フリーランスの引っ越しに関し「フリーランスは引っ越しできないって本当?」「フリーランスが引っ越すときはどんな手続きが必要?」などの疑問を持っている方もいらっしゃることでしょう。フリーランスの方は正社員と比べて賃貸契約の審査が厳しいことがあり、引っ越しが難しいと感じることがあるかもしれません。
そこでこの記事では、フリーランスが引っ越しの際に審査を通りやすくするためのポイントや必要な手続きについて詳しく説明します。引っ越しを検討しているフリーランスの方はぜひ参考にしてください。
目次
1.フリーランスは賃貸の審査に通りにくい
フリーランスは正社員と比べて賃貸の審査が通りにくいとされています。特に独立して1〜2年目のフリーランスはさらに注意が必要です。
フリーランスが賃貸の審査に通りにくい主な理由は収入が不安定であるためです。会社員のように毎月安定した収入が得られないフリーランスは、家賃の支払い能力に疑問を持たれてしまうことが少なくないとされています。
またフリーランスを受け入れないオーナーもいるため、物件の選択肢が正社員よりも限られることもあります。さらに保証人を求められるケースも多く、その手続きやコストにも注意が必要です。
2.フリーランス初年度の賃貸物件借り入れのポイント
フリーランスとして入居審査を通過するためには、過去の収入を証明できることが重要なポイントとなります。それでは独立1年目のフリーランスはどのように対応すべきでしょうか。
初年度は審査が通常よりも厳しいことがある
フリーランス1年目は過去の収入を証明する手段がないため、通常よりも審査に通りにくいと言われています。前年の実績がなく過去の職歴も審査の基準にならないため、特に入居審査に対して対策が必要であるといえます。
初年度でも賃貸物件を借り入れることが可能な場合
1年目のフリーランスでも賃貸物件を借りられるようにするためには、大家さんに十分な支払い能力を示すことが重要です。例えば家賃の6ヶ月~1年分に相当する貯金があれば、支払い能力があると認められるケースなどが見受けられます。
ただし最終的な判断は貸し手側の基準によります。そのためフリーランスに理解のある貸主を見つけることが大切です。
不動産会社の中には、フリーランス向けのサービスを提供しているところもあります。このような不動産会社が扱う物件にはフリーランスに理解を示す大家さんもいるので、利用を検討してみるのも良い方法であるといえます。
フリーランスの引っ越しは会社員より手続きが多い
フリーランスが引っ越しをする際は、会社員よりも手続きが多く手間がかかることに注意が必要です。
会社員の場合は社会保険料・所得税・年金の支払いを会社が給料から天引きしてくれます。しかしフリーランスはすべて自分で対応しなければならず、引っ越し時には住所変更に伴うさまざまな手続きが必要です。
特に確定申告や税金関連の手続きは個別の事情に応じて対応が異なるため、注意が必要です。
手続きを簡単にするためにマイナンバーカードの利用が役立つ場合があるので、まだ作成していない方はこの機会に作成するとよいでしょう。
またクライアントへの住所変更の連絡など、業務上必要な対応も忘れずに行う必要があります。
3.フリーランスが賃貸の審査に通りやすくする方法
フリーランスは収入が不安定なため、賃貸の審査に通りにくいことに注意が必要です。
ここでは、フリーランスが引っ越し時に賃貸の審査を通過しやすくするための方法を紹介します。
家賃を月収の20~25%以内に抑える
家賃を月収の20~25%以内に設定することで、審査に通りやすくなる可能性があります。一般的には家賃は月収の30%以下が目安とされています。
しかしフリーランスの場合は、より厳しく見積もり低い割合に設定しておくのが賢明です。
フリーランスが賃貸の審査に通りにくい主な理由は収入の不安定さから家賃の支払い能力が疑問視されるためです。そのため家賃を低めに設定することで、審査のハードルが多少下がります。
また誰かと一緒に住む場合、その人の収入と合算して審査してもらえることがあります。合算する相手が安定した収入を持っていれば、審査に通りやすくなるでしょう。
収入や預貯金を証明する書類を提出する
収入や預貯金残高を証明する書類を提出することは有効な手段の一つです。
月収が安定していることや仮に収入が不安定になった場合でも支払い能力が十分にあることを示すことができれば、信頼度が増します。
提出する書類の例としては、以下のものがあります。
収入証明書(住民税課税証明書)
残高証明書(または預金通帳の写し)
課税証明書
確定申告書の写し
どうしても審査に通りたいからといって虚偽の書類を提出するのは絶対に避けましょう。信頼を失うことになり、仮に契約ができたとしても解約されるリスクがあります。
収入が安定した連帯保証人や保証会社をつける
収入が安定している連帯保証人をつけることも一つの選択肢です。信頼性の高い保証人がいると、家賃の支払い能力に若干の不安があっても審査に通りやすくなります。
会社員など安定した収入が期待できる人に依頼するのが望ましいです。例えば同じ会社で長期間働いている人は、特に信用度が高いと見なされます。
保証人をお願いする際には事前に必ず了承を得るようにしましょう。
保証人が見つからない場合は、保証会社の利用を検討することをおすすめします。ただしすべての物件で保証会社が利用できるわけではないので、その点には注意が必要です。
関係者に好印象を与える
関係者の印象も実は重要なポイントです。賃貸契約の審査では収入・人間性・身だしなみ・マナーなども重視されます。
収入が高くても人としての信頼性に欠けると判断されれば、審査に通らない可能性があります。
不動産会社・管理会社・オーナーなど関係者に良い印象を与えるためには、言葉遣いや振る舞いにも気を使う必要があります。
審査不要の知り合いの物件やシェアハウスを検討する
もし審査に通過できない場合には、物件を探す方法を工夫してみるのも一つの手です。たとえばフリーランス向けの賃貸契約に特化した不動産会社や知人経由で物件を探したり、シェアハウスなど審査が不要な住居も検討することができます。
シェアハウスの場合は、年齢や性別など別の条件が設定されていることがあります。また一部の人にとってはシェアハウスでの生活が合わないこともありますので、審査が不要であるだけでなく不動産会社のアドバイスも聞いた上で慎重に選択することが重要です。
4.フリーランスの引っ越しに必要な手続き
フリーランスが引っ越す際には、多くの手続きが必要になります。会社員と比べると手続きが煩雑になることがありますので、すべての手続きに漏れなく対応するよう注意しましょう。
住民票の移動
引っ越しの際には住民票を移動させる必要があります。会社員であろうとフリーランスであろうと、自治体に引っ越しを届け出て新しい住所を登録する必要があります。
住民票の移動手続きは、引っ越しの際に同じ自治体内で行う場合と別の自治体へ移る場合とで異なります。
同じ自治体内で引っ越す場合は「転居届」を提出することで手続きが完了します。
別の自治体に引っ越す場合は転居前の自治体に「転出届」を提出し、転居後の自治体に「転入届」を提出する必要があります。
引っ越し後はマイナンバーカードの住所変更も必要です。マイナンバーカードをお持ちの場合オンラインで手続きが可能な場合もありますので、各自治体のウェブサイトで詳細を確認してください。
国民年金の住所変更
人によっては国民年金の住所変更手続きが必要になる場合があります。
マイナンバーと基礎年金番号が結びつけられている被保険者については通常、住所変更に関する届出は不要です。しかしマイナンバーと基礎年金番号が結びついていない場合は、自治体に「変更届」を提出する必要があります。
マイナンバーを有効に活用することで手続きの手間を減らすことができるので、未対応の方はこの機会に検討してみると良いでしょう。
国民健康保険の住所変更
国民健康保険の住所変更もフリーランスにとって必要な手続きの一つです。フリーランスが加入する健康保険は基本的に「国民健康保険」または「任意継続健康保険」のいずれかです。
加入している健康保険によって手続きが異なりますので、注意が必要です。
国民健康保険に加入している場合に引っ越しする際の手続きは同一自治体内での引っ越しと別の自治体への引っ越しで異なりますので、注意してください。
同一自治体内で引っ越す場合は「住所変更届」を提出する必要があります。別の自治体へ引っ越す場合は、まず引っ越し前の自治体で「資格喪失手続き」を行います。
そして引っ越し後の自治体で「加入手続き」を行う必要があります。
また会社員からフリーランスに転身した場合には任意継続中も考慮する必要があります。例えば協会けんぽの場合は都道府県内での引っ越しと都道府県外への引っ越しで必要な手続きが異なります。
具体的な手続きについては保険協会に確認することをおすすめします。
個人事業の開業・廃業等届出書
対象税目:所得税
提出期限:事業の廃止または事務所等を移転した日から1カ月以内
内容:事業の廃止または事務所等の移転があった場合の届出
個人事業の開業・廃業等届出書は引っ越しにより事務所の所在地が変更されたことを通知する書類です。フリーランスとして事業を開始する際に提出したという記憶がある方もいるでしょう。
事業内容や開業日などは同様の内容で問題ありません。移転先の事務所の住所を記入することで、変更手続きが完了します。
提出先は移転後の所在地の税務署です。提出期限は移転後の事業開始日から1カ月以内です。
事業所に関する変更なので、自宅のみを引っ越す場合はこの書類は不要です。自宅兼事務所(事業所)として仕事を行っている場合は必ず提出する必要があります。
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届
対象税目:源泉所得税
提出期限:移転または廃止の日から1カ月以内
内容:給与などの支払いを行う事務所を移転または廃止した場合(「個人事業の開廃業等届出書」を提出した場合を除く)
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届はフリーランスが従業員に給与を支払っている際に必要な書類であり、支払い場所の変更を通知します。提出先は移転後の納税地の税務署であり、提出期限は移転した日から1カ月以内です。
従業員を雇っている場合はこの書類に加えて、「適用事業所 名称/所在地変更(訂正)届」や「健康保険・厚生年金保険事業所関係変更(訂正)届」なども必要です。
マイナンバーカードの有効期間
改めて説明しておくと、マイナンバーカードはICチップが付いたプラスチック製のカードです。氏名・住所・生年月日・性別・マイナンバー(個人番号)および本人の顔写真が記載されています。
このカードは身分証明書や保険証として利用する他、各自治体のサービスやe-Taxなどの電子申請・手続きにも使用できます。
住所変更があった場合には、マイナンバーカードの変更手続きが必要です。手続き期限は変更が発生した日(引っ越し日)から14日以内です。
手続きは引っ越し先の市区町村の窓口で行い、カードの追記欄に新しい住所を記入するだけで完了します。マイナンバーカードの再発行や番号の変更は不要です。
なおマイナンバーカード自体と電子証明書にはそれぞれ有効期限がありますので、ご注意ください。
18歳以上の方のマイナンバーカードの有効期限は、発行から10回目の誕生日までです。18歳未満の方は発行から5回目の誕生日までです。
2022年4月に民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことにより、マイナンバーカードの有効期限の基準も変更されました。
具体的には2022年4月以降に18歳以上で交付申請をした場合、マイナンバーカードの有効期限は10年間となります。一方2022年3月31日までに20歳未満で交付申請をした場合、マイナンバーカードの有効期限は5年間です。
電子証明書の有効期間
マイナンバーカードに記録された電子証明書の有効期限は発行日から5年間です。マイナンバーカードの有効期限が近づくと、登録されている住所宛に「有効期限通知書」が届きます。
通常有効期限の2~3カ月前に送付されます。ただし電子証明書の更新手続きは、各市区町村の窓口で行う必要があります。電子証明書の有効期限も注意して確認してください。
電子証明書の更新手続きは有効期限満了日の3カ月前から可能です。更新手続きを満了前に完了させた場合、電子証明書の有効期限は発行日から6回目の誕生日まで延長されます。
更新手続きにかかる手数料については、市区町村の窓口でご確認ください。
5.フリーランスの納税地が変更された場合の手続きは?
会社員が引越しなどで住所を変更する場合、住民票の変更後に勤務先・金融機関・その他住所を登録している機関に対しても変更手続きを行う必要があります。一方フリーランスの場合は、勤務先の代わりに税務署へ住所変更の手続きをすることが求められます。
フリーランスにおいては自宅で事業を営むこともあるため次のように考えられます。
自宅のみ移転し、事業所はそのまま:事業に関して特に手続きは不要
自宅はそのまま、事業所のみ移転:納税地の変更・開業届の変更・社会保険などの変更手続きが必要
自宅で開業している場合の移転:自宅兼事務所の移転に伴う各種変更手続きが必要
これらは代表的な手続きのみを挙げています。その他にも事業で使用する車両や電話回線・銀行口座・クレジットカード・許認可が必要な業種での住所変更手続きなど、事業の状況に応じてさまざまな手続きを行う必要があります。
青色申告における納税地とは何か?
納税地とは通常は住所地のことを指します。国内に住所がある場合、その住所が納税地となります。
確定申告書は提出時の住所を管轄する税務署に提出します。事業所得に関しては事業を行っている事務所等の住所が納税地となります。
所得税だけでなく消費税の申告書や届出も、基本的には提出時の納税地の税務署長に提出します。フリーランスの場合所得税や消費税は事業者単位で申告するため、納税地である本店などの住所地で一括して納付します。
なお納税地については青色申告か白色申告かによる区別はありません。管轄する税務署を確認したい場合は税務署のウェブサイトで検索することができます。
「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を税務署に提出する
納税地が変更になった場合の手続きについて説明します。具体的には所得税または消費税の確定申告時に申告書に変更後の納税地を記載して提出することで納税地が変更されます。
ただし年の途中で納税地を変更する場合や国税当局からの各種文書の送付先を新しい納税地に変更したい場合は申出書を提出する必要があります。
まず異動後の納税地を管轄する税務署に「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」を提出します。この届出書では異動後も同じ金融機関からの振替納税を希望する場合、振替納税の引き継ぎが可能です。
引き継ぎを希望しない場合は、新たに振替納税の手続きを行う必要があります。
届出書は税務署に備え付けられているほか、国税庁のウェブサイトからダウンロードしたりe-Taxで提出することも可能です。
提出期限は納税地の変更後できるだけ早く行うよう求められています。遅くとも次回の確定申告書を提出する際には、変更が反映されているようにしておきましょう。
振替納税を利用している場合「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」も提出する
振替納税とは納税者の金融機関口座から自動的に税金を引き落とすことで納付する手続きのことを指します。税務署が変更にならない場合は、次回以降も自動的に振替納税が継続されます。
しかし税務署が変更になる場合は、以下のいずれかの対応が必要です。
変更後の税務署に新たに口座振替依頼書を提出する
異動後も振替納税を継続する旨を記載した「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」を提出する
申告所得税または消費税の申告書の振替継続希望欄に「◯」を記載して提出する
e-Taxソフト(WEB版)を利用すれば「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書(振替依頼書)」を送信することができるので便利です。
また都道府県税事務所・年金事務所・労働基準監督署などに対しても、必要な届出書を提出しなければならない場合があります。必要な届出書については、各行政機関に確認してください。
6.フリーランスが海外へ引っ越す際の手続き
フリーランスが海外へ引っ越す際に必要な手続きは、日本に住所を残すかどうかによって異なります。
例えば1年以上の滞在が確定している場合は、基本的に住民票を抜くことになります。その場合、以下の手続きが必要です。
住民票:海外転出届の提出
国民年金保険:支払いは不要ですが年金額を維持したい場合は継続可能
国民健康保険:脱退の届出
確定申告・税金関連:廃業届等の提出
その他:住所変更や郵便物の転送手続き
一時的な移住であり引っ越し後も日本に住所を置く場合は、通常の引っ越し手続きと変わりません。国内での引っ越しと同様に手続きを行いましょう。
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7.フリーランスの引っ越し時の注意事項
この章ではフリーランスが引っ越す際の注意点を紹介します。ポイントを順に見ていきましょう。
引越し前後のスケジュール管理が重要
引越しでは荷造り・荷解き・立ち合いといった作業が多く発生するだけでなく、引越し前後の手続きにも意外と時間を取られます。最近はデジタル化が進んでいるものの、役所や税務署での手続きは現地に行かなければならないことが多いです。
そのため、フリーランスの場合は引越し前後のスケジュールに余裕を持たせることが大切です。
目安として、引越しの前後1週間は余裕を持たせましょう。引越し後には1日で役所での手続きを終えられる日を設定しておくと効率的です。
フリーランスは平日に休めることも多いため、会社員よりも役所での手続きをスムーズに進めやすいでしょう。
引越しは閑散期の平日にするとお得
フリーランスの方は平日に休めることも多いと思います。一般的な会社員は有給を使わない限り平日に休むことが難しいため、引越しは土日に行うことが多いようです。
しかし平日よりも土日、特に連休の方が引越し費用は高く予約も取りにくくなります。
また学生や会社員の進学・転勤の時期である3~4月は引越し業者の「繁忙期」と呼ばれ、この時期も費用が高く、予約が難しくなります。
フリーランスの強みを活かし引越し業者の閑散期である平日に引越しを行うことで費用を抑えることができます。また希望の日程での引越しが実施しやすくなるでしょう。
クライアントへの住所変更通知を忘れない
引越し後は早めにクライアントに住所変更のお知らせをすることが重要です。「請求書の発行タイミングで良いのでは?」と考えるかもしれませんが、最近では取引先からマイナンバーの提供を義務付けられているケースもあり、そのための書類が送られてくることもあります。
揉め事を避けるためにも、新しい住所が確定したら直近1年間に取引があったクライアントには速やかに住所変更の連絡をすることが理想です。
ただし頻繁に引越しをするフリーランスもいます。この場合、毎回住所変更の連絡をするのは手間がかかります。
そういった場合には郵便物の受け取り場所や事業用の仮想オフィスを利用すると良いかもしれません。手続きの手間を大幅に軽減できます。引越しが多い方は仮想オフィスの利用を検討してみるのも良いでしょう。
引っ越し費用の準備
引っ越しには相応の資金が必要ですので、事前に十分な引っ越し費用を確保しておくことが重要です。会社員の場合、異動時には会社からの補助が期待できることがあります。
しかしフリーランスにはそのような補助はありませんので、自己負担が必要です。
引っ越しの初期費用は場合によっては数十万円かかることもあります。引っ越しを予定している方は、事前に充分な貯蓄をしておくことをおすすめします。
引っ越し費用の経費計上は一部のみ可能
引っ越し費用の一部は経費として計上することができるケースもあります。例えば、店舗や事務所を移転する場合は全額を経費として計上できます。
一方自宅兼事務所を移転する場合には部分的に経費として計上することが可能です。
自宅兼事務所の場合は「家事按分」という方法で計上します。家事按分とは事業に直接関連する費用と生活に関連する費用とを適切な割合で分ける計算方法です。
具体的な計算方法は物量の割合を基にすることが多いですが、詳細な計算方法については税理士に相談することがおすすめです。
住所変更を忘れてた場合は?
引っ越し後に住所変更の手続きを忘れていた場合は、すぐに「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出してください。遅れても罰則はありませんが、申告などが滞る可能性があります。提出期限は1カ月以内です。
なお、2023年1月から提出書類が減り、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」の提出は必要なくなりました。所得税と消費税の住所変更は、確定申告時に引っ越し先の住所を記載して所轄税務署に提出します。
ただし、国税当局からの各種通知書類の送付先変更のため、年の途中で納税地を変更する意思がある場合は、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を提出することが可能です。
納税地の変更がない場合でも、開業届は提出しましょう。ちなみに、納税地とは確定申告や納税を行う住所のことです。
個人事業主の場合は基本的に自宅の住所が納税地となりますが、事務所を納税地にする届出を出している場合は事務所の住所が納税地となります。
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8.まとめ
リモートワークの普及により地方や海外への引っ越しを考えるフリーランスの方が増えています。しかしフリーランスの引っ越しは賃貸契約の審査や諸手続きの関係で、正社員よりも手間がかかることがあります。
フリーランスは収入が不安定な傾向があり、そのために賃貸契約の審査が通りにくいという課題を克服する必要があります。家賃の設定や物件の選定についても慎重に検討することが大切です。
さらに、引っ越し後も必要な諸手続きを漏れなく行うことが重要です。手続きを怠ると事業に影響が及ぶ可能性もあるため、この記事を参考にして確実に対応しましょう。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。