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個人事業主の確定申告の経費はどこまで・いくらまで認められる?勘定科目別一覧と必要書類、書き方を解説

公開日:2025/05/16最終更新日:2025/05/18

経費と聞くと備品の購入費や交通費などを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実際にどこまでが経費として認められるのか気になる人も少なくないのではないでしょうか。


個人事業主や法人は事業によって得た利益に対して所得税や法人税を支払う必要があり、その税額を算出する際に重要となるのが経費の正しい計上です。経費を適切に申告することで無駄な税金を支払うことなく、正しい納税が可能になります。

そこでこの記事では経費の基本的な考え方から経費として認められる支出・認められない支出の違い、さらに経費管理を効率化するためのポイントについて解説します。

1.確定申告における経費とは?

確定申告で経費を仕分け・計上するにはそもそも「経費」とは何か、どこまでが計上の対象になるのかといった基本的な考え方をしっかり理解しておくことが欠かせません。


具体的な勘定科目や申告書の記入方法に進む前に、まずは経費の基本的なルールを把握しておきましょう。


経費とは収入を得るために必要となった支出のことで、たとえば商品の仕入代金・スタッフへの給与・事務所の賃料などがこれに該当します。


確定申告で経費として認められるのは、その年中に支払義務が確定した金額です。実際の支払いが翌年であっても、債務が確定していればその年の経費になります。一方で支払っていたとしても債務が確定していなければ、経費として扱えません。


たとえば仕入れに関して請求書を受け取って買掛金として処理した場合には、まだ支払いはしていなくてもその仕入れ額は経費として算入できます。


なお白色申告と青色申告では計上できる経費の範囲に違いがあり、青色申告では家族に支払う給与を経費に含められるなど適用範囲がより広くなっています。

なぜ経費を計上する必要があるのか

所得税を算出する際にはまず収入から必要経費を差し引いて所得金額を求め、その後に各種の所得控除を適用し残った金額に税率をかけて税額を算出します。


この仕組みにより経費が多く発生すれば、それだけ課税対象となる金額が少なくなり結果として税金の負担が軽くなるというわけです。反対に経費の計上を見落としてしまうと、所得額が本来より多く算定されその分税額も高くなってしまいます。


したがって個人事業主として確定申告を行う際は、経費の内容を正確に把握し漏れなく計上することが大切です。

経費として認められるかどうかの判断基準

個人事業主が経費を扱う際には、勘定科目によってはプライベートな支出との区別が難しいケースもあります。適正に経費として認められるためには、一定の基準を満たしていることが重要です。


以下にて経費計上にあたって確認すべきポイントをご紹介します。

事業に必要な支出であると説明できるか

経費として計上するには、その支出が業務に関係していることを説明できる必要があります。単なる私的な出費は認められず、事業の運営や収益に直接関係のある支出であることが求められます。


たとえば仕事に使う備品やサービスであれば、それが事業にどう役立っているかを説明できるようにしておく必要があります。その際にはレシートや領収書などの証拠書類を整えるとともに、支払いの目的なども記録しておくことが大切です。


内容が不明瞭な領収書だけでは、経費として認められないこともあるため注意しましょう。

支出金額が社会通念上の範囲内か

経費には明確な金額の上限はないものの売上とのバランスを大きく逸脱するような高額な支出や、頻度の高い接待交際費などは税務署に疑いを持たれやすくなります。


そのため経費として妥当かどうかを判断する際には、使用目的や業務との関連性を明確にしておくことが重要です。たとえば会食であれば参加者や目的などを領収書にメモしておくと、証明資料として信頼性が高まります。

私的な支出が混ざっていないか

業務に関連していない支出、たとえば衣料品・眼鏡・プライベートの書籍や自動車の燃料代などは経費としては認められない可能性が高くなります。


とくに判断が難しい支出についてはそれが業務上本当に必要だったのか、また収益につながるかどうかという観点で見極める必要があります。


税務署から確認が入った場合にも、しっかりと業務に関連する支出であることを説明できるようにしておきましょう。

2.経費にできる金額はいくらまで

個人事業主が経費として計上できる金額には、基本的に制限はありません。業務に必要な支出であることが明確であれば、金額に関わらず計上することが可能です。


ただし実際に経費として認められるかどうかは、使用した場所・頻度・支出の目的・金額の妥当性などの要素によって判断されます。


例えば売上に対して極端に高額な経費を計上している場合は、税務署から不自然だと疑われることがあります。具体的には、以下のようなケースが該当します。

  • 年間売上が100万円にもかかわらず、交際費も同額の100万円を計上している

  • 月の売上が20万円で、その中から交通費として20万円を計上している

こうしたバランスの悪い経費計上は、脱税の疑いを招く恐れがあるため注意が必要です。


経費として計上する際は、必ず支出の証明となるレシートや領収書を保管しておきましょう。またそれぞれの支出について、使途や目的などをメモしておくと後から確認する際にも安心です。


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3.個人事業主が確定申告で経費にできる項目は?

この章では個人事業主が確定申告で経費にできる項目について解説します。

給料賃金

従業員に支払う給与・賞与・手当など、雇用に伴って発生する費用のことです。


なお家族を従業員として雇用し給与を支払っている場合には通常。その給与は経費として計上できません。しかし青色申告者が青色事業専従者給与や事業専従者控除を適用することで、給与の一部または全額を経費として計上することが可能です。

外注工賃

外部の法人や個人にデザインを依頼した名刺・封筒・会社のロゴなどのための費用は、外注費として経費に計上します。また会社名や商品のネーミングを外注したり、ウェブサイトの構築を依頼した場合も外注費として扱われます。

減価償却費

事業用の建物や車両などの固定資産を取得した際にはその費用を一度に全額経費として計上するのではなく、資産の使用可能期間にわたって分割して計上します。その際に用いられる勘定科目です。この使用可能期間は「法定耐用年数」と呼ばれ、資産の種類ごとに細かく定められています。


また、例えばパソコンを個人利用と業務利用の両方で使っている場合にはその使用割合に応じて減価償却費を計上します。


なお法定耐用年数が1年未満または取得価額が10万円未満の資産については、「消耗品費」として処理する必要があるので注意が必要です。ただし、取得価額が30万円未満の資産については、一定の要件を満たせば「少額減価償却資産」として一括償却が可能です。

貸倒損失

取引先の倒産などで、売掛金や貸付金の回収が不可能となった場合の損失処理に用いる勘定科目です。売掛金・受取手形・貸付金・未収金・前渡金に関する損失のことです。

地代家賃

店舗やオフィスの賃料・社用車の駐車場代・社宅の賃料・管理費・共益費など、事業で使用する土地や建物に関連する費用のことです。

利子割引料

これは具体的には事業資金の借入金に対する支払利息・受取手形の割引手数料・金融機関への利息支払・自動車ローンや住宅ローンの利息・手形割引料などのことです。

租税公課

個人事業税・印紙税・固定資産税・消費税・社用車の自動車税などの各種税金に関する費用のことです。

荷造運賃

これは商品や郵便物を発送するための梱包材料費や配送費のことです。具体的には段ボール・発泡スチロール・エアキャップ・結束バンド・ガムテープ・紐・郵便料金・宅配便・航空便の費用のことです。

水道光熱費

事業用として使用しているオフィスで発生する水道代・電気代・ガス代などの光熱費は、事業に必要な支出として経費に計上することができます。


自宅を仕事場として利用している場合は仕事に使っている部屋の面積や使用時間に応じて事業用と私用を区別し(家事按分)、事業に関係する分だけを経費として計上します。

旅費交通費

打ち合わせ・営業活動・出張といった業務上の理由で移動した際に発生する交通費は、経費として計上できます。公共交通機関を利用した場合の電車代・航空券代・タクシー料金のほか、自家用車を使用した場合のガソリン代や高速道路の通行料なども対象になります。

通信費

業務に使用するインターネット回線や電話の利用料などの通信費も、経費として処理できます。


自宅で仕事を行っている場合は水道光熱費と同じく、仕事と私生活での使用割合に応じて家事按分を行い事業に関係する分だけを経費として算出する必要があります。さらに業務上の連絡や送付に使う郵送料、はがき・切手代なども経費の対象となります。

広告宣伝費

Webサイト・SNS・新聞・チラシといった各種媒体に掲載する広告の費用はもちろん、ポスティングや求人広告にかかる費用も事業に関連していれば経費として扱えます。


経費に計上できるタイミングは「広告が実際に掲載された日以降」となる点に注意が必要です。特に雑誌など発行までに時間がかかる媒体については、掲載予定日と支出のタイミングがずれることがあるため処理時には留意しましょう。

接待交際費

食事にかかる支出も、業務と直接関わりがある場合には経費として認められます。たとえば取引先との打ち合わせを兼ねた会食や、ランチをしながらの商談などが該当します。


一方で私的な飲食費、たとえば家族との食事や友人との飲み会といったプライベートな出費は経費にはできません。さらに移動中に立ち寄った昼食など、業務との関連性が曖昧な支出も原則として経費には含められない点に注意が必要です。

損害保険料

事業に必要な保険の費用は、必要経費として計上が可能です。たとえば自動車保険や火災保険、地震保険などがこれにあたります。


ただし個人事業主の場合、これらの保険料については事業用と私用を明確に区別しておく必要があります。自宅を仕事場として使用していたり自家用車を仕事と私用の両方で利用している場合などは、「家事按分」により事業に該当する割合を算出して経費計上します。


また従業員にかかる生命保険料や社会保険料、傷害保険料については業務に関連するものとして経費に含めることが可能です。


一方で事業主本人やその家族が支払う生命保険料・国民健康保険料・国民年金保険料・傷害保険料などは、事業の必要経費とは認められません。


これらはあくまで個人として加入する性質のものであるため経費としてではなく、所得控除の対象として確定申告時に申請します。

修繕費

事業用の建物・附属設備・機械装置・車両などの固定資産を維持・管理・修理するための費用です。修繕費は、あくまで資産の元の状態を保つためのものとなります。


例えば資産に改良を施し、その価値を向上させたり使用期間を延ばした場合は「資本的支出」とみなされます。この場合修繕費とはならず、減価償却費として処理されます。

消耗品費

業務で使用する機材や備品にかかる費用も、必要経費として計上することが可能です。たとえばパソコン周辺機器・筆記用具・コピー関連用品など、該当する項目は幅広くあります。


ただし「消耗品費」として処理できるのは、購入金額が10万円未満または使用期間が1年未満のものに限られている点に注意が必要です。

福利厚生費

従業員向けの福利厚生にかかる費用のことです。具体的には以下のようなものです。

  • 慰安旅行費・レクリエーション活動費・祝い金・お見舞金・健康診断費用・医薬品費・従業員用のお茶やお菓子代・弁当代・歓送迎会の費用

  • 従業員の健康保険料・厚生年金・雇用保険などの保険料や掛金

雑費

事業に関係する支出のうちの勘定科目に分類できないものについては、「雑費」として処理されるのが一般的です。これは主に金額が小さく、継続的でない一時的な支出に適用される傾向があります。たとえば、以下のような費用が雑費に該当します。

  • 事業所の引っ越しにかかる費用

  • ゴミ処理や清掃業者によるクリーニング代

  • 一時的に借りた機材のレンタル料

  • 会議室やイベント会場のキャンセル料 など

「雑費」と似た用途で混同されやすいのが「消耗品費」です。文房具などのように、使用することで消費されていく物は「消耗品費」として扱うのが適切です。


なお経費に含められるかどうかについては明確な基準がない場合も多く、常識的な判断が求められます。


経費として認められるか迷った際は「事業上必要な支出である」という理由を、税務署に対してきちんと説明できるかどうかを判断基準としましょう。


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4.勘定科目の選び方

そもそも「事業に関連する支出」と一口に言っても例えばプリンターのインク代・パソコン・事務用品・交通費・書籍購入費などさまざまな種類があり、それらをすべてそのまま記録していくと「どれにいくら使ったのか」がわかりづらくなってしまいます。


そこで簿記ではこうした経費を「接待交際費」や「旅費交通費」「消耗品費」などのカテゴリーに分けて記帳します。このようなカテゴリー名を「勘定科目」と呼んでいます。


経費を記録する際に悩むのが、「どの勘定科目を使えばよいのか」という点です。例えば「仕事の打ち合わせとして取引先と食事をした場合、会議費にするべきかそれとも交際費にするべきか?」というような問題です。


実際のところどの勘定項目を選ぶかは「経費であるかどうか」が適切に判断できていれば、ある程度自由に選ぶことができます。例えば車に関する備品を購入した際には「消耗品費」や「車両費」として処理しても、経費として適切であれば問題視される可能性は大きくありません。


とはいえ明らかに不適切な項目に分類すると税務上の問題が生じることがあります。特に保険料・税金・会費・賃借料などは消費税の申告時に問題になることがあるため、適切な処理が求められます。

5.経費として認められない支出とは?

個人事業主にとって、事業に関連する支出は基本的にすべて経費として計上可能です。経費を適切に計上することで、節税効果を高めることができます。


しかし、すべての支出が経費として認められるわけではありません。実際には、経費として認められない費用も存在します。いくつかの例を挙げてみましょう。

生活費や健康維持のための支出

事業主本人やその家族の生活費・交際費・住宅費などの家事に関連する費用は、必要経費として認められません。また事業と家庭の両方に関係する支出である地代家賃・火災保険料・水道光熱費などの家事関連費については、事業運営に直接必要であることが明確でない部分は経費として認められません。

親族への人件費

親族への人件費は税務上の租税回避を防ぐため、基本的には経費として計上できないことになっています。


しかし青色申告を適用している場合は、事前に届出を行うことで親族への給与支払いが認められることがあります。この給与は「青色事業専従者給与」として扱われます。


一方、白色申告の場合は親族への人件費は経費として計上できずその代わりに「事業専従者控除」という控除制度を利用して家族従業員に支払った給与を控除することが可能です。


親族に給与を支払いたい場合は、青色申告を選択することをおすすめします。

個人的に支払う税金

個人事業主は事業に関わらず所得税や住民税を支払う義務がありますが、これらは経費として計上することはできません。


一方で事業に関連する税金、例えば事業用の印紙税や個人事業税は経費として計上することができます。

プライベートな買い物や食事代

個人事業主の私的な支出、例えばCD・書籍・飲食費などは事業と直接関係がないため経費として計上することはできません。


ただしこれらの支出が「事業に必要なもの」として説明できる場合、経費として計上することは可能です。たとえば、資料として必要であるなどの合理的な理由があれば認められることがあります。


しかし用途が不明確な場合には、税務署からの指摘やトラブルを招く可能性があるため注意が必要です。

資産として減価償却が必要な高額品

パソコンなどの価格が10万円を超える機材は基本的に経費として一度に計上するのではなく、個人事業主の「固定資産」として扱われます。その後法定耐用年数に基づいて、減価償却を行い「減価償却費」として経費に計上します。ただし、少額減価償却資産の特例により、取得価額が30万円未満の減価償却資産については、一定の要件を満たせば取得した年に全額経費として計上することが可能です(令和8年3月31日までの特例措置)。


また事務所などに入居する際の敷金は退去時に戻ってくることが前提となるため、「資産」として扱われます。

借入金の返済分

よくある誤解ですが借入金の元本返済は単に借りたお金を返済しているだけに過ぎないため、経費にはなりません。


なお、借入金に対する利息は経費として計上できます。もし元本と利息を一緒に返済している場合は、それぞれを区別して処理することが求められます。

6.個人事業主が経費にしづらい支出

個人事業主の支出の中でもスーツやネクタイといった衣類は、経費として認められにくい代表例です。これらは日常生活でも使用できるため、業務に直接関係する支出とは見なされにくいのが理由です。


ただし業務上どうしてもスーツの着用が必要であることを客観的に示せる場合や、仕事専用のスーツを事務所に置き業務中のみ着用しているといった実態が写真や記録で証明できる場合には経費として認められる可能性が出てきます。


さらに業務に使用した日数に応じて家事按分を行い、経費の一部として計上するという対応も考えられます。しかしながらスーツの着用が業務に必須でない場合は、経費として認められるのは難しいと考えた方がよいでしょう。

7.家事按分について

家事按分とは事業と私生活が混在する支出について、事業に関係する分だけを経費として計上するために妥当な割合で分けて計算する方法です。とくに自宅を仕事場として使っている個人事業主にとっては、欠かせない経費処理の手法です。


例えば家賃・電気・ガス・水道代・電話代・インターネット代なども、事業で使用している分を適切に按分して経費にすることができます。


また自動車を事業と私用で併用している場合も購入費やガソリン代、車検代などの維持費を事業分だけ経費計上することが可能です。


ただし使用面積や使用時間、車であれば走行距離といった客観的で合理的な基準に基づいて按分を行わないと、税務調査で否認される恐れがあります。


業務での使用状況を記録として残し、きちんと説明できるようにしておくことが重要です。


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8.確定申告における経費の書き方

副業を雑所得として申告する給与所得者はもちろん、個人事業主にとっても押さえておきたいのが「確定申告における経費の記入方法」です。


実際に確定申告書を作成しようとすると経費の区分や書き方が分かりづらく、戸惑うケースも少なくありません。そこでこの章では確定申告書に加え、青色申告決算書や収支内訳書における経費の具体的な項目やその記入方法についてわかりやすく解説していきます。

確定申告書での経費の記入手順

確定申告書で記載が必要なのは、主に次の4つの項目です。

  • 総収入額

  • 総収入から経費を差し引いた「所得」

  • 所得から各種控除を差し引いた「課税所得」

  • 課税所得に税率を適用し、控除などを反映させて算出した「納税額」

なお「確定申告書第一表」には、経費の金額を直接書き込む欄はありません。1年間の経費は帳簿などで集計したうえで、各収入に対する「所得金額」に反映させる形で記入します。


実際にどのような費目にいくら経費がかかったかを詳細に記載するのは、「青色申告決算書」や「収支内訳書」の役割です。これらの書類は確定申告書とセットで提出する必要があり、すべての数値が一致していなければ記載ミスや入力漏れとみなされることになるでしょう。


そのため先に青色申告決算書または収支内訳書を作成し、それをもとに確定申告書を記入するのが正確で効率的です。

青色申告決算書への経費の記載方法

青色申告で確定申告を行う際には、経費を科目ごとに記載するための書類として「青色申告決算書」が必要です。


この決算書には、「一般用」「農業所得用」「不動産所得用」「現金主義用」があります。これらのうち、該当するものがない個人事業主は「一般用」を使用することになります。


個人事業主は基本的に、収入や費用が発生した時点で帳簿に記録する「発生主義」に基づいて会計処理を行っています。そのため発生主義を採用している場合は、青色申告決算書の一般用を使うのが基本です。


一方で実際に現金の出入りがあったタイミングで記録する「現金主義」で帳簿をつける場合は、事前に税務署へ届け出を提出し認められる必要があります。この届出が受理されると、「現金主義用」の青色申告決算書を使用することになります。


青色申告決算書の1ページ目は「損益計算書」、2〜3ページ目には「損益計算書の内訳」、4ページ目は「貸借対照表」となっています。


経費の記入は1ページ目の「経費欄」に行い、帳簿で管理している勘定科目ごとに年間の合計金額を記載します。

収支内訳書に経費を記載する際の書き方

白色申告を行う場合には、「収支内訳書」の作成が必要です。経費については1ページ目に記入します。


日頃の帳簿で使っている勘定科目ごとに、1年間の合計金額を整理してそれぞれの項目に記載していきます。


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9.勘定科目は原則として一貫して使い続けるのが基本

勘定科目は企業会計原則における「継続性の原則」に従い、一度使用を始めた科目は原則として毎年同じものを使い続ける必要があります。これは年度ごとに会計処理の方法を変えてしまうと、過去の記録との比較が困難になり正確な経営判断がしづらくなるためです。


たとえばコピー用紙の購入を「消耗品費」として処理していた場合、翌年度以降に「事務用品費」など別の勘定科目に変更することは原則として避けるべきです。ただし法令の変更や税務上の見直しなど、やむを得ない事情がある場合には科目の変更も認められます。

10.まとめ

ある支出が経費として認められるかどうかは、その支出が事業の運営に関連しているかどうかが判断の基準となります。


まずはどのような支出が経費に該当するのかを正確に理解することが大切です。また節税の観点からも、必要な経費をきちんと漏れなく計上することが望ましいですが、誤った処理をしてしまうとペナルティの対象になる可能性があります。


適切に経費処理を行うためには、正確な知識を身につけておくことが不可欠です。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。


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目次

1.確定申告における経費とは?

なぜ経費を計上する必要があるのか

経費として認められるかどうかの判断基準

事業に必要な支出であると説明できるか

支出金額が社会通念上の範囲内か

私的な支出が混ざっていないか

2.経費にできる金額はいくらまで

3.個人事業主が確定申告で経費にできる項目は?

給料賃金

外注工賃

減価償却費

貸倒損失

地代家賃

利子割引料

租税公課

荷造運賃

水道光熱費

旅費交通費

通信費

広告宣伝費

接待交際費

損害保険料

修繕費

消耗品費

福利厚生費

雑費

4.勘定科目の選び方

5.経費として認められない支出とは?

生活費や健康維持のための支出

親族への人件費

個人的に支払う税金

プライベートな買い物や食事代

資産として減価償却が必要な高額品

借入金の返済分

6.個人事業主が経費にしづらい支出

7.家事按分について

8.確定申告における経費の書き方

確定申告書での経費の記入手順

青色申告決算書への経費の記載方法

収支内訳書に経費を記載する際の書き方

9.勘定科目は原則として一貫して使い続けるのが基本

10.まとめ