イラストレーターに憧れる人はいつの時代も多く存在します。とはいえ、イラストレーターは人気商売であるため、安定的な収入を確保するのが難しい職業です。
イラストレーターを目指す人やイラストレーターとしてすでに働いている人の中には、経済面で不安を抱えている人は多いと思います。イラストレーターの年収は人によって大きな差があり一概にはいえません。1000万円以上稼げる人もいれば、イラストレーターの収入だけでは生計を立てられない人もいます。
本記事では、イラストレーターの年収事情や年収を上げるコツ、将来性などについて解説します。
目次
1.イラストレーターの年収事情とは?
イラストレーターの平均年収は「令和5年賃金構造基本統計調査」では509万円となっていますが、同業者の中でも雇用形態や仕事量などによって大きな差があります。
イラストレーターの年収事情について、以下の3つの観点から解説します。
正社員のイラストレーターの場合
フリーランスのイラストレーターの場合
イラストレーターの勤務先の規模別の年収
それぞれ確認していきましょう。
正社員のイラストレーターの場合
求人ボックスによると、正社員のイラストレーターの平均年収は368万円です。
なお、近年における日本人の平均年収は450万円を超えており、令和5年には460万円となっています。
イラストレーターとして正社員で働く場合、平均年収に満たない可能性も高いといえるでしょう。
フリーランスのイラストレーターの場合
フリーランスのイラストレーターの場合、フリーランス求人・案件を取り扱っているフリーランスボードを参考にすると、月額平均単価は61.3万円、年収に換算すると735万円となります。
売れっ子のイラストレーターであれば1000万円以上の年収を得ていますが、イラストレーターの収入だけでは生計を立てられない人が多いのも現実です。
イラストレーターの勤務先の規模別の年収
イラストレーターの年収は勤務先の規模によっても異なり、規模が大きい企業に在籍しているイラストレーターほど高年収を見込める傾向にあります。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、10〜99人規模の事業所に勤めるイラストレーターの平均年収は421万円、100〜999人規模は501万円、1,000人以上の規模では663万円となっています。
2.イラストレーターが年収を上げるコツ
イラストレーターとして生計を立てるためには年収を上げるコツを押さえておく必要があります。
イラストレーターが年収を上げるコツとして、以下の5つが挙げられます。
単価が高い仕事を受ける
スキルをアップする
給与が高い企業に転職する
ポートフォリオを作成する
エージェントを利用して仕事を探す
それぞれ確認していきましょう。
単価が高い仕事を受ける
1枚あたりのイラストの金額は案件ごとに異なります。単価が高い案件を多く受注できればそれだけ収入が増える一方、単価が低い案件であれば数多くこなしたとしても年収は大きく上がりません。
単価が高い案件に応募し、1つの仕事につきある程度の金額を得ることを目指してください。
スキルをアップする
単価が高い仕事を受注するにしても、大手企業と契約するにしても高いスキルが必須です。
単価が高い仕事や優良案件は高いスキルの人や実績豊富な人が多く応募しますので、優秀なイラストレーターの中から選んでもらえるだけのレベルに到達していなければなりません。
給与が高い企業に転職する
大手企業の正社員として働くことができれば、安定的な収入を得られます。
フリーのイラストレーターは売れっ子にならない限り収入が安定しませんが、企業に在籍すれば毎月決まった収入を得られます。
特に、大手企業や成長の只中にある業界に属する企業は、従業員の給与水準が高い傾向にあります。
ポートフォリオを作成する
クリエイターにとってポートフォリオは重要で、イラストレーターも例外ではありません。
採用担当者は応募者についてポートフォリオに掲載されている作品を見て、スキルや経験を把握します。ポートフォリオに掲載したイラストが採用担当者の心に留まれば、仕事を任せてみたいと思ってもらえることもあるでしょう。
近年においてはSNSをポートフォリオのように活用しているイラストレーターもいます。SNSでは一般の人のファンを獲得することもでき、ファン(フォロワー)が多いイラストレーターは企業から声がかかることもあります。
エージェントを利用して仕事を探す
イラストレーターの仕事を一人で探すのが難しい人や、自分に合った企業を紹介してほしい人にはエージェントの活用がおすすめです。
エージェントを利用すれば、担当者から自身の希望に合った条件の企業や採用の見込みがある企業を紹介してもらえます。
さらに、エージェントによっては単価交渉や入社日の交渉なども行ってくれます。
イラストレーターのエージェントはこちらから探せます。
3.イラストレーターの将来性
近年、多くの職業が将来的にAIに代替されるといわれています。イラストレーターも例外ではなく、AIが描いたイラストが急速に増えています。
とはいえ、イラストレーターという職業がなくなる可能性は低く、今後も社会的なニーズが見込まれます。AIが描いたイラストと人間が描いたイラストは細部や表現方法で違いが出ることが多いため、イラストレーターに個性や人間味があふれるイラストを描いてもらいたい人も多くいます。
人間にしか描けないタッチのイラストは時代を問わず求め続けられるはずです。
さらにAI技術の発展により、イラスト制作のプロセスが効率化され、イラストレーターの役割が進化しています。
AIを活用してベースとなるデザインや構図を作成し、それをもとにクリエイティブな要素を加えることで、より洗練された作品を短時間で仕上げることが可能となっています。
このため、AI技術を活用できるイラストレーターは、効率と質を両立させるスキルを持つため、今後ますます必要とされるでしょう。
また、一昔前は、イラストレーターが活躍する場といえば紙媒体がほとんどでしたが、最近はWeb上にも多くの活躍の場があります。例えば、SNSの普及により、イラストレーターにアイコン用のイラストを描いてほしいと考える人も多くいます。
このように、デジタルコンテンツの需要増加は、今後もイラストレーターの活躍の場を広げる要因となるでしょう。
4.イラストレーターとして安定的な収入を稼ぎ続けるための方法
イラストレーターは実力主義であるため、浮き沈みが激しい職業といえるでしょう。才能ある新しいイラストレーターは次々に出てきますし、AIの影響がまったくないともいえません。
そうした中で、イラストレーターとして収入を安定的に得るには方法を押さえておく必要があります。
イラストレーターとして安定的な収入を稼ぎ続けるための方法として、以下の4つが挙げられます。
クライアントの意図を汲み取る力を培う
コミュニケーション力を高める
オリジナル性が高いイラストを描く
資格を取得する
それぞれ確認していきましょう。
クライアントの意図を汲み取る力を培う
イラストレーターは自分の思いのままに好きなイラストを描くというわけにはいきません。
クライアントの意向に従ったイラストを作成する力が求められます。クライアントにどのようなイラストにしたいかヒアリングし、相手のニーズを汲み取った上で描きます。
イラストは色使いやタッチなどによって同じものを描いたとしても大きく雰囲気が変わります。相手の趣向やニーズをしっかりと把握できなければ、思っていたイラストとは違うと思われるかもしれません。
コミュニケーション力を高める
イラストレーターの業務内容は働き方や在籍企業によっても異なりますが、クライアントと直接コミュニケーションをとる機会があるイラストレーターは多くいます。希望をヒアリングしたり、価格交渉を行ったりと、業務を進める上で重要な内容を話し合う機会もあります。
また、正社員として働く場合、同僚や上司と協力したり、部下の教育を行う機会もあるかもしれません。
イラストレーターとしてのスキルだけでなく、コミュニケーション力を高めることも重要です。
オリジナリティが高いイラストを描く
イラストレーターは絵がうまいか、下手かだけでなく、オリジナリティや個性をイラストに反映できるかも重要なポイントです。
絵がうまいイラストレーターは世の中に多く存在するため、それだけで人気を高めることは難しいでしょう。自分にしか出せない作風や他にはないキャラクターなどが求められます。
多くの人たちから求められるキャラクターを生み出せれば、メーカーと契約してグッズ化やアニメ化の道も拓けてきます。そうなれば、ロイヤリティ料が発生し、収入にもなります。
資格を取得する
イラストレーターとして働く上で資格は必ずしも必要ありませんが、業務に関連する資格を保有していると信頼につながります。特に、経験年数が浅く、実績が少ないイラストレーターは資格を取得しておくことで、スキルを客観的に証明できるのでおすすめです。
イラストレーターにはPhotoshopクリエイター能力認定試験、Illustratorクリエイター能力認定試験、CGクリエイター検定、カラーコーディネート検定試験、アドビ認定プロフェッショナル試験がおすすめです。
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5.イラストレーターの年収についてよくある質問
クリエイティブワーカーや芸術家は経済的に不安定になりがちな職業のため、イラストレーターを志す人の中にも経済面で不安を抱く人は多くいます。
イラストレーターの年収についてよくある質問として、以下の3つが挙げられます。
売れっ子イラストレーターの年収はどのくらいですか?
底辺イラストレーターの年収はどのくらいですか?
イラストレーターの年収は低いって本当ですか?
それぞれ確認していきましょう。
売れっ子イラストレーターの年収はどのくらいですか?
売れっ子イラストレーターの中には1500万円以上の年収を稼ぐ人もいます。
売れっ子イラストレーターとは誰もが知っているキャラクターをデザインした人や自身が生み出したキャラクターがアニメ化された人のことです。
売れっ子になれば商品化などのロイヤリティ料が入るだけでなく、企業からも高単価で依頼してもらえます。
イラストレーターの年収は低いって本当ですか?
イラストレーターの年収は人それぞれなので一概に言えませんが、年収が低い人も多いのが現状です。
大手企業でイラストレーターとして働いている人や、売れっ子のフリーのイラストレーターであれば、500万円以上稼ぐことも可能です。しかし、フリーランスのイラストレーターや中小企業にイラストレーターとして在籍している人は年収が低くなることも珍しくありません。
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6.まとめ
イラストレーターは高い人気を誇る職業の1つで、物心ついた頃からイラストレーターを夢見ていた人も多いと思います。
イラストレーターはAIによって仕事が代替されるのではという懸念が一部からあるものの、人間に描いてもらいたい人も多いためこの仕事がなくなることはないと考えられます。
また、Web社会といわれる昨今、多くの企業がオウンドメディアを運営している他、SNSを本格的に運用している人も少なくありません。こうしたことから、イラストレーターの需要は高く、活躍の場は一昔前よりも増えています。
イラストレーターの年収は一概に言えず、1000万円以上稼ぐ人からイラストレーターの収入だけでは生計を立てられない人までさまざまです。
年収を上げるにはイラストレーターとしてのスキルを磨くだけでなく、ビジネススキルを高めることも必要になります。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。