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退職交渉完全ガイド|切り出し方から交渉のコツ、難航時の対処法、注意点まで徹底解説

公開日:2025/06/11最終更新日:2025/06/11

独立という大きな目標に向かって動き出す際、現在の職場を円満に退職することは、その後の仕事に後悔なく取り組むためにも必要なことです。その意味で、退職交渉は、単に会社を辞める手続きではなく、これまでの感謝を伝え、良好な関係を維持したまま新たな一歩を踏み出すための大切なステップと言えます。しかし、どのように意思を伝え、どのような点に注意すべきか、不安を感じる方も少なくないでしょう。


この記事では、独立を目指す方がスムーズに退職できるよう、退職の切り出し方から交渉のポイント、よくある質問まで、具体的なアドバイスを解説します。円満退職を実現し、独立への道を力強く歩み始めるための参考にしてください。


目次

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1. 独立したいときの退職の切り出し方3ステップ

退職の意思を伝える際には、会社への配慮と自身の明確な意思表示が求められます。


ここでは、独立を理由に退職する際の切り出し方を3つのステップで解説します。会社との不要な摩擦を避け、スムーズな退職手続きを進めるためにも、ここで紹介する3ステップを頭に入れて退職交渉の準備を進めていきましょう。

退職の意思を明確に伝える

退職の意思を伝える際は、「〇月〇日をもって退職させていただきたいと考えております」と、退職の意思と希望日を明確に伝えることが重要です。曖昧な表現は避け、具体的な日付を提示することで、会社側も代替要員の確保や業務の引き継ぎ計画を立てやすくなります。


退職を申し出る時期は、民法第627条により、期間の定めのない雇用契約では2週間前と定められていますが、円満な退職のためには、会社の就業規則を確認し、可能であれば1ヶ月から3ヶ月程度の余裕を持って伝えることが望ましいとされています。会社への負担を最小限に抑え、良好な関係を維持したまま退職するためにも、退職の意思は速やかに、はっきりと伝えましょう。

独立の目的を簡潔に説明する

独立の目的や、なぜ今独立するのかという理由を簡潔に説明し、それが個人的な強い思いであることを伝えます。例えば、「長年の夢であった〇〇の分野で、自身のスキルを活かして事業を立ち上げたいと考えております」といったように、具体的な内容を交えながら、独立が熟考の末の決断であることを示すのがポイントです。


またこの際、現在の会社への不満や批判は避けるべきです。あくまでも前向きな理由であることを強調し、会社への感謝の気持ちを伝えることで、会社側も理解を示しやすくなります。個人的な理由であることを明確にすることで、会社側も引き止めにくい状況を作り出すことができるため、簡潔に、かつ前向きな退職目的を伝えましょう。

引き止めには応じない姿勢を示す

退職交渉の際には、引き止めに合うことが多々あります。会社から慰留された場合でも、その意思が変わらないことを丁寧に伝えましょう。会社によっては、昇進や給与アップ、部署異動などを提案して引き止めようとすることがありますが、退職後に独立という明確な目標がある場合は、これらの提案に応じない姿勢を明確に示さなければなりません。


「大変ありがたいご提案ですが、独立への決意は固く、この機会に挑戦したいと考えております」といったように、感謝を伝えつつも、決意が揺るがないことを丁寧に、しかし毅然とした態度で伝えます。感情的にならず、冷静に対応することで、会社側も最終的にはあなたの意思を尊重せざるを得なくなります。

2.独立したい人が退職する際にやるべき5つのこと

次に、独立したい人が退職する際にやるべきことを5つ解説します。どれも、退職交渉に臨む際に必ず知っておいていただきたい内容になりますので、熟読したうえで、不明点が無い状態で退職交渉の準備に取り掛かれるようにしましょう。

退職に関する就業規則を確認する

退職を決意したら、まず現職の会社の就業規則で退職に関する項目を確認してください。就業規則には、退職の申し出時期、手続き、必要書類などが明記されています。例えば、多くの企業では「退職希望日の1ヶ月前までに申し出る」といった規定が設けられていますので、必ず確認してその期限を過ぎないよう注意しましょう。


民法上は期間の定めのない雇用契約の場合、2週間前までに意思表示をすれば退職が可能とされていますが、就業規則に則って手続きを進めることが、会社との円滑な関係を保つ上では最も重要です。就業規則の確認を怠ると、予期せぬトラブルに発展する可能性もあるため、退職交渉を開始する前に必ず確認しておきましょう。

退職の意向を伝える相手は直属の上司

退職の意向を伝える際、最初に話すべき相手は直属の上司です。これは、組織内の報告ルートを遵守し、上司の立場を尊重するためです。同僚や他の部署の人に先に伝えてしまうと、上司が後からその事実を知ることになり、不信感や不快感を与えかねません。


直属の上司に直接、退職の意思を伝えることで、上司もあなたの退職に向けたサポートを行いやすくなります。退職交渉は、まず直属の上司への「退職します」という明確な意思表示からスタートすると心得てください。

始業開始に退職交渉の時間をもらう

直属の上司に退職の意向を伝える際は、いつ、どこで言うかが非常に重要です。デスクの脇や立ち話、業務時間中の休憩中などは避けましょう。あらかじめ上司の予定を確認し、会議室や応接室など、周りに話を聞かれない場所を押さえたうえで、1対1で話す時間を確保することが不可欠です。


特におすすめなのは、上司の業務開始直後の時間帯です。この時間であれば、上司も比較的落ち着いて話を聞くことができ、またその後の業務に支障が出にくいでしょう。事前にアポイントメントを取り、「少しご相談したいことがあるのですが」といった形で切り出すとスムーズです。

退職の相談ではなく「退職報告」だと自分に言い聞かせる

上司と1対1で話す場面において、ここでするのは相談ではなく報告であると認識することが重要です。実際にありがちなのは、「実は退職を考えてまして…」というように、曖昧な言い方をしてしまい、結果的に相談のような形になってしまうケースです。しかし、独立という明確な意思がある以上、あなたの決意は固いことを示さなければなりません。


「〇月〇日をもって退職させていただきます」と、はっきりと退職の意思と希望日を伝えることで、上司もあなたの決意を理解し、今後の手続きに進みやすくなります。あくまで、あなたが既に決断を下していることを前提として話を進めましょう。

組織全体に自分の仕事を引継ぎする

退職交渉がスムーズに進まない理由の一つに、後任が決まらないという状況が挙げられます。特に忙しい部署にいた場合、自分が辞めたら同僚たちはもっと忙しくなるという思いから、罪悪感を感じてしまうことがあるかもしれません。しかし、会社側もあなたの退職が決定した以上、業務の継続性を保つために後任の選定や業務の再分配を行う責任があります。


あなたがやるべきことは、組織全体に自分の仕事を円滑に引き継ぐための準備を進めることです。具体的な業務内容のリストアップ、担当顧客情報の整理、進捗中のプロジェクトの状況説明など、後任者がスムーズに業務に入れるよう、可能な限り詳細な引き継ぎ資料を作成しましょう。これにより、最後まで会社に貢献したいという意欲を示すと同時に、円満な退職へと繋がります。


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3.独立を決めてから退職するまでにやってはいけない注意点

独立を目指し退職を決意した際、その後のキャリアを円滑に進めるためには、いくつかの注意点を理解し、適切に行動することが重要です。


ここでは、退職交渉をスムーズに進めるために避けるべき行動について解説します。

具体的に何をするかは伝えない

独立してから何をするのかは言わない方が無難です。個人事業として具体的に何をするかを伝えることで、予期せぬトラブルに発展する可能性があります。例えば、会社が競業避止義務を持ち出したり、情報漏洩のリスクを懸念したりすることも考えられます。また、転職先の情報を調べて引き留めにあい、退職交渉がスムーズに進まなくなる可能性も否定できません。


「新しい分野に挑戦したい」「かねてからの目標だった独立を実現したい」といった抽象的な表現に留め、具体的な事業内容には触れないことをおすすめします。これにより、会社との無用な摩擦を避け、スムーズな退職を目指せます。

退職交渉を上司任せにしない

直属の上司に退職の報告をした後の流れは会社によって異なりますが、担当役員の承認や人事部への手続きが発生するのが一般的です。関与する人や部門が増えると、退職交渉が滞留しがちになります。そのため、退職交渉を上司任せにせず、自身も積極的に進捗を確認し、必要な書類の準備や手続きの段取りについて確認することが重要です。


退職交渉の際には、例えば、「〇月〇日までに人事部に書類を提出すればよろしいでしょうか」といったように、具体的な期日や担当部署を明確にし、必要に応じて自ら働きかけを行うことで、手続きの遅延を防ぎ、円滑に進めることができるため、心がけておきましょう。

有休消化やボーナスにこだわりすぎない

「有給休暇を使い切ってリフレッシュ期間に充てたい」「ボーナスをもらってから辞めたい」と思うのはごく自然なことです。しかし、それにこだわりすぎるあまり、引き継ぎ期間が十分に確保できなかったり、入社日をずらすようなことになったりするのは避けるべきです。


自分本位になりすぎると退職交渉に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、業務の引き継ぎが不十分なまま退職すると、会社に多大な迷惑をかけるだけでなく、将来的な関係性にも影響を与えかねません。円満退職のためには、有給消化やボーナスへのこだわりと、引き継ぎ期間のバランスを考慮し、会社との合意形成を図ることが大切です。

慰留条件に揺れない

あなたが余人をもって代えがたい存在だったり、採用難で欠員を埋められないような状況だと、強い引き止めにあう可能性があります。その条件として年収アップ、残業時間の改善、希望の部署へ異動、昇進など、さまざまな提示をされることもあるでしょう。

年収が不満で転職を決めた人なら、年収アップを提示されれば「だったら辞めずに残ってもいいか」と心が揺れてしまいそうですが、冷静になってください。一度独立を決意したのであれば、安易な慰留条件で心が揺らがないことが重要です。


提示された条件が一時的なものであったり、根本的な問題解決に至らない場合もあります。自分の独立という目標を再確認し、提示された条件がその目標達成に資するかどうかを冷静に判断しましょう。

退職理由で不満や愚痴を伝えない

退職交渉の際、上司や人事部から退職の理由を聞かれることがあります。個人事業主になろうとしていることは隠さなくてもよいのですが、言わなくてもいい不満や愚痴を口にするのはやめましょう。ネガティブな発言は、円満退職の妨げとなるだけでなく、あなたの評価を下げることにもつながります。


実際に退職理由が不満や愚痴からだったとしても、例えば、「給料が低い」「人間関係が悪い」「仕事がつまらない」といった個人的な不満を述べるのではなく、「新しい分野で自身の力を試したい」「独立して長年の夢を実現したい」といった前向きな理由を伝えるようにしてください。これにより、会社側もあなたの決意を尊重しやすくなり、円滑な退職手続きにつながります。


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4.退職交渉を成功させるためのポイント

ここでは、退職交渉を成功させるための重要なポイントを解説します。退職者側は退職経験があまりないのに対して、会社の人間側は退職交渉の経験が何度かあることがほとんどです。そのため、ただ何も考えずに「退職したい」と伝えに行くだけでは、交渉が成功しづらいです。


ここで紹介するポイントを押さえて、自分の思うような退職交渉が進められるようにしましょう。

退職の1~2か月前には退職交渉を開始する

退職交渉は、希望する退職日の1〜2か月前には開始するのが重要です。民法では期間の定めのない雇用契約において、退職の意思を伝えれば2週間後には退職できるとされています。しかし、多くの企業の就業規則には「退職の30日前までに申し出る」といった規定が設けられています。

例えば、厚生労働省の「就業規則作成の手引き」においても、労働者からの退職申し出に関して、会社は一定期間前までの事前通知を求める規定を設けることが一般的であるとされています。この期間は、後任の採用や業務の引き継ぎに必要な時間を確保するために設定されています。念のため、勤め先の就業規則に事前に目を通しておくべきでしょう。これにより、会社側も余裕を持って対応でき、あなたも円満に退職できる可能性が高まります。

退職日や有給休暇取得を決定してから退職届を提出する

お勤め先と相談のうえ、退職日の設定と退職届の提出をしましょう。転職先の希望にもよりますが、業務の引き継ぎ期間や後任の選定、有給休暇の消化期間などを計算し、余裕を持って設定するとトラブル防止につながります。

焦って退職届を提出してしまうと、後で日程調整が難しくなる場合があります。

例えば、引き継ぎに時間がかかる業務を担当している場合、十分な期間を設けずに退職日を設定すると、業務に支障をきたし、会社に迷惑をかけることになります。まずは口頭で退職の意向と希望日を伝え、会社側と調整を行った上で、最終的な退職日と有給休暇の取得計画を確定させ、その後に退職届を提出する流れがスムーズです。

退職の報告は会社が公にするまで行わないのが賢明

特に上流のポジションに就いている場合、自社への影響を少なくするために、会社は発表の方法を思案しているはずです。そのため、退職の報告は会社が公にするまで、ご自身からは行わないのが賢明です。


親しい同僚や取引先に先に伝えてしまうと、誤った情報が広まったり、会社の方針と異なる形で情報が伝わったりする可能性があります。これにより、会社が発表のタイミングを逃したり、混乱が生じたりして、退職交渉が難航する原因となることもあります。

円満な退職を目指すためにも、なるべく普段どおりに過ごし、会社からの正式な発表を待つようにしてください。


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5.退職交渉でよくある引き止めのパターン

独立を目指す方が退職交渉を行う際、会社から引き止めにあうことは少なくありません。特に、あなたの貢献度が高い場合や、会社が人材不足に陥っている場合は、様々な形で慰留されることがあります。


ここでは、退職交渉でよくある引き止めのパターンと、それらに対する適切な対応策を解説します。

後任者ができるまで働いてほしい

会社としては、あなたが退職することで事業や業務体制に穴を開けたくないため、「後任者が決まるまで、あるいは業務を引き継ぐまで働き続けてほしい」と打診してくることがあります。この場合の対策として、マニュアルやリストの作成など、誰でも仕事を引き継げるような具体的な計画や準備を進めていることを伝えることが挙げられます。

例えば、経済産業省が発表した「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」でも、業務の標準化やマニュアル化は、人材の定着や引き継ぎの円滑化に有効であると示唆されています。退職はすでに決定事項であり、会社への迷惑を最小限に抑えるために、誠意を持って引き継ぎ業務を行う意思があることを明確に伝えましょう。これにより、会社側もあなたの意向を理解しやすくなります。

待遇を見直すため考え直してほしい

退職理由が待遇面ではないと明確に断るのが基本的な対応です。会社によっては、退職を思いとどまらせるために、給与アップや役職の提示など、待遇の改善を提案してくることがあります。しかし、仮に好条件で今の会社に残れたとしても、一度退職の意思を示したことで周囲からの印象が悪くなり、結果的に働きにくくなる可能性が高いと言えます。

独立という明確な目標がある場合、待遇面での改善は一時的なものでしかありません。ここでは、改めて独立という退職理由を述べ、退職は決定事項であり、その意思が変わらないことを伝えましょう。感情的にならず、あくまで冷静に、しかし毅然とした態度で臨むことが重要です。

会社の上層部やお世話になった人から何度も引き止め

会社の上層部や特にお世話になった人から、個人的な感情を交えて何度も引き止められることがあります。このような場合、基本的にはいったんその場では明確な返答を避け、持ち帰って検討する姿勢を示し、翌日改めて「よく考えましたが、意志は変わりません」と伝え続ける対応を取りましょう。


退職に至った経緯と、独立後の具体的なビジョンを簡潔に語ることで、相手に引き止める余地はないと悟ってもらうのがポイントです。

例えば、「長年の夢であった〇〇の事業に挑戦したいという思いが強く、この機会を逃したくないと考えております」といったように、前向きな理由と固い決意を伝えることで、相手も最終的にはあなたの意思を尊重せざるを得なくなります。感情的なやり取りは避け、理性的な対話を心がけましょう。

6.退職交渉が進まなくなった場合の対処法

独立を目指す中、退職交渉が想定通りに進まないこともあります。特に、会社があなたの退職を強く引き止める場合や、後任が見つからないといった状況に陥った際には、適切な対処法を知っておくことが重要です。ここでは、退職交渉が膠着状態になった場合に取るべき具体的な行動について解説します。

具体的な引き継ぎプランを提案する

高度な仕事を担当していたり、重要な業務の主要メンバーだったりすると、引き継ぎの期間を十分に用意しても退職が難航する場合があります。しかし、他の誰にもできない仕事はなく、分担するのも絶対に不可能ということはありません。


退職交渉が進まない原因が引き継ぎにあると感じたら、明確な退職日を改めて伝えた上で、具体的な引き継ぎプランを自ら提案することが重要です。

例えば、業務内容を細分化し、それぞれの担当者と期日を設定した引き継ぎスケジュールを作成・提示します。また、マニュアル作成の提案や、必要であれば後任者への直接指導を行う意思を示すことも有効です。これにより、会社側の不安を軽減し、あなたが交渉の主導権を握ることで、スムーズな退職へと繋げることができます。

淡々と進める

退職交渉は感情的にならず、淡々と進めるのがおすすめです。交渉が長引いたり、引き止めが繰り返されたりすると、精神的に疲弊し、感情的になりやすいものです。しかし、感情的になると、冷静な話し合いができなくなり、退職交渉の進捗が悪化する可能性があります。


例えば、会社側から引き止めの言葉が出ても、反論したり、言い訳をしたりするのではなく、「ご提案は大変ありがたいのですが、私の決意は変わりません」といったように、簡潔かつ丁寧に断り続ける姿勢が重要です。過度な説明や、感情的な反応は避け、事務的なやり取りに徹することで、会社側もあなたの固い決意を理解し、やがては諦めて退職手続きを進めざるを得なくなります。

ビジョンを語って意思の固さを示す

重要な役職についている人や、会社が人手不足の場合は、引き止めや退職日の延期を提案される可能性が非常に高まります。このような状況で転職の意思が固い場合は、単に「辞めます」と伝えるだけでなく、自身の独立に関する明確なビジョンを語ることで、意思の固さを示すことが有効です。


例えば、「長年温めてきた〇〇という事業を立ち上げ、社会に貢献したいという強い思いがあります。この挑戦は私にとって今しかできないと考えており、人生をかけた決断です」といったように、具体的な夢や目標、そしてそれが個人的な強い思いであることを伝えます。

これにより、会社側も単なる不満や一時的な感情ではなく、あなたが熟考の末に出した「決定事項」であることを認識し、引き止めが困難であると判断するでしょう。前向きな姿勢で、しかし揺るがない決意を伝えることが、退職交渉を成功させる鍵となります。

7.退職交渉に関するよくある質問

独立を控えて退職交渉を行う際、多くの人が抱く疑問や不安があります。ここでは、退職交渉に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

退職交渉はいつから準備をすべきですか?

退職交渉の準備は、退職希望日の少なくとも1〜2ヶ月前には開始すべきです。民法第627条では、期間の定めのない雇用契約の場合、退職の意思表示から2週間で退職できると定められています。

しかし、多くの企業の就業規則では、退職希望日の1ヶ月前、あるいは3ヶ月前までに申し出るよう規定されています。例えば、厚生労働省の「モデル就業規則」においても、退職に関する規定として、通常は1ヶ月程度の事前通知を設けることが一般的とされています。


この期間は、会社が後任の採用活動を行ったり、業務の引き継ぎを円滑に進めたりするために必要な時間です。したがって、まずはご自身の会社の就業規則を確認し、それに則って準備を進めることが重要です。

また、引き継ぎに時間を要する業務に就いている場合は、さらに余裕を持った準備期間を設けることが望ましいでしょう。

退職後に何をするか聞かれた場合の答え方は?

退職後に何をするか聞かれた場合、最も無難で波風を立てない答え方としては、「希望するキャリアがかなう方向で転職が決まっています」と伝えることです。独立を考えている場合でも、具体的に「独立して事業を始める」と伝えると、会社によっては競業避止義務を持ち出したり、情報漏洩を懸念したりして、退職交渉が難航する可能性があります。


例えば、新しい事業のアイデアや顧客情報に関する詳細を話すことは避け、あくまでも「キャリアアップのため」という漠然とした理由に留めることが賢明です。これにより、会社側もそれ以上深掘りしにくくなり、スムーズに次のステップへ進めます。

退職交渉の期間は平均でどれくらい?

退職交渉の期間は、従業員の役職、業務内容、会社の規模、そして会社の就業規則によって大きく異なりますが、平均的には1週間から1ヶ月程度で完了するケースが多いとされています。しかし、これはあくまで目安であり、中には数ヶ月を要するケースも存在します。


特に、重要な役職に就いている場合や、後任の選定に時間がかかるような専門性の高い業務を担当している場合は、引き継ぎ期間の調整などで交渉が長引く傾向にあります。独立を理由とする退職の場合、会社があなたの今後の活動に懸念を抱く可能性もあり、交渉が複雑になることも考えられます。

そのため、余裕を持ったスケジュールで交渉に臨み、もし交渉が停滞した場合は、必要に応じて専門家(労働組合や弁護士など)に相談することも検討すべきでしょう。


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8.まとめ

独立に向けた退職交渉は、多くの人にとって初めての経験であり、不安がつきものです。しかし、適切な準備と冷静な対応を心がけることで、円満な退職を実現することは十分に可能です。


この記事で解説した「退職の意思を明確に伝える3ステップ」や「退職する際にやるべき5つのこと」を実践し、会社の就業規則を確認しながら、計画的に準備を進めましょう。また、引き止めにあっても感情的にならず、自身の固い決意と独立後のビジョンを明確に伝えることが重要です。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。


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この記事の監修者

笠間 慎

大学卒業後、人材紹介会社にコンサルタントとして従事。フリーランスとして独立。その後、フリーランス案件サイト「フリーランススタート」の立ち上げに編集長兼ライターとして参画し、月間30万人が利用する人気メディアへと成長させる。 2024年より、フリーランスボード編集長に就任。自身の経験を元に、フリーランスの活躍を支援する情報を発信している。

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目次

1. 独立したいときの退職の切り出し方3ステップ

退職の意思を明確に伝える

独立の目的を簡潔に説明する

引き止めには応じない姿勢を示す

2.独立したい人が退職する際にやるべき5つのこと

退職に関する就業規則を確認する

退職の意向を伝える相手は直属の上司

始業開始に退職交渉の時間をもらう

退職の相談ではなく「退職報告」だと自分に言い聞かせる

組織全体に自分の仕事を引継ぎする

3.独立を決めてから退職するまでにやってはいけない注意点

具体的に何をするかは伝えない

退職交渉を上司任せにしない

有休消化やボーナスにこだわりすぎない

慰留条件に揺れない

退職理由で不満や愚痴を伝えない

4.退職交渉を成功させるためのポイント

退職の1~2か月前には退職交渉を開始する

退職日や有給休暇取得を決定してから退職届を提出する

退職の報告は会社が公にするまで行わないのが賢明

5.退職交渉でよくある引き止めのパターン

後任者ができるまで働いてほしい

待遇を見直すため考え直してほしい

会社の上層部やお世話になった人から何度も引き止め

6.退職交渉が進まなくなった場合の対処法

具体的な引き継ぎプランを提案する

淡々と進める

ビジョンを語って意思の固さを示す

7.退職交渉に関するよくある質問

退職交渉はいつから準備をすべきですか?

退職後に何をするか聞かれた場合の答え方は?

退職交渉の期間は平均でどれくらい?

8.まとめ