「IT分野で活躍したい」「エンジニアを目指してみたい」とお考えであれば、情報システム試験の合格に向けて受験してみてはいかがでしょうか。
情報システム試験は基本スキル、プログラミングスキル、システムデザインスキルの3つの試験区分があり、それぞれ一つずつ挑戦していくことでIT技術に関する基礎が身につきます。また、試験のカリキュラムがIPAの実施する基本情報技術者試験を想定しているため、エンジニアになりたいとお考えの方にもおすすめです。
今回は情報システム試験に関する基礎知識や詳細情報、情報システム試験の資格取得のメリット・デメリット、情報システム試験合格のための勉強方法についてお話しします。
目次
1.情報システム試験に関する基礎知識
はじめに情報システム試験に関する基礎知識について解説します。
情報システム試験とは
情報システム試験とは、一般財団法人職業教育・キャリア教育財団検定試験センターが実施する「J検」の3つのうちの1つの試験であり、情報システムに関する基本やプログラミング、システムデザインに関するスキルについて評価される検定試験です。
基本スキル
プログラミングスキル
システムデザインスキル
上記が情報システム試験として実施されているスキルごとの試験です。それぞれの科目1つに合格することで合格証が発行されます。
基本スキル+プログラミングスキル=プログラマ認定
基本スキル+システムデザインスキル=システムエンジニア認定
上記が情報システム試験として実施されているスキルごとの試験です。基本スキルとその他のスキルのいずれかの2つの科目に合格することで、認定証が発行される仕組みになっています。3科目合格した場合は2種類の認定証が発行されます。
そのため、まずは基本スキルの試験から挑戦し、合格を目指すことから始めてみてください。自分自身の理解度や興味関心の度合いに応じて、2科目、もしくは3科目の合格を目指すと良いでしょう。
J検で実施されている3つの試験
情報システム試験
情報活用試験
情報デザイン試験
上記がJ検で実施されている3つの試験です。情報システム試験の試験詳細や出題範囲など詳しい内容については後述します。
情報活用試験は3級から1級の3つの試験で構成されており、主にデバイス機器を用いてインターネットを活用する際の知識やスキル、セキュリティに関する知識が問われる検定試験です。企業や組織からすれば、インターネットも含めたIT技術を適切かつ安心安全に利用できるかどうかを判断できる材料になります。
情報デザイン試験の場合は初級と上級の2つで構成されており、問題を発見するための調査スキル、問題を解決するためのスキル、もしくはインターネットを通じて情報を発信する際に必要な知識が問われる検定試験です。
企業や組織に属する人間として、仕事中だけでなく、プライベートの場合においても問題となってしまうようなことをしないということが判断できる材料になる試験とも言えるでしょう。
受験される方の時間的な余裕、もしくは理解度及び興味関心の度合いにもよりますが、J検のどの試験区分に受験するべきかは、目指すキャリア形成によって異なりますので、それぞれの過去問題やサンプル問題の内容を見て判断してみてください。
情報システム試験の合格で目指せるキャリア
上記が情報システム試験の合格で目指せるキャリアの一例です。
基本スキルの区分だけでもIT技術に関する基礎として、コンピュータやネットワーク、データベースからハードウェアおよびソフトウェアなども出題範囲になっているため、ITに関する職種を目指す場合に知識やスキルが役立つでしょう。
ただし、エンジニアになるためには情報システム試験だけでなく、IPAの実施する基本情報技術者試験への挑戦なども視野に入れておく必要があります。
その後のキャリア形成がエンジニアなのか、もしくは広報担当者なのか、または会社内や組織内のIT技術を整備し、最適化や効率化する役割を担いたいのかなどによって、その他のJ検への挑戦も含めて、どのように勉強時間を捻出していくか、といったことを考えていくことが大切です。
2.情報システム試験の詳細情報
次に情報システム試験の詳細情報について解説します。
情報システム試験の詳細・有効期限
試験名 | 情報システム試験 | ||
---|---|---|---|
区分 | 基本スキル | プログラミングスキル | システムデザインスキル |
試験会場 試験日時 | 団体受験:学校・団体が用意した会場 ・PBT方式(ペーパー方式):令和7年2月9日(日) ・CBT方式(Computer Based Testing):通年実施 ※個人の場合はCBT方式、会場ごとに指定された日程 | ||
試験時間 | 60分 | 90分 | 90分 |
出題形式 | マークシート方式(選択式) | ||
出題数 | 約10〜15問 | ||
合格基準 | 65点/100点 | ||
受検料 | 3,500円 | 3,000円 | 3,000円 |
前提資格 | 特になし | ||
試験結果 | PBT方式(ペーパー方式):試験日の約1ヶ月~40日後 CBT方式:即日 ※どちらの方式でも合否結果検索ページにて合否等を確認可能 |
参考元:https://jken.sgec.or.jp/information/jsystem/
上記が情報システム試験の詳細です。団体受験の方の場合は学校や団体が用意した会場と日時で受験することになる点を留意しておきましょう。団体受験の場合はPBT方式、CBT方式のどちらになるかで日時が異なる点に注意が必要です。
個人で受験される場合はCBT方式の試験のみ、ご自身で直接オンラインから申し込む必要があり、その上1科目につき別途、会場施設利用料700円が必要になるということを理解しておいてください。
情報システム試験の有効期限は特に設定されていないものの、2科目、もしくは3科目合格することで得られる技術認定証の取得を狙う場合は、該当する試験のいずれかに合格した時点から1年以内にその他の試験に挑戦する必要があるという点に注意してください。
情報システム試験の出題範囲・難易度・勉強時間
・基本スキル
プロジェクトマネジメント | ●システム開発におけるプロジェクト管理について理解する。 ①プロジェクトマネジメントの概要 プロジェクトマネジメントの5つのプロセス群と10の知識エリア,業務プロセス,ソリューションビジネス,システム活用促進・評価,ステークホルダ,SLA,インシデント管理,RFP ②プロジェクトの進捗・コスト管理 ガントチャート,ファンクションポイント,WBS,PERT,EVM,ベンチマークUPS,施設管 理 |
---|---|
情報表現 | ●数値及びデータの表現、情報の基礎理論について理解する。 ①数値表現とデータ表現の種類 基数と基数変換,データの表現単位,補助単位 ②数値とデータの表現方法 10進数表現,2進数表現,16進数表現,固定小数点表記,浮動小数点表記,シフト演算 ③演算と精度 数値表現の精度,演算と精度,数値表現と誤差 ④文字の表現 各種文字コード ⑤その他のデータ表現 データの符号化,画像データ,音声データ |
データ構造 集合と論理 | ●データ構造、および情報と論理について理解する。 ①情報と論理 集合と論理,論理演算,ベン図,ド・モルガンの法則 ②基本データ型 基本データ型,基本データ構造,その他のデータ構造 |
CPUアーキテクチャ 補助記憶装置 | ●コンピュータの基本構成と各装置の機能、基本ソフトウェアの処理機能についての知識を問う。 ①プロセッサアーキテクチャ CPUの機能,命令実行制御,命令のアドレス形式,演算の仕組み,高速化技術,CISC,RISC ②メモリアーキテクチャ バスの種類・特徴,アクセス方式,キャッシュメモリ,クロック周波数 ③補助記憶 補助記憶装置の種類・特徴,性能計算 ④入出力アーキテクチャ 入出力装置の種類・特徴,性能計算,デバイスドライバ |
システム構成 ソフトウェア | ●オペレーティングシステムをはじめミドルウェアやファイルシステムについて問う ①オペレーティングシステム OSの機能と種類・特徴,ジョブ管理,タスク管理,ミドルウェア ②仮想記憶 仮想記憶の仕組みと特徴 ③ファイル管理 ファイルの構成・特徴,ファイルの記憶容量計算,ファイル編成とアクセス手法 |
参考元:https://jken.sgec.or.jp/common/pdf/information/jsystem_kihon.pdf
上記が基本スキルの出題範囲です。初心者の方であれば、基本スキルの出題範囲だけでもかなり広いように感じるかもしれませんが、すでにエンジニアとして働いている実務経験者の方であれば、理解しておくべき項目であると感じられるでしょう。
そのため、初心者の方の場合の難易度はどれだけ専門用語をすでに知っているか、技術や仕組みをどれだけ理解しているかによって大きく異なります。意味は知らなくても用語自体は知っており、仕組みも知っているものがいくつかあるという場合は少し難易度は下がるかもしれません。全くわからない場合は難易度は高くなるということです。
勉強時間については、出題範囲と過去問題、サンプル問題を前提とした上で、全くわからない初心者の方で100時間から150時間、出題範囲の専門用語をほとんど知っている方で50時間から100時間であることが推測されます。
ただし、あくまでもおおよその目安であること、実務経験の有無にかかわらず受験される方の理解度によって異なるということはあらかじめ留意しておいてください。
この試験に合格することで得られる基本スキルの理解は、プロジェクトマネジメントやシステム構成など、実務のあらゆる場面で必要な知識の土台となります。
特に、プロジェクトマネジメントでは進捗管理やコスト管理の手法を理解することで、現場の業務効率が向上しますし、情報表現・データ構造などの分野は、システム開発や運用に不可欠な基本理論を学ぶうえで大いに役立ちます。
・プログラミングスキル
データ構造とアルゴリズム | ●問題を解決するために適したデータ構造と,問題を解決するために効率の良いアルゴリズム が想定できるかを問う。 ①データ構造 配列,リスト,スタック,キュー,2分木など ②アルゴリズム 探索,整列,再帰,文字列操作,数値演算 ③ファイル処理 コントロールブレイク,マッチング ④アルゴリズムの評価 状態遷移,計算量 ⑤デシジョンテーブル(決定表)を利用した問題解決 |
---|---|
擬似言語を利用したアルゴリズムの実装 | ●擬似言語を用いてアルゴリズムを適切に処理できるかを問う。 ①アルゴリズム 探索,整列,再帰,文字列操作,数値演算など ②ファイル処理 コントロールブレイク,マッチング |
参考元:https://jken.sgec.or.jp/common/pdf/information/jsystem_programming.pdf
上記がプログラミングスキルの出題範囲です。基本スキルがITに関する知識が評価される内容だったことに対し、プログラミングスキルの場合は実際にプログラミングをするための基礎が出題内容になっています。
そのため、出題範囲が少なく見えるからといっても、プログラミングに関する考え方が身についていないと難易度はかなり高くなるということ、勉強時間についても伸びるということを理解しておく必要があるでしょう。
過去問題とサンプル問題の内容を前提とした場合の勉強時間ですが、全くわからない初心者の方で50時間から150時間、基本スキルに合格できるレベルの方でも50時間から100時間が必要になることが推測されます。
初心者の方の場合はまず基本スキルに合格することを目指し、技術的な用語や要素、仕組みを覚えてからプログラミングの考え方に挑戦した方が良いということを覚えておいてください。
特に、プログラミングスキルの出題範囲には「データ構造とアルゴリズム」や「擬似言語を利用したアルゴリズムの実装」があります。これらは実際の問題をどのように解くかという思考プロセスが求められるため、慣れていない方にとっては高難易度に感じるでしょう。
学習を進める際には、擬似言語や簡単なプログラミング言語を使って「配列やリストを使った基本的なアルゴリズムの実装」や「ファイル処理の流れ」を実際に手を動かしながら確認することをおすすめします。
・システムデザインスキル
経営戦略とシステム戦略 | ●経営戦略に関する基本的な考え方を理解し,それに対応したシステム戦略を作成するために 必要な基礎的知識について問う。 ①企業活動 PDCA,BPR,CSF,SOHO,企業形態 ②経営戦略 CRM,POSシステム,ユビキタスコンピューティング,差別化戦略 ③システム戦略ERP,ベストプラクティス ④システム監査 |
---|---|
システム開発 | ●システム開発に関する基本的な知識、手法について問う。 ①システムの構成技術 クライアントサーバシステム,システムの構成方式・処理形態 ②システムの性能・信頼性 システムの性能計算,システムの信頼性計算 ③開発手法 ソフトウェアの開発モデル,ソフトウェアのライフサイクル, ソフトウェアの再利用 ④モジュール分割技法 STS分割,共通機能分割,トランザクション分割, モジュールの強度・結合度 ⑤テスト技法 結合テスト,システム |
ネットワーク技術 | ●ネットワークを構成するプロトコル,伝送制御,LAN,WAN,の要素技術を,どのように組み 合わせて利用していくのかについて,さらにインターネットについて,そのプロトコルとア プリケーションに関する知識を問う。 ①ネットワークアーキテクチャ OSI参照モデル,TCP/IP ②伝送制御 伝送制御手順,符号化,伝送技術,通信回路,伝送方式 ③ネットワークの性能 通信時間の計算,ネットワーク設計と性能評価 ④LAN 伝送媒体,通信機器,トポロジとアクセス制御 ⑤ネットワークの構成 通信機器,ネットワークソフト,電気通信サービス ⑥インターネット応用 IPルーティング,応用プロトコル,アプリケーション, ネットワークセキュリティ技術 |
データベース技術 | ●情報システムにおいて,データ管理を行うデータベースについて,その主な機能・役割,設 計、活用について問う。また、データベース言語(SQL)を用いたデータベース操作を問う。 ①データベースを構築 関係データモデル,スキーマ,データ分析,正規化 ②SQLによるデータベース操作 データ定義言語(SQL-DDL),データ操作言語(SQL-DML), データ制御言語(SQL-DCL) [SQL仕様]JISX3010データベース言語SQLによるものとする。ただし、次の仕様は除く。 ・組み込みSQL ③データベース管理システムの機能 参照整合性,機密保護,トランザクション制御, 排他制御,リカバリ |
セキュリティと標準化 | ●情報システムにおけるさまざまなセキュリティ管理・対策とセキュリティガイドラインや関連法規および情報システム全般にわたる標準化に関する知識を問う。 ①セキュリティ対策 暗号化方式,機密保護,なりすまし・改ざん防止対策, 不正アクセス対策,コンピュータウィルス対策,セキュリティ管理, セキュリティポリシ ②セキュリティガイドラインと関連法規 ガイドライン,プライバシ保護,関連法規 ③情報システムの標準化 標準の種類,標準化の概要 |
参考元:https://jken.sgec.or.jp/common/pdf/information/jsystem_systemdesign.pdf
上記がシステムデザインスキルの出題範囲です。基本スキルの試験の上位版と言える出題範囲になっており、直接的なプログラミング能力については内容に含まれていないものの、プログラミングによって作られたシステムやアプリケーションを実際に動かすための全体像を理解する必要がある内容と言えます。
システムデザインスキルの難易度については、基本スキルに合格していることを前提としてもかなり高いということを留意しておきましょう。むしろ、基本スキルの内容が理解できていないと問題文と回答の紐付けができないレベルということを理解しておくべきです。
勉強時間については、基本スキルに合格していることを前提とし、おおよそですが100時間から150時間程度必要となるでしょう。基本スキルとシステムデザインスキル、可能であればプログラミングスキルの試験に合格することで、基本情報技術者試験の合格が見えてくる可能性が高くなります。
特に、ネットワーク技術やデータベース技術、セキュリティ対策といった分野では、基本情報技術者試験の範囲と重なる部分が多いため、試験勉強を並行して行うことで効率良く学習を進められるでしょう。
そのため、合格したタイミングやサンプル問題などが容易に解けるようになったタイミングで、IPAの基本情報技術者試験の過去問題などを見て、自分自身が挑戦できるレベルに達しているかどうかチェックしてみてください。
情報システム試験の受験者数・合格率
令和5年(2023年) | 受験者数 |
---|---|
PBT方式 | 9,346人 |
CBT方式 | 12,500人 |
合計 | 21,846人 |
上記がJ検のその他の試験も含めた2023年度全体の受験者数です。学校や団体のカリキュラムの一部として実施していることもあり、J検全体では単年でも多くの方が受験されていることが伺えます。
試験名 | 区分 | 合格率 |
---|---|---|
情報システム試験 | 基本スキル | 45.9% |
プログラミングスキル | 42.2% | |
システムデザインスキル | 43.5% |
上記が2023年度情報システム試験の合格率です。
情報システム試験は幅広い知識と実務的な理解が求められる試験です。特に、基本スキルやプログラミングスキル、システムデザインスキルなど多岐にわたる出題範囲を網羅する必要があるため、十分な学習時間を取ると良いでしょう。
また、問題文の理解や過去問の分析も必要ですので、効率的な学習計画が合格には大切です。
初心者の方の場合は過去問題やサンプル問題を見て、その他のJ検試験に挑戦しようと考えることもおすすめです。自分が理解できそうな部分から勉強して、後から情報システムに挑戦するということもキャリア形成において時間に無駄のないやり方であると覚えておいてください。
情報システム試験の申し込み手順
・団体受験の場合
団体受験の場合は所属する学校や団体でまとめて申し込む方式であるため、日時や場所も含めて学校や団体に直接問い合わせて申し込むようにしましょう。
カリキュラムに含まれている場合は試験を実施するタイミングで告知があるため、受験する場合は聞き流さないように注意してください。
・個人の方の受験の場合
B検/J検受験画面にアクセスする
試験実施会場情報一覧で最寄りの試験会場を探す
サインアップの画面で同意して次に進む
メールアドレスを登録する
利用者情報を登録する
登録が完了したら最寄りの試験会場にて申し込む
クレジットカードがコンビニ決済で受験料を支払う
指定した日時場所に身分証明書を持参して受験
上記が情報システム試験の個人受験の申し込み手順です。
個人のことの場合はオンラインで試験実施日の3週間前に申し込む必要があること、前述しましたが、受験料の他に1科目ごとに700円プラスで必要になるということを留意しておきましょう。
試験当日には身分証明書の時間が必須となっているため、忘れないように前もって準備しておいてください。
3.情報システム試験の資格取得のメリット
次に情報システム試験の資格取得のメリットについて解説します。
エンジニアやプログラマーになるための基礎が学べる
情報システム試験の資格取得のメリットとして、エンジニアやプログラマーになるための基礎が学べることが挙げられます。エンジニア領域の知識やスキルについては、特定の学校や大学などに通っていないと専門的に学べないこともあるため、初歩から学びたいという方に向いているということです。
ただし、初歩から学ぶと言っても技術的な要素はしっかりと盛り込まれているため、専門的な用語がわからずに困ってしまうこともあるでしょう。まずは1つ1つの用語を理解していくこと、用語や仕組み同士の関連性を把握していくことから始めて、少しずつ様々な技術を理解できるようにしていくことが大切です。
一定のITリテラシーがあることの証明になる
情報システム試験の資格取得のメリットとして、一定のITリテラシーがあることの証明になることが挙げられます。ITやコンピュータについての知識がなくても扱えるアプリやシステムが存在していること、一昔前と比べてITリテラシーが十分でない方でもデバイスを自由に扱えるようになったことから、ITリテラシーがあることの証明になるのがメリットになるということです。
時代の変化に伴いデジタルへの移行は進んでいるものの、デバイスやユーザーインターフェースの進化していることで起きた弊害でもあります。しかし、コンピュータのことがわからなくても使えてしまう人、業務ができてしまう人が一定数存在します。
合格することで一定のITリテラシーがある状態でデバイスやアプリケーションを利用できる人という評価が得られるようになり、採用のタイミングなどでポジティブな影響を得ることにつながっていくでしょう。
転職やキャリアチェンジのきっかけになる
情報システム試験の資格取得のメリットとして、転職やキャリアチェンジのきっかけになることが挙げられます。情報システム試験の合格のみですぐにエンジニアになれるとは断言できないものの、情報システム試験に挑戦して得た知識やスキルが、新しい技術との出会い、そして自分の興味関心や得意となるスキルに巡り合える可能性が高くなるのが理由です。
結果としてさらに技術的な知識やスキルを吸収することにつながり、転職やキャリアチェンジのきっかけから実現につながるようになります。もちろん、新卒や社会人の方でポテンシャル採用を狙う場合のアピールポイントになるということも忘れてはなりません。
エンジニアとして学ぶことで知識やスキルが増えていくことが、自分自身のキャリアを広げること、年収や報酬に直結するということを理解しておいてください。
4.情報システム試験の資格取得のデメリット
次に情報システム試験の資格取得のデメリットについて解説します。
資格の取得に時間や費用のコストがかかる
情報システム試験の資格取得のデメリットとして、資格の取得に時間や費用のコストがかかることが挙げられます。合格するための勉強時間、勉強するための参考書の購入、受験のための受験料などが発生するのが理由です。
ただし、初めてIT分野の検定試験に挑戦される方の場合、将来的なキャリア形成のプラスになることを考えるとマイナスのデメリットとも言えません。エンジニアになるきっかけとしての投資と考えれば、むしろ安いぐらいとポジティブに考えても良いでしょう。
注意点としてはすでにエンジニアとしての実務経験がある方が、キャリアチェンジのアピールポイントとして勉強時間や費用のコストを支払ってしまうと、リターンが見えない可能性があることです。その他の検定試験に挑戦した方が良い場合もありますので、過去問題などを見て挑戦すべきかはしっかりと精査してみてください。
試験の合格だけではエンジニアとしてアピールしにくい
情報システム試験の資格取得のデメリットとして、試験の合格だけではエンジニアとしてアピールしにくいことが挙げられます。高校生や大学生の方、もしくは社会人の方が情報システム試験の合格単体でエンジニアになろうとするのは難しいという意味です。
ただし、アピールしにくいこととエンジニアになるためのきっかけになることは別の話であることも忘れてはなりません。まずは情報システム試験に合格すること、次にプログラミングなどを学びながら基本情報技術者試験の合格を目指すこと、こういったキャリアパスを考えられるようになることは必ずメリットになるということも知っておきましょう。
実務経験者の方には難易度が低い可能性がある
情報システム試験の資格取得のデメリットとして、実務経験者の方には難易度が低い可能性があることが挙げられます。この場合の難易度とは単純に簡単に合格できるということだけではなく、合格してもエンジニアとしての実務経験の証明にならず、むしろネガティブな印象を与えてしまう可能性があることです。
例えば、すでにエンジニアとして働いている方であれば、IPAの実施するITパスポート試験、その上位試験である基本情報技術者試験に挑戦して合格した方がキャリアチェンジや転職に有利になる可能性があります。
そのため、エンジニアとして働いていたがまだまだ知識が身についていなかった、もしくはキャリアチェンジをする前に自分の知識を再度見直しておきたいという場合を除いては、その他の試験に挑戦する方がキャリアにとってプラスになるという考え方があるということも覚えておいてください。
5.情報システム試験合格のための勉強方法
次に情報システム試験合格のための勉強方法について解説します。
過去問題やサンプル問題で自分の理解度を把握する
情報システム試験の合格に向けて、まずは公式で用意されている「過去問題・サンプル問題と解答」に挑戦して自分自身の理解度を把握しましょう。すでにエンジニアで実務経験のある方の場合は受験すべきかの検討材料にすることも重要です。
また過去問屋サンプル問題自体が合格に向けた勉強の教材にもなります。どのような問題が出題されるのか、自分自身がどれくらい理解しているかを把握しながら勉強を進めましょう。
また、「個人出願CBT方式の出願方法・お申し込み」のページにある「J検 CBT試験の無料体験版を利用する」のリンクから模擬的に試験をしてみて、自分の理解度の把握や受験すべきかの検討をしてみてください。
公式で紹介されている教材やテキストを利用して勉強する
情報システム試験の合格に向けて、公式で紹介されている「教材のご紹介」のページにある教材やテキストを利用して勉強するのもおすすめです。公式で紹介されている教材やテキストであれば、試験範囲にもしっかりと対応していますし、段階的かつ体験的に学ぶことができます。
特に初心者の方の場合、何から学べば良いかわからない、何がわからないかわからないという段階でつまづいてしまうこともあるため、まずは教材の項目通りに一通り目を通し、過去問題やサンプル問題に再度挑戦して理解を進めていくと効率的です。
Progateやドットインストールなどのサービスを利用してみる
専門用語や知識的な部分は学べたけれど、やはりコンピュータやWebの仕組みについてよくわからない、プログラミングやアルゴリズムがわからないという方はProgateやドットインストールなどのサービスを利用してみるのもおすすめです。
試験範囲とは異なる部分であっても、楽しく学べるユーザーインターフェースや短い動画などで学んでいくことで、コンピュータやWebの知識が少しずつ身につくようになります。その上で公式で紹介されている教材を利用していけば、過去問題やサンプル問題にも挑戦しやすくなっていくでしょう。
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6.まとめ
今回は情報システム試験に関する基礎知識や詳細情報、情報システム試験の資格取得のメリット・デメリット、情報システム試験合格のための勉強方法についてお話ししました。
情報システム試験は初めてIT技術について学ぶ方にとって、最適な検定試験の一つと言えます。ただし、受験される方のIT技術に関する理解度がより深い場合は簡単に感じてしまったり、すでにエンジニアとして実務経験がある方の場合は実力の強いアプローチにならないこともあるため、受験をされる場合は十分に検討しましょう。
その上でまずは基礎知識を固めるために受験したいとお考えであれば、合格に向けて前向きに勉強を頑張ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。