「フリーランスとして初めての取引。契約ってどんな手順で進めればいいんだろう?」
「業務委託契約を結びたいと言われて契約書が届いたけど、内容を確認せずにサインして問題ないのかな……」
「口頭で仕事を依頼されたけど、後からトラブルにならないか不安……」
このように感じる方も少なくないかもしれません。法律に詳しい方を除き、フリーランスの方は契約について学ぶ必要があるといえるでしょう。
契約に関する基本的な知識を身につけずに仕事を続けていると、予期せぬトラブルに巻き込まれるリスクが高くなると考えられます。そのため、契約に対する理解を深めることは非常に重要です。
とはいえ、専門家のように徹底的に学ぶ必要はないと考えられます。ポイントを押さえて実践しましょう。
そこでこの記事では、フリーランスに必要な契約書の基礎知識について解説していきます。
目次
1.業務委託契約の種類
業務委託契約には、以下の3種類があります。
請負契約
委任契約
準委任契約
これらは総称して業務委託契約と呼ばれることが一般的ですが、成果物に対する責任の有無などに違いがあります。それぞれの特徴について、以下で解説します。
請負契約
請負契約とは依頼された業務を完成させることを目的とし、その成果に対して報酬が支払われる契約のことです。この契約において受託者は業務を完遂し、成果を提供することが求められます。
具体的には成果物や納品物が事前に明確に定められており、受託者が指定された期日までにそれを完成させることで報酬が発生します。成果物が基準を満たしていない場合は修正を行い、再納品が必要となります。
例えばライターによる記事作成やエンジニアによるアプリケーション開発などが、この契約の典型例です。
委任契約
委任契約とは民法で一方が法律行為を行うことを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することで成立する契約と定義されています。つまり委託された業務内容が法律行為に該当する場合、この契約形態が適用されます。
法律行為とは当事者間の意思表示によって権利や義務の発生や変更が伴う行為のことです。たとえば会社設立の登記を司法書士に依頼する場合や税理士に所得税の確定申告を依頼する場合が該当します。
委任契約では業務の完遂や成果物の納品ではなく、委託された法律行為の「遂行」を目的とします。そのため報酬は業務を遂行すること自体に対して発生し、契約期間中に指定された業務を行うことが求められます。
準委任契約
準委任契約は、委託された業務が法律行為に該当しない場合に締結される契約です。委任契約との主な違いは業務内容が法律行為に該当するかどうかという点のみであり、業務を遂行することによって報酬が発生する点は同じです。
2.契約締結の一般的なプロセス
フリーランスが取引先と契約を結ぶ際の一般的な手順は以下の通りです。
契約書の草案を作成する:まずは契約書の基本的な内容や骨組みを整えます。この段階では、テンプレートや以前の契約書を参考にして、取引の条件を整理します。
契約書の各条項について協議を行う:次に、契約内容に関して取引先と詳細な話し合いを行います。報酬・業務範囲・納期などについて意見を交換し、必要な調整を加えます。お互いの理解と納得が得られるように進めましょう。
合意後、正式な契約書を作成する:すべての条件に合意した段階で、最終的な契約書を作成します。この段階で契約内容を再確認し、双方の署名・捺印をもって正式に契約を締結します。
これらのステップを順に進めることで、円滑に契約を結ぶことができます。
契約書の初期案を作成する
最初に契約書の草案を作成します。どちらが草案(たたき台やドラフトとも呼ばれます)を準備するかについては特に決まりはありません。発注者が用意してもよいですし、受注者が提案することも可能です。
もし取引先が大手企業の場合、大企業側のフォーマットで契約を進めるケースが多いです。
逆にフリーランスが契約書のドラフトを作成しなければならない場合、特に経験がないと不安に感じるかもしれませんが焦ることはありません。テンプレートなどをうまく活用すればゼロから作成することなく、スムーズに草案を準備することができます。
草案が準備できたら、次は契約内容の交渉に進みます。
契約内容の交渉を進める
作成された草案を基に、契約内容をさらに詳細に詰めていきます。この段階では内容の確認だけでなく、交渉すべき重要なポイントもきちんと確認する必要があります。
草案のまま本契約に進んでしまうと、自分にとって不利な条件で合意に至る可能性があります。契約を結ぶ前に主張すべきことはきちんと伝えておくべきです。一般的に、フリーランス側が交渉で取り上げることが多い項目は以下の通りです。
報酬額
支払いのタイミング(納品から振込までの期間)
経費の負担
納期
仕事の進行方法
交渉はあくまで対話です。すべての面で最高の条件を得られるわけではありませんが交渉を通じて納得のいく合意を得ることができ、仕事をスムーズに始められるようになります。交渉が終わり合意に至ったら、次のステップに進みます。
合意後に正式な契約書を用意する
合意に至ったら、正式な契約書を作成します。作成された契約書は正式なものであるため必要な項目が漏れていないか、数字や内容が正確であるかをしっかり確認することが重要です。
契約書に問題がなければ、署名と捺印をして契約を締結します。一般的には金銭を受け取る側が最初に2通の契約書に署名捺印し、クライアントに返送します。クライアントが署名捺印後、1通をフリーランス側に返送する形になります。
最近では、紙や印鑑を使わずに電子契約が一般的になってきています。クライアントから電子契約を依頼された場合は、積極的に応じると良いでしょう。この機会に、電子契約に関する基本的な知識を身につけておくのも良い判断です。
契約書は必ず保管しておくことが大切です。法人でなくても税務調査やトラブルが発生した際に契約書が必要になることがありますので、一定期間の保管を心がけましょう。
3.フリーランスの業務委託契約書に盛り込むべき主要項目
フリーランスの業務委託契約書には、記載すべき基本的な項目があります。契約書を作成する際は、必要な情報が全て含まれていることが重要です。もし必要な事項が抜けていると、それが後々トラブルの原因になる可能性があります。
契約書に盛り込むべき主な項目として、以下のようなものがあります。
契約書のタイトル
契約書にはタイトルを付ける必要があります。契約の内容にふさわしいタイトルを選ぶことが重要です。フリーランスが業務を委託(受託)する場合は、通常「業務委託契約書」というタイトルが使われます。
冒頭部分(前文)
契約書の前文には、「契約を結ぶ双方が誰で、どのような契約内容なのか」を簡潔に記載します。テンプレートを使用する際には、「○○」の部分に自分や相手の名前を入れる形です。
契約の目的については前文で簡潔に述べ、その詳細については「委託業務の内容」の項目に記載することになります。
業務内容の明確化
委託業務の内容は、明確かつ正確に記載することが非常に重要です。さらに、業務の範囲をしっかりと定めておくことも大切です。範囲を明確にしないと実際には依頼されていない業務を要求されたり、成果物に対して何度も修正を求められる恐れがあります。
業務期間の設定
業務の契約期間は、必ず明記しておく必要があります。請負契約や委任契約の場合でも無期限ではなく、一定の期間を定めておきます。
もし取引が不特定の期間にわたる場合は、契約期間の延長についても記載しておきます。例えば契約期間を3ヶ月に設定し、「特に申し出がない場合、契約は自動的に延長される」といった文言を追加することが一般的です。
報酬額と支払い条件
報酬(委託料)は契約書で特に重要な部分です。報酬額だけでなく消費税の取り扱いや、源泉徴収の有無についても明記する必要があります。
経費負担のルール
業務を遂行する際に発生する経費について、誰がどのように負担するかを明確にするための項目です。例えば業務に必要な備品購入費・通信費・移動時の交通費など、これらの費用を発注者が負担するのか受託者が負担するのかを事前に明確にしておきましょう。
支払期日と支払い手段
支払いのタイミングと方法を明確に記載します。継続的な取引では、支払期限と支払日を事前に設定するのが一般的です。支払い方法としては銀行振込が一般的ですが、別の方法を利用する場合はその旨も記載しておきます。また着手金がある場合は、その金額や支払いタイミングについても明記しておきましょう。
秘密保持の取り決め
業務を遂行する際に共有する情報や業務を通じて得られる情報に関して秘密保持が求められる場合は、「秘密保持」の項目を設けます。特に個人情報や知的財産に関連する業務は多いため、最近ではほとんどの業務委託契約書にこの項目が含まれています。
秘密保持の項目では、どの情報が「秘密」とみなされるのかを明確にする必要があります。
業務の再委託の制限
再委託の可否についても契約に明記しておくことが重要です。受託者が業務の一部または全てを第三者に再委託することを許可するのか、禁止するのかを明確に定めます。再委託を許可する場合、その範囲や条件を明示しておくことが大切です。
著作権の取り扱い
業務を通じて著作物が作成される場合、その著作権が誰に帰属するのかを明確にしておくことが重要です。一般的には、納品後に著作権がクライアントに移転する形が多いです。
著作権に関する取り決めを曖昧にしておくと、後々大きなトラブルを引き起こす可能性があります。そのため著作権がどちらに帰属するのか、またその移転のタイミングについて明確に規定しておくべきです。
契約解除条件
契約解除に関する事項も契約書に記載しておきます。契約解除の条件や手続きを明確にし、どのような状況で契約を解除できるのかを記載します。また場合によっては「いずれかの当事者が規定に違反した場合、事前通知なしで契約を解除できる」といった条項を盛り込むことも可能です。
不可抗力に伴う責任免除条項
不可抗力による責任の取り決めについても、契約書で明確にしておく必要があります。病気・怪我・自然災害などの予期しない事態で業務が遂行できなくなった場合、責任が発生するかどうかを当事者間で決定しておきます。
一般的には不可抗力による契約不履行は免責されると考えられますが、重要なのは双方がその理解に一致していることです。
損害賠償責任の範囲
損害賠償に関する項目を契約書に盛り込むことで、トラブルが発生した際に賠償責任の範囲を事前に定めておくことができます。業務委託契約における損害には、次のようなケースが考えられます。
作業の遅延による損害
品質不良による損害(納品物の欠陥)
機密情報の漏洩による損害
著作権侵害
預かった第三者の物品を損壊した場合 など
契約書に記載されていなくても、民法に基づいて債務不履行や不法行為による損害賠償責任を負うことになります。損害の内容によっては、フリーランスが個人で賠償できないような高額な金額を求められる場合もあります。
そのため契約書に「損害賠償」の項目を追加し、フリーランスが安心して業務を遂行できるように賠償金額の上限を定めておくことも可能です。
業務遂行状況の報告義務
業務が完了するまでに、どのタイミングで何を報告するかを事前に決めておきます。また、報告の方法についても具体的に記載しておくことが重要です。両者が満足する報告頻度や内容を相談し、最適な報告方法とタイミングを契約書に盛り込みます。
法令遵守(コンプライアンス条項)
反社会的勢力との関わりを持たないことを明記する項目です。この項目は「反社会的勢力の排除」として契約書に記載されていることが一般的です。
理想的にはフリーランス側も反社会的勢力のチェックを行うことが望ましいですが、それが難しい場合もあります。この項目を盛り込むことで相手に対して一定の牽制となり、仕事に関わる違法行為がないか確認することができます。
万が一相手が反社会的勢力と関わっていることが発覚した場合、即座に契約を解除できる旨を契約書に記載しておくことも重要です。
管轄裁判所の明示
業務や契約に関するトラブルが発生し、双方で解決できない場合には訴訟に発展することがあります。この場合、どの裁判所で第一審を行うかをあらかじめ定めておくことが重要です。
裁判手続きがオンライン化されているとはいえ、遠方の裁判所が指定されていると何かと不便を感じることがあるためアクセスの良い裁判所を選ぶことをおすすめします。
未解決事項の協議条項
この項目を設けることでどんな状況でも当事者間で誠実に協議し、問題解決に努めることが求められます。委託側と受託側が対等な関係を維持していくためにも、この項目を契約書に含めることをおすすめします。
関連記事
フリーランスに適した損害賠償保険とは?保険でリスから自分を守る方法
4.フリーランス新法の基本情報
ここまで一般的な業務委託契約書の記載事項について解説しましたが、ここからはフリーランス新法の概要とその影響について解説します。
フリーランス新法はフリーランスの働く環境の改善を目的とした法律です。従業員を雇わない個人事業主や一人で運営している法人(特定受託事業者)が受託者となり、従業員を雇う法人・個人事業主など(特定業務委託事業者)が委託者となる業務委託の取引に適用されます。
この法律は下請法と異なり、資本金の規模に関わらずほとんどの発注者に適用されます。ただし委託者がフリーランス(従業員を雇わない個人事業主や法人など)である場合や、単なる商品販売・消費者からの委託は対象外です。
主な規定としては取引条件の明示義務・報酬の支払期限の設定・ハラスメント防止のための体制整備などが含まれています。この法律は2024年11月から施行され、違反した場合には行政指導・勧告・公表などの対応が取られる可能性があるため、注意が必要です。
特にフリーランスと取引を行う企業はこの法律の内容を理解し、適切な対応を取ることが求められます。
5.フリーランス新法による業務委託契約書の改訂が求められるケース
フリーランス新法の施行により取引条件を明示することや報酬支払いの期日を守ることが義務化されました。さらに、受領拒否・報酬の減額・買いたたきといった行為が禁止されています。
就業環境の改善に関しては募集情報を正確に表示することや育児・介護と仕事の両立に配慮することが求められています。また、ハラスメント防止のための体制整備も義務付けられています。
これらの要件を満たすために、業務委託契約書の必要な条項を追加または修正することが必要なケースもあります。
6.契約書の見直しが不要となる場合
フリーランス新法が施行された後でも、すべての業務委託契約書を見直す必要があるわけではありません。
従業員を雇用している個人事業主や法人が受託するケースでは見直しの対象外です。これらの事業者はフリーランス新法の適用を受けません。また大企業や中堅企業が受託する場合についてもフリーランス新法の対象外であるため、契約書の見直しは必要ありません。
さらに業務委託契約ではなく物品の売買契約などの場合も新法の適用外となり、その場合は契約書の見直しは不要です。
7.取引条件の明確化の義務
フリーランス新法により事業者がフリーランスに業務を委託する際には、以下の取引条件を明確に示す必要があります。
業務委託事業者および特定受託事業者(フリーランス)の商号・氏名・名称または事業者識別番号や記号など識別可能な情報
業務委託が行われた日付
特定受託事業者が提供する役務(給付)の内容
役務の提供日や受領日など、給付を受ける期日
役務の提供や給付を受ける場所
給付内容に関して検査が行われる場合その検査完了予定日
報酬の金額
報酬の支払期日
現金以外の方法で報酬が支払われる場合、その支払い方法に関する詳細。
8.業務委託事業者が守るべき禁止事項
フリーランス新法により事業者は1か月以上の業務委託を行う場合、以下の行為を行ってはいけないので知っておきましょう。ただし、これらを契約書に記載する義務はありません。
受領拒否:特定受託事業者の過失でない理由で、給付の受け取りを拒否することはできません。
報酬の減額:特定受託事業者の過失でない理由で、業務委託時に合意した報酬の金額を減らすことはできません。
返品:特定受託事業者の過失でない場合に、給付を受けた後にその提供物を引き取らせることは許されません。
買いたたき:特定受託事業者の提供内容と同様または類似の給付に対して、通常支払われる報酬より極端に低い額を設定することはできません。
購入・利用の強制:正当な理由がない場合に、特定受託事業者に対し、特定の物品の購入やサービスの利用を強制することはできません。
不当な経済的利益の要求:自分のために、金銭やサービスなどの経済的利益を特定受託事業者から強要することはできません。
不当な給付内容の変更及び不当なやり直し:特定受託事業者の過失でない理由で、提供された給付内容を変更したり、受領後にその給付をやり直させたりすることはできません。
9.育児・介護と仕事の両立を支援する配慮の義務
フリーランス新法により事業者は6か月以上の業務を委託する際、特定受託事業者からの要請があれば育児や介護などと業務を両立できるよう、必要な配慮を行う義務があります(6か月未満の業務委託の場合は努力義務)。
これも契約書に記載する必要はありません。しかしもし配慮を行う体制を整えている場合は、それを明示することが推奨されます。
10.ハラスメント防止のための体制構築の義務
フリーランス新法により事業者はハラスメント行為が特定受託業務従事者の就業環境に悪影響を与えないよう、相談窓口の設置やその他必要な措置を講じなければなりません。また特定受託業務従事者がハラスメントに関する相談を行ったことを理由に、不利益な扱いをしてはいけません。
この体制整備についても契約書に記載する義務はありませんが、実際に体制を整えている場合にはそれを明記することが推奨されます。
11.中途解除や理由開示の事前通知義務
フリーランス新法により事業者は6か月以上の業務を委託する場合、その契約を途中で解約したり更新しない場合には少なくとも30日前に特定受託事業者に通知しなければなりません。また契約終了までの期間中に特定受託事業者が契約の中途解約や更新しない理由の開示を求めた場合には、事業者はその理由を開示する義務があります。
この事前通知および理由開示の義務は必ずしも契約書に記載する義務はありませんが、6か月以上の契約の場合には記載しておくことが推奨されます。
関連記事
フリーランスの発注書とは?記載事項や発行タイミングなど解説【テンプレート付】
12.フリーランスが業務委託契約書を作成する際の注意点
業務委託契約書を作成する際には、いくつか留意すべきポイントがあります。この章では、フリーランスが業務委託契約書をテンプレートで作成する場合の注意点をいくつかご紹介します。
取引内容に合わせて柔軟に調整する
業務委託契約書の内容は、自分の契約内容に適した形に調整することが重要です。テンプレートは一般的な状況を想定して作られているため、特定の専門的な作業が含まれている場合はそれに合った内容を契約書に盛り込む必要があります。
リスクを考慮して詳細な規定を盛り込む
業務委託契約書には、トラブルを避けるために細部まで明確に記載することが重要です。事前に詳細を取り決めておくことで、両者が安心して契約を結ぶことができるでしょう。
曖昧さを避け、明確な表現を用いる
業務委託契約の内容を確認していると、疑問に感じる点が出てくることがあります。そのような場合には曖昧な部分や疑問はそのままにせず、必ず解決しておくことが重要です。
不明確な表現を放置しておくと、後々トラブルの原因となることがあります。また契約書の内容は後から変更が難しいため、疑問点があれば必ずクライアントに相談してクリアにしておきましょう。
不安がある場合は専門家に確認する
自分で解決するのが難しい場合や困った時は、専門家に相談することが重要です。業務委託契約書の作成を専門家に依頼することも可能なので、不安な場合は弁護士などの法律の専門家に相談するのが良いでしょう。
13.フリーランス向け契約書テンプレート
フリーランスの方が活用できる業務委託契約書のテンプレートを用意しております。
業務委託契約書テンプレートはこちらにて公開しておりますので、ぜひコピーしてご利用ください。
14.フリーランス向け業務委託契約書に関するよくある質問
業務委託契約書には、他にもさまざまな重要な点があります。ここでは、よくある疑問とその解決策を確認してみましょう。
契約内容を修正したい場合はどうすればいい?
契約締結後には時間が経過して最初の業務委託契約書を変更したい場合には、覚書を作成することが一般的です。覚書は契約内容の変更点を明記した文書で、変更契約書や変更確認書と呼ばれることもあります。
変更を行う際は相手方と十分に協議し、双方の合意のもとで業務委託契約書の内容を修正しましょう。
業務委託契約書は書面での作成が必須?
業務委託契約書は必ずしも紙で作成する必要はありません。他の契約と同様に、業務委託契約も電子契約で締結することができます。
通常収入印紙が必要な契約でも電子契約の場合は収入印紙を貼る必要がなく、これにより収入印紙代を大幅に節約できます。
契約書における割印や契印は必要?
業務委託契約書では、割印や契印を押すことが一般的です。割印は複数の書類がある場合に、それらの関連性を示すために使用されます。契印は書類が複数ページにわたる場合に、ページ同士のつながりを示すために押印します。
割印や契印を押すことで、書類の差し替えや改ざんを防ぐことができます。業務委託契約書が締結された後に不正が起こらないよう、割印や契印を忘れずに押すことが重要です。
クラウドソーシング利用時も契約書を用意すべき?
クラウドソーシングでは契約条件に同意するだけで業務委託契約が成立するため、特別な理由がない限り業務委託契約書を別途作成する必要はありません。このシステムにより契約書の作成・印刷・郵送などの手間を省き、スムーズに取引を進めることができます。
ただし、取引の詳細について確認したい場合や契約内容を具体的に記載したい場合には、業務委託契約書を別途作成することも可能です。
クラウドソーシングでは基本的に業務委託契約書の作成は不要ですが、条件をしっかりと確認したい場合は契約書を作成することも一つの選択肢として考えましょう。
関連記事
フリーランスの見積書とは?書き方や重要ポイントを解説【テンプレート付】
フリーランスのための請求書の書き方や注意点など|無料テンプレート付
15.まとめ
フリーランスが業務委託契約書を作成する際には、いくつかの重要な項目を盛り込む必要があります。それぞれの内容を明確に記載することで、トラブルを防ぎやすくなります。
契約書作成のためのテンプレートも利用可能で、うまく活用すれば効率よく作成が進みます。もし自分で作成するのが難しい場合は、専門家に相談するのも一つの方法です。
適切な業務委託契約書を作成して、業務をスムーズに進め、報酬をしっかり得られるようにしましょう。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。