SIerでエンジニアとして働く際には、将来のキャリアパスについて考えておくことが重要です。SIerエンジニアはさまざまなキャリアパスが検討できるため、自分に合った道をしっかりと見据えて、必要な行動を起こしていくのがポイントになります。
本記事では、SIerエンジニアのキャリアパスについて解説します。転職やフリーランスとして独立するなど、キャリアチェンジの方法についても紹介するので、SIerエンジニアの将来を考えるうえでの参考にしてください。
目次
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1.SIerエンジニアにおけるキャリアパスの基本について
SIerエンジニアとして働いていく際には、将来的にどのようなIT人材になりたいのか、具体的なキャリアパスを考えておく必要があります。
以下では、SIerエンジニアのキャリアパスの基本情報について解説します。
そもそもキャリアパスとは?
キャリアパスとは、その職業でどのように働き、どんな形で成長していきたいかを計画することを意味します。日本語にすると「キャリアを獲得するまでの道」となり、キャリアを形成していくうえでの軸になります。
具体的には職務・職位などのポジションを目標として設定し、実現に必要なスキルや経験を獲得していくのがキャリアパスの基本です。企業によっては従業員のキャリアパスを支援するために、特別な制度を設けているケースもあります。どんなスキル・経験が必要なのかアドバイスしたり、将来に迷っている従業員の悩みを聞いて、キャリアパスの構築を手伝ったりといったサポートを行うことがあります。
キャリアパスとキャリアプランの違い
キャリアパスと似た言葉で、キャリアプランがあります。キャリアプランとは、仕事に関する将来の個人的な目標および、それを実現するための計画のことを指します。キャリアパスと違い、特定の職務・職位だけが目標になるのではなく、転職やフリーランスとしての独立も視野に入る点が特徴です。
一方でキャリアパスは、現在の会社内でのキャリアを考えるのが基本です。社内での評価を高めて昇格し、希望するポジションを目指す方法を考えるのがキャリアパスとなります。将来希望する仕事内容やポジション次第で、キャリアパスとキャリアプランのどちらを優先して設計するべきかが決まるでしょう。
SIerエンジニアのキャリアパスの主な種類
SIerエンジニアのキャリアパスには、大きくわけて以下の3パターンが考えられます。
スペシャリスト
ジェネラリスト
マネジメント
スペシャリストとは特定の業務のエキスパートであり、専門性の高いスキルを用いて仕事をする人材を指します。SIerエンジニアとしてスキルを磨き、さまざまな仕事の経験を積むことで、専門的な業務にも対応できる人材を目指せます。
ジェネラリストは複数の分野で活かせるスキルを身につけて、多数の業務を兼任する働き方をするポジションです。社内のさまざまなプロジェクトに参画できる人材になれるため、貢献度を高めてさらなるキャリアアップを狙うことも可能です。
マネジメントはその名の通り、SIer企業におけるマネジメント業務に特化したポジションです。プロジェクトやチームの指揮を取ったり、採用活動などに携わって会社のさまざまな分野を管理することが仕事になり得ます。
SIerエンジニアのキャリアパスは広いため、まずは上記3つのパターンのなかから、自分の希望や適正とマッチするものを選択することがポイントです。
2.SIerエンジニアのキャリアパス例
SIerエンジニアのキャリアパスには、さまざまな方向性が考えられます。以下では、SIerエンジニアのキャリアパス例について解説します。
プロジェクトマネージャー
SIerエンジニアは、プロジェクトマネージャー のポジションで働くことが考えられます。プロジェクトマネージャーとは、プロジェクトの目的を達成するためにさまざまな施策を提案したり、マネジメントスキルを活かして計画をコントロールする役割を担います。その他、チームの編成や進捗管理、プロジェクト終了後の評価やレビューなども担当することがあります。
一方で、プロジェクトマネージャーには明確な定義がないため、具体的な仕事内容や役割は企業ごとに若干異なる可能性があります。SIerエンジニアからプロジェクトマネージャーを目指すのなら、社内でどのような人材が求められているのかを把握し、必要なスキルと経験を見極めていくことが大切です。
大手のSIerになるとプロジェクトの規模も大きくなるため、SIerエンジニアの重要性が高まります。大規模なプロジェクトに対応できるプロジェクトマネージャーになることで、キャリアの選択肢を広げることもできるでしょう。
ITアーキテクト
ITアーキテクト とは、ITシステム全体を設計する専門職です。企業の経営戦略やプロジェクトに必要となるシステムを構想し、実際に設計から構築までを担います。具体的には経営戦略によって決まった方向性を軸にシステムの運用基盤を作り上げ、構築の流れやフレームワークなどを作業をするITエンジニアに提示します。社内における戦略部門と開発部門をつなげる存在になることから、IT業界で重要なポジションを獲得しています。
ITアーキテクトは、システム開発を行う際の効率化や品質の向上なども仕事です。現場での経験が活かされるため、技術力の高いSIerエンジニアが検討するキャリアパスの1つになるでしょう。
フルスタックエンジニア
フルスタックエンジニア とは、複数の業務を兼任して働くITエンジニアです。1人で多数のタスクを動かし、開発に関わる業務を進められるプロフェッショナルとして働きます。オールラウンダーとしての役割を担えるため、ITエンジニア不足に悩む企業にとって需要の高い存在になれるでしょう。
フルスタックエンジニアは、フロントエンド・バックエンドの開発を両方担当したり、インフラ関連の仕事までまとめて対応したりと、幅広い業務を担うこともあり得ます。そのためSIerエンジニアとしてフルスタックエンジニアへのキャリアパスを考えるのなら、専門的な知識・技術を幅広く身につけていく必要があります。
また、今後必要になる知識や技術をチェックし、学習を続けていく姿勢もフルスタックエンジニアを目指す際には重要です。新しい技術を必要とする案件・求人にもスムーズに対応できるように、普段からITの勉強をする習慣を作っておくのがおすすめです。
ITコンサルタント
SIerエンジニアの経験を活かして、ITコンサルタント になるキャリアパスも考えられます。ITコンサルタントはIT戦略の策定や既存システムの改修提案・最適化、各事業のマネジメントなどが仕事になります。現場経験があると具体的な提案やサポートがしやすくなる可能性があるため、将来的にITコンサルタントとして活躍する未来も想像できるでしょう。
ITコンサルタントは、プロジェクトマネージャーなどの上流工程を経験してから昇格するルートも考えられます。SIerエンジニアから直接ITコンサルタントを目指すのではなく、他の役職を通して経験値を高めていくキャリアパスも一考の余地があるでしょう。
SIerの営業
SIerエンジニアから、社内の営業部門に入るキャリアパスもあります。技術部門の人たちと連携して顧客に営業をかけ、課題解決につながる提案や製品の紹介などを行うのが仕事です。SIerエンジニアとしての経験から得た製品知識やIT技術についての知見を活かすことで、優秀なSIer営業となれる可能性もあるでしょう。
SIer営業で成績を上げていければ、営業部門の管理職になるキャリアパスも見えてきます。
別のIT職へのキャリアチェンジも考えられる
SIerエンジニアは社内での昇格を目指すキャリアパスだけでなく、別のIT職に転職するキャリアチェンジも考えられます。SIerの仕事以外にも、さまざまな職業を経験することで、将来のキャリアプランを広げられる可能性があります。
経済産業省の「IT人材需給に関する調査
」によると、2030年までに最大で79万人のIT人材が不足すると予想されています。そのため今後もITエンジニアの需要は高く、経験者は特に転職してキャリアチェンジしやすい状況が続くと考えられるでしょう。
SIer以外の仕事に興味がある方や、新しい領域でスキル・経験を積みたい方は、キャリアチェンジを視野に入れて行動に移すのがおすすめです。
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3.SIerエンジニアがキャリアチェンジする方法
SIerエンジニアがキャリアチェンジを目指す際には、いくつかの方法が考えられます。以下では、SIerエンジニアがキャリアチェンジする基本的な方法を2つ紹介します。
IT企業・コンサルティングファームなどに転職する
SIerエンジニアからキャリアチェンジをする際には、まず転職が最初に考えられるでしょう。別のIT企業やIT系のコンサルティングファームなど、自分の得意な分野や興味のある仕事内容に合わせて、転職先を絞り込んでいくのがキャリアチェンジの基本です。
転職時には、SIerエンジニアとしての経験が活かせることをアピールするのがポイントです。どんな業務をしてきて、そこから何を学び、どのようにして活かせるのかを論理的に伝えましょう。
フリーランスとして独立する
会社員として働くのではなく、独立してフリーランスになるのもキャリアチェンジにつながります。SIerエンジニアの経験・知識・技術を活かせれば、独立しても個人で案件・求人を獲得していくことが可能です。フリーランスエンジニア向けの案件・求人紹介サイトや、エージェントサービスを使うことで、スムーズに仕事を見つけられるでしょう。
いきなり独立するのではなく、SIerエンジニアとして働きつつ、まずは副業で案件・求人に参画するのも1つの方法です。副業で実績を積み、人脈を形成していくことで、独立後も安定して案件・求人を確保できる可能性があります。
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4.SIerエンジニアがキャリアチェンジする際のポイント
SIerエンジニアが実際にキャリアチェンジする際には、いくつかのポイントがあります。キャリアパスだけでなく、キャリアチェンジも検討したい場合には、以下の内容を参考にしてみてください。
次のキャリアを明確にする
SIerエンジニアがキャリアチェンジをする際には、まず次のキャリアを明確にする必要があります。「なんとなく別の仕事に就きたい」程度の認識だと、具体的な方針が決まらない恐れがあります。また、しっかりと調査をせずにキャリアチェンジを行うと、理想とのギャップに苦しむ可能性も懸念されます。
まずは「どんな仕事がしたいのか」「どんな業務で自分が活躍できるのか」「いつまでに何をすべきなのか」といった点を考えて、具体的なキャリアチェンジ計画を構築していくのがおすすめです。
スキルアップなどで評価を高める
SIerエンジニアからキャリアチェンジをする場合、スキルアップなどを通して客観的な評価を高めることもポイントです。実際にどんな仕事ができるのかを転職先・クライアントに伝えるには、保有しているスキルの言語化が必要です。まずはスキルの棚卸しを行い、足りない要素を補うために勉強して成長していくことが、結果的にスムーズなキャリアチェンジにつながるでしょう。
転職先や独立後の仕事に資格が役立つ場合、事前に取得しておくのもおすすめです。資格はわかりやすく自身の能力を伝える手段の1つであるため、この機会に興味のある資格をピックアップするのも良いでしょう。
「SIerエンジニアは技術力が低い」というイメージを払拭する
キャリアチェンジの際には、SIerエンジニアに対して「技術力が低い」という認識を持っている企業・クライアントがいることも把握しておきましょう。「同じ案件に深く関われないから専門スキルを身につけられない」「上流工程に携わった経験がない」などの理由から、SIerエンジニアとしての能力を低く見積もられるケースもあります。
そういったイメージを払拭するために、実績をまとめてポートフォリオにしたり、資格取得などを通して客観的に能力を証明する手段を増やしたりするのがおすすめです。
SIerエンジニアが面接でキャリアプランについて答えるコツ
SIerエンジニアがキャリアチェンジをする際には、面接に対する備えをしておくのも重要です。転職はもちろん、フリーランスとして案件・求人に応募するときにも、面接を受ける機会があります。マナーなどの基本的な部分はもちろん、SIerエンジニアとしての能力や自身の将来性を面接でアピールする準備をしておきましょう。
SIerエンジニアの面接では、今後のキャリアプランについて聞かれることもあります。回答内容が定まっていないと、採用担当者の心象が悪くなる可能性が懸念されます。そこで具体的なキャリアプランを構築し、スムーズに答えられるように備えておくことも大切です。
面接でキャリアプランについて説明するときには、「具体性」を盛り込むことがコツです。「〇〇になりたいと考えています」ではなく、「〇年後には〇〇になり、その後〇〇を経験して、〇〇歳には〇〇のポジションに就きたいと考えています」と、キャリアプラン全体の流れや目標達成までにかかる年数を具体的に構築すると良いでしょう。
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5.まとめ
SIerエンジニアのキャリアパスには、複数のパターンがあります。どのような将来を選ぶのかは自分自身で決めなければならないため、この機会にSIerエンジニアとして今後どのように働きたいのか考えてみてはいかがでしょうか。
SIerエンジニアは社内のキャリアパスだけでなく、転職や独立を考慮したキャリアチェンジも候補に挙がります。SIerエンジニア以外の仕事でキャリアを積みたい方や、フリーランスの働き方に興味がある方は、キャリアチェンジをする方向で将来を考えてみるのがおすすめです。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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