「ディープラーニングについて学びたい」「ディープラーニングに関する実力を証明したい」とお考えであれば、E資格の合格に向けて勉強してみてはいかがでしょうか。
E資格はAIや深層学習及び機械学習に関連する検定試験の中でも難易度が高く、ディープラーニングエンジニアとしての実力を証明するのにふさわしい検定試験であり、非常におすすめです。
今回はE資格に関する基礎知識や詳細情報、E資格の資格取得のメリット・デメリット、E資格合格のための参考書の選び方や学習及び対策方法についてお話しします。
目次
1.E資格に関する基礎知識
はじめにE資格に関する基礎知識について解説します。
E資格とは
E資格とは、一般社団法人 日本ディープラーニング協会が実施するディープラーニングエンジニアとしての知識やスキルが問われる検定試験です。実力の証明を担保するために指定された講座を受講する必要があります。E資格を受験するための前提となるエンジニアの知識も多く必要なため、ディープラーニングエンジニアとしての実力を証明しやすい認定資格です。
ディープラーニングやAI関連の資格として、AI実装検定実行委員会(AIEO)の実施するAI実装検定や同協会の主催するG検定などがあり、ランク的には上から2番目の難易度に位置しています。E資格はディープラーニングエンジニアとして、深層学習や機械学習AIやIoTなどの領域でエンジニアとして働きたい方におすすめの資格と言えるでしょう。
「E資格 意味ない」と言われる理由
E資格について情報収集をしていると「E資格 意味ない」というサジェストキーワードを見かけることがあります。E資格を受験するためには、ディープラーニング及び深層学習に関する知識だけでなく、エンジニアとしての基礎やプログラミング能力、数学や統計学など多岐にわたるため、受験すること自体が難易度が高いと言えることから、受験する意味がないということは決してありません。
むしろ、昨今注目を集めているAI関連の領域での活躍が期待できることから、最新の技術を用いたキャリアの形成が実現できることを考えると、受験に必要な知識やスキルを所持しており、深層学習に興味があるなら是非とも受験すべき認定資格と言えるでしょう。
E資格の合格で目指せるキャリア
ディープラーニングエンジニア
IoTエンジニア
上記がE資格の合格で目指せるキャリアの一例です。E資格はディープラーニング及び深層学習、機械学習の領域とともに、プログラミングやAI、統計学や数学などの知識も求められることから、AIやデータ関連のキャリアの選択肢を増やすことができます。
その他にもディープラーニングやAIを活用したオンラインサービスの開発、アプリケーション開発、特定の分野を対象とした研究者などが選択肢に入るようになり、身につけるスキルや経験次第で様々な業界や業種で活躍できるようになるでしょう。
2.E資格の詳細情報
次にE資格の詳細情報について解説します。
E資格の詳細
試験名 | E資格(エンジニア資格) |
---|---|
英語表記 | JDLA Deep Learning for ENGINEER |
試験会場 | ピアソンVUEテストセンターまたはオンライン監督付き試験 |
試験日時 | ピアソンVUEテストセンター ・試験会場ごとに確認する必要あり オンライン試験 ・2月と8月の年2回 |
試験時間 | 120分 |
出題形式 | CBT方式 多肢選択式 PyTorchまたはTensorFlowを利用した実装 |
出題数 | 100問程度 |
合格基準 | 非公開 |
受検料 | 一般:33,000円 学生:22,000円 会員:27,500円 |
前提条件 | JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること |
試験結果 | 試験終了後、ディスプレイ上に表示 |
参考元:https://www.jdla.org/certificate/engineer/
上記がE資格の詳細です。あらかじめ最寄りのピアソンVUEテストセンターを調べておき、どのようなスケジュールで試験が開催されているかチェックしましょう。
受験する前提条件に「JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること」が含まれていることから、E資格認定プログラム事業者一覧を参照して、受講できそうなコースを調べておくことも大切です。
JDLA認定プログラムについては、個人の方の場合、専門実践教育訓練の給付制度があり、企業や組織として申し込む場合は人材開発支援助成金による補助が受けられることから、自分自身や会社が条件に合致しているかどうか調べて、給付金がもらえるかチェックしておくことも大切です。
E資格の出題範囲
数学的基礎 | 確率・統計 情報理論 |
---|---|
機械学習 | 機械学習の基礎 |
深層学習の基礎 | 順伝播型ネットワーク 深層モデルのための最適化 深層モデルのための正則化 畳み込みニューラルネットワーク リカレントニューラルネットワーク Transformer 汎化性能向上のためのテクニック |
深層学習の応用 | 画像認識 物体検出 セマンティックセグメンテーション 自然言語処理 生成モデル 深層強化学習 様々な学習方法 深層学習の説明性 |
開発・運用環境 | エッジコンピューティング 分散処理 アクセラレータ 環境構築 |
フレームワーク | grad-cam==1.4.8 matplotlib==3.8.2 numpy==1.26.2 opencv-python==4.8.1.78 tensorflow==2.15.0 tf-explain==0.3.1 torch==2.1.1 torchinfo==1.8.0 torchvision==0.16.1 |
参考元:https://www.jdla.org/certificate/engineer/
上記がE資格の出題範囲です。数学、機械学習、深層学習の基礎と応用、そして開発及び運用環境の構築など、ディープラーニングやAIの技術を実践的に扱うための技術領域が全般的に含まれているのが特徴といえます。
また、試験にはPyTorchまたはTensorFlowのフレームワークを選択し、実装を行う実技も含まれていることから、ディープラーニングや機械学習における理論に関する理解だけでなく、フレームワークを扱うための知識及びスキルも必要となることを覚えておきましょう。
E資格の受験者数・合格率
開催回 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
2022年 #2 | 917 | 897 | 644 | 71.79% |
2023年 #1 | 1,131 | 1,112 | 807 | 72.57% |
2023年 #2 | 1,089 | 1,065 | 729 | 68.45% |
2024年 #1 | 1,215 | 1,194 | 867 | 72.61% |
2024年 #2 | 930 | 906 | 600 | 66.23% |
参考元:https://www.jdla.org/news/20240308001/
上記がE資格の受験者数・合格率です。ディープラーニングやAI関連の資格の中では難易度が高い部類に入るものの、合格率が約7割前後と比較的高めに見え、難易度が低いように感じるかもしれません。
2024年#2の合格者を職種別で見てみると、研究・開発が242名(40.33%)、情報システム・システム企画が135名(22.50%)と合格者の約63%が開発に携わっている/近しい職種であることがわかります。
そのため、合格率が高い理由として、E資格に受験するための条件や知識及びスキルが身についている方が受験していると推測でき、合格率だけで難易度が低いという見方をすることは油断につながることも知っておきましょう。
なお、E資格の累計合格者数は8,485名であり、各科目の平均得点率は、応用数学59.89%、機械学習58.07%、深層学習56.03%、開発環境68.50%となっています。
まずは公式サイトからダウンロードできる詳細な試験範囲のPDFをダウンロードして、キーワードや専門的な用語が読み解けるかどうかをチェックし、分からない場合は基礎が身についてないことが推測されるため、AI実装検定やG検定の受験から挑戦するように進路変更することをおすすめします。
E資格の申し込み手順
ピアソンVUEでJDLAアカウントを作成
受験場所の選択
受験チケット事前購入または試験予約
クレジットカード、コンビニ決済、振込決済のいずれかで支払い
本人確認書類を持参して、指定した日時に受験
上記がE資格の申し込み手順です。受験に申し込む前に「JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること」という前提条件を満たしているかどうかを必ずチェックしてください。過去2年以内というのは、認定プログラムの終了から2年以内に受験しなければ、受験資格を失うという意味でもあるので注意しましょう。
補足としてE資格の試験が年2回の開催であることを忘れず、タイミングを逃すと一気に半年から1年程度が経過してしまうということもあらかじめ留意しておいてください。
E資格の有効期限
E資格の有効期限は公式には特に明記されておりません。ただし、ディープラーニングだけでなく、エンジニア領域の技術については、日々進歩していることからも、自分自身で最新の情報を収集し、新しい技術を取り入れて、知識やスキルのアップデートを行っていくことをおすすめします。
E資格の難易度・勉強時間
E資格の難易度と勉強時間については、受験される方のディープラーニング領域の知識やスキルにおける理解度によって大きく異なります。
JDLA認定プログラムを受講し、内容がしっかりと理解できており、実技試験にも対応できる方であれば、合格率が70%前後であることを踏まえてそう難易度は高くないと言えます。勉強時間については、出題範囲的にAIやディープラーニングの基礎が身についている状態であれば、おおよそですがJDLA認定プログラムの受講も含めて、100時間から300時間が必要になると見込んでおきましょう。
初めてディープラーニングを学ぶ方の場合、数学的知識やプログラミングスキルの補強が必要になることが多いため、難易度が相対的に高くなると考えられます。
また、JDLA認定プログラムを受講しても内容が理解できなかったり、実技試験に対応するための環境を整えなくなったりする場合も難易度が高くなるでしょう。
勉強時間についても同様であり、AIやディープラーニングに関する基礎を身につけるために100時間から200時間、JDLA認定プログラムの内容が理解できるようになった段階からさらに100時間から300時間が必要になることが推測されます。
どちらの場合においても、多肢選択式の問題だけでなく、PyTorchまたはTensorFlowを利用した実装を行う実技試験も含まれることから、出題範囲を記憶するだけでなく、理解して応用できる能力が必要となることを前提として余裕を持った勉強時間を考えることをおすすめします。
3.E資格の資格取得のメリット
次にE資格の資格取得のメリットについて解説します。
ディープラーニングのエンジニアとしての知識が身につく
E資格の資格取得のメリットとして、ディープラーニングのエンジニアとしての知識が身につくことが挙げられます。同時にディープラーニングエンジニアとしての実力が証明できることもメリットと言えるでしょう。
特に学生の方や現在はエンジニア領域以外でお仕事をされている方の場合、実務経験がないと採用の際に少々不利になることも考えられます。E資格の合格によってディープラーニングエンジニアとしての一定の知識やスキルを有していることがその他の未経験者の方との差別化につながると同時に、ディープラーニングエンジニアの募集に応募できる条件を満たすということも覚えておいてください。
AIや深層学習及び機械学習の分野でのキャリアが開ける
E資格の資格取得のメリットとして、AIや深層学習及び機械学習の分野でのキャリアが開けることが挙げられます。AIやディープラーニングを専門とする企業へのキャリアの道や特定の業界や業種でのディープラーニングエンジニアとしての実務経験のキャリアなども視野に入るということです。
ディープラーニングやAIにおいてはまだまだ技術的な進化が進んでいる領域でもあるため、最新の技術に触れることのできる職場環境で実務経験を積める可能性が開けること自体が、キャリアアップにもつながっていくということも知っておきましょう。
深層学習に関連する技術領域のスキルを身につけやすい
E資格の資格取得のメリットとして、深層学習に関連する技術領域のスキルを身につけやすいことが挙げられます。例えば出題範囲にも含まれている数学や統計、データ関連、プログラミング能力、機械学習やエッジコンピューティングの領域など、それぞれに関連する技術のスキルが身につけやすいという意味です。
その他にもPythonやLinux、GCPやAWSのようなクラウドコンピューティング、データサイエンスやデータベースエンジニアの技術などとも相性が良いため、受験される方の興味関心に合わせて成長できる可能性を広げられるのも大きなメリットと言えるでしょう。
4.E資格の資格取得のデメリット
次にE資格の資格取得のデメリットについて解説します。
E資格に挑戦するための学習コストや金銭的なコストがかかる
E資格の資格取得のデメリットとして、E資格に挑戦するための学習コストや金銭的なコストがかかることが挙げられます。特にJDLA認定プログラムを受講するための費用がそれなりに高額になるため、あらかじめ金銭的コストを投資しなければならないというのもデメリットに感じる可能性が高いです。
そのため、受講するための金銭的な給付金が受けられるかどうかはあらかじめ調べておきましょう。もし受けられない場合においても、どうしても取得したいと考えた場合は自分の未来への投資だと考え、勉強時間も含めて積極的に投資することをおすすめします。
前提として覚えておく必要のある知識やスキルが多い
E資格の資格取得のデメリットとして、前提として覚えておく必要のある知識やスキルが多いことが挙げられます。数学や統計などの基礎や応用から、深層学習や機械学習、そしてある程度のプログラミングに関する知識、物理的なデバイスやOSを使いこなすためのスキルなど幅広いのが理由です。
E資格においては、実技試験に近い問題も出題されることから、前もって練習することを考えると、環境を整えるためにパソコンやOSを不自由なく使えるスキル、LinuxやPythonなどの知識もある程度は学んでおくと良いでしょう。
JDLA認定プログラム以外での学習方法や情報が少ない
E資格の資格取得のデメリットとして、JDLA認定プログラム以外での学習方法や情報が少ないことが挙げられます。一般的な試験では、実施している団体が認定する参考書や書籍、もしくは推奨図書などが示されますが、E資格の場合は特に指定がなく、独学で学ぶための教材を探すことに時間が多少かかるでしょう。
ただし、JDLA認定プログラムの受講が前提条件であることを考えると、コースで用意されている教材を利用することで出題範囲を網羅的に学べるので、必要以上に心配はないでしょう。
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5.E資格合格のための参考書の選び方や学習及び対策方法
次にE資格合格のための参考書の選び方や学習及び対策方法について解説します。
前提条件でもあるE資格に対応したJDLA認定プログラムを受講する
E資格の合格に向けて、まずは前提条件でもあるE資格に対応したJDLA認定プログラムの受講の検討から入りましょう。JDLA認定プログラムはカリキュラムごとに認定テストが行われ、合格しなければ修了の認定を受けることができません。
そのため、前もって公式のトップページからダウンロードできる詳細な出題範囲のPDFなどをチェックして、自分自身が講座に対応できるかどうかを判断した上で、受講を始めるタイミングを考えましょう。また、JDLA認定プログラムのカリキュラムは講座の実施元にもよりますが、3ヶ月から6ヶ月程度の受講時間が必要なボリュームになっています。勉強時間や勉強計画を考える際の参考にして、期間内に修了できるかどうかも判断材料にしてください。
難しいと感じたらAI実装検定やG検定から挑戦しよう
E資格の合格に向けて、JDLA認定プログラムの受講を検討したが難しいと感じた場合はAI実装検定やG検定から挑戦することに切り替えることをおすすめします。IT技術に関する基礎自体が身についていない場合は、IPAのITパスポートや基本情報技術者の受験も視野に入れておきましょう。
E資格の合格率が高いのは、ある程度基礎が身についてる方が受験していること、JDLA認定プログラムでのカリキュラムごとのテストが効果的であることが理由でもあるため、きちんと基礎を身につけてJDLA認定プログラムに対応できるようにしていくことが、合格できる可能性を高める近道だと覚えておいてください。
エンジニア領域の技術書やオンラインサービスも利用する
E資格の合格のためにも、出題範囲に関連するエンジニア領域の技術書やオンラインサービスも利用するのも非常におすすめです。ディープラーニングやAI関連の技術はそれぞれが相互に関係性が高いものが多く、同時に同じように見えても手順や手法が異なるため、明確な違いや実質的な定義などを理解するためにも、自分自身に相性の良い書籍を見つけて、知識量を増やしていくのが最も効果があります。
また、実技試験に備えて、Progateのようなオンラインサービスでコーディングやプログラムの基礎について学ぶのもおすすめです。プログラミングに関するアルゴリズムやコーディングの文法などについて理解が深まると、実技試験の内容で困ることなく合格できる可能性が高まります。同時に、可能であれば実技試験と同じ環境を整えて、あらかじめフレームワークを触っておくと良いでしょう。
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6.まとめ
今回はE資格に関する基礎知識や詳細情報、E資格の資格取得のメリット・デメリット、E資格合格のための参考書の選び方や学習及び対策方法についてお話ししました。
E資格は合格率は高いものの、受験するための前提となるエンジニアとしての知識が必要であるため、合格までにかなりの勉強時間を要する検定試験です。その分、他のエンジニアとの差別化につながることから、AIや深層学習及び機械学習の分野で活躍したいとお考えであれば、是非とも合格に向けて頑張ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。