「マルチメディアについて詳しくなりたい」「デジタルコンテンツの基礎を身につけたい」とお考えであれば、マルチメディア検定の合格に向けて勉強してみてはいかがでしょうか。
マルチメディア検定を通じてIT技術に関する基礎を学ぶことで、エンジニアやクリエイターのキャリアプランが出られるようになるので非常におすすめです。
今回はマルチメディア検定に関する基礎知識や詳細情報、マルチメディア検定の資格取得のメリット・デメリット、マルチメディア検定合格のためのおすすめの参考書や対策法についてお話します。
目次
1.マルチメディア検定とは
マルチメディア検定とは、公益財団法人画像情報教育振興協会(CG-ARTS)が実施するマルチメディアに関する知識やスキルを問う資格試験です。マルチメディアとデジタルコンテンツを基軸として、ITやWebも含めて幅広く出題される検定試験と言えます。
初めて検定試験を受ける方やITの基礎から学びたいという方に向いており、基礎的な用語の理解から、関連する技術がどのように社会で活用されているかが把握できるのが利点です。ただし、難易度が低いというわけではないため、しっかりと勉強しないと合格できないということは覚えておきましょう。
ベーシックで基礎の基礎を学び、エキスパートでさらに高度なスキルを深掘りできる段階的な学習が可能です。ITやWeb分野、エンジニアやクリエイター、デザイナーとして活躍したい方におすすめです。
2.マルチメディア検定試験の詳細情報
次にマルチメディア検定試験の詳細情報について解説します。
マルチメディア検定の詳細
試験名 | ベーシック | エキスパート |
---|---|---|
試験会場 | 北海道・宮城県・栃木県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・静岡県・愛知県・石川県・京都府・大阪府・兵庫県・広島県・愛媛県・福岡県・沖縄県 | |
試験日時 | 前期:2024年7月14日(日) (申込受付:2024年4月1日~6月7日) 後期:2024年11月24日(日) (申込受付:2024年9月2日~10月18日) | |
試験時間 | 10時〜11時 | 13時〜14時20分 |
出題形式 | マークシート | |
出題数 | 10問 | |
合格基準 | 100点満点中70点(難易度によって多少変動) | |
受験料(税込) | 5,600円 | 6,700円 |
受験資格 | 特に制限なし | |
受験時の必須持参物 | 受験票、写真付身分証明書(パスポート・運転免許証など)、筆記用具 | |
試験結果 | 試験日の約30日後にCG-ARTSの公式サイトにて発表 結果通知及び合格証は試験日より約60日後登録住所に発送 |
上記はマルチメディア検定の詳細です。ベーシックとエキスパートは同じ日に受験することができます。どちらも出題数は10問、おおよそ7問以上の正解で合格することが可能です。今のところ年2回の開催になっているため、勉強計画を練る時は申し込み受付と試験日の両方を加味した上で精査するようにしましょう。
マルチメディア検定の出題範囲
・ベーシック
マルチメディアの特徴 | アナログとディジタル 人間の感覚 ヒューマンインタフェース |
コンテンツ制作のためのメディア処理 | ファイル 文書の作成 音声 画像 動画 3次元CGのしくみ Webページの作成 |
マルチメディア機器 | マルチメディアを扱う端末 コンピュータの構成 オペレーティングシステム |
インターネット | インターネットのしくみ インターネット接続環境 モバイルデータ通信サービス |
インターネットで提供されるサービス | WWW(World Wide Web) 電子メール コミュニケーションツールやサービス |
インターネットビジネス | オンラインショッピング キャッシュレス決済 金融サービス クラウドサービス コンテンツ配信 広告とマーケティング |
ディジタルとネットワークの 活用で変わるライフスタイル | 加速する社会のディジタル化 企業が進めるディジタル化 教育現場のディジタル化 情報家電 |
社会に広がるマルチメディア | 放送(ブロードキャスト) 暮らしと生活 交通 ロボット 文化と学術 行政 医療 |
セキュリティと情報リテラシ | 安全な通信のためのしくみ セキュリティ 情報リテラシ 知的財産権 |
参考元:マルチメディア検定ベーシック
上記がマルチメディア検定ベーシックの出題範囲です。マルチメディアを基軸として幅広く技術的な基礎がしたい範囲に含まれており、マルチメディア以外の部分についてもかなりの領域を学ぶことができます。
基礎的な知識である反面、きちんと理解していないと合格することは難しいため、用語の一つ一つをしっかりと理解していきましょう。特に日々の生活の中で触れる技術については、なんとなく理解しているもののよく分かっていないものもありますので、照らし合わせながら知識を習得していくことが大切です。
・エキスパート
人間の知覚と ヒューマンコンピュータインタラクション | 情報の伝達とメディアの役割 感覚と知覚 視覚 聴覚 触覚・力覚 感覚間相互作用 記憶と学習 コミュニケーションのしくみとデザイン ヒューマンコンピュータインタラクション |
マルチメディアの処理技術 | マルチメディアの特徴 文書 音声と音響 色 画像 図形 3次元CG 映像とアニメーション |
コンピュータのしくみと技術 | ハードウェア ソフトウェア 仮想化 |
インターネット | インターネットのしくみ インターネットの接続と利用 固定通信による接続 モバイル回線による接続 |
安全な通信のためのしくみと情報セキュリティ | ネットワークセキュリティと情報セキュリティ ネットワークの安全な通信 情報システムの防御技術 ネットワークの安全な接続 情報の管理 情報セキュリティのリスク 情報セキュリティ対策 |
マルチメディアアプリケーションの実現 | アプリケーションの目的/要素技術/構成/開発/運用 |
インターネットの応用 | Web コミュニケーションツールやサービス コンテンツ配信 ディジタル化による情報の共有 オンラインショッピング キャッシュレス決済と金融サービス Webマーケティング |
社会に広がるマルチメディア | 放送 個人間の通信 エンタテインメント 流通 交通 生活を支援するサービスロボット 行政 文化と学術 |
情報リテラシと知的財産権 | 情報リテラシ 知的財産権 著作権 産業財産権と不正競争防止法 |
参考元:マルチメディア検定エキスパート
上記がマルチメディア検定エキスパートの出題範囲です。ベーシックよりさらに深く踏み込んだ理解が必要になっており、技術領域についてもさらに広くなっている形となります。まだまだ基礎的な部分であるものの、範囲が広くなっていることから、覚えることがたくさんある点に注意が必要です。
マルチメディアの知識を習得するという意識を持つとともに、ITやWebの技術がどのように世の中に浸透しているのか、どのような形で役立っているのかという視点を持つと覚えやすいかもしれません。自分自身も含めて、世の中を便利にしている技術について学ぶということ、そして実際に自分自身がそれらの技術を活用できるというイメージを持つと良いでしょう。
マルチメディア検定の受験者数・合格率・難易度
レベル | 応募者 | 合格率 | |
---|---|---|---|
2024年度[前期] | ベーシック | 683 | 64.7% |
エキスパート | 544 | 26.3% | |
2023年度[後期] | ベーシック | 1,348 | 60.9% |
エキスパート | 470 | 20.2% | |
2023年度[前期] | ベーシック | 713 | 63.3% |
エキスパート | 663 | 23.0% | |
2022年度[後期] | ベーシック | 1,470 | 69.0% |
エキスパート | 311 | 41.7% | |
2022年度[前期] | ベーシック | 943 | 65.8% |
エキスパート | 578 | 24.8% |
(参照:https://www.cgarts.or.jp/v1/kentei/result/passing.html)
上記がマルチメディア検定の受験者数と合格率です。過去5回分を平均してベーシックが約65%前後、エキスパートは約27%程度であり、問題数は少ないもののエキスパートの合格は容易ではないでしょう。
ただし、年2回の開催ということもありベーシックとともにエキスパートも受験している方がいらっしゃることも考えられます。理解が深まらないけれど応募した以上は受験したという方もいることが推測できるということです。
マルチメディア検定のベーシックは、過去問題をいくつか見たところ基本的な専門用語を理解していれば答えられる問題、イメージ図などを見て何を示しているかを答えられる問題などがありました。
参考書や専門書などで写真などのイメージや画像の加工に関しても学んでおかないと答えることが難しいため、出題範囲の専門用語を覚えるだけでなく、具体的にどんな意味なのかのイメージをつかむことが求められます。
マルチメディア検定のエキスパートは、同じく過去問題をいくつか見たところ、専門用語の理解は前提として、関連する技術についても理解がないと答えることが難しい問題ばかりです。あくまでも基礎的な専門用語、基礎的な技術の知識が問われる問題ではあるものの、初学者の方では簡単に合格できない可能性があります。
合格率が低い原因であると推測できるため、参考書やテキストを見て終わりということではなく、過去問題をいくつか解いてみて、分からないところは情報収集を行いながら理解を深めていきましょう。
マルチメディア検定全体の難易度としては、ベーシックの難易度はITパスポートと同程度、もしくは易しいと推測されます。一方、エキスパートの難易度は基本情報技術者試験よりやや高いと推測されます。
しかし、やはり個人ごとのITに関する知識の習得度合いによって難易度が異なるということは覚えておいてください。
マルチメディア検定の申し込み手順
インターネットで申し込む場合
CG-ARTSの「インターネットで申し込む」ボタンから受験者登録を行う
受験申し込みを行う
クレジットカード、コンビニ、ゆうちょ銀行のいずれかで支払う
登録したメールアドレスに受付完了メールが届く
指定された日時場所で受験する
郵便局で申し込む場合
郵便局備え付けの「払込取扱票」に必要事項を記入する
郵便局で受験料を支払うことで出願が完了
記入したメールアドレスに受付完了メールが届く
指定された日時場所で受験する
上記がマルチメディア検定の申し込み手順です。日時については年2回でほぼ決まっていますが、場所場所についてはお住まいの地域によって異なるため、よく分からない時は問い合わせをして必ず確認しましょう。
マルチメディア検定の有効期限
マルチメディア検定には特に有効期限は設定されていません。一度取得すれば就職や転職、案件への応募などのタイミングでアピールポイントとして利用できるということです。ただし、情報処理に関する技術については、日々進化しているため、自分自身の知識とスキルのアップデートをすることを忘れてはなりません。
IT技術の領域においては、時間の経過とともに情報が古くなり、陳腐化してしまうということを覚えておきましょう。同様に新しい情報を常に得ようとする姿勢を持つことで、自分自身の成長につながり、新しい知識やスキルの習得につながるということも知っておいてください。
マルチメディア検定の勉強時間
マルチメディア検定の勉強時間は、初めて検定試験に挑戦する方を基準とし、それぞれの出題範囲を加味した場合、ベーシックで50時間から100時間、エキスパートで80時間から120時間と推測されます。あくまでも目安ですので、過去問題などを解き自分の理解度を把握した上で勉強計画を立てるようにしましょう。
ITパスポートの資格をすでに取得しているような方の場合はベーシックで30時間から50時間、エキスパートで50時間から100時間ほどと考えておき、その他の資格の取得と並行して勉強する場合の目安にしてみてください。過去問題が難なく解けるようであれば、ベーシックとエキスパートの両方を一度に受験することを検討してみても良いでしょう。
3.マルチメディア検定の資格取得のメリット
次にマルチメディア検定の資格取得のメリットについて解説します。
マルチメディアに関する知識が身につく
マルチメディア検定の資格取得のメリットとして、マルチメディアに関する知識が身につくことが挙げられます。ITやWebの技術で人の目に触れるもの、人に触ってもらえるもののほとんどはマルチメディアであり、検定の合格に向けて学ぶことで、関連する技術について理解が深まり、様々な領域で活躍できる基礎が身につくということです。
エンジニア、デザイナー、クリエイターなどの職種、その他にも業界や業種問わずにマルチメディアやデジタルコンテンツが必要不可欠であることを考えると、まずはしっかりと基礎を身につけ、さらに成長できる土台が作られるようになるのは重要だと覚えておきましょう。
ITやエンジニアの入門として挑戦しやすい
マルチメディア検定の資格取得のメリットとして、ITやエンジニアの入門として挑戦しやすいことが挙げられます。問題数は10問、マルチメディアに特化しつつも、出題範囲が広いということも加味したとしても、集中して勉強すれば合格できる可能性が高いのが理由です。
また、マルチメディア検定について勉強し、合格することで成功体験を得られるのも非常に大きなメリットと言えます。同様に何度か試験に落ちてしまったとしても、諦めずに挑戦する姿勢が得られるようになれば、自分自身を成長できるというスキルも身につくため、合格できるまで諦めないようにしましょう。
将来的なキャリアプランを計画しやすくなる
マルチメディア検定の資格取得のメリットとして、将来的なキャリアプランを計画しやすくなることが挙げられます。マルチメディアやデジタルコンテンツといったITに関する基礎が学べることで、どのような技術があり、どのような職種に通じているのか理解が深まるのが理由です。
特にIT関連の技術職の場合、どの技術がどんなキャリアに結びついているのかなかなか見えにくいため、どう学んだら良いか悩むことがあります。マルチメディア検定について勉強しながら、少しずつ基礎的な技術について理解を深めることで、その他の技術領域についての視野も広がり、自分自身のキャリアが描きやすくなるでしょう。
4.マルチメディア検定の資格取得のデメリット
次にマルチメディア検定の資格取得のデメリットについて解説します。
基礎的な知識を学ぶ検定である
マルチメディア検定の資格取得のデメリットとして、基礎的な知識を学ぶ検定であることが挙げられます。例えば、エンジニアやクリエイター、デザイナーになりたいと考えている場合において、マルチメディア検定の知識やスキルだけでは足りないということです。
しかし、ITに関する基礎が全く身についていない方の場合、基礎的な知識を学ぶ検定試験としてはベストであるのは間違いありません。まずはマルチメディア検定、次に別の資格を取得するという形で自分自身を成長させるチャンスの入り口として前向きに勉強に取り組んでいきましょう。
マルチメディア検定単体では評価されにくい
マルチメディア検定の資格取得のデメリットとして、マルチメディア検定単体では評価されにくいことが挙げられます。マルチメディア検定は、マルチメディアやデジタルコンテンツを基軸とした出題範囲であるのが理由です。
そのため、マルチメディア検定だけでなく、ITパスポートや基本情報技術者などの資格の取得を目指してアピールポイントを増やすと良いでしょう。例えば、CG-ARTSが実施しているCGクリエイター検定やCGデザイナー検定などの合格を目指して勉強し、さらに基礎的な知識を身につけていくのもおすすめです。
民間資格であり、免許や認可ではない点に注意
マルチメディア検定の資格取得のデメリットとして、民間資格であり、免許や認可ではない点が挙げられます。運転免許証や弁護士資格のように、資格を取得していなければ何らかの作業や業務ができないといったようなものではないということです。
ただし、マルチメディア検定の合格に向けて勉強することは決して無駄になりません。基礎的な知識であるということは着実に覚えておくべき内容でもあるため、曖昧に理解するよりも、公式の参考書などでしっかりと学んだ方が間違いがないということです。
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5.マルチメディア検定合格のためのおすすめの参考書や対策法
次にマルチメディア検定合格のためのおすすめの参考書や対策法について解説します。
公式で紹介されている書籍や参考書を利用する
マルチメディア検定の合格のために公式で紹介されている書籍や参考書を利用するのがおすすめです。出題範囲が含まれているため、効率よく理解を深めていくことができます。また、参考書をもとにインターネットで調べ物をする場合は、情報源が信頼できるかどうか、時系列的に最新の情報かどうか精査しましょう。
同じく、公式でない参考書を利用する場合においても、情報が古すぎないかどうか、自分にとって読みやすい文章や図形などが用いられているかどうかなどをチェックし、参考書とともに技術者なども少しずつ読み解いておくことをおすすめします。
ITパスポートの参考書なども読み解くと理解が早くなる
マルチメディア検定について学び始めていくと、ITに関する基礎が足りずに勉強が進まないことがあります。その場合はITパスポートの参考書なども読み解くと理解が早くなるのでおすすめです。時間的な余裕によっては、マルチメディア検定の勉強とともに、ITパスポートの勉強も進めていくことで、情報処理技術に関する基礎が身につきやすくなります。
ITに関する用語は普段見慣れないものもありますし、漢字、カタカナ、英語、英語の略称など様々ですので、覚えるのも大変です。そのため、用語単体で覚えるのではなく、関連する技術なども合わせて見ていく方が覚えやすいですし、体系的に知識が身についていくようになります。
過去問に挑戦して理解度に合わせて勉強計画を練る
マルチメディア検定のためには過去問に挑戦して、自分の理解度に合わせて勉強計画を練ることが大切です。特に初めて資格試験に挑戦する方の場合、勉強時間の作り方がわからない、自分自身の勉強効率がわからないことがあります。
同じ1時間でも人によって理解できるペースが違うと言ったことをまずは覚えておきましょう。過去問や参考書を見ても全くわからないといったような場合は基礎的な用語を覚えて、関連する技術領域についても学び、読み解けるようになってから学習計画を練った方が効率的です。
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6.まとめ
今回はマルチメディア検定に関する基礎知識や詳細情報、マルチメディア検定の資格取得のメリット・デメリット、マルチメディア検定合格のためのおすすめの参考書や対策法についてお話ししました。
マルチメディア検定はIT技術の基礎から、多種多様なデジタルコンテンツの仕組みが理解できるような出題範囲になっています。初めて資格試験に挑戦する方でも、ベーシック、エキスパートと段階的に学ぶことで基礎的な用語や技術について理解が深まり、その他の資格試験にも挑戦できるようになるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。