確定申告とは副業や不動産収入などの各種所得(所得=収入から必要経費を差し引いた金額)の合計をもとに納めるべき所得税を計算して、税務署に申告・納税する手続きのことです。申告期間は原則として、毎年2月16日から3月15日までと定められています。
特に初めて確定申告をする方は、以下のような疑問を持つことが多いと考えられます。
自分が確定申告の対象かどうかを知りたい
確定申告の方法を簡単に理解したい
今年の確定申告期間がいつからいつまでか確認したい
医療費控除やふるさと納税の申告方法を知りたい
そこでこの記事では確定申告が必要な人や実際の手順について、分かりやすく解説していきます。
目次
1.確定申告とは?
所得税の確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に得た収入から必要経費を差し引いた「利益」に対して課せられる税金(所得税)を自分で計算して納税を行う手続きのことです。既に源泉徴収されている税金や予定納税の金額があれば、それらの過不足を調整します。
確定申告の期間は通常、翌年の2月16日から3月15日まで(祝日等の場合は翌営業日)に行われます。2024年分の確定申告は、2025年2月17日(月)から3月17日(月)までの期間です。
2.なぜ確定申告が必要なのか?
日本の所得税においては、税務署に自分で税金を申告し納付する「申告納税方式」が採用されています。そのため個人が得た収入については各自が所得を正確に計算して税務署に申告し、納税しなければなりません。一方地方税に関しては、個人ではなく行政機関が納税額を決定する「賦課課税制度」が採用されています。
「所得」とは?
1年間で得た収入から、必要経費を差し引いた金額が「所得」です。確定申告とはこの所得を集計し、税金を計算して自分で申告・納税する手続きです。
収入: 1年間に得た総額(給与や売上など)
所得: 収入から仕入額や必要経費を差し引いた額
課税所得: 所得から各種所得控除(扶養控除や配偶者控除など)を差し引いた額
給与をもらっている給与所得者の場合、給与所得控除を引いた後の金額が所得になります。
そして所得の分類 「所得」は所得税法に基づいて以下の10種類に分類されます。
利子所得: 預金や公社債などから得られる利子に関する所得
配当所得: 株式配当や投資信託の分配金に関する所得
事業所得: 農業や漁業、製造業、サービス業などからの所得
不動産所得: 土地や建物、船舶の貸付けから得られる所得
給与所得: 役員や従業員の給料、賞与などに関する所得
退職所得: 退職金や厚生年金基金からの一時金に関する所得
譲渡所得: 土地や建物などの資産の売却による所得
山林所得: 山林を伐採して得た所得
一時所得: 特定の継続的行為から生じた一時的な所得
雑所得: 他の所得に分類されないもの(副業など)に関する所得
副業で得られる所得は多くが「雑所得」に分類されます。 必要経費は、事業を営むために実際に使用した費用を指します。
3.確定申告が必要な対象者について
確定申告を行うべき人には個人事業主(所得から各種控除を引いた後でも残額がある場合)や副業の収入が20万円を超えるサラリーマンや年間の給与が2,000万円を超える方など該当します。
さらに初年度の住宅ローン控除・医療費控除・寄付金控除を受ける際にも確定申告が必要です。
確定申告が必要かどうかについて、以下で確認してみましょう。
給与所得者(サラリーマン)で確定申告が求められる場合
サラリーマンの方で副業の収入が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。具体的には、主に以下に該当する場合に確定申告を行わなければなりません。
主な給与収入が2,000万円を超える場合
主たる給与で「年末調整」が行われなかった場合
複数の場所から給与を受け取っており主たる給与について「年末調整」がされているが、従たる給与の合計が20万円を超える場合※
副業による事業所得・土地やアパートの賃貸収入(不動産所得)・不動産の売却益(譲渡所得)など、その他の所得の合計が20万円を超える場合(ただし、合算できない所得もあります)
※主たる給与とは「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した勤務先から支払われる給与を指し、従たる給与はそれ以外の勤務先から支払われる給与です。
自営業者・フリーランスなどで確定申告が必要な人
個人事業主の場合、基本的に所得が48万円以上であれば確定申告が必要です。この48万円は基礎控除額に相当するため、これを超えるかどうかが申告の必要性を判断する基準となります。個人事業主が確定申告を行うべきケースは以下の通りです。
事業所得やフリーランスとして得た収入(事業所得)、土地やアパートを賃貸して得た収入(不動産所得)などの総額から所得控除を差し引いても残る金額がある場合
公的年金受給者で、公的年金に関連する雑所得から所得控除を差し引いても残額がある場合
4.確定申告をすると得をするケース
確定申告の義務がなくても申告を行うことで税金の控除を受けたり、還付金を受け取ったりできる場合があります。次に該当する方は、確定申告を行うことを検討しましょう。
年末調整前に退職し、その後手続きをしていない人
年末調整前に退職した場合、通常よりも多くの源泉所得税が差し引かれていることが多いです。新たに別の会社に転職した場合、その会社で年末調整が行われます。
ただし転職のタイミングや無職になるなどの状況によっては、年末調整が行われないことがあります。その場合には確定申告をすることで、税金の過払いが還付される可能性があります。
年間で医療費が10万円以上かかった人
年間で10万円を超える医療費を支払った場合、医療費控除を適用することができます。
ふるさと納税や寄付金を支払った人
ふるさと納税などの寄付を行った場合、寄付金控除により税金が還付されることがあります。
現在ふるさと納税では「ワンストップ特例制度」を利用することで、確定申告をせずに寄付金控除や税金の還付を受けることができます。ただし以下の条件に該当する場合はワンストップ特例制度が利用できないため、確定申告を行う必要があります。
1年間にふるさと納税をした自治体が6自治体以上の場合
ワンストップ特例申請書を提出していない自治体が1つ以上ある場合
もともと確定申告の義務がある場合
住宅ローンを利用した人
新築住宅の購入や特定の住宅改修工事を行った場合には住宅ローン控除を受けることができ、その結果税金が軽減されます。
住宅ローン控除を受けるには税務署から「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を入手する必要があるため、初年度は確定申告が必要です。
2年目以降は税務署から受け取った計算明細書を基に、年末調整で住宅ローン控除を適用することができます。
災害による損害を受けた人
台風などの自然災害や盗難に遭った場合、「雑損控除」を利用することで税金が還付される可能性があります。
雑損控除の対象となるのは、「納税者」もしくは「納税者と生計を共にする配偶者や親族で、総所得金額が48万円以下の方」です。
雑損控除で控除される金額は、以下のいずれか大きい方が適用されます。
(差引損失額)-(総所得金額等)×10% (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円 |
ここで「差引損失額」とは、「損害金額」と「災害関連支出の金額」の合計から、「保険金などで補填された金額」を引いた金額を指します。
損害金額は、被害を受けた資産の時価を基準に算出します。具体的には同じものを現在取得するために必要な金額から、使用年数に応じた減価償却分を差し引いた金額です。災害関連支出の金額は、災害により損害を受けた住宅などの取り壊し費用・撤去費用・修繕費用を指します。
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5.予定納税をしなくても、確定申告で所得税の減税が適用される場合がある
予定納税を行っていない個人事業主は、確定申告をすることで定額減税の対象となります。
定額減税とは、2024年に導入される所得税および住民税の減税措置のことです。一方で予定納税とは前年の所得税額が15万円以上である場合に、翌年の所得税の一部を確定申告期限より前に前払いする仕組みです。
以下の2つの条件を満たす場合に、定額減税の対象者となります。
2024年分の所得税および住民税を納付していること
2024年分の合計所得金額が1,805万円以下であるこ
これらの条件を満たす場合には所得税で3万円、住民税で1万円、合計4万円の減税が適用されます。さらに所得が48万円以下の同一生計配偶者や扶養親族がいる場合、1人につき所得税3万円・住民税1万円が追加で減税されます。
予定納税を行った場合の対象者
2024年分の所得について予定納税を行う方は通常、第1期分の予定納税額から定額減税分が差し引かれます。対象者には税務署から通知が送られますので通知が届いていない場合は、予定納税の対象者ではありません。
予定納税を行わなかった場合の対象者
予定納税を行っていない場合には所得税の確定申告を通じて、計算された所得税額から定額減税分を差し引くことができます。ただし予定納税をしていない方は確定申告をしないと定額減税を受けられないため、忘れずに申告を行うよう注意が必要です。
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6.青色申告か白色申告を選ぶ
それでは、確定申告の手続きについて具体的に説明していきます。確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2つの方法があります。まずは、どちらの申告方式を選ぶかを決めることから始めましょう。
青色申告の特徴とメリット
青色申告は、確定申告において複式簿記での記帳が求められる申告方法です。青色申告を選択して確定申告を行うと、事業収入から「最大10万円」「最大55万円」「最大65万円」の特別控除を受けることができるという利点があります。
青色申告を選びたい場合は、対象年の3月15日までに所轄の税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。ただしその年の1月16日以降に事業を開始した場合は、事業開始から2ヶ月以内に申請書を提出してください。
青色申告には特別控除のほかにも事業の赤字を最大3年間繰り越すことができるなど、主に以下のようなメリットがあります。
事業の赤字を最大3年間繰り越せる
家庭関連の費用を必要経費として計上できる
青色事業専従者給与を必要経費にできる
減価償却の特例が適用可能
白色申告の特徴と適用範囲
一方白色申告は簡便な簿記による記帳が認められており、複式簿記を使った記帳や事前の申請は必要ありません。青色申告に比べると記帳や書類作成の負担は少ないものの、青色申告のような大きな節税効果は期待できないというデメリットがあります。
白色申告が適しているのは以下のような方々です。
会計の知識がない方
経理作業が苦手で、簡単な方法で確定申告をしたい方
事業収入が少なく、控除を十分に活用できない方
青色申告特別控除を活かせないため、節税のメリットを享受できない方
これらの方々には、白色申告の方が負担が少なく適していると言えます。
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7.確定申告書の作成方法を選ぶ
青色申告または白色申告を選んだ後に次のステップとして、いずれかの方法で確定申告書を作成するかを決定しましょう。
確定申告書作成コーナーで作成する
国税庁のWebサイトには「確定申告書等作成コーナー」というページがあり、必要事項を入力するだけで確定申告書を作成できる仕組みがあります。
このツールは使いやすさにおいて直感的ではなく操作がやや難しいという点がデメリットです。一方、確定申告書作成コーナーのメリットは以下の通りです。
政府が提供しているため、信頼性が高い
画面の指示に従って入力を進めることで、確定申告書を簡単に作成でき、納税額も自動的に計算される
収支計算がシンプルで、経費などが少ない方に適している
確定申告ソフトを使って作成する
確定申告ソフトは申告書の様式に合わせた入力画面に必要な情報を入力することで、申告データを作成できるソフトウェアです。
フォームに沿って入力するだけで申告書が作成できるため簿記や会計の知識がなくても簡単に利用でき、個人事業主・フリーランス・サラリーマンの副業に確定申告におすすめです。確定申告ソフトのメリットは以下の通りです。
直感的に操作でき、簡単に確定申告書を作成・提出できる
クレジットカードや銀行口座と連携できるため、仕訳作業がスムーズに行える
スマートフォンでも使用できるソフトが多い
初めて確定申告を行う方や、個人事業主・フリーランスの方、長期的に副業を続けたい方に特におすすめ
確定申告ソフトのデメリットとして一般企業が提供しているツールであるため、一部機能は有料であったり無料版でも広告が表示されることが多い点が挙げられます。
手書きで作成する
紙の確定申告書を使って、手書きで申告書を作成する方法です。確定申告書の主な入手方法は以下の通りです。
税務署に直接取りに行く
税務署から取り寄せる
申告期間中に設置される申告相談会場で受け取る
自宅やコンビニでプリントアウトする
紙の確定申告書を使用する場合には計算ミスや記載ミスが発生しやすく、初心者にはあまりおすすめできません。また青色申告を行う場合、紙で申告をすると65万円の特別控除が受けられなくなります(電子帳簿を保存していれば適用可能です)。ただし、以下のような利点もあります。
申告期間中に税務署に直接持ち込み、相談しながら作成できる
時間がかかるかもしれませんが、確定申告を完了させた達成感を得られる
パソコンが苦手な方や、税務署の担当者と慎重に確認しながら申告したい方に適している
作成に関して疑問があれば税務署で直接相談したり、電話で国税局の電話相談センターを利用したりすることもできます。
税理士などの専門家に依頼する
確定申告の代行を税理士に依頼することもできます。税理士に依頼すると報酬が発生しますが、以下のようなメリットがあります。
正確な申告が可能になる
節税のアドバイスが受けられる
確定申告に関するさまざまな相談ができる
もし確定申告を自分で行うのが不安だったり、申告内容が複雑だったりする場合は税理士に依頼することを検討してみるのも一つの方法です。なお、税理士の依頼した費用分は経費に計上できます。
8.書類の準備・作成・提出
次に確定申告の準備から申告書の作成、提出に至るまでの大まかな流れを説明します。
必要な書類や資料を用意する
確定申告の内容によって必要な書類は異なりますが、一般的には以下の書類が必要となります。
確定申告書
収支内訳書または青色申告決算書
固定資産台帳
申告書作成・提出に必要な書類
領収書やレシート、帳簿
源泉徴収票など
保険料控除明細書、医療費控除の明細書、寄付金の受領証など
マイナンバーカード
金融機関の口座情報
申告書類を作成する方法
収集した資料を基に、確定申告書に必要な情報を記入していきます。一般的に記入の際は、「後ろから前へ」と進めると間違いが少なくなります。
例えば不動産所得の申告をする場合、まず不動産所得に関する収支内訳書の計算結果を確定申告書の「第二表」(所得の内訳)に記入します。その後、「第二表」の内容を「第一表」に転記します。
最後に住所や氏名などの基本情報を記入し、税額を計算すれば申告書の作成が完了します。
税務署に書類を提出する手段
確定申告書の提出方法には以下の4つの方法があります。
e-Taxやスマートフォンアプリを使った電子申告
税務署窓口への直接持参
郵送による提出
税務署の時間外収集箱への投函
納税または還付手続きを行う
確定申告を行うと、納税額(もしくは還付額)が確定します。
納税が発生する場合
計算の結果、納税が必要な場合は納付書を使って支払いを行います。現金での納付の場合、納税の期限は原則として3月15日です。 納税資金に余裕を持ちたい、または現金納付が面倒な場合は「振替納税」の利用が便利です。
振替納税を利用すると納税期限になると登録した口座から自動的に所得税が引き落とされ、支払い忘れを防ぐことができます。さらに引き落とし日は通常4月下旬で、現金納付より1ヶ月以上納税の猶予があります。
納税方法にはいくつかの種類があり、次のようにまとめることができます。
税務署や金融機関(店舗)で窓口で支払い(領収証書あり)
ATM(ペイジー対応ATMのみ)
コンビニ(30万円以下、バーコードやQRコード付き納付書で支払い)
ダイレクト納付(電子申告後、事前登録した口座から振替)
インターネットバンキング(あらかじめ税務署へe-Taxの利用開始手続きを行う必要があります。)
口座振替(事前に口座振替依頼書を提出)
クレジットカード
国税クレジットカードお支払サイト(決済手数料に注意)
スマートフォンアプリ(国税スマートフォン決済専用サイトから電子マネー(PayPayなど)による支払い)
還付が発生する場合
税務署の処理状況により多少の遅れはありますが、通常1~2ヶ月程度で「国税還付金」が指定口座に振り込まれます。還付金を早く受け取りたい場合は、e-Taxによる電子申告がおすすめです。書面で提出するよりも迅速に処理され、通常2~3週間程度で還付金が振り込まれます。
9.税務署で確定申告の無料相談を受けられる
確定申告に関して不明点がある場合、最も利用される相談先は税務署の窓口です。確定申告が初めての方などは、税務署で相談を受けることができます。ただし十分な時間が必要となる場合があるため、事前に予約をしておくことが大切です。
また確定申告の時期には相談会が開催されることもありますが感染症の影響などにより入場が制限されることもあるため、注意しておく必要があります。
10.税務署で確定申告の相談ができるタイミング
税務署で確定申告に関する相談を受けることができる時間は、基本的に平日の午前8時30分から午後5時までです。土日祝日は対応していません。
ただし確定申告の期間中などは、土日でも相談を受け付けている場合があります。土日の相談を希望する場合は、事前に税務署に電話などで確認しておくことをお勧めします。
11.税務署などで確定申告について相談するには?
税務署で確定申告に関して相談する方法について説明します。
税務署を訪れて直接相談する
税務署への確定申告の相談方法の一つとして、直接税務署を訪れて相談することがあります。しかし事前に予約をしていない場合、その場での相談ができないこともあるので注意が必要です。相談を希望する場合は、必ず事前に所轄の税務署に予約を取るようにしましょう。
電話を通じて相談する
確定申告に関しては、所轄の税務署に電話で相談することも可能です。電話をかけると自動音声案内が流れます。案内に従って進むと担当者に繋がります。最終的には国税局の電話相談センターに繋がり税務署の職員と直接話すことができます。
相談内容によっては窓口での面談のために事前予約が必要になることもあるので、その場合は注意が必要です。
税務署主催の確定申告相談イベントに参加する
確定申告の時期になると税務署とは別に、各地で確定申告相談会が開催されます。これらの相談会では、確定申告に関する相談ができます。会場の情報は毎年、国税庁のホームページなどで案内されます。
確定申告相談会に参加する際は、入場整理券が必要となることが多いです。整理券は会場で当日に配布されるほか、LINEを通じて事前に取得することも可能です。
チャットボットを活用して相談する
国税庁のWebサイトには、「ふたば」という税務相談用のチャットボット(AIを活用した自動会話システム)が提供されており土日や夜間でも利用可能です。パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットからもアクセスできるので、気軽に相談を始めてみてはいかがでしょうか。
12.税務署以外の確定申告に関する相談先
確定申告について不明点や不安があれば税務署以外にも以下の相談先に相談することで、安心して申告手続きを進めることができます。
税理士への相談
毎月の収支管理や確定申告の作成・代理申告・節税に関する相談を行う際には、税理士に依頼するのが安心です。費用は確定申告作成の代行だけでもかかることがありますが、その費用は全額経費として計上可能です。売上が安定していて確定申告の作成が難しい場合には、税理士に依頼することは有効な選択肢となります。
会計ソフトのサポートサービス
会計ソフトを使って確定申告書を作成する際、一部のソフトやツールではチャットやメールでのサポートが受けられます。確定申告の際に便利に活用するためには、カスタマーサポートが充実している会計ソフトを選ぶことをおすすめします。
13.確定申告書の訂正
確定申告書に誤りがあった場合は、訂正を行います。
提出前であれば誤った部分に二重線を引いて訂正し、正しい数字をその上または下に記入します。どの部分を訂正したのかが明確にわかるように、修正後の数字から該当の欄に矢印を引きましょう。訂正印は不要です。パソコンで作成した場合は訂正後の書類を再印刷するか、新たに作成してe-Taxで送信する必要があります。
しかし誤った内容で既に提出してしまった場合は、その時期や内容に応じて次の対応をとることが求められます。
訂正申告
訂正申告とは、確定申告期間内に誤りに気づいた場合に行う申告方法です。誤りを訂正した確定申告書を作成し、それを税務署に提出します。
提出方法は税務署に持参するか、郵送する形になります。その際申告書の余白に「訂正申告」と赤字で記入し、当初の申告書のコピーも添付する必要があります。
e-Taxを利用している場合、申告期限内であれば訂正した申告データを作成して送信するだけで完了します。この場合、税務署への別途連絡は不要です。送信したデータが最終的な申告内容として扱われます。もし添付書類の提出が必要な場合は、申告書等送信票(兼送付書)と一緒に提出します。
また還付申告を既に行っており、還付手続きが終了してしまった場合は通常の訂正申告では対応できない場合があります。還付申告に誤りを発見した場合は速やかに管轄の税務署に連絡し、指示を仰ぐことが必要です。
修正申告
修正申告は確定申告の期限を過ぎた後に、本来納めるべき税額よりも少ない税額を申告していたことに気づいた場合に行う訂正方法です。
確定申告書の第一表上部にある「令和◯年分の所得税及び復興所得税の◯◯申告書」の部分に修正申告を行う年と「修正」の文字を記入して、修正申告書を作成します。種類欄の「修正」にも◯をつけ、修正の理由は第二表に記入します。
修正申告が遅れると延滞税が発生するなどの不利な影響が生じるため、誤りに気づいた際は速やかに修正を行うことが重要です。
更正の請求
更正の請求は確定申告期間が終了した後に、納め過ぎた税金に気づいた場合に行う訂正手続きです。更正の請求書と、訂正理由を記載した書類を管轄の税務署に提出します。なお更正の請求を行えるのは、誤った申告をした年の法定申告期限から5年以内となっています。
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14.まとめ
個人事業主やフリーランスにとっては馴染みのある確定申告ですが、最近では厚生労働省の「働き方改革実行計画」により副業や兼業が推奨される中で会社員やアルバイトの方でも確定申告をしなければならないケースが増えています。
年末調整では対応できない控除を受けられる場合など、確定申告をすることで税金の還付などのメリットを得られることもあります。
確定申告が初めての方は書類の準備や申告書の作成に時間がかかることがあるため、余裕を持って計画的に準備を進めることが大切です。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。