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Linux mvコマンド完全ガイド|ディレクトリごとの再帰的移動と必須オプションを徹底解説

公開日:2025/05/15最終更新日:2025/05/18

mvコマンドは、Linuxシステム上でファイルやディレクトリの移動、名前の変更を行うための基本的ながら非常に重要なコマンドです。日々の開発作業やサーバー管理において、ファイル整理や構成変更を効率的に行う上で欠かせません。


しかし、mvコマンドはシンプルな操作性の反面、オプションの意図や挙動、特にファイル上書きに関する仕様を正確に理解していないと、誤操作によるデータ消失のリスクも伴います。


この記事では、mvコマンドの基本的な使い方から、複数ファイルやディレクトリの効率的な操作方法、主要なオプションの詳細、ワイルドカードを用いた応用テクニック、そして陥りやすい注意点まで、詳しく解説していきます。


Linux初心者から、よりコマンド操作を効率化したいエンジニアの方まで、実践的に役立つ情報を分かりやすくまとめました。


ぜひ最後までお読みいただき、mvコマンドに対する理解を深め、日々の業務にお役立てください。

1.Linuxのmvコマンドとは?

mvコマンドは、Linuxシステム上でファイルやディレクトリを移動したり、名前を変更したりするための基本的なコマンドです。


mvは "move" の略称であり、ファイルシステム内の整理に欠かせないツールとなっています。サーバー上のファイル管理や、開発プロジェクトのディレクトリ構成変更など、エンジニアが日常的に行う多くの作業でこのコマンドが活躍するはずです。


使い方をマスターすれば、ファイル操作の効率が格段に向上し、よりスムーズな作業が可能となります。Linux初心者の方でも、基本的な使い方から覚えればすぐに活用できる便利なコマンドでもあります。

2.Linuxのmvコマンドの使い方

mvコマンドの基本的な使い方は、以下の5つです。それぞれを解説していきます。

  • ファイルの移動

  • 複数ファイルを移動

  • ディレクトリごとの移動

  • ファイルの名前を変更する

  • ワイルドカードを使う

ファイルの移動

ファイルの移動はmvコマンドの最も基本的な使い方です。特定のファイルを別のディレクトリへ移したい場合に使用します。基本的な書式は以下のとおりです。

mv [オプション] <移動元ファイル名> <移動先ディレクトリパス>

実行後、指定したファイルは移動先ディレクトリ内に移されます。移動先にファイル名を指定することも可能で、その場合は指定した名前でファイルが移動先に作成される動きをします。この操作は日常的なファイル整理に用いられます。


実行例

# 例: カレントディレクトリにある report.txt を /home/user/documents/ へ移動

mv report.txt /home/user/documents/

複数ファイルを移動

複数のファイルをまとめて別のディレクトリに移動させたい場合もmvコマンドで対応可能です。一つずつ移動する手間が省け、効率的に作業を進められます。


書式は以下のとおりに移動したいファイル名をスペースで区切って並べ、最後に移動先のディレクトリを指定します。

mv <ファイル1> <ファイル2> ... <移動先ディレクトリ>

最後の引数が必ず移動先ディレクトリとなる点に注意してください。大量のログファイルや一時ファイルを整理する際に、この方法は特に役立ちます。


実行例

# 例: data1.csv と data2.csv を /backup ディレクトリに移動

mv data1.csv data2.csv /backup

ディレクトリごとの移動

ファイルだけでなく、ディレクトリとその中身を丸ごと移動する場合もmvコマンドを使用します。操作方法はファイルの移動とほぼ同じです。書式は以下のとおりです。

mv <移動元ディレクトリ名> <移動先ディレクトリパス>

この操作を行うと、指定したディレクトリ自体と、その中に含まれる全てのファイルやサブディレクトリが指定した場所へ移動します。


もし移動先に同名のディレクトリが存在しない場合は、移動元ディレクトリの名前が変更される形で移動が実行されます。プロジェクトフォルダの整理などで便利に使えるコマンドです。


実行例

# 例: /var/log/app_log ディレクトリを /mnt/archive/logs/ へ移動

mv /var/log/app_log /mnt/archive/logs/

ファイルの名前を変更する

mvコマンドは、ファイルやディレクトリの名前を変更するためにも使われます。これは、同じディレクトリ内で移動元と移動先を指定することで実現します。


書式は以下のとおりです。

mv <現在の名前> <新しい名前>

ディレクトリ名の変更も同様の書式で行えます。ファイル移動と同じコマンドで名前変更もできるため、覚えておくと非常に便利なコマンドです。


実行例

# 例: ファイル名を temp_file.txt から final_report.txt に変更

mv temp_file.txt final_report.txt


# 例: ディレクトリ名を project_old から project_final に変更

mv project_old project_final

ワイルドカードを使う

ワイルドカードは、ファイル名の一部が共通する複数のファイルを効率的に選択・操作するための特殊文字です。


mvコマンドと組み合わせることで、特定のパターンに一致するファイルをまとめて移動したり名前を変更したりできます。代表的なワイルドカードには以下のとおりです。

記号

説明

使用例

?

任意の1文字

# 例: ? (任意の1文字) - data1.log, data2.logなどをlogs/へ移動

mv data?.log logs/

*

0文字以上の文字列

# 例: * (0文字以上の文字列) - 拡張子が.txtの全ファイルをdocuments/へ移動

mv *.txt documents/

[…]

[]内に含まれる任意の1文字

# 例: [...] ([ ]内のいずれか1文字) - file1.txt, file2.txt, file3.txtをbackup/へ移動

mv file[123].txt backup/

[!…]

[]内に含まれない任意の1文字

# 例: [!...] ([ ]内に含まれない任意の1文字) - imagea.jpg, imageb.jpg, imagec.jpgを除く.jpgファイルをimages_etc/へ移動

mv image[!a-c].jpg images_etc/


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3.Linuxのmvコマンドのオプション

mvコマンドには、その動作をより細かく制御するための便利なオプションが用意されています。これらのオプションを使うことで、ファイルの上書き防止や、実行内容の確認といった操作が可能となり、より安全で確実なファイル管理が実現します。代表的なオプションとその機能を理解しておきましょう。

コマンド

説明

使用例

-b

上書きする場合、バックアップを作成する

mv -b old.txt new_dir/

-f

警告なしで強制的に上書きする

mv -f data.txt /tmp/

-i

上書きする前に確認メッセージを表示する

mv -i config.conf /etc/

-n

既存のファイルを上書きしない

mv -n *.log archive/

-v

実行した移動/名前変更の情報を表示する

mv -v report.doc reports/

-h

mvコマンドのヘルプ情報を表示する

mv –h/-help


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4.Linuxのmvコマンドを使う際の注意点

mvコマンドは非常に便利ですが、使い方を誤ると意図しないファイルの消失につながる可能性もあります。mvコマンドを使う上で特に注意すべき点を2つ解説します。

  • 上書きしないか確認すること

  • mvコマンドに再帰的にディレクトリを移動するコマンドはない

上書きしないか確認すること

mvコマンドの最も注意すべき点の一つが、移動先に同名のファイルやディレクトリが存在する場合の挙動です。


デフォルトでは、mvコマンドはユーザーに確認を求めることなく、既存のファイルを上書きしてしまいます。もし重要な設定ファイルなどを誤って上書きしてしまうと、システムの動作に支障をきたす恐れがあります。


このような事故を防ぐためには、-iの使用が有効です。


mv -i <移動元> <移動先> のように実行すると、上書きが発生する場合に事前に確認メッセージが表示されます。


また、絶対に上書きしたくない場合は -nを使えば、同名のファイルが存在する場合は移動を実行しません。移動前に ls コマンドで移動先の状態を確認する習慣も大切です。

 mvコマンドに再帰的にディレクトリを移動するコマンドはない

ファイルコピーコマンドであるcpには、-rや-Rといった、ディレクトリを中身ごと再帰的にコピーするためのオプションが存在します。しかし、mvコマンドにはこのような再帰移動を指定する専用のオプションはありません。


mvコマンドは、オプションを指定しなくてもデフォルトでディレクトリとその中身をすべて移動する動作をします。


mv <ディレクトリ名> <移動先>と実行すれば、特別なオプションなしでディレクトリが丸ごと移動されます。この挙動はcpコマンドと異なるため、混同しないように注意が必要です。


もし「ディレクトリの中身だけを移動したい」といった特定の操作が必要な場合は、mvとワイルドカードを組み合わせる(例: mv source_dir/* target_dir/)か、findコマンドなど他のツールとの連携を検討するようにしましょう。


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5.まとめ

今回は、Linuxのmvコマンドについて、基本的な使い方から便利なオプション、そして利用する上での注意点までをお話ししました。


mvコマンドは、Linux環境でファイルやディレクトリを移動したり、名前を変更したりする際に不可欠な基本的なコマンドです。ファイルの移動、複数ファイルの移動、ディレクトリ移動、名前の変更といった基本操作に加え、オプション、そしてワイルドカードを活用することで、ファイル管理作業をより効率的かつ安全に行えるようになります。


特に、意図しないファイルの上書きはデータ損失につながる危険があるため、-iオプションや事前のlsコマンドによる確認を習慣づけることが重要です。


mvコマンドがデフォルトでディレクトリを再帰的に移動する点も覚えておきましょう。この記事を参考にmvコマンドを使いこなし、Linuxでの快適なファイル操作を実現してください。


最後までお読みいただきありがとうございました。

本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。


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目次

1.Linuxのmvコマンドとは?

2.Linuxのmvコマンドの使い方

ファイルの移動

複数ファイルを移動

ディレクトリごとの移動

ファイルの名前を変更する

ワイルドカードを使う

3.Linuxのmvコマンドのオプション

4.Linuxのmvコマンドを使う際の注意点

上書きしないか確認すること

 mvコマンドに再帰的にディレクトリを移動するコマンドはない

5.まとめ