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オプトアウトとは?基礎的な意味から個人情報保護法との関係性、注意点などわかりやすく解説

公開日:2025/06/16最終更新日:2025/06/16

自社のマーケティングにおいて、メールや郵便DMなどでユーザーに直接アプローチする手法が多くあります。

特にメールマーケティングは、訴求だけでなく情報発信ツールとしてユーザーとコミュニケーションを確立させる上でも活用されています。


ただ、日々多くの企業から情報が届くと、メール自体にストレスを感じてしまい、配信停止を求めるニーズも増加傾向にあります。

このようなニーズを加味し、オプトアウトという手法が注目を集めています。


オプトアウトは、ユーザー側で配信停止の手続きを取る手法を指します。

近年では、個人情報保護法や特定電子メール法などの法整備もあり、企業としてもオプトアウトは適切に運用していく必要があります。


そこで今回は、オプトアウトの基礎から個人情報保護法などとの関係性、運用時の注意点などについて紹介していきます。

1.オプトアウトとは?

オプトアウトとは、ユーザー側にて個人情報の利用を拒否する行為のことを指します。

英語では「Opt Out」と表記し、選択して外すという意味を持ちます。


企業のマーケティング施策において、メールマガジンをはじめさまざまなアプローチを取ることが多くあります。

ただ、ユーザー側も日々多くのメールを受信していると、情報過多となり面倒に感じることもあります。


このような場合には、企業に対してメールマガジンの配信停止や会員登録解除などの手続きを取る必要があります。

この行為がオプトアウトと呼ばれています。


とはいえ、配信停止や会員登録解除には、専用の受付フォームが必要になります。

このような選択肢があれば、当然ながら停止や解除をするユーザーが増えるため、企業側としてはあまり好ましくはありません。


ただ、ユーザビリティの観点からオプトアウトを用意することは重要視され、さらには個人情報保護法や電子メール法などでも定められているため、十分留意しながら運用していくことが求められています。

オプトインとの違い

オプトアウトとは別にオプトイン「Opt In」という用語も存在します。

オプトインは、オプトアウトとは異なり、企業側が事前にユーザーから個人情報の利用に関する了承を得た上で、メルマガなどのアプローチを行うことを指します。


例えば、会員登録や商品購入時などに、「今後、役立つ情報などのメールマガジンをお送りしても良いですか?」のような確認を行い、承認を取った上でメールマガジンを行う手法がオプトインに該当します。


メール送信を例とした場合では、事前に確認を取る仕組みがオプトインとなり、メール送信後にユーザー側で停止対応できる仕組みがオプトアウトとなります。

オプトアウトが重要視される背景

インターネットが普及する昨今において、ユーザーはさまざまな個人情報を知らず知らずのうちに企業に提供しています。

企業側は、この個人情報をもとにアプローチを行っていますが、プライバシー保護の観点から個人情報の扱いには十分注意することが求められています。


この動きは、個人情報保護法や電子メール法など法律面でも重視されています。

仮にオプトアウトによってユーザーから停止を求められたにもかかわらず、その後に何度もメールを送信してしまうと、罰則につながる可能性もあります。


このように、オプトアウトはユーザーとの関係性構築だけでなく、企業のコンプライアンスや法令遵守という点でも重要視されています。

2.オプトアウトを活用するメリット・デメリット

オプトアウトの設定は、企業とユーザーともにメリット・デメリットが存在します。

それぞれについて紹介していきます。

オプトアウトを活用するメリット

オプトアウトを活用すれば、企業としては事前にユーザー側にメール送信の許諾を取らなくて良いため、スピーディーに情報発信を行うことが可能です。

企業によっては、対象ユーザーのリストが数万件以上あるケースも少なくありません。


このような場合に、一人ひとりに確認を取った上で訴求・アプローチするには多くの手間がかかります。

訴求したいタイミングを逃せば機会損失につながり、売上などにも影響を及ぼしかねません。このリスクを防ぎ、効率的な運用につなげる上でもオプトアウトの仕組みを活用したアプローチは有効です。


また、オプトアウトはユーザー側にもメリットがあります。

数多く届く情報の中で、ユーザーが不必要と感じるものは、停止や登録解除によって省くことが可能です。

その結果、知りたい情報を効率よく把握でき、個人情報もコントロールすることができます。

オプトアウトを活用するデメリット

一方で、オプトアウトにはデメリットも存在します。

企業におけるオプトアウトのデメリットは、ユーザーとの信頼関係構築に関する点が挙げられます。


ユーザーに対して事前に許諾を取らず情報発信を行うと、知らないアドレスから勝手に情報が届いたとして不信感につながる可能性があります。

個人情報をはじめプライバシー保護に関しては、ユーザー側も認知が高まり、より重視する動きが高まっています。

このような中で、身に覚えのないアプローチはマイナス影響につながる可能性もあるため注意が必要です。


また、オプトアウトを活用したアプローチは、個人情報保護法や電子メール法など法的な制約を遵守しなければなりません。

万が一法令違反につながれば、罰則や制裁金などのペナルティ対象となるため十分注意する必要があります。


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3.オプトアウトと関係する法律や規約

オプトアウトを活用したアプローチは、概要でもふれたように法律や規約を遵守する必要があります。

この順守のためには、まずはオプトアウトに関連する法律や規約を適切に把握しておくことが重要です。

代表的な関連する法律について紹介していきます。

個人情報保護法

個人情報保護法とは、個人情報を適切に取り扱うために定められた法律です。

企業側は個人の名前や住所、電話番号などといった情報を取得したり、利用・管理する際には、この法律に則って適切に運用することが求められます。


この個人情報保護法は、2020年および2021年に改正され、オプトアウトにて活用・提供できる個人情報の範囲や届出事項などにおいて変更が加えられています。

その結果、従来まで企業とユーザー間において自由に交換できた個人情報は、改正後の現在ではユーザーの同意なしには情報を交換・共有・提供できなくなりました。


また、アンケート代行会社など他の業者から個人情報を取得する際には、対象のデータがオプトアウト可能なものか、確認することが求められます。

このように、企業側としては個人情報の取得や利用に際して、個人情報保護法を遵守し適切に対応していくことが重要です。

特定電子メール法

特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)とは、企業からのメールマガジンや広告などの訴求を目的としたメールに対し定められた法律です。

受信する側のユーザーにとって不快感や迷惑を防ぎ、適切なメールの運用を目的として2002年に施行されています。


この特定電子メール法も、オプトアウトとオプトインの観点から2008年に規制が加えられています。

この規制によって、オプトアウトにおいてはメール内で受信したユーザー側にて簡単に配信停止ができるようリンクや手法を明記することが求められました。


また、メール内には送信者の企業名や住所、問合せ先などを明記する必要があります。

さらに、配信停止のリクエストがあった際には、企業側は速やかに処理を行い、以後対象者に対してはメールを停止することが求められます。


その他、オプトインの観点でも、訴求メールを送信する際には、事前に対象ユーザーから同意を得る必要があります。

特定電子メール法は、個人情報保護法における企業とユーザー間の情報交換・共有・提供を、より実務面で規制した法律となります。

お互いの関係性を重視し、円滑にコミュニケーションを進める上でも、特定電子メール法を理解し、適切に運用していくことが重要です。

プライバシーポリシー

プライバシーポリシーとは、企業における個人情報の取り扱い方針を定めたものです。

HPなどで企業情報とともに公開されることが多く、ユーザーに対して企業の透明性や信頼度を伝える上で重要な内容となります。


個人情報保護法の中では、個人情報の利用目的や第三者に提供する際の手法などを公表することが義務付けられています。

その上で、プライバシーポリシーは企業側で作成・展開されています。


プライバシーポリシーに明記する要素としては、主に以下のものが挙げられます。

  • 個人情報の取得方法:どのような方法で個人情報を収集・取得しているか?

  • 個人情報の利用目的:収集・取得した個人情報をどのような目的で利用するか?

  • 個人情報の第三者への提供:第三者に提供する際の条件はあるか?

  • 個人情報を管理する上での措置:どのように管理しているか?安全かつ保護のための具体的な手段

  • オプトアウトの方法:配信停止や登録解除など個人情報の使用を拒否するための方法

このようなプライバシーポリシーを明記することで、ユーザー側に安心感を与え、良好な関係性の構築につなげることが可能になります。


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4.オプトアウトが利用されるシーン

オプトアウトは、メールをはじめさまざまなWebマーケティング施策において利用されています。

代表的な利用シーンについて紹介していきます。

電子メール

特定電子メール法でもふれたように、基本的に電子メールによるアプローチの際にはオプトアウトの設置が義務付けられています。

具体的には、メール文面の最後に配信停止やオプトアウトの設置を行い、ユーザーがリンクをクリックすることで簡単に停止できるようにします。


オプトアウトを設置することで、配信停止希望者が増え、広告効果としては弱まる可能性もありますが、法令遵守やユーザビリティの観点からも適切に対応することが重要です。

また、ユーザーからオプトアウトのリクエストが届いた場合には、速やかにメールリストから省き、以降のメール配信には含めないようにすることも求められます。

郵送DM

メールと同様に、郵送DMもユーザーとコミュニケーションを取るアプローチ手法です。

ダイレクトメールとして顧客の住所に直接情報を提供する仕様で、メールよりもユーザーに情報を届けやすい特徴があります。


この郵送DMでは、郵送先の住所が必要となるため、こちらも個人情報の取り扱いに注意が必要です。

オプトアウトの例としては、DM内に郵送停止の依頼ができる電話番号やメールアドレスなどの連絡先を明記する方法が一般的です。

QRコードなどを表記させ、簡単にメールや手続きができるようにしておくと効果的です。

Web広告

Web広告の中にもオプトアウトを利用した手法は存在します。

近年では、Cookieやトラッキングの技術を活用し、ユーザーの過去の閲覧履歴や行動を分析し、最適化された広告を配信する手法も多くあります。


とはいえ、ユーザーの中にはこのような広告表示を望まないケースも少なくありません。

このような場合には、オプトアウトのオプションが用意されており、配信停止を選択することで対象ユーザーには行動履歴に基づいた広告の表示を停止させることが可能です。

ただし、これは広告自体が一切表示されなくなるわけではなく、パーソナライズされていない広告は引き続き表示されます。


Googleではマイアドセンターという機能でユーザー側にて広告表示をカスタマイズすることができます。

このような機能はGoogle以外にもYahoo!の検索エンジンや、FacebookやInstagram、XなどのSNSでも展開されています。

ChatGPT

AI技術が大幅に進歩しつつある昨今において、対話型のAI機能は検索エンジンに変わって多くのユーザーが利用する傾向にあります。


ChatGPTは中でも代表的な対話型のAI技術として注目されており、企業がビジネスシーンに活用するケースも多くあります。

ただ、ChatGPTではAIが知能を高める上でさまざまな情報を収集する必要があり、個人情報の観点から懸念される傾向にもあります。


そこで、ChatGPTの利用においてもオプトアウトを活用することができます。

設定メニューからデータ収集や利用の範囲を制限させることができるため、目的に応じて使い分けることが可能です。


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5.オプトアウトの設計を行う上での注意点

オプトアウトは個人情報保護法や特定電子メール法をはじめ法律を遵守するとともに、ユーザーが簡単かつスムーズに手続きを行うよう設計することが重要です。

その上での注意点について紹介していきます。

送信者の企業名や氏名、住所などの記載

メールや郵送DMなどからオプトアウトを行う際には、専用の手続きページやフォームを用意しておくことが多くあります。

この手続きページやフォームの中では、送信者の企業名や氏名、住所などの情報を明記しておく必要があります。


特に、メールマーケティングにおいては「送信者の表示義務」として特定電子メール法でも定められています。最低限、以下の情報を明記しておくことが重要です。

  • 送信者の企業名/氏名

  • 送信者の住所

  • 配信停止や受信拒否ができる旨の通知

  • 問合せの受付先

これら情報は、明記しておくことで事前にどこから情報収集を行い、対象ユーザーに届いたのかを伝えることにもなります。

そのため、オプトアウトの観点だけでなく、ユーザーに安心感を与え、購読率を高める効果も期待できます。

問合せ先のメールアドレスや電話番号などの明記

オプトアウトでは、問合せ先の受付としてメールアドレスや電話番号も明記することが重要です。

オプトアウトの手続きをしたいにもかかわらず、問合せ先が明記されていなければ、ユーザーは不快に感じ、企業の信用問題やマイナス影響につながる可能性も高まります。


特に、ユーザーの中にはメールでの連絡よりも電話で解決したいと思うケースも少なくありません。

このような要望に応えるためにも、最低でもメールアドレスと電話番号は問合せ先として用意しておくと効果的です。

簡単且つすぐにオプトアウトできる仕組みづくり

オプトアウトは、見込ユーザーの離脱を誘発するため、企業の中には実施したくないと考えるケースも少なくありません。


とはいえ、個人情報保護法や特定電子メール法などの観点から、オプトアウトを利用しないアプローチは罰則の対象となりかねません。

そのため、設計する際にも簡単且つすぐにオプトアウトできる仕組みを構築する必要があります。


例えば、オプトアウトまでに何度もクリックさせたり、複雑な手続きを取ることはマイナス影響につながります。

「配信停止」や「登録解除」など、シンプルで分かりやすい導線を作り、誰が見てもスムーズにオプトアウトの手続きができる仕様が効果的です。


また、オプトアウトの手続きが完了した際には、確認メッセージなどでその旨をユーザーに適切に伝えることが重要です。

あくまでユーザビリティの観点で、分かりやすい設計を心掛けると効果的です。


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6.まとめ

情報量が多い昨今において、ユーザーは日々さまざまな情報を取捨選択しながら収集しています。

このような中で、ユーザー側で不要な情報の収集を停止・拒否できるオプトアウトの仕組みを活用する需要は高まっています。


配信停止や登録解除などの手続きを用意しておくことは、個人情報保護法や特定電子メール法といった法律でも定められるほど重要な要素です。

企業とユーザー間で良好な関係性を構築するためにも、プライバシーには十分留意しマーケティング活動につなげることが求められます。

今回紹介した内容も参考に、オプトアウトの基礎を理解し、適切に自社のマーケティングへと役立てていきましょう。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。


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この記事の監修者

笠間 慎

大学卒業後、人材紹介会社にコンサルタントとして従事。フリーランスとして独立。その後、フリーランス案件サイト「フリーランススタート」の立ち上げに編集長兼ライターとして参画し、月間30万人が利用する人気メディアへと成長させる。 2024年より、フリーランスボード編集長に就任。自身の経験を元に、フリーランスの活躍を支援する情報を発信している。

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目次

1.オプトアウトとは?

オプトインとの違い

オプトアウトが重要視される背景

2.オプトアウトを活用するメリット・デメリット

オプトアウトを活用するメリット

オプトアウトを活用するデメリット

3.オプトアウトと関係する法律や規約

個人情報保護法

特定電子メール法

プライバシーポリシー

4.オプトアウトが利用されるシーン

電子メール

郵送DM

Web広告

ChatGPT

5.オプトアウトの設計を行う上での注意点

送信者の企業名や氏名、住所などの記載

問合せ先のメールアドレスや電話番号などの明記

簡単且つすぐにオプトアウトできる仕組みづくり

6.まとめ