ふるさと納税の魅力は、節税効果だけにとどまりません。自治体からもらえる返礼品が大きな魅力となっています。返礼品には、個人事業主にとって嬉しいオーダースーツのお仕立て券や人間ドックなども含まれています。
6.個人事業主がふるさと納税を利用する際の留意点
ふるさと納税を実施する際には、いくつかの注意事項があります。以下のポイントを確認しておきましょう。
ワンストップ特例制度は対象外となる
確定申告を行わない会社員などが利用できる「ワンストップ特例制度」という仕組みがあります。この制度は「寄附先が5ヶ所以内であれば、確定申告をせずに自治体へ申請書を提出することで控除を受けられる」というものです。一方で個人事業主は基本的に確定申告を行う必要があるため、この制度の対象外となります。
現金が直接増えるわけではない
ふるさと納税は、手元に残る金額を増やすための節税制度ではありません。この制度は支払うべき所得税や住民税の一部を寄付金として任意の自治体に納め、代わりに返礼品を受け取る仕組みです。
青色申告特別控除のように「手元にお金が増える」わけではなく、あくまで税金の一部を寄付することによって返礼品を得るという形になります。
7.ふるさと納税は経費として計上できない
ふるさと納税で使ったお金は寄付金として扱われますが、経費として計上することはできません。
これは、ふるさと納税が個人的な寄付であり、事業の経費には該当しないためです。
ただし個人の口座と事業用の口座が同一である場合など、事業資金をふるさと納税に使うこともあるかもしれません。その際は、事業資金を個人の生活費として貸し出す形で仕訳します。しかし、仕訳をしてもその金額を経費として計上することはできない点に注意してください。
8.個人事業主がふるさと納税を仕訳する際の適切な勘定科目
個人事業主が事業用資金を一時的に使用してふるさと納税を行う場合は、仕訳で「事業主貸」という勘定科目を使用します。事業主貸は事業のお金を個人の支出に充てた場合に使う勘定科目で、個人事業主専用のものです。
個人事業主は事業用の資金と個人の資金を区別しにくく、事業資金を家計の支出に使うことも多いためこの勘定科目を使うことで事業資金が個人用に使われたことを明確に区別できます。
また事業主貸で使ったお金は会計年度内に精算する必要があるため、精算漏れがないように注意が必要です。
ふるさと納税における具体的な仕訳例
個人事業主が「事業主貸」を使ってふるさと納税の仕訳を行う場合の一例を紹介します。
例:ふるさと納税で10万円を寄付した場合
借方) | 事業主貸 | 100,000円 | 貸方) | 普通預金 | 100,000円 |
また事業主貸を使用した場合、事業用資金を回収して精算を行う処理も必要です。これに関連する仕訳は以下の通りです。
借方) | 普通預金 | 100,000円 | 貸方) | 事業主貸 | 100,000円 |
9.ふるさと納税の返礼品が届いた場合の仕訳方法
ふるさと納税は寄付者が自分で選んだ地方に寄付を行い、その後その地方から返礼品が届くという仕組みです。しかしふるさと納税は事業主としてではなく個人が自治体に対して行う寄付であるため、事業収入には該当しません。
そのため、返礼品が届いたタイミングで仕訳を行う必要はありません。ただし返礼品は一時所得として扱われるため、年間で50万円を超える場合は課税対象となり申告が求められます。一時所得の特別控除額が最高50万円であるためです。
また返礼品の価値は寄付額の最大30%までとされているため、一時所得額は寄付額の30%を目安に計算してください。もし一時所得額をさらに詳しく調べたい場合は、寄付を行った自治体に問い合わせて確認しましょう。
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10.ふるさと納税の活用から確定申告までの流れ
この章では個人事業主がふるさと納税を行う際の手順について説明します。
寄付先自治体の選定
最初に、寄付先となる自治体と返礼品を選びます。故郷やお世話になった地域、旅行で訪れて思い出に残っている場所など寄付先の自治体は自由に選ぶことができます。
また返礼品も豊富にあり、どれを選ぶか迷うかもしれません。そんな時は、さまざまな自治体や返礼品を紹介しているポータルサイトを活用して選ぶと良いでしょう。
ふるさと納税の申し込み手続き
ふるさと納税を行う自治体が決まったら、次にその自治体への申込を行います。多くの場合にはポータルサイトを利用してインターネット上で申込ができますが、一部の自治体では電話や窓口での対応も行っています。
寄付金の支払い方法
寄附金の支払いを行います。支払い方法はクレジットカード決済・各種キャッシュレス決済・コンビニでの支払い・自治体へ直接支払う方法など、さまざまな選択肢があります。
寄付金受領証明書の受領
寄附金の支払いが完了すると、返礼品と寄附金受領証明書が届きます。寄附金受領証明書は確定申告に必要な書類ですので、紛失しないよう大切に保管しましょう。
返礼品の受け取り
返礼品の到着時期は品物によって異なりますが、通常は発送までに1~2ヶ月ほどかかります。特に年末など寄附が集中する時期には、到着までにさらに時間がかかることがあります。
確定申告の手続き
必要な書類を整えたら、確定申告を進めます。個人事業主がふるさと納税を行った場合、寄附金控除を受けるためには確定申告が必須です。さらに、確定申告の際にはふるさと納税を証明する書類を提出する必要があります。
ふるさと納税に関する控除額は、確定申告書第一表の「所得から差し引かれる金額」の「寄付金控除」欄に記入します。記入する控除額は以下の2つの金額のうち、より小さい方です。寄附金額から単純に2,000円を引いた金額ではないため、注意が必要です。
総所得金額等 × 40%
寄附金合計 – 2,000円
例えば総所得金額等 の金額が5,070,400円で、寄附金合計が250,000円の場合:
所得金額の合計5,070,400円×40%=2,028,160円
寄附金合計250,000円 – 2,000円 = 248,000円
この場合、「寄附金控除」欄には248,000円を記入します。もしふるさと納税以外にも寄附を行った場合は、第一表の「寄附金控除」欄にその合計額を記入します。
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11.法人がふるさと納税を行った場合の仕訳方法
法人向けのふるさと納税は「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)」と呼ばれ、個人向けのふるさと納税とは異なります。この制度では返礼品は受け取れませんが、最大で9割の控除を受けることができます。
この9割の控除割合は次の通りです。
通常の損金算入:30%
法人住民税:寄付額の最大40%(法人住民税法人税割額の20%が上限)
法人税:寄付額の最大10%(法人税額の5%が上限)
法人事業税:寄付額の最大20%(法人事業税額の20%が上限)
※法人住民税と法人税は合計で最大40%が控除対象となります。
また地方創生応援税制には、寄付企業への経済的見返りの禁止や事業額を超える寄付の制限などの条件が設けられているため注意が必要です。
寄付対象にはどのようなものがあるのか?
地域再生計画の認定申請は、原則として毎年5月・9月・1月の3回実施されます。この地域再生計画は「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」に該当します。
企業版ふるさと納税を検討している場合、内閣府の公式サイトで最新の地域再生計画の一覧や計画書を確認することができます。特定の計画や自治体がまだ決まっていない場合は、個別に自治体のサイトを探すよりも、この一覧を利用する方が効率的ですので、ぜひ活用してみてください。
法人のふるさと納税における勘定科目と具体例
法人が企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)を実施した場合、仕訳には「寄付金」という勘定科目を使用します。以下はその仕訳例です。例:地方創生応援税制を利用して100万円の寄付を行った場合
借方) | 寄付金 | 1,000,000 | 貸方) | 普通預金 | 1,000,000 |
12.2023年10月から施行!ふるさと納税制度の変更点
2023年10月から、ふるさと納税の制度が一部変更されていることをご存じでしょうか?
これまでは寄付者が寄付金額の30%相当の返礼品を受け取ることができましたが、新しいルールでは返礼品の還元率が下がる可能性があります。変更される内容は、以下の2点です。
必要経費の取り扱いが厳密化
ふるさと納税における地方自治体の必要経費には、寄付金額の50%までという制限があり、そのうち返礼品に関連する費用は最大30%までと定められていました。今回の改訂では、以下の項目が新たに必要経費として加わりました。
【以前からの経費項目】
返礼品の調達費用
配送料
広報費用
寄附金受領証の発行
【新たに加わった項目】
発送費用
ワンストップ特例事務の費用
その他の付随費用
仲介サイト事業者への手数料も経費対象
地方自治体は、これらの経費を寄付金額の50%以内に収める必要があります。この変更により、返礼品の価格調整やコスト削減が求められる可能性が高まります。
地場産品の条件が明確化
返礼品はその地域で生産されたものであることが求められていますが、この基準がさらに厳格化され、以下の条件が新たに追加されました。
熟成肉や精米された米の返礼品は、その原材料が同一の都道府県で生産されたものであること
地元産の品と他の地域産の品をセットにする場合、地元産の品が全体の70%以上を占めること
このため、以下のような返礼品は認められなくなります。
他の自治体や海外から仕入れた肉を熟成させて返礼品として提供すること
他地域の米を精米して返礼品として提供すること
地元産の品と他地域産の品をセットにする際、地元産の比率が70%未満の場合
13.ふるさと納税の仕訳や勘定科目に関する注意点
ふるさと納税の仕訳や勘定科目について重要な以下の点についてこの章では改めて解説します。
ふるさと納税は「寄付金」として仕訳できない
ふるさと納税の確定申告には「寄付金受領証明書」が必要
法人がふるさと納税を行う場合、寄付できる自治体が制限されることがある
ふるさと納税を行う際には、寄付の限度額を超えないよう注意が必要
これらのポイントについて、次に詳細を解説します。
ふるさと納税は寄付金として仕訳することはできない
先に述べた通りふるさと納税で支払った金額は、事業経費として計上することはできません。これはふるさと納税が個人的な寄付であり、事業に関連した支出として認められないためです。
そのため個人事業主が事業用資金からふるさと納税を行った場合は、支出の仕訳には「事業主貸」という勘定科目を使用します。ただし、法人が企業版ふるさと納税を行う場合は「寄付金」勘定で処理するケースがあります。
ふるさと納税の確定申告には寄付金受領証明書が必要
ふるさと納税の控除を確定申告で受けるためには、寄付金受領証明書が必要です。この証明書は、寄付した自治体から送付されるため、必ず受け取るようにしましょう。
寄付金受領証明書が届くまでの目安は、寄付後おおよそ1ヶ月程度です。万が一証明書が届かない場合は、寄付先の自治体に問い合わせて確認してください。
法人がふるさと納税を行う場合、寄付可能な自治体が限られる
法人が利用できる地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)では、個人のふるさと納税とは異なり寄付先となる自治体が制限されています。寄付対象となる自治体は主に発展が遅れている地域に限られており、例えば東京都内では以下の地域などです。例の一部を示します。
八王子市・青梅市・町田市・東村山市・清瀬市・武蔵村山市・稲城市・あきる野市・西東京市・日の出町・檜原村・八丈町
東京都の23区は地方創生応援税制の対象外です。その他の対象自治体については、企業版ふるさと納税のポータルサイトで確認することができます。
ふるさと納税をする際には限度額に注意が必要
ふるさと納税の上限金額は、年収や家族構成を基に決定されます。また控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額の40%が上限として設定されています。
限度額の詳細についてはふるさと納税を提供するショッピングサイトにあるシミュレーターを使用したり、税理士に相談することで確認できます。ただしこれらの金額が必ずしも正確とは限らないため、注意が必要です。
もし上限額を超えて寄付を行った場合、返礼品を購入したことと同じ扱いとなりますので注意が必要です。
14.まとめ
ふるさと納税は寄付による所得控除が受けられるだけでなく、返礼品を受け取れる場合もある制度です。そのため、会社員だけでなく個人事業主にも利用をおすすめします。
ただし個人事業主の場合、事業資金と家計資金の区別が曖昧になりがちなことに注意が必要です。もし事業資金からふるさと納税の支出を行った場合は、帳簿で「事業主貸」という勘定科目を使用して適切に記録しましょう。
また返礼品を受け取った際の申告を利用するための条件を事前に理解しておくことで、この制度をさらに効果的に活用できます。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。