近年、キャリアアップや自己実現のために転職を選ぶ人が増えています。しかし、その一方で「転職しなければよかった…」と後悔する人も多いのが現状です。2022年に実施された調査によると、転職後に「後悔・失敗した」と感じた人の割合は59.7%にも上ります。
なぜ、転職後に後悔してしまうのでしょうか?
その原因は、準備不足や企業選びのミスマッチなど様々です。しかし、適切な準備と正しい知識があれば後悔しない転職も可能です。
本記事では、転職後に後悔する原因を分析し、後悔しないための具体的な準備方法、転職先を選ぶ際の重要なポイント、そして万が一後悔してしまった場合の対処法まで詳しく解説します。
転職を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
1.やっぱり戻りたい!転職後に後悔する人は多い?
転職はあなたの人生を変える大きなチャンスですが、同時にリスクも伴います。「転職しなければよかった…」と後悔する人もいます。
まずは、転職後の後悔について、具体的なデータと事例を見ていきましょう。
転職後に後悔する人の割合
転職後に後悔を感じる人は意外と多いです。
マイナビが2022年に行った調査結果によると、転職経験者の約60%が転職後に何らかの後悔を感じていることが分かっています。
さらに、別の調査では転職者の約86%が「あの転職は失敗だった」と後悔した経験があると回答しています。
これらの数字から、転職後の後悔は珍しいことではないと言えるでしょう。
転職するときは十分な事前準備や調査が不可欠です。具体的な方法やポイントについてはこのあと紹介します。
転職後に後悔したことランキング
転職後に後悔する理由は人それぞれですが、共通して多く挙げられる後悔のポイントがあります。
複数の調査結果を参考に、転職後に後悔したことをランキング形式でまとめました。
給与・待遇面
「思っていたよりも給与が低かった」「昇給が見込めない」といった、給与や待遇に対する後悔が最も多く挙げられます。仕事内容
「入社前に聞いていた仕事内容と違った」「自分のスキルや興味と合わない」といった、仕事内容に関する後悔も多いです。企業文化・社風
「職場の雰囲気が合わない」「上司や同僚との人間関係がうまくいかない」といった、企業文化や社風を挙げる人もいます。労働時間・休日
「残業時間が多すぎる」「休日が少ない」といった、労働時間や休日に関する後悔も目立ちます。キャリアパス
「キャリアアップが見込めない」「成長できる環境がない」といった、キャリアパスに関する後悔もあります。
転職後に後悔したこととして最も多く挙げられているのが給料面での待遇です。それ以外の理由としては、仕事内容、職場環境、キャリアパスなどさまざまなものが挙げられています。
2.転職で後悔しやすい人の特徴
転職はキャリアアップのチャンスですが、場合によっては後悔につながることもあります。
転職で後悔しやすい人には、以下のような特徴が見られます。
転職の目的が曖昧な人
情報収集が不足している人
自分の市場価値を過大評価している人
人間関係をリセットしたい人
転職の目的が曖昧な人
転職の目的が明確でない人は、後悔するリスクが高くなります。
単に「今の会社を辞めたい」という消極的な理由だけで転職を考えると、新しい環境でも同じような問題に直面する可能性があります。
転職活動で後悔しないためには、まず「なぜ転職したいのか」という目的を明確にすることが重要です。
目的が曖昧なまま転職活動を始めると、入社後に「こんなはずではなかった」と後悔する可能性が高くなります。
「給料を上げたい」「キャリアアップしたい」といった漠然とした目的ではなく、「マネジメントスキルを磨きたい」「新規事業に携わりたい」など、具体的な目標を設定しましょう。キャリアプランを立てて、将来の目標から逆算して考えてみましょう。
情報収集が不足している人
企業研究や情報収集を十分に行わずに転職すると、入社後に「思っていたのと違う」「こんなはずじゃなかった」と感じる可能性が高くなります。
求人サイトに掲載されている求人情報だけでなく、企業の文化や実際の職場環境について、複数の情報源から詳しく調べることが大切です。口コミサイトや業界ニュースなども確認して、転職先の企業について多角的に調査してから判断しましょう。
自分の市場価値を過大評価している人
自分のスキルや経験を過大評価して実力以上の待遇を求めて転職すると、入社後に期待に応えられずプレッシャーを感じる可能性があります。
自己分析を十分に行い、業界や職種の平均的な待遇を調べるなど、客観的に自分の市場価値を把握することが重要です。また転職エージェントに相談したり、転職サイトで自分のスキルや経験に合った求人の状況を確認したりするのもよいでしょう。
人間関係をリセットしたい人
人間関係をリセットするために転職を考える人もいますが、これは安易な考えです。職場の人間関係は、仕事をする上で重要な要素の一つであり、人間関係の問題は転職先でも発生する可能性があります。
転職によって人間関係をリセットできるという幻想を抱かず、まずは今の職場で人間関係を改善するための努力をしましょう。転職の際には人間関係の問題に焦点を当てるのではなく、仕事内容やキャリアプランなどを重視して企業を選ぶことが重要です。
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3.転職後に後悔しないための事前準備
転職後の後悔を防ぐためには、事前の準備が非常に重要です。
この章では、転職後に後悔しないための3つのポイントを解説します。
自己分析を徹底する
業界・企業研究をしてミスマッチを防ぐ
転職エージェントを活用する
転職先に求める条件に優先順位をつける
自己分析を徹底する
転職後の後悔を防ぐ第一歩は、自己分析を徹底することです。まずは自分自身を深く理解することが大切です。自己分析を通じて、自分の強みや弱み、価値観、キャリア目標などを明確にしましょう。
以下では、自己分析の具体的な例を紹介します。
自身の強み・弱みを把握する
価値観を明確化する
キャリア目標を設定する
まずは、これまでの経験や実績を振り返り、自分の強みと弱みを客観的に把握します。その上で、仕事において何を重視するのか、自分の価値観を明確にします。
「給与」「ワークライフバランス」「成長機会」など、仕事を選ぶ上で譲れないものを明確にしましょう。最後に将来どのようなキャリアを築きたいのか、長期的な視点でキャリア目標を設定します。
このように自己分析を徹底することで、自分に合った企業や仕事を見つけることができるだけでなく、入社後のミスマッチを防ぐことにも繋がります。
業界・企業研究をしてミスマッチを防ぐ
転職後のミスマッチを防ぐためには、徹底的な業界・企業研究が欠かせません。
業界や企業について調べるときには、以下のポイントに注目しましょう。
業界全体の動向と将来性
志望企業の強みや特徴
企業文化や働き方
具体的な仕事内容
企業の口コミ
情報収集を怠ると、入社後に「こんなはずではなかった」と後悔することになりかねません。複数の情報源を活用し、企業のウェブサイトだけでなく、口コミサイトや知人からの情報も積極的に集めて理解を深めましょう。
転職エージェントを活用する
転職活動を効率的に進めるために、転職エージェントの活用も検討しましょう。
転職エージェントを選ぶときのポイントは以下のとおりです。
専門分野に特化したエージェントを選ぶ
担当アドバイザーに本音で相談し、信頼関係を築く
複数のエージェントを比較検討する
書類添削や面接対策などのサポートを積極的に活用する
紹介された求人についての詳細情報を聞いてみる
転職エージェントは業界や企業に関する詳細な情報を持っているため、自分では気づかなかった選択肢を提案してくれる可能性があります。また、条件交渉や入社後のフォローアップなど、転職プロセス全体をサポートしてくれます。
転職エージェントを単なる求人掲載サイトだと思わずに、さまざまなサービスを積極的に活用して、転職活動全般をサポートしてもらいましょう。
転職先に求める条件に優先順位をつける
転職活動において、すべての希望条件を満たす企業を見つけることは難しいです。そのため、転職先に求める条件の優先順位を明確にしておくことが重要です。
優先順位をつけるときのポイントは以下のとおりです。
給与、キャリアパス、ワークライフバランスなど、様々な要素を考慮する
「絶対に譲れない条件」と「あれば望ましい条件」を区別する
自分の価値観や長期的なキャリア目標と照らし合わせて優先順位を決める
優先順位を明確にすることで、転職先を選ぶ際の判断基準が明確になり、転職後に後悔するリスクを下げることにも繋がります。
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4.転職先選びで絶対に外せないポイント
転職後の後悔を防ぐためには、企業選びが非常に重要です。
この章では、転職先選びで絶対に外せない以下のポイントを解説します。
年収・給与の希望条件を明確にする
仕事内容が自分のスキル・経験とマッチするか
給与だけでなくキャリアパスを意識する
企業文化とのマッチングを重視する
企業情報を多角的に分析する
年収・給与の希望条件を明確にする
転職を検討する際、年収や給与の希望条件を明確にすることは非常に重要です。現在の年収を基準に、希望年収を現実的な範囲で設定しましょう。
年収や給与の希望条件を決めるときのポイントは、以下のとおりです。
現在の生活水準を維持するために必要な最低限の年収を算出する
将来の目標や家族計画なども考慮に入れる
業界や職種の平均年収を調査し、現実的な範囲を設定する
業界や職種の平均年収を調査するときは、転職サイトや転職エージェントの情報などを活用するのが良いでしょう。また、給与だけではなく健康保険や厚生年金、退職金制度などの福利厚生も確認して総合的に判断することが大切です。
仕事内容が自分のスキル・経験とマッチするか
転職後に「やりたいと思っていた仕事と違った」というミスマッチを防ぐためには、仕事内容が自分のやりたいこととマッチしているか確認することが不可欠です。
募集要項に記載されている仕事内容を丁寧に読み込み、自分のスキルや経験とマッチしているか確認しましょう。また、面接の際に具体的な業務内容を質問するのもおすすめです。役割や責任範囲などを確認し、イメージとのギャップがないか確かめましょう。
自分の強みを活かせる環境を選ぶことで、転職後のパフォーマンスも向上し、キャリアの成長にもつながります。将来どのようなスキルを身につけて、どのようなキャリアを築きたいのかを踏まえて仕事内容を評価しましょう。
給与だけでなくキャリアパスを意識する
転職先を選ぶときは給与や待遇面ばかりに目が行きがちですが、長期的なキャリア形成を考える上では、キャリアパスも非常に重要な要素です。
具体的には以下の点に注目しましょう。
昇進・昇格の基準の透明性
キャリアパスの多様性(専門職コースや管理職コースなど)
他部署や海外拠点への異動の可能性
スキルアップの機会(研修制度や資格取得支援など)
入社後のキャリアパスが明確に示されているか、研修制度やキャリアアップ支援制度が充実しているかなどを確認しましょう。また、自分のスキルや経験を活かし、さらに成長できる環境があるかどうかも確認が必要です。短期的な給与だけでなく、長期的なキャリア形成を見据えた企業選びを心がけましょう。
企業文化とのマッチングを重視する
企業文化は社員の働き方や価値観に大きな影響を与えるため、自分の価値観に合っているのか確認は非常に重要です。企業の理念や価値観を理解し、自分の価値観と合致するかどうかを確認しましょう。
企業のホームページや説明会などを参考に、企業の文化を深く理解することが大切です。また、実際に働いている社員の意見や口コミ、面接や職場見学を通して、社風や職場の雰囲気を肌で感じることも重要です。複数の情報源をもとに企業の社風や働き方を理解し、自分に合っているか慎重に判断しましょう。
自分に合わない企業文化の企業に入社すると、早期離職につながる可能性もあります。入社後の満足度を高めて長く働き続けるためにも、情報収集は時間をかけて丁寧に行いましょう。
企業情報を多角的に分析する
転職先の企業を選ぶ際は、様々な角度から情報を収集し分析することが不可欠です。
分析の観点としては、以下が挙げられます。
財務状況や市場での立ち位置
業界内でのシェアや競合他社との比較
将来の成長性や事業展開の方向性
社員の口コミや評判
転職先の企業の情報だけではなく、3C分析(自社・競合・顧客)を活用するなど、体系的なアプローチで理解することが重要です。
働き方や企業理念、口コミといった企業文化に関する情報から、企業の成長性や財務状況といった客観的なデータまで、幅広く情報を集めるように心がけましょう。
5.転職後の後悔から立ち直る方法
転職はあなたの人生を変える大きなチャンスですが、ときには期待と異なる結果になることもあります。「こんなはずではなかった」と死ぬほど後悔しているとき、どのように立ち直れば良いのでしょうか。
この章では、後悔から立ち直り、再び前を向くための具体的な方法を解説します。
転職後の後悔から立ち直るためには、以下の方法が効果的です。
後悔の原因を特定し改善策を考える
転職エージェントに相談する
焦らずに冷静な判断を行う
条件を満たす別の会社への転職も視野に入れる
以下では、それぞれについて説明します。
後悔の原因を特定し改善策を考える
転職後に後悔を感じたら最初に行うべきことは、その原因を特定し改善策を考えることです。感情的に落ち込むのではなく、冷静に現状を分析し、問題解決に向けて行動することが重要です。
具体的な方法は以下のとおりです。
期待と現実のギャップを明確にする
そのギャップが一時的なものか、本質的な問題かを見極める
自分自身で改善できる点がないか検討する
必要に応じて上司や人事部門に相談し、状況改善の可能性を探る
まずは、なぜ後悔しているのか具体的な理由を紙に書き出すなどして整理してみましょう。仕事内容、給与、人間関係、企業文化、労働時間など、後悔の原因となっている具体的な要因を特定することが重要です。
「思っていたよりも業務範囲が狭かった」「職場の雰囲気が自分に合わない」というように具体的に書き出すことで、期待と現実のギャップが明確になります。
そして、明確になったギャップが一時的なものなのか、それとも本質的な問題なのかを見極めることが重要です。例えば「新しい業務に慣れない」「新しいチームに馴染めていない」といった一時的な問題であれば時間とともに解決する可能性があります。
しかし、「企業の理念に共感できない」「自分のキャリアプランと合わない」といった本質的な問題である場合は、根本的な解決が必要となるでしょう。
そのうえで自分自身で改善できる点はないか検討し、必要に応じて上司や人事部門に相談し、状況改善の可能性を探りましょう。
重要なのは、後悔を感じたまま放置せずに積極的に問題解決に向けて行動することです。冷静に現状を分析した上で具体的な改善策を立てて実行することが大切だと覚えておきましょう。
転職エージェントに相談する
転職エージェントを介して転職した場合、そのエージェントのキャリアアドバイザーに相談するのも有効な方法です。1人で悩まずに転職のプロに相談してみましょう。
転職エージェントはあなたのキャリアや状況を客観的に分析し、適切なアドバイスを提供してくれます。自分では気づかなかった問題点や、改善策を見つけてくれることもあるでしょう。
また、転職エージェントは今後のキャリアプランについても相談に乗ってくれます。今の会社でキャリアアップを目指すか、再転職を検討すべきか、専門的な視点から冷静なアドバイスがもらえます。
焦らずに冷静な判断を行う
今、死ぬほど後悔しているあなたは、すぐにでも「辞めたい」と思っているかもしれません。しかし、転職後の環境に慣れるには時間がかかるものです。まずは冷静に状況を分析し、今後のことを慎重に判断することが大切です。
最低でも3〜6ヶ月は新しい環境に適応する期間として我慢し、本当に今の会社で改善できる余地はないのか、冷静に分析しましょう。もう一度自己分析を行い、自分は何を理想としているのか整理してみるのもおすすめです。
再転職には、再び転職活動を行う時間や労力がかかるだけでなく、転職先が見つからない、または以前より条件が悪くなる可能性も考慮する必要があります。安易に再転職を決断する前に、再転職のリスクとメリットを比較検討してみましょう。
条件を満たす別の会社への転職も視野に入れる
もし十分な時間を経ても状況が改善しない場合は、再度の転職を検討することも選択肢の一つです。
ただし、焦ってすぐに転職活動を開始するのは禁物です。一度立ち止まって自分自身と向き合い「本当に転職は必要か」「前回の転職で何が問題だったのか」「自分はどのような会社で働きたいのか」などを、冷静に考えてみましょう。
特に、前回の転職で後悔した原因を分析し、同じ過ちを繰り返さないように対策を立てることが重要です。例えば、情報収集不足が原因だった場合、今回はより多くの情報源を活用し、時間をかけて企業研究を行いましょう。
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6.まとめ
本記事では、転職後の後悔を防ぐための具体的な方法について解説しました。
転職は人生における大きな決断であり、慎重な準備と情報収集が不可欠です。転職前に自己分析を徹底し、自分の強みや弱み、価値観、キャリア目標を明確にしましょう。
また、業界や企業に関する情報を入念に収集し、ミスマッチを防ぐように心がけることも大切です。企業を選ぶ際は、給与だけでなくキャリアパスや企業文化も考慮し、多角的な視点から企業を分析しましょう。
転職後に後悔を感じた場合も、原因を冷静に分析し、焦らずに判断することが大切です。ときには困難を乗り越えることで、新たな成長の機会につながることもあります。
転職は、新たなキャリアを築くためのチャンスです。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。