いずれの職業にもいえることですが、仕事を始めて3年ほど経つと業務にも慣れてきて、単独でこなせる仕事も増えてきます。また、業種や企業によっては後輩もでき、先輩としてみられる場面も増えてきます。
フリーランスエンジニアにおいても3年目になると、コア業務はもちろん、事務系の仕事もスムーズにこなせるようになってきます。また、人によっては難しい案件もこなせるようになり、1年目、2年目よりも年収が大幅にアップします。とはいえ、3年目では、難易度の高い案件をこなすのは難しいことも珍しくありません。
本記事では、実務経験3年目のエンジニアの市場価値を確認した上で、3年目のフリーランスエンジニアについて求められるスキル、案件を獲得する方法、年収事情などを見ていきましょう。
目次
1.実務経験3年のエンジニアの市場価値とは
実務経験が3年あるエンジニアの市場価値は雇用形態を問わず高いといえます。数年の経験を積み、自立して働ける状態であることが多く、転職市場においても需要があります。
労働人口が減る中、IT技術の急激な拡大に対応しなければならない企業にとって、即戦力として働いてくれる実務経験3年のエンジニアはまさに求める存在です。特に、要件定義や設計など上流工程の業務を経験している人であれば、多くの企業から好条件で内定を得られる見込みがあります。
また、実務経験3年のエンジニアの市場価値の高さは正社員だけでなく、フリーランスにもいえます。エンジニアとして3年ほどの経験があれば、ほとんどの企業が信頼して仕事を任せてくれるはずです。
2.フリーランスエンジニア3年目に求められるスキル
フリーランスエンジニアとして3年の実務経験があれば社会的ニーズは一般的に高い傾向にあります。とはいっても、就労年数に相応のスキルがあることが前提となります。
フリーランスエンジニア3年目に求められるスキルとして、以下の4つが挙げられます。
応用的なプログラミングスキル
システムの課題・欠点を指摘できる力
コミュニケーション力
セルフマネジメントスキル
それぞれ確認していきましょう。
応用的なプログラミングスキル
フリーランスとしてデビューしたての頃は下流工程や簡単なプログラミングを中心に仕事を請け負っていた人も、3年目になれば応用的なプログラミングスキルを求められる仕事にも挑戦したいところです。
複雑もしくは大規模なシステムの設計や開発、さらにTypeScriptやJavaScript、PHPなど複数のプログラミング言語の実務経験がある場合単価も高くなります。フリーランスとして長期的に稼ぎたい人や年収をアップしていきたい人であれば、応用的なプログラミングスキルの取得が不可欠です。
システムの課題・欠点を指摘できる力
3年目のフリーランスエンジニアには言われた内容をこなす力だけでなく、自発的な働きも求められます。
例えば、クライアントはシステムの課題や欠点をエンジニアに指摘してもらえれば、改善のために動けます。一方、ある程度の実務経験があるエンジニアに仕事を依頼したものの課題や欠点の指摘がなく、それらを放置し続けることになったとすれば、そのエンジニアに多少なりとも不信感を抱くものです。場合によっては、次回は別のフリーランスエンジニアに仕事を依頼しようと思うかもしれません。
3年目のフリーランスエンジニアは改善点や課題を探しながら、自発的に動くことが求められます。クライアントに付加価値を与えられれば、それだけ重宝されるでしょう。
コミュニケーション力
フリーランスエンジニアとして3年程度働いていると、クライアントとの信頼関係も構築されます。クライアントに企画を出したり、プレゼンを行ったりする機会に恵まれることもあります。自分の考えを相手に理解できるように伝えられなければ、よいアイデアであっても不採用になりかねません。
また、通常業務の中でも、クライアントとのコミュニケーションは重要です。状況や状態などをITに関する知識がない人にも理解できるように説明する力が求められます。
その他にも、コミュニケーション力の有無は営業の成功率にも直結します。フリーランスエンジニアとして3年ほど仕事をしていれば、仕事の幅を広げたいと思うものです。仕事の幅を広げるには営業活動が不可欠ですが、営業においてもコミュニケーション力は必須です。
好条件の案件を得るには相手のニーズをうまく聞き出したり、自分がクライアントに与えられる価値を分かりやすく伝えたりしなければなりません。
セルフマネジメントスキル
フリーランスとして生きていくにはセルフマネジメントが不可欠です。フリーランスとして働き始めた当初はやる気に満ち溢れていた人であっても、時間の経過とともにやる気が低下することはよくあります。
あるいは、フリーランス独立当初は、少しでもはやく成長したいと無理をしがちですが、3年目くらいから心身に負担をかけたことの代償として体調不良に悩まされることもあります。
フリーランスは1カ月に何日働くかも、一日に何時間働くかも自分で決められます。だからこそ、健康状態と相談しながら無理のないスケジュールを立てる必要があります。
とはいえ、休んでばかりいたら収入が少なくなり生活に支障が出ます。無理なく働いて生活できる報酬を得られる案件を獲得し、計画的に仕事をこなす力が不可欠です。
3.フリーランスエンジニア3年目が案件を獲得する方法
フリーランスエンジニア3年目が案件を獲得する方法として、以下の3つが挙げられます。
クラウドソーシングサイトで高単価の案件に応募する
営業活動を行う
エンジニア向けの求人サイトで高単価の案件に応募する
それぞれ確認していきましょう。
クラウドソーシングサイトで高単価の案件に応募する
フリーランスとして働き始めた人の多くがクラウドワークスやランサーズといったクラウドソーシングサイトを活用して案件を得ています。これらのサイトで案件を獲得するには受注実績やポートフォリオの内容が重視されるため、最初のうちは低単価の案件しか受注できないことも珍しくありません。
フリーランスエンジニアとして3年以上働いていれば、利用しているクラウドソーシングサイトにおいても実績や評価が貯まっていることがほとんどです。自分にとって背伸びのように思える案件でも、3年目以降であれば仕事を依頼してもらえる可能性は十分あります。
1年目や2年目のときよりも好条件の案件にも応募してみるのがおすすめです。
また、長期的な付き合いがあるクライアントに単価アップの相談をしてみるのもおすすめです。ただし、クライアント側には予算があります。仕事が評価されていたとしても、単価アップに応じてもらえるとは限りません。
営業活動を行う
3年の実務経験があるエンジニアは多くの企業が求める人材です。IT人材の不足が問題視されている今、自社のエンジニアが足りていない企業は多々あります。
3年目のフリーランスエンジニアが営業活動を行う際は、自身の市場価値の分析からはじめてください。自分がどのようなかたちでクライアントに貢献できるか明確にした上で、スキルや保有資格、過去の実績などを挙げながら効果的にアピールしていきます。
また、営業では自分をPRするだけでなく、相手の話を聞くことも大切です。相手の話に耳を傾けることで、相手が必要としている人材を把握できます。自分を相手のニーズに合わせてアピールすることで、採用につなげやすくなります。
さらに、相手の言葉に耳を傾け、相手の課題などを正確に理解することで、要望をきちんと汲み取ってくれる人という評価も得られます。
エンジニア向けの求人サイトで高単価の案件に応募する
エンジニアの求人は接客業や事務職などの求人も扱っているような総合型求人サイトにもあります。しかし、IT業界やエンジニアに特化した求人サイトを利用することで求人を効率的に探せます。
例えば、フリーランスボードはフリーランスエンジニア・ITフリーランスの案件・求人・仕事をまとめて検索できる求人サイトです。地域や職種別に求人を探せるため、自分に合った求人を手軽に見つけられます。
4.フリーランスエンジニアの年収事情
フリーランスボードによると、エンジニアのフリーランス案件・求人の月額単価の平均は70.9万円となっています。なお、エンジニアのフリーランス案件・求人の年収の目安は851万円とのことです(2025年01月04日更新)。
参考までに、国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与は460万円です。また「令和5年賃金構造基本統計調査」では、ソフトウェアエンジニアの平均年収は557万円です。
IT業界は他業界と比べて平均年収はやや高めです。フリーランスは自分の実力や努力次第で年収を青天井に伸ばせるため、フリーランスエンジニアであれば十分な収入を見込めるでしょう。
実務経験3年のエンジニアの年収の相場
実務経験3年目のエンジニアの年収は450~500万円程度と一般的にいわれています。
また、3年目のフリーランスエンジニアの年収はおおよそ700〜800万円です。
実務経験3年目のエンジニアの年収が3年目のフリーランスエンジニアの平均年収と比べて低いのは、勤続年数をはじめとし、選択肢の広さの違い、商流の違いが主な理由です。
エンジニアの実務経験3年目は仕事を問題なくこなせるものの、チームをマネジメントしたり、難しい案件をこなしたりするのには難しいフェーズです。
しかしフリーランスエンジニアの場合、ある程度案件を選択できるため、自身のスキルが最大限活かせる案件に参画できたり、高単価の案件を選択できます。
また、フリーランスと正社員は同じ業務内容でも商流の深さが異なります。フリーランスエンジニアの方が正社員よりも商流が浅いため、その分単価に差が生まれ、単価を高く獲得できます。
5.フリーランスエンジニアとして3年働くとどうなる?
フリーランスエンジニアとして3年働いた人の中には仕事が安定し、1年目と比べて収入が大幅にアップするケースも多々見られます。案件や任される仕事のレベルが上がるだけでなく、自分の好みや働き方に合わせて案件を選べるようにもなってきます。
また、フリーランスエンジニアの中には地方で仕事に従事している人もいます。エンジニアはリモートワークとの相性がよいため、仕事を理由に都市部で暮らす必要はありません。週5日稼働ではなく、週3日稼働で無理なく働き、月額30〜40万円程度の収入で暮らしている人もいます。
6.フリーランスエンジニアについてよくある質問
フリーランスエンジニアとして働いていると、数々の疑問がわいてくるものです。
フリーランスエンジニアについてよくある質問として、以下の3つが挙げられます。
エンジニア3年目が「仕事ができない」と感じるのはどのようなときですか?
フリーランス実務経験2年は少ないですか?
フリーランスは実務経験になるのですか?
それぞれ確認していきましょう。
エンジニア3年目が「仕事ができない」と感じるのはどのようなときですか?
エンジニアとして10年、20年働いている人から見ると、3年目のエンジニアはまだまだ初心者です。
エンジニア3年目の人は日常的な業務はこなせたとしても、問題の根本原因を特定する際に知識や経験の不足を実感することもあります。3年目では高度な問題を独力で解決するのはなかなか難しいでしょう。
また、3年目のエンジニアは新しいプログラミング言語やツールを活用する際には混乱しがちです。自分が使い慣れているものであれば問題ないものの、新しいものに触れると力不足を痛感することもあるようです。とはいえ、使用しているうちに慣れることがほとんどなので、この点について不安になる必要はさほどないでしょう。
フリーランス実務経験2年は少ないですか?
フリーランス実務経験2年が少ないかどうかは職業によって見方が異なる一概に少ないとはいえません。
フリーランスエンジニアの場合、フリーランスになる前にエンジニアとしての実務経験があれば別ですが、フリーランス経験=実務経験の場合、2年の実務経験しかないのであれば少々心もとないと一般的に思われます。
フリーランスエンジニアを対象にした案件の中には実務経験3年以上を必須条件とするものも多いです。特に、大手企業の案件や好待遇・高単価の案件は3年以上の実務経験が設けられていることが多いです。
フリーランスは実務経験になるのですか?
フリーランスとして働いた期間は実務経験としてカウントされます。フリーランスとして仕事をし、報酬を得た経験があれば、その分野における実務経験者です。
フリーランスとして働いていれば、転職活動においても実務経験者として応募できます。
フリーランス経験者は専門知識や実践的なスキルをもっているため、企業にとってもニーズがあります。フリーランスの経験を活かして、正社員として働くことに成功した人も珍しくありません。
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7.まとめ
3年目のフリーランスエンジニアの多くが日常的な業務を単独でこなしています。また、1年目の年収と比べて、3年目の年収は大幅にアップしているケースも多々見られます。
しかし、フリーランスエンジニアとして3年目を迎えたとき、誰もが1年目や2年目よりもキャリアアップできるわけではありません。例えば、1年目と変わらない案件をこなしているだけではフリーランスエンジニアとして3年、もしくは3年以上の年数が経過してもスキルや年収は変わらないでしょう。
フリーランスエンジニアとしてレベルアップしたい人は手元にある案件をこなすだけでなく、スキルアップのために勉強に励んだり、より良い条件の案件を獲得するために営業活動を行ったりする必要があります。
フリーランスエンジニアとしてキャリアアップしたい人は目標を掲げ、計画的に努力することが不可欠です。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。