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保険証は郵送で返却可能?普通郵便はダメ?封筒サイズ・添え状・返却後の手続きまで解説

公開日:2025/05/29最終更新日:2025/05/31

退職を控えている際、残りの有給休暇をどうすべきか悩む方は少なくありません。有給休暇は労働基準法で保障された労働者の正当な権利であり、退職時であっても原則として全て消化することが可能です。しかし、円満な退職のためには、会社との円滑なコミュニケーションと適切な手続きが不可欠です。


本記事では、退職時の有給休暇消化に関する疑問や不安を解消し、スムーズな退職を実現するための具体的なステップと注意点について詳しく解説します。


1.保険証は郵送で返却しても問題ない?

健康保険証は、身分証明書として利用される重要な書類であるため、通常、返却は担当者への手渡しが推奨されています。これは、返却の確実性を高め、紛失のリスクを最小限に抑えるための措置です。


しかし、以下のような特定の状況下では、保険証の郵送返却が認められるケースが多く見られます。


郵送返却が認められる主なケース

  • 退職日の当日まで保険証を使用する必要があった

  • 退職日に保険証を自宅に忘れてしまった

  • 取引先への挨拶回りなどで多忙を極め、退職日に保険証が返却できなかった

  • 支社や支店に勤務しており、保険証の返却先が本社に設定されている

これらのケースに該当する場合は、会社に事情を説明し、郵送での返却が可能か確認することをおすすめします。

基本的には手渡しだが認められる場合もある

健康保険証は本人確認書類として使用できることから、返却の確実性を高めるために担当者への手渡しが推奨されています。紛失や情報漏洩のリスクを避けるためにも、手渡しが最も安全な方法です。


ただし、上記のような特別な事情がある場合は、郵送での返却が認められることが一般的です。郵送返却の際は、企業側が紛失のリスクを考慮し、特定の郵送方法を指定する場合もありますので、事前に確認が必要です。

保険証の郵送は「書留」が断然おすすめな理由

保険証は個人情報を含む重要書類のため、郵送での返却には細心の注意が必要です。普通郵便では万が一紛失しても追跡や補償がありませんが、書留は郵便物の引き受けから配達までの記録が残り、紛失・破損時には損害賠償が受けられます。これにより、紛失リスクを大幅に軽減し、確実に会社へ返却できます。


書留には「簡易書留」と「一般書留」があり、簡易書留は安価で追跡と5万円までの補償があります。一方、一般書留はより詳細な追跡と高額な補償(最大500万円)が可能ですが、料金は高めです。レターパックも追跡はできますが、損害賠償制度がないため、保険証の郵送には不向きです。保険証の重要性を考慮すると、追跡と補償のある書留の利用が強く推奨されます。

保険証を紛失してしまった際の退職時の対処法

保険証を返却しようとした際に、紛失していることに気づくケースも考えられます。万が一、保険証を紛失してしまった場合は、速やかに勤務していた企業の担当者に連絡し、その旨を伝えてください。


企業によっては、紛失届の提出を求められる場合や、再発行の手続きについて指示がある場合もあります。指示に従い、適切に対処することが重要です。

2.郵送での返却手続きをする際の添え状と封筒の書き方

退職時など、健康保険証を郵送で返却する機会は意外と多いものです。その際、単に保険証だけを送るのではなく、「添え状」を同封し、封筒の書き方にも配慮することで、より丁寧な印象を与え、スムーズな手続きを促せます。


この導入文では、保険証郵送時の添え状の役割と書き方、そして返却用封筒の適切な記載方法について、それぞれのポイントを解説します。これらの情報を参考に、安心して郵送手続きを進めましょう。

保険証郵送時の「添え状」の書き方と例文

保険証を郵送する際は、添え状を同封することが一般的です。添え状は、誰から何を送付したのかを明確にするための書類であり、丁寧な印象を与えます。縦書き、横書きのいずれかを選択できますが、企業によっては様式が指定されている場合もありますので、確認しておくと良いでしょう。


添え状の書き方の例は次のとおりです。


===

株式会社○○ ○○部 ○○様


○○年○月○日付けで退職しました、元○○部の○○(氏名・フルネーム)です。

退職にともない、健康保険証を返却いたします。

お手数をおかけしますが、お手続きをよろしくお願いいたします。

○○年間の在職中は、大変お世話になりました。

貴社の発展を心よりお祈りいたします。


氏名(フルネーム)

===


添え状のような文書は、インターネット上でテンプレートを検索すると、容易に作成できます。

保険証返却用封筒の書き方

保険証を郵送で返却する際の封筒は、同封する添え状のサイズに合わせて選択すると良いでしょう。一般的には、A4サイズの添え状であれば角形2号、B5サイズの添え状であれば角形3号の封筒が適しています。


封筒には以下の項目を正確に記載してください。

  • 表面

    ・送付先の郵便番号

    ・送付先の住所(ビル名や階数も含めて正確に記載)

    ・担当部署(例:○○部御中)

    ・担当者名(例:○○様)

    ・親展(表面の左下に赤文字で記し、四角の枠で囲むことで、開封者を限定し、重要書類であることを明確に示します)

  • 裏面

    ・差出人の郵便番号

    ・差出人の住所

    ・差出人の名前(フルネーム)

これらの情報を正確に記載することで、保険証が確実に担当者の元へ届くように配慮しましょう。

3.郵送で返却する際の注意点

健康保険証を郵送で返却する際には、いくつかの重要な注意点があります。特に、返却期限や効力について理解しておくことが大切です。

保険証の返却期限は退職日翌日・退職後すぐが目安

健康保険証の返却期限は、退職日の翌日または退職後すぐが目安とされています。これは健康保険法に基づき、事業主が被保険者資格喪失届を健康保険組合や年金事務所に5日以内に提出する義務があるためです。


郵送での返却を選択する際には、到着までの時間を考慮し、速やかに手続きを済ませることが重要です。期限を過ぎてしまうと、会社側での手続きが遅延し、様々な影響が生じる可能性があります。

健康保険証は退職日の翌日から無効

健康保険証は、退職日の翌日からその効力を失います。これは、会社に在籍している間のみ有効なものであり、退職により被保険者としての資格を喪失するためです。


資格を失効した健康保険証を医療機関にて使用してしまった際には、後日、本来会社が負担するはずだった医療費の全額(10割分)が、お住まいの住所宛に請求される形となります。無効な保険証の使用は避けるべきであり、退職後は速やかに返却し、新たな健康保険への加入手続きを進める必要があります。

返却期限に間に合わない場合は必ず会社に連絡を

何らかの事情で保険証の返却期限(退職日の翌日・退職後すぐ)に間に合わない場合には、必ず企業の担当者に連絡を入れてください。事前に連絡を入れることで、会社側も状況を把握でき、対応を検討することができます。


連絡なしに返却が遅れると、会社側は従業員の安否や保険証の所在について確認が必要となり、余計な手間や心配をかけることになります。


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4.保険証を返却しないとどうなる?

健康保険証の返却は、退職後の手続きにおいて非常に重要です。返却を怠ると、自身だけでなく、会社側にも様々な影響が生じる可能性があります。

医療費が10割負担になるケースも

退職後も健康保険証を返却せずに手元に置いておくと、誤って使用してしまうリスクがあります。有効期限が切れた健康保険証を医療機関にて使用して治療や処方を受けた際には、医療費の10割を自身で支払うことになるため、医療費の高額化が避けられません。


医療機関は、患者の提示する保険証が有効であると信じて診療を行いますが、後日保険者からの連絡で無効であることが判明した場合、差額分を請求することになります。

転職先での手続きに影響が出る可能性

退職した従業員の保険証は、企業の所属する健康保険組合や年金事務所宛に、退職日の翌日から5日以内に返却することが義務付けられています。これは、会社が被保険者資格喪失届を提出する際に、保険証を添付する必要があるためです。そのため、保険証の返却が遅れてしまいますと、会社側での手続きが滞り、別の手続きが発生するのは明らかです。


これは、企業が法的な義務を果たす上で支障をきたし、結果として転職先での社会保険加入手続きなど、次のステップにも影響が出る可能性があります。

国民健康保険などへの加入手続きが遅れる恐れ

企業の退職後にフリーランスや個人事業主となる方、あるいは次の就職先が決まっていない方は、退職日の翌日から14日以内に国民健康保険の加入手続きを済ませる必要があります。これは、日本においては国民皆保険制度が採用されており、何らかの健康保険に加入していることが義務付けられているためです。

健康保険証の返却の遅れは、会社側の資格喪失手続きの遅延につながり、結果的に自身の国民健康保険などへの加入手続きの遅延につながる恐れがあります。


保険の空白期間を作らないためにも、健康的に過ごすためにも、速やかに保険証を返却し、次の保険への加入手続きを着実に進めておくことが重要です。


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5.次の保険証のために退職時に受け取るべき重要書類

退職後、次の健康保険にスムーズに加入するためには、会社から受け取るべきいくつかの重要な書類があります。これらの書類は、国民健康保険への加入や、転職先での社会保険手続き、さらには失業給付の申請などに必要不可欠です。

健康保険被保険者資格喪失証明書

健康保険被保険者資格喪失証明書(健康保険・厚生年金保険資格取得・資格喪失確認通知書)は、退職後に扶養家族を持つ方が国民健康保険に加入する際に、お住まいの市区町村役場に提出する書類です。


この書類は、あなたが以前加入していた健康保険の資格を喪失したことを公的に証明するものであり、国民健康保険への切り替え手続きに必要となります。家族構成によっては提出が必須となるため、必ず会社から受け取っておきましょう。

退職証明書

退職証明書は、会社を退職したことを証明する書類です。


主に、単身者が国民健康保険の手続きをする際の提出書類として使用できます。また、転職活動において、新しい会社から前職の退職状況を確認される際にも提出を求められることがあります。公的な手続きだけでなく、個人の証明としても活用できるため、受け取っておくと安心です。

年金手帳

年金手帳は、自身の年金加入記録を証明する大切な書類です。転職先の職場で厚生年金に加入する際はもちろんのこと、フリーランスや個人事業主として国民年金に加入する際の手続きでも必要となります。


年金手帳がないと、年金事務所での手続きがスムーズに進まないため、会社から返却された場合は大切に保管してください。もし紛失している場合は、会社や年金事務所に相談し、再発行の手続きを検討しましょう。

離職票

離職票は、退職後に失業給付を受給するためにハローワークで手続きを行う際に必要となる書類です。この書類には、退職理由や離職前の給与額などが記載されており、失業給付の受給資格や給付額を決定する上で重要な情報が含まれています。


また、退職後に個人事業主として開業届を所轄の税務署へ提出した後、一定の条件を満たせば「再就職手当」を受け取ることもできます。この場合も、離職票に基づいて失業給付の手続きが完了していることが前提となりますので、必ず受け取りましょう。

雇用保険被保険者証

雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入していたことを証明する書類です。この書類がないと、離職票と共に失業手当の算出ができません。


雇用保険被保険者証は、通常、会社が保管していますが、退職時に本人に返却されます。転職先でも雇用保険に加入する際に必要となることがありますので、大切に保管しておきましょう。

源泉徴収票

所得税の源泉徴収票は、その年に会社から支払われた給与や賞与、そして源泉徴収された所得税額が記載された書類です。この書類は、退職後に確定申告を行う際に必要となり、払いすぎた税金(還付金)を受け取れるか否かを証明するための重要な書類となります。


特に、年内に再就職しない場合や、医療費控除などの適用を受ける場合は、必ず確定申告が必要になりますので、大切に保管しておきましょう。


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6.退職後の保険、どうする?加入できる4つの選択肢

退職後、無保険期間を作らないことは非常に重要です。日本では国民皆保険制度が採用されているため、必ず何らかの健康保険に加入する必要があります。退職後の状況に応じて、主に以下の4つの選択肢が考えられます。

転職先の健康保険

退職する時点で、すでに次の企業への就職が決まっている場合、最もスムーズなのは転職先の健康保険に加入することです。この場合、前の職場の退職時に受け取る「健康保険被保険者資格喪失証明書」を転職先の担当者に提出します。


おおよそ1週間から3週間後に新たな健康保険証が手渡されるのが一般的です。新しい職場の指示に従い、速やかに手続きを進めましょう。

国民健康保険

国民健康保険は、企業の退職後にフリーランスや個人事業主になる方、あるいは次の転職まで休養期間を設けたい方が加入する保険です。この保険は、お住まいの市区町村が運営しており、企業の健康保険とは異なります。


企業の退職後14日以内にお住まいの市区町村役場にて、国民健康保険の加入手続きを行うことで、通常その場で保険証を受け取ることができます。手続きには、退職証明書や年金手帳などが必要です。

任意継続

任意継続は、退職後も前の職場の健康保険を継続して利用できる制度です。ただし、利用できる期間は退職後の2年間限定となります。任意継続の主な条件は、退職日までに2ヶ月以上の被保険者期間が記録されていること、そして「任意継続被保険者資格取得申出書」を退職日の翌日から20日以内に提出することです。


保険料は全額自己負担となりますが、退職時の給与水準によっては、国民健康保険よりも保険料が安くなる場合があります。健康保険組合によって条件や保険料が異なるため、退職前に所属していた健康保険組合に詳細を確認することをおすすめします。

となる場合があるため、事前に市区町村役場のウェブサイトなどで必要書類を確認しておくとスムーズです。

国民健康保険組合

特定の業種に従事している方(例えば、医師、薬剤師、建設業従事者など)は、国民健康保険組合に加入できる場合があります。国民健康保険組合は、国民健康保険とは異なり、同業種の事業主や従業員が加入する健康保険制度です。


組合ごとに独自の保険料率や給付内容を定めているため、国民健康保険よりも保険料が安くなる、またはサービスが充実しているといったメリットがある場合があります。ご自身の業種で国民健康保険組合が存在するかどうか、インターネット検索や業界団体への問い合わせなどで確認してみる価値はあります。


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7.まとめ

退職後の健康保険証の返却は、退職日の翌日から5日以内が目安です。基本は手渡しが推奨されますが、特別な事情があれば書留での郵送も認められます。


期限厳守が難しければ、必ず会社に連絡しましょう。返却が遅れると、医療費が10割負担になる可能性や、転職先での手続き、国民健康保険への加入が遅れる恐れがあります。


退職時には、健康保険被保険者資格喪失証明書や離職票など、次の保険手続きに必要な重要書類を必ず受け取ってください。退職後の健康保険は、転職先の保険、国民健康保険、任意継続、国民健康保険組合の4つの選択肢から、ご自身の状況に合わせて選び、無保険期間を作らないようにしましょう。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。


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目次

1.保険証は郵送で返却しても問題ない?

基本的には手渡しだが認められる場合もある

保険証の郵送は「書留」が断然おすすめな理由

保険証を紛失してしまった際の退職時の対処法

2.郵送での返却手続きをする際の添え状と封筒の書き方

保険証郵送時の「添え状」の書き方と例文

保険証返却用封筒の書き方

3.郵送で返却する際の注意点

保険証の返却期限は退職日翌日・退職後すぐが目安

健康保険証は退職日の翌日から無効

返却期限に間に合わない場合は必ず会社に連絡を

4.保険証を返却しないとどうなる?

医療費が10割負担になるケースも

転職先での手続きに影響が出る可能性

国民健康保険などへの加入手続きが遅れる恐れ

5.次の保険証のために退職時に受け取るべき重要書類

健康保険被保険者資格喪失証明書

退職証明書

年金手帳

離職票

雇用保険被保険者証

源泉徴収票

6.退職後の保険、どうする?加入できる4つの選択肢

転職先の健康保険

国民健康保険

任意継続

国民健康保険組合

7.まとめ