青色申告だけでなく白色申告もe-Taxを利用できることをご存じですか?
以前e-Taxを使う前は手書きで転記し各項目ごとに計算を行わなければならず、計算ミスがあるとすべてをやり直す必要があり非常に手間がかかっていました。しかしe-Taxを活用すれば、必要な項目はすべて自動で計算されるため金額を入力するだけで申告することができます。
そこでこの記事では、白色申告をe-Taxで行う方法を詳しくご紹介します。
目次
1.白色申告とは?
白色申告は確定申告の一形態で、主に個人事業主やフリーランスが対象となります。青色申告に比べると白色申告の手続きは簡便であり、特に会計の知識がない人にとって非常に取り組みやすい申告方法です。
白色申告の最大のメリットは青色申告に必要な複式簿記を使わずに、単式簿記で帳簿を記録することができる点です。単式簿記は家計簿のような感覚で支出と収入を記録する方法であり、特別な会計の知識を持っていなくても簡単に行うことができます。
また青色申告をする場合は事前に申請が必要で承認を得るためには一定の要件を満たす必要がありますが、白色申告には事前の申請手続きが不要です。特に申告経験が少ない人や繁忙なフリーランスには利便性が高いと言えます。
白色申告は会計の専門知識を持たない人にとって特に有用であり、事業の規模が小さい場合や収入が少ない場合などには最適な申告方法です。初心者や事業規模が小さい事業者にとって、負担を軽減できる非常に合理的な選択肢となります。
しかし青色申告に比べると税制優遇措置が少ない点などのデメリットもあるため、将来的に事業が成長した場合や税金の負担軽減を望む場合には青色申告への切り替えを検討することをおすすめします。
2.青色申告と白色申告の相違点
個人事業主が行う確定申告には、青色申告と白色申告の2つの方法があります。どちらを選ぶかは申告者自身の判断に委ねられています。
青色申告と白色申告の最も大きな違いの一つは、節税効果の有無です。青色申告では最大65万円の青色申告特別控除を受けられる一方で、白色申告にはこのような控除はありません。また、青色申告にのみ適用される税制上の特典もいくつか存在します。
しかし青色申告は節税効果が大きい反面、記帳方法が複雑であったり確定申告時に必要な書類が多かったりするため白色申告と比べて手間がかかる点が特徴です。
税制上の特典の違い
青色申告と白色申告では、税制上の優遇措置に違いがあります。白色申告には税制上の特典はありませんが、青色申告では最大65万円の青色申告特別控除を受けることが可能です。
ただし65万円控除を適用するには、55万円控除の条件(複式簿記による記帳や貸借対照表の作成など)を満たしさらにe-Taxを利用した電子申告や電子帳簿保存を行う必要があります。
申請の必要性
申告を行うには、所轄の税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。その提出期限は通常はその年の3月15日までですが、1月16日以降に開業した場合は開業日から2ヶ月以内となります。
一方白色申告の場合は特に申請手続きが必要ありません。「青色申告承認申請書」を提出しなければ、自動的に白色申告となります。
提出書類・帳簿保存の違い
青色申告と白色申告の選択によって、確定申告に必要な書類や適用される控除、さらには保存しなければならない帳簿や書類の内容が異なります。
青色申告(65万円控除または55万円控除)
提出書類
確定申告書
青色申告決算書
貸借対照表と損益計算書
第三表(分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合)
第四表(損失申告用、赤字で青色申告する場合)
保存帳簿
総勘定元帳
仕訳帳
現金出納帳
売掛帳
買掛帳
経費帳
固定資産台帳
青色申告(10万円控除)
提出書類
確定申告書
青色申告決算書(損益計算書)
第三表(分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合)
第四表(損失申告用、赤字で青色申告する場合)
保存帳簿
現金出納帳
売掛帳
買掛帳
固定資産台帳
経費帳
白色申告
提出書類
確定申告書
収支内訳書
第三表(分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合)
保存帳簿
法定帳簿
任意帳簿
記帳方法における違い
青色申告では複式簿記を用い、白色申告では簡易簿記(単式簿記)を行います。ただし青色申告の10万円の青色申告特別控除を受ける場合は、簡易簿記で記帳しても問題ありません。
青色申告で65万円控除または55万円控除を受ける場合、主要簿として「仕訳帳」と「総勘定元帳」を必ず複式簿記形式で作成します。また事業内容や取引の方法に応じて、補助簿として「売掛帳」や「買掛帳」を作成する必要があります。
申告方法 | 青色申告(65万円控除または55万円控除) | 青色申告(10万円控除) | 白色申告 |
---|---|---|---|
記帳方法 | 複式簿記 | 簡易簿記(単式簿記) | 簡易簿記(単式簿記) |
複式簿記は、1つの取引について2つの記録を行う方法です。例えば2万円の商品を現金で販売した場合、借方に現金2万円、貸方に売上2万円を記録します。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
令和7年○○月××日 | 現金 20,000円 | 売上 20,000円 | 〇〇商店への売上 |
複式簿記では、取引の原因(2万円の売上)と結果(2万円の現金増加)を2つの側面から記録できます。
一方、簡易簿記(単式簿記)は1つの取引について1つの記録を行う方法です。例えば2万円の商品を現金で販売した場合では、次のように記録します。
日付 | 勘定科目 | 金額 | 摘要 |
---|---|---|---|
令和7年○○月××日 | 売上 | 20,000円 | 〇〇商店への売上 |
不動産所得に適用される控除の違い
青色申告と白色申告では、不動産所得に関する控除の内容が異なります。青色申告では要件を満たせば最大65万円の控除が受けられますが、白色申告ではそのような控除はありません。
青色申告で65万円または55万円の控除を受けるためには、不動産貸付が事業的規模で行われていることが必要です。例えばアパートは10室以上、貸家は5棟以上であることが条件となります。
一方青色申告で10万円の特別控除を受ける場合は、マンション一室の規模でも認められます。
節税効果の差
青色申告と白色申告では、特別控除の有無や経費として認められる範囲に違いがあり、そのため節税効果にも大きな差があります。
青色申告では青色申告特別控除に加え、赤字を最大3年間繰り越すことができるなどの税制上の特典が用意されています。これに対して、白色申告では青色申告で受けられる特典を利用することはできません。
青色申告と白色申告の節税効果の違いは以下の通りです。
青色申告(65万円控除または55万円控除)
青色申告特別控除65万円または55万円
青色事業専従者給与
赤字3年間繰越
一定の件を満たせば減価償却資産(30万円未満)は一括経費
貸倒引当金の経費計上
青色申告(10万円控除)
青色申告特別控除10万円
青色事業専従者給与
赤字3年間繰越
一定の件を満たせば減価償却資産(30万円未満)は一括経費
貸倒引当金の経費計上
白色申告
税制上の優遇措置はない
関連記事
青色申告のやり方や手順をフリーランス・個人事業主向けに詳しく解説
確定申告の青色申告と白色申告の違いって?メリット・デメリットなどわかりやすく解説
3.白色申告のメリットと注意点
白色申告は、青色申告に比べて準備や手続きが簡単であるという利点があります。しかし、青色申告特別控除などの節税効果が高い特典は利用できません。
この章では白色申告のメリットと注意点について解説します。
メリット1. 記帳が簡単で、手続きがわかりやすい
白色申告を行う場合でも、帳簿をつけることが法律で義務付けられています。ただし青色申告のような複雑な複式簿記を使用する必要はなく簡易簿記(単式簿記)で記録すればよいため、比較的簡単で手間がかからないのが特徴です。初心者でも比較的スムーズに取り組めます。白色申告は手軽さを重視する人に適した選択肢と言えます。
注意が必要なのは、2014年から白色申告でも帳簿の記録と書類の保存が義務付けられたことです。この変更により白色申告の帳簿記録要件は、青色申告で10万円の特別控除を受けるための条件と非常に似たものとなりました。
白色申告は簡便な方法であるものの、帳簿や書類の管理をしっかり行う必要がある点は青色申告と共通しています。そのため白色申告を選ぶ場合でも、日頃から帳簿を丁寧につけ経費の領収書などの証拠書類を適切に保管する習慣をつけることが重要であるといえます。
メリット2. 事前の手続きが不要で始めやすい
青色申告を選択して確定申告を行いたい場合、一定の期限内に手続きを行う必要があります。具体的には開業した年の3月15日までまたは開業日から2ヶ月以内のどちらか早い方の日程までに、「青色申告承認申請書」を税務署に提出しなければなりません。
この提出期限を過ぎてしまうとその年の確定申告では青色申告を利用することができなくなり、白色申告を選ぶことになります。そのため青色申告を希望する場合は、開業後できるだけ早めに申請手続きを行うことが重要です。
さらに申請が間に合わない場合、その年は白色申告で確定申告を行うことになり青色申告の特典や控除を受けることができません。その場合、青色申告の適用は翌年以降となります。
一方で、白色申告はこうした事前の申請手続きが一切不要です。税務署への届け出や特別な承認を受けることなく確定申告を行えるため、事業を始めたばかりで申請手続きに不安がある方や青色申告の申請期限を過ぎてしまった方にとっては手軽で利用しやすい選択肢と言えるでしょう。
注意点1. 特別控除が受けられない
白色申告には、青色申告で受けられるような特別控除制度が設けられていません。節税効果という面では青色申告に比べて制約があるといえます。
ただし、白色申告にも「事業専従者控除制度」が存在します。この制度を利用することで、事業を支える家族に支払った給与の一部を必要経費として計上することが可能です。しかし白色申告の場合にはこの控除額に上限が設けられています。
具体的には配偶者に対する支払いは最大で86万円まで、その他の親族に対する支払いは最大50万円までとされています。これにより、事業専従者控除の金額が青色申告よりも制限されてしまう点が特徴です。
事業所得が増えるにつれて節税効果の重要性が高まるため白色申告を選択する際はこれらの点をよく検討し、自身の事業規模や将来的な申告計画に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。
注意点2. 赤字を翌年以降に繰り越せない
白色申告では、青色申告で認められているような「純損失の繰越控除」の制度を利用することができません。事業において赤字が発生した場合、その損失を翌年度以降に繰り越して黒字の所得と相殺することができない仕組みとなっています。
たとえばある年に事業が赤字となりその翌年度に事業が黒字に転換した場合には、青色申告であれば前年の赤字分を繰り越して税負担を軽減することが可能です。しかし白色申告ではこれが認められないため、赤字分を考慮しないまま翌年度の黒字に対して課税されることになります。
さらに事業が安定せず赤字と黒字を繰り返すような状況においても、青色申告を選択している場合であれば赤字年度の損失を繰り越して黒字年度の所得と相殺して税負担を抑えることができます。
特に事業が赤字に陥る可能性がある場合や収益が安定するまで時間がかかると予想される事業では、青色申告を検討することがより有利な選択となるでしょう。一方で手続きが簡単な白色申告を選択する場合は、赤字を繰り越せないというデメリットを十分に理解し、事前に計画的な納税準備を行うことが重要です。
関連記事
フリーランスの領収書を解説|宛名・住所は入れる?作り方やインボイスとの関係を解説
フリーランスでも扶養控除を受けられる?扶養控除条件や注意したい収入の壁などわかりやすく解説
4.e-Taxとは?
e-Tax(イータックス)とは国税庁が提供するオンラインシステムで、国税に関する電子申告や納税をインターネットを通じて行うためのサービスです。このシステムを利用することで所得税の確定申告をはじめとする個人や法人の各種税務手続きを紙書類を提出することなく、電子データの形式で税務署に直接送信することが可能となります。
e-Taxを使用すると確定申告書を含む多様な申告書類や届出書類を、オンライン上で確定申告書の作成から提出までを一貫して行えます。
e-Taxソフトを利用する場合には申告書や納税に関する書類をシステム上で作成し、電子データとしてそのまま税務署にアップロードすることが可能です。
一方「確定申告書等作成コーナー」は主に個人事業主や一般の納税者向けに設計されており、パソコンやスマートフォンから直接アクセスして申告書を作成できます。このコーナーでは案内に従って必要な情報を入力することで、自動的に計算された確定申告書が作成されます。その後、e-Taxを介して作成したデータを送信することができます。
さらにe-Taxを利用することによる利便性として税務署の窓口での混雑を避けられるだけでなく、インターネットを利用して24時間対応可能な点が挙げられます。また利用者は提出履歴や申告データをシステム上で確認できるため、記録管理もスムーズになります。
e-Taxは税務手続きの効率化を目的としたシステムであり、特に忙しい個人事業主や法人担当者にとって大きな助けとなるツールと言えるでしょう。
e-Taxが利用できる時間帯
土日祝日を含んでメンテナンス時間を除き24時間利用可能です。
5.e-Taxで確定申告を行うメリット
e-Taxを利用した確定申告には多くのメリットがあります。
自宅から簡単に手続き可能
e-Taxを利用した確定申告のメリットとしてまず、自宅にいながら確定申告を完了できる点が挙げられます。e-Taxを利用すれば税務署の窓口や郵便局、郵便ポストに出向く必要はありません。
さらにメンテナンス時間を除けば24時間利用できるため、税務署の営業時間に影響されることなく申告を行えるのも大きな利点です。
期限内なら申告内容を上書き修正できる
確定申告後に誤りに気付くこともあるかもしれません。e-Taxを利用すれば申告期限内(通常は3月15日まで)であれば、新たに確定申告書を送信することで修正が可能です。
申告期限内に提出されたデータが上書きされるため、訂正を改めて報告する必要はありません。
還付金の処理が迅速
税務署窓口や郵送で提出する場合における還付金が入金されるまでのおおよその期間は、提出から1ヶ月から1ヶ月半程度とされています。e-Taxを利用した場合はこれより若干早く、約3週間後が目安となります。
確定申告ソフトのデータをそのまま利用できる
e-Taxソフトを利用すれば、確定申告ソフトで作成した申告書のデータを取り込むことで確定申告が可能です。e-Tax対応の確定申告ソフトがあれば、電子申告用に作成したデータを再入力する必要はありません。
6.e-Taxで確定申告を行う際の注意点
e-Taxを利用する際のデメリットは、事前の準備が必要な点です。パソコンやインターネット環境に加え、利用者識別番号の取得やマイナンバーカードの準備が求められます。これらの準備が整っていない場合、利用することができません。
ただし初回の準備に時間がかかることもありますが一度整えば、翌年以降の確定申告はスムーズに行えます。
7.白色申告をe-Taxで行うための事前準備
この章では白色申告をe-Taxで行うための事前準備について解説します。
個人申告と法人申告の違い
e-Taxを利用するためには、個人も法人も「電子証明書」と、それを読み取るための「ICカードリーダライター」や「マイナンバーカード対応のスマートフォン」などが必要です。
個人の場合に一般的には「地方公共団体による公的個人認証サービスの電子証明書」を使用し、法人の場合は「商業登記に基づく電子証明書」を利用します。e-Taxは国税庁の管轄ですが、法人に関しては商業登記が法務省管轄となるため、混乱しないように注意しましょう。
準備すべきもの一覧
e-Taxで電子申告を行うために必要なものは、以下の通りです。
電子証明書
ICカードリーダライター、またはマイナンバーカードを読み取れるスマートフォン
使用環境(OSやブラウザ)の確認
特に電子証明書は有効期間が5回目の誕生日まで(マイナンバーカードの場合)となっているため、申告を行おうとした際に期限切れになっていることがないよう、早めに準備を進めておくことが重要です。
電子証明書
電子証明書は、手続きが本人によって行われていることを確認するための証明書です。この証明書を取得することでデータの作成者が本人であること、データに改ざんがないことの2つが証明されます。
電子証明書の一つである「公的個人認証サービス」の証明書は、マイナンバーカードの交付申請を通じて取得できます。マイナンバーカードには、地方公共団体情報システム機構が認証する公的個人認証サービスの電子証明書が標準で搭載されています。
ICカードリーダライタ
ICカードリーダライタは、電子証明書を読み取るために必要な機器です。家電量販店やオンラインで購入可能ですが、公的個人認証サービスに対応したICカードリーダライタを選ぶ必要があるため、購入前に適切な機器を確認してください。
購入後は、ICカードリーダライタをセットアップします。セットアップ方法の詳細については、「公的個人認証サービスポータルサイト」のページをご覧ください。
またマイナンバーカードを読み取る際には、対応するスマートフォンで電子証明書を読み取ることができます。
マイナンバーカード(利用者識別番号)
利用者識別番号は、e-Taxを利用するために必要な16桁の番号です。この番号を取得するには、以下の方法があります。
マイナンバーカードを使用してWebでアカウント登録を行う
Webで電子申告・納税等開始届出書を送信する
マイナポータルの「外部サイトとの連携」機能を活用する
WebでID・パスワード方式の届け出を行う
税務署でID・パスワード方式の届け出を行う
電子申告・納税等開始届出書を税務署に提出する
税理士に依頼して取得する
手続き方法によっては、利用者識別番号の取得に時間がかかることがあります。申告の際に番号が取得できない場合もあるため、余裕を持って手続きを進めることが重要です。
農業所得がある場合の注意点
備え付け帳簿には例えば以下のものがあります。
現金出納帳
売掛帳
経費帳
農産物受払帳
現金出納帳は売上帳の役割も担っています。受け取った小切手は現金出納帳に記入し、振り出した小切手は当座預金から引き出しとして記録します。固定資産の減価償却方法は、事前に届け出た内容に基づいて計算します。
不動産を所有している場合の対応
不動産所得者の記帳については、収入と経費をそれぞれ合計金額として一括で記載すれば問題ありません。
収入(賃貸・礼金・権利金・更新料など)については取引年月日・相手方・金額などの情報を、契約書や領収書を基にまとめて記載します。家賃の振込を賃借人ごとに記入しても、「○月分8名分の合計金額」のように記載しても、どちらでも問題ありません。
費用についても、地代・借入金利子・修繕費などの項目ごとに取引発生日や金額を一括で記入するだけで足ります。
山林を所有している場合のポイント
山林を伐採して得た収入がある場合、その収入は山林所得として記帳します。山林の伐採や譲渡による収入と、それに関連する費用については、各取引ごとに記録します。
8.e-Taxで白色申告をする手順
e-Taxを利用して白色申告を行う際に必要な準備が整ったら、確定申告書を作成しオンラインで申告します。
以下は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使った申告手順です。
トップ画面から「作成開始」をクリックする
提出方法や申告書の種類を選択し、事前準備を完了させる
必要事項を入力して申告書を作成する
内容を確認し、オンラインで送信する
上記手順より「作成開始」をクリックすると、提出方法や申告書の種類を選択する画面が表示されます。マイナンバーカード方式またはID・パスワード方式から選びます。
マイナンバーカード方式およびID・パスワード方式
次に白色申告の場合は「決算書・収支内訳書(+所得税)」を選択することで、必要な収支内訳書の作成が可能です。既に別の確定申告ソフトで収支内訳書を作成済みの場合は、「所得税」を選択し、所得金額のみを入力して確定申告書を作成することもできます。
マイナンバーカード方式はマイナンバーカードを利用して確定申告書を提出する方法です。スマホやICカードリーダライタを使用してマイナンバーカードを読み取り、e-Taxを通じて申告書を送信します。
ID・パスワード方式は、e-Tax専用のIDとパスワードを使用して申告書を提出する方法です。この方式を利用するには、事前に税務署で本人確認の手続きを行う必要があります。
9.e-Taxでできること(個人事業主)
e-Taxは現在、多岐にわたる手続きをオンラインで行えるシステムです。個人事業主がe-Taxを利用して行える手続きには、どのようなものがあるのでしょうか。
所得税の確定申告
所得税の納税義務がある個人事業主は毎年1月1日から12月31日までの1年間に得た収入や所得の総額を申告し、その年の所得税額を確定するための手続きとして、所得税の確定申告を行う必要があります。
所得税の確定申告はe-Taxソフトまたは確定申告書等作成コーナーを使用して行うことができますが、特定の状況では確定申告書等作成コーナーが使用できない場合もあります。そのためより広範囲な目的に対応できるのは、e-Taxを使った申告です。
また個人事業主や副業を行っている方々の多くは作業の効率化や手続きの簡便さを考慮して、確定申告ソフトを利用して確定申告書を作成しその後e-Taxなどで提出する傾向があります。
開業届または廃業届の提出
新たに事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかに該当する事業を開始した場合や、廃業・事務所の変更などがあった場合には「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。
e-Taxでは個人事業主の開業手続きや廃業手続きも対応していますが、これはe-Taxソフトに限られ確定申告書等作成コーナーでは対応していません。
青色申告承認申請書または取りやめの届出
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、特に手続きをしない場合は自動的に白色申告が選ばれます。青色申告は納税者が所定の記帳を行い正確に申告することで、さまざまな優遇措置を受けることができる制度です。
青色申告を選ぶには、「青色申告承認申請書」の提出が必要です。もし青色申告を中止したい場合は「所得税の青色申告取りやめ届出書」を提出し青色申告の際に配偶者や親族を専従者として登録したい場合は、「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しなければなりません。
確定申告書等作成コーナーではこれらの手続きをサポートしていませんが、e-Taxソフトを使えばインターネットを通じて手続きを行うことができます。
その他e-Taxでできる手続き
e-Taxソフトを利用した電子申告では、個人事業主に関連するほとんどの手続きをオンラインで行うことができます。具体的には例えば以下のような手続きが可能です。
消費税及び地方消費税の確定申告
所得税における棚卸資産の評価方法に関する届出
所得税の減価償却資産の償却方法に関する届出
所得税の更正請求
納税証明書の交付請求
国税関係帳簿の電磁的記録による保存申請(電子データ保存の申請)
また消費税及び地方消費税の確定申告や所得税の更正請求については、確定申告書等作成コーナーからも手続きを行うことができます。
関連記事
フリーランスの開業届|提出するメリットや注意点、書き方を解説!
消費税の確定申告とは?課税対象や申告手続き、計算方法などわかりやすく解説
10.まとめ
白色申告も青色申告と同様に記帳や帳簿の保管が義務付けられるようになり、その違いがほとんどなくなっています。
元々青色申告制度は事業者の記帳を促進するために、65万円控除などの特典を提供することで制度の普及を目指していました。しかし記帳義務がない白色申告が現代のニーズに合わなくなり、改正がなされたという背景があります。
いずれにせよ確定申告はe-Taxやクラウドシステムなどを効果的に活用し、煩雑な申告作業を効率良く進めましょう。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。