「プログラミング学習を効率化するのにアルゴリズムを勉強したい」「技術面接対策のためにもアルゴリズムへの理解を深めたい」とお考えではありませんか。
アルゴリズムはプログラマーやエンジニアの技術力の基礎として重要な考え方であるため、しっかりと理解を深めることで、技術の習得や実力の証明に役立つのは間違いありません。
本記事では、アルゴリズムを勉強したいとお考えの方のために、アルゴリズムに関する基礎知識やプログラミング学習への役立て方、大まかな勉強の流れや役立つおすすめのアプリやサイトについてお話ししていきます。
目次
1.アルゴリズムに関する基礎知識
はじめにアルゴリズムに関する基礎から理解を深めていただくために、そもそもアルゴリズムとは何か、前提として知っておくべき知識について解説します。
アルゴリズムとは
アルゴリズムとは、物事の始まりから終わりまでの流れを手順化し、手順通りに進める中で、条件によって分岐を繰り返したり、反復したりすることで効率的に問題の解決や目標の達成を行う考え方や仕組みを指します。
アルゴリズムは日常生活でも誰もが自然と利用している考え方であり、実はそう難しいものではありません。
例えば、ご飯を食べるために料理を作るという目的があり、その際の料理のレシピがアルゴリズムと言えます。材料をチェックし、材料がなければ買いに行き、材料が揃ったら下ごしらえを行い、必要な調味料を揃えて、フライパンで炒めたり、鍋で煮込んだりするなど、料理ができるまでの工程はアルゴリズムそのものです。
そのため、アルゴリズムはアルゴリズム的思考法として重視されることもあり、あらかじめ決められた手順やルーチンを効率化し、さらに必要な要素は省かないという判断ができることが、エンジニアとしての実力に直結すると言っても過言ではないでしょう。
データ構造との関係性
データ構造とは、プログラムが扱う情報を効率的に格納し、整理し、そしてアクセスするための「仕組み」や「型」のことです。具体的には、基本的な配列やリスト、スタック、キュー、さらには木構造やグラフといったより複雑なものまで、様々な種類が存在します。これらのデータ構造は、それぞれデータの追加、削除、検索など、特定のデータ操作に適した特性を持っています。
そして、データ構造は、アルゴリズムとプログラミングにおいて切っても切れない密接な関係にあります。アルゴリズムが問題を解決するための、処理の手順や考え方であるのに対し、データ構造はそのアルゴリズムが効率よく動作するためのデータの分類や並び方など、効率よく手順を進めるための道具のような役割と言えるでしょう。料理におけるレシピ(アルゴリズム)と、料理で必要な調理器具や食材の整理方法(データ構造)に例えると分かりやすいです。
そのため、アルゴリズムに適したデータ構造、もしくはデータ構造に合わせたアルゴリズムを考える必要があり、より効率的にアルゴリズムを構築するためには、データ構造についても理解を深めておく必要があります。
代表的なアルゴリズムの種類
ソートアルゴリズム(整列)
・バブルソート
・選択ソート
・挿入ソート
・マージソート
・クイックソート
・ヒープソート
探索アルゴリズム(検索)
・線形探索
・二分探索
・ハッシュ法
・木構造を利用したz探索(DFS・BFSなど)
文字列探索アルゴリズム
・総当たり
・KMP法
・Boyer-Moore法
上記は代表的なアルゴリズムの種類の一例です。
ソートは複数のデータを特定の基準で並び替えるアルゴリズム、探索は大量のデータから特定の条件に合うデータを見つけ出すアルゴリズム、文字列探索はテキストデータ中から特定の文字列パターンを見つけ出すアルゴリズムであり、最低限覚えておくべき基本のアルゴリズムと言えます。
あくまでこれらは一例であり、その他のアルゴリズムについても理解した上で使い分ける能力はエンジニアとしての実力の向上につながり、技術面接のアルゴリズムのテストでも良い結果を示せるようになるでしょう。
プログラミングにおけるアルゴリズム
プログラミングにおけるアルゴリズムとは、コンピューターに処理をさせるためのプログラムを作成する時の文法や記述ルールなどを指します。
そのため、アルゴリズムに関する理解が深まっておらず、プログラミング言語ごとの文法や記述ルールなど指示や手順を無視してしまうと、プログラムは正常に動作しません。同時に、動作しているように見えても何らかのバグを抱えていたり、実行速度が遅くなってしまったりするなど、プログラムとして不完全で低品質なものになってしまいます。
また、プログラミングの際にアルゴリズムを意識し、効率的なコードを記述できるかどうかが、エンジニアとしての市場価値に大きな差が出るということも覚えておきましょう。
アルゴリズムを学ぶための準備
エンジニアとしてアルゴリズムの理解を深めたいと考えている場合、アルゴリズムを学ぶための準備をすると効率的に学習できるようになります。特にアルゴリズムを通じてプログラミング力を高めたい、もしくはプログラミングの学習効率をアップしたい場合、プログラミングの基礎的な考え方も並行して学ぶのがおすすめです。
そして、プログラミングの基礎的な考え方を学ぶためには、IT技術に関する基礎的な技術を身につけておくことも重要になります。ITパスポート試験や基本情報技術者試験の参考書を手に取るなど、なぜアルゴリズムが必要かといった背景を学んでいくことが重要です。
2.アルゴリズムを理解してプログラミング学習に役立てるコツ
次にある程度の技術的な基礎知識を学び、アルゴリズムについても概要が把握できた方が、アルゴリズムへの理解を深めて、さらにプログラミング学習に役立てるコツについて解説します。
順次実行
プログラムのほとんどは、コンピューター処理を受け渡すための作業指示であり、コンピューターは渡されたプログラムを上から順次実行することで処理を進めていきます。
順次実行はプログラミングの基本原則の1つでもあり、初心者にとって理解しやすいのはHTMLやCSSといったマークアップ言語です。HTMLによって必要な文章および構造をブラウザやパソコンに伝え、CSSによって見やすい状態に装飾し、ホームページのバナーや画像などを読み込んでブラウザ上で表示することで完結します。
そのため、特にプログラミング言語が定まっていない状態であれば、簡単なHTMLやCSS、フリー画像などを用意し、文章を作成してブラウザ上で表示するといったことから始めてみても良いかもしれません。
分岐
順次実行する仕組みをある程度理解した場合、次は分岐による処理を行うプロセスを学ぶ段階です。分岐もコンピューターに対する作業指示であり、通常if文やswitch文で分岐を記述していきます。ユーザーからのアクションや渡されたデータを分岐の条件によって判断し、異なる複雑な処理を進めることができるようになります。
分岐の基礎を学びたい場合、エクセルやGoogleのスプレッドシートなどのIF関数を学んでみるのがおすすめです。任意のセルに入力した内容を元に、異なる記号を表示させてみたり、その条件を以上や以下、未満などで設定していくことで、1つの数式(関数)で異なる処理をすることが簡単に学べます。
また、条件が重なる場合は、入れ子構造のIF文を用いることで、複雑な処理を実現できます。書き分けられるようにすると、アルゴリズムへの理解も深まり、プログラミング学習をする上でも、分岐や判断する条件などを考えたり、読み解いたりする時に役立つようになるでしょう。
反復
順次実行され、分岐によって処理を変えることを覚えた後、次は反復を覚えていく段階です。反復は何度も繰り返すという作業指示であり、for文やwhile文によって実装され、同じ処理を効率的に繰り返したい場合に向いています。そのため、if文やswitch文などを経由することで、条件を満たすまで複雑な処理を続けることが可能です。
反復についての理解を深めるのに一番わかりやすいのは、スマートフォンなどのアラーム機能です。プログラミング学習の際にも重要な考え方でもあるため、反復の仕組みを理解し、for文やwhile文を使いこなせるようになることが、効率的なプログラムを書く上で非常に役立ちます。
分割モジュール化
「順次実行」「分岐」「反復」というアルゴリズムの3つの基本概念を理解したら、次はこれらを組み合わせたアルゴリズム自体を分割モジュール化する考え方を覚える段階です。
分割モジュール化についての理解を深めるのに役立つのが、CMSとしてホームページを動的に出力できるWordPressの仕組みに触れるのがおすすめです。Webサイトは、トップページ、会社概要ページ、お問い合わせページなど、複数のページで構成されています。
プログラミング学習においても同様であり、共通する部分を「部品(モジュール)」としてまとめておくことで、同じような記述を何度も繰り返す手間が省け、プログラム全体の管理や修正が非常に効率的になります。
実装テスト
アルゴリズムの3つの要素と、モジュール化の概念を覚えた後、次の段階は実際にアルゴリズムやプログラムを高度化して動かしてテストします。考えたアルゴリズムやプログラムが実際に動くのかをチェックする段階でもあり、正常に動作しているか、求めた結果が出ているのかなどをチェックし、必要に応じて修正を加えていく段階です。
分割してモジュール化するという考え方が役立つのもこの段階であり、一つ一つのモジュールが正常に動いていることを前提とし、動いていないモジュールを特定することでメンテナンスや修正がしやすくなります。
プログラミング学習においては、小さなアルゴリズムに応じたプログラムを作り、小さなプログラムの実装テストとデバッグの作業を進めていくことで、アルゴリズム理解は格段に深まり、プログラミングスキル全体の向上に繋がります。
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3.アルゴリズムを理解するための勉強方法の流れ
次に、アルゴリズムをより深く理解するための勉強の流れについて、どのように勉強する姿勢を身につけるべきかという視点で解説します。
情報収集する際のルールを決める
アルゴリズムを学ぶためには、情報収集を行う必要がありますが、誤った情報や古い情報、もしくは個人ごとの認識の違いなどを回避しなければ学習効率が落ちてしまいます。そのため、情報収集する際のルールを決めて、検索結果に出た情報を鵜呑みにしないよう注意しなくてはなりません。
情報収集する際のルールとしては、情報の正確性、情報の鮮度、情報発信元の信頼性、個人の主観による考え方を受け入れすぎないなどがあげられます。また、並行してプログラミング言語を学ぶ場合においても同様であり、プログラミング言語の開発元のソースやドキュメントを把握すること、個人が転記した内容をそのまま鵜呑みにせず、公式サイトなどの一次情報源を確認することも重視すると良いでしょう。
学びたいプログラミング言語を選ぶ
アルゴリズムを学ぶタイミングでは、並行してプログラミングも学ぶことが非常に効果的です。そのため、自分が将来どんなエンジニアになりたいのかをまずは模索し、その技術分野でどのプログラミング言語が適切かといった視点で探していきましょう。
また、プログラミング言語には学習難易度や学習効率の違いがあります。例えば、C言語やJavaなどは様々なアプリケーション開発に向きますが、初心者には難しいです。PythonやPHPなど、ドキュメントがしっかりしており、初心者でも学びやすいものから始めるといったことも視野に入れておいてください。
自分に合った学習教材を見つける
アルゴリズムやプログラミングを学ぶ場合、途中で挫折しないためにも自分にあった学習教材を見つけることが大切です。また、後述しますがオンラインで学べるアプリやサイトなど、視覚的にも楽しめるような学習教材を利用するのもおすすめです。
パソコンがない場合でも、タブレットがあればブラウザで表示して学べるサイトなどもあるため、直感的な操作で勉強を続けやすくなります。
書籍で学びたい場合は、発行年数や発売された時期が古すぎないこと、そして文章や構図などが自分の気に入る内容かをチェックしてみると良いでしょう。特に技術分野の著書を執筆している方は、様々なプログラミング言語などの本を執筆している可能性もあるため、読みやすく気に入った著者を見つけるとその後の学習効率も向上します。
専門用語や基本を覚えながら進める
アルゴリズムやプログラミングを学ぶタイミングで、よくわからなくて挫折する原因となるのが、専門用語の意味がわかっていないこと、考え方や仕組みの基本が身についていないことで、文章の説明に追いついていけなくなってしまいます。
解決策は簡単でわからない専門用語があったらすぐに調べること、基本についても認識が追いついていないと感じた時点で学び直すことが大切です。その場合も信頼できる情報源を参照し、いくつかのサイトで正確性をチェックしながら進めていくと間違えて覚えることが減ります。
実際に手を動かしながら学んでいくのがおすすめ
アルゴリズムをより深く理解するためには、プログラミングをしながら実際に手を動かして学んでいくことが一番大切です。選んだプログラミング言語に合わせて、開発に必要な作業環境と実行環境を用意し、プログラミングに必要なツールの使い方を覚えながら進めていきます。
開発環境が準備できたら、自分がコンピューターに何をさせたいのか、何を指示してどういった結果を出させたいのかをスタートからゴールまで決めた上で、その間に必要な処理を考えながら手を動かしてプログラミングしていきましょう。
まずは順次実行で文字列を表示するような出力で完結する基本から、簡単な分岐や反復などを組み合わせて、できることを増やしていくのが重要です。学習サイトなどを参考に、サンプルコードを実行して動作を確認することで、コードの読み方も自然と身につきます。
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4.アルゴリズムの勉強に役立つアプリ・サイト
最後にアルゴリズムの勉強に役立つアプリやサイトについて、パソコンのブラウザやタブレットなどで勉強しやすいものを中心にご紹介していきます。
Scratch
Scratchは子供向けのプログラミング学習教材であり、大人でも初心者の方なら十分に勉強する際の教材として役立つサイトです。公式サイトはブラウザでも動作するようになっており、タブレット向けのアプリも提供されています。Scratchは直接的にプログラミングをすることなく、直感的にブロックを組み合わせていくことで、自然とアルゴリズムの原理が身につくので非常におすすめです。
Scratchはサンプルコードとしてゲームや様々なプログラムが公開されているため、どのようなブロックの組み合わせでどういうアプリが作れるのかなどもチェックしてみるのも面白いです。
Progate
Progateはブラウザでプログラミングや開発の基本が学べる学習サイトであり、専用のアプリも提供されており、ブラウザやアプリだけで、コースやカリキュラムを進めていくことができます。また、サイトやアプリ内のみでコーディングができる環境を備えているため、開発環境を用意するのは難しい方にもおすすめです。
Web開発やHTML、CSSなどのコースや、多角的に技術分野に触れられるのも魅力であり、それぞれのコースを少しずつ進めていくことで達成感が得られるのも教材として役立つ理由です。
paizaラーニング
paizaラーニングは動画コンテンツが豊富な学習サイトであり、動画の視聴後に演習問題を解いていくことで効率的にアルゴリズムやプログラミングを学ぶことができます。アルゴリズムやプログラミングの学習は、主に文書などのテキストベースの教材が多いため、動画で視覚的に学べるのは継続的な学習効果が高いと言えるでしょう。
特に独学では自己管理が求められるため、モチベーションの維持が難しく、学習ペースが落ちてしまうことがあります。paizaラーニングであればスマートフォンなどでも気軽に動画を視聴できるため、ちょっとした時間の合間に勉強しながら、継続的に勉強する姿勢も身につくようになるでしょう。
AtCoder
AtCoderは競技プログラミングを基軸として、各種プログラミング言語を学べる学習サイトで、数多くの過去問が用意されているのが特徴です。アルゴリズム実技検定も実施しているため、過去問題や学習教材を活用することで、アルゴリズムについて学びやすく、身についた実力を証明することができます。
アルゴリズムやプログラミングの基礎が身につき、さらに実力を高めたい時におすすめのサイトでもあり、競技プログラミングに興味のある方は活用すべきサイトと言えるでしょう。ただし、初心者の方には難易度が高い可能性もあるため、過去問題を見て挫折しないよう、基礎を身につけてからの利用をおすすめします。
Qiita/Zenn
QiitaとZennはエンジニア向けのSNS、投稿サイトであり、企業や個人の様々なエンジニアが技術的な分野の情報配信を行っているサイトです。個人の主観のみの考え方は鵜呑みにすべきではないものの、どのように考えて理解に至ったかという視点、もしくはより高品質なプログラムを作るための取り組み方などの情報が手に入るため、精査しながら読み進めていくことでエンジニアとしての実力を高めることにつながります。
また、技術的なトレンドを把握するのに役立つサイトでもあるため、技術的な需要やリアルタイムで働くエンジニアの本音などを知りたい時にもチェックしてみても良いでしょう。特にエンジニアがどのような人がいるのか、自分でもエンジニアになれるのかと悩んでいるタイミングで、様々なブログ記事を読むと親近感がわき、エンジニアに対する敷居が下がる点もおすすめの理由です。
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5.まとめ
本記事では、アルゴリズムについての理解を深めたい方のために、プログラミングについても解説しながら、勉強する方法や考え方についてお話ししました。
アルゴリズムもプログラミングも少しずつ進めていくことで知識や技術を身につけていくことは十分に可能です。ただし、基礎を疎かにしてしまうと、前に進めないということも忘れないようにしましょう。
学習効率の向上や継続的な勉強姿勢を身につけることを意識し、理解したつもりのまま進めず、時には基礎を振り返りながら、反復的に実力を高めていくことが大切です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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