「扶養を外れずにフリーランスとして働くにはどうすればいいのか?」という疑問を持つ方にとって、扶養内で働く際の条件や注意点を理解することは非常に重要です。
扶養に入ることで、所得税や住民税の控除を受けられるだけでなく社会保険料が軽減されるといった経済的なメリットがあります。一方で扶養内で働くには一定の所得金額の上限を守る必要があり、この点を見落とすと扶養から外れてしまう可能性があります。
本記事では、まず扶養の基本的な仕組みについて解説します。扶養とは何かや扶養に入ることでどのような恩恵を受けられるのか、また扶養内での活動におけるルールについても詳しく取り上げます。その上で、扶養を維持しながらフリーランスとして働くために必要な具体的な条件や工夫について説明します。
さらに扶養を外れた場合の影響や扶養控除の廃止や引き下げ可否についても触れます。扶養を外れることでどのような税金や保険料の負担が増えるのか、その場合にどのように準備すれば良いのかを考えることも重要です。また、今後扶養控除が廃止または引き下げられるのかこの記事を通じて扶養に関する知識を深め、自分の働き方に最適な選択を見つける一助となることを目指します。
フリーランスとしての働き方を模索している方や扶養内での活動を希望している方にとって、この記事が役立つ情報源となることを願っています。ぜひ参考にし、自分に合った働き方を見つけてください。
目次
1.フリーランスでも扶養控除を活用するために知っておきたい基礎知識
フリーランスでも扶養控除を活用することに関して、まずは基本的なポイントを確認しておきましょう。「扶養内で働く」という状態には、「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」という2つの側面があることを押さえておく必要があります。
税制上の扶養の概要
税法上の扶養とは納税者(扶養する側)の所得に応じて、配偶者控除や配偶者特別控除を受けられる仕組みを指します。この控除の適用条件は、配偶者(扶養される側)と納税者本人の所得額によって決まります。
配偶者控除:配偶者控除は、扶養される配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合に適用される制度です。
配偶者特別控除:配偶者の合計所得金額が48万円を超え133万円以下の範囲内で適用され、所得金額に応じて控除額が段階的に変動します。
被扶養者がパートやアルバイトで得た年収は、給与所得控除を差し引いた金額が「所得」として計算されます。たとえば年収103万円の場合には所得が48万円以下であるため、配偶者控除が適用されます。これがいわゆる「103万円の壁」と呼ばれる仕組みです。
ただしこの壁を超えた場合でも、必ず扶養を外れなければならないわけではありません。条件次第では配偶者特別控除が適用される場合があります。配偶者特別控除は配偶者の所得が48万円超133万円以下で、納税者本人の所得が1,000万円以下の場合に適用されます。
このように配偶者控除や配偶者特別控除の適用は、配偶者および納税者の所得額に基づいて決定されるため自身の状況を正確に把握しておくことが重要です。
社会保険における扶養の仕組み
社会保険上の扶養とは、扶養される人(被扶養者)が社会保険料の負担を免れる仕組みを指します。被扶養者は、家計を支える人(扶養者)と同じ社会保険(健康保険や厚生年金)に加入することになります。
被扶養者として認定されるための基本条件は、一般的には年間収入が130万円未満であることです。ただし、具体的な条件は扶養者が加入している社会保険の規定により異なる場合があります。さらに被扶養者と認められるには、扶養者の収入によって主に生計を維持していることが求められます。
認定対象者が被保険者と同じ世帯の場合:認定対象者の年間収入が130万円未満でありかつ被保険者の年間収入の半分未満である場合、または130万円未満でありながら被保険者の収入を超えない場合において世帯全体の生計が適切に維持されていると判断されるとき。
認定対象者が被保険者と別の世帯の場合:認定対象者の年間収入が130万円未満であり、さらに被保険者からの支援による収入額を下回る場合。
フリーランスの場合
ここまで解説してきたように、税法上および社会保険上の扶養に関しては、以下の基準が適用されます。
税法上:合計所得金額が48万円以下(給与所得のみの場合は103万円以下)
社会保険上:被扶養者の年収が130万円未満
仮に青色申告をしているフリーランスの場合、所得は収入から青色申告特別控除と経費を差し引いた額で計算されます。そのため、給与所得者に適用される「給与所得のみの場合は103万円以下」や「年収130万円未満」といった基準には当てはまりません。
例えば夫婦で青色申告をしているフリーランスとして活動をしており、どちらかの収入が173万円、経費60万円の場合、所得の計算は次の通りです。
173万円-65万円(青色申告特別控除)-60万円 = 48万円 |
この場合、合計所得金額が48万円以下となり、配偶者控除を適用できます。
またフリーランスの場合、社会保険上の扶養における130万円の基準は所得ではなく収入で判断される点に注意が必要です。したがって、収入が173万円の場合には扶養の条件を満たさないことになります。
さらに、扶養する側(家計を支える人)の加入する社会保険の規定についても確認することが重要です。
2.フリーランスが所得税法上の扶養控除・配偶者控除を受けるための条件
この章ではフリーランスが所得税法上の扶養控除・配偶者控除を受けるための条件を改めて詳しく解説します。フリーランスが利用できる所得税法上の扶養に関する控除には扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除があります。扶養に入るためには自身の年間所得を正確に把握し、必要な条件を満たすように調整することが大切です。
扶養控除を受けるための基準
扶養控除を受けるための条件は以下の通りです。
配偶者以外の親族・里子・市町村長から養護を委託されている高齢者
納税者と生活費を共同で負担している
年間の合計所得金額が48万円以下(給与所得のみの場合は収入103万円以下)
青色申告者の事業専従者として年間を通じて一度も給与を受け取っていない、または白色申告者の事業専従者ではない
これらの4つの条件をすべて満たすことで、扶養控除を受けることができます。
配偶者控除の適用条件
配偶者控除を受けるための条件は以下の通りです。
民法に基づく正式な配偶者であること(内縁関係は対象外)
納税者と生活費を共にしていること
年間の合計所得金額が48万円以下(給与所得のみの場合は収入103万円以下)
青色申告者の事業専従者として年間を通じて一度も給与を受け取っていない、または白色申告者の事業専従者ではない
これらの4つの条件をすべて満たすことが必要です。
配偶者特別控除の適用条件
控除を受けるための納税者はその年の所得金額が1,000万円以下でなければなりません。また、配偶者は以下の条件を満たす必要があります。
民法に基づく正式な配偶者であること(内縁関係は対象外)
控除を受ける納税者と生活費を共有していること
青色申告者の事業専従者として年間を通じて一度も給与を受け取っていない、または白色申告者の事業専従者ではないこと
年間の所得金額が48万円超~133万円以下であること
配偶者が配偶者特別控除を受けていないこと
配偶者が「源泉控除対象配偶者がいる居住者」として源泉徴収されていないこと
3.フリーランスが社会保険上の扶養に入る条件と注意点
フリーランスが社会保険上の扶養に入るためには、年間の収入が130万円未満である必要があります。ただし60歳以上の人や障害厚生年金を受けている障がい者の場合、収入が180万円未満であれば扶養に入ることができます。
また配偶者や子以外の親族が扶養に入る場合、その親族は同一世帯に住んでいることが求められます。
4.フリーランスが扶養に入るメリット
フリーランスが扶養に入ることには主に3つのメリットがあります。税金の控除が受けられることや健康保険などの社会保険の恩恵を享受できる点など、金銭的な面や働き方に関して多くの利点があります。
健康保険と年金の支払いが不要になる
扶養に入ることで、被扶養者は自分で健康保険や年金を支払う必要がなくなります。これにより収入が不安定で仕事が少ない時期でも、経済的な負担が軽減されます。国民健康保険や国民年金に比べて、毎月数万円を節約できる可能性があります。
ただし控除を受けるための所得金額には細かな基準が設けられているため、その上限を超えないよう注意することが重要です。
配偶者控除・配偶者特別控除の恩恵を受けられる
配偶者控除・配偶者特別控除により控除が受けられ、条件を満たすフリーランスが配偶者の扶養に入ることで家計全体の税負担を軽減することができます。
仕事と生活のバランスを保ちやすい
フリーランスが扶養に入るためには扶養の適用を受けるために非常に重要なポイントとなり、所得がこれを超えないように収入を調整しながら働く必要があります。扶養内での働き方を意識することで無理のない範囲で仕事を進めることができ、結果的にワークライフバランスを保ちながら充実した生活を送ることが可能となります。
フリーランスとして活動していると仕事を請け負う量が増えすぎて、気づかないうちにオーバーワークになってしまうことがあります。忙しい日々が続くと体調を崩してしまったり、家族や友人と過ごすプライベートの時間が削られたりするリスクが高まります。
扶養に入ることで所得の上限を守る必要が生じるため、自然と働き方がセーブされる仕組みとなり、無理な労働を抑える助けになるでしょう。
また扶養の範囲内で働くことは、経済面でもプラスの効果をもたらします。扶養に入ることで社会保険料が免除されるため収入が少なくても手元に残るお金を増やすことができ、生活費や将来の計画に充てる余裕が生まれます。このように扶養の制度を賢く活用することで、フリーランスとしての働き方を無理なく続けることが可能になります。
扶養の条件を理解しその範囲で働くことは、健康を守りつつ仕事を継続していくための一つの有効な方法といえます。自分の働き方や生活リズムに合った収入調整を心がけることで、心身ともに健やかなフリーランス生活を送ることができるでしょう。
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5.フリーランスが扶養に入るデメリット
フリーランスが扶養に入る際には、いくつかのデメリットがあることも理解しておく必要があります。その中でも特に大きなものが、所得金額の上限を守るために仕事量を調整しなければならないという点です。この調整は柔軟性の高いフリーランスの働き方の中で、時には不便さや制約を感じる要因となることがあります。
具体的には扶養の年間所得上限を超えないようにするため、仕事をセーブせざるを得ない状況が生まれることがあります。このため「自由に仕事をしたいのに、案件を断らなければならない」「収益性の高い大きな案件にチャレンジする機会を逃してしまう」といった不満を抱くことになる可能性があります。
また収入の管理に時間や労力を割かなければならないため気軽に新しい仕事に挑戦したり、突発的な依頼を受けることが難しくなる場合もあるでしょう。
さらに収入を調整する必要があることで、特に繁忙期などの需要が高まる時期に十分な働き方ができないという問題も考えられます。
たとえば、「クライアントから信頼を得て継続的な仕事を任されたのに、扶養の範囲内で働く制限のために断らざるを得なかった」「自分のスキルを活かせる絶好のチャンスを収入制限のせいで逃した」といった後悔につながることもあるかもしれません。
このような制約があるため扶養に入るかどうかを決める際には、自分の働き方や将来のキャリアプランを慎重に見極める必要があります。仕事量を制限することが収入やキャリアに与える影響を考慮し、扶養に入ることで得られる社会保険料の軽減や税制上のメリットと天秤にかけることが重要です。
最終的に自分にとって最適な働き方を選ぶためには、扶養のメリットとデメリットを理解した上で、どのように仕事と生活のバランスを取るかを計画的に考えることが大切です。
この選択が、フリーランスとしてのキャリアをより充実させる第一歩となるでしょう。
6.フリーランスが注意すべき収入の「壁」とは?
ここまででフリーランスにとって最近話題の「103万円の壁」はそれほど重要でないことは理解いただけているかと思います。ではフリーランスが注意すべき壁はどのようなものか、具体的な金額を交えてこれから説明していきます。
収入を113万円以下に抑えるメリット
結論としてフリーランスで働く場合には収入が113万円を超えないほうが、所得税がかからず扶養から外れることもなくより有利といえるでしょう。この理由はフリーランスが利用できる「所得税の基礎控除」と「青色申告特別控除」に関係しています。
まず、納税者は2種類の基礎控除を利用できます。
所得税:最高48万円
住民税:最高43万円
また個人事業主として開業届を出し青色申告を行うと、最大で65万円の控除を受けることができます。これらの控除を合わせると、以下のようになります。
所得税:48万円(基礎控除)+65万円(青色申告特別控除)=113万円
住民税:43万円(基礎控除)+65万円(青色申告特別控除)=108万円
所得税や住民税は年収からこれらの控除を差し引いた額に対して課税されるため、108万円を超えなければそれらの税金はかかりません。
また経費を差し引いた後の年間所得を計算する場合は、以下のように計算します。
収入−所得控除-経費 = 年間所得 |
この年間所得の計算方法は非常に重要なので、フリーランスとして働く場合はしっかり覚えておく必要があります。
扶養範囲で働くなら所得95万円以下を目指すべき理由
フリーランスとして扶養内で働く場合には所得について特に注意すべき点は「年間所得95万円以下」を意識することです。年間所得が48万円超95万円以下の場合には「配偶者特別控除」を最高控除額で利用できるからです。配偶者特別控除は、配偶者控除が適用できない場合に代わりに使える制度です。
年間所得が95万円以下の場合の影響
収入がどれくらいであっても所得が95万円以下であれば、最高控除額で配偶者特別控除を利用することができます。
年間所得が95万円を超えた場合の注意点
所得が95万円を超えると配偶者特別控除の控除金額が減り結果的に税負担が増える可能性があるため、注意が必要です。
所得95万円以下と95万円超えのどちらが有利?
年間所得が95万円以下と95万円を超えた場合では、95万円以下の方が税制面では有利になる可能性が高いと言えます。ただしこれは税制面のみの話です。年間所得が95万円前後の場合は超えない方が税制面では良いですが、95万円を大幅に超えてしまう場合には無理に95万円以下に抑える必要まではないと考えておくと良いでしょう。
7.フリーランスが扶養に入る際の必要な手続き
フリーランスが扶養に加入するためには、所定の手続きを行う必要があります。扶養にスムーズに加入するためには、事前に必要な手続きの流れを理解しておくことが重要です。
この章では、フリーランスが扶養に入るために必要な手続きを詳しく説明します。
「被扶養者(異動)届」を年金機構に提出する方法
フリーランスが扶養に加入する際には、「被扶養者(異動)届」を日本年金機構に提出します。この申請は電子申請・郵送・窓口での提出など、複数の方法から選択可能です。
さらに、続柄を確認するために「被扶養者の戸籍謄本(または抄本)」や「住民票の写し」(被保険者が世帯主で被扶養者と同一世帯に住んでいる場合)、加えてフリーランスの場合は直近の確定申告書の写しも提出する必要があります。
扶養から外れる場合の手続きの流れ
フリーランスの仕事が安定し所得が増えた場合など、扶養から外れる際にも手続きが必要です。扶養に入る時と同様に、「健康保険 被扶養者(異動)届」を提出することになります。さらにこれまで加入していた社会保険から、国民年金や国民健康保険へ移行するための手続きも併せて行う必要があります。
8.フリーランスが扶養内で働くか考える上でのポイント
この章ではフリーランスが扶養内で働く上でのポイントを解説します。
年間所得を意識して管理する
扶養内で働く場合、年間所得の管理が非常に重要です。特にフリーランスの場合には自分で収入を把握する責任があるため、所得が扶養の上限を超えないように細心の注意を払う必要があります。所得金額は扶養控除や社会保険料に影響するため適切に管理しないと、控除が受けられなくなったり税金や社会保険料が不利な方向に進んでしまう可能性もあります。
また、経費を申告する際の漏れがないよう注意することも大切です。事業に関連する支出をきちんと経費として申告しないと控除額が減ってしまうため、領収書やレシートはしっかりと保管し金額を正確に把握しておく必要があります。これにより後で誤って申告漏れを防ぎ、適切な税務処理ができます。
毎月の収入や経費の状況を把握し計画的に働くことで、扶養内でのメリットを最大限に活かすことができます。
青色申告特別控除を有効活用する
フリーランスは「青色申告承認申請書」を提出することで、確定申告時に青色申告を選択できます。青色申告を利用することで最大65万円の青色申告特別控除を受けられるため、所得を大幅に減らすことができます。経費と青色申告特別控除を併用することで、税負担を軽減しより有利な働き方が実現できるでしょう。
仕事が軌道に乗ったら扶養を抜ける選択肢を検討する
フリーランスとして収入が安定しさらに高単価の案件をこなせるようになった場合には、扶養から外れることも一つの選択肢として考えることができます。
扶養に入っている場合税制面での優遇を受けることができる一方で、所得制限があるため収入が一定の金額を超えるとその恩恵を受けられなくなります。そのため収入が安定し社会保険料や税金を支払っても生活に余裕を持てる状況が整った時に、扶養から外れることは理にかなった選択肢となります。
扶養から外れることによる最大のメリットは、将来的な税制面での自由度が増す点です。扶養内では制限があるため、例えば給与や収入が増加しても扶養の範囲内で収める必要があります。
しかし、扶養から外れることで収入や仕事量に制約がなくなり、より高収入を目指して仕事を増やすことが可能になります。また扶養内で得られる控除や社会保険料の軽減がなくなる分、経済的に独立するための準備を進めることもでき自己責任で仕事を選んでいける自由度が高まります。
ただし、扶養に留まることが最適でない場合もあります。特にフリーランスとして自立して働くためのタイミングを見極めることは非常に重要です。生活費の確保・社会保険料・税金などの支払いに対する意識が必要ですので、収入の安定性・仕事の量・単価などを総合的に考慮して自分の生活にどのような影響を与えるかを予測しながら進むべきです。
必要な手続きを忘れない
配偶者控除や配偶者特別控除を受けるためには、年末調整時に申告が必要です。配偶者を通じて「給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除、及び所得金額調整控除の申告」を行いましょう。記入漏れがないように注意して申請しましょう。
また健康保険に関する扶養手続きも進めましょう。できるだけ早めに申請を行い、必要な書類や情報を揃えておきましょう。
扶養内でも確定申告が求められる
扶養に入っているかどうかにかかわらず、一定の収入がある場合は確定申告が必要です。確定申告を行うことだけが理由で扶養から外れることはありません。もし取引先で源泉徴収されていた場合、確定申告を通じて還付金を受け取ることができる可能性があります。
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9.扶養控除は廃止される?引き下げされるの?今後の動向とは
少子化対策の一環として「児童手当の拡充」が進められる中、扶養控除の廃止が検討されていました。
しかし2024年度の税制改正大綱では、16歳から18歳の一般扶養親族を対象とする扶養控除について廃止ではなく控除額を引き下げる方向で議論が進められています。
具体的な改正案としては、以下の内容が示されています。
所得税の控除額:現行の38万円を25万円に引き下げ(2026年分から適用)
住民税の控除額:現行の33万円を12万円に引き下げ(2027年度分から適用)
現行制度では0歳から15歳までの子どもには児童手当、16歳から22歳までの子どもには扶養控除による税制優遇が設けられています。
もし扶養控除が引き下げられると、所得税や住民税の負担が増える可能性があります。その結果児童手当の支給額が増えたとしても、世帯の年収などによっては手当を受け取る実質的な恩恵が減少する場合もあるでしょう。
扶養控除の廃止や引き下げについては、2024年に最終的な結論が出される予定です。子育て世帯の方は、扶養控除や児童手当に関する議論の進展を注視することが重要です。
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10.フリーランスの扶養に関するよくある疑問
この章ではフリーランスが扶養に入る際によく寄せられる質問について解説します。扶養を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
開業届を提出しても問題ないか?
開業届を提出しても、扶養の資格はそのまま維持できます。開業届は個人が事業を行っていることを証明するための書類であり、その提出が配偶者控除・配偶者特別控除・社会保険に影響を与えることはありません。
フリーランスとして活動を開始する際には、開業届を提出する方がむしろ有利です。フリーランスとして働こうと考えている方には、開業届の提出を強くおすすめします。
青色申告でも扶養に入れるのか?
改めての確認ですが確定申告で青色申告を選択しても、条件を満たしていれば扶養から外れることはありません。
青色申告は白色申告と比べて、税制面での優遇が多くあります。特別控除が受けられたり経費として認められる項目が多かったりするため、金銭的なメリットが大きいです。扶養内で働く場合でも、青色申告を選択する方が有利と言えるでしょう。
インボイス制度への登録は必要か?
扶養内で働く場合、インボイス制度への登録は必須ではありません。
インボイス制度は、複数の税率に対応した消費税の仕入税額控除に関する制度です。この制度に対応する必要があるのは、年間収入が1,000万円以上の場合です。フリーランスの年間所得が1,000万円を超えると、扶養には入れません。
ただしクライアントが適格請求書の発行を求めてくる場合もあります。登録がなくても、インボイス制度について理解しておくことは重要です。
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11.まとめ
フリーランスが扶養内で働くことには、税制や社会保険面での利点があります。ただし、扶養内で働くということは年間の所得が制限されるため、大きな収入を得ることが難しくなるというデメリットもあります。
扶養内で働くかどうか迷っている場合はそのメリットとデメリットをしっかりと理解し、どちらが自分にとって有利かを比較して決めることが重要です。この記事で紹介した内容を参考にして、選択肢を検討してください。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。