インボイス制度の施行に伴い、領収書には登録番号の記載が必要となりました。
消費税の仕入税額控除を受けるためには、適格請求書発行事業者として登録された事業者の番号が記載されていなければなりません。そのため領収書を発行する側・受け取る側の双方に、正確な情報の記載と確認が求められます。
そこでこの記事では主にフリーランスに向けて、領収書の発行・受け取りに際して押さえておくべきポイントを詳しく解説します。
目次
1.インボイス制度とは?
インボイス制度は正式には「適格請求書等保存方式」と呼ばれ、消費税額や税率を明確にすることを目的として課税事業者にインボイスの発行を義務付ける制度です。
そしてインボイスとは取引内容や消費税率、消費税額などの必要項目を満たした適格請求書のことを指します。軽減税率の導入により仕入税額に8%と10%の2種類の税率が混在するため、適切な消費税の確認には適格請求書の発行と保存が求められるようになりました。
商品の価格と税率が記載された書類を作成して交付し要件を満たした適格請求書を保存することで、消費税の仕入税額控除を受けることが可能となります。
インボイスは「適格請求書発行事業者」でなければ発行できません。従来の区分記載請求書とは、記載すべき項目が異なるため注意が必要です。
また領収書として使用されるレシートや手書きのものも、適切な対応が求められます。
2.インボイスとしての領収書に要件として必要な6つの記載事項
それではインボイス制度に準拠した領収書の記載方法について、必要項目に基づいて詳しく見ていきましょう。
発行事業者の氏名または名称および登録番号
インボイス制度に対応する領収書には、発行者の名称に加えて「登録番号」の記載が必須です。この登録番号は適格請求書発行事業者として税務署に登録した際に通知されるもので、法人の場合は「T+法人番号」・個人事業主などの場合は「T+13桁の数字」で構成されています。
取引日(課税資産の譲渡等が行われた日)
これまでの領収書と同様に、商品やサービスの提供日を正確に記載する必要があります。多くの場合、領収書に記載する取引日と発行日は同一の日付になります。
取引の内容
提供した商品やサービスの詳細を記入します。軽減税率(8%)と標準税率(10%)の両方が含まれる場合には、どの取引が軽減税率の対象か明確にわかるように記載する必要があります。
税率ごとの合計金額
軽減税率(8%)と標準税率(10%)の対象商品がある場合それぞれの税率ごとに合計金額を区分して記載する必要があります。
税率別に区分した消費税額等
商品やサービスの代金は軽減税率と標準税率ごとに分けて合計し、それぞれの適用税率とあわせて記載する必要があります。この合計額は税抜でも税込でも構いませんが、税率ごとに明確に区分してください。
たとえば軽減税率対象の商品が税込で54,000円、標準税率対象が税込で110,000円の場合「8%対象 50,000円」「10%対象 100,000円」といった記載が求められます。
「税率ごとの合計金額および適用税率」の記載に加えて、それぞれの税率に対応する消費税額も明記する必要があります。先ほどの例であれば「8%対象:50,000円」」には「消費税 4,000円」・「10%対象 100,000円」には「消費税 10,000円」と記載します。
領収書を受け取る相手先の氏名または名称
領収書の発行先である取引相手の名称を記入します。これは従来の領収書と同様の対応です。ただし適格簡易請求書(簡易インボイス)の場合、この項目の記載は不要です。
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3.インボイス制度導入で領収書の記載内容はどう変わる?
インボイス制度の導入により、領収書を適格請求書として発行する際の記載ルールが次のように見直されます。
消費税の端数処理については、1枚の適格請求書につき各税率ごとに1回のみ行うことが認められています。
またこれまで保存が免除されていた3万円未満の領収書についても、制度開始後はインボイスとしての対応が必要になります。
消費税の申告時に混乱や誤りが生じないよう、これらの変更点を事前にしっかり把握しておくことが大切です。
登録番号について
「登録番号」は納税地を所轄する税務署に対して「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、正式に登録を受けることで初めて付与されるものです。登録番号が記載されていない場合には他の必要項目をすべて満たしていたとしても、インボイス制度に対応した領収書とは認められません。
また登録申請をしても登録番号が通知されるまでには一定の期間がかかるため、その間の対応については、次のいずれかの方法で進める必要があります。
通常の業種における対応
事前連絡のうえで後日再発行:あらかじめ買手に対し登録番号が未取得であるためインボイスの発行が遅れることを説明し、番号取得後に登録番号を記載した領収書や請求書を改めて発行します。
事前案内と後日番号の別送:買手に対し登録番号の通知を受けるまでは登録番号なしの書類を発行し、後日番号が付与され次第登録番号のみを別途連絡します。
事前案内と関連性の明記による通知:登録番号が未発行の間は番号が記載されていない領収書等を先に交付し、後日その書類と紐づけができるように関連情報を明示したうえで登録番号を通知します。
小売業など特定業種の対応方法
不特定多数の顧客に商品やサービスを提供する小売業などでは、上記の対応が現実的に難しい場合があります。
その場合にはインボイスの発行が後日になる旨を事前にホームページや店舗掲示で告知したうえで、以下のような対応を取ることが可能です。
ホームページ等での登録番号の掲示:登録番号の交付を受けた後にホームページや店頭などで「当店の登録番号は『T1234…』です。〇〇年〇月〇日から〇〇年△月△日(通知日)までに発行されたレシート等をお持ちの方で仕入税額控除を行う場合はこの掲示内容を印刷するなどの方法でレシートと一緒に保存してください」と案内します。
購入者への個別対応:顧客からの問い合わせがあった場合に限り個別に登録番号をお伝えし、購入者の側でその番号を記録し当該レシート等とともに保管してもらう形をとります。
なおこれらの措置はすでに登録申請を済ませていても、登録番号の通知がまだ届いていない期間に限って認められる暫定的な対応です。
正式に登録番号が通知されインボイスに必要な項目が記載された領収書やレシートを発行できるようになった後は、要件を満たした正式なインボイスの交付が求められますのであらかじめ留意しておきましょう。
インボイスでの消費税の端数処理は税率ごとに1回まで
消費税を計算する際に、1円未満の端数が発生することがあります。
従来は端数処理の明確なルールがなかったため、商品ごとに端数処理を行うことも可能でした。しかしインボイス制度では「1つの適格請求書(または簡易インボイス)につき、税率ごとに1回だけ端数処理を行う」というルールが設けられています。
このルールは領収書にも適用されるため、インボイス対応を行う際には注意が必要です。これまで商品単位で端数処理をしていた場合は、会計システムなどの見直しが求められる可能性があります。
なお端数処理の方法(切り捨て・切り上げ・四捨五入など)は、事業者が自由に選ぶことができます。
4.一部業種では簡易インボイス(適格簡易請求書)の発行が可能
インボイス制度の下では適格請求書発行事業者は、相手からの要請があれば3万円未満の売上に対しても適格請求書を発行する義務があります。
ただし適格請求書を交付することが困難な場合、その義務は免除され取引先は帳簿の保存だけで仕入税額控除を受けることができます。適格請求書を交付することが困難な取引の例外として、以下の取引が挙げられます:
3万円未満の公共交通機関による運賃
卸売市場で行われる生鮮食料品等の販売
生産者が農業協同組合などに委託して行う農林水産物の販売
3万円未満の自動販売機などによる商品の販売
郵便や貨物サービス
また特急料金など、旅客の運送に直接関連する対価は特例に該当します。一方で入場料金など、運送に直接関連しないものは特例の対象外となります。
自動販売機などを利用した商品の購入は、代金が自動で支払われサービスの提供も機械で完結する取引に該当します。具体的には自動販売機での商品購入やコインロッカー、コインランドリーのサービスが含まれます。
ただしスーパーのセルフレジやコインパーキングのように、精算が行われるのみでサービスの提供が別途行われるものは該当しません。
条件を満たせば手書きの領収書でも対応可能
適格簡易請求書を発行する際には、いくつかの重要なポイントがあります。
まず、適格簡易請求書には宛名の記載は不要です。これは不特定多数の人に発行されることが多く、宛名を記載することが難しい場合があるためです。ただし手書きで領収書を発行する場合、宛名の記入を依頼された場合には問題ありません。「上様」と記載することも認められています。
手書きの領収書には、但し書きとして取引内容を記載する必要があります。
適格簡易請求書では、取引内容や軽減税率対象品目である旨を明記することが求められます。したがって単に「お品代」や「商品代」と記載することは認められず、税率ごとに区分された記載が必要となります。たとえば標準税率・軽減税率・非課税などに分けて記載する必要があります。
また税率に関する記載も重要です。
適格簡易請求書では「税率ごとに区分した消費税額」または「適用税率」のいずれか、または両方を記載する選択が可能です。
特定のフォーマットが法律で定められているわけではないため、業種に合わせて適切に選択することが推奨されます。
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5.領収書・レシートの発行者がインボイス制度で行うべき対応
この章ではインボイスの発行者側が行うべき対応について解説します。
領収書やレシートの様式変更について
インボイス制度に対応させるためには、既存の領収書に加えて必要な情報を追加で記載する必要があります。
したがってこれまで定型のフォーマットで領収書を作成していた場合は、新制度に対応した形式へと変更する必要があります。
適格請求書発行事業者として登録申請する
適格請求書として領収書を発行するためには、発行者が「適格請求書発行事業者」として登録されている必要があります。登録を行うためには、以下のステップを踏む必要があります。
税務署に申請書を提出:所轄の税務署に「適格請求書発行事業者登録申請書」を提出します。申請書には、事業者の基本情報や事業内容などの詳細を記入する必要があります。
税務署の審査を受ける:申請書が提出されると、税務署による審査が行われます。審査に合格すると適格請求書発行事業者として登録され、登録番号が付与されます。
登録番号の取得と利用:登録番号を取得するとその番号を領収書や請求書に記載することで、適格請求書を発行できるようになります。この登録番号は、インボイスの交付に必須となります。
金額の大小にかかわらず領収書を発行する必要がある
インボイス制度導入前は取引金額が一定未満の場合、領収書を発行しなくても仕入税額控除を受けることができるという規定がありました。
しかしインボイス制度が施行された後は取引金額に関係なく、適格請求書発行事業者は適格請求書に基づく領収書を発行しなければならなくなりました。これは、仕入税額控除を適用するために必要な手続きです。
ただし、インボイス制度施行後の6年間については、条件を満たせば1万円未満の取引に関して領収書の保存がなくても仕入税額控除が認められる特例が設けられています(ただし、帳簿への記載は必要です)。
発行した領収書を適切に保管する
適格請求書の発行者(売り手側)は、適格請求書を交付した日またはサービス等を提供した日が属する課税期間の終了日の翌日から起算して2か月が経過した日以降、7年間にわたって請求書の写し(控え)を保存する義務があります。
保存場所は、納税地または該当取引に関係する事務所・事業所などです。
たとえば個人事業主が2024年11月1日に適格請求書を交付したケースでは、以下のスケジュールで保存期間が決まります。
適格請求書の交付日:2024年11月1日
課税期間の終了日:2024年12月31日
翌課税期間の初日:2025年1月1日
そこから2か月経過日:2025年3月1日
保存義務の終了日(7年間):2032年2月28日
この保存義務は、適格簡易請求書についても同様です。
保存方法については特に形式が定められておらず、コピーでなくとも請求書の必要項目が確認できる状態であれば問題ありません。
ただし2024年1月以降は電子帳簿保存法の改正により、電子データとして発行した請求書や領収書は電子のまま保存する義務があります。紙に印刷しただけでは保存要件を満たさないため、この点には十分注意が必要です。
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6.領収書・レシートの発行者が検討するとよいと考えられる対応
この章ではインボイスの発行者が必ず行わなければならないわけではありませんが、行うと業務効率化が進むと考えられる対応について解説します。
適格請求書や適格簡易請求書を正しく発行できるシステムの導入を検討
適格請求書や適格簡易請求書を正しく発行できるシステムの導入を検討することは、発行者にとって業務効率化に繋がり得る対策です。
特に、適格請求書(または適格簡易請求書)の記載事項に対応した領収書を発行できる体制を整えられるとよいでしょう。
現在システムを使用して領収書を発行している場合には現行システムがインボイス制度に対応しているかどうかを確認し、必要に応じて改修やシステムの変更を検討する必要があります。
システムの変更には時間がかかるため、早期に対応を始めることが推奨されます。
またインボイス対応が予定されていても、端数処理など現在使用している機能に関しては手動で設定変更が必要になる場合もあります。ベンダーからインボイス対応の詳細が発表された際にはその内容を慎重に確認し、必要な設定変更があるかをしっかりチェックしましょう。
現状手書きで領収書を発行している場合は、インボイス対応のシステム導入を検討する良い機会です。手書きでも必要な情報が記載されていれば問題はありませんが、登録番号・税率ごとの合計金額・消費税額・適用税率などを毎回手書きで記入することは手間と時間がかかって記載ミスのリスクも伴います。
正確性を保ち取引先の信頼を維持し、業務の効率化を図るためにもシステム導入は有効な解決策となるでしょう。
電子インボイスを利用した領収書の送付
領収書の送付方法には手渡しや郵送のほか、BtoB取引の場合にはメールやシステムを通じて送信する「電子インボイス」の活用も考えられます。
電子インボイスは既に請求書の発行・受領に広く利用されていますが、近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)やペーパーレス化が進んでおり今後は取引先から領収書を電子インボイスで送付することを求められる可能性もあります。
既に電子インボイスでのやり取りを行っている場合は問題ありませんが、取引先のニーズに合わせて柔軟に対応できるよう今から対応策を検討しておくと良いでしょう。
7.インボイス対応の手書き領収書を作成・発行するには
ここからはシステムなどの導入が難しい場合に手書きでインボイスを発行する場合について解説します。インボイス制度に対応した手書きの領収書を発行するには、事前にいくつかの準備が必要です。
まず適格請求書発行事業者として税務署に登録申請を行い、それに基づいた領収書のフォーマットを整える必要があります。発行時に慌てないよう、事前準備をしっかり確認しておきましょう。
以下では、インボイス対応の手書き領収書をスムーズに発行するための手順を説明します。
なお手書き領収書であってもインボイス制度に基づく適格請求書として発行した場合は、控えの保存が義務付けられています。保存形式に特別な決まりはありません。
たとえば複写式の用紙を使う、あらかじめ2部作成するなどの方法で対応できます。また、正確に複写されていなくても取引内容や発行の事実が確認できるものであれば控えとして認められます。適格簡易請求書を発行する場合は、レジのジャーナル(取引記録)も控えとして扱うことが可能です。
このように制度に則った準備を事前に整えておくことで、手書きであっても適切にインボイス対応の領収書を発行することができます。
適格請求書発行事業者としての登録を申請する
手書きで作成の場合やシステムを使う場合、インボイス制度に基づき適格請求書を発行するためには事前に税務署へ「適格請求書発行事業者」の登録申請が必要です。
申請のタイミングには注意が必要で、発行を希望する日の最低15日前までに手続きを済ませておく必要があります。たとえば2024年2月16日からの発行を希望する場合、申請期限は2024年2月1日までです。
申請は、e-Tax(電子申告)または郵送で行うことができます。自身にとって都合のよい方法を選び、早めに登録を済ませましょう。
必要な記載項目を備えた手書き用テンプレートを準備する
手書きでインボイス対応の領収書を発行する際は、以下の情報が漏れなく記載されたテンプレートをあらかじめ用意しておくと安心です。
適格請求書発行事業者の名称または氏名、および登録番号
取引日
取引の具体的な内容(※「お品代」などの曖昧な表現はNG)
税率ごとに分けて集計した取引金額
税率ごとに分けた消費税額、または適用税率
事業内容によっては適格簡易請求書での対応が可能な場合もありますが、該当しない場合は上記項目を満たす必要があります。
手書きによる記入ミスを防ぐためにも、可能な限り事前に記載項目を含んだ書式を用意しておくことをおすすめします。
領収書の控えの保管方法をあらかじめ決めておく
受け取った領収書と同じように自社で発行した領収書についても、控えを7年間保存する義務があります。
保存対象となるのは、自社が発行した適格請求書(または簡易適格請求書)に該当するすべての証憑書類の写し(控え)です。受け取った領収書と同じく、自社発行の控えについても保存方法を検討する必要があります。
なお前述の電子インボイスを導入すれば控えの保管スペースを確保する必要がなくなり、検索なども効率的に行えます。
8.インボイス制度で受領者(買い手側)が取るべき対応
インボイスを受け取る側が行うべき対応は、以下の通りです。
適格請求書かどうかの仕分け作業
当然ですが受け取った領収書が適格請求書(または適格簡易請求書)の要件を満たしているかを確認する必要があります。
記載されている適格請求書発行事業者の登録番号を照合し、仕入税額控除が適用できるかもチェックする必要があります。登録番号の正確性は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で確認できます。
万が一記載内容に誤りがあった場合でも、受け取った側で追記や修正を行うことはできません。その場合、発行者に対して再発行を依頼する必要があります。
受け取ったインボイスの保管義務
仕入税額控除を受けるためには、適格請求書(または簡易適格請求書)を保存することが必須です。取引先から受け取った領収書は、適切に管理し保存する必要があります。
適格請求書の保存期間は、交付・受領した事業年度の確定申告書提出期限の翌日から7年間となります。
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9.免税事業者がインボイス制度に対応するためのステップ
2023年10月以降免税事業者として営業している場合でも、取引先から消費税率や消費税額が記載された請求書や領収書を要求されることがあります。このような状況では取引先が取引をしにくいと感じ、取引を控えるなどの不利益が発生する可能性があります。
不利益を避けるためには、インボイスの交付が必要となる場合にインボイス発行事業者としての登録手続きを行いましょう。
適格請求書にはインボイス制度に基づく登録番号を記載する必要があるため、まだ登録を済ませていない場合は税務署に「適格請求書発行事業者」として登録申請を行い、登録番号の交付を受けることを検討しましょう。
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10.インボイス制度と領収書に関するよくある質問
この章ではインボイス制度と領収書に関するよくある質問について解説します。
インボイス制度によって手書き領収書はなくなるのか?
インボイス制度の導入により、手書き領収書が使えなくなるわけではありません。必要な項目がしっかり記載されていれば、手書きでも適格請求書として発行可能です。ただし対応の手間や記載ミスのリスクを避けるために、手書き領収書の利用を取りやめている事業者も一部存在します。
すべての事業者が手書きを廃止しているわけではないため、個別の方針を確認しておきましょう。
インボイス制度開始後に登録番号のない手書き領収書を出すとどうなる?
インボイスとして手書き領収書を発行する際に、登録番号が記載されていない場合には適格請求書の条件を満たしません。
そのため取引先が仕入税額控除を受けるには、登録番号入りの領収書が必要となり再発行を求められるケースがあります。
なお適格簡易請求書発行事業者は請求があった際に発行を断ることはできないため、速やかに再発行に対応する必要があります。
インボイス制度後、手書き領収書に税率の記載がないと?
手書きでインボイスを発行する場合でも、税率の明記がなければ適格請求書の要件を満たしません。提供した商品やサービスに対する適用税率を必ず記載してください。
たとえば、すべての商品が標準税率(10%)の場合、「軽減税率対象品目なし」の記載は不要です。一方で軽減税率(8%)のみの商品であれば、その旨を明示する必要があります。
また標準税率と軽減税率が混在しているケースでは、税率ごとの明確な区分がなければ不備となるため記載内容には十分な注意が求められます。
11.まとめ
インボイス制度の開始に伴って仕入税額控除を適用するには、基本的に領収書に登録番号の記載が欠かせなくなりました。
消費税の控除を受けるには、登録番号が正確に記されていることが前提となります。発行側・受け取り側の双方が正しい記載と確認を行うことで、税務処理もスムーズに行えます。
また領収書の保存義務やフォーマットの変更や適格請求書発行事業者としての登録手続きなど、制度に関する重要な点を事前に把握しておくことが大切です。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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