セキュリティエンジニアは、企業活動を行う上でなくてはならない存在です。
昨今、サイバー攻撃やランサムウェア、脆弱性をついた攻撃など企業のIT資産を狙った攻撃が、複雑化しています。適切な対策を講じなければ、情報漏えいのリスクが高まるため、場合によっては企業側が責任を負う必要があります。
この記事では、セキュリティエンジニアの仕事内容や必要な知識やスキル、キャリアアッププランを詳しく解説していきます。セキュリティエンジニアを詳しく知りたい方は必見です。
ぜひ、最後までご覧いただき、セキュリティエンジニアについての理解を深めてください。
目次
1.セキュリティエンジニアとは
セキュリティエンジニアは、企業のシステムやネットワークをサイバー攻撃や不正アクセスから守るエンジニアです。昨今ではサイバー攻撃が増加しているため、セキュリティエンジニアが活躍する場が増えています。
情報セキュリティのリスクを分析し、サイバー攻撃や脆弱性などの適切な対策を講じることで、安全なIT環境を維持する役割を担うのがセキュリティエンジニアです。
主な業務として、ファイアウォールやIDS/IPSの設計・運用、脆弱性診断、ログ分析、不正アクセスの監視、インシデント対応などを行います。さらには、セキュリティ対策だけでなく、従業員向けの教育やガイドラインの策定を行う場合もあります。
2.セキュリティエンジニアの仕事内容
セキュリティエンジニアの仕事内容は主に以下の5つです。一つずつ解説していきます。
企画・提案
設計
実装
テスト
運用・保守
企画・提案
企画・提案は、企業がサイバー攻撃や情報漏えいのリスクに対処するための戦略を立案する工程です。
例えば、大手ECサイトを運営する企業では、顧客のクレジットカード情報を保護するために、クレジットカード業界のセキュリティ基準に準拠したシステムの導入をしなければなりません。
その場合、どのような暗号化技術を導入すべきか、監視体制はどうするべきかを検討し、経営層や開発チームに提案します。
さらに、最新のサイバー攻撃の手口を分析し、自社の脆弱性を把握した上で、対策を講じることも検討します。
設計
設計は、セキュリティ対策を具体的なシステム構成に落とし込む工程です。ネットワークだけでなく、サーバー機器やシステム運用などITインフラ全般のセキュリティを網羅して設計します。
一例として、ある企業がゼロトラストを採用する場合、ネットワークのセグメント化や多要素認証の導入が必要となります。この際、ファイアウォールのルール設計や、社内外のデバイス管理方法を決める必要もあります。
設計段階で不備があると、後の工程で大きなリスクを抱えることになるため、慎重なプランニングが不可欠です。
実装
実装は、設計したセキュリティ対策を実際にシステムへ組み込む工程です。ネットワーク機器だけなく、OS設定やプログラミングを用いて実施します。
例えば、新たにクラウド環境を導入する企業では、AWSのセキュリティグループやアクセス管理の設定を適切に行う必要があります。これが不適切だと、外部からの不正アクセスを許すことになりかねません。
さらに、ソフトウェアの開発段階でセキュアコーディングを徹底し、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなどの脆弱性を排除します。最近では、CI/CDセキュリティスキャンを組み込み、自動でコードの安全性をチェックする手法も一般的です。
テスト
テストは、実装したセキュリティ対策が適切に機能するかを検証する工程です。
Webアプリケーションの脆弱性診断を行う際には、実際にハッカーが行うような攻撃をシミュレートし、システムがどの程度耐えられるか確認します。
さらには、DDoS対策として負荷テストを行い、特定のトラフィック量を超えた際にシステムが正常に動作するかを検証するのも一般的です。脆弱性が発見された場合は、開発チームと協力して迅速に修正し、安全な環境を確保します。
運用・保守
セキュリティ対策は導入して終わりではなく、継続的な運用が不可欠です。
例えば、大手企業がSOCを設置し、24時間365日システムの監視を行うケースがあります。ここでは、セキュリティイベント管理ツールを活用し、不審なログを分析しながら、異常な動きがあれば即座に対応します。
また、未知の脆弱性を狙った攻撃に備えて、最新の脅威情報を収集し、セキュリティポリシーの更新を続けることも重要です。
さらに、定期的なセキュリティ研修を実施し、従業員のリテラシーを向上させることで、ヒューマンエラーによる情報漏えいリスクを減らす取り組みを行うケースもあります。
3.システムエンジニアとの違い
セキュリティエンジニアとシステムエンジニアは、どちらもIT業界で活躍するエンジニアですが、役割が異なります。
システムエンジニア(SE)は、業務システムやアプリの設計・開発を担当し、効率的で使いやすいシステムを構築することが主な目的です。一方、セキュリティエンジニアは、そのシステムをサイバー攻撃から守り、安全に運用するための対策を講じるのが主な目的です。
また、必要なスキルも異なります。システムエンジニア(SE)はプログラミングやデータベース設計の知識が求められるのに対し、セキュリティエンジニアは、ネットワークセキュリティ、暗号技術、脆弱性診断などの専門知識が必要です。
4.セキュリティエンジニアの年収
セキュリティエンジニアの年収を以下の2つにわけて解説していきます。
会社員の場合
フリーランスの場合
会社員の場合
求人ボックスによると、会社員でセキュリティエンジニアになった場合の年収は、520万円です。ITエンジニアの平均年収が453万円であり、高い年収を得られる可能性があることがわかります。
高度なサイバー攻撃への対応が求められ、高度な知識を要求されやすいことから、ITエンジニアよりもセキュリティエンジニアの方が高い年収を得られやすくなっています。
フリーランスの場合
フリーランスボードによると、フリーランスとして活動するセキュリティエンジニアの平均月額報酬は、78万円です。年収に換算すると936万円と高額になることがわかります。
案件によって稼げる報酬額は変わります。上記金額はあくまでも参考として捉えてください。
5.セキュリティエンジニアに求められる知識やスキル5選
セキュリティエンジニアに求められる知識やスキルは主に以下の5点です。一つずつ解説していきます。
セキュリティの知識
サーバの知識
ネットワークの知識
IT関連の法律知識
プログラミングスキル
セキュリティの知識
サイバー攻撃の手法と防御策を理解することは、セキュリティエンジニアの基本です。そのためにも、ウイルスや不正アクセス方法などハッカーが用いる手法を理解し、対策ができるように、最新情報を獲得する必要があります。
企業内のIT資産を適切に守れるようなセキュリティ対策ツールの選定や導入、管理も求められるため、製品知識も必要です。セキュリティ対策は、利便性と安全性のバランスが重要です。見極められるようにセキュリティリスクについても詳しく理解することが求められます。
サーバの知識
セキュリティエンジニアにはサーバ知識が必要です。
サーバは適切な設定と管理が求められます。例えば、Linuxサーバのセキュリティ設定では、不要なポートを閉じ、ファイルのアクセス権限を適切に設定することが重要です。
ECサイトの管理者権限を持つアカウントが多すぎると、内部からの不正アクセスのリスクが高まります。不正アクセスを防止するためにも、必要なユーザーのみに特定の権限を付与できるようにアカウント管理や仕組みを導入するなどの対策を講じます。
ネットワークの知識
サイバー攻撃の多くはネットワークを経由して行われるため、TCP/IP、VPN、ファイアウォールなどの仕組みを理解する必要があります。
仕組みを理解し、セキュリティ面でできる対策にはどんなものがあるか、自社の環境に合ったものを選定し、導入することが大切です。
IT関連の法律知識
セキュリティ対策は、技術だけでなく法律面の知識も重要です。セキュリティに関連する法律は多くありすべてを網羅するのは難しいため、まずは以下の代表例を知識として持っておくのがおすすめです。
特定電子メール送受信適正法
プロバイダ責任制限法
高度情報通信ネットワーク社会形成基本法
不正アクセス禁止法
個人情報保護法
法律の内容は日々新しくなっているため、最新情報を確認するようにしましょう。
プログラミングスキル
セキュリティエンジニアは、システムの脆弱性を理解し、対策を実装するためにプログラミングスキルが必要です。
例えば、システムのログ解析を行い、不審なアクセスを検知するためのスクリプトを作成するケースもあります。特に開発現場では、セキュアコーディングの知識を活かし、脆弱性を防ぐ実装を行うことが求められます。
6.セキュリティエンジニアに向いている人の特徴4選
セキュリティエンジニアに向いている人の特徴は主に以下の4つです。自分があっているか確認するためにも最後までお読みください。
セキュリティの知識を身につける意欲がある人
問題解決力がある人
多方面とのコミュニケーションがとれる人
忍耐力と粘り強さがある人
セキュリティの知識を身につける意欲がある人
サイバー攻撃の手法は日々進化しており、最新の脅威に対応するためには常に学び続ける姿勢がセキュリティエンジニアには必要です。
例えば、最近では「ランサムウェア攻撃」が増加しており、新しい攻撃手法を知っていなければ、適切な対策を講じることができません。技術ブログやセキュリティ関連のニュースを定期的にチェックし、セミナーや資格取得を通じて知識をアップデートできる人が向いています。
問題解決力がある人
セキュリティインシデントが発生した際、迅速に原因を特定し、適切な対応ができる力が求められます。例えば、ある企業のWebサイトがDDoS攻撃を受けた場合、トラフィックの異常を検知し、アクセス制限やIPブロックなどの対策を即座に実行する必要があります。
また、システムの脆弱性を発見した際に、単に問題を報告するだけでなく、具体的な解決策を提案し実装できる能力も重要です。
多方面とのコミュニケーションがとれる人
セキュリティエンジニアに向いている人の特徴として、多方面とのコミュニケーションがとれることが挙げられます。
セキュリティエンジニアは、開発者、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニア、経営層など、多くの関係者と連携する機会が多い職種です。新しいセキュリティ対策を導入する際には、開発チームに安全なコーディングのルールを説明し、経営層には投資の必要性を納得してもらう必要があります。
専門知識を持っていても、それを適切に伝えられなければ、組織全体のセキュリティレベルを向上させることは難しくなるため、技術的な説明を分かりやすく伝えられる人が向いています。
忍耐力と粘り強さがある人
セキュリティエンジニアには、忍耐力と粘り強さがある人が向いています。
セキュリティ対策は、すぐに効果が見えるものではなく、長期的な視点で取り組む必要があります。また、ハッカーとのいたちごっこが続くため、根気強く対策を改善し続ける姿勢が必要です。
企業のシステムに脆弱性が見つかり、修正しても新たな攻撃手法が登場する場合があります。そのたびに分析し、対策を更新し続けなければならないため、精神的なタフさが重要な要素となります。
7.セキュリティエンジニアにおすすめの資格
セキュリティエンジニアになるために必須の資格はありませんが、取得することで円滑に業務を行えるようになったり、転職時のアピールにつながったりする場合があります。おすすめの資格を以下の5つから解説していきます。
CompTIA Security+
ITパスポート
ITの基礎を学ぶための国家資格で、IT業界未経験者にもおすすめです。
セキュリティ分野では、情報セキュリティの基本概念や、暗号技術、アクセス管理などの基礎知識を学べます。例えば、「フィッシング詐欺とは何か」「パスワード管理のポイント」といった基礎的な知識が身につきます。
これからIT業界に入りたい人や、セキュリティの基礎を固めたい人に適した資格です。
ITパスポート試験の詳細はこちらからご確認いただけます。
基本情報技術者試験/応用情報技術者試験
基本情報技術者試験は、IT全般の知識を網羅し、ネットワークやセキュリティの基礎を学べる国家資格です。ITパスポートよりも詳しいIT知識が求められるため、ITエンジニアとしてキャリアをスタートする際に有利な資格です。
応用情報技術者試験では、より高度なセキュリティ対策やリスク管理について学びます。例えば、サイバー攻撃の手法やインシデント対応の考え方を習得でき、セキュリティエンジニアとしての土台を築けます。
基本情報技術者試験はこちらから、応用情報技術者試験はこちらから詳細がご確認いただけます。
CCNA Security/CCNP Security
ネットワーク機器メーカーであるCisco社が提供する認定資格で、企業のネットワークセキュリティを強化するための知識を証明できます。
CCNA Securityは、VPNの設定やファイアウォールの管理など、基礎的なネットワークセキュリティを学びます。一方、CCNP Securityは、CCNA Securityの上位資格に位置し、企業レベルの大規模ネットワークを対象とした高度なセキュリティ対策が中心です。
セキュリティポリシーの設計や、脆弱性診断のスキルを習得できるため、ネットワークセキュリティの実務に関わる人には特におすすめの資格です。
CCNA Securityはこちらから、CCNP Securityはこちらから詳細がご確認いただけます。
CompTIA Security+
CompTIA Security+は、セキュリティの基礎から実務レベルまで学べる、国際的に認められた資格です。試験範囲は広く、暗号技術、アクセス制御、リスク管理、脆弱性対策、インシデント対応などが含まれます。実際の業務に役立つ知識を学びたい方に向いています。
日本国内だけでなく、海外でも通用するため、外資系企業を目指す人にもおすすめの資格です。
情報処理安全確保支援士
情報処理安全確保支援士は、国家資格の中で最も高度なセキュリティ資格です。
システムのセキュリティ設計や、インシデント発生時の対応、企業のセキュリティガバナンス強化など、実務に直結する内容が含まれます。例えば、SOC(セキュリティオペレーションセンター)での監視業務や、セキュリティ診断の結果をもとにリスク評価を行うスキルが求められます。
資格取得後は情報処理安全確保支援士として登録することで、専門家としての認知度が高まるため、セキュリティエンジニアとしてのキャリアアップを目指す人にとって最適な資格です。
情報処理安全確保支援士はこちらから詳細がご確認いただけます。
8.未経験からセキュリティエンジニアに転職するロードマップ
未経験からセキュリティエンジニアに転職するためのロードマップを解説します。
セキュリティエンジニアはさまざまな知識が求められるため、明確なロードマップなしで転職活動を進めるのは、効率が悪くなりがちです。効率よくセキュリティエンジニアになるためにも、以下の5つの内容を最後までお読みください。
自己学習を行う
資格を取得する
未経験可の求人や企業に応募する
大学院に進学して専門知識を身につける
セキュリティ関連大会に出場する
自己学習を行う
まずは、ITやセキュリティの基礎知識を学ぶことが重要です。書籍やUdemy、YouTubeなどのオンライン講座を活用し、以下の内容を学びましょう。
ネットワークの基礎
サーバー管理
プログラミング
セキュリティ基礎
独学での学習が難しい方は、セキュリティエンジニアについて学べるスクールに通う方法もあります。
資格を取得する
未経験者がセキュリティエンジニアとしての知識を証明するには、資格の取得が有効です。まずは、以下の順番でステップアップしていくのがおすすめです。
ITパスポート試験
基本情報技術者試験
CompTIA Security+
情報処理安全確保支援士
ITパスポートを取得することで、IT業界全般を学び、少しずつ上位レベルの資格に挑戦することで、セキュリティエンジニアに必要な知識を得やすくなります。情報処理安全確保支援士は、国家資格の中で最も上位に位置するセキュリティの資格です。取得することで大きなアピールポイントとなります。
未経験可の求人や企業に応募する
セキュリティエンジニアとしての経験がない場合、未経験OKの企業に応募する方法もあります。以下のような職種からキャリアをスタートするのも良い選択肢です。
SOCアナリスト
ヘルプデスクやITサポート
ネットワークエンジニア
セキュリティエンジニアには実務経験が必要です。ITインフラ全般の知識も求められるため、ネットワークやサーバーなどの実戦経験を得られる求人に応募するのも選択肢の一つとなります。
実務経験を積みながら、より専門的なスキルを身につけ、セキュリティエンジニアへの道を進むようにしましょう。
大学院に進学して専門知識を身につける
より高度な知識を身につけたい場合、 情報セキュリティを専門とする大学院に進学するのも有効です。専門知識を深めながら業界での人脈を築きやすくなるため、セキュリティエンジニアになりたい方にはおすすめの選択肢の1つです。
ただし、大学院進学には時間と費用がかかるため、キャリアの目的を明確にした上で検討するようにしましょう。
セキュリティ関連大会に出場する
実践的なスキルを磨くために、CTFと呼ばれる セキュリティコンペティションに参加するのもおすすめです。CTFでは、実際にサイバー攻撃を模擬的に体験しながら、脆弱性診断やフォレンジック調査のスキルを学べます。
代表的なCTF大会には以下のとおりです。
SECCON(日本最大級のセキュリティ競技大会)
DEF CON CTF(世界的に有名なハッキングコンテスト)
CTF for Beginners(初心者向けのセキュリティコンテスト)
完全初心者ではコンテストで実績を残すのは難しいですが、学習を進めることでよりよい結果を残しやすくなります。大会での実績は、転職活動でも評価されやすく、ポートフォリオの一つとして活用できるため、参加するのがおすすめです。
9.セキュリティエンジニアのキャリアアッププラン
セキュリティエンジニアのキャリアアッププランには、主に以下の6点があります。それぞれを解説していきます。
セキュリティマネジメント
セキュリティアナリスト
セキュリティコンサルタント
セキュリティアーキテクト
CISO
フリーランス
セキュリティマネジメント
セキュリティマネジメントは、組織のセキュリティ方針を策定し、リスク管理を行う役割です。例えば、企業内で発生しうる情報漏えいやサイバー攻撃のリスクを分析し、適切な対策を講じる必要があります。従業員向けのセキュリティ研修を実施したり、インシデント発生時の対応フローを構築したりするのも業務の一部です。
この職種を目指すには、セキュリティ技術だけでなく、組織運営やマネジメントのスキルも必要です。CISSPやCISMといった資格を取得し、企業のセキュリティ戦略をリードする力を養うことも求められます。
セキュリティアナリスト
セキュリティアナリストは、企業のネットワークやシステムを監視し、異常な動きを検出する仕事を担当する職種です。例えば、ある企業のサーバに大量の不審なアクセスが発生した際、その原因を特定し、適切な防御策を実施するのがアナリストの役割です。SOCやCSIRTで活躍することが多く、SIEMツールを使いこなすスキルが求められます。
この職種では、ネットワークやシステムのログを分析する力が重要です。CompTIA Security+を取得し、実践的なセキュリティインシデント対応の経験を積むことでキャリアアップがしやすくなります。
セキュリティコンサルタント
セキュリティコンサルタントは、企業のセキュリティリスクを分析し、適切な改善策を提案する仕事を行う職種です。例えば、クライアント企業のWebアプリケーションに脆弱性診断を実施し、セキュリティ強化のための具体的なアクションプランを提供することが求められます。
この職種では、技術的な知識だけでなく、クライアントとのコミュニケーション能力も重要です。情報処理安全確保支援士を取得し、実際のペネトレーションテストの経験を積むことで、高い専門性を持つコンサルタントを目指せます。
セキュリティアーキテクト
セキュリティアーキテクトは、システム全体のセキュリティ設計を担当する専門家です。
主な業務は以下のとおりです。
クラウド環境のセキュリティ強化
ゼロトラストアーキテクチャの設計など
また、AWSやAzureのセキュリティ機能を活用し、企業のITインフラを安全に運用するための設計を行うこともあります。
この職種では、クラウドセキュリティやシステムアーキテクチャの知識が必要です。AWS認定資格やCCNP Securityなどの高度な資格を取得し、システム設計の経験を積むことでキャリアアップがしやすくなります。
CISO
CISOは、企業のセキュリティ戦略を統括する役職です。セキュリティポリシーの策定、リスク評価、法規制対応などを行い、経営層と連携して組織のセキュリティレベルを向上させます。
この職種を目指すには、長年のセキュリティ経験に加え、経営視点を持つ必要があります。また、経営層との対話スキルも必須となるため、プレゼンテーション能力やリーダーシップの向上も必要です。
フリーランス
セキュリティエンジニアは、フリーランスとして独立する選択肢もあります。特に、ペネトレーションテストや脆弱性診断のスキルを持つエンジニアは、企業からの需要が高いため、高単価の案件を獲得しやすくなります。
フリーランスとして成功するには、情報処理安全確保支援士などの高度な資格を取得し、実務経験を積むことが重要です。また、フリーランスボードなどフリーランスプラットフォームを活用し、自身のスキルをアピールすることが案件獲得の鍵となります。
10.セキュリティエンジニアによくある2つの質問
セキュリティエンジニアによるある質問を2つ解説します。それぞれを見ていきましょう。
セキュリティエンジニアはやめとけ(きつい)と言われる理由は?
セキュリティエンジニアがなくなると言われている理由は?
セキュリティエンジニアはやめとけ(きつい)と言われる理由は?
セキュリティエンジニアの仕事が「きつい」と言われる理由は、主に以下3つです。
24時間365日の対応が求められることがある
技術の進化が速く、常に勉強が必要
責任が大きく、ストレスがかかる
これらの理由から、セキュリティエンジニアの仕事はきついと言われがちですが、その分 専門性が高く、社会的な需要も非常に大きいため、スキルを身につければキャリアの選択肢も広がります。「きつい」と言われる要因を理解し、適性があるかを見極めた上で挑戦することが重要です。
セキュリティエンジニアがなくなると言われている理由は?
セキュリティエンジニアの仕事は将来なくなると言われることがあります。その理由は以下の3点です。
AIによるセキュリティの自動化が進んでいる
クラウドサービスの普及により、企業のセキュリティ管理が簡素化
セキュリティツールの高機能化
一つ目の理由としては、現在、AIを活用したセキュリティツールが進化しており、 脆弱性診断、ログ分析、インシデント対応 などの業務を自動化できる技術が登場していることです。例えば、AIを搭載したシステムは、異常な挙動をリアルタイムで検出し、自動的に対応策を実行できるようになっています。
2つ目の理由は、クラウドサービスの普及により、企業セキュリティ管理が簡素化したことです。
以前は、各企業が独自のネットワークやサーバーを管理し、セキュリティ対策を実施していました。
しかし、AWSやAzureなどの クラウドサービスが普及したことで、セキュリティ対策がプラットフォーム側で提供される ケースが増えています。企業はクラウドプロバイダーのセキュリティ対策に依存する形になり、エンジニアが個別に管理する範囲が狭まる可能性があります。
3つ目の理由として、セキュリティツールの高機能化があります。過去は、専門知識がなければ対策できなかったセキュリティ領域も、 使いやすいセキュリティツールが登場 したことで、IT担当者がある程度の業務をカバーできるようになっています。
例えば、EDRやXDRといったセキュリティソリューションは、セキュリティリスクを自動的に分析し、最適な対応を提案してくれるため、専門家が介在しなくても一定の防御が可能です。
これらの理由により、セキュリティエンジニアがなくなるという意見がありますが、職業自体が完全になくなることはありません。より高度な知識を持つエンジニアの需要は増加する可能性が高いため、将来性も高いといえるでしょう。
関連記事
AWS、Azure、GCPの違いを比較|適切なクラウド選定やキャリアアップ方法、将来性を徹底解説
IT業界の今後を予測|最新トレンドから今後の成長分野までわかりやすく解説
11.まとめ
今回は、セキュリティエンジニアについて、仕事内容や年収、取得がおすすめの資格をお話ししました。さらには、未経験からセキュリティエンジニアになるためのロードマップを合わせ解説していきました。
昨今は、サイバー攻撃やDDoS攻撃が行われているだけでなく、日々巧妙化しているため、セキュリティエンジニアなしでは企業活動の継続が難しくなりつつあります。セキュリティエンジニアの需要は高まっているため、将来性は高い職種といえるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。