面接でよく聞かれる志望動機は定番の質問です。この質問に対する回答は非常に重要で、その受け答えひとつで転職の成功率が大きく変わることもあります。
この記事では志望動機を考える上でのポイントや履歴書などでの具体的な書き方についてまとめているので、書類選考や面接で良い印象を与え、転職を成功に導くためのポイントを確認しましょう。
目次
1.志望動機とは?なんのために書く?どのくらい重要?
「志望動機」とは、単純に言えば「なぜその企業で働きたいと思うのか」という理由のことです。企業はこれを聞くことで、応募者がどれだけその企業を理解し、興味を持っているかを知りたがっています。
つまり、「なぜ他の企業ではなく、この企業を選んで応募したのか」を整理して伝え、採用担当者に納得感を与えることが求められます。
複数の企業に応募する場合に同じ志望動機を使い回すことはあるかもしれませんが、あまりにも一般的でどの企業にも当てはまりそうな内容や、具体性がない志望動機はNGです。各企業をよく調べ、なぜその企業に興味を持ったのかを具体的に説明することが必要です。
採用担当者によると、履歴書で最も重視される項目は?
採用担当者へのアンケートによると、履歴書の記載内容で最も重要視される項目のうち、「志望動機・志望理由」に注目する割合は全体の23.3%で、これは「職歴」に次いで2番目に多いとされました。志望動機・志望理由が履歴書などを書く際に注意を払うべき項目であることがよく分かります。
これから志望動機の書き方やまとめ方のポイントについて詳しく解説していきますので、確認し書類選考の通過率を向上させましょう。
2.志望動機・志望理由の書き方・まとめ方のポイントは?
「志望動機」は書類で記載するだけでなく、面接でも頻繁に質問される要素です。
面接に進む際には、上手く話すためのポイントを整理して事前に考えておくと良いでしょう。
「転職理由」と「魅力点」を結びつける
「志望動機」について、多くの人が考えるのは応募先企業の事業内容や商品・サービス、業績、社員、社風などの魅力を伝えることです。しかし、これだけでは十分な「志望動機」とは言えません。あなたが感じる魅力は他の応募者も感じる可能性があり、それが「あなたが」その企業を志望する理由にはなりません。
そのため自分の「転職理由」と「どこに魅力を感じたか」を結びつけて伝えることが重要です。
「あなたオリジナル」の内容で
志望動機をまとめる際にはまずなぜ転職を考えたのか、転職によって達成したい目標は何かという「転職理由」を振り返りましょう。
例えば「今いる会社では与えられる裁量が小さいので、より大きな裁量を持てる仕事・ポジションに就きたい」という転職理由があるとします。この場合、志望動機は「貴社なら大きな裁量が得られそうだと考えたから」である必要があります。
例えば「求人情報に、若手でも裁量を持って働けると書いてあったから」かもしれませんし、「貴社と取引がある知人から聞いたから」「雑誌に載っていた社員のインタビュー記事を読んだから」が根拠かもしれません。貴社に関する情報を収集し、独自で具体的な理由を伝えましょう。
自分のスキル・実績と合わせる
「私ならば、その企業で実績を上げられるし、力を発揮できると確信しています」という点も強調すると良いでしょう。たとえば「私は達成志向が高く、自分で裁量を持って進められた仕事はすべて目標を達成してきました。大きな裁量を与えてくれる貴社なら、業績に貢献できると自信を持っています」といった形で、自身の強みや経験を志望動機に結びつけてアピールしましょう。
提出方法によって文章量を変える
履歴書に志望動機を書く場合、主に2つの方法があります。
まず、1つ目は職務経歴書の冒頭に簡潔にまとめて記述する方法です。もう1つは履歴書とは別にA4用紙1枚ほどの「志望動機書」を作成し、これを履歴書や職務経歴書と一緒に提出する方法です。
志望動機の欄がある場合でも、他の書類と内容が重複していても問題ないので、要点を簡潔にまとめて記入しましょう。
「志望動機書」を提出する場合
志望動機書を作成する際には、以下の4つのポイントを結びつけ一貫性のあるアピールを心掛けましょう。
なぜその業界を志望したか
なぜその職種を志望したか
なぜその会社を志望したか
入社してからどんなことがしたいか
これらの軸に、自身の転職理由やこれまでの実績を関連づけて説明することが重要です。
3.志望動機・志望理由のよくあるNG例
この章では志望動機・志望理由のよくあるNG例について解説します。
「御社の○○○という理念に共感しました」
「理念に共感」という志望動機は一般的であり、「どこが問題なの?」と感じるかもしれません。
確かに共感すること自体がNGではありません。問題は「どこに共感したのか」を書面や面接で具体的に示せない場合です。
単に「共感しました」と言っておくだけではなく、共感の根拠やなぜ共感したかを経験や考えを交えて具体的に説明することが大切です。もし根拠を示せない場合は「理念に共感」という言葉を慎重に使用するべきです。
「御社のサービスは使い勝手が良く…」
こちらは消費者向け商品を取り扱うBtoC企業への志望動機の一例です。
応募先の商品やサービスを自分で試すことは積極的に行うべきですが「使い勝手が良い」「便利だと感じた」といった感想だけでは十分ではありません。
具体的にどこが使い勝手が良いと感じたか、その理由を詳細に説明しましょう。自分の知見を交えて、提案や改善点も挙げると分析力があると評価される可能性もあります。
「学ばせてください」というスタンス
「学ばせていただく」という態度を示すことは、謙虚で真剣な姿勢をアピールする一方で、言葉の表現には気を付ける必要があります。新しい環境で成長できることを求めて転職するのは素晴らしいことですが、「成長できるから貴社を選びました」といった、企業に期待しすぎる印象を与えないように心掛けましょう。
「自分の経験にこだわらず、新しい知識やスキルを吸収したいと考えています」「自分の経験や知識が役立つ場合、積極的にシェアしていきたい」といった表現をすることで、「学ばせてください」という謙虚で真摯な姿勢が伝わります。」
4.【例文】未経験者の志望動機の書き方
例文
「今回は貴社が推進する先進的なアプリケーション開発に関与したいという思いから、応募させていただきました。貴社は先進的なアプリの制作に注力し、業界で急速に成長している企業であると認識しております。
|
同業種への転職の場合
同業種を志望している場合、転職の動機を肯定的な要素で記載することが重要です。例えばスキルを向上させたいというポジティブな理由を挙げ、「転職」がどのように自分にとってプラスになるかを具体的に伝えましょう。
それを基に現在の職場ではなく、新しい企業で達成したい目標ややりたいことについて述べれば良い印象を与えやすくなります。一方ネガティブな経緯は明示する必要はないので、適切な表現に気を付けましょう。
別業種への転職の場合
新しい業種に転職する場合は、未経験なので想像力を活かすことが求められます。
積極的な意欲を示し「今までの経験から新しい仕事でこういったことをやりたいと感じました」というように伝えましょう。同時に転職前の仕事と比較し、自分のスキルや得意な領域を活かせる可能性に言及すると効果的です。
「今の仕事で培った〇〇のスキルは、新しい職場でも生かせると考えています」といった具体的な表現を取り入れ、採用担当者に自分の経験に興味を持ってもらうよう努めましょう。また面接で質問される場合も自ら詳細に説明することで、面接を有利に進められる可能性が高まります。
5.【職種別】志望動機の例文
各職種に合わせた志望動機の例文を紹介いたします。同じ職種での転職を考える際に参考にしてください。
事務職の志望動機例
一般事務の応募では、志望理由が他の応募者と似てしまうことがよくあります。
そのため、自分のスキルとキャリアが応募する企業とどれだけマッチしているかを強調すると良いでしょう。
事務職経験者が事務職に応募した場合の志望動機例
事務職の経験者は、志望動機の欄で自分の能力をアピールすることが重要です。履歴書ではなるべく具体的に自分がなぜ企業にとって価値のある戦力となると考えるのかを説明することが大切です。
経験者が志望動機を書く際に注目すべきキーワードは「即戦力」です。中途採用の際、採用担当者は新入社員が仕事をどれくらい早く覚えられるかを大いに考慮します。
経験者は入社後、先輩社員に基礎から教えてもらう必要がないという利点があります。これまで培ってきたスキルを活かすことで、転職先の業務に改善をもたらすことが期待されます。
未経験の場合は、志望動機で「勉強中」であることを明確に伝えることが重要です。自己学習の姿勢をアピールすることで、採用担当者に未経験であることを自然に伝えつつ、好印象を与えることができます。
また、他の応募者と比べ、入社後の引継ぎ作業がスムーズに進むメリットもあります。自分ができるようになるための努力や学習を継続していることを伝えると効果的です。
・例文1
貴社のサービスを利用した経験があり、貴社の事業に貢献したいという思いから志望いたしました。
|
・例文2
前職で培った事務職のスキルを活かし、より多岐にわたる業務に挑戦したいという思いから貴社の一般事務職を志望しました。
|
事務未経験者が事務職に応募した場合の志望動機例
経験がなくても、履歴書を通じて自分をアピールすることはできます。業種によっては未経験者を歓迎する場合もありますのでまだスキルが不足しているかもしれませんが、自分のやる気や熱意をしっかりと伝えることが重要です。
未経験者の志望動機を書く際は経験ではなく自分のスキルに焦点を当てましょう。新しい職種でも、自分が持っているスキルでどれだけ活躍できるかを具体的に示すことが重要です。
たとえば事務職ではMicrosoft オフィスの基本的な操作が求められ、社内システムの入力作業も日常的に行われます。これまでの経験で培った関連スキルを志望動機に具体的に記載すると良いです。
さらに採用担当者を納得させるためには具体的なデータを挙げることが大切です。自分がこなしてきた仕事量を数字で表現すると良く、自分の業務が会社にどのような利益をもたらしたかも数値化できれば印象的です。また、オフィスの資格を取得していれば、履歴書の資格欄にも記載しておくと良いでしょう。
・例文
貴社の提供するソフトウェアは自分自身でも使っており、その使いやすさに感銘を受けました。そのため、そんな素晴らしい商品を開発している企業で働きたいと思うようになりました。
|
営業経験者が営業職に応募した場合の志望動機
経験者が営業職への転職を目指す際、志望動機では現在の職務内容を簡潔に説明しておくことが重要です。現職と転職先の共通点を強調することで、即戦力としてのアピールが効果的です。
また、現在の仕事で培った経験を転職後にどのように応用できるかを具体的に主張しましょう。実績や成果は具体的な数字で示すことが重要です。営業職の能力は会社にどれだけの利益をもたらしたかで評価されます。売上だけでなく、その内訳にも詳細に触れると面接での質問にも的確に答えられるでしょう。
・例文1
前職での営業経験を生かし、貴社の営業職に応募します。お客様との持続的で質の高い関係を築くことが目標です。
|
・例文2
自分の営業経験を有効活用できると考え、貴社を志望しました。
|
営業経験者が別業界の営業職に応募した場合の志望動機
専門的な知識が求められる業種では「志望の必然性」が問われます。他の業種では実現できないことや、その業種において得られるやりがいを志望動機で具体的に説明することが大切です。
ただし、他の企業にも当てはまるような動機は避けるべきです。曖昧な表現では採用担当者が「では、なぜ当社なのか」と疑問を抱く可能性があります。志望先の経営理念や実績を挙げ、入社を強く願っていることをアピールしましょう。
また、自分のスキルも明確に示します。専門性が高い業種では異なる分野からの転職が難しいことがあります。入社後に自分が即戦力となることを採用プロセスで示す必要があります。現職で達成したことを具体的に記述し、それが志望先の業務にどのように関連しているかを論理的に説明しましょう。
・例文
これまでの経験でWeb広告の営業職に従事してきました。自分で資料を作成し、サービスをクライアントにプレゼンする業務が得意です。ですが、より総合的な提案を行いたいという思いから、貴社を志望しています。
|
企画職の方の志望動機例
企画職では販売促進や商品企画など、企業によって業務内容は異なります。この職種では社会の動向やトレンドに敏感であること、そして企画のアイデア力や提案力が重要視されます。情報感度なども、応募する企業でどのように役立つかを具体的なエピソードとして積極的に記述してみましょう。
・例文1
私は前職で培ったマーケティングの経験を活かし、これまでにないものを作り出すプロジェクトに参加したいという思いから、貴社を志望しました。
|
・例文2
貴社のアパレル・ファッションに特化したプロモーション企画に魅力を感じ、入社を志望しています。
|
6.【業界別】志望動機の例文
この章では業界別の志望動機の例文を掲載します。
不動産業界への志望動機例
不動産業界にはさまざまな業務があります。住宅・宅地の分譲、不動産の賃貸、管理など業界全体を一括りにしても、その中身は多岐にわたります。志望動機の中でなぜ希望する企業の業務に魅力を感じているのかを具体的に述べてみましょう。
・例文
不動産という資産の喜びをお客様と共有したいという思いから、貴社の営業職を志望しています。
|
IT業界への志望動機例
「なぜこの企業を選んで応募するのか」はもちろんのこと、多くの企業は応募者のITスキルのレベルも知りたがっています。志望動機では、こうした点も巧みにアピールできると良いです。また、これまでの経験や実績もIT業界では重要視されるため、自分の能力と企業との接点を考えて、志望動機として伝えられると良いでしょう。
・例文
前職ではWebアプリのフロントエンドエンジニアとして、JavaScriptやPHP、Rubyなどのプログラミング言語を使用して開発に携わってきました。しかしプロジェクトが進む中でフロントエンドだけでは解決できない課題も浮かび上がり、バックエンドを含めて総合的なシステム構築に興味を持つようになりました。
|
メーカーへの志望動機例文
製造業界は大まかに「基礎素材型産業」「加工組立型産業」「生活関連型産業」などに分類されています。その中で設計・生産・品質管理などのさまざまな職種が存在します。「なぜ自分がその製品を作る企業のその職種に魅力を感じるのか?」を具体的に表現し、志望動機として明確に伝えることが重要です。
・例文
現在の仕事では、10人の作業員を指導する班長として活動しています。私の班は生産部門の技術エンジニアとして、自動車ボディの溶接作業を担当しています。
|
関連記事
転職時の面接でありがちなミスや自分らしさを伝えるために意識すべきポイント
転職の最終面接で合格するために知っておくべきポイントについて解説
7.【年代別】志望動機の例文と書き方のポイント
この章では30代・40代の志望動機の例文と書き方のポイントを解説します。
30代の志望動機例
30代の転職では「キャリア採用」が主流です。そのため、自分のスキルをアピールし即戦力として活躍できることを強調する志望動機が重要です。また多くの企業がマネジメントスキルを求めているため、部下を育てた経験などもアピールポイントとなります。
・出版業界/Webマーケティングの例文
出版だけでなくWebメディアにも注力する貴社で、先進的なプロジェクトに携わりたいと考え志望いたしました。貴社は出版に留まらず、Webメディア分野でも力を発揮し革新的なサービスを提供している点に魅力を感じています。
|
40代の志望動機例
40代での志望動機のキーポイントは業界理解だけでなく、経営戦略に共感することも重要です。
キャリアが長くエピソードも豊富な分、どの出来事を選ぶかが極めて重要です。この年代では企業は人材育成やメンバーマネジメントの経験を重視することが多いため、こうした経験に焦点を当て企業が求める価値をアピールすることが印象づけに役立ちます。
・出版業界/Webマーケティングの例文
貴社の海外事業への拡大に対する経営方針に自らの経験を生かすだけでなく、新たな挑戦ができると感じ志望しています。
|
関連記事
最終出社日には何をすべきか?仕事を辞める時、何と言えばいい?
退職する時に菓子折りを用意すべき?悩んだ時の判断基準や選ぶ際のポイント
8.まとめ
最近ではWebや書籍などさまざまな手段で志望動機の例を簡単に見つけることができます。しかし、そのままの例を使うだけでは、面接官に十分な印象を与えることができません。
自分自身の経験や魅力をうまく取り入れ、自分を採用することで企業にもたらすことができる利点を面接官が具体的に想像できるような志望動機を作成することを目指しましょう。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。