個人事業を営む中で、「どこまでが経費として認められるのか」と迷うことはありませんか?経費の範囲を正確に理解すれば所得税や住民税の負担を抑えられ、確定申告の手続きもよりスムーズに進められます。
そこでこの記事では事業に関係する経費の具体的な内容・上限・注意すべきポイントなどを詳しく解説します。正しい知識を身につけて、日々の経理業務にお役立てください。
目次
1.そもそも「経費」とは?
個人事業主にとっての経費とは、「事業運営に必要な支出」のことを指します。基本的に、事業のために使用した費用は経費として計上することができます。
事業にかかる支出が多い場合には、たとえ売上が増えても利益に直結しないことがあります。そのため必要な支出を経費として正しく処理し、税負担を軽減することで実質的な手取り額を増やすことが個人事業主にとって重要なポイントとなります。
個人事業主が経費として認められる支出は、所得から差し引くことで「課税所得」を抑える役割を果たします。経費を活用することで所得税の負担を軽減できるため、事業を始めたばかりの方でも比較的簡単に節税につなげることが可能です。
経費を見直すことは、支出内容を整理する良い機会にもなります。経費として認められない無駄な支出を削減することで、事業の運営効率を高めることができます。必要な支出とそうでないものを見極め効率的な運営を意識することが、個人事業主として成功するためのポイントのひとつです。
2.個人事業主が計上できる経費の範囲はぶっちゃけどこまで?
個人事業主が計上できる経費には上限がないため、原則として発生した費用は経費として認められ活用することができます。
事業運営に必須の支出は原則として経費に含まれる
基本的に、個人事業主の経費には金額の上限は設けられていません。そのため、発生した費用は基本的にすべて経費として計上できます。
ただし経費の内容や金額についてしっかり確認し、確定申告時に漏れがないように注意することが重要です。
3.個人事業主が経費にできるもの一覧
この章では個人事業主が経費にできるものを勘定科目別に一覧でお伝えします。
租税公課
国や地方自治体や地方公共団体などに支払う税金や公的費用のことです。例えば個人事業税・消費税・固定資産税・地方公共団体の会費など。
修繕費
オフィスや車両のメンテナンス費用などのことです。
荷造運賃
荷物を送る際にかかる配送料のことです。
水道光熱費
事業所で使用する水道代・電気代・ガス代などの光熱費を指します。自宅を事業の拠点として活用している場合は、業務に使っている範囲や割合に応じて家事按分を行うことで必要経費として処理することが可能です。
家事按分については後ほど詳細をお伝えします。
保険料
事故や火災などのリスクに備えるための保険料のことです。例としては火災保険料・自動車保険料・自賠責保険料・賠償責任保険料などです。
消耗品費
購入価格が10万円未満または使用期間が1年未満の消耗品・事務用品・オフィス機器・電球・PC関連機器などのことです。
雑費
特定の勘定科目に分類されない少額の支出のことです。
例:引越し費用・NHK受信料・ごみ処理費用・写真印刷代など。
賃金給与
従業員に支給した賃金・ボーナス(賞与)・時間外労働に対する手当などの費用のことです。
地代家賃
オフィスの賃貸料・駐車場の料金・倉庫の賃料などのことです。ただし自宅を事務所として使用している場合は、経費を按分して計上する必要があります。
外注費
外部の業者に業務を委託した際に発生する費用のことです。例としてWebサイトのデザインを外部のデザイナーに依頼した費用などがあります。
貸倒損失
売掛金・貸付金・立替金などが回収できなくなった場合に、その損失額を処理するための勘定科目です。
新聞図書費
業務に関連した資料として購入した新聞・書籍・雑誌・DVDなどは経費として計上できます。
支払手数料
事業に必要な支出を管理するために使用するクレジットカードの年会費などのことです。
減価償却費
固定資産(購入価格が10万円以上で使用期間が1年以上)の場合、原則として取得原価を法定耐用年数に基づき分割して減価償却費として計上します。例えば建物・車両・パソコンなどが該当します。
旅費交通費
事業活動に伴う移動の際に発生した費用を指します。たとえば打ち合わせや営業・納品・出張などに関連して利用した交通手段の費用がこれにあたります。
修繕積立金
個人事業主が不動産収入を得るために賃貸用マンションを購入し修繕積立金を支払っている場合、実際に修繕を行っていないため積み立てるだけでは原則として経費に計上できません。
ただし修繕積立金は区分所有者として義務的に支払わなければならないものであり、適正な管理規約に基づき一定の条件を満たす場合には経費として計上することが可能です。
未償却の繰延資産(開業費/創立費/社債発行費など)
繰延資産である開業費や開発費について、未償却のものがあればいつでも経費に計上できます。またその他の繰延資産についても、その支出が効果を及ぼす期間にわたって均等に償却して経費として計上可能です。
通信費
主にインターネットの接続料や携帯電話料金などの通信費用、さらにはがき代や切手代も含まれます。業務に使用した時間を基に家事按分を行い、その費用を経費として計上することが可能です。
広告宣伝費
広告宣伝費とはたとえばチラシの作成費用や新聞・求人広告の出稿費など、広報活動に関わる支出のことを指します。
なお、これらの費用は「広告が掲載された日」のタイミングで経費として処理されます。そのため制作後すぐに掲載されない雑誌広告などは、計上時期に注意が必要です。
接待交際費
取引先への接待費用・贈答品の支出です。接待を目的とした飲食代や得意先に対する夏の贈り物(御中元)や年末の贈り物(お歳暮)などが含まれます。
専従者給与
家族従業員に支給する給与のことです。家族従業員への給与は「給料賃金」では処理できないため、注意が必要です。
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4.個人事業主でも経費として計上できない支出とは?
個人事業主は、すべての支出を経費として計上できるわけではありません。次に、個人事業主が経費として認められない支出の例について説明します。
個人として支払う税金
個人事業主は、納めた税金自体を経費として計上することはできません。そのため、納税額をそのまま経費として申告することはできない点に注意が必要です。
ただし年金や健康保険料などの社会保険料は、控除対象となります。これらを控除することで確定申告時に所得から差し引き、課税所得を減少させることができます。
節税効果があるため、控除項目についても詳細に確認しておくことが重要です。
私的な購入品や飲食代
福利厚生費は従業員の働きやすさやモチベーション向上を目的として、事業者が負担する費用です。従業員全員が公平に利用できる内容であれば、原則として経費として認められます。
ただし個人事業主のみまたは配偶者など限られた家族だけで事業を運営している場合には、福利厚生費としての経費計上はできません。
たとえば従業員を含めた全員参加の歓迎会などにかかる飲食代は福利厚生費に該当しますが、従業員がいない場合にはこうした支出は私的なものとみなされ必要経費とは認められない点に注意が必要です。
減価償却可能な資産
事業用に10万円以上で購入したパソコンなどの備品は固定資産として扱われ、法定耐用年数に基づいて減価償却を行わなければなりません。これにより取得原価は耐用年数にわたって分割して経費計上されるため、1年以内に全額を経費として計上することはできません。
しかし20万円未満の資産であれば、一括償却資産として3年間で償却することができます。また青色申告をしている場合、30万円未満の固定資産には「少額減価償却資産の特例」を適用することで購入時に全額を経費として計上することが可能です。
なお土地などの経年劣化しないものや時間経過によって価値が変動しない資産は固定資産には該当せず、減価償却の対象にはならないため経費として計上することはできません。
借入金の返済額
借入金の返済は、事業に関連していても経費として計上することはできません。また、事業主個人の私的な借入金の返済も経費に含めることはできません。
ただし借入金の返済に伴う利息については、利子割引料として経費として計上することが可能です。
健康診断など
個人事業主の健康管理に関連する費用は、基本的に経費として計上することはできません。例えば健康診断の費用やジムの利用料金などは、自己負担となります。
祈祷料
「祈祷料」などの名目で、企業が寺社や宗教団体に支払った金銭(初穂料・玉串料・お祓い料・祈祷料など)は会計上「寄付金」として損金処理することが認められています。
一方個人事業主が同様に商売繁盛などを願って宗教団体に支出した場合には、その金額を経費に含めることはできません。つまり所得の計算上、必要経費として扱うことができないということです。
法律で明確に「法人は可能、個人は不可」と定められているわけではありませんが、過去の裁判例などから個人事業主のこうした支出は経費とは認められない傾向にあります。
この点に関しては誤解が生じやすいので、税務上の扱いに注意が必要です。
5.経費計上の範囲を広げる「家事按分」の活用法
家賃や車のリース料・ガソリン代など事業とプライベートで使用用途が混ざっている費用は、支出額に対して事業用の割合を掛け算することで経費として計上できます。この手法は「家事按分」と呼ばれます。
按分を行う際には、事業用とプライベート用の使用割合を「客観的かつ合理的に説明できる方法」で算出する必要があります。
家賃
自宅を事務所としても使用している場合の家事按分の考え方は以下の通りです。
賃貸の場合:家賃など
持ち家の場合:修繕費・固定資産税・住宅ローンの利息・保険料など
按分の考え方の例は以下の通りです。
面積比率:事務所として使用している部分の面積 ÷ 総面積
時間比率(例えば、休日だけ使用している場合など):使用日数 ÷ 総日数 × 面積比率
車
納品や営業活動で自家用車を使用している場合の家事按分の考え方は以下の通りです。
【対象となる経費】
リース料・減価償却費・ガソリン代・租税公課・修繕費・保険料・駐車場代 など
按分の考え方の例は以下の通りです。
走行距離比率:事業用走行距離 ÷ 総走行距離
時間比率(例えば、休日のみ使用している場合など):使用日数 ÷ 総日数
水道光熱費
自宅を事務所として使用すると、水道光熱費がかかります。
デスクワークを主に行っている個人事業主と飲食店などの店舗を経営している個人事業主では、水道光熱費の比率が大きく異なります。事業の種類に応じて、合理的な按分比率を決定する必要があります。
【対象となる経費】
電気料金・水道料金・ガス料金 など
【按分の考え方】
事業内容に応じて合理的な案分割合を設定する。例えばデスクワーク中心の場合:ガス・水道代は少なめ、飲食店の場合:ガス・水道代は多めなど
通信費
スマートフォンやパソコンなどを私用と事業用で兼用している場合でも、家事按分によって経費として計上することが可能です。
【対象となる費用】
固定電話料金・携帯電話料金・インターネット接続料・プロバイダ契約費・郵便関連費用 など
【按分の目安】
使用実績に基づく割合:通話履歴・インターネットの利用履歴・郵便物の内容など
時間ベースの割合:事業で使用した日数や時間 ÷ 総使用日数(時間)
このように実際の使用状況に応じて、合理的な基準で事業用割合を算出しましょう。
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6.経費で落とすメリット・デメリットを個人事業主の立場から解説
個人事業主が経費を計上する際には、メリットとデメリットが存在します。これらをしっかりと理解し、経費として計上すべきかどうかを適切に判断することが重要です。
経費を計上することで得られる主なメリット
経費を計上する最大の利点は、節税が可能なことです。個人事業主の場合には売上から経費を差し引いた額が事業所得となり、その部分に対して所得税が課税されます。
事業に関連するさまざまな支出を経費として計上することで税金を抑えることができ、その分手元に残る金額を増やすことができます。
経費を計上することで得られる主なデメリット
経費計上のデメリットは計上額が過剰であったり、正当な経費であることを証明できる書類が不足していたりすると脱税の疑いをかけられ税務署から調査を受けるリスクがある点です。
経費として支出した証拠となる領収書やレシートは、必ず保管しておくことが重要です。さらに経費が多すぎると黒字での収支が確認できなくなり、その結果銀行からの融資額が減少する可能性もあります。
7.経費を計上する際のやり方・注意ポイント
経費を計上する際は、次のポイントに注意することが大切です。
事業との関係性をはっきりさせる
領収書やレシートをしっかり保管する
家事按分は正確に計算する
経費の過剰な計上は避ける
法改正や最新のルールを確認する
それでは、これらのポイントについて順に詳しく見ていきましょう。
支出が事業に必要なものであることをはっきりさせる
経費を計上する際には、その支出が事業活動とどのように関わっているのかをはっきりさせることが重要です。
不明確な支出は税務調査の際に経費として認められない可能性がありますので、利用目的や状況をしっかり記録しておく必要があります。
領収書やメモに加えてその支出が事業のどの業務や成果に寄与したのかを具体的に説明できるように準備しておくことで、税務調査時にも安心して対応できるようになります。
領収書やレシートは適切に保管しておく
経費として認められるためには、支出の証拠となる領収書やレシートをきちんと保管しておくことが不可欠です。
これらの証憑がないと、経費として認められない可能性があります。さらに税務調査では過去数年分の資料を求められることもあるため、領収書やレシートは法定の保存期間に従って紙だけでなく電子データも含めて適切に保管しておきましょう。
家事按分は正確に算出することが重要
自宅を事業に利用している場合は、前述のとおり家事按分の計算が必要となります。地代家賃・水道光熱費・通信費などを経費として計上する際には、事業用と私用の使用割合を明確にするために合理的な按分基準を設定することが大切です。
たとえば使用している面積や利用時間を基に算出し、その算出根拠はしっかりと記録に残しておきましょう。
経費を実際より多く計上しないよう注意する
経費を必要以上に計上すると、税務署から不正申告と判断されて罰則の対象となる可能性があります。経費はあくまで事業に必要な範囲で、適正な金額を申告することが重要です。
最新の法律や規定の内容を把握しておく
税制は随時改正が行われるため、常に最新の制度やルールを把握しておくことが大切です。過去の情報に基づいて経費を計上し続けていると、気付かないうちにルール違反となっている可能性もあります。
そのため定期的に税制や関連規定の見直しを行い、必要に応じて適切に対応することが求められます。必要に応じて、税理士などの専門家に相談するのも効果的な手段です。
一度設定した勘定科目は原則として変更しない
一度設定した勘定科目は継続して使用することが求められます。
これは「継続性の原則」と呼ばれる企業会計の基本ルールに基づいており、年度ごとに処理方法を変えてしまうと過去との比較ができなくなり経営状況の分析が困難になるためです。
たとえばコピー用紙を「消耗品費」として処理していた場合、翌年度から「事務用品費」に変更するような対応は基本的に避ける必要があります。ただし税制の見直しや制度改正といった合理的な理由がある場合には、例外的に勘定科目の変更が認められることもあります。
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8.青色申告で受けられる65万円の所得控除とは?
個人事業主が効率よく節税を図るためには、確定申告の際に「青色申告」を選ぶことが非常に有効です。この章では青色申告の基本的な仕組みと、それを選択することで得られる主な節税メリットについて詳しく説明していきます。
青色申告とは?
青色申告とは所定の帳簿を整備し、日々の取引内容を記録したうえで、それに基づいて所得や税額を計算し申告する仕組みです。
帳簿の作成や管理に一定のルールが求められるため、簡易的な記帳で済む白色申告では受けられないさまざまな優遇措置を受けることが可能です。
青色申告と白色申告の主な違い
白色申告は個人事業主が利用できる最も基本的な確定申告の形式で、青色申告のように事前の申請手続きが不要であることが特長です。手続きが簡単で、事業を始めたばかりの人にも取り組みやすい制度です。
<白色申告のポイント>
記帳や申告手続きが比較的シンプルで、経理作業の負担が少ない
開業してすぐでも利用可能で、事前申請などの準備が不要
<青色申告との違い(制約)>
青色申告特別控除(最大65万円)は適用されない
家族に支払う専従者給与を経費として認められない
赤字が出た年の繰越控除や繰戻還付といった税制上の優遇が使えない
このように白色申告は副業や小規模な事業者に向いていますが、売上が増えたり家族への給与支払いが必要になった場合には青色申告への移行を検討するとよいでしょう。
青色申告で受けられる65万円の控除の詳細
青色申告を選んで確定申告を行うことで、最大で65万円の青色申告特別控除を受けることが可能です。ただしこの65万円の控除を適用するためには、e-Taxによる申告の提出または電子帳簿保存のいずれかの条件を満たしている必要があります。
これらの要件を満たしていない場合は、控除額が55万円に減額されるためその点に注意が必要です。
青色申告では、家族への給与も経費として計上できる
青色申告を活用すれば、配偶者や親族に支払った給与を、全額経費として所得から差し引くことが可能です。
白色申告でも「事業専従者控除」として一定額の控除は認められていますが、控除額には上限があります。一方青色申告ではそのような上限が設けられておらず、実際に支払った給与額に応じて控除が可能です。
ただしこの特典を受けるには、「青色事業専従者給与に関する届出書」をあらかじめ税務署に提出し条件を満たす必要があります。
また控除額に制限はないものの配偶者などに高額の給与を支払えば、相手側の所得税や社会保険料の負担が増える可能性があります。そのため自分と配偶者の税負担を総合的に見て、支給額を慎重に検討することが大切です。
65万円の控除を活用する上でe-Taxでの申告が推奨される理由
【メリット】
インターネット環境があれば、24時間いつでも申告が可能。確定申告期間の前倒し申告もできる
税務署に出向く必要がないため、時間と手間を節約できる
手続きが簡略化され、医療費控除の明細書や保険料控除証明書の原本提出が不要
還付金の処理が早く、通常は約3週間で入金される
【注意点】
申告に使った書類は、電子提出であっても保存義務がある
初めて利用する場合は、利用登録やシステムの設定に時間がかかることがある
システムのメンテナンス中は利用できない
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9.個人事業主が経費計上時に必要な書類とは?
この章では個人事業主が経費計上時に必要な書類について解説します。
領収書
経費を計上するには、その支出を証明するための証憑書類が必要不可欠です。宛名入りの手書き領収書やレシートは日常的に受け取る習慣を持ち、支出の証拠として保管しておきましょう。支払いの内容や目的を簡単にメモしておくと、後から確認しやすくなります。
クレジットカードでの支払いは、利用明細が領収書の代わりとなります。銀行振込をした場合には、ATMの振込明細とあわせて請求書や納品書をセットで保存してください。また交通費で領収書が取れなかった場合は、券売機で交通系ICカードの利用履歴を印刷することで代用可能です。
もし領収書を紛失した場合には、出金伝票を作成するなどして、支出の証拠を残しましょう。
証拠書類として活用できる主なものは以下の通りです。
宛名の記載がある手書き領収書やレシート、メールで送られた領収書
クレジットカードの利用明細
請求書・納品書・出金伝票
交通系ICカードの利用履歴の印刷
ATMの振込明細や通帳記帳の記録
弔事や慶事に関する案内状、祝儀・不祝儀袋の表書きのコピー など
必要な書類を日頃から整理・保管しておくことで、確定申告や税務調査にもスムーズに対応できます。
電子取引の場合、保存すべき電子データ
2022年1月から施行された改正「電子帳簿保存法」により、電子取引によって受け取った領収書やレシートなどのデータは電子データのまま保存することが義務付けられました。電子データで受け取った書類を紙に印刷して保管することは、法令上認められていません。
また保存するデータについては勝手に改ざんや削除ができないように社内で規定を整備したり改ざん防止機能を備えた専用のシステムを導入するなど、法令で定められた保存条件を守る必要があります。
一方紙で受け取った領収書やレシートについては、従来どおり紙のままで保存することも可能です。またスキャンして電子化する場合でも、電子帳簿保存法の定める条件を満たしていれば原本は処分して問題ありません。
10.不適切な経費処理をするとどうなる?追徴課税のリスク
税務署から帳簿の提出を求められた場合や税額が過少申告されていたり意図的に経費や所得を隠蔽した場合には、ペナルティが課されることがあります。
申告ミスによる「過少申告加算税」とは?
「過少申告加算税」とは、本来支払うべき税額よりも少ない金額を申告した場合に課されるペナルティです。確定申告を期限内に行い税金を支払った場合でも、申告内容に誤りがあれば対象となります。
もし誤った申告に気づき自主的に修正申告を行えば、過少申告加算税を免れることがあります。しかし過少申告に対しては延滞税も課されるため、申告内容に誤りを見つけた場合は、早急に修正申告をすることが重要です。
意図的な不正とみなされた場合の「重加算税」について
「重加算税」とは、架空の経費を計上したり、領収書を偽造するなど、故意に税金を不正に申告した場合に課せられるペナルティです。
通常、重加算税は税務調査で不正が発覚した際に適用されます。不正が認められると、修正申告や更正処分が行われますが、再調査の請求や不服申し立ても可能です。
ただし請求や申し立てには期限があり、重加算税に加えて延滞税が課されるため指摘を受けた際は迅速に対応する必要があります。
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11.まとめ
個人事業主が行う支出には、経費として認められるものとそうでないものがあります。それらを正しく区別できるようにすることは、適正な確定申告と無理のない節税対策を行ううえで欠かせません。
誤って、あるいは意図的に経費を不適切に計上してしまうと、重い罰則を受ける可能性もあります。必要書類の準備や家事按分の扱い方なども含め、経費のルールをしっかりと把握しておきましょう。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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