UI・UXデザイナーとはWebサイトの開発や制作に携わる職業です。ユーザーが使いやすい設計を行うことが求められるため、デザインの知識や客観的なものの見方などさまざまな力が必要になります。
新しい技術が次々に生み出されている今、UI・UXデザイナーの社会的な需要は今後も高まると考えられています。高機能な製品がテクノロジーの力で今後も生み出されると期待されていますが、これらはユーザーが使いにくければ意味がないためです。
こうした背景からも、UI・UXデザイナーは注目されている副業の1つといえます。正社員として働いている人の中にはUI・UXデザインに副業で関わり、スキルアップを目指したり、副収入を得たりしている人がいます。
本記事では、UI・UXデザイナーの概要を押さえた上で、UI・UXデザイナーの副業について必要なスキル、単価、求人の探し方などを解説します。
目次
1.UI・UXデザイナーとは
UI・UXデザイナーとは、ユーザーにとって使いやすいシステムやビジュアルになるようにデザインする仕事です。例えば、就職サイトであれば各メニューの位置や写真の場所などを工夫し、ユーザーが応募しやすくなるように設計します。
UIデザイナーとUXデザイナーはユーザーの目線でデザインする点では共通しているものの、仕事内容はそれぞれ異なります。
UIデザイナー
UIとはUser Interface(ユーザーインターフェース)の略語です。ユーザーと製品・サービスとの接点のことをいいます。
UIデザイナーの主な役割はユーザーが使いやすいデザインを実現することです。
UXデザイナー
UXとはUser Experience(ユーザーエクスペリエンス)の略語です。ユーザーが製品・サービスを使うことで享受できる体験のことをいいます。
UXデザイナーの主な役割はユーザーが使って楽しい、快適だと思えるデザインを実現することです。
2.UI・UXデザイナーが副業に向いている理由
UI・UXデザイナーの副業案件にはリモートワークが可能な案件、プロジェクトベースの短期案件が比較的多い傾向にあります。平日の夜や土日祝を活用して副業したい人にとって働きやすい環境が整っています。
また、UI・UXデザインの知識が求められる副業案件は今後も継続的に存在するといわれています。UI・UXデザイナーはAIによって仕事の一部が代替されたり、職業名が変わったりすることがあるかもしれません。そうはいっても、ユーザーの目線で考えるのは人間でなければ難しいですし、UI・UXデザインに関するスキルが求められるシーンは今後もあり続けるといわれています。
3.UI・UXデザイナーに必要なスキル
UI・UXデザイナーとして副業で稼ぐためにはスキルが必要です。特に、副業の場合は業務を独力で完結させなければならないため高いスキルが求められます。
UI・UXデザイナーに必要なスキルとして、以下の6つが挙げられます。
UI・UXに関する知識とスキル
デザイン・デザインツールに関する知識
マーケティングスキル
対人力
論理的思考力
ユーザーの視点でモノを見る力
それぞれ確認していきましょう。
UI・UXに関する知識とスキル
UI・UXデザイナーとして副業をするにはUI・UXに関する知識とスキルが不可欠です。
UI・UXデザイナーはユーザーの視点で物事を考えて、細やかにデザインする必要があります。ツールや生成AIで半ば自動的に完了する仕事ではありません。
戦略、要件、構造、骨格、表層という5つの要素を設計していき、ビジネスの目的から逸れることなく、形にする力が必要です。
デザイン・デザインツールに関する知識
近年においてはWebサイトやアプリのデザインはAIで半ば自動的に行えます。しかし、UI・UXデザイナーはAIの力を借りず、ユーザーが使いやすいデザインをさまざまな観点から考える必要があります。
例えば、高齢者にも見やすいサイトにするにはどのような色合いがよいか、ユーザーが迷わずに情報にアクセスするにはどのようなメニューの配置がよいかなど考えます。
ユーザーにとっての使いやすさを考えた上で、実際にデザインを行い、反映させます。このため、HTML/CSS、Photoshop、Illustrator、Figma、Adobe XD、Sketchなどのスキルや経験が求められます。
マーケティングスキル
UI・UXデザイナーは企業の売上に直結する役割を担います。Webサイトやアプリを使った集客にも関わる業務であるためマーケティングスキルが求められます。
UI・UXデザイナーに求められるマーケティングスキルには以下のものがあります。
ペルソナ設定
市場調査
情報収集能力
UI・UXデザイナーは「どの年代を主なターゲットにして周知すべきか」「クライアント企業の商品を求めているのはどの層なのか」などを調査し、Webサイトやアプリなどをデザインしていきます。
Webサイトやアプリの公開後も市場調査や情報収集を継続し、サイトを改善したり、ユーザーのニーズに合わせたりします。
対人力
UI・UXデザイナーは技術職であるものの、人と関わる機会が多くあります。社内外の人とコミュニケーションを取りながら業務を進めていくため対人力は必須です。
自分のデザインの意図をクライアントに説明し、納得してもらう必要がありますし、チームメンバーと協力して何かをやり遂げる機会もあります。
また、UI・UXデザイナーはプレゼンテーションを行う機会もあります。
クライアントやチームメンバーを前にしてデザインの意図、提案する顧客体験がもたらすものなどを説明するシーンは少なくありません。誰にでも分かるように説明する力だけでなく、人好きする性格でなければ、周囲はついてきてくれないでしょう。
論理的思考力
UI・UXデザイナーはWebサイトやアプリを利用するユーザーの視点で考え、筋道を立てて考える能力が求められます。
「ユーザーがこのデザインを必要とする理由は何か?」「この設計にすることでユーザーにどんなメリットがあるのか?」などを論理的に考えます。
UI・UXデザイナーは自分の好みやトレンドに合わせてデザインするのではなく、ペルソナを明確にした上で、ペルソナの行動パターンをユーザー目線でイメージしながらデザインを行います。
ユーザーの視点でモノを見る力
UI・UXデザイナーはユーザーにインタビューをしたり、アンケートをとったりして、彼らの声に耳を傾けます。
こうした調査の結果に基づき、現状の課題、ユーザーのニーズなどを踏まえた上で、Webサイトやアプリのデザインを考えます。他者に共感し、寄り添う力も必要です。
4.UI・UXデザイナーの単価
フリーランスエンジニア・ITフリーランスの案件・求人・仕事をまとめて検索できるフリーランスボードによると、UI・UXデザイナーのフリーランス案件の月額平均単価は68万円(年収換算で816万円)です。(2025年3月時点)
UI・UXデザイナーの仕事に副業で従事する場合、仕事は本業の合間に行う必要があるため応募できるプロジェクト、仕事に充てられる時間はフリーランスよりも一般的に少なくなります。しかし、週に2日の稼働で20万円程度の報酬を得られる求人もスキルや知識次第では獲得できます。
5.UI・UXデザイナーの求人の探し方
UI・UXデザイナーとして副業で働きたいものの、求人の探し方が分からないという人もいます。求人は自分のスキルや経験に合った方法で探すことで、採用されやすいだけでなく、実力に対して正当な報酬を得やすくなります。
UI・UXデザイナーの求人の探し方として、以下の4つが挙げられます。
エージェントを活用する
デザインスクールで案件を紹介してもらう
クラウドソーシングを活用する
SNSで案件を探す
それぞれ確認していきましょう。
エージェントを活用する
UI・UXデザインの副業をしたい人にはエージェントの利用がおすすめです。
特に、副業案件を専門に扱っているエージェントであれば、「週2日」「作業は週数時間」
「完全在宅」といった条件の求人に出会いやすいです。
また、フリーランスを対象にしたエージェントの活用もおすすめです。フリーランス向けのエージェントも週に数日のみ稼働の求人を多く扱っています。
デザインスクールで案件を紹介してもらう
デザインスクールによっては受講生に案件の紹介を行っています。一通りの学習を終えた受講生を対象にある程度自立できるようになるまで案件を紹介をしたり、各種サポートを行ったりしています。
スクールに在籍するにはお金がかかるものの、学びながら実務を経験できるのは大きなメリットです。スクールに仕事を紹介してもらいたい人は、紹介制度の有無を入学前に確認してみてください。
クラウドソーシングを活用する
クラウドソーシングとは仕事を依頼したい企業や個人がワーカーに仕事を発注できるサービスです。
クラウドソーシングに掲載されている求人の多くが面接の過程を経ずに業務に入れます。自分のペースで働きたい人、面接の日程調整が難しい人も安心です。
ただし、クラウドソーシングに掲載されている求人の多くが実務経験が浅い人、初心者を対象にしています。仕事内容は簡単であっても単価が低かったり、収入を増やしにくかったりというデメリットがあります。
UI・UXデザイナーとしてすでに活躍している人、将来的にフリーランスとして独立したい人にはクラウドソーシングへの依存はあまりおすすめしません。
SNSで案件を探す
最近は、若年層を中心にSNSで仕事を探す人も増えています。個人や企業の採用担当者の中にはSNSで求人を出している人もいます。
SNSは普段の投稿内容を見ると人柄や仕事への適正も判断できます。採用担当者にスキルや知識以外の点からアピールすることも可能です。
また、UI・UXデザインや業務に関する内容を投稿していれば、オファーが届くこともあります。
6.UI・UXデザイナーの副業のメリット
UI・UXデザインの副業をすることで具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。メリットを把握しておくことで、副業に対するやる気がアップするはずです。
UI・UXデザイナーの副業のメリットとして、以下の4つが挙げられます。
余剰資金が増える
会社員ではできない経験ができる
人脈ができる
フリーランスになる道が拓ける
それぞれ確認していきましょう。
余剰資金が増える
本業以外にも収入源をもつことで余剰資金が増えます。UI・UXデザイナーとして活躍している人、UI・UXデザインのスキルがある人は、それらを収入に結びつけることも可能です。
余剰資金が増えれば将来のために貯蓄をし、安心感を得ることもできます。また、趣味にかけるお金を増やしたり、外食の機会を増やしたりすることもできます。
会社員ではできない経験ができる
会社員のUI・UXデザイナーはUI・UXデザイン以外の業務に携わる機会はほとんどありません。UI・UIデザインの経験は積めても、書類作成や経理処理、営業の経験値を高める機会がないことがほとんどです。
ビジネスパーソンとしてのスキルや経験をオールマイティーに高めたい人は副業をすることでさまざまなスキルが身に付きます。将来、UI・UXデザイン以外の仕事に就きたくなった場合にこうした経験は評価されるはずです。
また、会社員としてUI・UXデザインに携わっていても、好きなプロジェクトや自分の興味のあるプロジェクトにアサインされるとは限りません。副業であれば自分で携わりたい仕事を選べます。自社では経験できないだろう案件に副業で挑戦するのも1つの手です。
人脈ができる
UI・UXデザイナーとして副業することで自社以外の人たちともビジネスを通して関われます。社外の人と関わることで刺激になったり、新たに気付いたりすることもあります。
また、転職や独立を将来的に考えている人は会社員をしながら人脈を広げることができます。
フリーランスになる道が拓ける
UI・UXデザイナーとして将来的にフリーランスになりたいと考えている人もいるはずです。
独立後、会社員時代に副業で関わった企業からフリーランスとして案件をもらえることもあります。
また、フリーランスが求人に応募する際に一般的に必要となるポートフォリオ(業績紹介)に記載できるプロジェクトや業務経験が増えます。副業人材として自立的に働いたことがある人は企業から高い評価を得やすいです。
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7.UI・UXデザイナーの副業に関するよくある質問
UI・UXデザイナーに副業で携わりたい人の中には疑問を抱えている人もいます。そこでここでは、UI・UXデザイナーに関するよくある質問に回答します。
UI・UXデザイナーの副業に関するよくある質問として、以下の4つが挙げられます。
UXリサーチを副業で行うメリットはありますか?
Webデザイナーの副業はどこで求人を見つけられますか?
ゲームUIで副業できる仕事はありますか?
Figmaの副業は稼げますか?
それぞれ確認していきましょう。
UXリサーチを副業で行うメリットはありますか?
UXリサーチとはユーザーの行動や心理、ニーズなどを調査して、顧客体験の価値を高めることです。
UXリサーチの仕事に副業で従事することで、リサーチャー同士で情報を交換し、よいものをつくることが可能です。また、さまざまな人とかかわることで、有益な情報を得られるのもメリットです。
企業間の競争が激化している今、企業はユーザーの満足度が高い商品やサービスの開発に力を入れています。UXリサーチの重要性は今後も続くと見込まれるため、UXリサーチャーとしてのスキルや経験を活かせる場は今後も存在し続けるといえます。UXリサーチの経験は転職や独立の際に役立つこともあるはずです。
Webデザイナーの副業はどこで求人を見つけられますか?
Webデザイナーの副業案件はクラウドソーシングや各企業の公式サイト、大手求人サイトなどに掲載されています。
また、IT系のフリーランスを対象にした求人を扱っているフリーランスボードにもWebデザイナーの求人はあります。フリーランスを主に対象とするサイトであるものの、完全在宅の求人など副業人材にとっても働きやすい求人が多々あります。
ゲームUIで副業できる仕事はありますか?
ゲームにおけるUIにも副業でできる仕事はあります。リモートワークを行える業務も多いことから、副業やフリーランスとの相性がよい職業です。
ゲームUIの副業案件には画面レイアウトやUIデザインなどさまざまな仕事があります。
Figmaの副業は稼げますか?
Figmaとはブラウザ上で簡単にデザインを行えるツールです。Figmaを使ったUI・UXデザインの副業案件もあります。
Figmaの副業は3年前後のデザイナー実務経験があれば稼ぎやすいといわれています。実務経験が豊富なデザイナーの中には平日の夜や土日のみの業務で20万円程度稼いでいる人もいます。特に、エージェントを活用することで高単価の案件に出会えます。
ただし、デザイナー実務経験が浅い人、Figmaを使い慣れない人は稼げるようになるまで時間を要します。
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8.まとめ
AIがさまざまな仕事を代替していますが、UI・UXデザイナーの仕事が完全になくなることは現時点では考えにくいです。
UI・UXデザインに必要なスキルや知識はさまざまな場所で活かせる他、ビジネスの競争が激化している今だからこそ企業はUI・UXデザイナーの手を借りたいと考えています。
UI・UXデザイナーとして業務に従事するにはデザインの知識だけでなく、マーケティングや論理的思考力などさまざまな力が求められます。これらのスキルはすぐに身につけられるものではないものの学ぶ意義はあるでしょう。UI・UXデザインは社会で高いニーズがあるスキルですし、UI・UXデザイナーの副業をすることで余剰資金の増大を見込めます。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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