Pythonでのアプリ開発とは？開発できるアプリや手順、実用例、勉強方法までわかりやすく紹介

シンプルな構文
Pythonは他の言語と比べて、シンプルな構文です。
通常のプログラミング言語に比べて半分以下のコード量で処理の実現が可能にもなります。
高い汎用性
Pythonは、「Windows」「Mac」など複数のOSに対応が可能なため、WebシステムやAI開発などのさまざまな分野と環境での作業が可能になります。
豊富なライブラリ
Pythonは無償で提供されているため、企業や個人が便利機能をまとめたライブラリを多く提供しているのも特徴です。うまく活用することで多種多様なプログラムの作成ができます。

これらのおかげで初心者でも少ない学習時間でコードの理解やプログラミングが可能になります。

Pythonの用途

Pythonの主な用途には以下のようなものがあります。

AI（人工知能）技術の開発
データ分析やシミュレーション処理
Webアプリ開発
組み込みアプリ開発
自動化ツール開発

有名なのはAI（人工知能）ですが、多様なライブラリがあるため、アプリやツールの開発にも使用されることがある汎用性の高いプログラミング言語です。

Pythonでのアプリ開発のメリット

Pythonでアプリ開発を行う際にどのようなメリットがあるのかを紹介していきます。特徴とも関わってくるところが多いので注意して見ていきましょう。

構文がシンプルなため開発コストが低い

特徴でも紹介した通り、Pythonはプログラミング初心者でも習得難易度が低いプログラミング言語です。また、コード量も少なくすることもできるため、最小限のコストにおさえることも期待できます。

豊富なライブラリの中にはWebアプリやスマホアプリなどに特化した機能がまとめられているものもあるため、基本文法とライブラリの使い方を学ぶことで簡単にアプリの開発が可能です。

上記のようなメリットがある一方、Pythonはコンピュータが1行ずつ読み込みながら実行するインタプリンタ言語のため、処理速度が遅いというデメリットもあるため注意しましょう。

マルチプラットフォームへの対応

WindowsやMacなどで使用するアプリの開発はもちろん、「Android」「iOS」などのスマホでのアプリ開発もPythonは可能としています。また、スマホアプリの開発も行える「Kivy」というフレームワークとPythonを組み合わせたプログラムはそのままWindowsやLinuxなどの別のプラットフォームのアプリ開発に流用することも可能です。

Kivyの利用にはkv言語という専用の言語に関する勉強が必要ではありますが、「Android」「 iOS」アプリの開発に推奨されている「Kotlin」「Swift」を勉強するよりは楽になるでしょう。

AIによる時代の変化への対応力

一番のメリットといっても良いのが、「音声認識」「画像認識」「データ解析」などのAI技術との相性がPythonは良いという点です。すでに登場しているスマホやパソコンのカメラやマイク、センサなどを活用したAI技術を開発できるようになれば、Pythonで作成したアプリと連携させることもできます。

また、Pythonでのアプリ開発をきっかけとしてAI技術の学習や開発も進めておくことで、今後発展するであろうAI技術をスムーズに活用できるようにもなるでしょう。

しかし、ここで注意すべきなのはAI技術の学習コストが高いことです。AI技術を理解するためには統計学や「線形代数」「微積分」などの数学理論などの知識が必要になるため、かなりのコストを必要とします。Pythonでの開発にどの程度のコストを先行投資も含めてかけられるかを慎重に検討する必要があるでしょう。

2.Pythonアプリ開発でできること

ここではPythonのアプリ開発でできることについて、紹介していきます。一部はサンプルコードも付けていますので、参考にしてみてください。

初心者にもできるPythonアプリ開発

①Excel自動化

Pythonには「openpyxl」「pandas」などのExcelやCSVなどのファイルの読み込み・書き込み・加工・分析などの操作をまとめてくれているライブラリがあります。これ以外にもPythonは他ツールとの連携ができるライブラリが複数あるため、覚えておくと良いスキルです。

例えば、Excelファイルを読み込んでデータから合計金額や税金を計算して出力するようなプログラムを作成できます。

サンプルコードは以下の通りです。

準備：ライブラリのインストール

pip install pandas openpyxl

実際のコード

import pandas as pd

# Excelファイルを開く

df = pd.read_excel('sample_data.xlsx')

# 新しい列「tax price」を追加し、税込み金額を計算する（例：税率10%）

df['tax price'] = df['price'] * 1.1

# 新しい列「total price」を追加し、価格×個数で各商品の合計金額を計算する

df['total price'] = df['tax price'] * df['sale num']

# 合計金額を出力

total_sales = df['total price'].sum()

print(f’合計金額：{total_sales}’)

# 分析結果を含む新しいExcelファイルの保存

df.to_excel('analyzed_data.xlsx', index=False)

# 処理完了のメッセージ

print(‘処理完了。出力ファイル名： analyzed_data.xlsx’)

実行結果

合計金額：9020.0

処理完了。出力ファイル名： analyzed_data.xlsx

このようなプログラムを作って、ワンクリックで実行できるようにしておけば、業務の効率化も図れるでしょう。

②スクレイピング

スクレイピングとは、「Webサイトにある情報を取得・収集する作業」を指します。Webサイトによっては定期的に更新されることもありますが、更新の度に手動で取得していくのはかなりの手間です。

そこでPythonを使ったスクレイピング自動化が活躍します。

PythonではWebサイトのHTMLコードを取得し、その内容を整理することも可能です。Pythonプログラムを一定の間隔で実行するようにすれば、スクレイピング作業を自動化できます。

③電卓ツール

電卓ツールもPythonで簡単に作成可能です。

例えば、実行した際に数値や演算子の入力を求めて、「＝」などの特定の記号が入力された際に計算結果を出力するようなツールを作成できます。

サンプルコードは以下の通りです。

def calculation():

print("簡易電卓アプリケーションです。終了するには '=' を入力してください。")

result = float(input("数値を入力してください: "))

while True:

operator = input("演算子を選択してください (+, -, *, /, =): ")

if operator == '=':

print(f"計算結果: {result}")

break

elif operator in ('+', '-', '*', '/'):

number = float(input("数値を入力してください: "))

if operator == '+':

result += number

elif operator == '-':

result -= number

elif operator == '*':

result *= number

elif operator == '/':

if number != 0:

result /= number

else:

print("0で割ることはできません！")

continue

else:

print("無効な操作です。")

calculation()

実行結果

簡易電卓アプリケーションです。終了するには "=" を入力してください。

数値を入力してください: 1

演算子を選択してください (+, -, *, /, =): +

数値を入力してください: 6

演算子を選択してください (+, -, , /, =):

数値を入力してください: 4

演算子を選択してください (+, -, *, /, =): /

数値を入力してください: 2

演算子を選択してください (+, -, *, /, =): =

計算結果: 14.0

サンプルコードで登場している分岐処理の「if文」と繰り返し処理の「while文」はよく使用されるので覚えておくとさまざまな処理に使用できますが、「while文」は処理が重くなる原因にもなります。サンプルコードのような簡単な処理であれば、問題ありませんが複雑になればなるほど、処理が遅くなるため注意しましょう。

Pythonでの「Android」「iOS」アプリ開発

先ほども紹介した「Kivy」「Xcode」というツールなどを使用すれば、Pythonベースでの「Android」「iOS」向けのアプリ開発が可能です。

KivyはPython向けのGUIフレームワークで、「Android」「iOS」「Windows」などの複数のOSへ対応しているため、さまざまなプラットフォーム用のアプリ開発ができます。また、スマホアプリ用にマウスとキーボードだけでなくタッチパネルでの入力や操作にも対応しているため、活用方法さえわかれば楽に開発が可能です。

XcodeはApple社が製品用に開発した開発環境ツールなので、「iOS」「macOS」などのApple社製品で使用されているOSに対応しています。もし、AppleStoreへのリリースを考えている場合はこちらは欠かせないツールです。仕様上、Windowsのパソコンでは使用できないため、注意しましょう。

PythonでのWindowsなどで使えるGUIアプリ開発

先ほどの「Kivy」もそうですが、「tkinter」「PyQt」「WxPython」などGUIアプリを作成するのに便利なライブラリは複数存在します。

ちなみにGUI（Graphical User Interface）とは、「コンピュータやアプリなどを操作するための視覚的なインターフェース」のことです。

GUIライブラリでは以下のようなことができます。

ウィンドウ作成
ウィジェット（ボタンやラベル、テキストボックスなど）の追加と配置
ボタンなどの操作による動作（イベント処理）の設定

コマンドの実行やテキストベースでの手順を減らして、直感的な操作のアプリをライブラリの活用によって楽に実装することが可能です。

PythonでのWebアプリ開発

PythonでのWebアプリ開発には「Django」「Flask」を使用した開発が中心に行われます。

Django

「Django」はPythonで「AI機能のあるWebシステム開発で活用されているフレームワーク」です。「ECサイト」「ニュースサイト」「AIを積んだシステム」などの開発で使用されています。

人によっての設計思想やコードなどの違いが出にくく、大規模なWebシステムの開発では欠かせません。

「Web系のシステムで開発できないものはない」と言われ、AIも搭載できるため高度なシステム開発も可能で将来性もあるのが利点です。一方で習得難易度が高く、AI技術を活用したい場合はさらに学習が必要になるため、開発の規模が小さい場合やAIの活用を検討していない場合はコストに見合わない可能性があるので注意しましょう。

Flask

「Flask」はPythonでの「小規模なWebシステム全般で活用されるフレームワーク」です。「個人経営のECサイト」「個人ブログ」「中小企業の管理システム」などの開発で使用されています。

開発の際の自由度が高くカスタマイズもしやすいため、小規模で低コストの開発では「Django」より重宝されることもあるフレームワークです。

「Django」との違いは習得難易度の低さとAI活用の有無にあります。「Flask」は習得難易度が低く自由度が高い代わりに大規模なWebシステムには向きませんし、AIの搭載を前提としていないため、高度なシステム開発は難しいです。

これらのフレームワークを使いこなすことでWebアプリ開発もかなり楽に行うことができるでしょう。

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3.Pythonアプリ開発の手順

どのようなアプリの開発においても基本的な手順は同じで以下のようになります。

企画
設計
環境構築・開発
テスト
リリース

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①企画

「どのようなアプリを開発するか」を決める工程で「いつ、誰がどこで何のためにどうやって使うのか」などの利用者側のイメージを固めていきます。

例えば、「社員の勤怠管理をするアプリ」などの社内で使用するイメージなのか、「資格などの専門知識を勉強するためのアプリ」などの一般の方も使用可能なイメージなのかによって開発の仕方が違うのです。

社員向けの場合、社内のみで活用できるWebアプリや特定のOSでのみ使用可能にすることなど限定的な運用が考えられます。対して、一般向けの場合、「Android」「 iOS」向けのモバイルアプリでの開発か、Webアプリ開発かなどと利用できるOSや機器（PCかスマホか）をどうするかというように自由度は高いです。

利用目的などに合わせた適切な機能をしっかり検討すると良いでしょう。

②設計

設計では企画の内容をより現実的にしていく工程で「外部設計（基本設計）」と「内部設計（詳細設計）」に分けて考えていきます。

「外部設計」はその名の通り見た目や操作性などの利用者が目にする範囲の設計です。作成する画面の種類や画面ごとのレイアウト、ウィジェットの有無などの見た目に関する設計図を決めます。

「内部設計」は利用者にはほぼ見えない部分に関する設計です。画面などの操作がされた場合にどのような処理を行うかなどのアプリの作り込みに関する部分を決めます。

外部設計は利用者の評価に大きくかかわる部分なので、より使い勝手を良くするためにはどうすればよいかを考え、内部設計においてはより効率の良い処理をするための仕組みを考えられると良いでしょう。

③環境構築・開発

設計に基づいて、Pythonの環境構築と実際の開発をしていく工程です。

前述でもふれたようにWebアプリ開発ならば「Django」「Flask」、iOSアプリ開発を目指す場合、Pythonフレームワークの「Kivy」などが利用できます。この際、アプリケーションのビルドや実機への展開には、Appleの統合開発環境である「Xcode」が必要となる場合があります。Excelとの連携をするならば「pandas」などと開発のために用意する「フレームワーク」「ライブラリ」「ツール」などは違ってきます。そのため、開発するアプリに合わせた環境構築が必要です。

環境構築が完了した後の開発では設計でまとめた情報をもとに画面の作成、プログラミングなどを行っていきます。開発においては設計に間違いや不足している情報がない限りはスムーズに進められますが、つまってしまった場合は設計者への確認や情報収集を行って、確実に解決していきましょう。

④テスト

プログラミングや画面操作が正常であるかを確認する工程で、各機能ごとの動作確認と画面とプログラムの連携などをテストしていきます。ここで重要なのは「不具合」と「バグ」をリリース前に可能な限り解消しておくことです。

開発環境のツールなどにテスト機能などがある場合はその機能を使用し、ない場合はテスト用に環境を作成するなどして確認をしていきます。この工程が終わった後は実際にリリースのため、PC向けのアプリであれば「PC」、モバイル向けであれば「スマホやタブレット」、マルチプラットフォーム対応であれば「各種機器」での確認を行い、想定される操作における不具合やバグを解消しておきましょう。

⑤リリース

AppleStoreやMicrosoft Storeに公開する場合はそちらへの公開を行い、Webアプリであれば、対象のサーバーへのアップロードなどを行って、利用者が使えるようにしていきます。

もし、各種Storeなどへ公開する場合には審査項目が設けられている場合も多いため、しっかりと確認を行っておくことが必要です。

また、リリースして終了ではなく、実際に利用者からのレビューや問い合わせなどがあれば、その内容に応じた改善やアップグレードをしていきましょう。

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4.Pythonアプリ開発の実用例 6選

①Instagram

写真や動画などの投稿ができる「Instagram」において、画面操作に応じた処理を行うバックエンド（サーバー側）のプログラムで活用されています。「Django」が使用されたアプリの1つとしても有名です。

②Dropbox

オンラインストレージサービスである「Dropbox」では画面などのフロントエンド（クライアント側）とバックエンドの両方でPythonが活用されています。アプリ全体がPythonで開発されている珍しいアプリです。

③YouTube

動画配信サービスである「YouTube」でも「Django」を活用したPythonプログラムがバックエンドで使用されています。

④Spotify

音楽配信サービスの「Spotify」ではバックエンド側の開発だけでなく、データ分析においてもPythonを使用したプログラムを使用して開発されたアプリです。

⑤Evernote

ドキュメントの作成管理をクラウドサーバー上で行っている「Evernote」においても、Pythonが活用されています。クラウドサーバー上でデータを管理するため、PCやスマホなどのマルチプラットフォームに対応しているという面でも相性が良いのでしょう。

⑥Pinterest

共有された画像や動画のシェアやブックマークができるデータ共有サービスの「Pinterest」もPythonを使用して開発されています。Pythonで高速なレスポンスを実現するように開発された特殊なアプリです。

5.Pythonアプリ開発の勉強方法

Pythonアプリ開発の勉強方法①：スクールに通う

1つ目が「スクールに通う」です。

独学ではどうしても見落としがちな技術面や実務面での内容を経験豊富な講師がしっかりと教えてくれるため、確実なスキルアップを目指せます。

また、実際の開発プロジェクトに基づいた学習を提供してくれるスクールもあるため、プログラミンの学習と同時に開発現場での対処法を学ぶことも可能です。また、チーム単位での開発が多いため、コミュニケーションスキルに関しても養う機会を提供してくれることもあります。

キャリアアップや転職の支援をしてくれているスクールも多いため、スキル習得後の将来をしっかりと検討することができるでしょう。

Pythonアプリ開発の勉強方法②：学習サイトの活用

2つ目が「学習サイトの活用」です。

Pythonに限られた話ではありませんが、「paizaラーニング」「Progate」「ドットインストール」といった無料で基礎を学ぶことができて、有料コンテンツではアプリ開発やAI開発に関する講座も用意されている学習サイトがあります。

説明動画と実践的な学習を組み合わせているものも多く、Pythonの実行環境を構築せずとも学ぶことができるものもあるため、おすすめです。

Pythonアプリ開発の勉強方法③：本で学ぶ

3つ目が「本で学ぶ」です。

Pythonでのアプリ開発を学ぶ際に書籍は実践的な知識を身につけるのに適しています。初心者向けのものでは、「変数」「繰り返し処理」「条件分岐」などをわかりやすく解説してくれているため、着実にプログラミングスキルを高められるでしょう。

応用レベルになってくると、現場で求められる以下のスキルについても学べます。

Webアプリの開発
データベースやサーバー側の操作
APIの利用方法

具体的なプロジェクトや演習用の例題が記載されているため、Pythonの実行環境を用意して、実際にプログラミングしながら学ぶことが可能です。学習サイトなどと違って説明動画などはない代わりに、体系的に学習を進めることができます。

自分のスキルやペースに合わせた書籍を選ぶことで段階的なスキルアップが期待できるでしょう。

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6.まとめ

本記事ではPythonでのアプリ開発について、開発可能なアプリの種類や事例などを中心に紹介していきました。アプリを利用するOSなどによって使用するフレームワークやライブラリなどが変わるため、目的に合わせた使い分けを知ることが大切です。

Pythonは習得難易度が低くさまざまなアプリ開発が可能ではありますが、「音声認識」「画像認識」「データ解析」などの高度な技術を必要とする場合は相応の学習が必要になります。また、フレームワークやライブラリにおいても利用目的に対してオーバースペックのものを選ぶと開発コストを上げる原因にもなるため注意しましょう。

本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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