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個人事業主の節税完全ガイド|コツや節税する際の注意点などわかりやすく解説

公開日:2025/04/10最終更新日:2025/04/10

個人事業主の所得税は1年間の事業の利益を確定した後、自ら納税額を計算し税務署へ確定申告を行う必要があります。


さらにこの確定申告の内容を基に、住民税や事業税の金額が決定されます。適切な節税対策を講じることで、これらの税負担を大幅に軽減することが可能です。


実際に節税対策を実施するかどうかで、税額が大きく変わるケースもあります。活用できる制度や対策をしっかり確認し、取り入れましょう。

1.節税の基礎知識を押さえよう

節税を行うことで支払うべき税金を減らすことができますが、誤った方法で行うと脱税とみなされることがあります。まずは、節税に関する基本的な知識をしっかりと理解することが大切です。

脱税とは?

脱税とは売上を少なく申告したり、存在しない経費を計上したりして不正に税金の支払いを免れようとする行為のことです。


計算ミスなどで納税額を誤って少なく申告した場合、悪質でなければ申告漏れとみなされますが意図的な場合は脱税とされてペナルティが課されます。 ただし申告漏れでも過少申告税や無申告加算税が課せられることがあるため、注意が必要です。

節税についての正しい考え方

節税とは法律で認められた制度や控除を活用して、正当な方法で税金の負担を軽減することです。控除を活用したり適切に経費を計上したりすることが、節税の手段となります。

無駄な節税に注意!手元にお金が残らない対策とは?

経費や控除の金額が増えると課税対象となる所得が減少し、結果として納めるべき税金が少なくなります。しかし節税目的で過剰に支出を増やすと、手元の資金が減少して本来の目的である利益確保が達成できなくなります。


現金が残らなくなるような節税は避けるべきです。

2.節税のコツ:経費の計上

節税のコツの一つに必要経費を正しく計上することが挙げられます。

自宅兼事務所の場合、家賃や光熱費を「家事按分」で経費にする方法

家事按分とは個人事業主が自宅の一部を事業で使用している場合、家賃や光熱費などの支出の中から事業用に使用した割合を経費として計上する方法です。


例えば、個人事業主Aさんが毎月20万円の家賃を支払っているとします。Aさんの自宅は事務所としても利用しており、事業で使っている部分が40%だとしたら、20万円×40%=8万円を経費として計上できます。


同様に、以下の費用についても家事按分で事業用分を経費にすることが可能です。

  • 光熱費

  • 通信費

  • 自動車関連費

家事按分は面積だけでなく使用時間やコンセントの数など、合理的な基準を用いて計算することができます。例えば自動車の経費については走行距離に基づいて減価償却費・保険料・ガソリン代・修理代・駐車場代なども経費として計上できます。


なお領収書を保管することを忘れずに行いましょう。

30万円未満の固定資産は一括で経費計上する

通常10万円以上の資産を購入した場合、固定資産として計上し耐用年数に応じて減価償却を行います。


しかし資本金1億円以下・従業員500人以下の青色申告を行う個人事業主であれば、30万円未満の資産に「少額減価償却資産の特例」を適用することでその年度に全額を経費として計上することが可能です。


この特例を適用しない場合、資産の経費計上額は耐用年数に応じた金額をさらに月割りで計算する必要があります。例えば24万円の資産を耐用年数5年で購入し、事業年度の最終月に取得した場合には初年度に経費計上できるのはわずか4,000円です。


しかしこの特例を適用すれば購入時期に関係なく全額を経費計上できるため、このケースでは24万円全額をその年の経費とすることが可能になります。


ただしこの特例は年間合計300万円までという上限があるため、計画的に活用しましょう。

短期前払費用の特例を活用し、経費計上を前倒しにする

前払費用は通常支払い時に資産として計上し、役務を受けた分だけ経費として処理します。


しかし「短期前払費用の特例」を利用すると特定の条件を満たす場合、支払い時に全額経費として計上することができます。つまりこの特例を活用すると、収益と対応させずに経費として扱うことができるのです。


例えば、2024年7月に1年分(2024年7月から2025年6月分)の保険料を支払った場合を考えてみましょう。


通常のルールでは2024年1月から12月の確定申告では7月から12月の6ヶ月分の保険料のみ経費として計上し、2025年1月から6月分の保険料は前払費用として資産に計上します。


しかし「短期前払費用の特例」を利用すると、2024年7月に支払った保険料の全額をその年の経費として計上できます。この特例を利用するための条件は以下の通りです。

  • 支払日から1年以内に役務の提供を受ける

  • 実際に支払っている

  • 継続的に役務の提供を受ける

  • 同様の経理処理を毎年行う

重要なのは「役務の提供を受ける」という部分で、物品の譲渡に関する費用は対象外です。たとえば新聞の購読料は対象外ですが(新聞が手元に届く=資産の譲渡)、電子版新聞の購読料は対象となります。


個人事業主が利用可能な例としては以下のようなものが考えられます。

  • サーバーの利用料

  • 保険料

  • 家賃や駐車場代

  • 電子版の新聞の年間購読料

注意点として、支払日から1年以内に役務が提供されることが求められます。例えば、以下のようなケースです。

支払時期

サービス提供期間

適用可否

12月末支払

翌月1月~翌年12月の保険料

〇(支払から1年内のサービス提供)

11月末支払

翌月1月~翌年12月の保険料

×(支払日から1年を超えている)

また特例を利用する際には、毎年同様の経費処理を行うことが必要です。たとえば「今年は利益が多いから年払いにしよう」といった変更は認められません。


短期前払費用の特例を利用した場合には翌年度以降も同じ経費処理を続ける必要がありますので、その点には注意が必要です。

経費として認められる税金を把握しておこう

税金の中にも経費として計上できるものがあります。個人事業主が支払う税金で、経費として計上可能なものは以下の通りです。

  • 印紙税

  • 個人事業税

  • 固定資産税

  • 自動車税

  • 登録免許税

これらの税金は、「租税公課(そぜいこうか)」という勘定科目を用いて経費として計上します

経営セーフティ共済の掛け金を経費にし、万一に備える

経営セーフティ共済は取引先が倒産した場合に、無担保・無保証人で掛け金の最大10倍を借り入れることができる制度です。その年に支払った掛金は経費として計上できます。掛け金は月額5,000円から20万円の範囲で設定でき、解約時には解約手当金を受け取ることができます。


ただし40カ月未満で解約した場合、受け取る金額が掛け金を下回ることがあるため注意が必要です。また解約手当金を受け取る際には雑収入として所得税が課税される点も理解しておくべきです。


赤字の年に解約することでほとんど課税されない場合もあり、節税効果が期待できる可能性があります。万が一の事態に備えるために個人事業主の方は一度検討してみると良いでしょう。

3.個人事業主の経費はぶっちゃけいくらまで?

個人事業主が計上できる経費には上限はなく、事業に関連する費用であれば原則としてどれだけでも経費として計上できます。ただし実際に経費として認められるためには、使用場所・頻度・目的・金額などが重要なポイントとなります。


過度な経費計上や売上に対して不自然な額の経費を計上すると、税務署から脱税の疑いを持たれることがあります。


事業の経費を計上する際には、必ずレシートや領収書を受け取り、保管しておきましょう。また使用目的をその都度記載しておくことで、さらに安心です。

4.個人事業主が納める税金

この章では個人事業主の税金を種類ごとに解説します。

所得税

所得税は、その年の収入に基づいて支払う税金です。まず売上から経費を差し引いた金額が所得となり、その所得から各種の所得控除を差し引いた額が課税対象となります。


所得税の税率は課税所得の額に応じて異なり、5%から45%の間で設定されています。税率は累進課税方式で、課税所得が多くなるほど税率も高くなります。


納税期限については通常、納付書で支払う場合は3月15日で口座振替の場合は4月に引き落とされます(もし期限が休日の場合は翌営業日)。


また2037年(令和19年)までは、復興特別所得税として所得税額の2.1%が加算されます。

消費税

消費税は、課税売上高に基づいて支払う税金です。個人事業主の場合には前々年度の課税売上高または前年度の上半期(1~6月)の課税売上高が1,000万円を超えるなどの条件を満たすと、消費税の納税義務が発生します。


納付すべき税額は課税売上高に対する消費税額から、課税仕入高に対する消費税額を差し引いた残額です。もし課税売上高が5,000万円以下で事前に税務署に届出書を提出していれば、簡易課税制度が適用され税額計算が簡略化されます。


また2023年10月1日から導入されたインボイス制度(適格請求書保存方式)は、個人事業主にも影響があります。

住民税

住民税は都道府県や市区町村などの自治体に対して支払う税金で、所得割と均等割の2種類に分かれています。所得割は前年度の所得金額の10%に、税額控除を差し引いた額に基づいて計算されます。一方均等割は特定の条件を満たす人に対して課税され、全国一律で5,000円となっています。


納税の期限は6月、8月、10月、翌年1月の末日です。住民税決定通知書は5月31日までにかけて届き、その後納付書や口座振替を通じて納税を行います。

個人事業税

住民税と同様に、自治体に対して支払う税金です。地方税法に基づき70の業種が対象となり、その年の所得が290万円を超えると納税義務が生じます。税率は業種によって異なり、3~5%の範囲です。


納税の期限は通常8月と11月の末日となっており、送付された納税通知書をもとに納付書や口座振替で納税します。

償却資産税

固定資産税の一種で1月1日時点で事業用の償却資産を所有しており、その課税標準額の合計が150万円以上の場合には納税義務が発生します。税率は課税標準額の1.4%となります。


償却資産の所有については1月末までに都道府県の税事務所に申告が必要で、その後納税通知書が送付されます。納税時期は、徴収する自治体によって異なります。


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5.個人事業主が実践できるおすすめの節税対策

この章では個人事業主が実施できるおすすめの節税対策について解説します。

青色申告特別控除を活用する

青色申告をまだ行っていない場合、ぜひ65万円の控除が受けられる青色申告に切り替えることをおすすめします。


青色申告には単式簿記による10万円控除と複式簿記による55万円・65万円控除があります。複式簿記は難しそうと感じる人もいるかもしれませんが、最近では手軽に利用できる青色申告用の会計ソフトが充実しておりそんなに高くない価格で使えるものもあります。


複式簿記で記帳すると、55・65万円の控除が適用されます。所得控除とは課税対象から差し引かれる金額のことです。所得税の税率は195万円未満なら5%となるため、適切に控除を活用することで税負担を軽減できます。

また報酬から源泉徴収税が差し引かれていた場合、確定申告をすることで還付がなされるケースもありえます。


2020年分以降の青色申告特別控除額は原則55万円ですが、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存のいずれかを行うことで、65万円の控除を適用できます。青色申告を最大限活用して、節税対策を進めましょう。

事業専従者に給与を支給する

あなたの事業で働きあなたから給与を受け取っている配偶者やお子様(青色事業専従者)への給与支給は、経費として計上することができます。青色事業専従者とは、次の要件を満たす親族です。

  • 青色申告者と生計を一にしている配偶者または親族であること

  • その年の12月31日現在で15歳以上であること

  • 半年以上にわたり青色申告者の事業に専ら従事していること

専従者に支払った給与額を所得金額から控除できます。


なお「所得税の青色申告承認申請書」および「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署に提出することが必要です。専従者への給与額を経費に計上する場合、提出期限は基本的にその年の3月15日です。

その他の要件は以下の通りです。

  • 届出に記載された金額以下の給与支払い

  • 給与額は仕事内容に見合った金額であること(過剰な額はNG)

なお配偶者や親族は配偶者控除や扶養控除の対象にはなりません。


青色専従者に支払う給与金額としては社会保険などがかからない月83,300円(年999,600円)が推奨されています。


また「事業に専ら従事していること」が必要なため、他で働いている配偶者や学校に通っている学生・生徒は基本的に事業専従者として認められません。


なお給与の額によっては配偶者や親族に所得税や住民税が課税される場合があります。給与額は慎重に設定する必要があります。

小規模企業共済を活用する

小規模企業共済は中小機構が運営する個人事業主や中小企業向けの積立型退職金制度で、支払った掛金の全額が所得控除の対象となります。加入後は掛金の増減が可能で、受け取り方法も一括・分割のどちらかを選択できます。


一括受取の場合は退職所得控除が適用され、退職金として有利な課税制度が利用可能です。一方、分割受取の場合は退職所得控除が適用されません。さらに低金利の貸付制度も利用できるため、個人事業主にとって多くのメリットがある制度といえます。

ふるさと納税を活用する

自分の故郷や応援したい自治体に寄付をすることで、税金の控除や還付を受けられる制度です。特産品が返礼品として受け取れることでも知られています。寄付をした年の所得税からは還付、翌年の住民税からは控除が適用されます。


控除の上限額は所得や家族構成によって異なりますが、上限内であれば寄付額のうち2,000円を超える部分が控除の対象となります。

消費税の計算方法を見直す

消費税には2つの計算方法があり、どちらを選ぶかによって納める消費税の金額が異なります。そのため両方の方法を試算し、より少なく納税できる方法を選ぶことが重要です。計算方法の判定・変更に関する概要は以下の通りです。

  • 判定: 原則課税と簡易課税の両方の計算方法で計算して、どちらが納税額が少なくなるかを計算する必要があります。

  • 変更: 簡易課税制度に変更する場合や簡易課税制度をやめる場合は、所定の届出書を税務署に提出しなければなりません。

  • 節税効果: 原則課税と簡易課税のそれぞれで計算した消費税額の差額が節税に繋がります。

  • 計算: 当期の消費税額をもとに、Excelなどを使用して試算します。

  • 変更: 消費税計算方法を変更する際には、税務署に届出書を提出することが求められます。

  • 提出期限: 変更する年の前年12月の税務署最終営業日までに届出を提出する必要があります。

  • その他: 来年度の消費税の計算方法は今年中に決めておかなければならないため、早めに確認しておくことが重要です。

  • 原則課税:納税額は以下の2つの項目で計算されます。

消費税額:{(課税売上高(標準税率分)×7.8%)+(課税売上高(軽減税率分)× 6.24%)}-{(税抜課税仕入れ(標準)×7.8%)-(税抜課税仕入れ(軽減税率)× 6.24%)}×課税売上高割合


地方消費税:上記消費税額×22/78

  • 簡易課税制度:納税額は以下の2つで計算されます。

消費税額:{(課税売上高(標準税率分)×7.8%)+ (課税売上高(軽減税率分 × 6.24%)}-{(課税売上高(標準税率分)×7.8%)+(課税売上高(軽減税率分)×6.24%)}×みなし仕入率


地方消費税額:上記消費税額 × 22/78

法人化を検討する

事業が成長し課税所得が増えてきた場合、法人化を検討することで節税のメリットを得られる可能性があります。


ただし法人設立には登記手続きや費用がかかるほか法人税以外の各種税負担も考慮する必要があるため、慎重な判断が求められます。


個人事業主として納める税金には「所得税」「住民税」「個人事業税」「消費税」などがあります。特に所得税は累進課税制度のため、所得が増えるほど税率も高くなります。


一方、法人が負担する税金には「法人税」「法人住民税」「法人事業税」「地方法人特別税」「消費税」「固定資産税」などがあり、法人税は所得額に応じた区分税率が適用されます。


法人では役員報酬として所得を分散し、給与所得控除を活用することで税負担を軽減できる仕組みがあります。そのため一定以上の所得がある場合、法人化によって節税のメリットが得られる可能性があります。

生命保険料控除を利用する

生命保険料控除を利用すると、所得から最大で12万円を控除できます。具体的には生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料に対してそれぞれ最大4万円まで控除が可能です。


控除の条件として保険金の受取人が保険料を支払った納税者本人・配偶者・その他の親族である必要があります。


また保険期間が5年未満の生命保険などの一部の保険は控除対象外となる場合があるため注意が必要です。

医療費控除を活用する

年間に一定額以上の医療費を支払った場合、所得税や住民税の控除を受けることができます。


具体的には年間の医療費が10万円を超えた場合(所得金額が200万円未満の人は所得の5%以上)、またはセルフメディケーション税制の対象となる医薬品を年間1万2,000円以上購入した場合が該当します。

住宅ローン控除を活用する

住宅ローン控除は、住宅ローンの年末残高に対して基本的に0.7%を所得税から直接差し引ける制度です。この控除は、新築・中古住宅の購入やリフォームなどに適用されます。


控除を受けられる期間は最大13年となり、長期的な節税効果が見込まれます。


適用条件として住宅ローンの返済期間が10年以上であること、総所得が2,000万円以下であることなどが求められます。


この制度を利用することで、住宅購入やローン返済に伴う経済的負担を税金面で軽減できる点が大きなメリットです。

国民年金保険料の前納付割引制度の活用する

国民年金保険料の前納付割引制度を活用して、節税を行うことができます。この制度では、一定期間の保険料を前払いすることで、割引が適用されます。


前払いした国民年金保険料は支払った年の社会保険料控除として全額控除でき、割引額も適用されます。


国民年金前納付割引制度の利用方法は以下の通りです。

  • 前納の条件: 国民年金保険料を前納すること

  • 節税効果: 所得から2年分の社会保険料を控除+割引額

  • 手続き方法: 前納には専用の手続きが必要で、最寄りの年金事務所に問い合わせが必要です。

  • 期限: 12月31日までに支払いが完了していること

  • その他:2年前納、1年前納、6カ月前納などからを選べる

注意点として2年前納を選択すると免除の対象になった場合でも減免を受けることができませんので、避けた方が良いです。また前納は毎年4月からしか実施できません。


例えば8月から1年前納や2年前納を検討しても、その翌年の4月から前納が適用されます。

特定口座を活用する

株式投資において「源泉徴収あり」の特定口座を利用すると、譲渡益(売却益)にかかる税金が自動的に徴収され確定申告を行う必要がなくなります。節税ではないですが便利なので利用したい制度です。


証券会社で株式取引を始める際には、口座の種類として「特定口座」または「一般口座」を選択できます。特定口座では証券会社が年間の損益を計算し、年間取引報告書を発行します。一方一般口座では、投資家が自分で損益を計算し、確定申告を行わなければなりません(一定条件下では申告不要)。


特定口座の「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の選択については以下の通りです。

  • 源泉徴収あり: これを選択すると譲渡益に対する税金が証券会社で源泉徴収され、確定申告が不要になります。配当金や譲渡損(売却損)も自動的に損益通算され、税金が納付または還付されます。

  • 源泉徴収なし: この場合証券会社は1年間の損益を計算した「特定口座年間取引報告書」を作成し投資家に交付します。その後投資家はこれを基に確定申告を行い、税金を支払います。なお「源泉徴収あり」を選択していても、確定申告を行うことは可能です。

特定口座申込時に「源泉徴収あり」を選ぶことをおすすめします。メリットが多いため、この選択肢を取るべきです。


また特定口座以外の総所得金額が2,000万円以下なら、住宅ローン控除が受けられるのもメリットです。

  • 手続き方法: 口座開設時に「源泉徴収あり」を選択(開設後に変更できる場合もあるが、できない場合もあり)

  • 期限: 株式取引を行う前に選択を完了させること

  • その他: 損失が出た場合には損益通算ができ、確定申告で所得税や住民税の還付を受けることができる

注意点として「源泉徴収あり」の口座を複数の金融機関で持っている場合でも、確定申告義務は発生しませんが損益通算は自動的には行われません。


複数の証券会社で取引している場合は、それぞれの取引報告書を基に確定申告を行い、譲渡益と譲渡損を合算して申告します。


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6.個人事業主が節税する際の注意点

節税を行う際には注意すべき点がいくつかあります。

すべての節税方法が誰にでも適用できるわけではない

これまで紹介した節税方法がすべて利用できるわけではありません。自分が適用できる方法があるかどうか、条件や要件をしっかり確認して準備することをお勧めします。

節税対策には準備に時間がかかるものがある

節税方法には手続きが複雑だったり、リスクが伴うものもあります。契約書の保管を行い計算方法を確認し、しっかりとした根拠に基づいた数字を記録しておくことが重要です。

期限付きの提出書類があるので注意

届出を提出しないと利用できない節税方法もあります。提出書類が必要な場合は、提出期限をしっかり把握しておかないと、申請が間に合わず、節税効果を受けられないことがあります。


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7.まとめ

これまでご紹介したように、個人事業主にはさまざまな節税対策の方法があります。


しかし、これらを活用するには、日々の取引を正確に記帳し、経費を適切に管理することが重要です。また、事業の状況や個々の事情によって、最適な対策は異なります。


さらに、所得が増えてきた場合は、法人化を検討することで、より幅広い節税対策が可能になります。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。


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目次

1.節税の基礎知識を押さえよう

脱税とは?

節税についての正しい考え方

無駄な節税に注意!手元にお金が残らない対策とは?

2.節税のコツ:経費の計上

自宅兼事務所の場合、家賃や光熱費を「家事按分」で経費にする方法

30万円未満の固定資産は一括で経費計上する

短期前払費用の特例を活用し、経費計上を前倒しにする

経費として認められる税金を把握しておこう

経営セーフティ共済の掛け金を経費にし、万一に備える

3.個人事業主の経費はぶっちゃけいくらまで?

4.個人事業主が納める税金

所得税

消費税

住民税

個人事業税

償却資産税

5.個人事業主が実践できるおすすめの節税対策

青色申告特別控除を活用する

事業専従者に給与を支給する

小規模企業共済を活用する

ふるさと納税を活用する

消費税の計算方法を見直す

法人化を検討する

生命保険料控除を利用する

医療費控除を活用する

住宅ローン控除を活用する

国民年金保険料の前納付割引制度の活用する

特定口座を活用する

6.個人事業主が節税する際の注意点

すべての節税方法が誰にでも適用できるわけではない

節税対策には準備に時間がかかるものがある

期限付きの提出書類があるので注意

7.まとめ