転職活動を続ける中で、転職回数が多いと「企業担当者は気にするかな?」「職務経歴書はどう書けばよいだろう」とさまざまなことが心配になるものです。転職回数が多いと確かにネガティブなイメージを持たれる可能性があり、職務経歴書によってマイナスイメージを払しょくするような工夫が求められます。
そのため本記事では、転職が多い方が職務経歴書を作成する際のポイントや注意点などを幅広く解説します。
特に以下の方には、この記事をご一読していただきたいです。
転職回数が多い場合の職務経歴書の書き方を知りたい方
短期間の職歴をポジティブに見せる工夫を探している方
転職活動において職務経歴書の作成に不安を感じている方
目次
1.「転職が多い」って何回目から?
そもそも「転職が多い」とされるのは何回目からなのでしょうか。年齢や年代によっても違いはありますが、基本的には3回以上の転職経験があると「転職が多い」と思われる可能性があります。
ただし企業の担当者の中には転職回数を気にしない方も一定数おり、企業の実情に即して総合的に合わせて判断するケースもあると考えておいて良いでしょう。
たとえば、同じ転職3回でもそれぞれの企業に1年も在籍していない方と5年以上在籍している方とでは、企業の担当者が受ける印象は異なるはずです。
以下では、平均的な転職回数について年代別に整理します。
20代の平均転職回数
厚生労働省の令和2年(2020年)のデータによると、20代の転職回数の割合は以下の通りです。
(単位:%)
1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 | 不明 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
20~24歳 | 69.7 | 16.9 | 9.9 | 1.2 | ‐ | 1.2 | 1.1 |
25~29歳 | 49.3 | 23.9 | 17.8 | 5.9 | 2 | 1 | 0 |
引用元:e-stat政府統計の総合窓口「雇用の構造に関する実態調査 / 転職者実態調査 / 令和2年 報告書 統計表 個人調査」
上記を見ると20代前半では約85%、20代後半でも約70%の転職者が、転職回数2回以下であると言えます。転職回数3回以上の方は20代の中では少数派であり、3回以上となると多いと思われる可能性があると考えた方が良いかもしれません。
30代の平均転職回数
厚生労働省の令和2年(2020年)のデータによると、30代の転職回数の割合は以下の通りです。
(単位:%)
1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 | 不明 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
30~34歳 | 27.1 | 24.9 | 23.6 | 14.8 | 3.5 | 5.7 | 0.3 |
35~39歳 | 14.6 | 22.2 | 25.0 | 17.5 | 8.3 | 12.2 | 0.2 |
引用元:e-stat政府統計の総合窓口「雇用の構造に関する実態調査 / 転職者実態調査 / 令和2年 報告書 統計表 個人調査」
30代になると平均的な転職回数は増えて、後半になると2~3回の方が多数派になっています。自分の転職回数が3回以上であったとしても、採用担当者から見れば決して珍しくないケースも多々あるでしょう。
40代以上の平均転職回数
厚生労働省の令和2年(2020年)のデータによると、40代の転職回数の割合は以下の通りです。
(単位:%)
1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 | 不明 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
40~44歳 | 14.9 | 12.9 | 20 | 15.4 | 11.5 | 25.1 | 0.2 |
45~49歳 | 13.9 | 14.1 | 22.6 | 17.1 | 11.7 | 20.6 | - |
引用元:e-stat政府統計の総合窓口「雇用の構造に関する実態調査 / 転職者実態調査 / 令和2年 報告書 統計表 個人調査」
40代になると、転職回数3~6回の方の割合が多くなります。転職回数ばかりを気にするのではなく、自己PRやその他でしっかりと自分を採用するメリットを伝えることが大切でしょう。
2.転職が多い人材に対して企業が持つ印象
この章では、転職回数が多い人材に対して企業の担当者が持つ印象として以下の3つを紹介します。
またすぐに転職するのではないか
どんなスキルや強みがあるか分かりにくい
協調性や忍耐力がないのかもしれない
またすぐに転職するのではないか
転職回数が多い人材に対して、企業は「採用してもまたすぐに転職してしまうのでは」と感じる可能性があります。
採用した人材がすぐに退職すると、また採用活動が必要になったり業務の割り振りをし直したりと企業にとっては大きな損失です。そのため、企業はできるだけ長く安定して働いてくれる人材を求めています。
魅力的な人材だと思えても、仕事が長く続かないようであれば「飽きっぽい」「何か問題があるかも」などとさまざまな疑念を抱かれる可能性があります。
どんなスキルや強みがあるか分かりにくい
転職回数が多いと、どんなスキルや強みがあるのか判断しにくいとも考えられます。
中途採用においては、企業は即戦力人材を求めているケースが多いと言えます。そして実務に活かせるしっかりとしたスキルを持っているか否かを判断するポイントの1つが、業務経験です。
しかしこれまでの職場での就業年数がいずれも短いようでは、しっかりとした業務経験があるのか、実務で役立つスキルが身についているのか判断できません。その結果として、マイナス評価がついてしまう可能性は残念ながら考えられるでしょう。
協調性や忍耐力がないのかもしれない
転職回数が多い人材に対しては、資質や価値観の面でも一定の印象を持たれる可能性があります。具体的には、「協調性がない」「忍耐力がない」などと思われる可能性があるでしょう。
協調性がない場合どんなにスキルや知識を豊富に持ち合わせていても、職場に馴染めずすぐに辞めたりパフォーマンスを発揮できなかったりする可能性があります。また、仕事で成果を出すためには一定の忍耐力は欠かせません。
採用を勝ち取るためには、書類審査や短い面接の時間だけでマイナスイメージを払しょくする必要があります。
3.転職回数が多くても問題ない?
採用担当者の印象を聞くと、転職回数が多いと転職において大きなマイナスなのではないかと思う方もいるのではないでしょうか。しかし、しっかりと説明・アピールをすることで、転職回数が多いことが不利に働く事態を避けられます。
企業が求めているのは「転職回数が少ない人材」ではなく、「自社に貢献してくれる人材」であるためです。企業の業務に貢献できるスキルや経験があると判断されれば、転職回数が多くても問題なく採用されると考えられます。
転職回数が多くなった理由を明確にし、マイナスにならないことをアピールすることを考えましょう。
関連記事
40代エンジニアは転職できる?男性・女性の年収など転職市場の現実と成功のポイントを解説
50代の転職の現実|50代の転職活動における注意点や50代におすすめの資格を解説
4.転職回数が多いケースの職務経歴書の書き方
この章では、転職回数が多いケースにおける職務経歴書の書き方として以下の2つを紹介します。
キャリア式
逆編年体形式
時系列順ではなく業務内容順に書くキャリア式
転職回数が多い場合、時系列順ではなく業務内容順に書く「キャリア式」を基本とすることをおすすめします。
キャリア式は業務内容やプロジェクトごとに職務経歴をまとめる方式であり、専門的なスキルを項目別に分けて記載します。キャリア式のメリットは、転職回数が目立たず自分のアピールポイントを強調できる点です。特に、転職しても職種は基本的に同じで成果を挙げた経験がある方には、向いている方法だと考えられるでしょう。
現在から過去にさかのぼって書く逆編年体形式
逆編年体形式とは、職歴を現在から過去にさかのぼるようにして記載する形式です。
最新の経歴を最初に目にすることになるため、直近の実績やスキルを強調したい場合に適していると考えられます。直近の実績が重視されやすい転職とは、相性の良い記載方法だと考えられるでしょう。また、アピールできる実績があまり多くない場合にも、適している方法だと言えます。
5.転職回数が多いケースの職務経歴書のポイント
この章では、転職回数が多いケースにおける職務経歴書作成のポイントを以下の6点に整理して解説します。
一貫性を重視して経験や強み、得意分野を書く
転職理由を前向きに記載する
転職により培ったスキルをしっかりと伝える
転職した企業の掛け合わせを強みにする
応募先企業で求められるスキルや経験を把握しておく
自分が企業に貢献できることをアピールする
一貫性を重視して経験や強み、得意分野を書く
転職回数が多い場合は、「一貫性」を重視した職務経歴書の作成が重要だと言えます。
キャリアに一貫性があると思われれば、転職回数が多くても納得感が十分にあるためです。複数の職種・職場を経験している場合、ただ伝えると「バラツキがあって計画性がない」「すぐに退職してしまいそう」などと思われてしまいかねません。
しかし一貫した軸があることをアピールできれば、さまざまな仕事を経験していることがむしろ強みであるとも判断してもらえるでしょう。
転職理由を前向きに記載する
転職理由を前向きに記載することも、転職回数が多いケースでは重要だと言えます。
転職回数が多い人材に対して企業側が心配する点を、転職理由を明確にすることで払しょくすることが大切です。例えばノルマの大変さが原因で離職したとしても、そのまま伝えると「能力が低い」「忍耐力がない」と思われる可能性があります。しかし「より顧客と向き合った仕事をしたい」と言えば、ネガティブなイメージは弱まるでしょう。
転職により培ったスキルをしっかりと伝える
転職回数が多い場合は、これまでの職務経験で培ったスキルをしっかりと伝える意識も大切です。
どのような仕事であっても、しっかりと業務に取り組んだのであれば身につくスキルはあります。そして全く異なる職種であっても、共通して身につくスキルがあるケースも多々あると言えるでしょう。
「仕事を何度も変えている」ではなく「さまざまな経験をしている」と採用担当者に伝えられれば、転職回数が多いことは決してネガティブに伝わらないでしょう。
転職した企業の掛け合わせを強みにする
転職した企業の掛け合わせを強みに変える発想も、転職回数が多い場合には持つことが大切です。
スキルは1つずつのみで見ると他の応募者との差別化が難しい一方で、スキル同士を組み合わせることでオリジナリティを出しやすいと言えます。多数のスキルを持っているほど、組み合わせることで希少性が増していきます。ただしどんなにスキルを組み合わせようとしても、応募先の企業で求められていないスキルであれば無駄になってしまう点には注意が必要です。
応募先企業で求められるスキルや経験を把握しておく
転職の採用に限らず大切なポイントですが、応募先で求められるスキルや経験を把握しておくことは非常に大切です。
職務経歴書にどれだけスキルや経験を上手に盛り込めたとしても、応募企業が求めていない内容であれば訴求力が低いためです。自社との関係性が低いスキルや経歴ばかりを延々と書き連ねていても、採用担当者が興味を持つ可能性は低いでしょう。
事前に募集要項やその他の情報を確認し、応募先企業の求める人物像やスキル、経験を把握しておくことが大切です。
自分が企業に貢献できることをアピールする
職務経歴書を作成するにあたっては、自分がその企業に対してどのように貢献できるのかを書くことが大切です。
企業側が知りたいことは、「この人材を採用したら自社にどのようなメリットがあるのか」であるためです。「このようなスキル・経験がある」だけでなく、「スキル・経験を実務にこう取り入れられる」とアピールするようにしましょう。
6.職務経歴書に書き込むべき情報・項目
職務経歴書に盛り込むべき情報・項目としては、以下が挙げられます。
日付
名前
職務要約(これまでの経歴を簡潔にまとめたもの)
職務経歴(勤務した企業や在籍期間、部署、役職、業務内容などを記載)
保有資格(取得済みの資格・免許名と取得年月日)
自己PR
志望動機
基本的なフォーム自体はある程度決まっているので、パソコンに用意しておくと作成がスムーズです。基本フォームの形式に合わせて作成することで、過不足なく読みやすい職務経歴書が作成できるでしょう。
7.転職回数が多い場合の職務経歴書の自己PR例文
この章では、転職回数が多い場合の自己PR例文を以下の3パターンに分けて紹介します。
20代で転職回数が多い場合
30代で転職回数が多い場合
40代で転職回数が多い場合
20代で転職回数が多い場合
私の強みは、旺盛な好奇心です。
しかし大きく異なる仕事を経験することで、お客様のニーズに応える仕事にやりがいを感じると明確になりました。これまでの経験を活かし、お客様が必要とする提案をすることで貴社に貢献したいと考えております。 |
20代で転職回数が多い場合、採用担当者からマイナスイメージを持たれる可能性があると考えなくてはいけません。そのため職歴に一貫性がないと思われる事態を避けるように、職歴における共通点や学んだことをアピールするようにしましょう。
30代で転職回数が多い場合
私の強みは、臨機応変な対応能力です。
|
30代になると数回程度の転職は決して珍しくありません。そのため、これまでの職歴を通じて培ってきた能力で貢献できるとアピールすることが大切です。また、これまでの職歴に一貫性があると印象づけられるとさらに良いでしょう。
40代で転職回数が多い場合
私は自分のアイデアを活かせる仕事を少しでも多く経験したいと考え、これまでさまざまな職種を経験してまいりました。職種や業界が異なれば求められる能力や発想が異なり、幅広い経験をしてこられました。 これまでの経験を活かし、貴社の技術や魅力を最大限伝えられるコンテンツを生み出せるような仕事に携わりたいと考えております。 |
上記は、40代の自己PR分の要素をまとめた例文です。上記の内容に具体的な職務経験とそこから得た経験や成し遂げた実績を紹介する内容を加えると良いでしょう。
40代の場合、転職が複数回あることは決して珍しくありません。やはり大切なのは、転職を繰り返してきたことをネガティブに伝えないことや数多くの仕事をしてきた中にも一貫性がある点をアピールすることです。
関連記事
8.転職が多い人が職務経歴書を書く際の注意点
この章では、転職が多い人が職務経歴書を書く際の注意点について以下の5点に整理して解説します。
転職回数が多くても経歴省略はNG
枚数は2~3枚に留める
応募企業に適したアピールをする
表や箇条書きを使って羅列を避ける
嘘は絶対に厳禁
転職回数が多くても経歴省略はNG
たとえ転職回数が多かったとしても、経歴を省略して記載してはいけません。
経歴を省略してしまうと、経歴詐称とみなされてしまうためです。採用の際には見つからなかったとしても、就職後に経歴を正確に伝えていなかったことが分かれば取り消しや解雇につながる恐れもあります。
転職回数が多くなると、どうしても「何とか良い部分だけに限定して伝えられないか」と思ってしまいがちです。しかし転職回数が多くてもアピールに変える方法はあるため、省略してしまわないように注意しましょう。
枚数は2~3枚に留める
職務経歴書を作成するにあたって、枚数は2~3枚に留めることが基本です。
あまりに枚数が多くなると、採用担当者の負担が増えるだけでなく「要点をまとめられない」との印象を持たれる恐れがあります。各職歴においてアピールポイントをコンパクトに整理し、端的に伝えることを意識して作成しましょう。端的にまとめた方が採用担当者としても読みやすく、こちらの意図を伝えやすいとも考えられます。
職歴が多くて3枚にまとめられないような場合でも、どんなに多くても4枚にはまとめるように意識してみてください。
応募企業に適したアピールをする
職務経歴書を作成する際には、応募企業に合わせたアピールを意識するべきだと言えます。
どんな企業・業界にも通じるような自己PRをしているようでは、結局どの企業にも刺さらない内容になってしまうでしょう。企業が知りたいのはその人材がどんなスキルを持っているのかではなく、あくまでも採用後に自社で活躍できるか否かです。
応募先の企業が求める人物像やスキル、経験を事前に調べておき、自分のアピールポイントとリンクさせて作成することをおすすめします。
表や箇条書きを使って羅列を避ける
職務経歴書を作成するにあたっては表や箇条書きを活用することが大切です。
情報がただ羅列されただけの書類は読みにくく、アピールポイントがうまくつたわらない上に「資料作成できない」「情報の整理が苦手」とマイナス評価を受ける可能性があります。職務経歴書の提出は書類作成能力やプレゼン能力を示す機会でもあると考えて、表や箇条書きを活用してできるだけ簡潔に分かりやすく記載するようにしましょう。
嘘は絶対に厳禁
職務経歴書を作成するにあたっては、嘘をつくことは絶対に厳禁です。
嘘をついていたことが発覚すれば、人間性や価値観、倫理観などを疑われてしまいます。どんなに優秀で魅力的な人材でも、「必要ならば簡単に嘘をつく」と思われれば採用を勝ち取ることは難しいでしょう。コンプライアンス感覚が欠如している人材は、企業にとって抱えるリスクが大きいと考えられます。
また採用の時に発覚しなくても、入社後に明らかになれば同僚や上司からの信頼を失い、解雇や損害賠償などにつながる恐れもあるでしょう。自分を良く見せたくなる気持ちがあっても嘘や不正確な情報は避け、事実のみを職務経歴書には記載することが大切です。
関連記事
転職・退職時の健康保険の切り替え|状況別の手続き方法、よくある質問など解説
転職を繰り返す人の特徴・性格とは?原因や末路、転職歴をポジティブに活かす方法を解説
9.まとめ
転職回数が多い場合、採用試験の結果に影響することがないとは言い切れません。職を転々としていたことに対するネガティブイメージを払しょくし、自らの魅力をアピールできる職務経歴書を作成することが大切です。
また職務経歴書は2~3枚にまとめ、表や箇条書きなども駆使して簡潔で分かりやすくすることが大切です。自分を魅力的に表現することは大切ですが、虚偽申告をすることは絶対に避けなくてはいけません。今回紹介した情報もぜひご活用いただき、自分の良さを十分に伝えられる職務経歴書に練り上げてください。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。