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裁量労働制とは|デメリットしかないって本当?対象職種やメリット、残業代の扱いをわかりやすく解説

公開日:2025/06/27最終更新日:2025/06/27

働き方改革が推進され多様な働き方への理解が深まってきている現代においては、労働者に働き方の裁量を与える制度も誕生しています。そして特に近年注目されている制度が、「裁量労働制」です。


裁量労働制は企業側・労働者側の両方にメリットがある制度ですが、適用にあたっては抑えておくべきポイントもあります。そこで本記事では、裁量労働制の概要や対象となる業務、導入方法、メリット・デメリット、他の制度との違いなどについて解説します。


特に以下の方には、この記事をご一読いただきたいです。

  • 勤務時間の自由度に興味がある若手エンジニア

  • 転職先の労働条件を比較したいIT業界経験者

  • 裁量労働制のメリットとデメリットを整理したい方


1.裁量労働制とは

裁量労働制とは、実際の労働時間ではなく事前に企業側と労働者側が合意の上で定めた時間(「みなし労働時間」と呼びます)を労働時間とみなし賃金を計算する制度のことです。


たとえば、労働時間を8時間と定めた場合、実際の労働時間が2時間でも10時間でも8時間分の賃金が支払われます。ただし、労使で合意したとしても、労働基準法で定められた上限を超えることはできません。


裁量労働制は、労働基準法38条で定められた「みなし労働時間制」の1つです。裁量労働制を採用することで、企業は労働者の時間管理をする必要がなくなり、労働者は1日の働き方を自分で決められるようになります。

裁量労働制の目的

裁量労働制を導入する主な目的は、時間に縛られない働き方によって生産性を高めることです。


従来の企業では、毎日の始業時間と就業時間が決められているケースが多いといえます。しかし専門性の高い職種においては、労働時間を決められるとかえって業務効率が悪くなるケースもあるでしょう。こうした職種において時間管理を労働者本人に任せることで、生産性を高めることが期待できます


裁量労働制によって、働いた時間ではなく仕事の成果や実績によって労働者の評価を決めることになります。働き方改革の推進が日本中で行われている現在において、裁量労働制は社会の要請に合った制度だと考えられるでしょう。

2.裁量労働制が対象となる業務・職種

裁量労働制は、すべての職種を対象としている制度ではありません。そこでこの章では、裁量労働制が対象となる業務・職種について解説します。裁量労働制が対象になるのは以下の2種類の業務・職種です。

  • 専門業務型

  • 企画業務型

専門業務型

専門業務とは、業務の性質から作業の進め方や時間配分を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務を指します。


たとえば、以下のような業務は専門業務型裁量労働制の対象です。

  • 研究職

  • 情報処理システムの分析・設計

  • 新聞・出版事業における取材もしくは編集

  • 放送番組の制作のための取材もしくは編集

  • 衣服や装飾、広告などのデザイン考案

  • 放送番組や映画などの制作事業におけるプロデューサーやディレクター

  • コピーライター

  • システムコンサルタント

  • インテリアコーディネーター

  • ゲーム用ソフトウェアの創作

  • 証券アナリスト

  • 金融商品の開発

  • 大学教授

  • M&Aアドバイザー

  • 公認会計士

  • 弁護士

  • 建築士

  • 不動産鑑定士

  • 弁理士

  • 中小企業診断士

参考:厚生労働省「専門業務型裁量労働制の解説」

企画業務型

企画業務型裁量労働制の対象は、事業運営に関わる企画・立案・調査・分析の業務です。


具体的には、以下の要件すべてに当てはまる必要があります。

  • 事業の運営に関する事項に携わっている

  • 企画・立案・調査・分析の業務である

  • 業務の性質上遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある

  • 業務遂行の手段や時間配分の決定等に対して使用者が具体的な指示をしない

参考:厚生労働省「企画業務型裁量労働制の解説」

3.裁量労働制の導入方法

この章では、裁量労働制の導入方法を以下の2つに分けて解説します。

  • 専門業務型の場合

  • 企画業務型の場合

専門業務型の場合

専門業務型裁量労働制の導入にあたっては、以下のプロセスが必要です。

  1. 労使協定を結ぶ

  2. 労働契約・就業規則等を整備する

  3. 所轄の労働基準監督署に届け出る

  4. 労働者本人から同意を取る

  5. 制度をスタートさせる

最初の「労使協定を結ぶ」段階においては、以下の事項を定めなくてはいけません。

  • 制度の対象業務

  • みなし労働時間

  • 業務の手段や方法、時間配分などに対して使用者が具体的な指示をしないこと

  • 適用労働者に対して行う健康・福祉確保措置の具体的内容

  • 適用労働者からの苦情処理のために行う措置の具体的内容

  • 適用にあたって労働者本人の同意が必要なこと

  • 労働者が同意しない場合も不利益な扱いをしないこと

  • 同意撤回に関する手続き

  • 労使協定の有効期間(3年以内が望ましいとされている)

  • 労働者の状況や各種措置の実施状況、同意・撤回の労働者ごとの記録を労使協定有効期間中と期間満了後3年間保存すること

参考:厚生労働省「専門業務型裁量労働制の解説」

企画業務型の場合

企画業務型裁量労働制を導入するためには、以下のプロセスが必要です。

  1. 労使委員会を設置する

  2. 労使委員会で決議する

  3. 労働契約や就業規則等を整備する

  4. 所轄の労働基準監督署に届け出る

  5. 労働者本人から同意を取る

  6. 制度をスタートさせる

労使委員会で決議すべき内容は、専門業務型裁量労働制導入時に定めるべき労使協定の内容に以下の項目を加えたものです。

  • 対象労働者の賃金・評価制度を変更する際には労使委員会に変更内容を説明すること

参考:厚生労働省「企画業務型裁量労働制の解説」

4.裁量労働制とほかの制度との違い

この章では、裁量労働制と以下の類似制度との違いについて解説します。

  • 変形労働時間制

  • フレックスタイム制

  • 事業場外みなし労働時間制

  • 高度プロフェッショナル制度

変形労働時間制との違い

変形労働時間制とは、労働時間を「1週間・1ヶ月・1年」の単位で調整する制度です。


一定期間の平均労働時間が法定労働時間を超えないのであれば、特定の期間に関しては法定労働時間を超えて働けます。変形労働時間制は、時期によって繁忙・閑散の差が激しい業務に対して、全体の労働時間を調整・短縮することを目的としています。


例えば経理業務は、決算期や月末・月初とそれ以外の時期の忙しさに大きな差があり、変形労働時間制が適していると考えられるでしょう。


裁量労働制と変形労働時間制の主な違いは、以下の通りに整理できます。

  • 裁量労働制:職種・業務の制限がある、みなし労働時間で管理する

  • 変形労働時間制:職種・業務の制限はない、実働時間で管理する

フレックスタイム制との違い

フレックスタイム制とは、一定期間の総労働時間の範囲内であれば、始業時間と就業時間を労働者の裁量で決められる制度です。


ただし、必ず働く必要がある「コアタイム」が設定されている場合は、その時間の前後で自由に労働時間を決定できます。コアタイムが設定されていない制度のことを、「スーパーフレックスタイム制」と呼びます。


裁量労働制とフレックスタイム制の主な違いは、以下の通りです。

  • 裁量労働制:みなし労働時間で管理する

  • フレックスタイム制:実働時間で管理する

事業場外みなし労働時間制との違い

事業場外みなし労働時間制とは、労働者が会社の外で業務をしていて管理者による指揮監督や労働時間の把握が困難である場合に、所定労働時間を勤務したとみなす制度です。


たとえば営業職をはじめとする、会社の外で業務を行う機会が多い職種が対象です。ただし会社の外で勤務していたとしても、管理者がいつでも連絡を取れて時間管理ができる状態にあれば、制度の対象外になります。


裁量労働制と事業場外みなし労働時間制の主な違いは、以下の通りです。

  • 裁量労働制:あらかじめ定められた特定の業務・職種を対象としている

  • 事業場外みなし労働時間制:会社の外で行う業務のみを対象としている

高度プロフェッショナル制度との違い

高度プロフェッショナル制度とは、高度な専門知識を持ち一定水準以上の年収要件(1,075万円以上)を満たす労働者に対して、労働基準法上の一部規制を適用しない制度です。


適用対象の労働者には労働基準法上の労働時間や休日の規定が適用されず、自分の裁量で自由に業務を進められます。高度プロフェッショナル制度が対象とする主な業務は、以下の通りです。

  • トレーダー、ファンドマネージャー

  • ディーラー

  • 証券アナリスト

  • コンサルタント

  • 研究開発

裁量労働制と高度プロフェッショナル制度の主な違いは、以下の通りです。

  • 裁量労働制:深夜・休日労働の割増賃金制度がある

  • 高度プロフェッショナル制度:深夜・休日労働の割増賃金制度がない

また、対象職種についても両者は異なっていると言えるでしょう。


参考:厚生労働省「高度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説」

5.裁量労働制の良かった点は?メリットを解説

この章では、裁量労働制を導入するメリットについて企業側と労働者側に分けて解説します。

企業側のメリット

裁量労働制を導入する企業側のメリットは、以下のとおりです。

  • 人件費を予測しやすい

  • 労務管理負担を軽減できる

人件費を予測しやすい

裁量労働制を導入することで、企業側としては人件費を予測しやすくなると考えられます。


裁量労働制では、みなし労働時間を用いて労働時間を管理するためです。休日割増や深夜割増など例外はありますが、基本的に残業代は発生しないと考えてみなし労働時間を元に人件費をあらかじめ概算できます。


必要な人件費の見通しが立ちやすい点は、企業運営において大きなメリットだと考えられるでしょう。

労務管理負担を軽減できる

労務管理負担を軽減できる点も、裁量労働制を導入する企業側の大きなメリットです。


実働時間で管理するケースと比較すると、みなし労働時間で固定給を処理できるため労務管理の手間を省けます。一部の例外を除いて時間外労働に対する割増賃金が発生しないことからも、賃金計算に対する人事部門の労力は大きく減らせると考えられるでしょう。

労働者側のメリット

裁量労働制を導入する労働者側のメリットは、以下のとおりです。

  • 自分の裁量で仕事ができる

  • 労働時間を短くできる

自分の裁量で仕事ができる

裁量労働制導入の労働者にとってのメリットとしてまず挙げられるのが、自分の裁量で仕事を進められる点です。


裁量労働制が適用される前提条件として、業務の進め方や労働時間などに対して上司の指示を受けないことが挙げられます。業務の進め方が労働者自身の裁量にゆだねられており、ライフスタイルに合わせて自由に設定可能です。


一部に監督者の承認が必要なケースがあり、あくまでも労働基準法上の労働時間上限を超えない範囲で業務を行う必要もあります。しかしそうした点を踏まえても、自分のペースで働ける点は大きな力でしょう。

労働時間を短くできる

裁量労働制のメリットとしては、労働時間を短縮できる点も挙げられます。


裁量労働制は、労働時間ではなく成果を評価する制度であるためです。仕事を覚えて効率的に成果を出せるようになれば、所定労働よりも短い時間で仕事を終わらせることが可能です。


ただしあくまでも勤務先が求める成果を達成することが大前提であり、そのためには段取り良く作業をこなしていく必要があります。「労働時間は関係ないから、働かなくても大丈夫」といった話ではない点に注意しなくてはいけません。


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6.裁量労働制がやばいって本当?デメリットを解説

この章では、裁量労働制を導入するデメリットについて企業側と労働者側に分けて解説します。

企業側のデメリット

裁量労働制を導入する企業側のデメリットは、以下のとおりです。

  • 導入に時間とコストがかかる

  • 制度設計が難しい

導入に時間とコストがかかる

裁量労働制導入の企業側におけるデメリットの1つが、導入に必要な時間やコストの存在です。


裁量労働制の導入にあたっては、労使協定を結んだり労使委員会を設置したりした後、所定の様式にて所轄の労働基準監督署へ届ける必要があります。手続きが複雑であると感じる企業も多く、裁量労働制導入にあたっての障壁の1つだと考えられるでしょう。

制度設計が難しい

導入にあたっての制度設計の難しさも、裁量労働制に対する企業側のデメリットだと言えます。


裁量労働制では、成果を評価するための基準を設定しなくてはいけません。評価基準に対して労働者の間で不公平感が生まれてしまえば、制度運営が失敗に終わる可能性があります。また裁量労働制の導入にあたっては、労働者の健康管理や苦情措置に関する体制作りも必要です。


制度設計もしっかりと行うことは、裁量労働制導入の成否を左右する大きな要因であると考えられるでしょう。

労働者側のデメリット

裁量労働制を導入する労働者側のデメリットは、以下のとおりです。

  • 残業代が出にくい

  • 自己管理能力が求められる

  • 不法適用の被害に遭う恐れがある

残業代が出にくい

労働者側から見ると、裁量労働制は残業代が発生しにくい制度であると言えます。


裁量労働制では実際の労働時間ではなく、事前に決めたみなし労働時間によって賃金を計算するためです。実際の労働時間が長くなってしまっても、基本的には所定の賃金しか支払われません。


「長時間働いて残業代をもらいたい」と考える方にとっては、裁量労働制によって損をしてると感じられる可能性もあります。裁量労働制においてはより短い時間で成果を出し、創出された時間によって人生を豊かにすることを考えることが大切でしょう。

自己管理能力が求められる

裁量労働制が適用される業務を行う際には、一定の自己管理能力が求められます。


裁量労働制では労働時間について上司から管理されないため、自己管理を徹底せず漫然と働いていると長時間労働につながる恐れがあるためです。長時間労働をしても原則として残業代が出るわけではないため、効率よく作業を進めなくてはいけません。


効率良く業務をこなして成果を出すためには、自分で予定を立てて着実に遂行していく必要があるでしょう。

不法適用の被害に遭う恐れがある

裁量労働制において労働者側が注意すべきポイントとして、不法適用の被害についても理解しておくべきです。


裁量労働制では残業代の支払いが不要であることから、本来は適用対象外になる労働者へ不当に制度を適用する企業も存在します。裁量のない労働者が賃金計算に対してのみ裁量労働制の仕組みを適用されれば、不当に残業代をカットされる可能性もあるでしょう。


厚生労働省としても、裁量労働制の不適性な運用が見られた企業に対しては指導や公表などの措置を取っています。しかし裁量労働制を導入している企業で働く場合、従業員側も仕組みについて一定程度は理解を深めておくことが大切です。


参考:厚生労働省「裁量労働制の不適正な運用が認められた企業への指導及び公表について」


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7.裁量労働制の仕組み

この章では、裁量労働制の仕組みについて以下の3つの観点に整理して解説します。

  • 残業代

  • みなし労働時間

  • 36協定

残業代

裁量労働制においては実際に働いた時間ではなく契約時に定めたみなし労働時間で賃金が計算されるため、原則として残業代は発生しません。


ただし特例があり、以下のケースでは固定給与にプラスして賃金が発生します。

  • みなし労働時間が法定労働時間の制限を超える

  • 深夜労働をした

  • 休日労働をした

各ケースの概要については、後の項で改めて解説します。

みなし労働時間

裁量労働制は、「みなし労働時間」によって労働時間を管理します。


みなし労働時間とは、実際に働いた時間を問わず、契約時に取り決めた時間の分働いたとみなす労働時間のことです。みなし労働時間は、労使協定や労使委員会での協議を経て労使が合意したうえで決定しなくてはいけません。

36協定

36協定(「サブロク協定」と呼びます)とは、時間外労働や休日労働に関する労使間での取り決めのことです。


労働基準法第36条に基づいていることから「36協定」と呼ばれていますが、正式名称は「時間外・休日労働に関する協定」といいます。裁量労働制を採用していても労働時間の上限規定は適用され、深夜労働や休日労働に関しては36協定を締結して労働基準監督署へ届け出なくてはなりません。


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8.裁量労働制でも残業代が出るケース

この章では、裁量労働制においても残業代が発生するケースとして以下の3パターンを解説します。

  • みなし労働時間が法定労働時間の制限を超える

  • 深夜労働をした

  • 休日労働をした

みなし労働時間が法定労働時間の制限を超える

裁量労働制でも残業代が出るケースとしてまず挙げられるのが、みなし労働時間が法定労働時間の制限を超えるケースです。


労働基準法では、「法定労働時間」として労働時間の上限が「1日8時間、週40時間」と定められています。もしみなし労働時間の設定が法定労働時間を超えている場合、超えた分には残業代を支給しなくてはいけません。


たとえばみなし労働時間が1日9時間である場合、法定労働時間の「1日8時間」よりも1時間長くなり、この分が時間外労働として残業代の対象になります。そして残業代は、基本給から計算した時給の25%増しでの算出が必要です。

深夜労働をした

深夜労働をした場合、裁量労働制が適用されていても追加で残業代を支給する必要があります。


深夜労働とは、午後10時から午前5時までの時間に働くことです。労働者の健康や生活リズムを守るため、深夜労働には25%の割増賃金が適用されます。


例えば裁量労働制の対象者が午後10時から午前1時まで労働した場合、「基礎賃金から算出した時給×1.25×3時間」の深夜割増賃金の支払いが必要です。

休日労働をした

休日労働をした場合も、裁量労働制適用有無にかかわらず追加で残業代を支給する必要があります。


労働基準法では、「少なくとも週1日か、4週間で4日以上」の休日を設けることが定められています。これを「法定休日」と呼び、法定休日に仕事をした場合は通常よりも35%以上の割増賃金を支払わなくてはいけません。

9.2024年4月改正の背景と概要

裁量労働制は、以下の背景から2024年4月に見直しされています。

  • 裁量労働制が長時間労働につながっているケースがある

  • 不適切な制度利用が行われている

厚生労働省が2021年6月に公開した調査結果によると、以下の通り裁量労働制を適用した事業所の方がかえって労働時間が長くなってしまっている実態がありました。

適用事業所

非適用事業所

1ヶ月の労働時間の平均

(1人あたり)

171時間36分

169時間21分

1日の労働時間の平均

(1人あたり)

8時間44分

8時間25分

出典:厚生労働省「「裁量労働制実態調査」の結果を公表します」


裁量労働制の仕組みを利用され、みなし労働時間では終わらない量の仕事を与えられることで長時間労働を余儀なくされるケースが一定あります。また、裁量労働制の適用対象職種以外にも不正に制度を適用し、残業代の削減につなげようとするケースもあります。


こうした状況を改善すべく、2024年4月以降に新規・継続で裁量労働制を導入するには、すべての事業所において以下の対応が必要になりました。

  1. 本人同意を得る・同意の撤回の手続きを定める(専門型・企画型)

  2. 労使委員会に賃金・評価制度を説明する(企画型)

  3. 労使委員会は制度の実施状況の把握と運用改善を行う(企画型)

  4. 労使委員会は6か月以内ごとに1回開催する(企画型)

  5. 定期報告を初回は6か月以内に1回、その後1年以内ごとに1回実施(企画型)

出典:厚生労働省「事業主の皆様へ 裁量労働制の導入・継続には新たな手続きが必要です」

10.まとめ

裁量労働制とは、労働時間を実際に働いた時間ではなく「みなし労働時間」によって管理する制度です。裁量労働制を導入することで、企業側には労務管理の負担が軽減される、労働者側には自分のペースで働けるなどのメリットが生まれます。


ただし制度の導入にあたっては複雑な手続きを経る必要があり、労働者としても自己管理能力がなければ労働時間が長くなってしまう恐れもあるでしょう。


裁量労働制の概要やメリット・デメリットなどを把握し、勤務先や転職先の企業の労働条件をチェックしてみましょう。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。


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裁量労働制とは|デメリットしかないって本当?対象職種やメリット、残業代の扱いをわかりやすく解説に関するよくある質問

裁量労働制とはどのような制度ですか?

裁量労働制を導入する主な目的は何ですか?

裁量労働制はどのような業務が対象ですか?

裁量労働制を導入するには何が必要ですか?

裁量労働制とフレックスタイム制の違いは?

企業が裁量労働制を導入するメリットは何ですか?

裁量労働制で働く労働者のメリットは何ですか?

裁量労働制の労働者側のデメリットは?

裁量労働制でも残業代は発生しますか?

2024年4月改正の裁量労働制の背景は何ですか?

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この記事の監修者

笠間 慎

大学卒業後、人材紹介会社にコンサルタントとして従事。フリーランスとして独立。その後、フリーランス案件サイト「フリーランススタート」の立ち上げに編集長兼ライターとして参画し、月間30万人が利用する人気メディアへと成長させる。 2024年より、フリーランスボード編集長に就任。自身の経験を元に、フリーランスの活躍を支援する情報を発信している。

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目次

1.裁量労働制とは

裁量労働制の目的

2.裁量労働制が対象となる業務・職種

専門業務型

企画業務型

3.裁量労働制の導入方法

専門業務型の場合

企画業務型の場合

4.裁量労働制とほかの制度との違い

変形労働時間制との違い

フレックスタイム制との違い

事業場外みなし労働時間制との違い

高度プロフェッショナル制度との違い

5.裁量労働制の良かった点は?メリットを解説

企業側のメリット

人件費を予測しやすい

労務管理負担を軽減できる

労働者側のメリット

自分の裁量で仕事ができる

労働時間を短くできる

6.裁量労働制がやばいって本当?デメリットを解説

企業側のデメリット

導入に時間とコストがかかる

制度設計が難しい

労働者側のデメリット

残業代が出にくい

自己管理能力が求められる

不法適用の被害に遭う恐れがある

7.裁量労働制の仕組み

残業代

みなし労働時間

36協定

8.裁量労働制でも残業代が出るケース

みなし労働時間が法定労働時間の制限を超える

深夜労働をした

休日労働をした

9.2024年4月改正の背景と概要

10.まとめ