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確定申告とは?初めて確定申告を行う方に向けたやり方と手順を解説

公開日:2024/09/27最終更新日:2024/09/27

確定申告とは副業収入や不動産収入などのさまざまな所得(所得=収入-必要経費)から、納めるべき所得税額を計算し税務署へ申告・納税する手続きです。確定申告の大まかな流れは、1「1年間の収支を帳簿にまとめる」2「その情報をもとに確定申告書を作成」3「作成した申告書を提出」という順序になります。


特に初めての確定申告では以下のような疑問を抱くことが多いかもしれません。

  • 自分が確定申告の対象かどうか知りたい

  • 確定申告の手順を簡単に知りたい

  • 確定申告の期限を確認したい

  • 医療費控除やふるさと納税の申告方法を知りたい

そこで本記事では確定申告が必要な人や、実際の申告手順について分かりやすく説明していきます。

目次

1.確定申告の概要

確定申告とは毎年1月1日から12月31日までの1年間に得た「利益(収入-必要経費)」に対して課される税金(所得税)を自分で計算して精算する手続きです。すでに源泉徴収された税金や予定納税がある場合、その差額を精算します。

そもそも「所得」とは何か?

税法上「もうけ」のことを「所得」と呼び、所得は以下の10種類に分類されます。

  • 利子所得

  • 配当所得

  • 事業所得

  • 不動産所得

  • 給与所得

  • 退職所得

  • 譲渡所得

  • 山林所得

  • 一時所得

  • 雑所得

所得と収入の違いを理解することが重要です。

  • 収入: 給与や売上など、1年間で得た金額

  • 所得: 収入から仕入れや必要経費を差し引いた金額

  • 課税所得: 所得から各種所得控除(例: 扶養控除、配偶者控除)を差し引いた金額

1年間の収入から必要経費を差し引いて「所得」を算出し、その所得を基に税額を計算し申告・納税するのが確定申告です。

2.確定申告が必要な人とは

確定申告が必要な人は個人事業主をはじめ、条件によっては会社員や他の形で所得を得た人も含まれます。では具体的にどのような条件に該当する場合に、確定申告の義務が発生するのでしょうか。


ここでは確定申告の対象となる人について説明していきます。

フリーランスや自営業者

個人事業主やフリーランスとして収入を得ている場合にはその所得は事業所得となり、確定申告を行う必要があります。

確定申告が必要となるのは1年間の収入から諸経費や各種所得控除を差し引いた結果、所得が残る場合です。

公的年金を受給している人

公的年金を受給している人で1年間の受給額が400万円を超え、かつ所得控除を差し引いて残額がある場合にはその金額は雑所得として扱われます。このような場合、確定申告が必要になるため注意が必要です。


またその年に雑損や寄付金が発生している場合、確定申告が義務でなくても申告をすることで税金の還付を受けられる可能性があります。

特定条件を満たす給与所得者

給与所得者については通常、年末調整が行われるため確定申告は不要です。しかしいくつかの条件に該当する場合は確定申告が必要となります。


例えば給与収入が2,000万円を超える場合、他には1ヵ所または複数の勤務先から給与を受け取っていて源泉徴収を受けていない給与に加えて他の所得が20万円を超える場合です。

これらが給与所得者が確定申告を行う主なケースです。


特に副業で雑所得・不動産所得・山林所得がある場合には注意が必要です。

退職金などの退職所得がある人

退職後に退職金を受け取った場合には、その金額から退職所得控除を引いた残りが退職所得として扱われます。この退職所得について外国企業からの受給などで源泉徴収税を支払っていない場合は、確定申告が必要です。


また退職所得が赤字の場合や事前に「退職所得の受給に関する申告書」を雇用先に提出していなかった場合にも、確定申告を行うことをおすすめします。退職所得の受給に関する申告書を提出することで退職所得控除が適用されて源泉徴収税が計算されます。


申告書を提出しないと、一律で20.42%の源泉徴収税が課せられます。

退職所得が赤字であり源泉徴収税20.42%を支払った場合は、確定申告を行うことで税金の還付を受けることができます。

株式取引や不動産の収入がある人

株式などの売買によって得た利益は、所得控除を差し引いた後の金額が譲渡所得として分類されます。また不動産投資で得た利益や山林の売却による利益も、所得控除を差し引いた金額が不動産所得や山林所得として扱われます。


これらの所得がプラスである場合も確定申告を行う義務があります。

3.青色申告と白色申告の選択

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2つの方法があります。まずは、どちらの申告方式を選ぶかを決定することが必要です。

青色申告とは?

青色申告とは、確定申告において複式簿記で記帳を行う制度です。


青色申告を選ぶと、事業収入から「最大10万円」または「最大55万円」、「最大65万円」の特別控除を受けることができるという利点があります。青色申告を希望する場合は、対象となる年の3月15日までに管轄の税務署に青色申告承認申請書を提出する必要があります。


ただし、その年の1月16日以降に事業を開始した場合は、事業開始から2カ月以内に申請書を提出する必要があります。

白色申告とは?

一方白色申告は複式簿記の記帳や事前申請が不要で、より簡単に申告を行えます。青色申告と比べると記帳や書類作成の負担は軽いものの、青色申告ほどの節税効果は期待できないというデメリットがあります。


関連記事

フリーランスの確定申告は青色申告がおすすめ!やり方などについても解説

4.確定申告のやり方①:必要書類を準備する

この章からは確定申告のやり方を具体的に解説していきます。確定申告を始める際には、以下の書類を準備する必要があります。

  • 確定申告書

  • 本人確認書類(例:マイナンバーカードなど)

  • 銀行口座の情報が確認できる書類

  • 所得を証明する書類

  • 控除証明書

確定申告書類

確定申告書は収入・経費・控除額などをまとめたもので、所得税を算出するために使用します。以前は確定申告書にはA様式とB様式がありましたが、2023年(令和5年)1月からは「確定申告書」の1種類に統一されましたのでご注意ください。


確定申告書の入手方法は以下の通りです。

自分で取りにいく場合

税務署や市区町村の窓口で受け取ることができます。詳細は国税庁のホームページで確認できます。

インターネットから入手する場合

国税庁のホームページ(確定申告書等作成コーナー)からダウンロードできます。

確定申告ソフト(会計ソフト)からダウンロードする場合

例えば、弥生会計などの会計ソフトからダウンロードできます。

自宅に届けてもらう場合

所轄税務署に連絡すれば、自宅に郵送してもらうことができます。郵便番号や住所を使って税務署を調べる方法については、国税庁のホームページで確認できます。

身分証明書

確定申告書にはマイナンバーの記載が必要です。そのため、本人確認書類が求められます。

本人確認書類は以下の通りです。

マイナンバーカードを持っている人

マイナンバーカードを提出します(写しで確認する場合は、カードの表面と裏面の両方の写しが必要です)。

マイナンバーカードを持っていない人

以下が必要です。

  • 番号確認書類:通知カード(廃止されたものの、住民票に記載された情報と一致する場合は使用可)や、マイナンバーが記載された住民票の写しなどのいずれか1つ。

  • 身元確認書類:運転免許証、公的医療保険の被保険者証、パスポート、在留カードなどのうちいずれか1つ。

確定申告書を税務署に直接提出する場合、マイナンバーカードを提示すれば番号確認と身元確認が完了します。マイナンバーカード以外を使用する場合は、番号確認書類と身元確認書類の両方が必要です。


郵送で提出する際には、これらの書類の写しを同封する必要があります。

銀行口座情報が分かるもの

還付申告を行い税金が返還される場合、振込先となる銀行口座の番号が必要です。なお、指定する銀行口座は申告者本人名義の口座でなければなりません。

所得証明に関する書類

確定申告書と一緒に、その申告内容を裏付ける所得証明も必要です。

対象者と必要書類

  • 事業やその他の所得がある人: 収入金額や必要経費が明記された書類(事業所得・不動産所得・山林所得)がある場合は、青色申告決算書または収支内訳書

  • 給与収入がある人: 該当年度の給与所得の源泉徴収票

  • 公的年金等を受給している人: 該当年度の公的年金等の源泉徴収票

源泉徴収票は通常、翌年1月末までに発行されます。届いていない場合は、早めに勤務先に確認するようにしましょう。

控除に関する証明書類

控除証明書とは、所得から控除できる項目を証明するための書類です。以下のような種類があります。

  • 医療費控除を受ける人:医療費控除の明細書や医療費通知

  • 社会保険料控除を受ける人:社会保険料控除証明書(例: 国民年金保険料控除証明書)

  • 小規模企業共済等掛金控除を受ける人:小規模共済に支払った掛金額の証明書

  • 給与所得者の保険料控除を受ける人:保険会社等が発行する支払額などの証明書(例: 生命保険料控除、地震保険料控除)

  • 寄附金控除を受ける人:寄附金の受領証(寄附した団体から交付されたもの)

  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除を受ける人: 計算明細書

  • 住宅耐震改修特別控除・住宅特定改修特別税額控除を受ける人: 建築士等が発行する増改築等工事証明書

控除を受けるには該当する証明書が必要ですので、あらかじめ確認しておきましょう。

5.確定申告のやり方②:帳簿を整える

帳簿とは売上や仕入れに加えて交通費や通信費などの経費や借入れの詳細など、日々の金銭の動きを記録するものです。


全ての事業者は取引を帳簿に記録し、その帳簿と領収書などの関連書類を一定期間保存することが法律で義務付けられています。確定申告書・収支内訳書・青色申告決算書はすべて帳簿を基に作成されるため、日常的に帳簿を正確に記録しておくことが重要です。


帳簿を作成する際には請求書・領収書・受領書・クレジットカードの明細などを集めて、漏れなく記載することが基本です。毎日記帳するのが理想ですが難しい場合は、1週間ごとなどにまとめて記帳しても構いません。


しかしそれ以上の期間を空けると、忘れたり領収書を紛失したりして記載が不正確になる可能性が高まるため、注意が必要です。


帳簿の形式としては白色申告の場合は「単式簿記」、青色申告の場合は「複式簿記」が基本です。

青色申告で10万円の特別控除を受ける場合は、単式簿記でも問題ありません。

6.確定申告のやり方③:確定申告書の作成

確定申告の手続き(確定申告書の作成方法)には主に4つの選択肢があります。青色申告または白色申告を選んだ後は、次のステップとしてどの手法で申告するかを決定しましょう。

確定申告書作成コーナーで作成

国税庁のウェブサイトには「確定申告書等作成コーナー」というツールがあり、必要な情報を入力するだけで確定申告書を作成できます。

公式のツールであるため安心感がありますが、UI/UXが直感的でない場合があり、使い勝手がやや劣ることがあります(一般的な民間の確定申告ソフトのほうが、より簡便で分かりやすいことが多いです)。

確定申告書作成コーナーのメリット

  • 国が提供する公式ツールであるため、信頼性が高い

  • 画面の指示に従って入力するだけで申告書が作成でき、納税額も自動で計算される

  • 収支計算がシンプルで、経費が少ない場合におすすめ

確定申告書作成コーナーで作成した申告書は印刷して税務署に直接持参するほかインターネットを通じて税務署に送信する(e-Tax)方法や、郵送で提出する方法も選べます。


なおe-Taxを利用するには事前に準備が必要です。

確定申告ソフトを使用して作成

確定申告ソフトは申告書のフォーマットに合わせて必要な情報を入力することで、申告用データを自動的に作成できるソフトウェアです。簿記や会計の専門知識がなくても簡単に使用できるように設計されており、個人事業主・フリーランス・サラリーマンの副業や控除の申告にも適しています。

確定申告ソフトのメリット

  • 直感的な操作で確定申告書を簡単に作成・提出できる

  • クレジットカードや銀行口座との連携が可能で、仕訳作業がスムーズに行える

  • スマートフォン対応のソフトが多く、移動中でも利用可能

  • 確定申告が初めての方や、副業を長期的に行う予定の方におすすめ

一方確定申告ソフトのデメリットとして一般企業が提供しているため、一部の機能が有料であるケースがあります。また無料版には広告が表示されることがある点が挙げられます。

手書きで作成

紙の確定申告書を使って手書きで申告する方法です。確定申告書の主な入手方法は以下の通りです。

  • 税務署に直接取りに行く

  • 税務署から郵送で取り寄せる

  • 確定申告の時期に設置される申告相談会場で受け取る

  • 自宅やコンビニエンスストアでプリントアウトする

紙の確定申告書は計算や記載ミスが起こりやすいため、初心者にはあまり推奨されない方法といえます。ただし以下のようなメリットもあります。

手書きのメリット

  • 申告期間中に税務署で相談しながら書類を作成できる

  • 作成には時間がかかりますが、申告を完了する達成感がある

  • パソコンの使用が苦手な方や、税務署とじっくり相談しながら申告したい方に向いている

また作成内容に関して疑問がある場合は、税務署に直接相談することや電話で国税局の相談センターを利用することも可能です。

税理士など専門家に依頼する

確定申告を税理士に依頼する方法もあります。

税理士など専門家に依頼するメリット

税理士に依頼すると報酬が発生しますが、以下のメリットがあります。

  • 正確な申告ができること

  • 節税の可能性が高まること

  • さまざまな相談ができること 

申告を一人で行うのが不安な場合や申告内容が複雑である場合には、税理士への依頼を考えてみると良いでしょう。税理士に依頼した場合は、やり方②以降については基本的に代行してもらえます。

7.確定申告のやり方④:申告書類を提出する

確定申告書と収支内訳書または青色申告決算書の作成が完了して必要な添付書類も揃ったら、いよいよ税務署に提出します。提出方法には以下のような選択肢があります。

提出方法

メリット

デメリット

手渡し(税務署の窓口に行く)

書類の不備をその場で確認してもらえる

確定申告の時期には窓口が混雑していたり、予約が必要な場合がある。開庁時間に合わせて行く必要がある

郵送で提出する

ポスト投函で手軽に提出できる

確定申告書の控えを手元に残すためには返信用封筒に切手を貼り、返送先を記載して同封する必要がある(義務ではないが、控えが手元に残らない可能性がある)

e-Taxを利用する

自宅からインターネットを通じていつでも提出でき、添付書類の提出も簡略化できる。還付金の受取もスムーズ


利用者識別番号の取得や電子証明書の発行が必要(マイナンバーカードに電子証明書が格納されており、5回目の誕生日まで有効)。青色申告で最大65万円の青色申告特別控除を受けるにはe-Taxの利用または優良な電子帳簿保存が必要。優良な電子帳簿保存を行わない場合、青色申告の特別控除額は最大55万円となる

どの方法を選ぶかは、状況に応じて検討してください。

8.確定申告のやり方⑤:納税または還付の手続きをする

最後に期日までに納税すれば、確定申告手続きが完了します。


所得税の納付期限は3月15日で、個人事業主の消費税は3月31日が期限です。期限が土日祝日に当たる場合は、次の平日までに納付する必要があります。


振替納税の場合、納付期限は約1か月後となります。


この章では納付方法や還付のタイミングについて詳しく説明します。

納税手続きの流れ

所得税の納付方法について、以下の表にまとめました。

納付方法

概要

振替納税

事前に「振替納税」の申請を行うことで、指定口座から自動的に引き落としされる方法。

現金納付(税務署または金融機関の窓口)


金融機関や所轄税務署の窓口にてで現金で納付する方法

ダイレクト納付(e-Tax)

e-Taxで操作し、預貯金口座から振替納付する方法。e-Taxで確定申告を行い、ダイレクト納付利用届出書を提出している場合のみ利用可能。

インターネットバンキングからの納付

インターネットバンキング等を利用して納付する方法。e-Taxで確定申告を行っている場合のみ利用可能。

クレジットカード納付

「国税クレジットカードお支払サイト」にアクセスし、クレジットカードで支払う方法。


コンビニ納付

指定のコンビニエンスストアで、QRコードまたはバーコードを使って納付する方法。

※納税額は30万円までが上限です。

スマホアプリによる納付

スマホ決済用のWebサイトからPay払いを選択して納付する方法(LINE Pay・PayPayなどが利用可能)。

※納税額は30万円までが上限です。

納付方法は自由に選べるので、どの方法が最適かを事前に決めておくとスムーズです。

還付手続きの流れ

所得税の還付を受けるためには、事前に自分の銀行口座情報を登録しておく必要があります。還付申告が正しく完了すると、通常1〜2か月程度で還付金が指定口座に振り込まれますので口座の確認をしておきましょう。


振込以外の方法として、ゆうちょ銀行の窓口で還付金を受け取ることも可能です。

確定申告の期限はいつからいつまで?

通常2月16日から3月15日までです。確定申告が義務付けられている個人事業主などは、この期間内に申告を行う必要があります。


一方で医療費控除などで還付を受けたい場合、還付申告として過去5年間さかのぼって確定申告が可能です(対象年の翌年1月1日から5年間の間)。

令和6年能登半島地震に伴う国税の申告期限延長について

令和6年の能登半島地震の影響を受けた石川県と富山県の納税者について、国税庁は国税の申告や納付の期限を延長することを発表しました。


この期限延長は、2024年1月1日以降に到来するすべての税目に自動的に適用されます。具体的な延長期間は、被災者の状況を考慮して決定される予定です。


さらに石川県や富山県以外に納税地がある被災者も、所轄税務署に申請することで期限延長の対象になることができます。この申請は、当初の期限後に申告や納付を行う際に同時に提出することも可能です。


所轄税務署長に申請し承認を受けることで、期限を延長することができます。この延長は、災害の影響が解消された日から2ヶ月以内に限られます。


例えば毎月10日の源泉所得税や復興特別所得税の納付が災害の影響で期限内にできない場合でも、期限後に申請手続きをすることが可能です。被災状況が落ち着いた際には、最寄りの税務署に相談することをおすすめします。

9.スマホで確定申告することは可能か?

確定申告はスマートフォンからでも行うことができます。確定申告書の作成をスマートフォンで行いたい場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や確定申告アプリを利用しましょう。


「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし必要な情報を入力すれば、スマートフォンからそのままe-Taxで申告書を送信することができます。


マイナンバーカードを持っている場合は、「スマートフォンを使用してe-Tax」または「ICカードリーダライタを使用してe-Tax」が利用できます。マイナンバーカードを持っていない場合は、「ID・パスワード方式でe-Tax」を利用することになります。

10.確定申告をしないとどうなる?罰則について

「確定申告をしなかった場合、どんなデメリットがあるのか?」という疑問を持つ方もいるでしょう。


確定申告を行うべき人が申告をしないと、納めるべき所得税が支払われないことになります。そのため、当然ながら罰則が科せられる可能性があります。


この章では確定申告をしなかった場合のデメリットについて説明します。

確定申告義務がある人へのペナルティー

確定申告の義務がある方が、3月15日までに申告しなかった場合、本来の税金(本税)に加え無申告加算税や延滞税といった罰則が適用されます。


無申告加算税は期限内に必要な確定申告を行わなかった場合に発生する税金です。基本的には納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分には20%の割合が課せられます。


かなり高額な罰金となることがあります。

ただし期限を過ぎてから1ヶ月以内に自主的に申告・納付を行った場合は、無申告加算税は適用されません。


意図的に申告をしないなど悪質なケースでは、重加算税が課されることもあります。

確定申告義務がない人は還付を受けられないだけ

一方、還付申告についてはペナルティはありません。意図的に申告をしない場合でも、過剰に支払った所得税を取り戻す権利を失うだけです。


そのため過払いの税金を取り戻したい場合は、5年以内に還付申告の手続きを行う必要があります。


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11.医療費控除の確定申告手順

医療費控除の確定申告方法は基本的には通常の確定申告と同様で、所得控除の入力欄に必要な情報を記載します。医療費控除を受けるには、原則として確定申告の期間(毎年2月16日~3月15日)内に申告を行う必要があります。


ただし医療費控除を申請することで払いすぎた税金を取り戻す「還付申告」を行う場合は、5年以内(該当年度の翌年1月1日から5年間)に申告をすることができます。

医療費控除とは何か?

医療費控除とは医療費の一部を所得から控除できる制度のことです。

給与所得者は年末調整を行いますが、医療費控除は年末調整では受けられません。


つまり会社に代わりに手続きをしてもらうことはできないため、自分で確定申告を行う必要があります。個人事業主についても、同様に自分で確定申告を行う必要があります。


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12.まとめ

確定申告は事業所得のある個人事業主やフリーランスに限らず、給与所得がある会社員も該当するケースがある重要な手続きです。特に会社員は年末調整で全ての税務処理が完了しない場合や複数の収入源がある場合には、医療費控除や寄附金控除などを受けることで還付金を受け取れる可能性があります。


申告を適切に行うことで、余計に支払った税金が戻ってくる場合があるなどのメリットもあります。


一方で確定申告の期限を過ぎた場合や申告漏れが発生した場合にはペナルティとして加算税や延滞税が課せられる可能性もあるため、申告の期限を守って正確な情報をもとに処理を行うことが非常に重要です。


確定申告を行う際には、事前に必要な書類や控除の適用条件をしっかりと確認しておくことも重要です。特に各種控除(例えば住宅ローン控除や生命保険料控除など)は、正しく適用することで納税額を大幅に減らすことが可能です。


控除に関する知識が不足していると本来受けられるべき控除を見逃してしまうこともあるため、細心の注意が必要です。


また確定申告は慣れないうちは複雑に感じられることも多いです。そのため自分で処理を行うのが難しい場合や税法の理解が不十分だと感じる場合は、税理士に相談するのも一つの手です。


税理士に依頼することで申告に関する不安や手間を軽減できるだけでなく法的に正しい手続きを踏むことが保証されるため、特に事業所得が複雑な場合や税務処理に自信がない場合にはプロフェッショナルのサポートを受けることが有効です。


結果として確定申告は適切に行うことで還付金が得られるだけでなく申告漏れや罰則を避けるためにも正確かつ早めに準備を進め、必要に応じて専門家の助けを借りることが望ましいと言えます。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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