フリーランスは、社会保険への加入や保険料の支払い手続きを自分で行う必要があります。会社員のように勤務先が代わりに手続きをしてくれるわけではありません。
社会保険は病気や怪我からそして老後の生活を守るための重要な制度です。必ず加入しなければならない社会保険制度でどのような保障が受けられるのか、任意で加入できる制度に加入するとどのように保障が手厚くなるのかを理解しておくことが大切です。
そこでこの記事ではフリーランスが加入する健康保険・年金保険などの社会保険の種類・保険料の計算方法などについて説明します。
目次
1.フリーランスは会社員と比べて加入できる社会保険が少ない
社会保障は病気事故・災害・休業・失業など、予期せぬ事態に備えるためのセーフティーネットです。しかしフリーランスは、会社員と比べて利用できる社会保障が限られているのが現状です。特に以下の3つの領域において、大きな違いがあります。
医療保険
年金
労働保険(雇用保険・労災保険)
フリーランスの場合には医療保険の保険料は全額自己負担となり、年金も会社員のような上乗せ分がありません。ただし労働保険については、2024年11月からフリーランスも特別加入の対象となりました。
自分が受けられる社会保障の内容をしっかりと理解し、仕事や生活の中で生じるリスクに備えた対策を考えていきましょう。
2.フリーランスと会社員の社会保険の違い
社会保険には公的医療保険・公的介護保険・公的年金保険・雇用保険・労働者災害補償保険(労災保険)の5つがあり、職業や働き方によって加入できる制度が異なります。
フリーランスと会社員(ここでは正社員を想定)ではどのような違いがあるのか、それぞれの社会保険の種類について詳しく見ていきましょう。
公的医療保険
フリーランスが加入する国民健康保険には「傷病手当金」と「出産手当金」が含まれていません。
会社員の場合にはこの傷病手当金によって一定期間の減収を補うことができますが国民健康保険にはこの制度がないため、職種によっては働けなくなった時点で収入が途絶えてしまう可能性があります。
また会社員の女性は出産前後に休業しても、休業前の収入の一部が「出産手当金」として健康保険から支給されます。しかしフリーランスが加入する国民健康保険には、この出産手当金の制度がありません。
公的介護保険
介護保険は加齢による身体機能の低下・病気・ケガなどにより介護が必要になった際に、日常生活で他者からの支援を受けられる制度です。フリーランスも会社員も40歳になると保険料の支払い義務が発生しますが、受けられる給付の内容に差はありません。
公的年金保険
日本の年金制度は2階建て構造になっており、20歳以上60歳未満のすべての国民は1階部分の国民年金(基礎年金)に加入します。
つまり、フリーランスも会社員も国民年金に加入することになります。さらに、会社員は2階部分の厚生年金にも加入します。
年金の給付には「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3種類がありますが、フリーランスが受け取れるのは基礎年金のみです。つまり高齢になった場合・障害を負った場合、または亡くなった場合においてもフリーランスは会社員と比較して保障額が少なくなることになります。
雇用保険
失業・育児・家族の介護などで収入が減少した際に、その減少分を補う役割を果たすのが雇用保険です。労働者を雇用する際に強制的に適用される保険制度であり、会社員は加入が義務付けられています。
一方でフリーランスは企業などに雇われていないため、雇用保険に加入することはできません。つまりフリーランスは仕事を失い失業状態になっても、雇用保険による保障を受けることはありません。
労災保険
労働者が通勤中や仕事中に病気やケガを負った場合や障害を負った場合、または死亡した場合に給付を行うのが労災保険です。この保険は労働者を対象としており会社員は加入することが義務付けられていますが、フリーランスは基本的に加入することができません。
ただし令和6年11月1日より、「フリーランス」が労災保険の「特別加入」の対象に含まれるようになりました。
3.フリーランスが加入必須の保険と加入不可の保険
この章ではフリーランスにとって加入が必須の保険と加入不可の保険について解説します。
フリーランスの加入義務化済みの社会保険
フリーランスは自営業者であるため、加入が義務付けられているのは国民健康保険と国民年金のみです。一方会社員は基本的に健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険に加入する義務があります。
フリーランスが対象外となる社会保険
フリーランスが基本的に加入できない社会保険には、「厚生年金」「雇用保険」「労災保険」があります。
前述したように雇用保険は失業した場合に失業給付金や休職支援を受けるための保険ですが、フリーランスは雇用保険に加入できないため仕事がなくなれば収入が途絶えてしまいます。また仕事中に病気やケガをした場合も、基本的に労災保険は適用されません。
税務署に開業届を提出し会社員からフリーランスに転身した場合、失業給付金を受け取れないことがあるため注意が必要です。
またフリーランスとして働きつつ雇用保険の加入要件を満たす労働時間で従業員を雇う場合は、雇用保険に加入しなければなりません。
4.フリーランスが選べる社会保険(健康保険)の種類と手続き
フリーランスが加入する健康保険制度として最も一般的なのは、自治体が運営する国民健康保険です。
しかし、業種によっては国民健康保険組合に加入することができる場合もあります。また会社員からフリーランスに転職した場合、任意継続制度を利用して元の勤務先の健康保険を継続することも可能です。
フリーランスが利用できる健康保険の種類は以下の通りです。
国民健康保険
国民健康保険組合
任意継続
以下でそれぞれの保険制度に該当する人や、加入手続きの方法や期限について確認してください。
国民健康保険
国民健康保険は自治体が運営する健康保険制度で、他の健康保険に加入していない人が対象となります。フリーランス・無職の人などで会社の健康保険や後期高齢者医療制度などに加入できない場合、一般的には国民健康保険に加入することになります。
国民健康保険に加入することで医療費が発生した場合には給付が受けられますが、これは他の健康保険制度と同様です。
ただし保険料を計算する際の料率は自治体ごとに異なることがあるため、住んでいる地域によって保険料が異なる場合があります。
国民健康保険組合
国民健康保険組合は、特定の事業や業務に従事している人々が集まって組織された法人です。その業種に従事していて、組合の対象地域に住んでいる人が加入できます。
全国には多数の国民健康保険組合が存在しており、フリーランスの人も業種によっては加入できる場合があります。どの地域にどの業種の国民健康保険組合があるかは、全国国民健康保険組合協会のWebサイトで確認することができます。
また国民健康保険組合には個別のホームページがあり、加入対象者の条件や手続き方法などが記載されていることもあるので併せてチェックしましょう。例えば東京技芸国民健康保険組合は洋裁・造花・服飾・手工芸などを取り扱う事業者向けで、東京都内に事業所を構えていれば加入可能です。
ただし加入条件を満たしている場合でも必ずしも誰でも加入できるわけではなく、各組合で審査が行われるためその点に留意する必要があります。
任意継続制度
任意継続健康保険とは、退職後も以前勤務していた会社の健康保険を継続して加入できる制度です。以下の条件を満たすことで、最大2年間元の勤務先の健康保険に加入することができます。
退職日の前日までに、健康保険の被保険者期間が2ヶ月以上続いていること
退職日から20日以内に、「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること
フリーランスとして働く場合には国民健康保険に加入すると、家族を扶養に入れることができずその分の保険料も負担することになります。しかし任意継続で会社の健康保険に加入し続けると、家族を扶養に入れることができ家族分の保険料を支払う必要がなくなります。
ただし自分自身の保険料については、退職前に会社が半額を負担していたのとは異なり退職後は全額自己負担になります。任意継続か国民健康保険かどちらが保険料を抑えられるかは、退職時の状況やその後の収入によって異なるためよく比較して選択することが重要です。
健康保険の加入手続き方法
フリーランスとして独立し国民健康保険に加入する場合、退職後14日以内に加入手続きを行う必要があります。手続き方法や必要書類については自治体のホームページなどで確認し、退職後は速やかに手続きを行うようにしましょう。
加入手続きには、通常職場の健康保険から脱退したことを証明する「健康保険資格喪失証明書」の提出が求められます。この証明書は、勤務先の会社から発行されます。
5.社会保険(健康保険)のメリット
フリーランスとして働く際に選べる健康保険には、どのようなメリットがあるのでしょうか。これらのメリットを理解し、自分の状況に最適な保険を選ぶことが大切です。
国民健康保険のメリット
国民健康保険の利点は加入手続きが比較的簡単で、加入期間に制限がない点です。
また所得が一定の基準を下回ると、自動的に保険料が減額される仕組みがあるためフリーランスとして仕事を始めたばかりで収入が少ない時期などは経済的な負担を軽減できます。
任意継続保険のメリット
任意継続保険のメリットは手続きが簡単で、退職後も会社員時代と同じ内容の保険を継続できる点です。これにより退職後も安心して医療サービスを利用できるほか、福利厚生も引き続き利用できます。
また任意継続の場合には世帯主だけが保険料を支払うため、扶養家族の保険料は発生しません。扶養家族が多い場合は、特にお得になると考えられます。
国民健康保険組合のメリット
国民健康保険組合は同じ業種の人々が集まって形成されているため、その業種に特化したサービスや割引を受けられる利点があります。また保険料が固定されていることが多く、前年の所得に左右されにくいのも特徴です。
さらに組合によっては法定の給付に加えて独自の給付制度を設けている場合もあり、より充実したサービスを受けることができます。
扶養家族として加入するメリット
被扶養者として加入すれば保険料の負担がなくなるため、経済的に大きなメリットがあります。家族の保険に扶養として加入することで、生活費を削減でき経済的な負担を軽くすることができます。
6.社会保険(健康保険)のデメリット
一方でフリーランスとして働く際に選べる健康保険には、それぞれ欠点も存在します。以下の情報を参考にして、自分に最適な保険を選ぶ際の判断材料にしてください。
国民健康保険のデメリット
国民健康保険のデメリットは、所得が増えると保険料も高くなる点です。
保険料は前年の所得を基に計算されるため急激に収入が増加すると、翌年の保険料が大幅に上がる可能性があります。また扶養家族がいる場合、その分保険料が高くなることもあります。
任意継続保険のデメリット
任意継続保険のデメリットとして会社員時代は保険料を会社と折半していたのに対し、任意継続ではその保険料を全額自己負担しなければならない点が挙げられます。
そのため、保険料が会社員時代の約2倍になります。収入によっては国民健康保険よりも高い保険料になることもあるため、事前に負担額をしっかりと確認しておくことが重要です。
また任意継続保険は最長で2年間の継続が可能ですが、保険料を滞納すると加入資格を失うリスクがあるため注意が必要です。
国民健康保険組合のデメリット
国民健康保険組合には、加入条件が厳しいというデメリットがあります。
特定の業種に限られているため、全てのフリーランスが利用できるわけではありません。また一部の組合は地域が限定されているため、引っ越しなどで条件を満たさなくなる可能性もあります。
扶養家族として加入する際のデメリット
扶養家族として加入する場合のデメリットとして、年収制限があることが挙げられます。
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7.健康保険の申請手続き
退職後にフリーランスとして働く場合、さまざまな健康保険に加入するための手続きを行う必要があります。以下では、各健康保険の加入手続きについて説明します。
国民健康保険の加入手続き
国民健康保険に加入するためには、退職日または他の健康保険を喪失した日から14日以内に手続きを完了する必要があります。手続きが遅れると未加入期間中の医療費が全額自己負担となり、保険料も遡って支払わなければならないので注意が必要です。
手続きは、住民票がある市区町村役場の窓口で行います。社会保険(健康保険)を脱退して国民健康保険に加入する場合など、特定の手続きは郵送でできることもあります。手続きに必要な主な書類は以下の通りです。
本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証・パスポートなど)
加入していた健康保険の資格喪失証明書(加入者全員が記載されて組合員や社判などが押印されているもの)
国民健康保険の保険証(同じ世帯に既に国民健康保険に加入している人がいる場合)
世帯主および加入者全員分のマイナンバー確認書類(マイナンバーカード・個人番号通知カードなど)
口座振替にするためのキャッシュカード・預貯金通帳・銀行届出印
任意継続保険の申請方法
任意継続保険に加入するためには、資格喪失日後に前所属していた健康保険組合に申請を行う必要があります。期限を過ぎると加入できなくなりますので、速やかに手続きを進めることが重要です。
加入手続きに必要な主な書類は以下の通りです。
任意継続被保険者資格取得申請書
退職日を証明する書類(退職証明書や雇用保険被保険者離職証明書など)
収入を証明する書類(在職中から引き続き家族を扶養に入れる場合に必要)
健康保険組合の加入手続き
健康保険組合に加入するためには、各組合の規定に従って必要な書類を提出します。組合によっては、オンライン手続きが可能な場合もあります。
なお各組合には特定の加入条件が設けられているため、事前に確認することが重要です。例えば、特定の職業団体に所属していることや一定の収入基準を満たす必要がある場合があります。加入手続きに必要な主な書類は例えば、以下の通りです。
加入申込書
所属を証明する書類(業務契約書など)
本人確認書類
扶養家族として加入するための手続き
扶養家族として健康保険に加入する場合にはまずは家族が加入している健康保険組合に問い合わせ、必要な書類を提出することが求められます。扶養に入るための条件を満たしているか確認することが重要です。加入手続きに必要な主な書類は以下の通りです。
扶養認定申請書
収入証明書(給与明細や源泉徴収票など)
続柄を証明する書類(住民票や戸籍謄本など)
本人確認書類
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8.フリーランスにおすすめの社会保険料の節約方法
フリーランスが保険料を削減するためにはいくつかの方法があります。
保険料の負担が少ない地域へ移住する
国民健康保険の保険料は自治体ごとに異なり、地域によっては年間でそれなりの差が出ることもあります。
勤務地に制約のないフリーランスの方は、保険料が安い自治体に引っ越すことで年間の保険料を大幅に削減できる可能性があります。
国民健康保険組合が運営する健康保険に加入する
市町村の国民健康保険は前年の所得に基づいて保険料が決まりますが、国民健康保険組合の場合は所得に関わらず保険料が定額であることが一般的です。そのため所得が高い場合は、国民健康保険組合に加入することで保険料を抑えることができる場合があります。
ただし国民健康保険組合に加入する際には、年会費を支払うことが求められる場合があります。したがって地方自治体ではなく国民健康保険組合が運営する保険に加入する場合は、その内容をしっかりと確認することが重要です。
配偶者の扶養に入って保険料を抑える
配偶者が会社員や公務員などで勤め先の健康保険組合に加入している場合、フリーランスとしての収入が安定するまで配偶者の扶養に入ることを検討するのも一つの方法です。扶養に入ることで、自分自身の社会保険料の負担をなくすことができます。
ただし収入が安定して扶養の条件を超えた場合は、国民健康保険または国民健康保険組合に加入しなければならなくなります。
退職後も会社の健康保険を任意継続する
会社を退職してフリーランスになる場合、まずは退職前に加入していた健康保険の任意継続を検討してみましょう。特に扶養家族が多い場合、国民健康保険に加入するよりも任意継続の方が保険料が安くなることがあります。
また健康保険組合に加入していると、無料の健康診断や保養施設の利用などの特典を受けられることもあります。
まずは支払う保険料を確認し、家族全員が享受できる優遇内容を考慮して選択するとよいでしょう。
9.フリーランスの社会保険料はいくら?
社会保険料は日々の生活や資金管理に大きな影響を与えるため、毎月の負担額が気になる方も少なくないでしょう。この章ではフリーランスが主に加入することになる健康保険と年金保険の保険料の計算方法について説明します。
健康保険料の計算方法
国民健康保険料には通常、均等割と所得割の2種類があります。
均等割は「所得に関係なく一定の額が課される保険料」、所得割は「前年の所得を基に計算される保険料」となります。フリーランスが国民健康保険に加入する場合、所得額によって保険料が異なります。
国民健康保険料の計算方法は自治体によって異なるため、同じ所得額でも保険料額が地域によって異なる場合があります。住んでいる場所によって保険料が変動することがあるので、各自治体のサイトなどで詳細を確認することをおすすめします。
一部の自治体では、所得金額に応じた保険料の目安をオンラインで公開している場合があります。シミュレーションツールを提供している自治体もあるので、所得額を入力することで概算の保険料額を算出できることもあります。
年金保険料の計算方法
国民年金保険料は、物価や賃金の増加に合わせて毎年調整され設定されています。毎月固定額で支払うことになり、2025年度の保険料は月額17,510円です。
ただし保険料を半年分・1年分・または2年分まとめて前納すると割引が適用され、月々の支払いよりも安くなります。
10.フリーランスが社会保険に加入する際のポイント
フリーランスが社会保険に加入する際には、いくつかのポイントに注意する必要があります。この章では、フリーランスが社会保険に加入する際の重要な注意点について説明します。
社会保険料は全額自己負担となる
フリーランスは、社会保険料を全額自己負担しなければなりません。
会社員の場合、保険料は個人と会社で折半されるため負担が軽減されます。しかし、フリーランスにはそのような相手がいないため、負担額が会社員に比べて増えることになります。
会社勤めからフリーランスになる際には、社会保険の負担額が増える可能性を十分に考慮する必要があります。
社会保険料は経費として計上できない
個人事業主が支払った社会保険料は、経費として計上することができません。そのため、毎月の負担額をしっかりと計算し、計画的に支払うことが重要です。
なお社会保険料は経費にはなりませんが、「社会保険料控除」として申告することができます。この控除により支払った社会保険料の全額が控除対象となるため、節税効果を得ることができる点がメリットです。
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11.フリーランスが社会保険で直面するリスク
フリーランスが加入する社会保険には、いくつかのリスクやデメリットが存在します。以下を参考にして、個人事業主の社会保険に関連するリスクやデメリットを確認しておきましょう。
将来の年金受給額が少なくなる可能性がある
フリーランスが加入する国民年金保険は「老齢基礎年金」のみであるため、将来受け取る額が限られます。国民年金保険だけに頼ることは将来的な不安要素となるため、フリーランスは不足分を補う方法を事前に考えて備えることが重要です。
従業員を雇う場合は社会保険の手続きが必要
フリーランスが1人でも従業員を雇う場合、社会保険(労働保険)の手続きが必要になります。
この手続きには時間がかかり、結果として事業に充てられる時間が減ることも考えられます。特に最初は手続き方法が分からず調べながら手作業で進めることが多いため、時間を取られがちです。
従業員を雇う予定がある場合は事前に社会保険の手続き方法を確認するなど、準備を整えておくことが重要です。
保険料の支払いが経済的負担になることもある
前述のように、フリーランスの社会保険料は全額自己負担となります。
そのため収入が少ない時期には、保険料が大きな経済的負担となることがあります。収入が不安定な時期に備えて、貯金や現金を得る方法を事前に検討しておくと良いでしょう。
例えば売掛金を売却する「ファクタリングサービス」などを活用して、報酬を早めに現金化する手段もあります。
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12.フリーランスも利用できる公的制度
自治体や日本年金機構が運営する社会保障制度に加え、公的機関が提供する退職金制度や貸付制度なども活用してリスクを軽減する方法があります。フリーランスが利用できるこれらの制度について、事前に把握しておくことが重要です。
小規模企業共済制度とは
フリーランスや自営業者向けの退職金制度である小規模企業共済制度は、国の機関である中小企業基盤整備機構が運営しています。この制度は積立方式で、退職や廃業時に一括または分割で共済金を受け取ることが可能です。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)とは
経営セーフティ共済は中小企業基盤整備機構が提供する借入制度で、取引先の倒産によって取引ができなくなった中小企業の経営困難を防ぐことを目的としています。加入者は借入が可能で、その資金を経営の資金として活用することができます。
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13.確定申告で社会保険料を控除できるのか?
社会保険の種類によっては、確定申告を通じて控除を受けることができます。今回は確定申告によって控除を受けることができる社会保険の種類と、その手続き方法についてご紹介します。
社会保険料控除とは何か
社会保険料控除とは、1年間に支払った社会保険料を所得から控除できる仕組みです。会社員の場合は年末調整で控除が行われます。
フリーランスの場合は、自分で確定申告を行う必要があります。さらにこの社会保険料控除は、自分自身だけでなく同一世帯で生計を共にしている家族の分も対象にすることができます。
控除対象となる社会保険料の種類
フリーランスとして働く場合、社会保険料控除の対象となる社会保険料は主に以下のものがあります。
国民年金保険料
国民健康保険料(または、国民健康保険税)
介護保険料
国民年金基金の加入者として支払う掛金 など
控除を受けるためには、自分や扶養している家族がどの社会保険に加入しているかを確認しておくことが重要です。
社会保険料控除を適用するための手続き
社会保険料控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。確定申告の時期になると、各社会保険機関から「控除証明書」が届きます。この証明書を基に控除額を計算します。
ただし国民年金保険料に関しては、控除証明書には確定申告対象年の9月までに支払った金額しか記載されていないため注意が必要です。
10月から12月にかけて支払った分については、「領収証」を添付する必要があります。また必要に応じて、日本年金機構から再度3か月分の控除証明書を発行してもらうこともできます。
詳しい情報については、国税庁の確定申告作成コーナーを確認しながら進めてください。
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14.まとめ
フリーランスは国民健康保険の保険料を全額自己負担しなければならないことや、年金の受け取る金額が少ないなど会社員が加入する社会保険に比べて不安要素が多いのが現状です。
しかし共済制度や民間保険への任意加入を通じて保障を強化することができ、また保険料を抑える方法を選ぶことも可能です。
さまざまな手段を取り入れてリスクをうまく管理しながら、効率的にビジネスを運営していきましょう。
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