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フリーランスと起業の違いとは?メリット・デメリットやポイントを徹底解説!

公開日:2024/12/08最終更新日:2024/12/08

自分に合った働き方を選ぶために情報収集をする際に、フリーランスとしての働き方や起業の違いが「よくわからない」という方もいるでしょう。個人事業主の中には、法人化して事業拡大を目指すケースもありますし、会社雇用からフリーランスに転身したいケースもあります。


そこで、フリーランスや起業を考えながらリスクやメリットを比較したいという方に、フリーランスと企業の違いやそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。


1.フリーランスと起業に違いはある?

フリーランスと起業は似ているようでまったく違う言葉です。以下に、それぞれの定義や特徴の違いを説明します。

フリーランスの定義・意味

フリーランスは、広義の意味として、特定の企業や行政の組織・団体に所属することなく、業務を請け負う事業者や働き方のことです。その人の職業柄を指すこともあれば、働き方を意味することもあるなど、日本では明確なフリーランスのイメージが固まっていません。そのため、『フリーランス白書2022』から厚生労働省が定める定義として、「独立形態でスキルを提供して対価を得る人」という定義がされています。


そして、フリーランス新法で2024年から登場した「特定受託事業者」は、フリーランスの狭義の意味として「従業員を持たずに事業を受託する人」を指します。これが広義の意味と狭義の意味の違いです。

フリーランスの働き方とは

フリーランスの自由な働き方は、大きく分類すると2つあります。まず、会社員が副業として働く場合です。もう1つが、フリーランスのみとして働く場合です。いずれも副業サイトや求人サイトなどで仕事を探します。例えば、クラウドワークスなどクラウドソーシングサイトやフリーランス専門の求人サイトです。このように仕事を探して報酬を得る個人は、フリーランスの定義の範囲に入ります。職業で多いのは、以下が代表的です。

  • フリーエンジニア

  • フリーアナウンサー

  • フリーWEBデザイナー

  • フリーコンサルタント

フリーランスと自営業者の違い

個人に対して「フリーランス」という呼称を使った場合は、会社から雇用されずに対等な立場で働く人のことを指します。そのため、「自営業」に言葉の意味は近いです。しかし、実際にフリーランスは「店舗を持たない働き方」を意味するため、店舗や事務所を持つ自営業者とフリーランスでは大きく異なります。職業を記入する際に、自営業者はフリーランスとは基本書きません。フリーランスに含まれる働き方であってもそこには明確な違いがあるのです。

起業の定義・意味

起業は、広義の意味で「事業を新しく立ち上げること」です。狭義の意味では、法人として会社を立ち上げ、事業をスタートアップすることです。フリーランスが働き方を指すのに対して、起業は組織的に目標を達成するためのプロセスの意味合いが強まります。したがって、フリーランスと起業では意味するものが若干異なるのです。

起業する人が「起業家」とは限らない

起業は、大手企業で使われる機会は少なく、ベンチャーや中小企業でよく聞かれる言葉です。そして、個人事業主は原則として「起業家」とは呼ばれません。あくまでも事業として新しいビジネスモデルを世の中に提示して、それが大衆の目に触れる事が前提となります。その点で、起業する人(=起業家)に個人事業主を含める場合とそうでない場合があることを押さえておく必要があるのです。

2.フリーランスと起業で仕事傾向の違いが出る

フリーランスと起業は異なる言葉の意味を指すため、仕事内容だけで区別することはできません。しかし、フリーランスと起業では仕事の傾向に特徴があります。これは状況によって起業したほうが仕事をしやすいケースと、フリーランスのほうが仕事しやすい場合とがあるためです。特に企業の場合、必要にかられて手続きなどをするため、何もしなくてもなれるフリーランスと仕事の傾向が変わります。

フリーランスの仕事

フリーランスがする仕事は、クリエイティブなものや個人・企業へのサービス事業が多いことが傾向としてあります。例えば、クリエイティブな仕事は、以下が挙げられます。

  • エンジニア

  • WEBデザイナー

  • イラストレーター

  • 声優

  • 作家

  • ライター

  • カメラマン

  • 士業(弁護士や司法書士)

  • ビジネスコンサルタント


業務効率化のために、報酬の低い単純作業を個人向けの仕事としてフリーランスに依頼するケースもあります。


上記のように、フリーランスが仕事をする際は、雇用関係を必要とせず、業務委託契約を結んで仕事のできる職種・仕事内容がほとんどです。ただし、フリーランスがする仕事には、普通の会社員や企業経営者がする内容と重なることもあるため、あくまでも傾向というだけで仕事内容それ自体にフリーランスとの区分があるわけではありません。

起業の仕事

起業の仕事は、業種によってその傾向が明確に示されています。日本政策金融公庫総合研究所が実施した「2023年度起業と起業意識に関する調査」では、まず起業の職種はサービス業が多く、「起業家21.1%、パートタイム起業家21.9%(「個人向けサービス業」)」です。次いで「情報通信業」です。「建設業」や「小売業」も起業で始めるものとしてはよくある業種となります。


ただし、業種はあくまでも企業が目標を達成するための職業分類に過ぎないため、具体的な業務は企業経営や営業・人事・会計管理、事務処理(開業手続き含む)、全体の運営が主となります。最近では、株式会社の代表が従業員を入れずに1人で行うケースも増えています。そのため、企業全体の業務を経営者だけで行うこともあるのです。ようするに、個人事業主のような会社設立の起業です。


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3.フリーランスと起業では収入に違いがある

フリーランスと起業経営者の収入には以下のような違いがあります。

フリーランスの収入

まずフリーランスの年間収入は、『フリーランス白書2023』から7割近くが600万円に満たないことが判明しています。その7割の中で約3割が200万~400万円、約2割が200万円未満です。つまり、全体の半数は400万円に達していません。これは日本の正社員の平均年収が450万円あることを考えれば、半数近くが平均年収に満たない収入となります。

もちろん、1000万円以上までの600万円以上、800万円以上でそれぞれ1割ずついます。フリーランスは年間の収入が高くなるほど、その割合も少なくなる傾向にあるのです。

起業した経営者の収入

「日本政策金融公庫」が実施した「2023年度新規開業実態調査」では2023年度月商報酬が100万円未満の方が42.7%、100万〜500万円未満の方が43.4%、500万〜1000万円未満の方が8.2%、1000万円以上の方が5.8%となっています。上記結果を見ると月商が高い層と低い層では明確に分かれていることがわかります。

4.同じ起業でも法人と個人事業主では異なる

起業という場合に、事業規模や目的によって法人と個人事業主があります。しかし、狭義の起業に個人事業主は含みません。この理由は法人と個人事業主には社会的な立場に違いがあるためです。

法人と個人事業主の違い

まず法人と個人事業主では、行政における仕組み上の定義が違います。法人は会社の設立手続きが必要となります。一方、個人事業主は株式会社のような法人会社は設立せず、開業届のみでの手続きを済ませることが可能です。


その際、手続きがなくても白色申告として確定申告をするだけで個人事業主と税務署からみなされます。ただし、その場合、青色申告はできません。したがって、税法上の控除が受けられなくても認められる個人事業主と、明確な設立手続きが必要となる法人との違いがあります。このあたりの仕組みの違いが、起業家と呼べるかどうかにも関わってくるのです。

5.フリーランスと個人事業主、法人の税制の違い

フリーランスと起業では、それぞれどの立場にあるかで税制がまったく異なります。例えば、副業などのフリーランスと比べて、個人事業主は税制での優遇が受けられます。


通常、会社員やフリーター、無職の人がフリーランスの仕事を受けた場合は、雑費所得での税制となるため、負担が増加します。しかし、会社設立の事業登記をしていると、かかった費用の一部を経費として除くことが可能です。そして、個人事業主よりも法人の方が税制優遇が高まります。


具体的には、「損金算入」という経営者の収入を経費扱いにできる方法です。損金にできる条件は決まっていますが、これができるのは「法人のみ」です。


また、インボイス制度の開始に伴って、フリーランスが負担する税が「適格請求書」で軽減税率を受けられます。ただし、インボイス制度は事業内容によっては税制が複雑でわかりにくいため、導入していないフリーランスにとっては負担分を理解しにくい面があります。導入が逆に負担となるケースや、導入していないと事業者から仕事を断られるといった違法な扱いを受けるケースも稀にあるため、導入検討の際は十分に注意が必要です。


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6.フリーランスと起業のメリット・デメリット

フリーランスと起業では、それぞれにメリット・デメリットがあります。そこで、フリーランスと企業に分けてそれぞれ解説します。

フリーランスのメリット

フリーランスとして働くメリットは、会社に縛られることなく自由に働けることです。仕事の量や収入、仕事相手の選定まで、自分で決めることができます。そのため、上からの指揮管理がなく、上司や経営者の下で残業や業務押し付けなどの強制がありません。


特に会社員やアルバイトで働きながら副業でフリーランスをする場合は、仕事量を抑えることで兼業を可能にします。労働時間や仕事日を決められることもないため、休みの日を自由に決めて、仕事をしたいときだけ働くことができます。

フリーランスのデメリット

フリーランスの立場で働くデメリットは、安定した収入が得られにくいことです。正社員で働く人や年俸収入のあるスポーツ選手に比べて、基本の年収が決まっておらず、獲得した仕事や委託契約金に左右されます。そのため、高報酬の仕事を獲得した分だけ収入を伸ばせる反面、サボって能率を下げたり、仕事しない期間が長くなったりすれば、仕事が減り収入も減額します。


また、フリーランスは指揮管理下で働かないため、健康管理や業務上の責任を負う形です。働き過ぎることで起きる過労への健康配慮や仕事量の配分、スケジュール調整などを個人でする必要があります。


それから、フリーランスは基本的に自宅を拠点に仕事をします。店舗や事務所を持つ自営業のフリーランスでも、自宅を仕事場にすることは珍しくありません。その働き方のため、休みを取る機会をうまく作れず、私生活との区切りをつけにくいことがデメリットです。ちなみに、公的保険制度に関しても、費用負担で会社と半々の支払いがなくなり、自己負担が100%となります。

起業のメリット

起業するメリットは、雇用される立場ではできなかった事業や働き方ができることです。その際に、報酬に関しても経営者として受け取ることができます。例えば、会社から独立して起業する場合や、新たに事業を立ち上げて革新的なサービス・モノを売る場合です。


企業に勤めているときは収益の多くが会社に吸収・分配されます。そのため、自分に入る報酬は固定給で決まった年収の範囲を大きく出ず、成果報酬型の企業であってもボーナス還元は起業家に比べて微々たるものです。しかし、起業すれば中抜きのない純粋な収益を手元で管理・収入化することができます。


また、業務に制約のあった雇用時よりも広く自分の営業手腕だけで顧客を獲得して事業を広げられます。しかも、雇用企業の経営方針とは関係なく、独自の采配です。さらに、成功する一部の起業家では、商標権や企業の資産などさまざまな権利を取得して市場で販売・提供できるのです。


会社規定のルールによくある年齢や労働時間に関係なく高い収入を得られる働き方がしやすくなります。税制の優遇も受けられるため、負担の軽減も可能です。

起業のデメリット

起業するデメリットは、雇用のときよりも収入が不安定化することです。実際、2020年代に発生したコロナ禍では、起業した直後に事業の失敗に追い込まれた人もいます。特に飲食店経営者は客足が減り、大きく減収するなどしたのです。社会状況や評判などに左右される飲食・サービス業は特に不安定になりやすいです。


2つ目のデメリットは、会社で雇用されて働くなどのダブルワークができなくなることです。個人事業主は雇用されたまま働くことはできますが、会社設立の起業家となった場合は、企業利益の相反の観点から雇用は拒否されます。外部顧問や経営者同士の提携などに限られるでしょう。


3つ目のデメリットは、企業に所属していた優秀な営業や人事の人材が新しい会社にはおらず、自力で行う必要があることです。例えば、営業活動や採用活動をして、コネクション作りも1から行います。もちろん、会社員時代のコネクションを引き継ぐことはもちろんできます。しかし、新たに組織を構築するのもまた、起業した人が抱える課題です。


そして、会社の信頼の証であるブランドの価値認知も広告や事業宣伝によって少しずつ固めていくことが求められます。このように、起業した際に経営者の多忙さもデメリットです。

7.フリーランスや起業で迷ったときのポイント

フリーランスになる場合や起業を目指す場合に押さえておきたいポイントやおすすめなケースを解説します。

迷ったときのポイント

フリーランスは、会社設立による起業ほど手間がかからずに気軽に始められます。しかし、フリーランスには雇用で守られないデメリットがあります。社員やアルバイトの立場ではない場所で働くべきかよく考えて始める必要があります。例えば、兼業の場合は労働時間が合算されるため、働き方が複雑になり、健康管理も難しくなります。企業によってはそれを嫌って兼業や副業を禁止しているケースもあるのです。


また、起業の場合は会社員を辞めて、新たに会社を設立することもあるため、雇用で守られている場所を離れて、すべて自己責任で働くことが求められます。達成感やモチベーション、大きな収入を得るチャンスとしてメリットがある反面、負担の増加や不安定さのデメリットを天秤にかけて、最後は自分の判断で決める必要があります。ただし、事業計画やキャリアの見通しが不透明な状態で起業するのはおすすめしません。

フリーランスがおすすめなケース

会社員やアルバイトでは、勤務日やシフトに左右されます。そこで、労働時間や日数に縛られずに働きたいケースでは、「フリーランス」がおすすめです。フリーランスは仕事の裁量判断も自分で行えるため、仕事量も調整しやすく、働く日を自由に決められます。


おすすめな人は、副業で収入を増やしたい人、専業主婦で働ける時間が極端に限られている人、会社に縛られずに自由に働きたい人などです。税金や経費を除けば全額を収入にできます。近年は、マネジメント会社や事務所に報酬の多くを取られていた俳優・女優や声優の個人が、フリーランスに転じるケースも出ています。

起業がおすすめなケース

明確なブランドを打ち立てて広く世に宣伝が必要なケースや、アイデア1つで社会を大きく変えたいケースでは「起業」がおすすめです。個人で新たなアイデアを形にするために多くの資金や人材が必要となることも珍しくありません。


個人では難しいことも起業して組織で運用を行えば、できることも大きく増えますし、その発信点が自社だということを広く世に訴えることができます。法人として資産や人材を活用した事業をするときにも起業が有効です。


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8.まとめ

今回は、フリーランスと起業の違いについて、それぞれの定義の違いやメリット・デメリット、抑えるべきポイントなどを取り上げました。フリーランスには、働き方の自由さが魅力です。会社員の副業や収入の目減りを防ぐ「報酬全取り」を目的にフリーランス化して働き始める方もいます。


一方で、起業は新しい事業を始めるための手段として会社の設立や開業をすることを目的とします。それぞれにメリット・デメリットがあり、メリットが上回るようなら雇用から転身するのがおすすめです。


以上を踏まえて、フリーランスと起業の違いを押さえて、今後のキャリアプランを立てましょう。

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