ビジネスが多様化し、リーズナブルな商品やサービスが増えている今、企業にとってマーケターの存在は欠かせません。マーケターは現代において注目度の高い職業の仕事の1つで、今後も需要は増大するとも見込まれています。
マーケターとは商品やサービスが売れる流れを作る役割を担っています。企業が商品やサービスを売るにはただ販売するだけでなく、どのようにすれば消費者の心を掴み、購入してもらえるのか考えなければなりません。マーケターの施策によって商品やサービスの魅力が多くの人により伝わることで売上を高められます。
また、マーケターといってもさまざまな種類があります。特に、近年はWebやSNSの普及により、マーケターの仕事も細分化しています。
本記事ではマーケターの概要を押さえた上で、マーケターについて仕事内容、向いている人の特徴、年収、将来性などを解説します。
目次
閉じる
1.マーケターとは?
マーケターとは簡単にいうと、企業などでマーケティング活動を行っている人のことです。マーケターは市場や消費者の反応などを分析し、見込み顧客の獲得や消費者の購買意欲を高める役割などを担っています。ちなみに、マーケターの英語表記はmarketerです。
マーケターにはさまざまな種類があり、WebサイトやSNSを主な領域とするWebマーケター、企業の依頼により市場調査を行うマーケティングリサーチャーなどいくつかの種類があります。
マーケターとマーケッターの違い
マーケターとマーケッターは同様の意味があります。また、呼び名としてどちらか一方が正しいというわけではないようです。
とはいっても、マーケターが一般的な呼び方ではあります。採用面接や採用時の応募書類などではマーケターと表現しておくと間違いありません。
マーケターとして働く有名人
国内における有名マーケターとしてまず思い浮かぶのは、森岡毅さんです。森岡さんはテレビにもよく出演されており、USJをマーケティングの力でV字回復させた話はよく知られています。
また、和佐高志さんもマーケターとして高く評価されています。和佐さんは日本コカ・コーラ株式会社で最高マーケティング責任者を務めています。お茶の「綾鷹」をリブランディングし、ヒットさせた功績があります。
2.マーケターの仕事内容
マーケターの仕事は幅広く、さまざまな業務に従事することが求められます。
マーケターの主な仕事内容として以下の5つが挙げられます。
アクセス解析・データ分析
広告運用
SEO対策
SNS運用
メルマガ設計
それぞれ確認していきましょう。
アクセス解析・データ分析
マーケターはWebサイトやブログなどのアクセス解析を実施し、アクセス状況を分析して課題を把握し、改善や最適化を行います。
さらに、マーケターはアクセス解析で収集したデータを分析する役割も担っています。データをもとにユーザーの行動、興味・関心を把握して、来訪者数やコンバージョン率のアップをねらいます。
なお、アクセス解析やデータ分析はツールを活用して行う企業が近年においてはほとんどです。企業によって扱うツールは異なりますので、ITやPC操作に苦手意識が薄い人は仕事に馴染みやすいでしょう。
広告運用
リスティング広告とディスプレイ広告は広告運用の中でも需要が高いといわれています。以下の表にリスティング広告とディスプレイ広告の特徴を簡単にまとめました。
リスティング広告 | ユーザーが検索したキーワードに関連する検索結果が表示される広告 |
---|---|
ディスプレイ広告 | Webサイト、アプリに表示されるバナー広告 |
Web系の業務に従事するマーケターにはリスティング広告やディスプレイ広告のコンバージョン率をアップさせることが求められます。どのような広告がクリックされるのか分析し、ユーザーがクリックしたくなる広告を検討し、アイデアを出します。
SEO対策
SEO(Search Engine Optimization)とはWebサイトの検索一覧における上位表示を目指す対策のことです。
SEO対策の方法は日々変化していますが、近年においてはユーザーにとって有益なコンテンツ、質の高いコンテンツであることが最も重視されています。
競合サイトやユーザーが検索するワードを分析し、Webサイトが上位に表示されるよう施策を行います。
また、企業によっては、コンテンツの企画と作成、被リンク獲得、ライターのマネジメントなどもマーケターの役割になります。
SNS運用
マーケターが従事するSNS運用には企業の商品やサービスをPRし、その魅力を多くの人に伝え、売上を伸ばす目的があります。
現在、多くの企業がSNSを運用して自社のサービスや商品をPRしています。SNSのコメント機能やDMの活用によって消費者とコミュニケーションを取れたり、自社のブランディングを強化したりできます。
また、X(旧:Twitter)の投稿がバズれば、想像以上に多くの人に自社の商品やサービスを知ってもらえます。
マーケターは投稿の企画・作成、投稿内容の分析、レポート作成などを主に担います。
メルマガ設計
企業が消費者に情報を発信する方法の1つにメルマガ(メールマガジン)があります。メルマガを配信することでタイムリーな情報を消費者に届けられるだけでなく、お得情報やクーポンなども送付できます。
ただし、企業はメルマガを消費者や顧客にただ単に配信すればよいというわけではありません。消費者にとって魅力がないメルマガであれば読んでもらえないでしょう。
マーケターはメルマガの受け取り手に読んでもらえるようなテーマや企画を立案したり、コンテンツを作成したりします。また、配信時間や配信頻度の調整、配信先のリスト管理なども行います。
メルマガの作成ではSEOを考慮することも求められるため、SEOに関する知識も必須です。
3.マーケターになる方法
マーケターという職業は知っていても、どのようにすればマーケターになれるのかよく分からないという人は多いのではないでしょうか。
マーケターになる方法として、以下の3つが挙げられます。
企業のマーケティング部門に所属する
資格を取得する
独学する
それぞれ確認していきましょう。
企業のマーケティング部門に所属する
企業のマーケティング部門に所属したり、マーケター職として入社したりするのが一般的です。Webマーケテイング系の企業、広告代理店、コンサルティングファーム、マーケテイング専門企業においてこれらの職の募集が多々見られます。
ただし、中途採用の場合、未経験者がマーケターとして入社するのは容易ではありません。異業種からマーケターに転身したい場合はマーケテイングについて独力で学んでおくことをおすすめします。
資格を取得する
マーケターとして働く上で資格は必須ではありません。しかし、新卒採用や経験者採用以外のルートでマーケターを目指す場合、スキルの証明に役立つ資格を保有していると、採用時に有利になることもあるでしょう。
マーケテイングの中でもWebマーケテイングの分野で主に活躍したい人にはWebアナリスト検定がおすすめです。この資格取得に向けて学ぶことで、Googleアナリティクスの使用方法をマスターできるだけでなく、改善策を提案するための調査手法、データマネジメントに関する知識も取得できます。Webアナリストの保有者に資格手当を支給している企業もあります。
また、マーケテイングについて体系的な知識を取得したい人にはマーケティング・ビジネス実務検定がおすすめです。この資格を取得することで、実務に役立つトータルなマーケティング実務知識、時事情報を保有していることを証明できます。
独学する
異業種からマーケターに転身したい人はマーケティングについて学び、知識を身につけておくことで転職活動で高い評価を得やすくなります。
マーケティングについて学ぶ方法は数多く存在します。スクールで学ぶ方法もありますが、書籍、ネット、動画サイトなどを活用すればお金をあまりかけずに学習できます。
また、独学で学んだ知識を活かして副業マーケターとして仕事をはじめてみるのもおすすめです。副業でマーケターとしての実績を積むことで、正社員として採用される道が拓けることもあります。
関連記事
ネットマーケティング検定とは?試験の難易度、メリット・デメリットや対策方法について解説
マーケティング検定とは?受験方法や試験の難易度、学習方法について解説!
4.マーケターに向いている人の特徴
マーケターへの転身を検討している人の中には自分がマーケターに向いているのか気になっている人も多いのではないでしょうか。
マーケターに向いている人の特徴として、以下の4つが挙げられます。
学び続ける意欲がある
他者の気持ちに寄り添える
問題解決が得意
数字に苦手意識がない
それぞれ確認していきましょう。
学び続ける意欲がある
マーケティング職について企業の花形というイメージを抱いている人は多いように思います。
しかし、マーケターは華やかな部分よりも、地味な作業や地道な努力が求められる部分が多い職業です。現状を細かく分析したり、問題がどこにあるか特定したり、成果が出るまでに思い悩むシーンも多々あります。
また、マーケターを取り巻く環境は日々変化しています。市場や消費者のニーズは日々変化していますし、マーケティングにも流行があります。マーケターである限り学び続ける必要があるため、勉強が好きな人や常に刺激を感じていたい人は充足感を抱きながら働けるでしょう。
他者の気持ちに寄り添える
マーケターとして成功するには人が好きという気持ちが大切です。マーケターは消費者に届く広告を企画・立案するため、他者への関心や共感力が求められます。
マーケティングの分野で売れる商品や企画を考えるには持って生まれたセンスも大切ですが、消費者のニーズに気づく力、他者の視点から考える力も大切です。
問題解決が得意
マーケターはサービスや商品の売上を伸ばしたり、広告の閲覧数を増やしたりするためにさまざまなアクションを起こします。
広告を打ち出してみると、消費者から想定外に関心を抱かれなかったというケースは珍しくありません。こうした場合、問題の所存を特定し、解決に向けて、論理的思考に基づいて動くことが求められます。
数字に苦手意識がない
マーケターは調査で収集したデータを分析し、仮説や検証を繰り返します。常に数字との闘いになるため、数字に対する苦手意識が強い人は難しいかもしれません。
ただし、マーケターとして活躍している人の多くが文系出身者です。数字や分析など理系といわれる分野を扱うものの、数学や物理の知識は必要ありません。また、文章の作成や他者への共感力など、文系だからこそ活かせるシーンも多々あります。
5.マーケターの年収事情
マーケターへの転身を考えている人にとって、この職業の年収事情は気になるところでしょう。
マーケターの年収事情として、以下の2つのケースについて解説します。
正社員
フリーランス
それぞれ確認していきましょう。
正社員
正社員でマーケターとして働いた場合、中堅クラスであれば500~600万円程度の年収が一般的といわれています。
ただし、年収は勤続年数や経験だけでなく、企業規模によっても異なります。例えば、大手企業や外資系企業であれば従業員の給与水準が高いため、年収1000万円も期待できます。一方、中小企業や成長過程にあるベンチャー企業の場合、中堅クラスであっても年収が500万円に満たないこともあります。
フリーランス
フリーランスエンジニア・ITフリーランスの案件・求人・仕事をまとめて検索できるフリーランスボードによると、フリーランスのマーケターの年収の目安は1002万円です。
なお、同社の調べによると、マーケターのフリーランス案件・求人の月額単価の平均は83.5万円となります。
フリーランスの場合、受注する案件や仕事量によって年収は異なります。フリーランスとして働く人の中には高い年収を得ることよりも、プライベートを重視した働き方を好む人も珍しくありません。
6.マーケターの将来性
さまざまな仕事がAIに代替されている今、マーケターも将来的になくなるのではと懸念している人もいるのではないでしょうか。
結論を先に述べると、マーケターの将来性は十分にあり、マーケターの仕事がなくなることはないといえます。
マーケターの将来性が高い理由としてデジタル技術が進化し、世の中における商品に対するニーズが多様化している今、マーケターの重要性はますます高まっているためです。また、インターネットの利用者が増加している現代社会において、WebサイトやSNSを活用したマーケティングは今後さらに重視されるようになるでしょう。
ただし、誰もがマーケターとして生き残れるわけではありませんので注意してください。マーケターとして活躍し続けるには想像力やトレンドをキャッチする力、市場のニーズを読み解く力に加えて、ビジネスに関する深い洞察力が不可欠です。さらに、現代社会では、デジタル技術の進化により新しいプラットフォームが続々と生まれるため、これらに対応する力も求められています。
関連記事
デジタルマーケターとは?仕事内容や年収、将来性、必要スキルを解説
7.マーケターに関するよくある質問
マーケターに関するよくある質問として、以下の3つが挙げられます。
マーケターはフリーランスとして働けますか?
未経験からマーケターになれますか?
マーケターにはどのようなキャリアパスがありますか?
それぞれ確認していきましょう。
マーケターはフリーランスとして働けますか?
マーケターはフリーランスという働き方も選択できます。マーケターはフリーランスとの相性がよいため、勤務時間や仕事量を自分で調整しながら働くことも可能です。
マーケティングにはさまざまな領域がありますが、フリーランスとして安定的に収入を得たい人には複雑なデータの分析が必要となる案件に携われるスキルの取得をおすすめします。複雑なデータ分析に対応できるマーケターは少ないため、高い需要があり、高収入も見込めます。
また、X(旧:Twitter)やTikTokなどのSNSやサービスなどの運用や分析を行えるマーケターもニーズがあります。新しいサービスは参入壁が低く、マーケター経験が浅い人も活躍できる余白があります。
未経験からマーケターになれますか?
未経験から知識やスキルがない状態でマーケターになるのは、新卒枠や第二新卒枠を除いて難しいのが現状です。
マーケターとして働く上で専門知識やスキルは不可欠であり、これらがないと業務に従事することはできません。他業種からキャリアチェンジしたい人は自身でスキルを身につけ、即戦力として働けることを面接でアピールする必要があります。
また、マーケターはニーズがあるものの、マーケターの求人は介護従事者や医療従事者などエッセンシャルワーカーなどと比べてそう多いものではありません。特に、地方では求人数が少ないのが現状です。
マーケターにはどのようなキャリアパスがありますか?
マーケターにはさまざまなキャリアパスがあります。キャリアアップを実現したい人は将来について考えながら、現在の業務に従事することをおすすめします。
マーケターの主なキャリアパスとして、以下のものが挙げられます。
フリーランスとして独立する
マーケティング会社を設立する
広告代理店でコンサルタントになる
事業会社(EC企業)においてCMOになる
メディア企業で編集長やマネジメント職に就く
8.まとめ
マーケターには利益の増大、顧客基盤の拡大、ブランド認知度の向上などさまざまな役割があります。グローバル化により、企業の競争が激化している今、マーケターは需要があります。
また、マーケターと一括りにしても、マーケターによって従事する業務や領域は異なります。マーケターをこれから目指す人はご自身の興味や適性を考慮し、どの分野で活躍したいか決めるようにしてください。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。