会社員として働く人や家事と仕事の両立を目指す人の中には、フリーランスに興味を抱いている人もいると思います。とはいえ、フリーランスに憧れつつも、転身したところでしっかり生活できるのか不安も抱くものです。
フリーランス転身後に後悔しないためにも、自分がフリーランスに向いているかどうか確認し、見極めることが大切です。フリーランスは比較的自由が多く、柔軟な働き方を実現しやすいものの、経済的に不安定なことなどデメリットもあります。
本記事では、フリーランスに向いている人の特徴と向いていない人の特徴を確認した上で、フリーランスと相性がよい職種、案件獲得方法、よくある質問などを解説します。
目次
1.フリーランスに向いている人の特徴
フリーランスとは企業や公的機関などに所属することなく、スキルや経験などを活かして自立して仕事をする人たちのことです。フリーランスに向いているのはどのような人なのでしょうか。
フリーランスに向いている人の特徴として、以下の5つが挙げられます。
学習意欲が高い
特定分野において秀でたスキルがある
プライベートと仕事を両立したい
自分を律することができる
納期を含む約束を遵守できる
それぞれ確認していきましょう。
学習意欲が高い
フリーランスとして収入を継続して得るには高い学習意欲が不可欠です。十分なスキルをもって独立したとしても、日々変化している時代においてそのスキルだけで10年、20年と稼ぎ続けられる保証はありません。
社会の変化に合わせて、自分も変化する必要があるため、情報をキャッチし、学び続ける必要があります。
学習意欲が高い人であれば、最新の情報を収集したり、スキルアップを試みたりと、自分を高め、時代に自然と適応できます。こうした人であれば社会から必要とされる存在であり続けられるため、仕事を安定的に受注できるでしょう。
特定分野において秀でたスキルがある
特定分野における高度なスキルがある人や深い知識がある人はフリーランスとして独立することで収入を上げられる傾向にあります。特定の分野において長期的な経験や高い能力があれば高単価な仕事を獲得できる可能性が高いためです。
また、秀でた能力があり、その力を活かしてキャリアを自分で形成していきたい人にもフリーランスは向いています。フリーランスは自分で仕事を選べるため、自分のスキルや特技を活かせる場で活動できます。多くの人からスキルが認められれば、会社を設立し、経営者に移行する道も拓けます。
プライベートと仕事を両立したい
フリーランスは会社に縛られずに働けます。定められた勤務時間や出勤時間がない働き方も仕事によっては可能です。
育児や介護などで自宅を離れられない人も自宅に居ながらにして働けるため、働くことのハードルが下がります。
また、フリーランスの中には旅をしながら働いている人、カフェなどお気に入りのスポットで仕事をしている人もいます。会社員として働いていると長期の旅行をするのは難しいですが、フリーランスであれば調整次第では都合をつけることもできます。
自分を律することができる
フリーランスは仕事中に上司や同僚の目がないため、いくらでもなまけられます。また、勤務時間が決まっているわけではないため、特定の時間帯に仕事を必ずしなければならないわけでもありません。しかし、仕事をしなければ収入は発生しませんし、納期に遅れれば信頼を失って仕事がなくなります。
さらに、フリーランスには会社員のように傷病手当金や有給はないため、病気で仕事を休むと収入源を失う可能性が高いです。健康的な生活を心掛け、健康を維持しなければなりません。
納期を含む約束を遵守できる
フリーランスには定められた勤務時間はなくても、納期はあります。期日までに納品する必要があるため、自分で計画を立てて仕事を進めていく必要があります。
納期に遅れると相手に迷惑をかけるだけでなく、契約が解除になって収入を失うこともあります。
2.フリーランスに向いていない人の特徴
フリーランスは向き不向きがはっきりする働き方であるため、フリーランスになったことに後悔する人も少なからずいます。後悔しないためにも、自分がフリーランスに不向きではないか確認しておくことが大切です。
フリーランスに向いていない人の特徴として、以下の5つが挙げられます。
仕事においてできるだけラクをしたい
自分を律するのが苦手
他者からの指示がないと動けない
仕事に責任感がない
生活において安定を重視している
それぞれ確認していきましょう。
仕事においてできるだけラクをしたい
フリーランスに対して会社員よりもラクをしているとみなす人がいますが、フリーランスはラクで、いつも自由にしていられるわけではありません。
フリーランスには定められた勤務時間はないものの、多くのフリーランスがフルタイムで働く会社員と同等の時間働いています。フリーランス協会の「フリーランス白書 2024」では月間稼働時間を140~200時間未満と回答したフリーランスが最多でした。なお、月間稼働時間が200時間を超えるフリーランスも1割以上います。
フリーランスは会社員とは違い、経理や事務作業を自分で行わなければなりません。特に、年に一度の確定申告はフリーランスにとって負担になりがちです。経費の管理、帳簿つけを日々行い、確定申告に向けて日頃から準備しておく必要があります。ちなみに、これらの作業には報酬は発生しません。
自分を律するのが苦手
自分を律することができない人は仕事や案件探しをほとんどしないまま1カ月が経過することもあります。仕事に従事しない日が続けば収入も発生しないため、気づいた頃には生活費がほとんどないという事態に陥ることもあります。
また、特別な事情がなくても期日までに仕事を仕上げられず、クライアントに迷惑をかけてしまうフリーランスもいます。計画的に仕事を進めることが苦手な人はフリーランスとして働くのは難しいでしょう。
他者からの指示がないと動けない
フリーランスには営業活動やクライアントへの提案などを行い、仕事を自分で生み出す力が求められます。仕事の依頼を待っているだけでは、よほどの人脈がない限りは仕事をいつまでも受注できないでしょう。
また、フリーランスは指示待ちの人には向きません。発注側は指示待ちのフリーランスと仕事をすると手間がかかるため、自立的に動いてくれるフリーランスを好みます。
仕事に責任感がない
フリーランスとして働く上で、責任感は必須です。フリーランスは納品物のクオリティーが評価に繋がるため、受注した仕事の質が低かったり、納期に遅れたりすると信用を失うことになります。
また、自分が応募し、受注した仕事であるにもかかわらず「めんどくさくなった」「趣味に没頭していて仕事ができなかった」などの理由で放り投げたら、社会人としてのモラルも問われます。
生活において安定を重視している
フリーランスは収入が安定しにくいため安定志向の人には不向きといえます。会社員のように安定した給与を得られる保証はなく、案件の単価や納品状況によって給与は大きく変動します。さらに、フリーランスは業務委託契約であるため、先方の都合で仕事を突然失うこともあります。
フリーランスは収入が不安定であることから住宅ローンやクレジットカードの審査に不利であるともいわれています。
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3.フリーランスと相性がよい職種
世の中にはさまざまな職業がありますが、すべての職業においてフリーランスとして働けるわけではありません。また、職種によって求人数や求人倍率なども大きく異なります。
フリーランスとして働きやすい職種として、以下の4つが挙げられます。
エンジニア・技術開発系
Webデザイナー
Webマーケター
Webライター
コンサルタント
動画編集者・クリエイター
それぞれ確認していきましょう。
エンジニア・技術開発系
IT業界とフリーランスの相性はよく、エンジニア・技術開発系の職に従事する人の中にはフリーランスが多くいます。フリーランス協会の「フリーランス白書 2024」によると、「現在の主な収入源となっている職種」のうちエンジニア・技術開発系が18.6%を占めています。クリエイティブ・Web・フォト系の22.9%に次ぐ、高い割合となっています。
エンジニア・技術開発系の中にもさまざまな職がありますが、以下の職種はフリーランスとして働きやすい傾向にあります。
ただし、これらの職はいずれも好きな場所や自分の都合のよい時間にだけ働けるわけではありません。企業や仕事内容によってはフリーランスであっても出社が求められたり、勤務時間が定められたりします。
Webデザイナー
WebデザイナーはWebサイトのデザインやコーディングを行います。デザインを自ら生み出すこともあれば、すでにあるデザインをかたちにすることもあります。
また、サイト構築用のCMSであるWordPressのデザインを少しカスタマイズする仕事やバナーを制作する仕事もあります。Webデザイナーの仕事は幅広く、ホームページを開設したい人も増えていることからフリーランス初心者であっても仕事を受注しやすい傾向にあります。
フリーランスのWebデザイナーであれば、特定の業界のWebサイトの構築に携わったり、得意分野を活かせる仕事に専念したりできます。例えば、かわいらしいデザインが好きな人であれば、ネイルサロンや美容室、女性向けのアパレルブランドのサイト制作に特化することも可能です。
Webマーケター
WebマーケターとはWeb上で行われるマーケティングに幅広く携わる職業です。Webの特性を活かし、ユーザーの行動に沿った戦略を考え、実行し、商品やサービスの売上の向上に貢献します。
近年、Webサイトを運営する個人や企業が増えているだけでなく、インターネット広告市場が拡大しているため、Webマーケターの需要は増しています。フリーランスのWebマーケターに仕事を依頼する企業、フリーランスのWebマーケターにSNS運用のサポートを依頼する個人事業主やインフルエンサーなどもいます。
Webライター
スマートフォンやタブレットを日常的に使っている今、Webライターは社会的ニーズが高い職業です。
Webライターは企業が運営するオウンドメディアの記事やWebサイトのコラム記事などを制作します。検索一覧の上位に表示できるよう、執筆力だけでなく、SEOに関する知識も求められます。
Webライターは在宅ワークとの相性がよく、完全在宅で働ける仕事も多くあります。
近年ではChatGPTなどの生成AIが急速に普及し、Webライターの執筆作業を一部自動化できるようになりました。しかし、Webライターには読者の抱える悩みを深く理解し、分かりやすく伝える力が求められるため、完全にAI任せにすることは難しいでしょう。
Webライター自身がコンテンツの質を高めるためにAIを活用しながらも、人間ならではの視点や表現力を発揮できるかが重要です。
コンサルタント
フリーランスのコンサルタントはコンサルティング業務、PMO・PM支援、戦略立案支援などさまざまな業務に携わります。
フリーランスのコンサルタントは会社員のコンサルタントよりも自身が携わるプロジェクトや勤務時間を柔軟に決められます。自分が得意とする分野のコンサルタントに専念したり、報酬を基準に携わる仕事を選んだりできます。
フリーランスのコンサルタントの中にはコンサルティングファームの正社員として働いていた人も多くいます。フリーランスのコンサルタントとして独立を決めた人の多くが、キャリアアップや年収アップを実現しています。
フリーランスのコンサルタントの収入はプロジェクトや契約に依存します。このため収入は自分次第で青天井であるものの安定性に欠けます。
動画編集者・クリエイター
近年、YouTubeやWeb広告の需要の増大、企業の採用動画の普及などによって動画編集者・クリエイターの仕事が増えています。動画制作の外注を検討する人の中には制作会社だけではなく、フリーランスに依頼する人も多いです。
フリーランスの動画編集者の仕事はさまざまですが、YouTubeに投稿する動画、動画の間や始まる前に流れるインストリーム広告、Webページの参照中に流れるインリード広告、企業のブランディングや採用動画の制作を依頼されることが多いです。
動画編集者と聞くと難しそうなイメージを抱きがちですが、仕事に最低限必要なスキルは比較的容易に取得できます。テロップ、効果音・BGMの挿入、カット編集などのスキルがあれば案件獲得につながります。高度な専門知識があればよりクオリティの高い動画を制作でき、高い単価の案件も受注できますが、働きながら少しずつ成長していく方法もおすすめです。
4.フリーランスが案件を獲得する方法
フリーランスは会社員のように仕事を割り振ってもらえるわけではないため、自分で仕事を探す必要があります。
フリーランスが案件を獲得する方法として、以下の3つが挙げられます。
クラウドソーシングサービスを活用する
フリーランスエージェントに相談する
フリーランス向けの求人サイトを利用する
それぞれ確認していきましょう。
クラウドソーシングサービスを活用する
クラウドソーシングにはさまざまな案件が募集されている総合型、特定のジャンルに特化した案件が募集されている特化型があります。クラウドワークスやランサーズ、ココナラは総合型のクラウドソーシングで、ITエンジニア、ライティング、翻訳などさまざまな仕事の求人があります。
一方、特定型の代表的なサービスにはイラストや漫画に特化したタノムノ、ライティングに特化したシノビライティングなどがあります。
クラウドソーシングには多くの求人が掲載されており、案件探しから受注まで比較的手軽に行えます。初心者向けの案件もあるため、フリーランスとして仕事をしてみたい人にもおすすめです。
フリーランスエージェントに相談する
エージェントの中にはフリーランスを対象とする求人を扱っている会社もあります。求職者の希望やスキル、経験などにマッチした案件を紹介してくれるため、自分で仕事を探す手間が省けます。
また、フリーランスエージェントによっては価格交渉やスケジュール調整などを担当者が求職者の代わりに行ってくれます。
フリーランスエージェントについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
フリーランス向けの求人サイトを利用する
フリーランス向けの求人サイトを活用すれば、スキマ時間を活用して案件を探せます。自分のペースで仕事を探したい人に向いています。
例えば、フリーランスエンジニア・ITフリーランスの案件・求人・仕事をまとめて検索できるフリーランスボードでは、エンジニア、デザイナー、マーケターなどさまざまな求人を扱っています。業界や地域など条件を絞り込んで、案件を探すことも可能です。
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5.フリーランスに関するよくある質問
フリーランスへの転身を考えている人の中には疑問を抱いている人もいると見られます。フリーランスになった後で後悔しないためには、疑問は事前に解消しておくことが大切です。
フリーランスに関するよくある質問として、以下の4つが挙げられます。
フリーランスが向いてなかったのですがどうしたらよいですか?
フリーランスの女性に特徴はありますか?
フリーランスとして稼げる人はどのような人ですか?
フリーランスは性格悪いと言われますが本当ですか?
それぞれ確認していきましょう。
フリーランスが向いてなかったのですがどうしたらよいですか?
フリーランスになったものの案件を思うように獲得できず生活が立ち行かなくなるケースや、一人での仕事に孤独を感じるケースもあります。
フリーランスが向いていないと感じた場合、会社員に戻ることも可能です。実際、フリーランスから会社員に経済的事情や業務量の多さを理由に戻った人もいます。
転職活動をすればうまくいくという保証はないものの、フリーランスとして学んだことや自身のこれまでの実績を話すことで高く評価されることもあります。
フリーランスの女性に特徴はありますか?
フリーランスの女性にはさまざまなタイプの人がいるため、フリーランスの女性すべてに共通する特徴を挙げるのは難しいです。
フリーランスとして働く女性の中には育児や介護などで自宅を離れられない女性も多くいます。フリーランスは就労時間が定められていないため、子どもが風邪を引いたときに対応しやすい、高齢の親を自宅に残して仕事に行かなくてもよいといったメリットを感じている人もいます。
また、夫婦共働きが主流の現代であるものの、家事は妻が率先して行っている家庭もあります。フリーランスは身支度や通勤などがないため、忙しい朝の時間も有効活用できます。
その他にも、自分の時間や趣味の時間を大切にしながら働いているフリーランスの女性もいます。
フリーランスとして稼げる人はどのような人ですか?
フリーランスとして稼いでいる人の多くが社会的な需要があり、稼げる職種を選んでいます。自分の好きな仕事で、なおかつその分野における高度なスキルがあったとしても、稼ぎにくい職種では高い収入を得ることは難しいです。
ITエンジニアやコンサルタントはフリーランスの中でも年収が高い傾向にあり、1000万円以上の年収がある人もいます。一方、Webライターや動画編集者が年収1000万円を超えるのは容易ではありません。
また、いずれの職種であっても、高いスキルと深い知識がある人、仕事にまじめに向き合っている人、向上心が高い人は長期的に安定した収入を得られている傾向にあります。
フリーランスは性格悪いと言われますが本当ですか?
フリーランス協会の「フリーランス白書 2024」によると、仕事獲得経路において「人脈」「過去・現在の取引先」といったリアルなつながりがもっとも多くの回答を集めました。性格が悪い人に仕事を依頼したいと考える人はあまりいないため、フリーランスの多くが人間関係を大切にし、相手を気遣いながら仕事をする人であると考えられます。
フリーランスは仕事を一人ですることが多く、人と関わる機会が少ない職業もあります。とはいえ、クライアントと連絡を取る機会は多いですし、相手への気遣いが求められるシーンもあります。相手の気分を害することを平気で言う人であれば、仕事を継続的に受注するのは難しいでしょう。
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6.まとめ
フリーランスについては、よい部分にばかり着目されることが多いですが、フリーランスは向き不向きがはっきり分かれる働き方です。高度なスキルがあり、前向きに考えられ、自分の力でなんでもこなしていける人は楽しく働けるでしょう。
一方、安定志向で、他者からの指示待ちの人はフリーランスとして働くのは向いていないといえるかもしれません。
また、子育てや介護をしている人にとってもフリーランスは働きやすいです。
フリーランスだからといって高い収入を目指す必要はないため、家庭内の仕事と両立しながら、生活に必要な分だけ可能な範囲で稼ぐことも可能です。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。