フリーランスが引越しや事業所の移転を行った際に、どのように住所変更の手続きが必要になるのでしょうか?
この記事では青色申告者が納税地の管轄税務署に提出すべき書類や届出について詳しく解説し、「個人事業の開業・廃業等届出書」などについての手順を説明します。また所得税や消費税だけでなく、健康保険・労働保険・厚生年金などの社会保険手続きについても触れています。
フリーランスの住所変更は従業員にも影響を与えることがあるため、確定申告の時期に慌てないよう早めに必要な手続きを完了させましょう。
目次
1.フリーランスの納税地が変更になった場合の住所変更の方法とは?
サラリーマンが引越しなどで住所を変更する場合には、まず住民票の変更を行います。その後勤務先や金融機関、その他住所登録をしている各所に対して住所変更の手続きを行う必要があります。
一方でフリーランスの場合は、勤務先の代わりに税務署などに対して住所変更の手続きを行わなければなりません。
フリーランスの場合、自宅で事業を行っているケースもあります。以下のように整理されます。
自宅のみ移転し、事業所はそのまま:事業に関する手続きは特に不要
自宅はそのままで事業所のみ移転、又は自宅で事業を行っている:納税地の変更・開業届の変更・社会保険等の変更などが必要
上記は主な手続きのみです。たとえば事業で使用している車両・電話回線・銀行口座・クレジットカード・許認可が必要な業種での住所変更手続きなど、事業の内容に応じて必要な手続きがさらに広がります。
青色申告における納税地の定義とは?
納税地とは税金を納める場所のことを指し、国内に住所がある人はその住所が納税地となります。確定申告書は、提出時点での住所地を管轄する税務署に提出することが求められます。
事業所得がある場合には、その事業を行っている事務所の所在地が納税地となります。
所得税や消費税の申告書や届出も、原則としてその提出時点での事業者の納税地を担当する税務署に提出します。フリーランスの場合には所得税や消費税は事業者単位で申告し、納税地である本店などの住所地でまとめて納付します。
納税地に関しては、青色申告か白色申告かによる違いはありません。引越し先の納税地は国税庁の公式サイトで確認することができます。
「所得税・消費税の納税地の変更届」を税務署に提出する手順
納税地が変更された場合の手続きについて説明します。
2023年1月1日以降所得税や消費税の確定申告時、申告書に異動後の納税地を記入して提出すれば、納税地の変更が反映されます。
ただし年の途中で納税地が変更されたケースで国税当局からの通知先を新しい納税地にする意向がある場合は、「申出書」を提出することができます。その場合は新しい納税地を管轄する税務署に「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」を提出します。
この届出書は所得税の分と消費税の分が1枚の用紙になっており、不要な税については二重線で消して使用します。
また、異動後も振替納税(納税者が指定する金融機関の口座から自動的に税金を引き落として納付する方法)を続けたい場合は引き続き同じ金融機関からの引き落としが可能です。
振替納税の引き継ぎを希望しない場合は新たに振替納税の手続きが必要です。
届出書は税務署での入手や国税庁のウェブサイトからもダウンロード可能です。e-Taxを使って提出することもできます。
提出期限は納税地の変更後すぐに行う必要があります。必要であれば遅くとも次回の確定申告時までには、新しい納税地が反映されるように手続きを済ませておきましょう。
振替納税を利用する場合は「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」も一緒に提出
税務署が変わらない限り、振替納税は基本的に自動で継続されます。しかし税務署が変更になった場合は、以下のいずれかの手続きが必要です。
変更後の税務署に新しい口座振替依頼書を提出する。
「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」に振替納税を継続する旨を記載して、変更後の税務署に提出する。
申告書に振替納税継続希望のチェックを入れて提出する。
なおe-TaxのWEB版ソフトを使うと「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書(振替依頼書)」をオンラインで送信できるので便利です。
また都道府県税事務所・年金事務所・労働基準監督署などに対しても、必要な届出書を提出しなければならない場合があります。これらの手続きについては後ほど解説します。
海外へ引っ越す場合
フリーランスが1年以上海外に引越しする際は事業を廃止するために廃業届を提出し、その後に各種手続きを行う必要があります。
仮に青色申告を行っている場合は「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を作成し、所轄の税務署に提出しなければなりません。この提出期限は青色申告を取りやめる予定の年の3月15日までです。
さらに海外転居前に得た所得と転居後に日本で発生した所得については、日本で確定申告を行う必要があります。
確定申告を行うためには日本国内に在住の代理人を指定する「納税管理人の選任」を行うか、納税管理人がいない場合は出国日までに「準確定申告」を行う必要があります。
準確定申告を済ませた後に日本で所得が発生した場合には、翌年の確定申告も日本で行う必要があります。海外転居前に納税管理人を探しておくと良いでしょう。
2.事務所の住所変更に伴う必要な届出
事務所の住所が変わる場合には「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。さらに、事業税に関連して「事業開始(廃止)等申告書」も提出しなければなりません。
事務所の住所変更には自宅以外に事務所を持っている人が事務所を移転する場合だけでなく、自宅を事務所として利用している人が引越しする場合も含まれます。自宅で事業を行っている場合に引越しをする際は、以下の手続きを行うようにしましょう。
個人事業の開業・廃業等届出書の提出
「個人事業の開業・廃業等届出書」は事業を始める際に提出する書類です。事務所の移転の場合にも使用します。
引越し自体が廃業を意味するわけではありませんが、移転手続きにもこの書類を用います。
書類の上部にある「納税地」欄には引越し前の住所を記入します。また提出先の税務署長名も引越し前の管轄税務署となります。その後「届出の区分」欄で「事務所・事業所の(新設・増設・移転・廃止)」の「移転」にチェックを入れます。
引越し先の新しい住所は「事業所等を新増設、移転、廃止した場合」欄の「新増設、移転後の所在地」に記入します。下部の「移転・廃止前の所在地」には引越し前の住所を記入しましょう。
それ以外の項目については、当初の申告内容と同じで問題ありません。
提出期限
引越し後1か月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。もしその1か月後が土日祝日に当たる場合は、その翌営業日が提出期限となります。
提出先
「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する先は引越し前の税務署となります。
提出方法
「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出方法には、税務署への直接持参・郵送・e-Taxを利用する方法があります。書類にはマイナンバーの記載が必要で、本人確認書類も併せて用意する必要があります。
郵送の場合は、本人確認書類のコピーを同封します。
e-Taxを利用する場合は、事前に利用者識別番号の取得が必要です。これは「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」の場合と同様の手続きが求められます。
事業開始(廃止)等申告書の提出
「事業開始(廃止)等申告書」は、個人が事業を開始する際に提出する書類です。この申告書は事業税の納付に関連する手続きのため、具体的な名称や手続き方法は地域によって異なることがあります。
以下に東京都の例を示します。各地域の詳細については、該当する都道府県税事務所に問い合わせることをお勧めします。
東京都での「事業開始(廃止)等申告書」では、新旧の住所欄にそれぞれの住所を記入します。「事由等」欄では「その他」を選び、カッコ内に「住所変更」と記入します。
ただし、これは同じ管轄内での住所変更に適用される手続きです。異なる地域に引っ越す場合は元の住所を管轄する都道府県税事務所に事務所の廃止届を、新しい住所を管轄する都道府県税事務所に事業開始届を提出する必要があります。
提出期限
引越し後15日以内に「事業開始(廃止)等申告書」を提出する必要があります。
提出先
「事業開始(廃止)等申告書」は、担当の都道府県税事務所に提出する必要があります。
提出方法
「事業開始(廃止)等申告書」は、都道府県税事務所に持参するか郵送で提出できます。具体的な手続きについては、住んでいる地域の都道府県税事務所に確認することをお勧めします。
3.従業員を雇用している際の住所変更に伴う手続き
従業員を雇用して社会保険の適用事業所となっているフリーランスは従業員の年金・健康保険・労災保険に関する手続きも行う必要があります。
従業員の社会保険手続き
「健康保険・厚生年金保険 事業所関係変更(訂正)届」と「健康保険・厚生年金保険 適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」を日本年金機構に提出しましょう。
提出期限
両変更届を、引越し後5日以内に提出する必要があります。
提出先
両変更届を、事業所の所在地を担当する年金事務所に提出します。
提出方法
両変更届を、年金事務所の窓口に持参するか郵送で提出しましょう。
従業員の労災保険手続き
従業員を雇用しているフリーランスは労働保険への加入が必要です。引越しを行った際には、以下の手続きを行います。
労働保険関係届出書(帳票名:労働保険名称・所在地等変更届) を所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。
雇用保険事業主事業所各種変更届 を所在地を管轄するハローワークに提出します。(ただし雇用保険の被保険者を雇用していない場合は、ハローワークでの手続きは不要です。)
なおハローワークでの手続きには「労働保険名称、所在地等変更届」の控えが必要です。まずは労働基準監督署で手続きを済ませてから、ハローワークでの手続きを行ってください。
提出期限
「労働保険関係届出書 訂正・取消願」や「雇用保険事業主事業所各種変更届」は、引越し後10日以内に提出する必要があります。
提出先
訂正・取消願と変更届は、移転先の所在地を管轄する労働基準監督署またはハローワークに提出します。
提出方法
訂正・取消願と変更届は、郵送または直接窓口に持参して提出しましょう。
4.住所変更をした年の確定申告時に注意すべき点
確定申告を行う際は担当する税務署に書類を提出します。引越しをした場合は新しい住所の管轄税務署で手続きをする必要があります。
この章では申告期間中に引越しをした際など、混乱しやすいケースについて解説します。
年度中に引越しをした場合
5月や6月といった期の途中に引越しをした場合は、新しい住所の管轄税務署で確定申告を行います。
1月2日~2月15日に引越しをした場合
年が明けた後かつ確定申告期間が始まる前に引越しをした場合は、すでに新しい住所に居住しています。そのため、確定申告もその新住所を管轄する税務署で行うことになります。
所得税の確定申告は現在の住所に基づいて行うため、この場合も引越し先で申告を行いましょう。
一方、住民税は毎年1月1日の住所地で課税されます。1月2日以降に引越しした場合でも、確定申告書には1月1日時点の住所を記載することが必要です。
住民税の納付は1月1日時点の住所がある自治体に行うことを忘れないようにしましょう。
2月16日~3月15日に引越しをした場合
確定申告期間中に引越しをした場合は、申告を行う時点での住所を基準にします。例えば2月20日に引越しをして、3月10日に確定申告を行う場合は新しい住所の管轄税務署で申告します。
逆に2月18日に申告を済ませてから引越しをする場合は、引越し前の住所地の管轄税務署で手続きを行います。
重要なのは所得税の確定申告書は申告時の住所に基づいて、該当する税務署長に提出するという点です。
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5.国民年金についてのフリーランスの住所変更の手続き
国民年金に加入しているフリーランスは住所が変わった際、14日以内に市町村役場で住所変更の手続きを行う必要があります。ただしマイナンバーと基礎年金番号が連携されている場合、住所変更の届出は不要です。
連携状況が不明な場合は、年金事務所や年金ネットで確認しましょう。
6.マイナンバーカードに関する必要な手続き
マイナンバーカードはICチップ付きのプラスチックカードで、氏名・住所・生年月日・性別・マイナンバー(個人番号)・顔写真などが表示されています。このカードは身分証明書や健康保険証としての使用や各自治体のサービス利用、e-Taxをはじめとした電子証明書を用いた申請や手続きにも利用できます。
引越しにより住所が変更された場合はマイナンバーカードの住所変更手続きを行う必要があります。手続きは引越し日から14日以内に転入先の市区町村の窓口で行い、新しい住所が反映されるのが一般的です。
再発行や番号変更の手続きは不要です。
またマイナンバーカードおよび記録された電子証明書には有効期限があり、それぞれ異なるので注意が必要です。
マイナンバーカードの有効期間
年齢別の有効期限は以下の通りです。
18歳以上:発行日から10回目の誕生日まで有効
18歳未満:発行日から5回目の誕生日まで有効
2022年4月に成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことにより、マイナンバーカードの有効期限も変更されました。2022年4月以降に申請した場合18歳以上の人のカード有効期間は10年となり、2022年3月31日までに20歳未満で申請した場合の有効期限は5年です。
電子証明書の有効期間
マイナンバーカードに記録されている電子証明書の有効期限は、年齢に関係なく発行日から5年です。有効期限が近づくと、登録された住所に「有効期限通知書」が送付されます(通常、期限の2~3か月前)。
電子証明書の更新手続きは市区町村の窓口で行う必要があるため、カードに記載されている「電子証明書の有効期限」を忘れずに確認しましょう。
電子証明書は、有効期間が切れる3か月前から更新手続きが可能です。更新を早めに行うと、有効期限は「発行日から6回目の誕生日まで」延長されます。
更新時の手数料については、市区町村の窓口で確認してください。
7.フリーランスが引っ越す際の経費に関する注意点
フリーランスが引越しをして住所変更を行う場合、その費用が経費として計上できるかどうかを疑問として持つ方も多いかもしれません。特に引越しに伴う費用が事業運営にどのように関連するかについて、明確に理解しておくことが重要です。
引越しにかかる費用には、さまざまなものが含まれます。例えば、引越し業者への支払い・荷物の梱包や運搬に必要な資材費・引越しに伴う役所への手続き費用などです。
これらの費用が事業に関連する場合、つまり事業の遂行に必要な引越しである場合には経費として計上できるかどうかが問題となります。
具体的には引越し先が事業用の新しい事務所などである場合、その引越しにかかる費用は事業経費として認められる可能性があります。しかし引越し先が単なる住居であり事業の運営に直接関係しない場合は、その費用を経費として計上することは難しいとされています。
この章ではフリーランスの引越しに関連する費用について、経費として計上するための条件や注意点について詳しく解説します。引越しに伴う費用の扱いについて理解を深め、適切に経費計上を行うための参考にしてください。
引っ越し費用を経費にする方法
フリーランスが引越しを行った場合にはその費用を経費として計上することが可能なケースがありますが、引越しの状況によって認められる経費の範囲が異なるので注意が必要です。以下に引越しの状況ごとに経費として計上できる支出の例を詳しく説明します。
事務所から事務所への引越し
事務所専用の物件から別の事務所専用の物件へ引越す場合、その費用は全額を経費として計上することができます。事務所として使用するための引越しであり、全額が事業運営に直接関連しているためです。
自宅兼事務所から専用事務所への引越し
自宅兼事務所として使っていた場所から完全に事務所専用の物件へ引越す場合も、引越し費用全額を経費として計上できます。この場合事務所としての利用目的が明確であるため、全額が認められます。
自宅兼事務所から別の自宅兼事務所への引越し
自宅兼事務所から別の自宅兼事務所へ引越す場合に経費として計上できるのは、事務所として使用している割合に応じた部分のみです。たとえば自宅兼事務所として使用していた割合が「自宅70%:事務所30%」で引越し費用が30万円だった場合、経費として計上できる金額はその30%に相当する9万円になります。
「自宅兼事務所」とは、開業届に記載された事業所の住所が自宅と同一である状態を指します。自宅兼事務所から別の自宅兼事務所への引越しの場合、事務所として利用している割合に応じて経費として計上することができます。
自宅兼事務所から自宅のみへの引越し
自宅兼事務所から自宅のみの物件へ引越す場には事務所部分がなくなるため、引越し費用を経費として計上することはできません。この場合の引越し費用は全て自己負担となります。
自宅から自宅への引越し
自宅から別の自宅への引越しの場合は事業に直接関連しないため、引越し費用を経費として計上することはできません。これも個人の生活費用として扱われます。
経費にできない引っ越し関連の支払い
自宅兼事務所から別の自宅兼事務所に引越す場合には経費として計上できるのは事業に直接関連する部分だけであり、プライベートに関連する費用は経費として認められないことには改めて注意する必要があります。
例えば引越しの際に発生する個人的な費用やオプション料金は、経費として計上することができません。
具体的には絵画・ピアノ・ペットなどの移動にかかる費用は、基本的には経費として認められません。これらはプライベートな要素が強いため、事業運営とは直接関係がないとみなされるためです。
ただし事業がピアノレッスンを提供している場合など、業務の一部として利用している設備の移動費用は例外として認められることがあります。具体的には事業用のピアノを新しい事務所に移動させるための費用は、事業に直接関係しているため、経費として計上できます。
そのため引越しに関する費用を経費として計上する際には、事業用とプライベート用の支出を明確に分けて管理することが重要です。
経費として認められるのは業務に必要な費用のみであり、プライベートな用途に関連する費用は含まれません。正確に経費を計算し適切に申告するためには、支出の内容をしっかりと把握し事業に関連する部分だけを経費として処理することが求められます。
経費計上時の注意点
引越し費用を経費として確定申告する際には、税務調査に備えてしっかりと準備しておくことが重要です。引越し費用は通常の経費とは異なるため、普段よりも経費が大きくなる場合があります。
そのため税務調査が行われた際には、申告内容に対して明確な説明が求められることがあります。
例えば事務所から事務所への引越しの場合、その費用は全額経費として認められるため、税務調査が入った際にも説明が比較的容易です。経費の範囲が明確であり事業活動に直接関連するため、適切に記録し証拠を保管しておけば問題は少ないでしょう。
一方で自宅兼事務所から別の自宅兼事務所への引越しの場合、一部の費用のみが経費として認められるためより慎重な対応が必要です。このような場合プライベートな支出と事業用の支出を正確に区別して事業用部分だけを経費として計上する必要があり、プライベート関連の支出を誤って経費に含めてしまうと脱税とみなされるリスクが高くなります。
税務調査に備えて経費として計上する引越し費用の詳細について十分に注意を払い、支出の証拠をきちんと保管しておくことが大切です。
経費として認められる範囲やその証明に必要な書類を把握して、確定申告の際には正確な情報を基に申告を行うようにしましょう。税務調査でスムーズに説明できるよう事前に準備を整えておくことが、後々のトラブルを防ぐための鍵となります。
8.フリーランスが住所変更時に速やかに手続きを行うべき理由
フリーランスが引越しをして住所変更を行う際は、新しい住所での事業を円滑にスタートできるように速やかに必要な手続きを進めることが重要です。引越しに伴って新しい環境での生活や事業の準備に多くの時間と労力がかかりますが、手続きを後回しにすると業務に支障をきたす可能性があります。
特に引越しに伴う手続きには多くの場合期限が設定されているためです。その期限を守ることが求められます。
例えば従業員を雇用している場合は保険に関する手続きが遅れると、従業員の生活に影響が及ぶ可能性があるため特に注意が必要です。
引越しに伴う手続きをスムーズに進めるためには、引越しが決まった段階で必要な手続きや書類を事前に把握しスケジュールを立てることが重要です。例えば住所変更の手続き・新しい事務所の登記変更・保険の変更など必要な手続きをリスト化し、引越しの計画に組み込むことで、混乱を防ぎスムーズに新しいスタートを切ることができるでしょう。
9.フリーランスが住所変更することを忘れた場合は?
引っ越し後、住所変更の手続きを忘れていた場合は、早めに「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出しましょう。提出が遅れても罰則はありませんが、申告などに支障が出る可能性があります。
なお、提出の期限は1カ月以内です。納税地に変更がない場合でも、開業届の提出は必要です。
納税地とは、確定申告や納税を行う住所のことを指します。個人事業主の場合、基本的には自宅の住所が該当しますが、事務所を納税地にしたい場合は、別途その届出をすることができます。
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10.まとめ
フリーランスが住所変更をした場合、1ヶ月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。海外への引越しの場合には「所得税の青色申告の取りやめ届出書」や「確定申告」も必要です。
また従業員を雇っている場合には、社会保険や労働保険に関する手続きも忘れずに行う必要があります。
引越しの際は準備・片付け・関係者への挨拶や連絡など、多くの作業が発生しがちです。
そのため手続きや書類の準備が後回しになってしまうケースもあるでしょう。
スムーズに住所変更の手続きを進めるためには、計画的に早めに準備を始めることが重要です。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。