現代社会では9割以上の世帯がスマートフォンやパソコンなどの情報端末を保有しているといわれています。
そうした中で、各企業が広告を出稿する場所もテレビや雑誌から変化しています。総務省の「令和6年版 情報通信白書」における国内外の広告市場を参照すると、近年はテレビ、新聞・雑誌よりもデジタル広告が大きな割合を占めていることが分かります。ちなみに、国内では、2023年インターネット広告が3兆3,330億円となり過去最多でした。
インターネット広告の市場の拡大に伴い、Webマーケティングが注目されています。Webに出稿した広告の成果を最大限引き出すために、Webやマーケティングの知識を有するWebマーケターにアドバイスをもらいたい企業が増えているためです。
本記事では、Webマーケティングの概要を押さえた上で、Webマーケティングに向いている人と向いていない人の特徴、Webマーケターの年収事情などを見ていきましょう。
目次
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1.Webマーケティングとは?
Webマーケティングとは、Webやインターネットを活用して、自社の売上向上のための施策を行うことです。
インターネット上に蓄積されたユーザーの行動を分析し、売上アップの施策の検討・実施の他、自社をオウンドメディアなどでPRして集客を行います。
デジタルマーケティングとの違い
Webマーケティングとよく混同される言葉として、デジタルマーケティングが挙げられます。
デジタルマーケティングとはデジタルを活用したマーケティング全般を指します。ちなみに、Webマーケティングもデジタルを活用したマーケティングですので、デジタルマーケティングの一部に含まれています。
デジタルマーケティングとWebマーケティングの関係性を以下の表にまとめたので、理解の参考にしてみてください。
デジタルマーケティング | ||
アプリ運用、デジタルサイネージ、SNS運用、アプリ運用、MA、CRMなど
|
2.Webマーケティングの内容
Webマーケティングでは企業の売上をアップするために、Webやインターネット上でさまざまな施策を行います。
Webマーケティングの内容は企画、実行、分析の3つに大きく分類できます。
企画
自社が抱える課題や、クライアントからヒアリングした内容に基づき、どのような施策を実施すれば目標を達成できるのか考えます。
関係者各位でアイデアを出し合い、企画がまとまったら企画書を作成します。企画書は社内意思決定者やクライアントに実施を同意してもらうために必要なものです。アイデアを実行することのメリット、実行により得られる利益を数値などを含めて分かりやすく記載します。
実行
Webマーケティングでは課題に対し、主に以下の施策を行います。
広告運用
メディア運営
SEO記事の作成
サイト改善
サイトやSNSを立ち上げることもあれば、すでに存在する場合はユーザーの目により留まりやすいよう改善を行います。
分析
施策に対し、分析を行うことできちんと成果が出ているか把握できます。また、問題点を改善することで、目標達成に近づけます。
分析では主に以下のことを行います。
数値分析
目標との差分把握
要因分析
改善プランの企画・検討
効果がない施策の継続は時間と資金の浪費です。施策後は結果分析を行い、利益につながる施策なのか客観的に把握する必要があります。
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3.Webマーケティングに向いている人とは?
近年、Webマーケティングの社会的な認知度も高まり、未経験から転身したいと考える人も増えています。Webマーケティングにはどのような人が向いているのでしょうか。
Webマーケティングに向いている人には、以下5つの特徴があります。
数字を扱うことに抵抗ない
地味な作業にも根気強く取り組める
論理的に物事を考えられる
知識のアップデートを日々行える
タスク管理が得意
それぞれ確認していきましょう。
数字を扱うことに抵抗ない
Webマーケターは文系・理系を問わず活躍できる職業といわれています。仕事の幅が広いため、文系的な仕事と理系的な仕事があるためです。例えば、市場の把握や社内・社外との打ち合わせ、報告書の作成などは文系出身者が活躍できるシーン、数値分析や考察は理系出身者が活躍できるシーンといわれています。
とはいえ、Webマーケターは文系・理系の垣根なく業務に従事するため、「自分は文系だから数値分析は無理」「数字を扱う仕事はできない」といった主張は聞き入れてもらえないことがほとんどです。
ホームページやSNSのインプレッション(表示回数)の確認、費用対効果の算出は日常的な業務ですし、これらの他にも数字を扱うシーンは多々あります。一日に1回以上は数字を扱うといっても過言ではありません。数字に過度な苦手意識がある人は企画力や高いコミュニケーション力があっても難しい場合があります。
地味な作業にも根気強く取り組める
Webマーケターは比較的新しい仕事であり、新進気鋭のベンチャー企業も多いことから、華やかなイメージを抱かれがちです。最先端のものに触れたり、クライアント企業の経営層と商談したりすることはあるものの、地味な作業こそこの仕事の中核といえます。
施策を成功させるにはエビデンスに基づいて仮説を立てたり、数字を分析したりする必要があります。一日中、パソコンの前に座り、数字とにらめっこの日もあります。
論理的に物事を考えられる
Webマーケティングでは数字や分析結果に基づいて施策を検討するため、論理的思考力が高い人が向いています。
想像力や発想力が重要なシーンもあるものの、施策を成果につなげるには、目標に対して筋道を立てて物事を考えていく力は不可欠です。
知識のアップデートを日々行える
Webマーケターを取り巻く状況は日々変化しています。効果的とされていた施策が翌年にはほとんど着目されなくなることは珍しくありません。新しい施策が次々に生まれているため、トレンドをキャッチし、知識のアップデートを行い続ける必要があります。
例えば、WebマーケティングにおいてSEO記事を主体としたマーケティングは、すでに不十分という声もあります。多くの企業や個人がオウンドメディアの運営を行っており飽和状態であるばかりでなく、SEO記事の信頼性が低下したためです。その一方、近年は、コミュニティマーケティングが流行っています。同じような興味や価値観を持つニッチなグループを活用し、信頼とエンゲージメントを築く手法です。
このように、マーケティング手法のブームは数年もあれば大きく変化しますので、Webマーケターにとって知識のアップデートは不可欠です。
タスク管理が得意
Webマーケターは複数の案件やプロジェクトを並行して進行することもあります。あるクライアントとの商談の後、別のクライアントと打ち合わせをし、さらにそのあと社内で別の案件に従事することもあります。
複数の仕事を並行して進めることに苦手意識がない人、マルチタスクに対応できる人、時間調整が得意な人は、仕事をスムーズに進められるはずです。
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4.Webマーケティングに向いていない人とは?
一方、Webマーケティングに向いていない人とはどのような特徴をもつ人なのでしょうか。不向きな職業に従事しているとストレスが溜まりますので、自分に向いているかよく考えてみてください。
Webマーケティングに向いていない人の特徴として、以下の3つが挙げられます。
変化を楽しめない人
感情で物事を決める人
自分が思う施策を行いたい人
それぞれ確認していきましょう。
変化を楽しめない人
Web業界はテクノロジーの革新や消費者行動の移り変わりなどにより日々変化しています。さらに、AIや自動化ツールの導入により、人間が行っていた業務が突然なくなることもあります。
Webマーケターとして働いていると突然の変化に驚いたり、自身の仕事がなくなるのではと不安を感じたりすることもあるでしょう。こうした状況の中でも、人間ならではの戦略的なマーケティングを考案し、クリエイティブな発想を活かしたマーケティングを行える力が必要です。
また、Webマーケティングにおいて施策が最初からうまくいくケースばかりではありません。失敗と改善を繰り返すことで、思い描いていた成果にようやくたどり着けることもあります。失敗をポジティブにとらえ、次のステップに到達できるように励める人が向いています。
感情で物事を決める人
Webマーケティングでは数字やエビデンスに基づいて判断することが望ましいとされています。数字や客観的な証拠が裏付ける事実をもとに施策を提案し、クライアントに納得してもらうためです。
自分の勘や感情で施策を提案したり、何となくうまくいくだろうという気持ちだけで施策を進行したい人は仕事の細かさに疲弊してしまうでしょう。
自分が思う施策を行いたい人
自分の思いや感情で何かを生み出したい人、自分が好きなアプローチ法で利益を生み出したい人もWebマーケティングには不向きです。
クライアントの要望に応じ、自身が好まない施策を実行するシーンもあります。また、ほとんどの職業に共通することですが、クライアントの利益を最優先にするため、個人の感情や好みは二の次となります。
5.「Webマーケティング適性診断表」で適正をチェック!
Webマーケターに自分が向いているか悩んでいる人は、以下のWebマーケティング適正診断表で適正をチェックしてみてください。〇の数が多ければ、それだけ適正が高いとみなせます。
診断項目 | 評価 |
---|---|
デジタル全般に抵抗がない | |
細かい作業が得意・一つの作業に没頭しやすい | |
数字に抵抗がない | |
論理的に物事を考えられる | |
変化を楽しめる | |
周囲と協力して何かを行うことが苦ではない | |
コミュニケーション力がある | |
向学心・探求心がある | |
学ぶことが好き、もしくは学び続けることに抵抗がない | |
スマホやパソコンを日常的に使っている | |
パワーポイントやエクセルの基本操作を問題なくこなせる |
診断結果の目安
〇の数 | 適性レベル |
---|---|
9-11個 | 非常に高い適性あり |
6-8個 | 適性あり |
3-5個 | 努力次第で可能性あり |
0-2個 | 基礎から学習が必要 |
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6.Webマーケティングの年収事情
Webマーケターの平均年収は500~600万円といわれています。ただし、平均年収はあくまでも目安であることを忘れてはいけません。経験が長ければ年収はそれだけ高くなりますし、社内で役職がつけば収入も増えます。一方、この職に就いたばかりの人は特別な何かがない限り、年収は300万円台が目安になります。
また、Webマーケターはフリーランスとの相性がよいです。年収を大きく上げたい人や自分の好みに合わせて仕事を選びたい人は、フリーランスを検討してみることをおすすめします。
フリーランスのWebマーケターの年収は他の職業と比べて高い傾向にあります。フリーランス案件・求人一覧を扱っているフリーランスボードによると、Webマーケターのフリーランス案件・求人一覧の月額単価の平均は71.7万円となっています。 なお、Webマーケターの年収の目安は861万円です(2025年06月時点)。
7.Webマーケティングはやめとけといわれるのはなぜですか?
仕事をし、お金を稼ぐのは大変なことですし、人には向き不向きはあります。このため、Webマーケティングに従事することに対して、否定的な見方をする人がいても不思議ではありません。
Webマーケターとして働く上でもっとも大変なのは、覚える内容が多く、仕事の幅が広いことです。専門用語やツールの使用方法を覚えなければなりませんし、仕事内容も企画から分析まで多岐にわたります。このため、特定の分野にのみ秀でている人よりも、何事も器用にこなせる人が向いています。
また、キーワードのリサーチやデータ分析など細かな作業を行う機会も多いです。にぎやかな環境で働きたい人、一人で作業に没頭するのが苦手な人にとってはストレスが溜まったり、孤独を感じたりすることもあるかもしれません。
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8.まとめ
Web社会といわれる今、多くの企業がWeb広告を出稿しています。どのような施策が高い効果につながるのか悩んでいる企業の担当者も多く、Webマーケターの専門知識を求める声は後を絶ちません。
今後もWebは人びとの生活の基盤であり続けると考えられるため、Webマーケターが活躍するフィールドは増えることはあれど、減ることはないでしょう。
Webマーケターは将来的な需要も見込めますが、向き不向きがはっきりしている仕事であるため、自分に向いているかよく考えてみることをおすすめします。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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