組込みエンジニアは、ソフトウェア・ハードウェアの両方を開発できる人材として活躍しています。特に昨今はIoTの普及によって、組込みエンジニアの需要はさらに高まっています。今後も組込みエンジニアは多くの現場で、活躍することが見込まれるでしょう。
組込みエンジニアとして、「リモートワークで働きたい」という声もあります。これから組込みエンジニアとしての働き方を考えるうえで、リモートワークができるかどうかは重要なポイントになるでしょう。
本記事では、組込みエンジニアがリモートワークで働けるのか、どのような案件・求人があるのか紹介します。リモートワークをする際の注意点も解説するので、これから働き方を変えることを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.組込みエンジニアとは?
組込みエンジニアとしての働き方を考える際には、まず「組込みエンジニアの基本」を再確認しておくのも重要です。以下では、組込みエンジニアの基本や現状について解説します。
家電や各種機器に組み込むシステムを開発するエンジニア職
組込みエンジニアとは、家電やさまざまな機器に組み込まれるシステムを開発するエンジニア職を指します。例えば、家電・車・工業用のロボットなどに組み込むシステムを設計・開発し、導入やその後の運用などを行います。組込みエンジニアの仕事は自動運転やAI家電など、特別な製品として流通しています。
組込みエンジニアは、ソフトウェアとハードウェアを取り扱うのが特徴です。そのため両方の知識・技術を身につけることが求められるでしょう。
既にエンジニアとして働いている方が、組込みエンジニアへの転職を考える際には、まずソフトウェアとハードウェアの勉強から始めるのがおすすめです。
IoTの一般化によって需要が高まっている
昨今はIoTが一般化し、多くの家庭や企業に導入されています。そのため各種製品の需要が高まり、同時に組込みエンジニアも必要とされるようになっているのです。組込みエンジニアが取り扱うシステムで制御されている機器は、一般的な製品だけでなく工場設備一式(プラント)なども含まれます。
組込みエンジニアが重宝される業界は今後も増える可能性があるため、将来性のある職業としても魅力です。
組込みエンジニアとシステムエンジニア(SE)の違い
組込みエンジニアはシステムエンジニア(SE)とは違い、組み込みのためのシステム開発に特化した職業です。各種機器の機能を制御するシステムを設計・開発することが、組込みエンジニアの役割となっています。
一方でシステムエンジニア(SE)は、開発プロジェクト全体に関わるエンジニア職です。専門分野だけを担うことはなく、現場全体を見て必要な業務を臨機応変に行う仕事です。
組込みエンジニアの年収はどれくらい?
厚生労働省が提供する「jobtag」の「システムエンジニア(組込み、IoT)」のページを参考にすると、年収は557.6万円となっています。
その他、ハローワーク求人統計データ(令和5年度)を参考にすると、月収は32.7万円です。国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によれば、正社員の平均給与は530万円となっています。そのため一般的な給与と比較すると、組込みエンジニアの年収は高い傾向にあるでしょう。
さらにフリーランスでの組込みエンジニアの年収を見てみましょう
ITフリーランス向け求人検索サイト「フリーランスボード」では月額平均単価が67.8万円です。年収に換算すると813万円です。正社員の組込みエンジニアと比較すると、フリーランスの組込みエンジニアの方が約1.5倍年収が高く、256万円も差が開いています。
高年収を獲得したい場合はフリーランスを検討することをおすすめします。
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2.組込みエンジニアはリモートワークで働ける?
組込みエンジニアは高い需要のあるエンジニア職ですが、リモートワークができるのかは気になるポイントです。以下では、組込みエンジニアがリモートワークで仕事ができるのか解説します。
組込みエンジニアはリモートワークでも仕事が可能
結論から言えば、組込みエンジニアもリモートワークで働くことは可能です。実際に組込みエンジニア向けの案件・求人には、「リモートワークOK」となっているものもあります。案件・求人をこまめにチェックして、リモートワーク可能な募集に絞り込むことで、条件にマッチした職場を見つけられる可能性があるでしょう。
現在組込みエンジニアとして働いている方も、リモートワークに興味があるのなら、この機会に案件・求人を探してみるのがおすすめです。
組込みエンジニアを雇用する企業・採用担当者からしても、リモートワークが可能だと、採用を検討できる人材が増えるメリットがあります。職場から遠い場所にいる人材も雇用できるため、積極的にリモートワークでの採用を進める企業が増えることにも期待されます。
フルリモートは難しい場合も
組込みエンジニアとして勤務する職場や業務内容によっては、フルリモートで働くのが難しいケースもあります。一部の業務をリモート化できても、業務の流れや企業の制度上、どうしても出社しなければならないパターンは考えられます。そのため一部のリモートワークでも問題ないのか、フルリモートの仕事だけを探すのか、事前に決めておくのがポイントです。
3.組込みエンジニアのリモートワーク案件・求人の事例
組込みエンジニア向けのリモートワーク案件・求人は、実際に多数検索でヒットします。例えばフリーランスエンジニアの案件・求人をまとめて探せる「フリーランスボード」で、「組込・制御エンジニア」の仕事からリモートのフリーワードで検索すると、以下の案件・求人が見つかります。
【C言語/車載開発】大手自動車メーカー向けのステアリング組込み開発/一部リモート出社 ■単価 70-100万円/月額
・客先要求およびシステム要求から、ソフトウェア要求分析を行い、ソフトウェア仕様の作成 ・ソフトウェア仕様にもとづき、ソフトウェアを開発/評価し、客先へソフトウェアを提供 ・量産に向けて、ソフトウェア品質活動を行い、信頼性の高い品質を確保
週1~2日リモートワークは調整可能です。
昨今、客先のソフトウェアに対する要求が高度化・複雑化・短納期化しており、 ソフトウェア開発に掛かる業務負荷はますます増大しています。 今回、この状況に対応するため、即戦力となる人員を募集します。
・C言語での開発経験 ・組み込みソフトウェア開発 ・車載向けソフトウェア設計の経験 ∟20代から30代であれば、キャッチアップ前提での応募も歓迎です。
一部リモート可 |
参考:フリーランスボード
C#/AIサービスの開発案件・求人 ■単価 70-90万円/月額
・画像認識モデルの作成 ・モデル推論の高速化 ・現場での画像データ収集 ・カメラ等の光学系の選定 ・PLC、その他選別機構と連携するための電気制御設計
フルリモート可
・C#もしくはC++を用いたプログラミング経験のある方:実務経験3年以上 ・製造業に関心のある方 ・ネイティブレベルの日本語コミュニケーションが可能な方
ディープラーニングを用いた外観検査機の設計開発を行っていただきます。 ・チームでの開発経験 ・Git でのバージョン管理のご経験 ・Microsoftの認定資格(もしくは取得への興味) ・以下のいずれかの興味 プロダクト開発の要件定義 電気制御設計、光学設計 画像処理ソフトウェアの開発
・言語:C#, Python ・ハードウェア: Jetson, AE2100等のlinux機、Windows ・機械学習フレームワーク:PyTorch, OpenVINO など
フルリモート |
参考:フリーランスボード
組込みエンジニアの求人・案件のなかから、リモートワークのものに絞り込んでも、多くの仕事が候補に挙がります。そのためリモートワークでの働き方を実現したいのなら、「フリーランスボード」などのサイトを活用して求人・案件をチェックしてみましょう。
4.組込みエンジニアの仕事内容について
組込みエンジニアとしてリモートワークで働くのなら、基本的な業務内容を確認しておくことも大切です。以下では、組込みエンジニアの主な仕事内容について解説します。
要件定義や改善案の提供
組込みエンジニアは、クライアントとのヒアリングによる要件定義を行うのが仕事の1つです。システムの性能や制約などを決めて、仕様書や設計書を作成します。ただクライアントの要望を聞き出すだけでなく、その条件に最適な改善案を提供するのも組込みエンジニアの役割です。
開発プロジェクトが始動してからだと、軌道修正が困難となる場合もあるため、要件定義の段階で考えられる改善案を複数提示することがポイントです。
ソフトウェアやハードウェアの設計
組込みエンジニアは要件定義後、ソフトウェアもしくはハードウェアの設計作業に入ります。ソフトウェアとハードウェアでは、まったく異なる業務内容が求められます。例えばソフトウェアの設計では、システムやアプリの設計に合わせて、アルゴリズムや制御システムなどの設計を実施します。
ハードウェアの場合には、設計に使用する部品・回路などを選び出したうえで、基板や回路図の設計を行います。その後、動作確認をしてシステムに問題がないことをチェックするのも仕事です。
開発業務とテスト
開発業務とはプログラミングなどが含まれ、実際にコードを書いてシステムを構築します。一般的に組込みエンジニアのプログラミングでは、C言語やアセンブリ言語、JavaやJavaScriptなどが用いられます。
また、業務のOSではWindowsやMacではなく、LinuxやITRONを使います。そのため特定のOSを扱う知識も、組込みエンジニアとして働く際には求められるでしょう、
運用・保守業務
システムの開発後にテストを繰り返し、期待通りの動きになった場合、実際にシステムの運用を開始します。運用後にもトラブルが発生しないように保守を行い、製品を正しく安全に使えるように支援します。
組込みエンジニアとして経験が浅い場合、テストや運用・保守業務から対応し、少しずつ他の業務に移っていくケースもあります。
組込みエンジニアの仕事はきつい?
組込みエンジニアの仕事は、「きつい」「やめとけ」と言われることもあります。実際に厳しい業務内容を任されるケースもあり、例えば製品の開発サイクルが短いため、1つのプロジェクトが終わっても息つく暇がないことも想定されます。
その他、高い技術力や忍耐力が求められる仕事なので、常に勉強と精神的な成長を志す必要もあります。そういった環境をプレッシャーに感じてしまうと、「仕事がきつい」と思うことがあるかもしれません。
一方で、多くのエンジニア職が「きつい」「やめとけ」といった評価を得ているのも事実です。しかし、その多くが一部のケースを鵜呑みにしていたり、繁忙期の状況だけにフォーカスしていたりします。そのため「組込みエンジニア=きつい・やめとけ」となるわけではなく、職場環境などに左右されることになると判断できます。
きつい職場に当たらないように、事前にしっかりと業界・企業分析を行い、転職活動で失敗しないように備えましょう。
5.組込みエンジニアとしてリモートワークで働くためのスキル
組込みエンジニアとしてリモートワークで働く際には、いくつかのスキルが必要とされます。以下では、リモートワークにおいて重要視される組込みエンジニアのスキルについて解説します。
プログラミングスキル
製品開発を行うプログラミングスキルは、組込みエンジニアにとっても必要不可欠なスキルです。特にリモートワークの場合、仕事中に気軽に誰かに質問することができないため、自分でコーディングを完了できるスキルは必須となるでしょう。
既にエンジニアとして働いている方も、リモートワークに向けて誰にも頼らず自分で解決できるスキルの習得とともに、プログラミングスキルの向上に励むのがおすすめです。
ソフトウェアとハードウェアに関する知識
先の解説通り、組込みエンジニアはソフトウェアとハードウェア両方の知識・技術が求められる職業です。一般的にエンジニアはソフトウェア開発を行う職業であるため、ハードウェアの仕事に慣れていない・経験したことがないという方もいます。そのためハードウェアの知識・技術を中心に、学習を進めると良いでしょう。
具体的にはCPUやメモリなどを制御するシステムの構築や、仕様書がなくても回路図面だけで仕様を確認できる分析能力が必要です。リモートワークで1人で仕事をすることになっても、ある程度自分で判断して動ける知識・技術を習得するのがポイントです。
電気工学など組込み業務に活かせるスキル
電気工学に関する知識などは、組込みエンジニアの業務に活かせるスキルです。電気・抵抗・電圧といった基本知識があれば、それだけでも回路図面を把握するうえで役に立つ可能性があります。大学や専門学校などで勉強した経験がある方は、リモートワーク環境への移行を機に、学び直してみるのもおすすめです。
電気工学にまったく触れたことがない方も、組込みエンジニアとして働いていくうえで必要な知識になり得るため、積極的に勉強を始めてみると良いでしょう。
コミュニケーションスキル
リモートワークによる労働環境でも、コミュニケーションスキルは欠かせません。むしろ同僚や上司と接触できる時間が限られるため、いかに短時間で必要な情報を伝え合えるかが重要視されます。
リモートワークでは直接的な会話によるコミュニケーションだけではなく、チャットツールやメールを使った文章でのコミュニケーションも取り入れられます。慣れないうちは知らず知らずのうちに失礼な言葉遣いになっていたり、意思疎通が正しくできなかったりするケースもあるでしょう。そのためリモートワーク環境に合わせて、コミュニケーションの取り方もアップデートしていく必要があります。
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6.組込みエンジニアがリモートワークで働く際の注意点
組込みエンジニアがリモートワークで働く場合、注意すべき点もいくつかあります。以下では、組込みエンジニアがリモートワークをする際の注意点について解説します。
自己管理を徹底する
リモートワークでは、自己管理を徹底的に行うのが大切です。ある程度自分の裁量で仕事ができてしまうことがあるため、夜遅くに働いて生活リズムが崩れてしまうケースも考えられます。生活リズムの乱れは体調不良などにつながり、最悪の場合には仕事ができなくなる可能性も懸念されます。
組込みエンジニアとしての信頼を損なうことにもなりかねないため、誰もみていないリモートワークの環境だからこそ、自己管理を徹底して行うように意識しましょう。
労働時間が長くならないように注意する
リモートワークにおける1日の労働時間が、曖昧なままになっている職場もあります。ついダラダラと仕事をしてしまい、結果的に1日8時間以上の労働が続いてしまうケースも考えられるでしょう。業務上問題がないとしても、長時間労働は少しずつ心身を疲弊させ、過労につながるリスクがあります。
リモートワークの際にはしっかりと労働時間を自分で決めて、無駄な時間を極力減らしていくのもポイントです。
働きやすい環境を構築する
リモートワークで働きやすい環境を構築しないと、作業効率が低下する可能性があります。例えば仕事をする場所とプライベートの空間が別れていないと、仕事に集中するのが難しくなることもあるでしょう。「仕事専用の部屋を用意する」「疲れにくいイスや机を使う」など、自宅の環境をリモートワークに合わせて変えていくのもおすすめです。
企業によっては、リモートワーク環境の整備に必要なコストを支援してくれるケースもあるため、事前に特別な制度がないか確認しておきましょう。
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7.まとめ
IoTが普及した現代において、組込みエンジニアの役割は重要なものとなっています。多くの職場で働く機会があり、需要は今後も高まると予想されるでしょう。そんな組込みエンジニアとして働いてる場合、リモートワークでの仕事に移ることも考えられます。自宅の方が仕事が進む方や、通勤に時間がかかることが悩みの方は、リモートワークの案件・求人に応募してみるのもおすすめです。
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本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。