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フリーランスと派遣の違いとは?掛け持ちのポイントやリスク、確定申告・年末調整の方法を解説

公開日:2025/04/29最終更新日:2025/04/29

フリーランスや個人事業主など独立して働く方法と、派遣会社に登録して仕事を斡旋してもらう働き方には、さまざまな違いがあります。これから新しいキャリアを形成するのなら、それぞれの違いとメリット・デメリットを把握しておくことが重要です。


また、フリーランスや個人事業主として働く際には、派遣の仕事を掛け持ちする方法も考えられます。フリーランスとして独立することに不安がある人や、実践を通してスキルアップや収入アップを目指したい個人事業主は、派遣との兼業を考えてみるのもおすすめです。


しかし、「そもそもフリーランスや個人事業主は派遣で働けるの?」と疑問に思うこともあるでしょう。そこで本記事では、フリーランス・個人事業主が派遣で働くポイントや注意点、確定申告や年末調整の方法などを解説します。

1.フリーランスと派遣の違いとは?

フリーランス・個人事業主と派遣社員には、雇用形態などさまざまな違いがあります。以下を参考に、まずはフリーランス・個人事業主と派遣の違いについて詳細を確認しておきましょう。

フリーランスと派遣は雇用形態が違う

フリーランス・個人事業主と派遣は、雇用形態がそもそも違います。フリーランス・個人事業主は基本的に企業や個人と直接契約を結び、仕事を獲得している働き方です。クラウドソーシングなどを活用し、企業とマッチングする方法もあります。


一方、派遣は派遣会社に登録し、会社から指示を受けて別会社の仕事に参画する方法で働きます。雇用契約は派遣会社と結びますが、実際に働く場所や仕事内容は派遣先の企業のものとなる点が特徴です。


このように契約・雇用形態の時点で、フリーランスと派遣には違いがあります。フリーランスの雇用形態は「業務委託契約」となり、派遣の雇用形態は「派遣会社による直接雇用」になります。そのほか、フリーランスと派遣は「指揮命令権」でも違いがあります。フリーランスの場合、クライアントには指揮命令権がなく、基本的には個人の裁量で仕事が可能です。派遣の場合には、派遣先の企業に指揮命令権があるため、職場や労働時間を自由に設定することはできません。

会社視点からみたフリーランスと派遣の違い

会社視点でフリーランスと派遣の違いを比較すると、主にコスト面で差が出ます。例えばフリーランスと契約を結ぶ際には、自社でマッチする人材を探して契約を結ばなければなりません。契約後の仕事の進捗管理なども自社がすべて担う必要があるため、ある程度の時間と労働力が必要になるでしょう。それでも、実績などを参考に高い能力を持つ人材を直接確保できる点は、フリーランスと契約するメリットになります。


派遣を使う場合には、まず派遣会社に対してさまざまな費用を支払う必要があります。例えば派遣料金、派遣社員の賃金、福利厚生費、有給費用がコストになります。また、初期投資として派遣社員のために、仕事で使うパソコンや制服などを用意する費用もかかるでしょう。フリーランスは基本的に仕事道具を自分で用意しますが、派遣は働くための準備を派遣先の会社がサポートするのが基本です。


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2.フリーランスとして働くメリット

フリーランスと派遣で将来の働き方に悩んでいるのなら、それぞれのメリット・デメリットを比較して、自分に合っている労働スタイルを見つけるのがおすすめです。以下では、フリーランスとして働く場合のメリットについて解説します。

働くほど収入を増やせる

フリーランスは仕事量が増えるほど、収入もアップしていきます。成果物や時間に対して報酬を得られるため、労働時間が増えるほど収入も向上していくという点はわかりやすいメリットになるでしょう。会社員や派遣社員の場合、自分の意思で労働時間を延ばすことは難しく、仕事量が増えたからといって必ずしも収入が上がるとは限りません。特に現在は時間外労働の上限規制が設けられ、原則として月45時間・年360時間(36協定)を超えて働くことはできません。


その点、フリーランスの労働時間には上限がなく、時間帯に関わらず働いている間は報酬が発生します。「今月は余裕があるから新しい仕事を入れて収入を増やそう」といった形で、自分の意思で収入をある程度コントロールできる点はメリットになるでしょう。

働く時間や場所を自分で選べる

フリーランスは働く時間や場所も、自分で選択できます。フルリモートの案件・求人であれば、通勤をせずに自宅ですべての業務を行うことも可能です。クライアントから指定がなければ、気分転換にカフェやコワーキングスペースで働くことも考えられます。


働く時間に関しても、基本的に自分で決められる点もフリーランスのメリットです。例えば日中に用事がある日も、夜の時間を仕事にあてることが可能です。休憩の時間も自分のタイミングで決まるため、その日の調子を見ながら柔軟に休みを取れる点がメリットになるでしょう。


また、フリーランスには定年がないため、実績とやる気があるのならこの先何十年も働き続けることが可能です。フルリモートであれば都心に住まなくても多くの求人・案件に応募できるため、田舎に戻ってゆったりと働くといった将来も考えられるでしょう。

人間関係における悩みが減る

フリーランスは個人で働く労働スタイルであるため、職場のしがらみなど人間関係における悩みが減りやすい点もメリットです。会社員の場合には上司や取引先など、さまざまな人たちと毎日交流しながら、人間関係を構築しなければなりません。


その点、フリーランスは会社に所属するわけではないため、最低限の人間関係だけで仕事を進められます。また、クライアントと考え方や仕事のスタンスが合わないと感じたら、契約を更新せずに別の案件・求人を探し直すことも可能です。

3.フリーランスとして働くデメリット

フリーランスとして働くのなら、事前にデメリットについて把握しておくことも大切です。以下では、フリーランスとして働く場合のデメリットについて解説します。

収入が安定しづらい

フリーランスにとって、安定した収入を得るのが簡単ではない点がデメリットです。会社員や派遣社員のように、毎月決まった給与が振り込まれることはないため、収入が少ない時期に備えて貯金などをしておくことが重要です。


案件・求人によっては振り込みのタイミングが遅く、報酬を得られるのが数ヶ月後になるようなケースもあり得ます。体調不良やプライベートの問題などで仕事量が減った場合には、ダイレクトに収入が低下するため、月々の収支をチェックして生活をコントロールすることがフリーランスとして働く際のポイントです。

生活リズムが乱れることも

フリーランスは油断していると、生活リズムが乱れてしまうケースも懸念されます。自分で労働時間や働くタイミングが決められるため、徹夜をして仕事をまとめて片付けたり、何日も休暇を取らずに働き続けたりといったことも可能です。


しかし、長時間労働や休暇のない日々で生活リズムが乱れると、心身に負担がかかるリスクがあります。場合によっては体調を崩したり、精神的に不安定になるようなデメリットも考えられるでしょう。自分で働き方を決められるからこそ、正しい生活リズムを意識してスケジュールを組むのがポイントです。

すべての手続きを自分で行う必要がある

フリーランスは基本的に、仕事で必要となる手続きをすべて自分で行う必要があります。例えば納税や社会保険の支払いなどは、自分で対応しなければなりません。独立する際にも、開業届や青色申告承認申請書を自分で提出することが求められます。


案件・求人を自分で探し、営業をかける必要がある点も、フリーランスにとって負担となる可能性があります。後回しにする癖があると、期限ギリギリになって慌てることになるため、各種手続きや仕事の営業に関しても、スケジュールを組んで行動するのが重要です。


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4.派遣として働くメリット

派遣で働く場合には、フリーランスにはないさまざまなメリットがあります。例えば以下の点は、派遣社員ならではのメリットになるでしょう。

未経験でもスムーズに仕事を得られる

派遣で働く場合、未経験の仕事にも挑戦できる可能性がある点はメリットです。フリーランスは基本的に即戦力としての働きが求められますが、派遣は契約のなかに教育期間を設けるなど、未経験者に成長させる機会を与えてくれることもあります。そのためキャリアチェンジをしたい場合や、未経験の仕事で新しいスキルを学びたいときには、派遣で働くことにメリットがあるでしょう。

安定収入で働ける

派遣は給料が決まっているため、毎月安定した収入を得られる点がメリットになります。給料に合わせて出費を決められるため、無理のない生活が実現できるでしょう。どのくらいの収入がほしいのかによって、契約前に労働時間を決めることも可能です。プライベート重視で仕事がしたいのなら、週2〜3日の勤務するなどの調整も行えます。

派遣会社によるサポートを受けられる

派遣社員は所属している派遣会社から、さまざまなサポートを受けられます。例えばカウンセリングや相談窓口を通して、派遣先で困っていることを話し、派遣会社に問題解消の仲介役を任せることも可能です。派遣会社が常に派遣先企業との間に入ってくれるため、万が一給料の未払いやハラスメントなどのトラブルが発生しても、対応しやすいでしょう。

5.派遣として働くデメリット

派遣として働く場合にも、フリーランスと同様にデメリットに注意が必要です。以下では、派遣で働く際のデメリットを解説します。

契約期間が決まっている

派遣は、就業における契約期間の上限が決まっています。最長3年間の契約となり、一般的に「3年ルール」と呼ばれています。具体的には同じ事業所の同一の部署で、3年以上働き続けることはできません。3年後には、別の部署に異動する、ほかの企業で働く、派遣先に直接雇用されるなどの方法を選択しなければならない点はデメリットになるでしょう。

スキルがあっても収入アップにつながらないことも

派遣は特別なスキルを持っていても、それが収入アップにつながるとは限らない点もデメリットの1つです。先の通り派遣は3年以上同じ部署で働くことができないため、派遣先の会社から責任のある業務を任される可能性が低いです。基本的に昇給もないので、スキルを磨いても結果に反映されづらい点は注意が必要となります。

希望する仕事に参画できない可能性がある

派遣は基本的に、派遣会社の担当者に希望する仕事を伝えたうえで、職場を紹介してもらいます。しかし、自身の希望が必ずしも叶うとは限らず、興味のない業務を担当する部署に回される可能性もあり得ます。希望する仕事ができないとモチベーションが低下し、業務に対する姿勢に悪影響が出ることも考えられます。


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6.フリーランスと派遣の掛け持ちをする際のポイント・注意点

フリーランスおよび個人事業主として働きつつ、派遣の仕事を掛け持ちする方法も考えられます。派遣で安定収入を得つつ、フリーランスとしてスキルアップや実績作りに励むといった働き方も可能です。以下では、フリーランスと派遣を掛け持ちする際のポイント・注意点について解説します。

日々の自己管理を徹底する

フリーランスと派遣の仕事を掛け持ちする際には、常日頃から自己管理を徹底して行うのがポイントです。例えばスケジュールの組み立てが甘いと、フリーランスの仕事と派遣の仕事が重なってしまい、取引先に迷惑をかける可能性があります。また、休暇を取らずにフリーランスと派遣の仕事を続けてしまうと、疲労が蓄積して病気の原因になるリスクもあるでしょう。


フリーランスと派遣を掛け持ちするのなら、両方の仕事をきちんとこなせるように、自己管理を徹底して労働時間の調整や健康への配慮を行うのがコツです。

派遣会社の就業規則をチェックしておく

派遣で働きながらフリーランスの案件・求人に参画する際には、派遣会社の就業規則を事前に確認しておきましょう。派遣会社によっては、就業中の副業を全面的に禁止しているケースもあります。すべての副業を禁止はしていないけれど、細かいルールを制定していることもあるため、問題にならない範囲で掛け持ちする必要があるでしょう。


禁止されているにも関わらず、隠れてフリーランスの仕事をしていた場合、懲戒処分などの重い処分を受ける可能性もあります。

フリーランスと派遣を掛け持ちする場合の確定申告・年末調整の方法

フリーランスと派遣を掛け持ちする場合、確定申告や年末調整の方法を把握しておくことも大切です。派遣で得た収入に関しては、基本的に派遣会社が年末調整を行ってくれるため、特別な対応をする必要はありません。一方、フリーランスの所得は自分で確定申告を行い、所得税を納税する必要があります。


仮にフリーランスの収入が年20万円未満の場合には、確定申告は不要です。20万円以上の収入がある場合、1年間の収入を計算して確定申告を行います。その際には派遣の収入も計上しなければならないため、派遣会社から年末調整の内容を記載した「源泉徴収票」を受け取り、事業所得(フリーランスの所得)と給与所得(派遣の所得)を合算して納税額を計算しましょう

フリーランス・個人事業主が派遣で働くのは違法?

フリーランス・個人事業主が派遣で働くことに、違法性はまったくありません。むしろフリーランス・個人事業主として独立したばかりのころは収入が安定しづらいため、派遣の仕事で収入源を増やすことはメリットにつながるでしょう。


一方で、人命・安全に関わる業務の特殊性や労働条件の適正化を図る必要性から医療関係、警備、建設などの業務に関しては、派遣で働くことができません。また、個人事業主が「出向契約」によって派遣業務を行う場合にも、法律上問題と捉えられるケースがあり得ます。


フリーランス・個人事業主は経営者となるため、雇用関係が結べない可能性も懸念されるでしょう。そのためフリーランス・個人事業主の仕事と派遣を掛け持ちする際には、出向元となる派遣会社と雇用関係を結ぶのが基本です。


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7.まとめ

フリーランス・個人事業主と派遣には、さまざまな面で違いがあります。掛け持ちして両方の働き方を同時に進行させることも可能なので、収入が不安定なうちは派遣の業務を優先しつつ、スキルアップと実績を積んでフリーランスの仕事を少しずつ増やしていくのも1つの方法です。この機会にフリーランス・個人事業主と派遣の違いを確認しつつ、掛け持ちする際のポイントをぜひ確認してみてください。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。


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目次

1.フリーランスと派遣の違いとは?

フリーランスと派遣は雇用形態が違う

会社視点からみたフリーランスと派遣の違い

2.フリーランスとして働くメリット

働くほど収入を増やせる

働く時間や場所を自分で選べる

人間関係における悩みが減る

3.フリーランスとして働くデメリット

収入が安定しづらい

生活リズムが乱れることも

すべての手続きを自分で行う必要がある

4.派遣として働くメリット

未経験でもスムーズに仕事を得られる

安定収入で働ける

派遣会社によるサポートを受けられる

5.派遣として働くデメリット

契約期間が決まっている

スキルがあっても収入アップにつながらないことも

希望する仕事に参画できない可能性がある

6.フリーランスと派遣の掛け持ちをする際のポイント・注意点

日々の自己管理を徹底する

派遣会社の就業規則をチェックしておく

フリーランスと派遣を掛け持ちする場合の確定申告・年末調整の方法

フリーランス・個人事業主が派遣で働くのは違法?

7.まとめ