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リスキリングとは|何を学ぶべき?語源やリカレント教育との違い、メリット、進め方など紹介

公開日:2025/06/15最終更新日:2025/06/15

テクノロジーの進歩によって社会が急激に変化する現代において、私たちの職場でも仕事のやり方に大きな変化が生まれたり新たな職種が誕生したりしています。そうした状況の中で、国内のみならず国際的に注目を浴びているのが、「リスキリング」という考え方です。しかしリスキリングという言葉は聞いたことがあっても、何を意味するのか明確には分からない方もいるのではないでしょうか。


そこで本記事では、リスキリングの意味や注目される理由、メリット、注意点などについて幅広く解説します。


特に以下の方には、この記事をご一読いただきたいです。

  • 将来のキャリアに不安を感じ、新たなスキルを模索するITエンジニア

  • 収入やキャリアアップのため、より専門的な技術を学びたいエンジニア

  • 案件の獲得や単価向上を目指してスキルを更新したいフリーランス


目次

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1.リスキリングとは

経済産業省の資料によると、リスキリングは以下のように定義されています。


「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」

引用元:経済産業省「リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―


英語では「Re-skilling」を意味する言葉であり、直訳すると「新しいスキルを再取得すること」を意味します。リスキリングは単なる学び直しではなく、あくまでも「時代の変化に対応するために必要な学び」を指す点は理解しておくことが大切です。

リスキリングで何を学ぶべきか

リスキリングで学ぶべき対象は、社会の変化に合わせて変化します。


リスキリングは、新たな職業の誕生や既存の職業において発生したスキルの変化に対応することを目的としているためです。近年の技術革新や急速なビジネスモデルの変化によって、新しい仕事が生まれたり既存の業界・職種における仕事の進め方が大きく変化したりしています。


そこで、変化の激しい現代においても仕事で価値創出をし続けられるように、必要なタイミングで必要な新しい知識やスキルを学ぶことがリスキリングであると言えるでしょう。

2.リスキリングと類似概念との違い

この章では、リスキリングと混同されやすい以下の3つの言葉との違いについて整理します。

  • リカレント教育との違い

  • アンラーニングとの違い

  • 生涯学習との違い

リカレント教育との違い

リカレント教育とは、各個人が必要なタイミングで教育を受け、再び仕事に戻ることを繰り返す仕組みのことです。


リカレント教育とリスキリングは「社会に出た後に学び直す」といった点では共通しています。しかし以下の点で、両者は別の考え方です。

  • リカレント教育:学ぶために仕事から離れることを前提とする

  • リスキリング:仕事を続けながら並行して必要な学習をする

また、リカレント教育は基本的に個人の学びに視点が置かれていますが、リスキリングは基本的に「企業が社員に学習を促す」との視点で語られることが多いと言えるでしょう。

アンラーニングとの違い

アンラーニングとは、これまでの仕事のやり方やルーティン、信念などを一度捨てて、新たなやり方を取り入れることを指します。


「新たな知識やスキルを学ぶ」といった点では、アンラーニングとリスキリングは共通しています。しかし以下の点において、両者は別の概念です。

  • アンラーニング:既存の価値観を捨てることに重点を置く

  • リスキリング:新たな知識やスキルを学ぶ点に重点を置く

アンラーニングは「学習棄却」とも呼ばれる言葉であり、現時点で有効ではなくなっているやり方や価値観を捨てることを意味の中心とした言葉です。一方のリスキリングでは、現時点で必要なスキルや知識を学ぶことに重点が置かれています。

生涯学習との違い

生涯学習とは、人が生涯にわたって行う、豊かで充実した人生を送るためのあらゆる学びを指す言葉です。


学校や家庭での教育に限定せず、以下のようなさまざまな場・機会で行う学習を指します。

  • 社会教育

  • 文化活動

  • スポーツ活動

  • ボランティア活動

  • 趣味 など

生涯学習とリスキリングでは、対象とする学びの範囲に違いがあります。生涯学習が学びの範囲を限定していない一方で、リスキリングは「仕事に必要な・役立つ学習」に学びの範囲を限定しています。

3.リスキリングが注目されている理由

この章では、リスキリングが注目を集めている理由を以下の3点に整理して解説します。

  • IT化・DX化の推進

  • 雇用環境の変化によるキャリア自律の重要化

  • 経済産業省による推進

IT化・DX化の推進

リスキリングが注目を集めている理由としてまず考えられるのが、DX化の推進です。


近年では、多くの企業がデジタル技術による業務の自動化を推し進めています。DX化が進む中では、従来の業務スタイルでは対応できない仕事が出てくるようになり、変化した業務内容に合わせて新たなスキルや知識を学ぶ必要性が出てきています。


たとえば、近年多くの企業がビッグデータのビジネスへの活用を進めています。ビッグデータの活用にはデータ分析やその他のスキルが必要であり、リスキリングによって新しく学ぶことが必要です。

雇用環境の変化によるキャリア自律の重要化

雇用環境の変化によるキャリア自律の重要化も、リスキリングが注目を集めている理由の1つです。


日本国内の多くの企業においては、長い期間にわたって終身雇用制度が基本とされていました。しかし近年における社会情勢の変化によって企業の雇用制度は転換期を迎え、従業員に早期退職を促したり人員削減を行うケースも増えています。


こうした時代の中では、1つの会社のみに頼る考え方では、安定したキャリアを築いていくことは困難でしょう。そこで重要視されているのが、企業や組織に依存せず自分のキャリアを主体的に切り拓いていく「キャリア自律」の考え方です。


変化の激しい現代においてキャリアの選択肢を狭めず長期的に活躍していくためには、リスキリングを通じた成長が重要だと言えるでしょう。

経済産業省による推進

経済産業省が積極的に推進していることも、リスキリングが注目されている理由の1つだと考えられます。


リスキリングは2020年の世界経済フォーラムで「2030年までに10億人を対象とする」と宣言されたことをきっかけとして国際的に注目を集めました。そして日本国内でもリスキリングの流れは勢いをましており、経済産業省が出した「人材版伊藤レポート」では人材戦略の重要な要素として捉えられています。


現在でも経済産業省はリスキリングの支援事業を展開しており、今後もリスキリングへの注目は続いていくと考えられるでしょう。


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4.リスキリングに取り組むメリット

この章では、リスキリングに取り組むメリットを以下の4点に整理して解説します。

  • 今後のキャリアの選択肢が広がる

  • 昇進や収入アップにつながる

  • 生産性が向上する

  • モチベーションアップにつながる

今後のキャリアの選択肢が広がる

リスキリングに取り組むメリットとしてまず挙げられるのが、今後のキャリアの選択肢が広がることです。


リスキリングによってその時代に必要な、つまりニーズの高いスキル・知識を学ぶことで、自分の市場価値が高まります。ニーズの高いスキル・知識を身に付けることで仕事の幅が広がり、自分が活躍できる領域が広がっていくでしょう。


変化の激しい現代においては、必要なスキルや知識も短期間で変化していきます。時代のニーズに合う人材であり続けるには、リスキリングの考え方が大切だと考えられます。

昇進や収入アップにつながる

昇進や収入アップにつながることも、リスキリングに取り組むメリットの1つです。


新たな仕事に必要なスキルや知識を持った人材は希少性が高く、企業としても好条件を出して確保したいと考えるでしょう。また、保有するスキルが増えることで新たなアイデアやソリューションを生み出せるようになれば自分の評価が上がっていきます。


さらにリスキリングに取り組む中で資格を取得すれば、新たな業務をまかされたり資格手当を受け取れたりすることも考えられます。特にITやDX関連のスキルには高い需要があり、収入アップにもつながりやすいでしょう。

生産性が向上する

リスキリングによって新たなスキルを身に付けることで、生産性の向上も期待できます。


少子高齢化により多くの業界で労働力不足が深刻化している現在では、限られた時間や予算で最大限の成果を出せる人材が求められます。新しいツールを使えるようになったり新たなスキルを身に付けたりすることで生産性が向上し、業務を効率的に進められるようになるでしょう。


たとえば、プロジェクトの管理に管理ツールを使用することで、自分の生産性だけでなくチーム全体の生産性も向上可能です。

モチベーションアップにつながる

リスキリングによって新たなスキルや知識を身に付ければ、仕事に対するモチベーションアップにもつながります。


「新たなスキル・知識を学び実践して成果につなげる」といったことに成功できれば、自分の成長を実感してモチベーションアップにつながるでしょう。仕事に対して前向きになればさらに新たな業務に挑戦したり新たな分野の学習をしたりと、好循環も期待できます。


リスキリングによってモチベーションが高まれば視野が広がり、今後のキャリアにも好影響が生まれると考えられます。

5.リスキリングを進めるための流れ

この章では、リスキリングを進めるための流れを以下の5ステップに分けて解説します。

  1. 目的や学習対象を決める

  2. 学習計画を立てる

  3. 学習手段・方法を決める

  4. 学習する

  5. 習得したスキルを仕事で実践する

①目的や学習対象を決める

リスキリングを始めるにあたってはまず、目的や学習対象を決めます。


自分に今必要な学びは何かを考え、どのようなスキルを習得する・習得し直すのか決めることが大切です。全く経験のない職種のスキルを学ぶ、現在の仕事で活用できるスキルを増やすなど、選択肢は複数存在します。


最初の段階で大切なのは、学習の方向性を明確にすることです。方向性や目的が明確になっていないと学習計画も明確に立てにくく、モチベーション維持も難しくなる恐れがあるでしょう。目的が明確でないと学んだ後仕事に活かせない可能性もあるため、できるだけ具体的に設定することが大切です。


「最終的に〇〇の試験で〇〇点以上を取る」などと具体的な数字を入れて目標を立てると、学習計画を立てやすいと言えます。

②学習計画を立てる

目的や学習対象を設定したら、次に具体的な学習計画を立てます。


仕事を続けながら学習を継続することは大変であり、計画的に進めないと挫折してしまう恐れが高まるためです。時間的にも体力的にも、仕事と学習の両立は大きな負担になります。現在の自分の働き方も踏まえて、どのような学習計画であれば効率的で無理がないか考えるようにしましょう。

③学習手段・方法を決める

学習計画を立てる中で、学習手段・方法を選択することも重要です。


現在では、リスキリングの手段は以下のように複数存在します。

  • 独学(書籍、Webサイト、動画などを活用)

  • オンライン講座

  • リスキリングプログラム

自分に合った学習方法を選択することで、無理なく効率的にリスキリングを進められるでしょう。各学習手段の特徴については、本記事の後半で紹介します。

④学習する

学習計画や手段を明確にしたら、計画に沿って学習を進めていきます。


学習を成功させるには、無理に詰め込もうとするのではなく毎日少しずつでも良いので習慣化させることが大切です。平日の夜や休日に加えて朝や通勤時間なども含め、自分がやりやすいと感じる学習スタイルを確立するように努めましょう。


また毎日の記録をつけたりカレンダーに書き込んだりすることで取り組みが可視化され、現在の実力を把握しやすくなるだけでなくモチベーションを保ちやすくなります。仕事と学習を無理なく両立できればやり方に正解はないため、自分に合った方法で学習の習慣化を目指しましょう。

⑤習得したスキルを仕事で実践する

スキル・知識を学習したら、仕事で実践してみることが大切です。


リスキリングにおいてはスキル・知識を身に付けること自体がゴールではなく、仕事に活かすことが重要だと言えます。また身に付けたスキルや知識は実践することで理解が深まり、定着しやすくなるとも考えられます。


現在の業務にすぐ活かせる状況でないと思っても、実践できる方法がないか検討することが大切です。たとえばプログラミング言語を学習したのであれば、副業で案件に挑戦してみたり自分でサービスやアプリを作ってみたりすることが考えられます。


学んだことが何らかの形になれば、成長を実感できて今後のモチベーションアップにもつながるでしょう。

6.リスキリングで学ぶべきおすすめのスキル

この章では、リスキリングで学ぶべきおすすめのスキルとして以下の4つを紹介します。

  • プログラミング

  • 英語

  • 先端ITスキル

  • マーケティング

もちろん自分が必要だと判断したスキル・知識を学習するのがベストですが、ここで紹介するのはいずれも現代において汎用性が高いスキルです。何を学ぶべきか計画段階で迷ったら、ご参考にしてみてください。

プログラミング

リスキリングで学ぶスキルとしてまずおすすめできるのが、プログラミングスキルです。


現代では多種多様な分野でデジタル化が進んでおり、プログラムを作成するスキルには非常に高い需要があります。IT人材は慢性的な不足状態が続いており、経済産業省が公開しているデータによると以下の通り2030年には人材不足規模が最大約79万人にもなると推計されている状態です。


(引用:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果~ 報告書概要版 ~」)


プリグラミングスキルを身に付けることで、将来のキャリアの選択肢が大きく広がる可能性も十分に考えられるでしょう。また非エンジニアにとっても、プログラミングに関する素養を身に付けたりプログラミング学習によって論理的思考能力を高めることは大切です。

英語

リスキリングで学ぶこととしては、英語もおすすめできます。


ビジネスレベルの英語力を持った人材であれば、国内に限定せず世界中の幅広い業界・業種に活躍の場を広げられるためです。どの業界でもグローバルに事業を展開する企業は多数あり、国際的な場面で求められる人材には英語力が欠かせません。


また、通訳や翻訳の仕事も現在では幅広く存在しており、クラウドソーシングサービスでも日常的に募集があります。英語力を高めることで活躍の幅が広がることは、多くの方に当てはまるでしょう。

先端ITスキル

リスキリングにおすすめのスキルとしては、先端ITスキルも挙げられます。


現代ではさまざまな企業でIT化やDX化が進んでおり、AIやIoTなどの先端技術が活用されるケースも増えているためです。AIやIoTに関するスキルを身に付けることで、自分の市場価値が高まることを期待できます。


また、AIやIoTの技術に関して理解を深めていくことで、自動化やデータ分析などに詳しくなることも考えられるでしょう。「現代の仕事に求められるスキル」としては、先端ITスキルは欠かせません。

マーケティング

自分の市場価値を高めるとの観点からは、マーケティングスキルを身に付けることもおすすめできます。


商品・サービスの販売にあたって、マーケティングは欠かせない重要な施策です。近年ではインターネットが一般的にも浸透し、WebサイトやSNSなどを活用したマーケティング戦略の立案が重要になっています。


SEO(検索エンジン最適化)やITに関する知識などと組み合わせることで、自分の市場価値を高めることも期待できるでしょう。


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7.リスキリングでおすすめの資格

この章では、リスキリングの際に取得をおすすめできる資格として以下の3つを紹介します。

MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)

MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)は、WordやExcel、PowerPointなどMicrosoft Office製品に関するスキル・知識を証明する資格です。


WordやExcelなどの製品ごとに一般と上級の2レベルが存在しており、必要に応じて選択できます。WordやExcelなどは業種を問わず幅広い現場で日常的に使用されているため、スキルを身に付ける意義は大きいと言えます。


企業によっては、MOS取得に対して資格手当や報奨金などを用意しているケースもあります。比較的取得しやすい資格であることからも、リスキリングの対象に悩んだら候補に入れてみると良いでしょう。

ITパスポート試験

ITパスポート試験は、ITに関する基本的な知識を証明できる国家試験です。


AIやIoTなどの先端ITスキルやセキュリティ、ネットワークなどのインフラ系全般など、幅広いITスキルを問われます。ITを効率的に仕事に活かせる能力を証明できるため、ITを利用する方であれば誰でも取得の意義はあるでしょう。


また、IT系の資格の中では入門的な位置づけになっていることから、上位資格に挑戦する際の基礎作りにもITパスポート試験は役立てられます。

Python3エンジニア認定データ分析試験

Python3エンジニア認定データ分析試験は、Python3を用いたデータ分析のスキル・知識が問われる試験です。


PythonはAIや機械学習の開発に良く使用されているプログラミング言語であり、学習ハードルの低さからプログラミング初心者にも人気です。またデータ分析を必要とするエンジニア職種は以下のように多数あり、スキルを向上させることでキャリアの幅が広がると考えられます。

エンジニアとしてのキャリアを考えるなら、比較的学習しやすく幅広い開発に活用されているPythonは良い選択肢だと考えられるでしょう。


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8.リスキリングで利用できる手段

この章では、リスキリングで利用できる手段として以下の3つを紹介します。

  • 独学

  • オンライン講座

  • リスキリングプログラム

独学

学習の対象によっては、独学で学習することも十分にできます。


現在では書籍だけでなくインターネット上の記事や動画などに情報が多数存在しており、コストを抑えて気軽にリスキリングを進めることが可能です。また自分にとって都合の良いタイミングで自由に学習できる点も、社会人の学びには適しています。


ただし独学の場合、分からないことが出てきてもなかなか相談ができません。「どこを・どこまで学ぶべきか」も自分で調べて判断する必要がある点は、十分に理解しておく必要があります。また完全に自分のペースで学習することになるため、自己管理を徹底することも大切です。

オンライン講座

時間や場所に縛られず自由にリスキリングを進めるなら、オンライン講座の活用もおすすめです。


オンライン講座であれば、インターネット環境さえあればちょっとしたスキマ時間で効率的に学習できます。オンライン講座を提供するサービスも現在では複数存在しており、以下のように専門的な内容も気軽に学べるようになりました。

  • プログラミング

  • マーケティング

  • 英語(語学) など

オンライン講座であれば基本的に最新情報を学べるため、トレンドを押さえたリスキリングを進められます。独学と同様に自己管理が必要であり、モチベーション管理が重要です。

リスキリングプログラム

近年では、リスキリングプログラムを大学や大学院が提供するケースが増えています。


大学や大学院のリスキリングプログラムは専門性が高く、独学やオンライン講義では受けられない本格的な理論を学ぶことが可能です。資格取得や収入アップはもちろん、今後のキャリアを長い目で見た時に大学や大学院で学ぶ機会は貴重だと考えられます。


ただし、これまで紹介した独学やオンライン講義と比較すると、大学・大学院のリスキリングは高額です。数十万円以上かかるケースも珍しくなく、予算をしっかりと準備して計画的に利用する必要があります。中にはオンラインで受けられるリスキリングもあるため、探してみると良いでしょう。

9.リスキリングを進める際の注意点

ここでは、リスキリングを進める際の注意点として以下の2点を紹介します。

  • コストがかかる

  • モチベーション維持が必要

コストがかかる

リスキリングを進めるうえでは、一定のコスト発生を考慮する必要があります。


大学や大学院のリスキリングプログラムを利用する場合、数百万円の費用が掛かるケースもあります。もちろん独学でも、リスキリングを進めることは可能です。しかし独学の場合は体系的に学ぶことが難しく、専門性の高い分野の場合は誰かに質問できる環境でないと挫折する可能性もあります。


費用をなるべく抑えたい場合は、書籍やオンライン講座などをうまく組み合わせて効率的に学ぶことが必要です。

モチベーション維持が必要

リスキリングを進めていくうえで多くの方が問題とするのが、モチベーションの維持です。


リスキリングにはどうしても時間と手間がかかるため、仕事との両立は大変であるためです。有効なスキル・知識の習得にはどうしても時間がかかるものであり、継続的な学習が求められます。


特に一人でリスキリングを続けていると、モチベーションを保てず挫折してしまうことも少なくありません。リスキリングを始める段階で目標を明確に定め、何のために学習しているのかを常に意識しながら取り組むことが大切でしょう。

10.リスキリングに関する補助金・支援制度の例

リスキリングを進めるうえでは、国や自治体などが運営している補助金・支援制度の利用も大切です。そこでこの章では、リスキリングに関する主な補助金・支援制度の例として以下の3つを紹介します。

  • 教育訓練給付制度

  • リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業

  • 母子(父子)家庭向け自立支援教育訓練給付金

教育訓練給付制度

「教育訓練給付制度」は、厚生労働省が実施している支援制度です。


個人の能力開発や再就職、そして雇用の安定を目的としており、働きながらスキルアップを目指す人におすすめできます。厚生労働省が指定している特定の講座を修了することで、発生した受講料の一部が支給される仕組みです。


教育訓練給付金制度の対象となる訓練は、以下の3段階に分けられています。

  • 専門実践教育訓練:中長期的キャリア形成に資する教育訓練

  • 特定一般教育訓練:速やかな再就職や早期のキャリア形成につながる教育訓練

  • 一般教育訓練:雇用の安定や就職の促進につながる教育訓練

対象となる訓練・講座については、厚生労働省のページをご参照ください。

リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業

「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は、経済産業省が運営している支援制度です。


リスキリングを通じたキャリアアップを目的としており、新たなスキル・知識の学習を支援します。事業に参画している補助事業者から以下のようなサービスを受けることが可能であり、条件次第では受講料の一部も支給を受けられます。

  • キャリア相談

  • リスキリング講座

  • 転職支援

支援事業に関する詳細は、経済産業省のページもご参照ください。

母子(父子)家庭向け自立支援教育訓練給付金

「母子(父子)家庭向け自立支援教育訓練給付金」は、こども家庭庁が運営している給付金制度です。


対象講座を修了することで、受講料の6割相当額を受け取れます。給付金額の上限は、以下の通りです。

  • 雇用保険の「一般教育訓練給付」対象講座:20万円

  • 雇用保険の「特定一般教育訓練給付」対象講座:20万円

  • 雇用保険の「専門実践教育訓練給付」対象講座:就学年数×40万円、最大160万円

制度の詳細については、こども家庭庁のページもご参照ください。

11.まとめ

リスキリングとは、新しい職業に就くためや今の職業で必要なスキルの大幅な変化に適応するために行う学習のことです。単なる学び直しとは異なり、学んだことを仕事に活かしキャリア形成に好影響を及ぼすことが大きな目的になっています。


近年ではリスキリングするうえで活用できる情報や講座、補助金制度などが多数存在しており、やる気次第で自らの可能性を広げることが十分可能になっていると言えるでしょう。自らの市場価値を高めて将来におけるキャリアの選択肢を広げるために、リスキリングの積極的な実施をご検討ください。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。


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この記事の監修者

笠間 慎

大学卒業後、人材紹介会社にコンサルタントとして従事。フリーランスとして独立。その後、フリーランス案件サイト「フリーランススタート」の立ち上げに編集長兼ライターとして参画し、月間30万人が利用する人気メディアへと成長させる。 2024年より、フリーランスボード編集長に就任。自身の経験を元に、フリーランスの活躍を支援する情報を発信している。

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目次

1.リスキリングとは

リスキリングで何を学ぶべきか

2.リスキリングと類似概念との違い

リカレント教育との違い

アンラーニングとの違い

生涯学習との違い

3.リスキリングが注目されている理由

IT化・DX化の推進

雇用環境の変化によるキャリア自律の重要化

経済産業省による推進

4.リスキリングに取り組むメリット

今後のキャリアの選択肢が広がる

昇進や収入アップにつながる

生産性が向上する

モチベーションアップにつながる

5.リスキリングを進めるための流れ

①目的や学習対象を決める

②学習計画を立てる

③学習手段・方法を決める

④学習する

⑤習得したスキルを仕事で実践する

6.リスキリングで学ぶべきおすすめのスキル

プログラミング

英語

先端ITスキル

マーケティング

7.リスキリングでおすすめの資格

MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)

ITパスポート試験

Python3エンジニア認定データ分析試験

8.リスキリングで利用できる手段

独学

オンライン講座

リスキリングプログラム

9.リスキリングを進める際の注意点

コストがかかる

モチベーション維持が必要

10.リスキリングに関する補助金・支援制度の例

教育訓練給付制度

リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業

母子(父子)家庭向け自立支援教育訓練給付金

11.まとめ