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フリーランスの帳簿の付け方【初心者向け】複式簿記、帳簿管理など基礎知識をわかりやすく解説

公開日:2024/12/14最終更新日:2024/12/15

フリーランスが確定申告を行う際には申告方法に関わらず帳簿を作成し、保存することが義務付けられています。しかし主要簿や補助簿など帳簿にはさまざまな種類があるため、どの帳簿を作成すれば良いのか迷う方もいらっしゃることでしょう。


そこで本記事では会計帳簿の種類について詳しく説明するとともに、帳簿作成の手順や単式簿記と複式簿記の違いについても分かりやすく解説します。


目次

1.帳簿とは

帳簿とは、事業に関する取引や資金の流れを記録するための書類や台帳のことを指します。フリーランスが確定申告を行う際には事業の資産状況を正確に把握するため、必ず作成が必要です。


帳簿の作成は青色申告でも白色申告でも必須ですが、申告の形式によって記帳方法が異なります。青色申告では「複式簿記」が求められ、白色申告では「単式簿記」が適用されます。


なお帳簿そのものは確定申告時に税務署へ提出する必要はありませんが、提出義務がないからといって作成を省略することはできません。帳簿の作成と一定期間の保管は法律で義務付けられています。


帳簿には取引の内容・日時・取引先情報・勘定科目などを正確に記載します。これらの記録を集約して作成するのが「決算書」です。帳簿を作成する際は記載漏れや仕訳の誤りに注意し、年度ごとに項目や記録方法が統一されるよう心掛けましょう。

基本用語の解説

  • 帳簿:事業で発生した取引や資金の流れを記録するための書類や台帳

  • 簿記:日々の取引を帳簿に記録し、最終的に決算書を作成する一連の作業

  • 記帳:取引内容を帳簿に記録すること

  • 仕訳:複式簿記で、取引内容を勘定科目ごとに分類すること

2.フリーランスに帳簿作成は必須なのか?

帳簿とは、事業における取引の詳細や日々の資金の動きを記録するものです。取引の金額だけでなく、取引先や実施された日付なども一緒に記載します。フリーランスとして活動する場合には毎年確定申告を行う義務があり、その際には帳簿の作成が欠かせません。


さらに帳簿は収支の管理にも役立つため、日常的に記録をつける習慣を持つことが大切です。正確なお金の管理は、フリーランスとして安定して活動を続けるために必要不可欠です。

フリーランスを含むすべての事業者に求められる記帳義務

前述の通りフリーランスは必ず確定申告を行う義務があり、帳簿の記録はフリーランスを含むすべての個人事業主にとって必須の作業です。


確定申告とは1年間の収入と納税額を計算し、それを税務署に申告する手続きのことです。これは基本的にフリーランスが行うものであり、会社員は通常会社が年末調整を行ってくれるため確定申告をする必要はありません。


帳簿付けは、確定申告書を作成するために必要不可欠です。毎月の収支を帳簿に記録しておくことで、正確な所得金額や納税額を計算することができます。


さらに作成した帳簿は保存義務があり、保存期間も決まっています。確定申告書の提出期限の翌日から5~7年間は帳簿を保管する必要があるため、その点についても留意することが重要です。

3.帳簿の種類

帳簿には「主要簿」と「補助簿」の2種類があります。今回は、これらの2つの帳簿について詳しく見ていきましょう。

主要簿

帳簿の中でも主要簿にはいくつかの種類があり、その代表的なものが「仕訳帳」と「総勘定元帳」です。これらについて詳しく見ていきましょう。

仕訳帳

仕訳帳は、日々の取引内容を「仕訳」と呼ばれる形式で記録する帳簿です。仕訳を記入する際は、「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」に勘定科目と金額をそれぞれ記載します。ここで使われる「借方」や「貸方」という言葉は単に勘定の左側と右側を示すためのもので、貸し借りの意味とは異なることを理解しておきましょう。


なお仕訳帳に記載すべき仕訳の内容は、申告方法によって異なる場合があります。

総勘定元帳

総勘定元帳は、事業に関連するすべての取引内容を記録した帳簿です。勘定科目ごとに取引が整理されているため、特定の勘定科目に関する金額を確認する際に役立ちます。

補助簿

補助簿は主要簿に比べて種類が豊富です。ここでは、代表的な5種類の補助簿をご紹介します。

  • 現金出納帳

  • 預金出納帳

  • 仕入帳・売上帳

  • 売掛金元帳

  • 受取手形・支払手形記入帳

これらについて、詳しく説明していきます。

現金出納帳

現金出納帳は、現金の増減を伴う取引を記録するための帳簿です。以下のような取引が発生した場合は、現金出納帳に記載します。

  • 現金で備品を購入した

  • 現金を銀行口座に預け入れた

  • 商品代金を現金で受け取った

現金を使う取引が増えると、それに伴って記録内容も増えていきます。現金の流れが一目で分かるため、資金管理や計画を立てる際に非常に有用です。

預金出納帳

預金出納帳は、銀行口座での預金の増減を記録する帳簿です。以下のような取引が発生した場合に記入します。

  • クレジットカードの支払いが銀行口座から引き落とされた

  • 報酬が銀行口座に振り込まれた

  • 銀行口座から現金を引き出した

銀行口座の金額の増減が頻繁になると、その分記録すべき内容も増えます。複数の口座を持っている場合は、帳簿と口座残高が一致するように管理することが重要です。

仕入帳・売上帳

仕入帳は、商品を仕入れたり返品したりした際に記録する帳簿です。商品を仕入れない限り、この帳簿に記載する必要はありません。一方売上帳は、報酬が発生したときに記録する帳簿です。報酬が発生するたびに記入するため、売上がある限り継続的に記帳が求められます。


売上を計上するタイミング(売上計上基準)にはいくつかの方法があります。以下が代表的な例です。

  • 発送基準:クライアントに成果物を納品した日を売上計上日とする

  • 引渡基準:成果物がクライアントに届いた段階で売上として計上

  • 検収基準:クライアントが成果物を確認した時点で売上計上

どの基準を採用するかは、業務の内容によって異なります。

売掛金元帳

売掛金元帳とは、取引先ごとの売掛金に関する取引を記録する帳簿です。また、得意先元帳とも呼ばれることがあります。主に報酬(売掛金)が発生したり、売掛金が支払われた時に記入します。

受取手形/支払手形記入帳

受取手形/支払手形記入帳とは受取手形や支払手形に関する取引があった時に、記帳する帳簿です。手形でやり取りする機会は少ないものの、手形で報酬の振り込みや費用の支払いをする際に必要な補助簿です。

4.帳簿の作成方法は2種類ある

帳簿の記帳方法には、単式簿記と複式簿記の2種類があります。

単式簿記

単式簿記は、1つの取引に対して1つの記録を行う簿記方法です。一般的な家計簿と同様に、「どれだけのお金を使ったか・支払ったか」というお金の流れを中心に記録を行う方法です。


単式簿記の特徴は記帳が簡単なことであり、収入と支出がいつ発生したのか残高がどれくらいかという情報のみが把握できる点です。また単式簿記を使用する場合、「青色申告特別控除」において最大10万円までの控除額しか適用されず65万円までの控除を受けることはできません。

複式簿記

複式簿記は取引をその原因と結果の両面から記録する方法で、記録は「仕訳」と呼ばれます。この方法では、勘定科目を使って資産の増加や負債の減少を「借方」に、資産の減少や負債の増加を「貸方」に記録します。


例えば8万円のノートパソコンを販売し、その代金を現金で受け取った場合の仕訳は次のようになります。

借方

現金

80,000円

貸方

売上

80,000円

摘要:

ノートパソコン

複式簿記は記帳が複雑であるため、簿記の知識が必要です。また、仕訳で使用する勘定科目についての理解も求められます。

5.青色申告と白色申告で異なる帳簿管理・作成の方法

青色申告と白色申告とでは帳簿管理・作成の方法が異なりますのでこの章で解説します。

作成すべき書類の違い

白色申告では以前は帳簿付けが義務ではありませんでしたが、2014年の法改正により「収支内訳書」の提出が義務化されました。この収支内訳書は1年間の収入・経費の内訳・減価償却の計算などを記載し、所得を計算するための書類です。白色申告では、複式簿記ではなく簡易簿記による記帳が認められています。


青色申告(10万円控除)では、白色申告と同様に単式簿記で記帳を行います。必要な帳簿は、「現金出納帳」「売掛帳」「買掛帳」「経費帳」「固定資産台帳」などの補助簿です。


一方青色申告の55万円控除・65万円控除を受けるためには、補助簿に加えて「仕訳帳」や「総勘定元帳」といった主要簿が必要になります。さらに、帳簿付けは複式簿記で行わなければなりません。

保存期間の違い

帳簿書類は作成するだけでなく、一定期間の保存が義務付けられています。保存期間は、その事業年度の確定申告書提出期限日の翌日から7年間です。


保存する帳簿には総勘定元帳・仕訳帳・現金出納帳・売上帳などが含まれます。また取引に関する書類も一緒に保存する必要があります。これには棚卸表・貸借対照表・損益計算書・契約書・領収書などが含まれます。


保存義務に違反した場合罰則はありませんが、税務署から申告内容について問い合わせがあった際には必要な資料が保存されていなければ申告の正当性を証明できなくなります。


申告内容に修正が必要な場合は未納の税金を納付するだけでなく、罰金的な性格を持つ追加税金も支払わなければならないことがあります。

青色申告の場合

保存が必要なものと保存期間は以下の通りです。

帳簿

仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など

7年

書類

決算関係書類(損益計算書、貸借対照表、棚卸表など)

7年

現金預金取引等関係書類

(領収書、小切手控、預金通帳、借用証など)

7年※前々年分の所得が300万円以下の場合は5年

その他の書類

取引に関して作成または受領した請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など

5年


白色申告の場合

保存が必要なものとその保存期間は以下の通りです。

帳簿

収入金額や必要経費を記載した法定帳簿

7年

業務に関連して作成した任意帳簿(上記以外の帳簿)

5年

書類

決算に関して作成した棚卸表やその他関連書類

5年

業務に関連して作成または受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類

5年


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6.Excelで複式簿記に対応した仕訳帳を作る方法

簿記の仕組みをよく理解しており、Excelに熟練している方であれば電子申告に必要なファイルを作成することも可能です。ただしそれほどの作業までは必要ない場合でも、青色申告に必須となる「仕訳帳」をExcelで作成できると非常に便利です。ここでは、Excelで仕訳帳を作成する際のポイントをいくつか紹介します。

仕訳帳はシンプルな設計を心掛ける

仕訳帳には日付・勘定科目・金額・取引先の4つの項目を必ず記載します。さらに、勘定科目の下に補助科目を設定することも可能です。もし事業所得が複数ある場合はA事業売上高、B事業売上高のように勘定科目で分けて記録するとよりわかりやすくなります。


簿記では、仕訳帳に記載したデータを基に総勘定元帳や試算表を作成します。必要な項目はしっかりとカバーしつつExcelシートではセルの統合を避け、あまり複雑な構造にならないようにすると編集や管理がスムーズになります。

可能な限り単一仕訳を意識する

複式簿記には複合仕訳という借方・貸方の両方に複数の項目を記入する仕訳方法があります。もちろんExcelで作成可能ですがその後の集計作業を考慮すると、初めて仕訳帳を作成する場合は単一仕訳を使用することをおすすめします。

<単一仕訳>

日付

借方

貸方

取引先・摘要

2/20

消耗品費 11,000

事業主借 11,000

□□商店 文房具


<複合仕訳>

日付

借方

貸方

取引先・摘要

2/20

消耗品費 10,000

仮払消費税 1,000

事業主借 11,000

□□商店 文房具

まずは所得税の確定申告に役立てる

課税事業者は消費税の申告において「非課税」「8%」「10%」「インボイスあり」「インボイスなし(経過措置適用)」など、さまざまな区別を行う必要があります。


しかし、最初に取り組むべきは所得税の確定申告のための仕訳帳作成です。慣れてきた段階で消費税の処理機能を追加するほうが効率的でしょう。したがって、消費税については税込経理方式を選んだ方が良いかもしれません。

Excelの便利機能を活用する

Excelでは「条件付き書式」などの機能を活用することで、必要項目が未記入の場合に色をつけて警告を表示するなど工夫ができます。Excelの機能を活かして勘定科目の選択を簡単にしたり・日付を自動で入力したり・取引先を別のシートで管理しコードで呼び出すなど、さまざまな便利な工夫が可能です。


仕訳帳を作成した後は、そのデータを基に総勘定元帳や売掛帳などを作成すると効率的です。さらにマクロ機能を活用したり、ピボットテーブルを使って集計作業を簡素化したりすることもできます。


Excelに不慣れな方は勘定科目ごとにフィルター機能を使って月ごとの総勘定元帳を作成し、それを12ヶ月分まとめて管理する方法も良いでしょう。

7.フリーランスが手書きで帳簿をつける方法

手書きで帳簿を記入する場合でも、基本的な流れはExcelで仕訳帳を作成するのと同じです。自分でノートに罫線を引いて仕訳帳を作成しても、市販の「仕訳帳」を購入して使うこともできます。手書きで仕訳帳を作成する際のポイントをご紹介します。

帳簿全体の構造をまず整理する

手書きで複式簿記の仕訳帳を作成するだけでは、青色申告に必要な要件を満たすとは言えません。そのため少なくとも総勘定元帳を作成することが求められます。


毎日の仕訳帳作成に加え、必ず総勘定元帳への転記も行わなければなりません。会計帳簿は構造的に整理されており手書きで帳簿を始める際には、必要な帳簿をきちんと確認し準備することが大切です。


青色申告における基本的な帳簿は、「仕訳帳」「総勘定元帳」「試算表」の3つの組み合わせです。売上や仕入が掛取引で多い場合には、補助簿として売掛帳や買掛帳を作成すると管理がしやすくなります。さらに、固定資産を持っている場合には、固定資産台帳を作成する必要があります。


これらの帳簿を準備し、青色申告に必要な手続きが進められます。

仕訳帳から補助簿や総勘定元帳への転記作業を行う

必要な帳簿を整えた後は、日々の取引を仕訳帳に記入し、その後総勘定元帳に転記します。通常決算仕訳を除いては取引内容を仕訳帳に記入し、それを総勘定元帳または補助簿を経由して総勘定元帳に転記する流れになります。


総勘定元帳はすべての取引を勘定科目ごとに整理した帳簿で、各勘定科目について取引の日付・相手先の勘定科目・取引金額などを記録します。


ここでは詳細には説明しませんが仕訳帳から総勘定元帳への転記作業や、総勘定元帳の残高計算は慣れるまで大変に感じるかもしれません。しかしExcelで帳簿を作成するのとは異なり、手作業で転記を行うことで簿記の基本的なスキルが確実に身につきます。


会計ソフトを使うようになると「記帳」が「入力」に変わり転記作業は自動化されますが、手書きで帳簿を作成した経験は簿記の理解を深める貴重な機会となると考えられます。

8.帳簿管理を効率化するためのポイント

フリーランスにとって不可欠な帳簿ですが確定申告の時期に慌てて作成することがないよう、日頃から帳簿をしっかりとつけておくことが重要です。


このセクションでは、帳簿をより効率的に作成するためのポイントを紹介します。

プライベート用と事業用の口座を分ける

口座の入出金を効率的に把握するためには、プライベート用と事業用の口座を分けることが重要です。口座を分けた後は、事業用口座でプライベートの支出を行わないように注意しましょう。そうすることで管理が煩雑にならず、よりスムーズに運営できます。

パソコンを使った帳簿管理を導入する

スマートフォンアプリの進化は会計ソフト業界にも影響を与えており、現在ではスマートフォンで入力できるソフトも登場しています。ただし作業の効率化を重視するなら、パソコンで入力する方が効果的です。


レシートや領収書の電子保存にはスマートフォンで写真を撮る方が便利な場合もあります。そのため電子化にはスマートフォンを使い、入力にはパソコンを活用するなど使い分けをすることでさらに効率的に作業を進めることができます。

各種ソフトの自動化機能を活用する

さまざまな会計ソフトが登場したことで、フリーランスでも帳簿を簡単かつ効率的に管理できるようになりました。これらの会計ソフトには作業をさらに効率化する自動化機能が備わっているため、ぜひ活用しましょう。


金融機関の口座やクレジットカードと連携させることで明細が自動で取り込まれ、帳簿の仕分け作業を大幅に省力化することができます。

領収書やレシートを整理して保管する

帳簿付けをスムーズに進めるためには、事業で使用した領収書やレシートをきちんと整理して保管することが大切です。保管場所を決めさらに月ごとに分けて収納できるポケットファイルなどを活用すると、とても便利です。


また撮影したレシートは確定申告にも使用できるため、電子化しておくことで管理の効率がさらに向上します。

こまめに帳簿を記録する

確定申告の前に一度にまとめて作業する方法もありますが、1年分となると負担が大きくなります。そのため、できるだけこまめに帳簿をつけることをおすすめします。


取引のたびに入力するのは逆に手間がかかるため、月に1回など自分に合った頻度で入力する方が効率的です。曜日や日を決めてルーティン化すれば、自然と習慣として定着します。


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9.確定申告時に提出するのは帳簿ではない

これまで会計帳簿について主に説明してきましたが、実際に確定申告で提出するのは会計帳簿そのものではありません。


確定申告で提出するのは、会計帳簿を基に転記や集計を行って算出した結果を反映した損益計算書や貸借対照表といった決算書・収支内訳書・確定申告書類です。

決算書を提出する必要性

確定申告で提出する決算書には、決まった書式があります。

  • 白色申告: 収支内訳書

  • 青色申告(単式簿記): 青色申告決算書(損益計算書)

  • 青色申告(複式簿記): 青色申告決算書(貸借対照表および損益計算書)

白色申告の場合は収支内訳書は一般用・農業所得用などに分かれており、各書式には売上高や経費など各会計帳簿からの最終的な数字を記入します。


青色申告では青色申告決算書が一般用・農業所得用などに分かれており、それぞれの帳簿から損益計算書や貸借対照表に転記します。そのため総勘定元帳で月ごとの集計が正しく行われている必要があり、先に会計帳簿を仕上げておく必要があります。


単式簿記の場合には貸借対照表の提出は求められていません。

確定申告書の提出義務

確定申告で提出する申告書は、所得税の確定申告書です。記入方法の詳細についてはここでは触れませんが、必要な添付書類がある場合は添付書類台紙を活用すると便利です。


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10.フリーランスが帳簿をつけていない場合のリスクと対策

会計帳簿の作成は白色申告・青色申告に関わらず、事業者の義務です。所得税の確定申告は申告納税制度に基づいており自分で所得を計算し、税額を確定させなければなりません。


そのため会計帳簿がなければ正確な税額を算出できず、確定申告が行えなくなります。確定申告ができない場合、所得税が未払いのままとなってしまいます。

帳簿を作成していない際の解決方法

取引を始めたばかりのフリーランスが確定申告の時期になり帳簿を作成していなかったことに気づいた場合、まずは税務署に相談することをおすすめします。もし確定申告の期限までまだ数日ある場合には、その期間内に帳簿を作成することが可能かもしれません。


その他の状況として、以下のようなケースが考えられます。

帳簿を作成していたが期限を過ぎて提出した場合

青色申告特別控除(65万円または55万円)が受けられない。

提出時期によっては無申告加算税や延滞税が課される。

概算で確定申告書を提出し、後から修正申告を行う場合

売上や必要経費の概算がわかっているが帳簿がない場合、まず確定申告と納税を行いその後帳簿を作成してから差額について修正申告を行います。過少申告の場合は修正申告を、過大申告の場合は更正請求を行います。

延滞税がかかる可能性もあります。


なお帳簿に不正があった場合、重加算税などの重い罰則が課せられることがありますので帳簿は正確に記帳するよう心がけましょう。

記帳義務の適正化についての説明

税務調査で「売上に関する帳簿を見せてください」と言われた場合、その対応によって加算税の額が異なります。


以下の例で、対応に応じた加算税の増加を確認できます。本来確定申告は期限内に行い、申告金額が不足している場合には修正申告でその差額分の税金を納付します。この場合過少申告加算税として、差額に対して10%または15%の加算税が課されます。


そして「売上の帳簿を見せて下さい」と言われたときの対応による加算税は以下の通りです。

対応

加算税

帳簿を提示しなかった

過少申告加算税等の割合を10%加重

帳簿を提示したが、本来の金額の1/2未満だった

過少申告加算税等の割合を10%加重

帳簿を提示したが、本来の金額の2/3未満だった

過少申告加算税等の割合を5%加重

万が一申告期限を過ぎて帳簿が作成されていないことに気づいた場合は、税理士などの専門家に相談することが重要です。また延滞税などのペナルティが課される可能性はありますが、期限後申告を行うことで申告を完了する方法もあります。


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11.まとめ

本記事では、個人事業主が確定申告に必要な帳簿の作成方法や保存方法について解説しました。特に青色申告の特典を最大限活用するためには適切な会計処理を行い、必要な資料を整理・保存して、正確な申告と納税を行うことが重要です。


さらに正確に作成された会計帳簿は確定申告だけでなく、経営判断を下す際にも有益な情報源となります。会計ソフトの導入や専門家のサポートを活用するなど自分に合った方法を取り入れながら、日常的に適切な会計処理を実践しましょう。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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