IT関連の職業にはさまざまなものがありますが、社内SEは自社のIT業務に携わることから比較的働きやすいといわれています。仕事とプライベートを両立したい人からも社内SEは人気です。
社内SEは人気職ではあるものの、多くの企業がIT人材の不足に悩んでいるため、採用の門戸は意外にも開かれています。システムエンジニアとしての素質があれば、ミドル層以上の人や未経験の人も社内SEに転身できる可能性があるでしょう。
本記事では、社内SEの業務の概要を押さえた上で、社内SEの転職事情や大手企業に転職するコツ、30代・40代が社内SEに転職する方法などを解説します。
目次
1.社内SEとは
社内SEとは自身が所属している企業の社内システムの企画、開発、運用、保守などに携わる職業です。自社で働く従業員がITシステムやITデバイスを利用するサポートをしたり、ITシステムを管理したりすることもあります。
また、開発、キッティング、ヘルプデスクが企業務に含まれる企業もあります。
社内SEは自社のITやシステムに関する業務に携わることから納期の融通が利きやすいといわれています。残業が少なく、比較的ゆったりと働ける職場が多いです。
ホワイトな働き方の実現のしやすさも社内SEが人気の所以といえます。
社内SEと一般的なシステムエンジニア(SE)の違い
社内SEは社内システムの開発、運用、管理に加えて、それらに関連する資産管理や予算の設定、ベンダーマネジメントなどに従事します。業務の幅は広いですが、業務は社内のことにとどまります。
一方、一般的なシステムエンジニア(SE)はクライアントから受注した業務に従事します。システムの設計、開発、運用などは社内SEと同じですが、自社のシステムではなく、クライアントのシステムに携わる点で社内SEと異なります。
また、社内SEは転勤と異動はほとんどありませんが、一般的なシステムエンジニア(SE)はクライアント企業によっては転勤と異動があることもあります。
2.社内SEの転職事情
dodaの「転職求人倍率レポート(2024年9月)」ではエンジニア(IT・通信)の転職求人倍率は12.80倍(全体の転職求人倍率は2.86倍)となっているため、希望する人に求人を割り振れるだけの数があるといえます。
とはいえ、希望すれば誰もがエンジニア(IT・通信)に転身できるわけではありません。
エンジニアは技術職のため業務に従事するには専門的なスキルや知識が不可欠です。
また、エンジニア(IT・通信)にはさまざまなタイプのエンジニアが含まれ、それぞれ求人倍率が異なります。社内SEはエンジニアの中でも人気があるため、他のエンジニアよりもハードルがやや高いといえるかもしれません。
とはいえ、どの企業においても社内SEの求人に応募者が多く集まり、倍率が非常に高いというわけではないといえます。
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3.社内SEとして大手企業に転職するコツ
多くの求職者が大手企業で働くことを望んでいると考えられるため、大手企業からの内定を目指すのであれば転職のコツを押さえておく必要があります。
社内SEとして大手に転職するコツとして、以下の3つが挙げられます。
転職エージェントを利用する
スキルを高める
マネジメント経験をアピールする
それぞれ確認していきましょう。
転職エージェントを利用する
転職エージェントの中には非公開求人を扱っている企業も多くあります。非公開求人の中には一般公開すると応募者が多く集まるような有名企業の求人や好待遇の求人もあります。
スキルや経験が条件を満たしていれば、こうした企業を紹介してもらえることがあります。
また、転職エージェントを活用することで、優良求人に出会える可能性も高まります。例えば、フリーランス求人を多数取り扱っている「フリーランスボート」には月額100万円以上の社内SEの求人が多数掲載されています。
スキルを高める
社内SEといっても業務の幅は広いため、業務によって得意不得意がある人も多いはずです。また、経験が浅い人は担当できる業務が限られていることもあります。
さまざまな業務に携われる人や難しい案件をこなせる人は、多くの企業から求められる人材です。エンジニアとして最低限の仕事をこなすことに満足するのではなく、他のエンジニアが躊躇するような難しい仕事もこなせるようスキルを高めておきましょう。
マネジメント経験をアピールする
社内SEとしてキャリアを高めたい人はエンジニアとしてのスキルを高めるだけでなく、マネジメントスキルを高める必要があります。
多くの企業がメンバーをまとめる力がある人や関係者との交渉力がある人を求めています。こうした力がある人は、マネジメント的なポジションに入社当初から抜擢されるケースもあります。
また、企業によっては技術者としてのスキルのみがある人ではなく、メンバーを束ねる力を持つ人材を求める傾向にあります。
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4.30代・40代から社内SEとして活躍できるのか?
一昔前、35歳転職限界説というものがささやかれていました。35歳をすぎると未経験の業種への転職や人気企業への転職は難しくなるという見方です。
しかし、近年は労働人口が減っていることや少子高齢化により若者が稀少な存在であることから、30代や40代を若手とみなす企業が増えています。
エンジニアについてはプログラムを書き続けるハードな職業であるため、35歳をすぎると体力的に難しいのではという見方もあります。
また、エンジニアの中には夜勤があるポジションや連日残業続きの職種もあります。
とはいえ、ハードワークに耐えられる体力があるかは年齢よりも個人によるところが大きいため、〇歳以上はエンジニアとして働くのは難しいという見方が必ずしも正しいとは言い切れません。
また、最近はIT業界においても人手が不足しているため、30代、40代の未経験者をエンジニアとして雇う企業も増えています。ミドル層以降にエンジニアに転身して活躍している人も多くいます。
特に、社内SEは一般的なシステムエンジニア(SE)と違い、残業が少なく、スケジュールにゆとりがある案件に携われる機会が多いため歳を重ねても働きやすい傾向にあります。
5.社内SEへの転職はやめとけと言われる理由
社内SEは人気が高い職業であるものの、やめとけという声も一定数存在します。社内SEに転職した後で後悔しないためにも、社内SEはやめとけと言われる理由を見ていきましょう。
社内SEはやめとけと言われる理由として、以下の3つが挙げられます。
仕事がラクなわけではない
技術面のスキルがつきにくい
調整能力が求められる
それぞれ確認していきましょう。
仕事がラクなわけではない
社内SEについてホワイトな環境で働けるというイメージを抱く人が多いですが、こうしたイメージは間違いではありません。
社内向けの業務を基本とするためスケジュールに余裕があり、転勤や異動は基本的にないためです。
とはいえ、社内SEは一般的なシステムエンジニア(SE)と同じようにシステムの開発から運用に携わることも多く、求められるスキルや知識は多くあります。
さらに、社内SEは社内のヘルプデスクやプロジェクトの予算管理を兼任することも多く、複数の業務を並行して行うことも多いです。
技術面のスキルがつきにくい
社内SEは業務範囲が広く、特定の分野を極めるというよりも、業務を広く、浅くこなすことが求められます。また、社内のコンピューター機器の管理や貸出、コンピューターや周辺機器のトラブル対応など、スキルがつきにくい業務が含まれることもあります。
特定の分野のスぺシャストになりたい人、最先端の技術を取得したい人、難しい案件をこなしたい人、自身が主体となって開発したい人などはものたりなさを感じることもあるかもしれません。
調整能力が求められる
社内SEには関連部署とのやりとりの機会が多々あります。IT知識がない人に説明を行うシーンは少なくなく、分かりやすく説明する力が問われます。
また、トラブル解消を急かされることもあるため、状況をうまく説明し、待ってもらえるように説得する交渉力も必要です。
一般的なSEよりも社内SEは人と接する機会が多い傾向にあります。黙々と作業したい人や周囲との揉め事に巻き込まれるのが苦手な人はストレスを感じやすいでしょう。
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6.未経験から社内SEに転職できるのか?
結論を先に述べると、完全未経験から社内SEに転職するのは簡単ではありません。
社内SEは転勤もなく、融通が利きやすいことからシステムエンジニア(SE)の中でも人気の職です。システムエンジニア(SE)の求人の中でも倍率が高い傾向にあり、完全未経験からの転職は難しいと考えられます。
なお、社内SEの求人の中には「未経験OK」「未経験者歓迎」と明記された求人がありますが、ここでいう未経験というのは社内SEが未経験なのであって、システムエンジニア(SE)経験者やITに精通している人を指していることが多いです。
完全未経験の状態から社内SEを目指したい人は、プログラミングやシステム開発、ネットワークの基礎知識や実務を自身で経験しておく、もしくは資格など取得しておくと内定につながりやすくなります。
ITパスポート試験や応用情報技術者試験など、自身のスキルや知識を客観的に証明できる資格を取得しておくことをおすすめします。
また、最初は社内SEにとどまらず、システムエンジニア(SE)からスタートしてみるのも1つの方法です。
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7.まとめ
社内のDX化に向けて動いている企業が多い昨今、大手企業を含めて社内SEを募集している企業は多々存在します。とはいえ、IT関係の職業に関心を抱く人はニーズに対して少ないのが現状です。
こうしたことからも、社内SEの求人は比較的多く、さまざまな人たちに門戸が大きく開かれている傾向があります。
ミドル層からの社内SEへの転職や未経験からの社内SEへの転職も適性があれば可能でしょう。ただし、完全未経験の場合、30代以上になるとやる気があっても転職することは難しいでしょう。
社内SEとしてゼロからスタートしたい人は自身で実務を経験しておく、またエンジニアとして有利に働く資格を取得して業務への適性や意欲を応募先企業にアピールするのがおすすめです。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。