あなたはボーナスにかかる税金について、どれくらいご存じでしょうか?
給与と同様に、ボーナスからも所得税と社会保険料(健康保険料、雇用保険料、厚生年金保険料)が差し引かれます。スムーズな資金計画のためにも、ボーナスからどのくらい控除されるのかを知っておくことは重要です。
そこでこの記事では、ボーナスにかかる税金の種類とその計算方法を詳しく解説します。
目次
閉じる
1.ボーナス(賞与)とは?
ボーナスは月々の給与とは別に支払われる賃金で、「賞与」とも呼ばれます。
賃貸契約を結ぶ際や転職活動で年収を尋ねられた場合は、このボーナスを含めた金額を伝えるのが一般的です。会社員の場合、多くは夏と冬の年2回支給されます。
ボーナスは必ずもらえるもの?
実は、ボーナスは必ずもらえるわけではありません。月給と異なり、ボーナスには労働基準法による規定がないからです。そのため、企業が支給額や時期を自由に決められます。
また、支給額も企業側に決定権があります。「月給の〇ヶ月分」と決める場合や個人の業績・企業の業績を重視するあるいはこれらを組み合わせるなど、様々な決め方があります。そのため会社が変われば支給額が変わるのはもちろん、同じ会社内でも個人によって支給額が大きく異なることがあります。
新卒で4月に入社した場合最初の夏のボーナスは出ないか、ごくわずかな寸志程度というケースも想定されます。
2.ボーナスに税金はかかるのか?
ボーナスは税金がかかります。ボーナスは額面より控除がなされ手取りは額面より小さい金額になります。これは、給与と同じように所得税と社会保険料が差し引かれるためです。
実際に差し引かれる割合は年収や扶養家族の有無などによって異なります。
3.ボーナスの税額計算に必要な社会保険料の基礎知識
ボーナスから差し引かれる源泉徴収税額は、支給額から社会保険料を差し引いた金額に源泉徴収税率を乗じて計算されます。そのためかかる税金について理解するには、社会保険料の種類を把握しておくことが重要です。
社会保険料には健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・介護保険料があります。それぞれの特徴をこれから解説します。
健康保険料について
健康保険は会社員が加入する公的な医療保険で、加入者には病院などで使う「保険証」が発行されます。
健康保険の加入先は企業によって異なり、代表的なものとして全国健康保険協会(協会けんぽ)や企業・業界団体が設立する健康保険組合があります。加入先によって保険料率は異なりますが、いずれの場合も、保険料の半分は企業が負担します。
健康保険の加入対象はフルタイムの従業員(正社員)に加え、週の所定労働時間が20時間以上などの条件を満たす従業員です。従業員が51人以上の企業であれば、特定の条件を満たしたパートやアルバイトも対象となります。
厚生年金保険料とは
法人や常に5人以上の従業員がいる個人事業所には、厚生年金保険への加入が義務付けられています。厚生年金は会社員が国民年金に上乗せして支払う公的年金で、原則65歳以上になった際に受け取ることができます。
したがって厚生年金保険料を納めていると、将来年金が支給される際に基礎年金に厚生年金が加算されます。これは国民年金のみに加入している場合と比べて、受け取れる年金額が増えることを意味します。
雇用保険の負担分
雇用保険は失業したり離職したりした際に、生活の安定を図り再就職を促すための公的支援を受けられる保険です。
具体的には就職のための職業訓練を受けられたり、「失業給付」を受け取れたりする支援があります。週の労働時間が20時間以上で、31日以上継続して雇用される見込みのある社員は、原則として雇用保険の加入対象です。
介護保険料が必要な場合
介護保険は高齢になり介護が必要になった際、公的な介護サービスを利用するための保険です。40歳以上になると加入が義務付けられ、ボーナスからも介護保険料が差し引かれます。
関連記事
フリーランスが加入できる社会保険の種類とは?デメリットや加入手続き、保険料の計算方法など解説
失業保険の完全ガイド|受給対象者や条件・もらい方金額・期間・手続きの流れをわかりやすく解説
4.ボーナスの手取り計算について
ボーナスの手取り額は「支給額 - (社会保険料 + 所得税)」で算出できます。ここからは、この計算に必要な社会保険料と所得税について詳しく見ていきましょう。
なお毎月の給与とは異なり、ボーナスから住民税は差し引かれません。これは住民税が前年の所得に基づいて決定され、その総額が12ヶ月で割られて毎月の給与から徴収される仕組みになっているためです。
ボーナスから引かれる社会保険料の算出方法
社会保険料は健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料に分けられ、40歳になるとこれに加えて介護保険料も発生します。
それぞれの計算方法や、会社と従業員どちらがどのくらい負担するのかを見ていきましょう。
健康保険料の算出方法
健康保険は仕事以外の病気・けが・妊娠・出産・死亡といった事態に対し給付を行う公的な医療保険制度です。会社員とその扶養家族が加入し、保険料は企業と従業員が半分ずつ負担します。
この健康保険の運営は、全国健康保険協会(協会けんぽ)と健康保険組合(健保組合)が行っています。
協会けんぽの場合、保険料率は都道府県によって異なりおよそ10%前後です。転勤などで勤務地が変わると保険料率も変動する可能性があるので注意が必要です。健保組合では一般保険料率が1,000分の30から130の間で、各組合の財政状況に応じて自主的に決定されます。
ご自身の健康保険料を知るには、協会けんぽに加入している場合は勤務地の保険料率を、健保組合に加入している場合はその組合の保険料率を確認しましょう。
健康保険料は、次の計算式で算出されます。
健康保険料 = 標準賞与額 × 健康保険料率 |
ただし従業員が実際に支払う健康保険料は、労使折半のため以下の計算式になります。
健康保険料 = (標準賞与額 × 健康保険料率) ÷ 2 |
ここでいう標準賞与額は、ボーナス支給総額の1,000円未満を切り捨てた金額です。また保険料率は、加入している健康保険が定めているものです。
なお被保険者が40歳以上になると健康保険料に介護保険料が加算され、保険料率が変わります。健保組合に加入している場合は、所属の健保組合に直接お問い合わせください。
厚生年金保険料の算出方法
厚生年金保険は、加入者が高齢になったり、障害を負ったりした場合に年金や一時金を受け取れる公的な制度です。
この保険料率は居住地に関わらず一律で、2025年度(令和7年度)は18.3%となっています。健康保険料と同じく、厚生年金保険料も企業と従業員が半分ずつ負担するため、計算時には注意が必要です。
厚生年金保険料は次の計算式で算出できます。
厚生年金保険料 = 標準賞与額 × 厚生年金保険料率 |
なお従業員が実際に支払う厚生年金保険料は、以下の計算式で算出します。
厚生年金保険料 = (標準賞与額 × 厚生年金保険料率) ÷ 2 |
雇用保険料の算出方法
雇用保険は加入者が失業した際に給付金を支給したり、再就職をサポートしたりする保険制度です。
この保険料は企業と従業員がそれぞれ負担します。また、事業内容によって雇用保険料率が異なるため注意が必要です。
雇用保険料は、次の計算式で算出されます。
雇用保険料 = ボーナス支給額 × 雇用保険料率 |
一般的な事業の場合、2025年度(令和7年度)の雇用保険料率は合計で14.5/1,000です(従業員負担5.5/1,000、事業主負担9/1,000)。
従業員が支払う雇用保険料は、以下の計算式で求められます。
雇用保険料 = ボーナス支給額 ×5.5/1,000 |
なお農林水産・清酒製造業や建設業の雇用保険料率は、一般の事業とは異なります。詳細については、厚生労働省のHPをご確認ください。
介護保険料の算出方法
40歳から64歳までの従業員には、介護保険料の支払い義務があります。ボーナスも給与と同様に介護保険料の対象です。
この料率は健康保険組合によって異なりますが、全国健康保険協会(協会けんぽ)では全国一律1.59%(令和7年度)で計算されます。ボーナスから控除される介護保険料(全国健康保険協会の場合)は、以下の式で算出されます。
介護保険料 = 標準賞与額 × 介護保険料率(0.0159)× 1/2 |
介護保険料は健康保険料と一緒に計算されるため、上限金額についても同様の扱いになります。
源泉徴収税額の計算のしかた
所得税は個人が1年間で得た所得から、医療費控除や配偶者控除などの所得控除を差し引いた金額に対して課される税金で全額が自己負担となります。
月々の給与やボーナスの支払い時点ではその年の年間所得を正確に把握できないため、本来の所得税額を正確に計算することはできません。そのため給与などが支払われる時点では、その年の「源泉徴収税額表」を用いて概算で所得税額を算出しこれを支払います。
最終的な所得税額は年末調整によって正確に計算され、過不足が精算されます。ボーナスにかかる所得税は、以下の計算式で算出できます。
所得税 = (ボーナス支給額 - 社会保険料など) × 所得税率 |
所得税率は、ボーナスが支給される月の前月の給与から社会保険料などを差し引いた金額を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて決定されます。
この税率は前月の社会保険料等控除後の給与額に応じて変動し、令和6年度は0%から45.945%までと非常に幅広いです。また基準となる金額が同じでも扶養親族が多いほど税率は低くなるため、税額を計算する際には扶養親族の有無や人数にも注意が必要です。
関連記事
確定申告のやり方【初めての方向け】基本から流れ、詳しい手順までわかりやすく解説
5.ボーナスに社会保険料がかからないのはどんなとき?
ボーナスに社会保険料がかからないケースもあります。どのような場合か見ていきましょう。
退職月にボーナスを受け取った場合
ボーナスを受け取った月に会社を辞める場合、退職日によっては社会保険料がかからないことがあります。
具体的にはボーナスが支給された月の末日よりも前に退職すると、その月の社会保険料は発生しません。これは、社会保険料が「被保険者資格を喪失した日(退職日の翌日)の前月分まで」徴収されるためです。
例えば6月10日にボーナスを受け取って6月20日に退職した場合、資格喪失日は6月21日になります。このため徴収される社会保険料は前月である5月分までとなり、6月に支給されたボーナスからは社会保険料が引かれないことになります。
ただし社会保険料がかからないからといって、必ずしも得をするわけではありません。会社を辞めても翌日からは国民健康保険など何らかの社会保険に加入する必要があるからです。
月末に退職すれば会社が社会保険料を折半してくれるため、個人の負担が少なくなるケースも考えられます。
このあたりの最適な選択は個人の所得や扶養家族の状況によって異なるため、事前にしっかり調べておくことが重要です。
産休・育休中に支給された場合
産前産後休業や育児休業中に支給されるボーナスは、原則として社会保険料の対象外です。これは、これらの休業期間中は社会保険料が免除される制度があるためです。
ただし2022年10月1日以降に始まった育児休業については、ボーナス支給月の末日を含みかつ1ヶ月を超える連続した育児休業でなければ免除が適用されません。
例えば6月10日にボーナスを受け取って6月20日から育児休業に入るケースを考えましょう。この場合ボーナス支給月の末日である6月30日を含む連続した1ヶ月以上の育児休業であれば、そのボーナスには社会保険料がかからないことになります。
6.「ボーナスの税金おかしい・高すぎる」と感じるのはなぜ?
ボーナスの所得税が高い、つまり手取り額が予想より少なく感じる主な理由はボーナスが高額でありそれに伴い源泉徴収される税金や社会保険料も大きくなるからです。
ボーナスの所得税は、額面のボーナスから社会保険料を差し引いた金額に所得税率を掛けて計算されます。この所得税率は前月の給与額から社会保険料を引いた金額に基づき、国税庁の定める表によって決まります。
この税率は所得が多いほど変動します。つまり所得が多ければ多いほど(前月の給料が高いほど)、また扶養家族が少なければ少ないほど税率は高くなる仕組みです。
賞与の税額が倍になったと感じるケースはある?
ボーナスにかかる源泉所得税が「倍になる」という状況は、比較対象期間にもよりますが人によっては実際に起こり得ます。
もし「昨年よりボーナスの所得税が高くなった?」と感じたならよくあるケースとして、前月の残業が増えそれに伴い前月の給料が(比較対象月よりも)高くなっていることが挙げられます。
これはボーナスの所得税額が、前月の社会保険料控除後の給与額と扶養家族の人数で決まるためです。
ただし所得税の最終的な金額は年収で決まるため、年末調整を行えば還付されるケースも少なくありません。
7.ボーナスにかかる税金が後から戻ってくることもある?
ボーナスも年末調整の対象なので、所得税額に過不足があれば還付されることがあります。ボーナスの金額によって還付金が増減するケースは以下の通りです。
還付金が増える場合: ボーナス支給月の前月の給与が通常よりも多い場合
還付金が減る場合: ボーナスの割合が年間の給与総額に対して大きい場合
前述の通りボーナスの税率は、ボーナスが支給される前月の給与によって決まります。もし前月に残業が増えたり各種手当が加わったりして給与が普段より多いと、ボーナスの税率が高くなることがあります。
この超過分は、年末調整で還付されることになります。
関連記事
副業(ダブルワーク)の年末調整|確定申告が必要な場合と注意点
8.賞与の税額計算にExcelは使える?
Excelは複雑な計算式も扱えるため、所得税の計算に役立ちます。一度数式を設定すれば次回からはボーナス額などを入力するだけで済み、手計算のように毎回数式を確認する手間が省けます。
またExcelはオフラインでも使えるため、情報漏洩のリスクを抑えられるでしょう。ただし、一から数式や細かい設定をするには時間と専門知識が必要です。
給与・ボーナス計算に特化したソフトを使えば、作成の手間なくミスも減らせて安心して作業を進められます。専用ソフトは他の業務との連携も可能なので、関連業務全体の効率化も期待できます。
9.ボーナスには3タイプある?種類によって課税の違いはあるの?
ボーナスには様々な種類があり企業によって支給方法も異なりますが、どの種類のボーナスも税金や社会保険料のかかり方に大きな違いはありません。
夏・冬の定期賞与であろうと業績に連動する成果報酬型や決算賞与であろうと、すべて給与の一部として扱われ、税金や社会保険料の控除対象となります。つまりどのボーナスでも一律の税率や保険料率が課され、自分で好きな税率を選べるわけではありません。
しかし支給の目的・時期・金額の決定方法には違いがあるため、それぞれの種類の特徴を理解しておくことが重要です。
ここでは、代表的な3種類のボーナスについて詳しく見ていきましょう。
定期支給型ボーナス(夏季・冬季賞与)
定期賞与は一般的に夏と冬の年2回、あらかじめ決められた時期に支払われるボーナスです。
多くの企業で就業規則や労働契約書に明記されており、支給時期や評価基準が比較的安定しているのが特徴です。金額も過去の評価や査定結果に基づいて毎年ある程度決まるため、生活設計の頼りとしている人も少なくありません。
税金については、他のボーナスと同じく「賞与に対する源泉徴収税額の算出率」によって所得税が計算されます。また健康保険・厚生年金・雇用保険も対象となり、給与と同様に差し引かれます。
定期的に支給される安心感がある一方で手取り額が予想より少ないと感じる人も多いため、明細の確認は必須です。支給額は毎回変動することもあるので、余裕を持った家計管理が大切になります。
業績連動型ボーナス(決算賞与)
成果報酬型ボーナスまたは決算賞与と呼ばれるこのボーナスは、企業の業績目標の達成度や決算結果に応じて支給されます。
定期賞与とは異なり支給の有無や金額は毎年変動するため、収入としての安定性は低いでしょう。しかし、業績が好調な年には高額のボーナスが支給されることもあります。
支給時期は企業によって様々ですが、一般的には年度末や半期末など決算のタイミングで支払われることが多いです。
税金や社会保険料の扱いは他のボーナスと変わらず所得税・健康保険・厚生年金・雇用保険が控除されます。一時的に大きな収入を得たように見えても、控除後の手取り額はかなり減るため必ず明細を確認しましょう。
事前に支給額が不明なケースが多いため、生活費としてあてにするよりも貯蓄や一時的な出費に充てるものとして考えるのがおすすめです。
インセンティブ型の報酬(成果報酬)
これは個人・チームの業績・目標達成度などに応じて支給されるボーナスで、インセンティブとも呼ばれます。営業職・販売職・プロジェクト型の職種でよく見られ、自分の努力が直接金額に反映されるのが特徴です。
毎月支給されることもあれば四半期ごとや年間でまとめて支払われる場合もあり、支給のタイミングや金額の予測が難しい側面もあります。
このように聞くと他の種類のボーナスとは少し違う特殊なものに感じるかもしれませんが、税金や社会保険料の扱いは定期賞与や決算賞与と全く同じです。
例えば50万円のインセンティブの場合でも所得税や厚生年金などが差し引かれるため、実際の手取り額は数万円少なくなります。
成果報酬は頑張り次第で収入が増えるためモチベーションにつながる一方で、安定した収入とは言えません。そのため、生活費とは分けて管理することをおすすめします。
嬉しさのあまり一度に使い切ってしまうと、後で後悔することもあるかもしれません。
10.賞与計算時に気を付けるポイント
これまで、ボーナスから天引きされる源泉所得税や社会保険料の計算方法について説明しました。実際にボーナス計算を行う際には、計算方法以外にもいくつか気をつけたい点があります。
代表的な注意点を見ていきましょう。
退職予定者の賞与計算は保険料控除に注意が必要
退職予定者や退職者に支給するボーナスの社会保険料は、社会保険の種類と退職のタイミングによって徴収の有無が変わるため注意が必要です。
健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は、従業員の資格喪失日(退職日の翌日)の前月までに支給されたボーナス分が徴収されます。一方雇用保険料は、退職のタイミングに関わらず徴収の対象です。
たとえば6月10日にボーナスが支給され、同月に退職者がいるケースを考えてみましょう。退職日が6月1日から29日の場合と、6月30日の場合では社会保険料の徴収状況が異なります。
退職日が6月1日から29日の場合、資格喪失日は6月中となります。ボーナス支給月が資格喪失月と同じになるため、雇用保険料以外の社会保険料は徴収されません。
一方退職日が6月30日の場合、資格喪失日は7月1日です。ボーナス支給月が資格喪失の前月となるため、4種類の社会保険料すべてが徴収対象となります。
このように退職のタイミングによって社会保険料の徴収有無が変わるため、担当者は誤って徴収したり徴収を忘れたりしないよう注意が必要です。
年4回の賞与支給時は社会保険料の手続き方法が異なる
ボーナスを年4回以上支給する場合も、社会保険料計算の手続きが通常のボーナスとは異なるため注意が必要です。
社会保険において「ボーナス」とみなされるのは、年3回以下の支給までに限られます。年4回以上ボーナスを支給する場合は毎月の給与と同じ扱いとなり、標準賞与額ではなく標準報酬月額を用いた社会保険料の計算が必要になります。
また毎年4月から6月の給与に基づいて算出される標準報酬月額にボーナスが含まれると、毎月の給与から天引きされる社会保険料が高くなる可能性もあります。
ボーナス制度を設計する際には、こうした点も考慮して検討する必要があります。
賞与支払届や賞与不支給報告書の提出が必要
ボーナスを支給した場合には日本年金機構に対し、支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を提出する必要があります。
この届出には、従業員ごとのボーナス支払額などを記載します。届出内容に基づいて社会保険料計算の基となる標準賞与額が決定されるため、非常に重要な書類です。
なお日本年金機構に登録しているボーナス支払予定月にボーナスを支払わなかった場合は、賞与支払届ではなく、「被保険者賞与不支給報告書」を提出します。
11.ボーナスと税金にまつわる疑問
ボーナスは特別な収入だと感じがちですが、実際に支給されると「なぜこんなに税金が引かれるんだろう?」と疑問に思う方も少なくありません。
この章ではボーナスと税金に関する素朴な疑問について、改めて解説します。普段は意識しないことでも、仕組みを知っておくと不安や不満が和らぐかもしれません。
なぜボーナスにも税金がかかるの?
「ボーナスはご褒美だから、税金はかからないはず!」そう思っている方もいらっしゃるかもしれません。
ただしボーナスも通常の給与と同じ「所得」として扱われます。そのため年に数回支給される賞与も、給与と同様に課税の対象となります。会社から支払われるお金であることに変わりはないので、所得税や社会保険料が差し引かれるのは当然だと考えられます。
仕組みはシンプルですがボーナスは金額が大きくなることも多いため、少し納得できない気持ちになることもあるでしょう。しかし、これらの税金は社会インフラや福祉制度を支える大切な財源。だからこそ、ボーナスにも税金がかかってくるのです。
いつからボーナスに税金がかかるようになったの?
ボーナスに税金がかかるようになったのは、戦後の税制改革がきっかけです。それ以前は一律ではなく企業によって扱いに違いがありましたが、この法改正によりボーナスも明確に課税対象となったのです。
現在ではボーナスの支給形式に関わらず、基本的に課税対象となり制度上も給与と変わらない扱いになっています。税制の透明性を保つ上でも、ボーナスへの課税は重要な位置づけと言えるでしょう。
住民税はボーナスから引かれないの?
給与明細を見たときに、「ボーナスから住民税が引かれていないな」と不思議に思った経験はありませんか?これは、住民税の仕組みが関係しています。
住民税は前年の所得に基づいて計算され、その年の6月から翌年5月までの12ヶ月に分けて毎月の給与から差し引かれる仕組みになっています。ボーナスは支給が不定期であるため、原則として住民税の徴収対象にはならず、月々の給与からのみ徴収されるのです。
ただし自治体や勤務先によっては、例外的にボーナスからも住民税が差し引かれるケースが稀にあります。ご自身の会社の仕組みがどうなっているか確認するためにも、給与明細や自治体から届く課税通知書を確認してみることをおすすめします。
知らずにいると混乱しやすい点なので、覚えておくと良いでしょう。
関連記事
確定申告に源泉徴収票は不要?見方や確定申告書への書き方、ない場合の対策を解説
適格請求書(インボイス制度)とは?書き方や注意すべき点、発行事業者登録の流れをわかりやすく解説
12.まとめ
ボーナスからは所得税と社会保険料が差し引かれますが、住民税は引かれません。控除される金額は扶養親族の数・居住地・加入している健康保険組合などによって変わります。
ボーナスにかかる税金や具体的な金額を把握しておけば、ボーナスをどう使うか計画しやすくなります。使い道をしっかり決めて、計画的にボーナスを活用しましょう。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
「フリーランスボード」は、数多くのフリーランスエージェントが掲載するITフリーランスエンジニア・ITフリーランス向けの案件・求人を一括検索できるサイトです。
開発環境、職種、単価、稼働形態、稼働日数など様々な条件から、あなたに最適なフリーランス案件・求人を簡単に見つけることができます。
単価アップを目指す方や、自分の得意なスキルを活かせる案件に参画したい方は、ぜひ「フリーランスボード」をご利用ください。
自身に最適なフリーランスエージェントを探したい方はこちらよりご確認いただけます。