フリーランスとして活動する場合、見積書を作成する機会が少なくないと考えられます。見積書はクライアントとの取引に至るための重要な文書であり、仕事を受注する際の第一歩とも言えます。見積書の内容や書き方は非常に重要であり、適切に作成することで取引先からの信頼を獲得することが可能です。
見積書の内容には提供するサービスの詳細・料金・納期・支払い条件などが含まれ、これらが明確に記載されていることでクライアントは安心して依頼を行うことができます。逆に不明瞭な点や誤った情報が含まれていると信頼を損ねる原因となることもありますので、細心の注意を払う必要があります。
見積書作成時にはクライアントとのコミュニケーションも重要です。見積もりに関する具体的な要件や期待値を事前に確認することで、より的確な内容の見積書を作成することができます。例えばクライアントが求める納期・予算・求めるサービスの詳細などをしっかり把握しておくことで、適切な見積書を提供することができるでしょう。クライアントとの対話を通じて得た情報は、見積書に反映させるべき重要な要素です。
見積書の作成はフリーランスにとって非常に重要なスキルであり、正確な情報をもとに丁寧に作成することで信頼を築くことに繋がります。見積書は単なるビジネス文書にとどまらずクライアントに対して自分自身のイメージを確立することにも繋がるため、しっかりとした準備と工夫を持って臨むことが成功への鍵となるでしょう。
この記事ではフリーランスの見積書について詳しく解説します。
目次
1.フリーランスが行うべき見積もりとは?
「見積書」とは契約前に取引先に提示する書類のことで、価格・納期・サービス内容などの詳細が記載されています。この書面を通じて双方が共通の認識を持つことができ、発注側にとっても契約の決定材料として役立ちます。
近年では見積書を作成せずに仕事を受注するフリーランスも増えています。確かにメールやチャットを使えば正式な書類を交わさなくても簡単に仕事を進められる時代ですし、見積書の作成が法律で義務付けられているわけでもありません。
それでもフリーランスにとって見積書を作成することにはメリットがあるといえます。後ほど解説します。
2.フリーランスの仕事に必要な書類
フリーランスとして仕事を進める際の一般的な流れは以下の通りです。
「見積書」の発行
「注文書」の発行
取引先から注文書の返送
納品
「納品書」および「請求書」の発行
ただし実際のビジネスシーンでは、注文書や納品書を省略するケースも少なくありません。
3.見積書を作成するメリット
見積書を作成するメリットは以下の通りです。
認識の違いによるトラブルを防ぐ
見積書には費用・その詳細・支払条件などが明記されます。仕事を受注する前に見積書を通じて「取引先が求めている業務の内容」をお互いに確認し、認識のずれがないようにしましょう。
情報をスムーズに共有する
見積書を提出することにより担当者だけでなく取引先や仕入先などの関係者と情報を共有し、内容について確認を行うことが可能になります。
4.フリーランスが見積書を作成すべき3つの場面
見積書を作成する重要性は理解できても、実際にどのタイミングで作成すればよいのか迷っている方もいるかもしれません。見積書を作成すべきタイミングは次の3つです。
クライアントから発注の依頼を受けたとき
取引内容が確定したとき
クライアントに発注の決断を促したいとき
これらの3つの状況を把握し、それに応じて見積書を作成するようにしましょう。
クライアントから見積書の提出を依頼されたとき
最初のタイミングは、クライアントが見積書を求めてきたときです。クライアントはどの業者に仕事を依頼するかを決めかねている場合、見積書を取り寄せその内容を基に選定を行います。
クライアントから見積書を依頼された際には、迅速に提出する必要があります。見積書を素早く提出しないと受注の機会を逃してしまうかもしれないので、適時に作成することが重要です。
取引内容が確定したとき
発注内容が確定した際に見積書を作成することもあります。このタイミングで見積書を作ることのメリットは、双方の認識をしっかりと一致させられる点です。発注内容を詳細に確認しておくことで、受注後のトラブルを未然に防ぐことができます。
さらにクライアントから具体的な業務内容を聞き出せるため、仕事を円滑に進めやすくなるという利点もあります。
クライアントに発注を促したいとき
クライアントに発注を促したいときにも見積書を送ります。依頼を迷っているクライアントや、取引を忘れている場合もよく見受けられます。そんな時、フリーランスから見積書を送付します。
見積書を提出することでクライアントは依頼の可否を再考したり、取引を思い出したりすることができます。少々強引に思えるかもしれませんが、その程度でクライアントに悪印象を与えることはないと考えられるので積極的にアプローチしてみてもよいでしょう。
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5.見積書に記載すべき項目
この章では見積書に記載すべき項目について解説します。
タイトル
最初にタイトルを記載しましょう。何の書類かが一目で分かるように上部に大きく、目立つ形で書くことが大切です。「見積書」「御見積書」「お見積書」などが適切なタイトルです。
宛名
作成した書類が誰宛てかを明記しましょう。取引先が個人か法人かによって書き方が異なります。個人名の場合は「様」、法人名の場合は「御中」を使用します。
宛名への敬称の付け方は以下の通りです。
宛名 | 敬称 |
---|---|
個人の場合 | ○○様 |
法人の場合 | ××株式会社 御中 |
法人に所属する個人(担当者)宛 | ××株式会社 ~部 ○○様 |
社長宛 | ××株式会社 代表取締役 ○○様 |
宛名を書く際の注意点は以下の通りです。
「××株式会社御中○○様」のように、「御中」と「様」を併用せず、いずれか一方を使用すること。
法人名を略さずに「株式会社」と記載すること。
送付先の役職を正確に把握しておくこと。
宛名の書き方が適切かどうかで相手の印象が大きく変わるため、失礼のない表記になっているか確認しましょう。
提出者・作成者
提出者(自分)の連絡先や住所を明記します。取引先によって必要な項目が異なる場合もありますが、一般的に記載すべき内容は以下の5つです。
社名(屋号)
氏名
住所
電話番号およびメールアドレス
捺印
電話番号やメールアドレスを記載する目的は、相手が不明点やトラブルがあった場合にすぐに連絡を取れるようにするためです。
捺印については必須ではありませんので、印鑑がないからといって文書の効力が変わるわけではありません。ただし、捺印があることで「信頼感のある事業者」という印象を与えることができます。そのため特に見積書を他の業者と比較される際には、捺印がある方が選ばれやすいと考えられます。
また一部の取引先では捺印を必須としている場合もあるため、最初から捺印を行っておくことにはメリットがあります。
通し番号
通し番号は「見積書番号」や「管理ナンバー」として知られています。必須ではありませんが、発行者が管理を容易にするために番号を付けることをお勧めします。
フリーランスとして活動を始めたばかりの頃は見積書の数が少ないため、番号の必要性を感じないかもしれません。しかし取引先が増え多くの見積書を発行するようになると、過去の見積書を探す際に番号があると非常に便利です。
また取引先から見積もりに関する問い合わせがあった場合や再発行が必要になったときにも、番号を共有しておくとスムーズに対応できます。
発行日
発行日とは、見積書を作成した日を指します。意外と見落とされがちな項目ですが、必ず記載する必要があります。
発行日は有効期限を設定する際の基準となるため、「吉日」などの曖昧な表現は避け必ず具体的な年月日を記入しましょう。
さらに見積書に関して問い合わせがあった際にも、発行日が記載されていると理解しやすくなります。
有効期限
見積書の有効期限については記載する義務はありませんが、記入することで得られる2つの大きなメリットがあります。
まず1つ目のメリットは、有効期限が取引先の発注に対する意思決定を促進する効果があることです。有効期限が明記されていることで「この日までに契約を決めてほしい」という暗黙の合意が形成されます。もし取引先から迅速な返事を求めたい場合にも、見積書の期限を理由にして急かすことができます。
次に2つ目のメリットとして、期限を設定することで価格変動リスクに対処できる点が挙げられます。特に仕入れが必要な案件の場合には、見積書を提出してから受注が決まるまでの間に原材料の価格が急騰することがあります。この場合提供価格を変更できなければ仕入れコストが販売価格を上回り、赤字になる可能性があります。そのため、価格変動に柔軟に対応できるように期限を設けておくと安心です。
有効期限は年月日を明記する場合もあれば、「本見積書発行後○○週間」と記載することもできます。
納期
予定納期については、「〇月×日」または「発注から○○週間で納品」といった形で記入します。納期を明記する目的は、トラブルを避けることです。あらかじめ見積書で合意を得ておくことで納期の遅れを理由に報酬が支払われなかったり、減額されたりする不当な扱いを防ぐことができます。
さらに取引先が業務の計画を立てる際にも役立つため、必ず記載することをお勧めします。
見積金額
こちらは必須の項目と言えます。まず見積もり金額の「総額」は、内訳の上部に目立つように記載してください。そして、品目ごとの内訳金額はできるだけ詳しく書き出すことが重要です。
業務内容
業務内容を明確に示すことも非常に重要です。どのような仕事をどの範囲まで行うのかを示すことで、双方の認識のズレから生じる納品後のトラブルを避けることができます。
重要なのは具体的に細分化して記載することです。見積もり金額と一緒に詳細に設定しましょう。
備考
備考欄に記載する内容に特に決まりはありませんが、他の項目に該当しない重要な情報を記載しておくと良いでしょう。具体的には納品方法・支払い方法・見積書に関する前提条件などが考えられます。
さらに振込手数料の負担など、相手とのトラブルを避けるために明確にしておくべき事項についても記載しておくと安心です。
備考欄の記載例としては、以下のような内容が考えられます。
一般的な記載例
「申し訳ありませんが、お振込手数料は貴社にてご負担いただきますようお願いいたします。」
「納品後に修正や追加作業が発生した場合は、別途料金をいただくことがございます。」
エンジニア向け備考欄の記載例
「納品形式はGitHubリポジトリにてソースコード一式を納品いたします。必要に応じてドキュメントもPDFで添付します。」
「納品後1か月間は無償でバグ修正対応をいたしますが、新規機能の追加や仕様変更がある場合は別途お見積りいたします。」
「サーバー設定やデプロイ作業は基本料金に含まれていません。必要な場合は別途ご相談ください。」
「プロジェクト開始後、要件変更が発生した場合は追加費用がかかる可能性があるため、その都度お見積りいたします。」
デザイナー向け備考欄の記載例
「納品形式は高解像度のJPEGおよびPNGファイル、またはAdobe Illustrator形式で納品いたします。」
「ご提案後のデザイン修正は2回まで無償で対応いたしますが、3回目以降や大幅な変更には追加料金が発生いたします。」
「納品物の著作権譲渡は基本料金に含まれておりません。譲渡をご希望の場合は、別途料金をお見積りいたします。」
「最終納品前のデザイン確認の際、カラーやフォントの変更などの要望は無償で対応可能ですが、構成や大きなレイアウトの変更には追加費用がかかる場合があります。」
このように記載するのが望ましいでしょう。
特に書くことがない場合は空白でも問題ありませんが、挨拶やお礼の文を添えると良い印象を与えることができます。
6.受注を増やすための見積書作成のポイント
ここまで見積書の役割や作成方法について説明してきましたが、手間をかけるからには受注につながる高品質な書類を作成したいものです。この章では受注を促進し、さらに取引先との良好な関係を築くための見積書のポイントをご紹介します。
相見積もり条件の考慮
取引先から見積もりの依頼を受けた場合、相手が複数の業者から相見積もりを取得していることが少なくないと考えられます。
そのため他のサプライヤーと比較しやすいように相見積もりの条件を考慮すると、効果的な見積もりを作成できます。相見積もりの条件を把握することで、内容や価格において他の業者に対して有利な提案ができるからです。
見積書を作成する前に取引先とのコミュニケーションをしっかり行うことが重要です。まずは相見積もりを取得しているかどうかを確認し、可能であれば競合他社に関する情報も聞き出せれば理想的です。見積書の依頼を受けた際には、常に背後に競合が存在することを意識しましょう。
業務内容の詳細な記載
業務内容を詳しく記載することも非常に重要です。曖昧に記述してしまうと仕事内容やその範囲に関する誤解を残したまま発注することになり、納品後にトラブルが発生する可能性があるからです。
取引先は「この内容に対してこの金額を支払う価値がある」と考えて発注するため、納品された内容に違いがあると「契約とは異なる」と指摘されてしまうことがあります。
そのため、見積書を作成する際には、「いくらで」「何を」「どの範囲まで」行うかを明確に記載しておくことが大切です。
事前に請け負う業務を明確に示すことで、取引先も具体的なイメージを持ちやすくなります。さらに発注前に認識の違いに気づくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。もし初めて作成する場合で業務内容の項目がわからない場合は、業界や職種ごとの事例を参考にして作成してみると良いでしょう。
簡単に値引きしない
特にフリーランスとしてのキャリアを始めたばかりの方に多いのが、見積もりで過度に低い価格設定をしてしまうことです。この背景には競合よりも魅力的な条件を提示しようとする意図や、自己評価を過小に見積もる傾向があると考えられます。
「格安で仕事を請け負う」というアプローチは一見すると親切な印象を与えるかもしれませんが、実際にはいくつかの問題を引き起こす可能性があります。その理由は主に2つに分類できます。
品質が疑われるリスク
最初の理由として、品質に対する疑念が挙げられます。私たちが商品を購入する際にも安価であればあるほど「実際は質が悪いのでは?」「安いからすぐに壊れるのではないか?」といった懸念が生じて、購入をためらうケースもあるのではないでしょうか。
低価格の設定が相手に不安を与えるからです。特に取引のない相手にとってはこちらが提供するサービスの質についてわからないため、なおさら疑いを持たれることになります。さらに報酬が安すぎると仕事をする側のモチベーションが低下する傾向があるため、結果的に品質が劣る可能性も高まります。
いずれにしても「安いけれど質が低いフリーランス」という印象を持たれてしまう原因となりうるため、極端に低い価格設定は避けるべきです。
将来的な影響の可能性
二つ目の理由として、フリーランスとしての長いキャリアにおいて悪循環が生じることが挙げられます。フリーランスとして生計を立てていくには、自分の労力に見合った報酬を得ることが不可欠です。安い単価の仕事を常習的に受けてしまうと収入は伸びず、その上低賃金の仕事に追われてより条件の良い仕事のチャンスを逃してしまうことになりかねません。
妥当な条件で仕事を依頼してくれるクライアントを見つける方が、将来にとっては大きなメリットとなるでしょう。もちろんフリーランスを始めたばかりの頃は謙虚さも求められますが、常に市場価格を意識した料金設定を心がけることが重要です。
迅速な見積書の提出
当然ながら、見積書の提出においてスピード感は非常に重要です。なぜなら、提出が遅れると競合他社に負けてしまう可能性が高いからです。
すでに述べたように取引先は多くの場合相見積もりを依頼しており、複数の見積書を比較して契約業者を選ぶことになります。したがって提出が遅れるほど、選択肢から外されるリスクが高まるのです。どんなに優れた内容の見積書を作成しても、提出のタイミングで負けてしまっては意味がありません。
特にフリーランスとして活動を始めたばかりの頃は、作成に時間がかかり提出が間に合わずに契約を逃してしまうことが起こりえるでしょう。そのため提案先が決まったら迅速に見積書を提出できるよう、あらかじめ準備しておくことが重要です。
見積書の書き方を理解するだけでなく業務内容を整理したり、価格相場を調査したりしておくと良いでしょう。また基本となるフォーマットをいくつか事前に作成しておくと、後々の手間が軽減されておすすめです。
7.見積書作成に契約形態は影響する?
見積書は、契約を結ぶ前に提出することが多いものです。業務委託契約を締結する前に、見積書の提出が求められることもあります。そのような場合、見積書にはどのような内容を記載すべきでしょうか。
見積書に契約形態を明記する必要はない
見積書には契約の形態を記載する必要はありません。そのため、契約の種類について言及していなくても、見積書は有効とされます。
準委任契約の場合
見積書に契約形態を記載する必要はありませんが記入することで、後々の認識の相違を避けることができます。
特に契約前には「準委任契約の場合はこの金額で見積もりを出したいが、請負契約ではこの金額では出したくない」といった状況が考えられます。このような場合、契約形態を見積書に記載しておくことが望ましいと言えます。
準委任契約の場合は作業日数に基づく計算を明示し、一人日あたりの料金がどのように設定されているかを記載することをおすすめします。
請負契約の場合
請負契約の場合でも、見積書の作成手順は同様です。準委任契約とは異なり納品物に対して責任を持つため、例えば「『カート機能搭載』が何を意味するのか」といった完成の定義について、双方で認識を一致させておくことが必要です。
プロジェクトに関与する際に、「全体管理費」や「ディレクション費」といった項目を含める場合には注意が必要です。「全体管理」では具体的にどのような業務が発生するのかどの範囲まで対応するのかを契約前に明確にすることが重要ですが、場合によってはその内容を見積書に記載しておく必要があります。
8.フリーランス向けの見積書テンプレート
フリーランスの方が活用できるインボイス制度対応の見積書テンプレートをご用意しております。
見積書テンプレートはこちらにて公開いたしますので、ぜひコピーしてご利用ください。
9.見積書に源泉徴収を記載すべきか?
この章では見積書に源泉徴収を記載すべきかについて解説します。
源泉徴収とは何か
フリーランスのエンジニアやデザイナーが考慮すべき重要な要素の一つが源泉徴収です。源泉徴収とは特定の所得に対して報酬を支払う側が所得税を徴収し、納付する制度のことを指します。
フリーランスのエンジニアやデザイナーが業務を行う際、以下のような報酬に関しては源泉徴収が必要となります。
原稿料
講演料
デザイン料
そのためシステム開発などの作業では源泉徴収は不要ですが、次のような場合には源泉徴収が必要です。
フリーランスエンジニアとして、インハウス支援のために特定のプロジェクトでQA業務を行い、クライアント向けに講演を行った場合。
フリーランスデザイナーとして、広告目的で使用されるWebサイト用のバナーを制作した場合。
源泉徴収を見積書に記載する必要があるのか?
源泉徴収に関しては、以下のように対応しましょう。
見積書:源泉徴収の記載は不要
請求書:源泉徴収の金額を明記
見積書は業務の料金を示すものであるため、源泉徴収について記載する必要はありません。このため、通常は表記しないのが一般的です。その一方で、請求書には源泉徴収額を記載することが望ましいです。
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10.よく寄せられる質問
フリーランスの見積書に関するよくある質問をまとめました。よく誤解される点でもあるため、しっかり確認しておくことが大切です。
見積書と契約書は異なるの?
見積書は取引契約の前に発行される書類で、業務内容や金額の確認に使用されます。一方請求書は取引が完了した後に発行され、業務に対する報酬の支払いを求めるためのものです。
クライアントは契約前の見積書の段階では費用を支払う必要がありませんが、契約後の請求書においては支払いが求められます。
見積書と請求書はその役割が大きく異なるため、理解しておくことが重要です。
見積書には税金を含めるべき?
見積書に消費税を記載する義務はありませんが、クライアントが税込みか税抜きかを理解できるように明確に記載することが重要です。消費税を含んだ総額や別途消費税が必要である旨を示すことで、トラブルを避けることができます。
さらに見積書に源泉徴収を含める必要はありません。契約が成立し、請求書を発行する段階で必要に応じて記載するようにしましょう。
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11.まとめ
クライアントに見積書を発行することは単に仕事内容やその費用を共有するためだけではなく、受注につながる重要なステップでもあります。
フリーランスとして働く場合、自身のサービスや商品の価値を適切に伝えるために見積書が重要です。見積書を通じてクライアントに対してプロフェッショナルな印象を与え、自分が提供する内容に対する理解を深めてもらうことができます。クライアントが受注を検討する際に信頼感が高まり、選ばれる可能性が増えうるでしょう。
フリーランスとしての活動を始めると、書類の作成や発行などの事務作業を自分で行わなければなりません。これらの業務は時間や労力を要することがあり、本業に集中する妨げになる場合もあります。
最近では見積書の作成を支援する便利なオンラインサービスやソフトウェアが多数存在しています。これらのツールを活用することで、見積書の作成がスムーズに行え、煩雑な事務作業の負担を軽減することができます。特に、定型フォーマットが用意されているサービスでは、簡単に必要な情報を入力するだけで、見積書を迅速に生成できるため、時間の節約につながります。
また見積書を契約前に提出し、証拠として残しておくことは無用なトラブルを避けるためにも非常に重要です。口頭での合意だけでは後々のトラブルの原因になることがありえますが、見積書があれば合意内容を明確に示すことができるため双方の理解を深める助けになります。万が一のトラブル発生時にも見積書を根拠に対応することができ、スムーズに問題解決を図ることができます。
見積書の発行はフリーランスにとって非常に大切なプロセスであり、クライアントとの関係を築くための一歩となります。見積書作成の重要性を理解し必要なツールやサービスを活用しながら、効率よく業務を進めていくことがフリーランスとしての成功につながるでしょう。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。