システムエンジニアとして働いている人の中には公務員に転身したいと考えている人もいると思います。
現在、IT人材の不足について話題になることは多くありますが、IT人材を求めているのは民間企業だけではありません。国や各地域もDXを推進していくためにITに精通した人材を求め、独自の採用枠を設けています。
こうしたことからも、公務員としてシステムエンジニアのスキルを活かせる可能性は十分あるといえます。ただし、IT人材として公務員として働くには高いスキルや実務経験を有していることが前提になることが多いです。
本記事では、公務員のIT人材が現在求められていることを確認した上で、システムエンジニアとして公務員に転身する方法、公務員として働くメリット・デメリットなどを見ていきましょう。
目次
1.公務員のIT人材の求人は多数存在する
IT社会といわれる昨今、国や地域のDXを推進する上で、デジタル人材の育成・獲得は重要視されています。国や各地域、官公庁はシステムエンジニアを含むIT人材の枠を設けており、優秀な人材を求めています。
これらのことは、2020年12月、総務省が策定した「自治体(DX)推進計画」でも確認できます。この計画では自治体が情報分野を推進していくための組織体制の整備、外部人材の確保、業務プロセスの見直しなどにもふれられています。
自治体の中にはDX推進チームの半数以上が情報分野の専門知識を持つ民間企業出身者が占めているところもあります。また、メガベンチャーなどの社員から国家公務員としてソフトウェアエンジニアなどとして働いている人もいます。
国や各自治体の求人を参照すると、IT人材の求人も多々掲載されています。今後、民間企業のシステムエンジニアからIT系の公務員に転身する人はさらに増えると見込まれるでしょう。
2.IT人材として公務員に採用されるには
システムエンジニアがIT人材として公務員に採用されるための方法として、主に以下の2つの方法が挙げられます。
一般枠の採用試験に申し込む
民間企業経験者枠の採用試験に申し込む
それぞれ確認していきましょう。
一般枠の採用試験に申し込む
公務員に一般枠の採用試験を経て転身する方法があります。一般枠であれば採用時点でのキャリアや社会人経験はさほど問われない傾向にあります。
ただし、多くの自治体が年齢制限を設けており、上限を30歳前後としています。
一次試験では教養択一、教養記述、専門択一、専門記述、論文などが課されます。高校卒業程度から大学の専門課程レベルの問題が出題されるため対策が必要です。
これらの試験の合格のボーダーはその時々の状況によって異なりますが、6割~7割程度は取れるようにしておくべきでしょう。
民間企業経験者枠の採用試験に申し込む
国や地方自治体は民間経験者枠(社会人採用枠)を設置しています。この枠では50代までを選考の対象としている自治体も多く、一般枠よりも幅広い年齢層の人が選考の対象になります。
民間経験者枠では社会人としての経験が重視されます。特に、IT系の募集枠は専門職となるため、「〇〇の実務経験3年以上」というように保有しているスキルや経験が細かく定めされています。
さらに、試験内容は受験先によって異なりますが、教養試験、SPIなどが実施されるケースもあります。
民間経験者枠は全ての職種において公募を毎年出しているわけではないため、希望のエリアや職種の求人は頻繁に確認するようにしてください。
3.公務員のシステムエンジニアの年収事情
総務省の「地方公務員の給与水準」によると、令和6年における地方公務員の平均月額は約36万円、国家公務員については約40万円です。
公務員のシステムエンジニアの年収といっても職種、ないし国か地方かなどによっても異なります。しかし、公務員の中でもIT人材は年収が高い傾向にあるのは確かです。
例えば、デジタル庁の求人を見てみると、身分は非常勤(任期制)の一般職国家公務員となるものの、年収700万~1600万円の求人も多々あります。
また、30歳前後で東京都の職員(ICT)に民間企業から転身した人は、月額30万円台からスタートしているようです。
4.システムエンジニアとして民間企業の社員から公務員になるメリット
公務員のシステムエンジニアになることで民間企業のシステムエンジニアとは異なるメリットを実感できます。
システムエンジニアとして公務員になるメリットとして、以下の3つが挙げられます。
公務員ならではのやりがいを実感できる
給与が安定している
リストラの心配がない
それぞれ確認していきましょう。
公務員ならではのやりがいを実感できる
公務員として働く最大のメリットは他では味わいがたいやりがいといえるかもしれません。国や都道府県、市町村のために働くことで得られる充足感は何にも代えがたいものです。
自分が生まれ育った地域に恩返しをしたいという思いを抱いて働く人、国の一員として国の運営に重要な基幹を担いたいと考える人もいます。
また、システムエンジニアは住民と直接接する機会はさほどないものの、公務員として働いていると住民からお礼を言われることもあるようです。
給与が安定している
民間企業の場合、従業員の給与は業績に左右されます。大手企業に在籍し、多くの給与を得ている人でも自社の業績が悪化すれば給与は減る可能性があります。
一方、公務員は給与が大きく増減することはなく、安定した給与を得られます。また、給与は年功序列で上がるのも公務員ならではの魅力です。
給与が安定しているため将来についても考えやすいため、ライフプランを長期的に考えられます。
リストラの心配がない
民間企業で働いている場合、景気や会社の業績を理由にリストラされる可能性があります。一昔前であれば大企業勤めは安泰ともいわれていましたが、現代においては必ずしもそういうわけではありません。
公務員は自治体が消滅するなどの事態に陥らない限り、民間企業のように会社が倒産するような事態は考えられません。また、成果を上げられなかったとしても、成果型の企業のように即解雇になることはありません。
5.システムエンジニアとして民間企業の社員から公務員になるデメリット
システムエンジニアとして公務員になることにはデメリットもあります。デメリットを事前に把握し、後悔しないようにしましょう。
システムエンジニアとして公務員になるデメリットとして、以下の4つが挙げられます。
年収が下がるかもしれない
成果が給与に反映されないことがある
副業が難しい
職場の雰囲気が窮屈に感じるかもしれない
それぞれ確認していきましょう。
年収が下がるかもしれない
公務員の年収は正社員で働く人の平均年収と比べて低いわけではないものの、大手企業や外資系の有名企業と比べると劣りします。
システムエンジニアとして大手企業で勤務すれば年収1000万円以上を見込めるものの、公務員は一部の地域や上位職を除いて年収1000万円を超えるのは現実的ではありません。
成果が給与に反映されないことがある
公務員は高い成果を上げても給与に反映されにくいだけでなく、収入が青天井に上がるわけではありません。
公務員の給与は年齢や役職によって定められていますし、インセンティブなどで給与が上がる仕組みはありません。
成果に応じた報酬を得たい人、自分が上げた成果を給与で還元してもらいたい人には物足りなさを感じる可能性があります。
副業が難しい
公務員が副業を行うことは地方公務員法の第38条によって原則認められていません。今後、公務員の副業の可否が見直される見込みはあるものの、現時点では副業することは難しいです。
システムエンジニアは完全在宅で稼げるスキルや知識を持っていることが多く、副業でも収入を得やすい職といわれています。また、自分が興味のある分野に副業で挑戦し、スキルアップすることも可能です。
公務員は副業は原則として認められないため、システムエンジニアの中には物足りなさを感じる人、自身のスキルを活かせる場が限られることに寂しさを感じる人もいます。
職場の雰囲気が窮屈に感じるかもしれない
IT企業にはスタートアップ企業やベンチャー企業など経営陣との距離が近く、社員の平均年齢も低い新鋭の企業が多くあります。また、googleなど大手企業の中には風通しがよく、従業員の働きやすさを重視した企業も多々あります。
一方、公務員の場合、20代や30代ばかりの部署はほとんどありません。また、おいしい社食の提供、リラックスルームの勤務中の利用といった恩恵もないと考えるべきでしょう。
20代や30代といった若い従業員だけの環境で働いていた人、自由な雰囲気の中で仕事をしていた人にとっては公務員は窮屈に感じるかもしれません。
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6.システムエンジニアが公務員になるためのコツ
システムエンジニアとして公務員を目指す人は早い段階から対策をすることが大切です。人によっては1年程度の準備期間が必要になります。
システムエンジニアが公務員になるためのコツとして、以下の4つが挙げられます。
実務経験を積む
筆記試験の勉強をする
面接対策を行う
自分の強みを分かりやすく伝えられるようにする
それぞれ確認していきましょう。
実務経験を積む
新卒で公務員のシステムエンジニアになる場合は実務経験の有無は求められません。しかし、システムエンジニアの公務員を中途採用枠で目指す場合は実務経験が不可欠です。ほとんどの求人において「〇〇の実務経験3年以上」「〇〇の経験が1案件以上」と明記されています。
公務員の中途採用の求人の多くが未経験者ではなく、民間企業などで十分な実務経験がある人を求めています。言い換えれば、システムエンジニアとしての実務経験がなければ、選考の対象になりにくいということです。
筆記試験の勉強をする
公務員試験ではシステムエンジニアであっても、基礎能力や基礎学力を問う試験が課されることがあります。システムエンジニアとしてのキャリアやスキルは十分であっても、これらの試験の結果が目に余るようであれば採用される可能性は低いでしょう。
公務員試験で問われる基礎能力や基礎学力の難易度は、高校卒業程度から大学の専門課程レベルともいわれています。高校や大学で学んだことを忘れてしまった人は少なくない勉強時間が必要になることもあります。
面接対策を行う
公務員の採用試験ではどの職種であっても面接があり、面接での態度や自己PRは採否に深く関係します。
面接では自己PRや志望動機といった基本的な内容だけでなく、公務員ならではの質問をされることもあります。例えば、「なぜ、民間企業ではなく、公務員なのか?」「なぜ、うちの県なのか?」「なぜ、都道府県ではなく、国なのか?」といった質問がされます。
面接で想定される質問を書き出し、どのように答えるか事前に考えておくことをおすすめします。また、可能であれば、友人や家族に面接官の役をお願いし、模擬面接を体験しておくと、堂々とした気持ちで本番に挑めるでしょう。
自分の強みを分かりやすく伝えられるようにする
民間企業の選考と同様に公務員の選考もこれまでの経験や保有スキルが重視されます。自分の強みをしっかりアピールし、十分なスキルや知識があるのに伝えきれなかったという事態を回避するようにしましょう。
面接では保有資格、これまでに携わったプロジェクト・案件の内容、マネジメント経験を一般的に伝えます。
自分が持っているスキルや知識を伝えるだけでなく、コミュニケーション能力やリーダーシップもアピールできるようにしておきましょう。
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7.公務員のシステムエンジニアに関するよくある質問
民間企業から公的機関に転職するにあたってさまざまな疑問を抱えるものです。そこでここでは、公務員のシステムエンジニアに関するよくある質問に回答します。
公務員のシステムエンジニアに関するよくある質問として、以下の3つが挙げられます。
システムエンジニアは国家公務員として働けますか?
IT人材の公務員にはどのような仕事がありますか?
公務員のエンジニア職として働くにはどうすればよいですか?
それぞれ確認していきましょう。
システムエンジニアは国家公務員として働けますか?
国家公務員のシステムエンジニアとして働くことは可能です。
ただし、IT人材全体で見ると国家公務員の求人は多々あるものの、システムエンジニアに限定すると求人数は十分というわけではありません。
ITの知識やスキルを国家公務員として活かしたい人は幅広いスキルを取得することをおすすめします。
IT人材の公務員にはどのような仕事がありますか?
公務員としてIT系の仕事に従事している人は多くいます。
システムエンジニア、プロジェクトマネージャー、クラウドエンジニア、IT環境の整備担当者、システム新規導入担当は一例にすぎません。
公務員のエンジニア職として働くにはどうすればよいですか?
公務員のエンジニアになるには公務員試験に合格する必要があります。
国や都道府県、市町村の公式サイトなどを参照し、希望の職種を見つけたら、採用試験の申し込みをしてください。
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8.まとめ
近年は企業間の競争が激化しているだけでなく、円安の影響などで経営が厳しい企業が増えています。こうした中で、自社や自分の将来に不安を抱いている人は多いのではないでしょうか。
公務員は会社の倒産によって職を失うリスクは会社員のようにないため安定感もあります。近年は行政もITに力を入れているためシステムエンジニアの知識やスキルを活かせる求人は頻繁に見かけるようになりました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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