IT業界は人気のある業界の1つで、多くのITエンジニアがさまざまな会社で働いています。働きやすい環境を整えているホワイト企業もありますが、なかには過酷な労働を強いられるブラック企業も存在します。これからエンジニアとしてIT企業に就職・転職するのなら、ホワイト企業に関する情報を集めておくのがおすすめです。
本記事では、就職・転職を考えているエンジニア向けに、ホワイト企業の一覧・ランキングや特徴を紹介します。入ってはいけないIT企業の特徴なども解説するので、エンジニアの方はぜひこれからの転職活動に活かしてください。
目次
1.IT業界はホワイト企業が少ない?
IT業界に分類される企業の数は多く、ホワイト企業・ブラック企業の両方が存在すると言えるでしょう。そのためエンジニア自身でホワイト企業の情報を収集し、転職先を選択しなければなりません。
以下では、IT業界におけるホワイト企業の詳細と転職事情について解説します。
半数以上が現職または前職をホワイト企業だと思っている
2024年6月にギークリーが実施した調査「IT企業の有休取得・残業時間・残業代支給・給料・働き方」によると、半数以上の人が現職・前職をホワイト企業だと思っている傾向にあることがわかります。
「現職はどんな企業だと思いますか?退職済みの方は直近務めた企業について教えてください。」という問いに対して、ホワイト企業だと答えた人の割合が52%、ゆるブラック企業と答えた割合が41%、ブラック企業と答えた割合が8%となっています。
引用元:(IT企業の有休取得・残業時間・残業代支給・給料・働き方)
半数以上がホワイト企業だと感じているため、しっかりと企業情報を調べて選別することで、より良い環境でエンジニアの仕事ができるようになるでしょう。
文系のITエンジニアでもホワイト企業に入社できる?
文系出身のITエンジニアでも、ホワイト企業に就職することは可能です。文系でもエンジニアに求められるプログラミングスキルや開発に活かせる実践的な技術がきちんと身についていれば、ホワイト企業に採用される可能性があります。例えば語学力を伸ばしてきた文系出身者の場合、海外企業と取引があるグローバルな企業で活躍を目指せるでしょう。
エンジニアとしてスキルが十分でない場合にも、営業やマーケティング関連の部署で経験を積み、独学でスキルを磨いてからキャリアチェンジをする方法もあります。
IT未経験からでもホワイト企業で働ける?
IT業界が未経験の方でも、ホワイト企業に転職が可能です。IT人材の人手不足が大きな課題となっている現状、未経験者歓迎の案件・求人を出している企業もあります。新卒だけでなく、第2新卒・既卒の未経験者向けに研修を実施したり、OJTでしっかりとサポートしてくれたりするケースもあるでしょう。
一方で未経験者は、事前にITエンジニアの仕事で必要になる知識・技術を学んでおくことが大切です。年齢が上がるほど、即戦力としてのスキルを求められることが増えると予想されるため、未経験の場合には独学での勉強や資格の取得などを行うのがおすすめです。
2.IT業界のホワイト企業にはどんな会社がある?
エンジニアとしてホワイト企業への転職を目指すのなら、まずどのような企業があるのか調べるのがポイントです。以下では、IT業界のホワイト企業一覧とランキングについて解説します。
ITエンジニア必見のホワイト企業一覧・ランキング
IT業界の有名な大手企業のなかには、ホワイト企業と認知されている会社があります。平均年収が800万以上の大手IT企業50社から、年収の高い順にランキング化すると以下のようになります。
会社名 | 平均年収 | |
---|---|---|
1位 | ジャストシステム | 1,428万 |
2位 | 野村総合研究所 | 1,271万 |
3位 | メルカリ | 1,166万 |
4位 | 日本オラクル | 1,160万 |
5位 | 電通総研 | 1,133万 |
引用元(IT企業ホワイトランキング!IT業界大手の優良企業50社を一覧で紹介)
ホワイト企業として重要な項目となる残業時間の少なさをランキング化すると、以下の結果になりました。
会社名 | 平均残業時間 | |
---|---|---|
1位 | リンクレア | 8.4時間 |
2位 | 日立製作所 | 9.0時間 |
3位 | 日鉄ソリューションズ | 9.7時間 |
4位 | 伊藤忠テクノソリューションズ | 12.5時間 |
5位 | 日興システムソリューションズ | 12.8時間 |
引用元(IT企業ホワイトランキング!IT業界大手の優良企業50社を一覧で紹介)
勤続年数を参考にすることも、職場環境や待遇の良さを測る指標になり得ます。以下では、勤続年数が長いホワイト企業のランキングを紹介します。
会社名 | 平均残業時間 | |
---|---|---|
1位 | エフサステクノロジーズ | 24.1年 |
2位 | 日立システムズ | 22.3年 |
3位 | BIPROGY | 21.0年 |
4位 | NTTコムウェア | 20.7年 |
5位 | 東芝情報システム | 20.7年 |
引用元(IT企業ホワイトランキング!IT業界大手の優良企業50社を一覧で紹介)
上記のように各種ランキングをチェックすることで、どのような会社がホワイト企業なのかがわかります。また、自分がホワイト企業を選ぶ際の基準となる数値や、優先する事項を考えるきっかけにもなるため、まずはホワイト企業一覧・ランキングをチェックしてみましょう。
IT業界の隠れ優良企業
IT業界には数多くの会社があり、なかには知名度こそ低くても、ホワイト企業として高く評価されているケースもあります。例えば以下の企業は、IT企業業界でも隠れ優良企業として認知されつつあるようです。
インフォコム株式会社
アステリア株式会社
株式会社オロ
株式会社TOKAIコミュニケーションズ
スミセイ情報システム株式会社(SLC)
農中情報システム株式会社
株式会社ソルクシーズ
都築電気株式会社
株式会社KSK
エムオーテックス株式会社 など
大手IT企業と比較すると知名度などで劣りますが、ホワイト企業として人気となっている会社はいくつもあります。大手企業は安心して働ける環境が魅力ですが、競争率が高くなる可能性が懸念されます。
そのためランキングで大手企業を中心にチェックするだけでなく、同時に隠れ優良企業を調べて転職先の候補を増やしていくのがおすすめです。
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3.IT業界におけるホワイト企業の見分け方
ホワイト企業を見分ける方法を把握することも、エンジニアの転職時に重要となるポイントです。どのような企業がホワイト企業の可能性があるのか、企業情報でどんな点をチェックすべきなのかを知り、転職準備に活かしていくことが重要となるでしょう。
以下では、IT業界におけるホワイト企業の見分け方を解説します。
離職率が低い・勤続年数が長い
離職率が低かったり、平均勤続年数が長かったりする場合、ホワイト企業である可能性があります。ホワイト企業であれば、その環境を活かして成長するために、転職を考えるケースが減ります。離職率が低くて平均勤続年数が長い会社を絞り込むことで、ホワイト企業を見極めやすくなるでしょう。
平均勤続年数と合わせて、平均年収をチェックすることで、どの程度の昇給・昇格が見込めるのか予測できます。収入面を重視して転職先のIT企業を決める際には、離職率、平均勤続年数、年収の3つの情報をそれぞれ比較するのも1つの方法です。
研修・教育制度がある
従業員に向けて研修や教育制度が整っている会社は、ホワイト企業だと言えます。未経験からITエンジニアを目指す人にとって、会社が費用を負担して研修・教育を行ってくれる環境は、成長するきっかけになるでしょう。十分に研修・勉強をしてから現場に出て働ける方法が良いのなら、制度の内容を細かく確認しておきましょう。
その他、相談窓口があるか、メンタルケアを受けられるかなど、フォロー制度の有無をチェックするのもポイントです。働いていると精神的な負担を感じたり、人間関係に悩んだりすることもあるでしょう。そういったときに1人で悩むことなく、会社のフォローを受けられれば、スムーズに問題を解決できる可能性が高まります。
残業時間が決まっている
残業時間が明確に決められている会社は、ホワイト企業である可能性が高いです。プロジェクトの進捗やトラブルなどによって、どうしても残業が発生してしまう可能性があります。そのため、普段からどの程度の残業が行われているのか確認し、自身で許容できる範囲か考えておくのが重要です。
「ギークリーが行った残業時間の調査」によると、IT業界における平均残業時間は23.2時間となっています。
(引用元:ギークリーが行った残業時間の調査)
そのため20時間程度を基準とし、興味のある会社ごとの残業時間を比較してみると良いでしょう。
福利厚生が充実している
ホワイト企業は従業員が充実した生活を過ごせるように、福利厚生の充実に力を入れているケースがあります。優良なホワイト企業ほど福利厚生が充実していて、従業員が働きやすい環境を整えています。例えば有給休暇、住宅手当・家賃補助、育児・介護・結婚休暇、フレックスタイム制の導入などが、福利厚生の一環として挙げられます。
ワークライフバランスを意識した働き方が注目されるなか、仕事とプライベートの両方を大切にするための福利厚生の充実度は、転職前にしっかりと確認しておきましょう。自分が特に重要視する福利厚生の内容を決めて、採用している企業を絞り込んでいく方法もおすすめです。優先順位を明確にしておくことで、どんな福利厚生がある企業を選ぶべきなのか判断しやすくなるでしょう。
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4.入ってはいけないIT企業の特徴
ホワイト企業の見分け方を把握するだけでなく、入ってはいけないIT企業の特徴を確認することで、いわゆる「隠れブラック企業」への転職を避けやすくなります。以下では、入ってはいけないIT企業の主な特徴について解説します。
スキルの身につく業務がない
新しいスキルが身についたり、基礎スキルを伸ばせたりする業務が少ない企業は、自身の成長につながらないため避けるべきでしょう。例えば単純作業や誰でもできる仕事ばかりさせられると、業務時間で学ぶことが少なく、結果的に周囲のエンジニアと差が広がってしまいます。
エンジニアとして成長できないと、その後のキャリア形成にも悪影響があります。ポートフォリオに掲載できるようなスキルがなく、実務経験も限定的なものになると、転職によるキャリアアップが難しくなるでしょう。企業情報やSNSでの発信などを確認し、実際にどんな業務を行っているのかは事前に把握しておいてください。
多重下請けの下層に位置している
多重下請けの下層に位置している企業も、入ってはいけないIT企業の1つになります。下層業務ばかりを請け負っている企業は、仕組み上どうしても報酬が少なくなります。そのためエンジニアも給料が上がらず、収入面で不満が募る可能性があるでしょう。
また、要件定義やシステム設計や企画といった上流工程の仕事に参画する機会も減ってしまうため、実践を経験できずに時間を浪費するケースも懸念されます。システムエンジニアなど上流工程で働くIT職へのキャリアパスを考えているのなら、転職先の会社が多重下請け構造のどの位置にあるのか確認しておきましょう。
ネガティブな口コミが多い
口コミサイトやSNSなどで、ネガティブな意見が多い企業も、入ってはいけないIT企業の1つになります。実際に会社で働いていた人の口コミやSNSでの発信は、貴重な情報源となります。企業のホームページや四季報ではわからない情報を知るきっかけにもなるため、転職活動の際にはこまめに確認しておくのがおすすめです。
例えばハラスメントや長時間労働の実態、社内の雰囲気などは入社前に把握するのが難しい傾向にあります。そこで口コミをチェックし、具体的な数値やリアルな情報を収集するのが重要です。一方で、口コミサイトやSNSの情報が、すべて真実とは限りません。嘘の情報に惑わされないように、複数の口コミを参考に情報を精査するのがポイントです。
残業時間が多い
公表されている残業時間が多すぎる場合にも、ホワイト企業ではない可能性があります。先の解説通り、IT業界の平均残業時間は23.2時間です。この数値を大きく上回っている場合、残業によって心身に大きな負担を抱えるリスクがあります。プライベートの余裕もなくなり、モチベーションが下がったりスキルアップに割く時間が減ったりする可能性があるでしょう。
残業時間は労働基準法に基づいて、原則月に45時間、年に360時間と定められています。(36協定で労使が合意した場合には上限を超えて働ける)基本的に月45時間を超える残業は違法なので、入社してから残業時間が多すぎる場合には、労基に相談するなどの対策が考えられます。
女性が働きやすい環境が整っていない
女性が働きやすい環境が整っていないIT業界企業も、ホワイト企業の条件に当てはまらない可能性が考えられます。例えば産前産後休暇や育児休暇の制度がない場合、女性は早期退職を余儀なくされるケースがあります。結果的に離職率が上がり、女性従業員の比率が極端に低下するといったデータに出るでしょう。
従来よりも女性が働きやすい職場環境をつくることは、さまざまな企業で実践されています。そういった時代の変化に対応できていない会社は、IT業界で今後生き残るのが難しいと考えることもできるでしょう。女性従業員の比率やサポート環境が整っているかどうかも、事前に確認すべき要素になります。
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5.まとめ
IT業界にも、ホワイト企業に属する会社はあります。働きやすくてスキルアップができる環境で仕事ができれば、ITエンジニアとしてのキャリア形成に良い影響となるでしょう。未経験の人や長時間労働に悩んでいる人、プライベートを充実させたい人などは、IT業界におけるホワイト企業の情報を調べて、転職活動に活かしてみてはいかがでしょうか。
ホワイト企業に転職する方法だけでなく、フリーランスエンジニアとして独立することも考えられます。フリーランスエンジニアは自分で参画する案件・求人を決めることができ、働く場所や時間もある程度自由にできるメリットがあります。会社員としての働き方以外も視野に入れて、フリーランスの道も検討してみるのがおすすめです。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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